説明

皿ばね収納ケース並びにこれを用いたネジ部材及びバルブ

【課題】ボルト緩み防止効果が高く、皿ばねを容易に装着可能で落としにくく、外部から皿ばねを視認でき、製造コストを削減できる皿ばね収納ケースを提供すること。
【解決手段】重ねた皿ばね2を下方と側方から保持する保持部材3と、上方から押さえる押さえ部材4からなり、これらは互いに係脱可能な係止部を備え、保持部材3は皿ばね2を下方から支持する底板部5と、側方から支持する第1側板部6からなり、第1側板部6は底板部5の外周縁に周方向に間隔をあけて配置され且つ外周縁から外方に延設された複数の第1突片6からなり、第1突片6は底板部5に対し直角上方向に折曲され先端近傍に係止部7が形成され、押さえ部材4は皿ばね2を上方から押さえる上板部20と、側方から支持する第2側板部21からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の皿ばねを重ねた状態で収納することが可能であって、ボルトの緩み防止の目的のために使用することができる皿ばね収納ケース並びにこれを用いたネジ部材及びバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトの緩み防止のための対策として、ボルト頭又はボルトに螺合されたナットの下面と被接合部材の上面との間に、ばね座金及び平座金を介装することが一般的に行われている。
しかしながら、ボルトが装着される機器の種類によっては、この対策では緩み防止効果が十分ではなく、長年の使用に伴って緩みが発生し、重大な不具合を引き起こすおそれがあった。
【0003】
例えば、ダイヤフラム弁等のバルブにおいては、図13に示すように、ボルト(A)及びナット(B)を用いてダイヤフラム(C)をボンネット(D)で押さえることにより、ボンネット(D)とボディ(E)との間のシール性を確保している。ここで、ナット(B)の下面とボンネット(D)の上面との間には、ボルト緩み防止のためにばね座金(F)及び平座金(G)が介装されている。
しかし、ばね座金(F)及び平座金(G)では、ボルトの緩みを防止する効果が十分ではなく、使用に伴ってダイヤフラムにコールドフローが発生することにより、ボルトの締め付け力が低下して外部漏洩が発生する場合があった。
【0004】
ボルトの緩み防止効果を高めるためには、ボルト又はボルトに螺合されたナットの下面と被接合部材の上面との間に、複数枚(例えば5〜10枚程度)の皿ばねを重ねて介装することが有効である。
しかしながら、この方法では、皿ばねを1枚ずつ挿入する作業に非常に手間がかかり、また皿ばねの向きを間違えたり、皿ばねを落として紛失したりする等のトラブルが発生する可能性が高い。そして、現場で紛失した皿ばねが他の装置の作動に影響を及ぼして事故を招く危険性がある。
【0005】
このような問題点を解決することができる技術としては、例えば下記特許文献1の開示技術が挙げられる。
特許文献1には、有底円筒状のカバー内に複数枚の皿ばねを重ねた状態で収納し、重ねた皿ばねの最上部に座金を載置し、この座金をカバーの内方に突出させた係止部に対して係止する構造をもつ緩み防止装置が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された緩み防止装置は、以下に述べるような数多くの問題点を有していた。
第一に、一旦皿ばねをカバー内に収納した後は、係止部の係止を解除して座金をカバーから取り外すことが困難であるため、必要に応じて皿ばねを取り出したり追加したりすることができなかった。
第二に、座金をカバーから取り外して皿ばねの枚数を変更しようとした場合、皿ばねが座金により押さえられていない状態となるため、皿ばねが弾性反発力によりカバーから飛び出し、皿ばねを紛失してしまうおそれがあった。
第三に、座金をカバーに係止するためには、カバーの上端縁を全周にわたって折り曲げる作業や、係止部を乗り越えるようにして座金を押し入れる作業が必要となるが、これらの作業は未熟練者にとっては短時間で簡単に行えるものではなく、作業性が悪かった。
第四に、一旦皿ばねを収納した後は、外部から皿ばねの向きや枚数を視認できないため、皿ばねの向きや枚数が正しく設定されていなくてもこれを把握することができず、設計通りの性能が得られないおそれがあった。
第五に、座金がカバー内で回転可能であるために、座金の回転に伴ってボルトやナットに回転力が作用して緩んでしまうおそれがあった。
第六に、座金は打ち抜き加工により製造できるが、カバーは深絞り加工等により製造する必要があるため、製造コストが高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−221212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、ボルトの緩み防止効果が高く、皿ばねの装着や枚数変更の作業を未熟練者であっても容易に行うことができ、皿ばねを落として紛失する可能性が低く、外部から皿ばねの枚数や向きを視認することができ、製造コストを低く抑えることも可能である皿ばね収納ケース並びにこれを用いたネジ部材及びバルブを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、複数枚の皿ばねを重ねて収納可能なケースであって、重ねられた皿ばねを下方及び側方から保持する保持部材と、該皿ばねを上方から押さえる押さえ部材とからなり、前記保持部材と前記押さえ部材は、互いに係脱可能な係止部を夫々備えており、前記保持部材は、前記皿ばねを下方から支持する底板部と、前記皿ばねを側方から支持する第1側板部とからなり、前記第1側板部は、前記底板部の外周縁に周方向に所定間隔をあけて配置されるとともに、該外周縁から外方に延設された複数の第1突片からなり、前記第1突片は、前記底板部に対して直角上方向に折曲されて、その先端近傍には前記係止部が形成されており、前記押さえ部材は、前記皿ばねを上方から押さえる上板部と、前記皿ばねを側方から支持する第2側板部とからなり、前記第2側板部は、前記上板部の外周縁に周方向に所定間隔をあけて配置されるとともに、該外周縁から外方に延設された前記第1突片と同数の第2突片からなり、前記第2突片は、前記上板部に対して直角下方向に折曲されており、前記第1突片及び前記第2突片の先端近傍には、いずれか一方に外向き又は内向き突起が形成され、他方に該突起が係止可能な貫通孔が形成されていることを特徴とする皿ばね収納ケースに関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記第1突片の数が3つであって、前記底板部の外周縁に120°間隔で放射状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の皿ばね収納ケースに関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記第1突片又は前記第2突片に形成された貫通孔の突片長さ方向に沿う長さは、前記外向き又は内向き突起の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の皿ばね収納ケースに関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記外向き又は内向き突起の延出方向の長さは、前記第1又は第2突片の厚み以下であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の皿ばね収納ケースに関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4いずれかに記載の皿ばね収納ケースと、該皿ばね収納ケース内に重ねて収納された複数枚の皿ばねと、前記皿ばね、前記保持部材、前記押さえ部材の中心に挿通されるネジとからなることを特徴とするネジ部材に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、流体が流通する流路を備えたボディと、前記流路を開閉するための弁体と、該弁体を操作するための操作機構と、前記ボディの上部に固定されて該ボディとの間で前記弁体を挟持するボンネットとを備えており、前記ボディと前記ボンネットとを固定するための固定手段として、請求項5記載のネジ部材が用いられていることを特徴とするバルブに関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、複数枚の重ねた皿ばねの弾性反発力を利用することができるため、ボルトの緩み防止効果に優れている。
また、複数枚の皿ばねが予めケース内に収納されているため、従来のように1枚ずつ皿ばねを挿入する作業が不要となり作業性に優れている。また、皿ばねの向きを間違えたり、皿ばねを落として紛失したりする等のトラブルが発生する可能性が低くなる。
更に、一旦皿ばねを収納した後であっても、折曲された第1突片を指で外方に拡げることにより、簡単に皿ばねを取り出すことができ、向きや枚数の変更も容易に行うことができる。
しかも、このとき、外方に拡げられていない第1突片は、係止状態のままとすることができるため、皿ばねの交換時等においても皿ばねは押さえ部材により押さえられて飛び出すことがなく、皿ばねの紛失が防がれる。
また、第1突片と第1突片の間から皿ばねを視認することができるため、外部から皿ばねの枚数や向きを確認することができる。
【0016】
更に、請求項1に係る発明によれば、保持部材と押さえ部材との間に収納できる皿ばねの数を多くすることができる。
また、収納された皿ばねを交換等する場合には、第1突片と第2突片のいずれかのみを外方に拡げた状態で作業を行うことができる。このとき、重ねられた皿ばねの上半分又は下半分は側方から保持されているため、上方にある皿ばねのみ或いは下方にある皿ばねのみを容易に且つ安全に交換することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、3つの第1突片が底板部の外周縁に120°間隔で放射状に設けられていることにより、皿ばねの弾性反発力を3つの突片で均等に受けることができ、係止部に加わる力の方向が押さえ部材の皿ばねを押さえる面と直角方向となるため、押さえ部材と保持部材との係止が外れにくい。
また、1つの第1突片を拡げることにより、周方向の240°の範囲が開放されるので、皿ばねの装着や取り外しを容易に行うことが可能となる。しかも、1つの第1突片を拡げても残りの2つの第1突片によって120°の範囲が保持されているため、皿ばねがケースから脱落しにくい。
更に、第1突片と第1突片の間が広くあくため、外部からの皿ばねの視認性に優れたものとなる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、貫通孔の突片長さ方向に沿う長さが外向き又は内向き突起の厚みよりも大きいことにより、係止部の位置を貫通孔の長さ方向に沿って調整することができ、ケースに収納する皿ばねの枚数を変更することが可能となる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、外向き又は内向き突起の延出方向の長さが突片の厚み以下であることにより、外向き又は内向き突起が突片から外方にはみ出すことがなく、作業時に怪我をすることが防がれる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、複数枚の重ねた皿ばねの弾性反発力を利用することができるため、緩み防止効果に優れたネジ部材となる。
また、複数枚の皿ばねがケースに収納されているため、ネジの締め付け作業の作業性に優れたものとなる。更に、皿ばねの交換が容易となり、皿ばねの紛失を防ぐこともできる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、ボディとボンネットとを固定するためのネジ(ボルト)の緩みを防止する効果が高くなるため、ダイヤフラム等の弁体にコールドフローが発生しても、ボルトの締め付け力が低下して外部漏洩が発生するおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の参考形態の皿ばね収納ケースの組立状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図2】保持部材を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
【図3】押さえ部材(座金)の平面図である。
【図4】内向き突起がボルトのねじ溝に入り込んでいる状態を示す部分断面図である。
【図5】皿ばねを重ねた状態で保持部材に収納した状態を示す図である。
【図6】ケースに収納された皿ばねを取り出そうとしている状態を示す図である。
【図7】本発明に係る皿ばね収納ケースの実施形態の組立状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図8】本発明の実施形態の皿ばね収納ケースにおける保持部材と押さえ部材を示す斜視図である。
【図9】皿ばね収納ケースの使用状態を示す断面図であり、(a)はナット締め付け前の状態、(b)はナット締め付け後の状態を夫々示している。
【図10】ナットとしてフランジ付きナットを使用した例を示す断面図である。
【図11】本発明に係るネジ部材の参考形態を示す断面図である。
【図12】皿ばね収納ケースの具体的な使用例を示す図であるとともに、本発明に係るバルブを示す図である。
【図13】従来技術の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る皿ばね収納ケース並びにこれを用いたネジ部材及びバルブの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る皿ばね収納ケースの参考形態の組立状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
本発明に係る皿ばね収納ケース(1)は、複数枚の皿ばね(2)を重ねた状態で内部に収納可能なケースであって、重ねられた皿ばね(2)を下方及び側方から保持する保持部材(3)と、該皿ばね(2)を上方から押さえる押さえ部材(4)とから構成されている。
そして、保持部材(3)と押さえ部材(4)は、互いに係脱可能な係止部(後述する)を夫々備えている。
【0024】
図2は保持部材(3)を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は展開図である。
保持部材(3)は、皿ばねを下方から支持する底板部(5)と、皿ばねを側方から支持する第1側板部(6)とから構成されている。
【0025】
底板部(5)は円環状であって、その内円にはボルト等のネジ(以下、ボルト等という)が挿通される。また、外周縁には、周方向に所定間隔をあけて第1側板部(6)が配置されている。但し、底板部(5)の外形は、図示例のように円形に限定されず、例えば三角形、四角形、六角形等の他の形状であってもよい。
第1側板部(6)は、底板部(5)の外周縁から外方に延設された複数の突片(以下、第1突片(6)という)からなる。
夫々の突片は幅の細い縦長の長方形状を呈しており、その先端近傍には四角形状の貫通孔(7)が形成されている。この貫通孔(7)には後述する押さえ部材(4)の外向き突起(8)が係止される(図1参照)。
このように、本参考形態では、貫通孔(7)と外向き突起(8)が互いに係脱可能な係止部を構成している。この係止部は、図示例では全ての第1突片(6)に形成されているが、一部の第1突片のみに形成してもよい。これは、後述する実施形態についても同様である。
但し、係止部を一部の第1突片のみに形成する場合には、皿ばね保持の安定性の観点から少なくとも2つの第1突片(好適には対向する2つの第1突片)に形成することが好ましい。
【0026】
第1突片(6)の間隔及び本数については、図示例のように120°間隔で3つの突片を放射状に延設することが好ましい。
これにより、収納された皿ばね(2)の弾性反発力を3つの第1突片(6)で均等に受けることができ、係止部(貫通孔(7)に外向き突起(8)が係止された部分)に加わる力の方向が押さえ部材(4)の皿ばねを押さえる面と直角方向となるため、押さえ部材(4)と保持部材(3)との係止が外れにくくなる。
但し、本発明において、第1突片(6)の間隔及び本数は特に限定されず、例えば90°間隔で4つの突片を設けてもよい。
また、第1突片(6)の長さについても特に限定されないが、例えば皿ばね(2)を重ねた状態で6〜15枚程度収納可能な長さとすることができる。
【0027】
保持部材(3)は、ステンレスや銅等の金属製の薄板を打ち抜くことにより底板部(5)と側板部(6)とが一体となった打ち抜き体(図2(b)参照)を得て、その側板部(6)を底板部(5)に対して直角上方に折り曲げる(図2(a)参照)ことにより製造することができる。
【0028】
図3は押さえ部材(4)の平面図である。
参考形態において、押さえ部材(4)は略円環状の座金からなり、その内円にはボルト等が挿通される。但し、押さえ部材(4)の外形は、図示例のように円形に限定されず、例えば三角形、四角形、六角形等の他の形状であってもよい。
押さえ部材(4)は、外周縁から外方に延設された複数の外向き突起(8)を備えている。
外向き突起(8)の数及び配置は、保持部材(3)の第1突片(6)と対応するように設定される。すなわち、保持部材(3)の第1突片(6)が図2に示すように120°間隔で3つ設けられている場合には、外向き突起(8)も図3に示すように120°間隔で3つ設けられる。
【0029】
外向き突起(8)の幅は、貫通孔(7)と同じか若しくは僅かに小さく設定される。
これにより、図1に示すように、外向き突起(8)を第1突片(6)に形成された貫通孔(7)に挿入して係止することができる。
また、外向き突起(8)の延出方向の長さは、第1突片(6)の厚みと同じか若しくは僅かに小さく設定される。
これにより、外向き突起(8)を第1突片(6)の貫通孔(7)に係止した状態(図1参照)において、外向き突起(8)が第1突片(6)の外面より外方にはみ出すことがなく、作業時に外向き突起(8)が当たって指等に怪我をすることが防がれる。
【0030】
また、外向き突起(8)が係止される第1突片(6)の貫通孔(7)の長さ(突片長さ方向に沿う長さ)は、外向き突起(8)の厚みよりも大きく(好ましくは約2〜3倍)に設定することが好ましい(図1(b)の円内拡大図参照)。
このように設定すると、外向き突起(8)を貫通孔(7)に係止した状態において、係止部の位置を貫通孔(7)の長さ方向に沿ってずらして調整することが可能となるため、ケースに収納する皿ばねの枚数を変更することができる。
また、図示していないが、第1突片(6)の長さ方向に沿って複数の貫通孔(7)を設ける構成を採用することもできる。この場合、皿ばねの枚数に応じて係止する貫通孔を使い分けることができ、枚数の変更範囲を大きくすることが可能となる。
【0031】
押さえ部材(4)は、更に内周縁から内方に延出された内向き突起(9)を備えている。
内向き突起(9)の数及び配置は、特に限定されないが、図示のように120°間隔で3つ設けることが好ましい。
内向き突起(9)はボルト等のねじ溝に入り込んで、押さえ部材(4)をボルト等に対して強固に固定する機能を発揮するものである(図4参照)。このとき、内向き突起(9)の数が少なかったり不均等に設けられていたりすると、ボルト等に対して押さえ部材を安定して固定することができなくなる。一方、数が多すぎると、ボルト等の回転が阻害されて締め付けトルクが低下するおそれがある。内向き突起(9)を120°間隔で3つ設けた場合には、ボルト等に対して押さえ部材を安定して固定することができるとともに、締め付けトルクの低下も生じない。
【0032】
また、外向き突起(8)と内向き突起(9)は、図3示のように、周方向において対応する位置に設けることが好ましい。
外向き突起(8)と内向き突起(9)が周方向において対応する位置に設けられていると、外向き突起(8)の貫通孔(7)に対する係止部が、ボルト等に対して固定された内向き突起(9)に対応する位置となる。これにより、係止部がぶれずに安定した状態となり、係止が外れにくくなり、係止の解除も容易に行うことが可能となる。
【0033】
外向き突起(8)及び内向き突起(9)の形状は特に限定されず、三角形、四角形、半円形などの任意の形状とすることができる。このとき、図3(a)のように、外向き突起(8)及び内向き突起(9)の形状を異ならせても良いし、図3(b)のように、外向き突起(8)及び内向き突起(9)の形状を同じとしてもよい。
【0034】
押さえ部材(4)も保持部材(3)と同様に、ステンレスや銅等の金属製の薄板を打ち抜くことにより製造することができる。
このように、本発明に係る皿ばね収納ケースは、保持部材(3)及び押さえ部材(4)の両方を平板からの打ち抜きにより製造することができるため、製造コストを非常に低く抑えることが可能となる。
【0035】
以下、本発明の上記参考形態に係る皿ばね収納ケースの使用方法について説明する。
先ず、所望の弾性反発力を勘案して必要な枚数の皿ばね(2)を用意し、重ねた状態で保持部材(3)に収納する(図5参照)。
この状態では、皿ばね(2)は外方から第1側板部(第1突片)(6)によって支持されているため、崩れて落下することがなく、多数枚の皿ばねを安定して重ねることができる。
次いで、押さえ部材(4)を皿ばね(2)の最上面に重ねて上方から押し下げ、押さえ部材(4)の外向き突起(8)を貫通孔(7)に対して係止する。
これにより、複数枚の皿ばね(2)が重ねられた状態でケース内に保持された状態となる(図1参照)。
この状態において、第1突片(6)と第1突片(6)の間から皿ばね(2)を視認することができるため、外部から皿ばねの枚数や向きを簡単に確認することが可能であり、枚数や向きが間違っている状態のままで使用することが防がれる。
【0036】
図1に示すように皿ばねを収納して組み立てられた状態の皿ばね収納ケース(1)は、ケースのままで使用することができる。そのため、現場で1枚ずつ皿ばねを挿入する作業が不要となる。また現場で皿ばねの向きを間違えたり、皿ばねを落として紛失したりする等のトラブルが発生することがない。しかも、現場でのメンテナンス時に、皿ばねの脱落を気にせずに作業することができるため、作業効率が大幅に向上する。
更に、図1に示すように皿ばねを収納した後であっても、図6に示すように折曲された1つの第1突片を指で外方に拡げることにより、簡単に皿ばねを取り出すことができ、向きや枚数の変更も容易に行うことができる。
しかも、このとき外方に拡げられていない2つの第1突片は、押さえ部材と係止された状態のままとなるため、皿ばねの交換時等においても皿ばねは押さえ部材により押さえられて飛び出すことがなく、皿ばねの紛失が防がれる。
【0037】
図7は、本発明に係る皿ばね収納ケースの実施形態の組立状態を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。図8は、本実施形態の皿ばね収納ケースにおける保持部材(3)と押さえ部材(4)を示す斜視図である。
以下、本実施形態が上述した参考形態と異なる点を中心に説明し、同じ構成については図中に同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
本実施形態が参考形態と最も異なる点は、押さえ部材(4)の形状である。
本実施形態の押さえ部材(4)は、皿ばねを上方から押さえる上板部(20)と、皿ばねを側方から支持する第2側板部(21)とから構成されている。
【0039】
上板部(20)は円環状であって、その内円にはボルト等が挿通される。また、外周縁には、周方向に所定間隔をあけて第2側板部(21)が配置されている。但し、上板部(20)の外形は、図示例のように円形に限定されず、例えば三角形、四角形、六角形等の他の形状であってもよい。
第2側板部(21)は、上板部(20)の外周縁から外方に延設されて直角下方に折曲された複数の突片(以下、第2突片(21)という)からなる。
夫々の突片は幅の細い縦長の長方形状を呈しており、その先端近傍には四角形状の貫通孔(22)が形成されている(図8参照)。この貫通孔(22)には後述する保持部材(3)の内向き突起(23)が係止される(図7参照)。
このように、本実施形態では、貫通孔(22)と内向き突起(23)が互いに係脱可能な係止部を構成している。
【0040】
保持部材(3)は、参考形態のものと殆ど同じであるが、一部異なっている。
具体的には、参考形態では第1突片(6)に貫通孔(7)が形成されていたが、本実施形態では貫通孔ではなく内向き突起(23)が形成されている(図8参照)。
但し、本実施形態において、第1突片(6)に内向き突起に代えて外向き突起を形成し、この外向き突起を第2突片(21)に形成された貫通孔(22)に対して係脱可能とする構成を採用してもよい。
また、第1突片(6)に貫通孔を形成し、第2突片(21)にこの貫通孔に対して係脱可能な外向き又は内向き突起を形成してもよい。
【0041】
押さえ部材(4)に形成される第2突片(21)の間隔及び本数については、保持部材(3)に形成される第1突片(6)と同様に、120°間隔で3つの突片を放射状に延設することが好ましい。
これにより、収納された皿ばね(2)の弾性反発力を3つの第1突片(6)及び第2突片(21)で均等に受けることができ、押さえ部材(4)と保持部材(3)との係止が外れにくくなる。
但し、第1突片(6)及び第2突片(21)の間隔及び本数は特に限定されず、例えば90°間隔で4つの突片を設けてもよい。
また、第1突片(6)及び第2突片(21)の長さについても特に限定されないが、例えば皿ばね(2)を重ねた状態で10〜25枚程度収納可能な長さとすることができる。また、第1突片(6)及び第2突片(21)の長さは同じであっても異なっていてもよいが、図示のように略同じ長さとすると、係止部の係止状態及び皿ばねの保持状態が安定するために好ましい。
【0042】
本実施形態の押さえ部材(4)は、保持部材(3)と同様にステンレスや銅等の金属製の薄板を打ち抜くことにより上板部(20)と第2側板部(21)とが一体となった打ち抜き体を得て、その第2側板部(21)を上板部(20)に対して直角下方に折り曲げることにより製造することができる。
【0043】
本実施形態の皿ばね収納ケースによれば、参考形態のものに比べて、保持部材(3)と押さえ部材(4)との間に収納できる皿ばねの数を多くすることができる。
また、皿ばねをケースに収納した後に、第1突片(6)と第2突片(21)のいずれかのみを外方に拡げても、重ねられた皿ばねの上半分又は下半分は拡げられていない突片(第1又は第2突片)により側方から保持されている状態となる。そのため、上方にある皿ばねのみ或いは下方にある皿ばねのみを容易に且つ安全に交換することができる。
【0044】
図9は、皿ばね収納ケース(1)の使用状態を示す断面図であり、(a)はナット締め付け前の状態、(b)はナット締め付け後の状態を夫々示している。尚、図9では参考形態のものを示しているが、本実施形態のものも同様である。
図1及び図7に示すように皿ばねを収納して組み立てられたケースは、ネジ(具体的にはボルト)(10)により締結される被締結材(11)のネジ挿通孔の上部に載置し、底板部(5)、皿ばね(2)、押さえ部材(4)にネジ(10)を貫通し、押さえ部材(4)の上部にナット(12)を載置してネジ(10)に対して締め付けることにより使用される。
ナット(12)を締め付ける前には、皿ばね(2)の弾性反発力によって押さえ部材(4)は浮き上がった状態にあるが(図9(a)参照)、ナット(12)を締め付けた後は、皿ばね(2)が平板状となって押さえ部材(4)が下方に沈んだ状態となる(図9(b)参照)。
尚、ナット(12)として、図10に示すようにフランジ付きナットを使用してもよい。
【0045】
図11は、本発明に係るネジ部材を示す図である。
本発明に係るネジ部材は、上述した本実施形態に係る皿ばね収納ケース(1)と、皿ばね収納ケース(1)内に重ねて収納された複数枚の皿ばね(2)と、皿ばね(2)、保持部材(3)、押さえ部材(4)の中心に挿通されるネジ(10)とから構成される。尚、図示例では、参考形態の皿ばね収納ケースを使用した例が示されている。
【0046】
ネジ(10)としては、図示例のようにボルトが使用されるのが一般的であるが、タッピングネジ等の他の種類のネジを使用することもできる。
また、ネジ(10)の挿通の方向は、(a)に示すように上から下に向けて挿通してもよいし、(b)に示すように下から上に向けて挿通してもよい。
(a)の場合、ネジ(10)の頭(10a)で押さえ部材(4)を押さえるようになり、(b)の場合、ネジ(10)に螺合されたナット(12)で押さえ部材(4)を押さえるようになる。
【0047】
本発明に係るネジ部材は、上述した本実施形態に係る皿ばね収納ケース(1)に複数枚の皿ばねを重ねて収納して使用しているため、複数枚の重ねた皿ばねの弾性反発力を利用することができ、緩み防止効果に優れたネジ部材となる。
しかも、複数枚の皿ばねが予めケースに収納されているため、ネジの締め付け作業における作業性に優れたものとなる。また、皿ばねの交換が容易となり、皿ばねの紛失を防ぐこともできる。
【0048】
図12は、皿ばね収納ケース(1)の具体的な使用例を示す図であるとともに、本発明に係るバルブを示す図である。尚、図示例では、バルブとしてダイヤフラム弁が示されているが、ベローズ弁等の他の種類のバルブであってもよい。
本発明に係るバルブは、流体が流通する流路を備えたボディ(15)と、流路を開閉するための弁体(ダイヤフラム)(13)と、弁体(13)を操作するための操作機構(16)と、ボディ(15)の上部に固定されて該ボディとの間で弁体(13)を挟持するボンネット(14)とを備えている。尚、図示例では、操作機構(16)として空圧作動式アクチュエータが示されているが、手動回転式のハンドル等の他の種類の操作機構であってもよい。
【0049】
そして、ボディ(15)とボンネット(14)とを固定するための固定手段として、上述した本実施形態に係る皿ばね収納ケース(1)を使用したネジ部材が用いられている。
尚、図12では参考形態の皿ばね収納ケースが使用されているが、本発明では上述した本実施形態のものを使用する。また、ネジ部材として、図11(b)に示したものが使用されているが、図11(a)に示したものを使用することもできる。
【0050】
本発明に係るバルブでは、ネジ(具体的にはボルト)(10)及びナット(12)を利用して弁体(ダイヤフラム)(13)をボンネット(14)で押さえることにより、ボンネット(14)とボディ(15)との間のシール性を確保している。
ナット(12)の下面とボンネット(14)の上面との間には、複数枚の皿ばねを収納した皿ばね収納ケース(1)が介装されており、複数枚の皿ばねの弾性反発力が作用することによって高いボルトの緩み防止効果が得られる。
そのため、長年の使用に伴ってダイヤフラムにコールドフローが発生しても、ボルトの締め付け力が低下して外部漏洩が発生するおそれがない。
また、皿ばね収納ケースを取り外す際には、ナットを取り外して指でケースを回すだけでボルトからケースを抜き取ることができるため非常に簡単である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、ボルトによる締め付け力の低下を防止する目的のために機械分野や建築分野等の幅広い技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 皿ばね収納ケース
2 皿ばね
3 保持部材
4 押さえ部材
5 底板部
6 第1側板部(第1突片)
7 貫通孔(係止部)
8 外向き突起(係止部)
9 内向き突起(係止部)
10 ネジ(ボルト)
13 弁体(ダイヤフラム)
14 ボンネット
15 ボディ
16 操作機構
20 上板部
21 第2側板部(第2突片)
22 貫通孔
23 内向き突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の皿ばねを重ねて収納可能なケースであって、
重ねられた皿ばねを下方及び側方から保持する保持部材と、該皿ばねを上方から押さえる押さえ部材とからなり、
前記保持部材と前記押さえ部材は、互いに係脱可能な係止部を夫々備えており、
前記保持部材は、前記皿ばねを下方から支持する底板部と、前記皿ばねを側方から支持する第1側板部とからなり、
前記第1側板部は、前記底板部の外周縁に周方向に所定間隔をあけて配置されるとともに、該外周縁から外方に延設された複数の第1突片からなり、
前記第1突片は、前記底板部に対して直角上方向に折曲されて、その先端近傍に前記係止部が形成されており、
前記押さえ部材は、前記皿ばねを上方から押さえる上板部と、前記皿ばねを側方から支持する第2側板部とからなり、
前記第2側板部は、前記上板部の外周縁に周方向に所定間隔をあけて配置されるとともに、該外周縁から外方に延設された前記第1突片と同数の第2突片からなり、
前記第2突片は、前記上板部に対して直角下方向に折曲されており、
前記第1突片及び前記第2突片の先端近傍には、いずれか一方に外向き又は内向き突起が形成され、他方に該突起が係止可能な貫通孔が形成されていることを特徴とする皿ばね収納ケース。
【請求項2】
前記第1突片の数が3つであって、前記底板部の外周縁に120°間隔で放射状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の皿ばね収納ケース。
【請求項3】
前記第1突片又は前記第2突片に形成された貫通孔の突片長さ方向に沿う長さは、前記外向き又は内向き突起の厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の皿ばね収納ケース。
【請求項4】
前記外向き又は内向き突起の延出方向の長さは、前記第1又は第2突片の厚み以下であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の皿ばね収納ケース。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の皿ばね収納ケースと、
該皿ばね収納ケース内に重ねて収納された複数枚の皿ばねと、
前記皿ばね、前記保持部材、前記押さえ部材の中心に挿通されるネジと
からなることを特徴とするネジ部材。
【請求項6】
流体が流通する流路を備えたボディと、
前記流路を開閉するための弁体と、
該弁体を操作するための操作機構と、
前記ボディの上部に固定されて該ボディとの間で前記弁体を挟持するボンネットとを備えており、
前記ボディと前記ボンネットとを固定するための固定手段として、請求項5記載のネジ部材が用いられていることを特徴とするバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−281450(P2010−281450A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165299(P2010−165299)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2008−201052(P2008−201052)の分割
【原出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】