説明

皿並び替え装置

【課題】循環型の搬送装置の搬送レーン上を循環する皿を並び替え可能な皿並び替え装置を提供することを課題とする。
【解決手段】飲食物を載せた皿が循環する搬送装置を有する飲食店に設置する皿並び替え装置であって、前記搬送装置の搬送レーンから分岐する分岐レーンと、前記搬送レーンを流れる皿のうち、前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が所定の種類の皿であるか否かを判別する皿判別手段と、前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が前記皿判別手段によって前記所定の種類の皿であると判別された場合に、前記所定の種類の皿を前記分岐レーンへ案内する進路変更手段と、前記分岐レーンに前記所定の種類の皿が溜まると、前記所定の種類の皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出す送り出し手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿並び替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲食店などにおいては、飲食物が循環する搬送装置を使った飲食物の提供が行なわれている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−189994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各種の飲食物を載せた皿がコンベア上を循環する循環型の搬送装置では、皿が無作為に取り出される。このため、特定の種類の飲食物を載せた皿が続けて流れるようにコンベアの皿を整理して並べても、皿が無作為に取り出されたり、誤って取り出された皿が戻されたりすることにより、整理して並べてあった皿の順序が乱れることがある。
【0005】
また、飲食物のような鮮度管理が必要なものの場合、コンベアで循環している間に鮮度が低下するため、コンベア上を一定時間循環した飲食物の皿については、このような皿が続けて流れるように並び替えを行なうことで訴求効果を高め、販売促進を図る場合がある。
【0006】
しかしながら、飲食物を載せた皿が循環する搬送装置の場合、コンベア上を皿が順に流れており、更に、コンベアは厨房エリアと飲食客エリアとに跨って延在しているため、特定の種類の皿が続けて流れるように皿を並び替えるには少なくともコンベアが一周するのを待つ必要があり、コンベア上の皿が常に整理された状態を保つことは困難である。また、一定時間が経過した皿の抽出に際しても、少なくともコンベアが一周するのを待つ必要があり、このような皿を集めた上で、値引き等による販売の促進を図ることも困難である。
【0007】
そこで、本願は、循環型の搬送装置の搬送レーン上を循環する皿を並び替え可能な皿並び替え装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、搬送装置の搬送レーンから分岐する分岐レーンを設け、所定の種類の皿については分岐レーンへ案内することにより、分岐レーンに所定の種類の皿が溜まるようにした。そして、分岐レーンに所定の種類の皿が溜まると、この種類の皿が搬送レーン上で連続するように、分岐レーンに溜まっている皿を搬送レーンへ送り出すことにした。
【0009】
詳細には、飲食物を載せた皿が循環する搬送装置を有する飲食店に設置する皿並び替え装置であって、前記搬送装置の搬送レーンから分岐する分岐レーンと、前記搬送レーンを流れる皿のうち、前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が所定の種類の皿であるか否かを判別する皿判別手段と、前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が前記皿判別手段によって前記所定の種類の皿であると判別された場合に、前記所定の種類の皿を前記分岐レーンへ案内する進路変更手段と、前記分岐レーンに前記
所定の種類の皿が溜まると、前記所定の種類の皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出す送り出し手段と、を備える。
【0010】
ここで、所定の種類の皿とは、搬送レーンを循環する皿の種類であり、例えば、皿に飲食物が載っている場合であれば、厨房で用意されてから一定時間が経過した皿や、特定の種類の食材を載せた皿など、搬送レーン上を循環する皿を整理する観点で規定された種類の皿である。
【0011】
また、搬送レーンから分岐する分岐レーンとは、皿を溜める目的で設置されるレーンであり、例えば、搬送レーンに沿って延在するレーン、搬送レーンの進路と異なる方向へ分岐するレーン、一つの皿分の長さのみのレーン等を挙げることができる。
【0012】
このように構成される皿並び替え装置であれば、搬送レーンを流れる所定の種類の皿を分岐レーンに溜めることができる。よって、例えば、分岐レーンに所定の種類の皿が複数溜まると、搬送レーンへ分岐レーンに溜まっている皿を連続して送り出すように送り出し手段を動作させれば、所定の種類の皿が搬送レーン上で多数連続して流れることになる。
【0013】
また、例えば、分岐レーンに所定の種類の皿が少なくとも一枚以上溜まると、搬送レーンを循環する標識であって、所定の種類の皿が続くことを示す標識に連なるように、分岐レーンに溜まっている皿を搬送レーンへ送り出すように送り出し手段を動作させれば、搬送レーン上を所定の種類の皿が分散して循環している場合であっても、これら所定の種類の皿が、搬送レーンを循環する当該標識に続くように並び替わる。
【0014】
上記皿並び替え装置であれば、このように所定の種類の皿が搬送レーン上で多数連続して流れるようになるため、搬送レーン上を循環する皿の順序を並び替え可能である。
【0015】
なお、前記所定の種類の皿とは、厨房で用意されてから一定時間が経過した皿であり、前記皿並び替え装置は、前記送り出し手段が送り出す皿の販売価格の情報を更新する価格情報更新手段を更に備えるものであってもよい。厨房で用意されてから一定時間が経過することにより商品価値の低下した飲食物の皿が、販売価格の情報が更新された状態で、搬送レーン上で多数連続して流れるようになるので、商品価値の低下した飲食物の皿の訴求効果が高まる。この結果、このような皿に載った飲食物の速やかな消費が促進され、廃棄に至る飲食物を減らすことが可能である。
【0016】
また、前記所定の種類の皿とは、特定の種類の飲食物を載せた皿であり、前記送り出し手段は、前記分岐レーンに前記特定の種類の飲食物を載せた皿が溜まると、前記特定の種類の飲食物を載せた皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出すものであってもよい。送り出し手段がこのように動作すれば、同じ種類の飲食物を載せた皿が搬送レーン上で多数連続して流れるようになるので、特定の種類の飲食物の訴求効果が高まる。この結果、特定の種類の飲食物の消費が促進される。
【0017】
また、前記進路変更手段は、前記送り出し手段が前記特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出した後、他の特定の種類の飲食物を載せた皿を前記分岐レーンへ案内し、前記送り出し手段は、前記特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出した後、前記分岐レーンに前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿が溜まると、前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出すものであってもよい。
【0018】
進路変更手段が、前記送り出し手段が搬送レーンへ送り出した皿に載っていた飲食物と異なる他の特定の種類の飲食物を載せた皿を前記分岐レーンへ案内することにより、他の特定の種類の飲食物を載せた皿が分岐レーンに溜まることになる。よって、分岐レーンに溜まったこれらの皿を前記搬送レーンへ送り出すことにより、搬送レーンを流れる皿が、載っている飲食物の種類毎に順次整理されていくことになる。搬送レーンを流れる皿が飲食物の種類毎に整理されることにより、客が皿を選びやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る皿並び替え装置であれば、循環型の搬送装置の搬送レーン上を循環する皿を並び替え可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】皿並び替え装置の構成図である。
【図2】制御装置が実行する第一の例に係る処理のフロー図である。
【図3】皿並び替え装置の第一の例に係る処理フローの動作説明図である。
【図4】制御装置が実行する第二の例に係る処理のフロー図である。
【図5】皿並び替え装置の第二の例に係る処理フローの動作説明図である。
【図6】制御装置が実行する第三の例に係る処理のフロー図である。
【図7】皿並び替え装置の第三の例に係る処理フローの動作説明図である。
【図8】並び替え装置の第一変形例である。
【図9】並び替え装置の第一変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本願発明の一態様であり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。下記に示す各実施形態や変形例は、例えば、寿司や飲料物、そばやうどんといった丼物、から揚げや天ぷらといった各種の飲食物を提供する飲食店に好適である。
【0022】
図1は、本願発明の実施形態に係る皿並び替え装置100の構成図である。皿並び替え装置100は、チェーンコンベア(本発明でいう搬送レーンの一態様である)2に載せた飲食物の皿1を循環させる飲食物搬送装置3に隣接して設けられており、皿1を一時的に溜めるコンベア装置110、飲食物搬送装置3のチェーンコンベア2を流れる飲食物の皿1をコンベア装置110へ移す進路変更装置(本発明でいう進路変更手段の一態様である)120、コンベア装置110の皿1をチェーンコンベア2へ送り出す送り出し装置(本発明でいう送り出し手段の一態様である)130、チェーンコンベア2の皿1に埋め込まれているICタグの情報を読み取る読み取り装置(本発明でいう皿判別手段の一態様である)140、及び制御装置150を備える。皿並び替え装置100は、店内の厨房エリアや飲食客エリアを跨ぐように設置された飲食物搬送装置3のうち、特に飲食客の目に触れにくい位置(例えば、厨房エリア)に設置される。
【0023】
なお、本実施形態では、厨房で用意されてから一定の時間が経過した飲食物の皿を皿並び替え装置100が一旦集めた後、集めた皿を値引き皿として飲食物搬送装置3のチェーンコンベア2へ連続して流す場合を例に説明するが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係る皿並び替え装置100は、例えば、飲食物搬送装置3のチェーンコンベア2上に分散した状態で周回している特定の種類の皿を一旦集めた後、集めた皿を飲食物搬送装置にまとめて流してもよいし、或いは、飲食物搬送装置3のチェーンコンベア2上でまとまって周回している特定の種類の皿を一旦集めた後、集めた皿がチェーンコンベア2上で分散するように飲食物搬送装置3に流してもよい。
【0024】
コンベア装置110は、進路変更装置120によってチェーンコンベア2からコンベア装置110へ移された皿1を一時的に溜める装置であり、皿1が載るベルト(本発明でいう分岐レーンの一態様である)111、及びベルト111を回す図示しないベルト駆動装置を備えている。コンベア装置110は、制御装置150から信号を受けるとベルト駆動装置が作動し、ベルト111が回る。
【0025】
進路変更装置120は、チェーンコンベア2を流れる皿1をコンベア装置110へ移す装置であり、チェーンコンベア2上に配置された進路変更棒121、及び進路変更棒121を回動させる図示しない回動装置を備えている。進路変更棒121は、チェーンコンベア2を囲むガイド壁4に内蔵した回動装置に一端が取り付けられており、図1において符号Pで示す軸を中心に回動装置が進路変更棒121を回動させることにより、進路変更棒121が皿1をコンベア装置110側へ払い出し可能なようになっている。
【0026】
送り出し装置130は、コンベア装置110の皿1をチェーンコンベア2へ送り出す装置であり、コンベア装置110のベルト111の下流側の端部に配置された送り出し棒131、及び送り出し棒131を回動させる図示しない回動装置を備えている。送り出し棒131は、ベルト111を囲むガイド壁101に内蔵した回動装置に一端が取り付けられており、図1において符号Qで示す軸を中心に回動装置が送り出し棒131を回動させることにより、送り出し棒131が皿1をチェーンコンベア2側へ送り出し可能なようになっている。
【0027】
読み取り装置140は、チェーンコンベア2を囲むガイド壁4に設置されており、チェーンコンベア2を流れる皿1に埋め込まれているICタグと無線通信を行なうための送受信アンテナや増幅回路、変調回路などを備えている。読み取り装置140は、皿1に埋め込まれているICタグと無線通信を行い、ICタグに記録されている情報(以下、皿情報という)を制御装置150へ渡す。皿情報は、当該皿1に載っている飲食物の鮮度を管理するために必要な情報であり、例えば、皿1を識別するための情報、皿1に載っている飲食物の種類、値段、厨房で用意された時刻の情報などを挙げることができる。
【0028】
制御装置150は、CPUやメモリ、入出力インターフェースを備えており、メモリにロードしたコンピュータプログラムを実行することにより、読み取り装置140で検知した皿1の情報に基づく進路変更装置120やコンベア装置110、送り出し装置130の制御を行う。なお、制御装置150は、並び替え装置100に設けた専用の装置である必要は無く、例えば、飲食物搬送装置3に備わっている制御装置、飲食物の注文や鮮度を管理するコンピュータ、その他、並び替え装置100以外の機器に備わっている装置類で代用してもよい。
【0029】
<皿並び替え装置において実行される処理フローの第一例>
以下、皿並び替え装置100の動作について説明する。図2は、制御装置150が実行する第一の例に係る処理のフロー図である。また、図3は、皿並び替え装置100の第一の例に係る処理フローの動作説明図である。皿並び替え装置100を起動すると、制御装置150は、メモリに格納されているコンピュータプログラムを実行することにより、以下の処理フローを実現する。
【0030】
(ステップS101)制御装置150は、チェーンコンベア2を流れる皿1が読み取り装置140に近づくと、皿1のICタグに記憶されている皿情報を、読み取り装置140を介して読み取る(図3(A))。ICタグの皿情報は、読み取り装置140の送信波によって電力の供給を受けた皿1のICタグが自身の回路を起動し、皿情報を読み取り装置140へ送信することにより取得される。
【0031】
(ステップS102)制御装置150は、皿1の皿情報を受信すると、当該皿1が厨房で用意されてから規定の時間を経過しているか否かを判定する。当該判定は、例えば、以下のようにして行なうことができる。すなわち、例えば、皿1を識別するための情報がICタグに記憶されている場合には、各皿1の種類や鮮度を管理しているコンピュータに制御装置150がアクセスし、当該皿1が厨房で用意されてから規定の時間を経過しているか否かを判定する。或いは、例えば、皿1に載っている飲食物が厨房で用意された時刻がICタグに記憶されている場合には、記憶されている時刻に基づいて、当該皿1が厨房で用意されてから規定の時間を経過しているか否かを判定する。
【0032】
なお、ここで、規定の時間とは、飲食物の品質管理の観点から予め設定されている時間であり、例えば、店内の室温やチェーンコンベア2の速度、皿1に載る飲食物の種類、店舗に規定されている品質管理の指針等に基づいて適宜設定された時間である。
【0033】
(ステップS103)制御装置150は、S102の処理で肯定判定を下した場合、進路変更装置120を作動させて、チェーンコンベア2を流れる当該皿1(以下、このような皿を値引き皿1Nという)をコンベア装置110へ移す(図3(B))。
【0034】
(ステップS104)制御装置150は、S103の処理を完了した後、コンベア装置110が値引き皿1Nで満載か否かを判定する。制御装置150は、コンベア装置110が値引き皿1Nで満載か否かを、例えば、コンベア装置110に設けた図示しない光学式センサに基づいて検知してもよいし、或いは、進路変更装置120を作動させた回数に基づいて検知してもよい。
【0035】
(ステップS105)制御装置150は、S104の処理で否定判定を下した場合、コンベア装置110を作動させてベルト111を一皿分だけ動かし、コンベア装置110に載っている値引き皿1Nを前進させる(図3(C))。これにより、コンベア装置110の進路変更装置120側に値引き皿1Nを載せるためのスペースが空くので、皿並び替え装置100は、進路変更装置120を再び作動させて値引き皿1Nを受け入れることが可能である。
【0036】
(ステップS106)一方、制御装置150は、コンベア装置110が値引き皿1Nで満載になっており、S104の処理で肯定判定を下した場合、コンベア装置110に載っている全ての値引き皿1N(以下、値引き皿群1Gという)をまとめて流すだけのスペースがチェーンコンベア2上にあるか否かを判定する(図3(D))。チェーンコンベア2上のスペースの有無の判定は、例えば、読み取り装置140からの信号の有無や、チェーンコンベア2上に設けた図示しない光学式のセンサ等に基づいて行なうことができる。
【0037】
(ステップS107)制御装置150は、チェーンコンベア2上に値引き皿群1Gを連続して流すだけのスペースがあり、S106の処理で肯定判定を下した場合、このスペースが送り出し装置130の横に来たタイミングで送り出し装置130を作動させ、値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1Nをチェーンコンベア2側へ順に送り出す(図3(E))。これにより、チェーンコンベア2上に、値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1Nが連なって流れることになり、チェーンコンベア2上を流れる皿1が整理される(図3(F))。
【0038】
なお、チェーンコンベア2上で客が値引き皿と通常の皿とを識別可能なように、値引き皿群1Gの先頭であることを示す皿や、値引き皿群1Gの最後尾であることを示す皿(以下、ポップ皿という)を載せることが好ましい。そこで、制御装置150は、S107の処理を実行する際、例えば、店舗スタッフに当該処理を実行する旨を報知するようにして
もよい。S107の処理を実行することを制御装置150が店舗スタッフに報知することにより、店舗スタッフは、値引き皿群1Gの先頭や最後尾にポップ皿を追加したり、あるいは、値引き皿群1Gの送り出しが完了したコンベア装置110の上に先頭用のポップ皿を予めセットしたりすることが可能となる。なお、ポップ皿は、制御装置150からの指令に従って作動する図示しない装置により自動的に配置されるようにしてもよい。
【0039】
また、チェーンコンベア2上で客が値引き皿と通常の皿とを識別可能なようにするためには、上記ポップ皿を用いる態様の他、例えば、水洗いによって取り除くことが可能な水性インクを使い、値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1Nに値引き皿である旨の目視可能な標識を印刷するようにしてもよい。
【0040】
また、退店時の清算を容易にするため、制御装置150は、各皿1の種類や鮮度を管理するコンピュータに対し、コンベア装置110からチェーンコンベア2上へ送り出した値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1Nの皿情報を通知することにより、清算を行なうコンピュータで値引き清算が自動的に行なわれるようにしてもよい。或いは、制御装置150は、値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1Nをチェーンコンベア2上に送り出す前に、コンベア装置110に載っている値引き皿1NのICタグと無線通信可能な図示しない書き込み装置を使って、値引き皿群1Gを構成する各値引き皿1NのICタグに値引き皿である旨の情報を書き込むことにより、清算を行なうコンピュータで値引き清算が自動的に行なわれるようにしてもよい。この場合、制御装置150は、本発明でいう価格情報更新手段の一態様を構成する。
【0041】
<皿並び替え装置において実行される処理フローの第二例>
以下、制御装置150が実行する処理の第二例について説明する。図4は、制御装置150が実行する第二の例に係る処理のフロー図である。また、図5は、皿並び替え装置100の第二の例に係る処理フローの動作説明図である。
【0042】
上述した第一例に係る処理フローの場合、チェーンコンベア2を流れるポップ皿の有無に関係なく、値引き皿群1Gを適当なタイミングで流していたが、ポップ皿は店舗スタッフによって回収されない限り、チェーンコンベア2上を回り続ける。そこで、本処理フロー例では、チェーンコンベア2を流れるポップ皿を使いながら、値引き皿1Nをチェーンコンベア2へ流す。
【0043】
(ステップS201)制御装置150は、チェーンコンベア2を流れる皿1が読み取り装置140に近づくと、皿1のICタグに記憶されている皿情報を、読み取り装置140を介して読み取る(図5(A))。
【0044】
(ステップS202)制御装置150は、皿1の皿情報を受信すると、当該皿1がポップ皿であるか否かを判定する。当該判定は、例えば、当該皿1がポップ皿専用であり、ICタグにその旨が記憶されている場合には、ICタグの皿情報に基づいて、当該皿1(以下、このような皿をポップ皿1Pという)がポップ皿であるか否かを判定する。また、当該ポップ皿1Pが通常の皿1にポップを載せただけのものであれば、各皿1の種類を管理しているコンピュータに制御装置150がアクセスし、皿1に載せているものがポップであるか否かに基づき、当該皿1がポップ皿1Pであることを判定する。
【0045】
(ステップS203)制御装置150は、S202の処理で肯定判定を下した場合、進路変更装置120を作動させて、チェーンコンベア2を流れるポップ皿1Pをコンベア装置110へ移す(図5(B))。
【0046】
(ステップS204)制御装置150は、ポップ皿1Pをコンベア装置110へ移した
後、コンベア装置110を作動させてベルト111を一皿分だけ動かし、コンベア装置110に載っているポップ皿1Pを前進させる(図5(C))。これにより、コンベア装置110の進路変更装置120側に値引き皿1Nを載せるためのスペースが空くので、皿並び替え装置100は、進路変更装置120を再び作動させて値引き皿1Nを受け入れることが可能である。
【0047】
以降の処理については、上述したステップS101〜S107と同様の処理を実行する。これにより、値引き皿群1Gの先頭にポップ皿1Pが配置された状態で、チェーンコンベア2上に値引き皿群1Gが連なって流れることになり、チェーンコンベア2上を流れる皿1が整理される(図5(D))。
【0048】
なお、チェーンコンベア2をポップ皿1Pが流れてくる度に進路変更装置120でコンベア装置110側へ進路変更すると、値引き皿1Nが既にポップ皿1Pの後方に十分に連なっているような場合に実行される上記S203やS204、およびこれに続くS101〜S107の処理が無駄になる。そこで、例えば、制御装置150は、ポップ皿1Pの下流側に値引き皿1Nが続いていないと判定した場合にのみ、上記S203やS204、およびこれに続くS101〜S107の処理を実行するようにしてもよい。後ろに値引き皿1Nが続いていないポップ皿1Pであることを検知するには、例えば、読み取り装置140をチェーンコンベア2の上流側の進路変更装置120から離れた位置に設置しておき、読み取り装置140で皿1の情報を読み取ってから当該皿1が進路変更装置120に辿り着くまでの間の間隔を空けておく。このようにすれば、読み取り装置140で皿1の情報を読み取ってから当該皿1が進路変更装置120に辿り着くまでの間に、ポップ皿1Pに続く皿1の皿情報を読み取ることが可能なので、皿1がポップ皿1Pである場合に、ポップ皿1Pが進路変更装置120に辿り着く前に当該ポップ皿1Pの進路を決定することができる。
【0049】
<皿並び替え装置において実行される処理フローの第三例>
以下、制御装置150が実行する処理の第三例について説明する。図6は、制御装置150が実行する第三の例に係る処理のフロー図である。また、図7は、皿並び替え装置100の第三の例に係る処理フローの動作説明図である。
【0050】
上述した第二例に係る処理フローの場合、チェーンコンベア2を流れるポップ皿1Pを取り出し、先頭にポップ皿1Pを配置した値引き皿群1Gを適当なタイミングで流していた。しかし、値引き皿群1Gを構成する値引き皿1Nは、チェーンコンベア2を回っている間に取り出されるため、ポップ皿1Pの後方には値引き皿1Nを置くスペースができる蓋然性が高い。そこで、本処理フロー例では、チェーンコンベア2を流れるポップ皿1Pの後方にスペースができると、コンベア装置110の値引き皿1Nをチェーンコンベア2へ流す。
【0051】
(ステップS301)制御装置150は、チェーンコンベア2を流れる皿1が読み取り装置140に近づくと、皿1のICタグに記憶されている皿情報を、読み取り装置140を介して読み取る(図6(A))。
【0052】
(ステップS302)制御装置150は、皿1の皿情報を受信すると、当該皿1がポップ皿であるか否かを判定する。
【0053】
(ステップS303)制御装置150は、S302の処理で否定判定を下した場合、受信した皿情報に基づき、当該皿1が厨房で用意されてから規定の時間を経過しているか否かを判定する。
【0054】
(ステップS304)制御装置150は、S303の処理で肯定判定を下した場合、進路変更装置120を作動させて、チェーンコンベア2を流れる当該皿1(以下、値引き皿1Nという)をコンベア装置110へ移す(図6(B))。
【0055】
(ステップS305)制御装置150は、値引き皿1Nをコンベア装置110へ移した後、コンベア装置110を作動させて値引き皿1Nを送り出し装置130の位置まで前進させる(図6(C))。これにより、コンベア装置110の値引き皿1Nを送り出し装置130でいつでもチェーンコンベア2へ送り出すことが可能な状態になる。
【0056】
(ステップS306)一方、制御装置150は、S302の処理で肯定判定を下した場合、コンベア装置110に値引き皿1Nが載っているか否かを判定する。コンベア装置110に値引き皿1Nが載っているか否かは、例えば、コンベア装置110に設けた図示しない光学式センサの検知結果に基づいて判定するようにしてもよい。或いは、制御装置150が進路変更装置120や送り出し装置130の作動回数を管理し、進路変更装置120の作動回数の比べて送り出し装置130の作動回数が少なければ、コンベア装置110に皿1が載っていると判定するようにしてもよい。
【0057】
(ステップS307)制御装置150は、チェーンコンベア2上を流れるポップ皿1Pを検知し、更にコンベア装置110に値引き皿1Nが載っていることにより、S306の処理で肯定判定を下した場合、コンベア装置110に載っている値引き皿1Nを流すだけのスペースがポップ皿1Pの後方にあるか否かを判定する(図6(D))。
【0058】
(ステップS308)制御装置150は、ポップ皿1Pの後方に値引き皿1Nを流すだけのスペースがあり、S307の処理で肯定判定を下した場合、このスペースが送り出し装置130の横に来たタイミングで送り出し装置130を作動させ、値引き皿1Nをチェーンコンベア2側へ送り出す(図6(E))。これにより、ポップ皿1Pの後方の空きスペースが値引き皿1Nで埋まることになり、チェーンコンベア2上を流れる皿1が整理される(図6(F))。
【0059】
なお、本実施形態に係る皿並び替え装置100は、チェーンコンベア2の長手方向に沿ってコンベア装置110を配置し、進路変更装置120と送り出し装置130の両方を設けたものに限定されるものではない。皿並び替え装置100は、例えば、図8に示すように、一端が行き止まりになっているコンベア装置110をチェーンコンベア2の横に配置し、送り出し装置130が担っていた機能についてはベルト111による送り出しで代用するようにしてもよい。この場合、先にコンベア装置110に載った値引き皿1Nは、後から載った値引き皿1Nよりも後にチェーンコンベア2へ送り出されることになる。
【0060】
なお、図8に示すような一端が行き止まりになっているコンベア装置110は、例えば、飲食客が座るテーブルに配置し、皿に操作スイッチ類を設けることにより、チェーンコンベア2を循環する皿1を通路側の席から取り出し容易にするための遠隔皿取り出し装置として用いることもできる。この場合、図8に示すような一端が行き止まりになっているコンベア装置110を備える皿並び替え装置100は、客のテーブル上に設置され、遠隔皿取り出し装置としての機能を兼ね備えることになる。
【0061】
また、本実施形態に係る皿並び替え装置100は、例えば、図9に示すように、コンベア装置110が一つの皿1(値引き皿1N)しか載らないものであってもよい。制御装置150が、図6のフロー図に沿って説明した第三の例に係る処理フローを実行する場合であれば、コンベア装置110が一つの値引き皿1Nしか載らないものであっても、チェーンコンベア2を流れる皿1の順序を並べ替えることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る皿並び替え装置100は、皿1のICタグの情報を読み取り装置140で読み取っていたが、ICタグ以外の手段、例えば、皿1の色や皿1に印字されている文字、記号、その他識別標識等を読み取ってもよいし、或いは、皿1に載っている飲食物の画像を解析して鮮度を推定し、進路変更装置120を作動させるようにしてもよい。
【0063】
また、本実施形態に係る皿並び替え装置100は、客が値引き皿1Nをポップ皿1Pで他の皿1と識別可能なようにしていたが、例えば、客席に設けられたタッチパネルの画面やスピーカの音声により、値引き皿であることを客に知らせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1・・皿;1N・・値引き皿;1P・・ポップ皿;1G・・値引き皿群;2・・チェーンコンベア;3・・飲食物搬送装置;4,101・・ガイド壁;100・・皿並び替え装置;110・・コンベア装置;111・・ベルト;120・・進路変更装置;121・・進路変更棒;130・・送り出し装置;131・・送り出し棒;140・・読み取り装置;150・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を載せた皿が循環する搬送装置を有する飲食店に設置する皿並び替え装置であって、
前記搬送装置の搬送レーンから分岐する分岐レーンと、
前記搬送レーンを流れる皿のうち、前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が所定の種類の皿であるか否かを判別する皿判別手段と、
前記搬送レーンと前記分岐レーンとの分岐点に接近する皿が前記皿判別手段によって前記所定の種類の皿であると判別された場合に、前記所定の種類の皿を前記分岐レーンへ案内する進路変更手段と、
前記分岐レーンに前記所定の種類の皿が溜まると、前記所定の種類の皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出す送り出し手段と、を備える、
皿並び替え装置。
【請求項2】
前記送り出し手段は、前記分岐レーンに前記所定の種類の皿が複数溜まると、前記搬送レーンへ前記分岐レーンに溜まっている皿を連続して送り出す、
請求項1に記載の皿並び替え装置。
【請求項3】
前記送り出し手段は、前記分岐レーンに前記所定の種類の皿が少なくとも一枚以上溜まると、前記搬送レーンを循環する標識であって、前記所定の種類の皿が続くことを示す標識に連なるように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出す、
請求項1または2に記載の皿並び替え装置。
【請求項4】
前記所定の種類の皿とは、厨房で用意されてから一定時間が経過した皿であり、
前記皿並び替え装置は、前記送り出し手段が送り出す皿の販売価格の情報を更新する価格情報更新手段を更に備える、
請求項1から3の何れか一項に記載の皿並び替え装置。
【請求項5】
前記所定の種類の皿とは、特定の種類の飲食物を載せた皿であり、
前記送り出し手段は、前記分岐レーンに前記特定の種類の飲食物を載せた皿が溜まると、前記特定の種類の飲食物を載せた皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている皿を前記搬送レーンへ送り出す、
請求項1から3の何れか一項に記載の皿並び替え装置。
【請求項6】
前記進路変更手段は、前記送り出し手段が前記特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出した後、他の特定の種類の飲食物を載せた皿を前記分岐レーンへ案内し、
前記送り出し手段は、前記特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出した後、前記分岐レーンに前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿が溜まると、前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿が前記搬送レーン上で連続するように、前記分岐レーンに溜まっている前記他の特定の種類の飲食物を載せた皿を前記搬送レーンへ送り出す、
請求項5に記載の皿並び替え装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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