説明

監視カメラの遠隔監視システム

【課題】監視カメラの故障又は異常発生状況を適切に且つ迅速に復旧する監視カメラの遠隔監視システムを提供すること。
【解決手段】監視カメラ1の設置された顧客側に設けた顧客所有端末装置5の顧客画像異常報知手段51と、修理や保全を行う保守拠点に設けた保守拠点端末装置6の保守拠点画像異常報知手段61とを設け、監視センタ3の画像異常報知手段23は、遠隔監視装置2の画像異常判別手段22で判別した画像異常発生状況に応じて、画像異常発生の報知先を、顧客画像異常報知手段51と保守拠点画像異常報知手段61のいずれかを選択する画像異常分類手段32を監視センタ3に備えること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯や監視用途等に使用される監視カメラの画像の異常を検知し、復旧作業指示を行なう監視カメラの遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の出入り口や各種施設、設備等の防犯や警備を行う業務においては、監視が必要な領域を撮影する監視カメラを設置し、この監視カメラの画像を表示・記録して監視を行う監視装置が広く用いられている。
【0003】
ここで、監視カメラ又は監視カメラからの信号伝送路に故障が発生し、映像信号が途絶した場合、監視装置の映像信号に含まれる同期信号(水平同期信号、垂直同期信号)が監視装置において検出されなくなった事象(同期信号ロスト)を判断し、保守拠点などに通報する機能は、多くの監視装置や画像記録装置において使用されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、この同期信号が正常に検出されている状況において、画像の状態に、監視業務に支障をきたす異常が発生した場合に、この異常を検出し、警告や警報を発生する手法も提案されており、この種の装置及び方法としては、監視カメラの画像より複数の画像統計量を算出し、これらの画像統計量の変動を検出することにより、画像の異常発生の検出および異常発生状況の判別を行なう画像異常検出装置(例えば、特許文献2を参照)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−59209号公報
【特許文献2】特開2006−352644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や特許文献2に例示された監視装置においては、監視カメラの故障や画像異常が発生した場合、監視カメラの故障を監視する遠隔監視装置が故障や画像異常を検出し、遠隔監視装置は、この監視カメラの故障や画像異常の発生状況を監視センタに通報している。監視センタは、監視カメラを担当する保守拠点に対して監視カメラの故障発生を報知し、保守拠点においては監視カメラの故障や画像異常発生の報知を受信し、保守員が顧客設備に出動して監視カメラの状態を確認し、必要であれば調整や部品・機材の交換を行い、監視カメラの機能を復旧する手順が実施されている。
【0006】
しかしながら、監視カメラの故障状態においては、例えば監視カメラのピントがずれて画面がぼけていたり、監視カメラのレンズやレンズ保護カバーに水滴や虫などの汚れがついていたり、カメラが撮影している範囲が違う等の機器の故障に該当するものではなく、監視カメラに関する物理的操作(焦点調整、清掃、カメラ位置の修正)などを実施することで監視カメラの画像が正常に復帰できる場合がある。
【0007】
一方、監視カメラの電源や画像信号回路における故障や、監視カメラから遠隔監視装置に画像信号を伝送するケーブルの故障などにより、遠隔監視装置において同期ロストや同期信号が存在するものの画像が出ない(真っ黒、真っ白等)状況が発生した場合、顧客における物理的操作においては復旧不可能であるため、保守拠点への画像異常報知により保守員が当該顧客設備に出動し、監視カメラの機能の確認と、必要に応じて監視カメラの機器やケーブルなどの交換を実施し、監視カメラの機能を復旧していた。
【0008】
しかしながら、従来の方式による監視カメラの機能を復旧する手順においては、顧客による監視カメラの機能の復旧が可能な場合であっても、保守拠点への画像異常報知が行なわれ、保守員が顧客設備に出動して監視カメラの機能の確認と故障対応を行なっていたため、保守員が出動してから顧客設備まで到着するまでの出動時間や、出動する保守員の人員コストが発生するなどの課題があった。
【0009】
本発明の目的は、監視カメラの故障や異常発生状況を適切に且つ迅速に復旧する監視カメラの遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
監視カメラと、前記監視カメラからの画像を取り込む画像取込み手段、前記画像取込み手段にて取り込んだ画像に対して画像の異常発生状況を判別する画像異常判別手段、前記画像異常判別手段にて判別した画像の異常発生状況について通信手段を介して通報する画像異常伝送手段、を有する遠隔監視装置と、前記画像異常伝送手段より伝送された画像の異常発生状況を受信する画像異常受信手段、前記画像の異常発生を報知する画像異常報知手段、を有する監視センタと、を備えた監視カメラの遠隔監視システムであって、前記監視カメラの設置された顧客側に設けた画像の異常発生を報知する顧客画像異常報知手段を有する顧客所有端末装置と、修理又は保全を行う保守拠点側に設けた画像の異常発生を報知する保守拠点画像異常報知手段を有する保守拠点端末装置と、をさらに備え、前記遠隔監視装置の前記画像異常判別手段で判別した画像の異常発生状況に対応して、前記画像の異常発生の報知先として、前記顧客画像異常報知手段と前記保守拠点画像異常報知手段のいずれか一方を選択する画像異常分類手段を前記監視センタに設ける構成とする。この構成によって、監視カメラの故障や異常発生状況を適切に且つ迅速に復旧することができる。
【0011】
また、前記監視カメラの遠隔監視システムにおいて、前記監視センタの前記画像異常報知手段は、前記顧客画像異常報知手段に報知する際に、顧客による想定される復旧方法の表示画像を伝送する構成とする。さらに、前記顧客画像異常報知手段を有する顧客所有端末装置には、画像復旧作業の可否及び画像復旧完了を前記監視センタヘ報知する顧客側復旧報知手段が設けられ、前記顧客側復旧報知手段から画像復旧否の信号、又は予め定めた時間内に画像復旧完了の信号を前記監視センタが受信しないとき、前記監視センタの前記画像異常報知手段は画像の異常発生を前記保守拠点端末装置の前記保守拠点画像異常報知手段に報知する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像異常を受信した監視センタは、顧客が復旧可能な画像異常の場合は、画像異常の復旧方法を添えて顧客側に設置される顧客画像異常報知手段へ異常発生情報を報知し、顧客が復旧不可能の場合や顧客側への報知後所定時間経過しても復旧信号を受信しない場合は、建物設備を保全する保守拠点に設けた保守拠点画像異常報知手段側へ、画像異常を報知するようにしたので、適切且つ迅速な復旧が行なえるとともに、保全作業員の無駄な出動を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る監視カメラの遠隔監視システムについて、図1〜図6を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る監視カメラ(例、防犯カメラ)の遠隔監視システムの全体構成を示すブロック図である。図2は本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される判別のための初期設定の手順を示すフローチャートである。図3は本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される画素相関値Cを算出する際の画面上の画素の座標と算出式を表す図で或る。図4は本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される判別手順を示すフローチャートである。図5は本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段にて使用される画像の各画像統計値と画像異常の状況と要因報知先とを関連付けたテーブルを示す図である。図6は本発明の実施形態に関する監視センタでの監視および画像異常発生時の報知手順を示すフローチャートである。
【0015】
図1において、本発明の実施形態に係る監視カメラの遠隔監視システムは、基本的構成として、監視カメラ1と、遠隔監視装置2と、監視センタ3と、通信手段41,42,43と、顧客所有端末装置5と、保守拠点端末装置6と、から構成される。1は監視対象の区域に設置され、監視画像を取得して映像信号として出力する機能を持つ監視カメラ、2は顧客側設備に設置されている遠隔監視装置であり、遠隔監視装置2は、監視カメラ1からの画像信号より画像データを取り込む画像取込み手段21と、画像取込み手段21で取り込んだ画像より画像異常の発生状況を検出する画像異常判別手段22と、画像異常判別手段22において画像異常を検知した場合に監視センタ3に画像異常が発生した旨と画像異常発生状況を公衆電話回線等の通信手段41を介して監視センタ3に伝送する機能を持つ画像異常伝送手段23と、から構成されている。なお、遠隔監視装置2においては、監視カメラ1からの画像をハードディスク等の記憶媒体に記憶する機能を持つ画像記録手段24を含んでも良い。
【0016】
3は監視センタであり、監視センタ3は、遠隔監視装置2からの画像異常発生を受信する機能を持つ画像異常受信手段31と、画像異常発生状況により画像異常を機械的要因によるものと電気的要因によるものとに分類する機能を持つ画像異常分類手段32と、画像異常分類手段32による分類結果により顧客画像異常報知手段51または保守拠点画像異常報知手段61に公衆電話回線や公衆ネットワーク、閉域ネットワーク等の通信手段42,43を介して画像異常が発生した旨を報知する機能を持つ画像異常報知手段33と、から構成されている。
【0017】
5はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話などの顧客所有端末装置であり、顧客所有端末装置5は、顧客画像異常報知手段51と、顧客側復旧報知手段52とから構成される。顧客画像異常報知手段51としては、顧客拠点に設置されており、メール受信ソフトやインターネットブラウザ、メッセンジャー等を備えるパーソナルコンピュータ、または顧客が携帯している携帯電話やPDAが挙げられる。顧客側復旧報知手段52としてはメール本文中やブラウザの画面上に表示したURL(Universal Resource Locator)や釦をクリックする手段、操作釦の押下等の手段が挙げられる。
【0018】
6は保守拠点端末装置であり、保守拠点画像異常報知手段61を持ち、保守拠点画像異常報知手段61が持つ具体的な報知手段としては、保守拠点に設置されており、メール受信ソフトやインターネットブラウザ、メッセンジャー等を備えるパーソナルコンピュータ、または保守員が携帯している携帯電話やPDAが挙げられる。
【0019】
次に、本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段22について以下詳述する。画像異常判別手段22においては、画像取込み手段21で取り込んだ画像より複数の画像統計値を算出する画像統計値算出機能と、監視カメラ1の点検後などの正常状態の画像に関する正常時画像統計値を記憶する画像統計値記憶機能を備えている。
【0020】
ここで、本実施形態における画像統計値は以下の画像統計値を使用することとする。画素平均値Aは、画像の輝度値の平均値である。画素分散値Vは、画像の輝度値の分散値である。微分画素平均値Dは、画像を走査線方向(水平)に一次微分した画像の画素の輝度値の平均値である。画像相関値Cは、図3の式に示すように、正常時の画素サンプル群(例、画像上の16×16の座標群)と、現在の同一座標群の画素サンプル群との差分値を二乗し、積算した値である。色相平均値Sは、画像をHSV色空間画優に変換した際のS(Saturation:彩度)画像の平均値である。
【0021】
画像異常判別手段22の画像統計値記憶機能においては、上述した画像統計値A,V,D,C,Sの正常時の値Ai,Vi,Di,Ci,Siを記憶することとする。
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る監視カメラの遠隔監視システムの動作を、図2、図4および図6のフローチャートを使用して説明する。まず、遠隔監視装置2は、監視カメラ1の画像異常の検出に先立って、画像異常を検出するための基準を設定する手順(初期設定手順)を実施する。
【0023】
図2に示す遠隔監視装置2の初期設定手順は、監視カメラ1の設置時や点検時に、監視カメラ1の画像が正常であることを確認した後に実施されるものである。初期設定手順においては、遠隔監視装置2は、監視カメラ1より正常時の画像を画像取り込み手段21により取り込む(手順Sl)。
【0024】
続いて、画像異常判別手段22は、画像統計値算出機能により、手順Slにて取り込んだ正常時の画像より、画素平均値Ai、画素分散値Vi、微分画素平均値Dl、彩度平均値Siを算出する。また、画像異常判別手段22は、画像相関値Cを算出するための画素サンプルPi(x,y)を正常時の画像より得る(手順S2)。
【0025】
次いで、画像異常判別手段22は、手順S2にて算出した画像統計値と画素サンプルを画像統計値記憶機能により記憶する(手順S3)。以降、画像の異常発生を検出する際には、この画像統計値Ai,Vi,Di,Siと画素サンプルPiとを参照することとする。
【0026】
次に、本実施形態に係る遠隔監視システムにおける画像異常の検出の手順について、図4を参照しながら説明する。上述した初期設定を完了後、遠隔監視装置2は監視カメラ1の画像異常を検出する手順(図4)を実施する。まず、遠隔監視装置2は、監視カメラ1より監視カメラ1の現在の画像を画像取り込み手段21により取り込む(手順S4)。
【0027】
続いて、画像異常判別手段22は、画像統計値算出機能により、手順S4にて取り込んだ現在の画像より、画素平均値A、画素分散値V、微分画素平均値D、彩度平均値Sを算出する。また、画像異常判別手段22は、画像相関値Cを算出するための画素サンプルP(x,y)を現在の画像より得る(手順S5)。
【0028】
次いで、画像異常判別手段22は、手順S5にて算出した画像統計値と、図2に示す手順S3において画像統計値記憶機能により記憶された正常画像時の画像統計値と画素サンプルを参照し、図5に示す表をNo.1より順次参照し、正常画像時の画像統計値と画素サンプルと、現在の画像の画像統計値および画素サンプルとを使用して画像異常の発生状況と発生要因とを推定する(手順S6)。
【0029】
ここで、手順S6において、図5の表を参照し、以下の判断基準により画像異常の発生を検出するものとする。この画像異常の詳細な判定方法について以下説明する。
【0030】
No.1として表す同期信号無しの場合、監視カメラ1からの同期信号(垂直同期信号および水平同期信号)が画像取り込み手段21において検出できない状況を示す。この場合は、監視カメラ1、監視カメラ1と遠隔監視装置2を接続するケーブルなどに異常が発生していると想定し、電気的要因による故障と判定する。
【0031】
No.2として表す画像が真っ白の場合、監視カメラ1からの画像において、画像が真っ白である状況を示す。この場合は、画面全体の画素値が高いため、画像の画素平均値Aが、予め定めた最大画素平均Ahighを超えた場合、画像異常と判別し、電気的要因による故障と判定する。
【0032】
No.3として表す画像が真っ黒の場合、監視カメラ1からの画像において、画像が真っ黒である状況を示す。この場合は、画面全体の画素値が低いため、画像の画素平均値Aが、予め定めた最小画素平均Alowを下回った場合、当該画像異常と判別し、電気的要因による故障と判定する。
【0033】
No.4として表す画像情報無しの場合、監視カメラ1からの画像において、画像に有意な情報が含まれていない状況(例、画像が灰色一色)である状況を示す。この場合は、画面全体の画素分散値Vが予め定めた画素分散値下限Vlowを下回った場合、画像異常と判別し、電気的要因による故障と判定する。
【0034】
No.5として表す色無しの場合、監視カメラ1からの画像において、画像より色情報が欠落し、白黒画像になった状況を示す。この場合、現在の画像の彩度Sが正常時の彩度Siから裕度Smを考慮した値を下回った場合、画像異常と判別し、電気的要因による故障と判定する。
【0035】
No.6として表すぼけ発生の場合、監視カメラ1からの画像において、レンズの焦点調整不良などにより、画像がぼけている状況を示す。この場合、現在の画像の微分画素平均値Dが低下するため、微分画素平均値Dが正常時の微分画素平均値Diから裕度Dm2を考慮した値を下回った場合、画像異常と判別し、機械的要因による故障と判定する。
【0036】
No.7として表す曇り・白濁発生の場合、監視カメラ1からの画像において、レンズや監視カメラを収納している筐体のガラスなどが焦点調整不良等により、画像がぼけている状況を示す。この場合、現在の画像の微分画素平均値Dが低下するため、微分画素平均値Dが正常時の微分画素平均値Diから裕度Dm2を考慮した値を下回った場合、画像異常と判別し、機械的要因による故障と判定する。
【0037】
No.8として表す汚れ発生の場合、監視カメラ1からの画像において、レンズや監視カメラを収納している筐体のガラスなどが虫などの汚損物の付着等により、画像に定常的な雑音が発生している状況を示す。この場合、現在の画像の微分画素平均値Dが上昇するため、微分画素平均値Dが正常時の微分画素平均値Diから裕度Dmlを考慮した値を超えた場合、画像異常と判別し、機械的要因による故障と判定する。
【0038】
No.9として表す撮影画角変更の場合、監視カメラ1からの画像において、監視カメラの取り付け位置が監視カメラの固定手段の不具合や、故意の監視カメラの撮影方向変更等により監視カメラの撮影画角が変更された状況を示す。この場合、図3に示す手順で算出される正常な画像の画素サンプルPi(x,y)と現在の画素サンプルP(x・y)との画像相関値Cが上昇するため、画像相関値Cが予め定めた画像相関値上限Chighを超えた場合、画像異常と判別し、機械的要因による故障と判定する。
【0039】
次いで、画像異常判別手段22は、図4に示す手順S6にて監視カメラ1からの画像に異常が発生しているかどうかを判定し(手順S7)、異常が発生している場合は、手順S6において判定した画像異常発生要因(図5に示す「要因」を参照)と共に、通信手段41を介して監視センタ3の画像異常受信手段31に伝送する(手順S9)。また、異常が発生していない場合は、手順S4に戻る。
【0040】
次に、本実施形態に係る遠隔監視システムにおける監視センタ3の動作について、図6を参照しながら説明する。監視センタ3においては、画像異常受信手段31において、遠隔監視装置2からの監視カメラ画像異常通報の受信を待っている(手順S10)。ここで、画像異常受信手段31において、遠隔監視装置2からの監視カメラ画像異常通報を受信した場合は、画像異常分類手段32において、受信した通報の内容より、監視カメラ1の故障要因を推定する(手順S11)。
【0041】
ここで、監視カメラ1の故障要因が機械的要因であり、顧客による状況の判別と監視カメラのレンズの調整や清掃、カメラの設置状況の修正などの作業が可能と判断した場合、画像異常報知手段33は、顧客が所有するパーソナルコンピュータや顧客が携行するPDA、携帯電話等の顧客所有端末装置5に、監視カメラ1が故障した旨の情報と、画像異常判別手段22にて判定した画像異常の状況と、画像異常の状況を復旧する為に必要な作業内容について通信手段42を介して顧客画像異常報知手段51に報知する(手順S13)。ここで、通信手段42は、公衆電話回線やインターネットなどの公衆ネットワーク、または閉域ネットワークなどであり、報知の形態としては、メール、メッセージ送信、ネットワークブラウザのポップアップ画面表示などが挙げられる。
【0042】
次いで、手順S13において監視カメラ1が故障した旨の情報と、画像異常の状況と、画像異常の状況を復旧する為に必要な作業内容を報知された顧客は、監視カメラ1の画像および状況を確認し、復旧が可能であった場合は、顧客所有端末装置5における顧客側復旧報知手段52を使用して、監視センタ3に監視カメラ1の復旧完了を通知し、これに基づいて保守拠点端末装置に報知される(手順S15)。よって、顧客側で対応が可能であったため、保守等の出動は不要であり、ひいては復旧のための出動等による人件費は発生しない。
【0043】
一方、手順S12において、監視カメラ1の故障要因が電気的要因であり、監視カメラ1や配線などの機器の状態の確認や、機器の交換などによる修理対応が必要であった場合、画像異常報知手段33は、保守拠点に設置されているパーソナルコンピュータや保守員が携行するPDA、携帯電話等の保守拠点端末装置6に、監視カメラ1が故障した旨の情報と、画像異常判別手段22にて判定した画像異常の状況と、画像異常の状況を復旧する為に必要な作業内容を通信手段43を介して報知し(手順S16)、顧客を担当する保守員が出動し、機器の状況の確認や修理を実施する(手順S17)。
【0044】
また、手順S13において監視カメラ1が故障した旨の情報と、画像異常の状況と、画像異常の状況を復旧する為に必要な作業内容を報知された顧客が所定の時間以内に監視カメラ1の復旧完了を報知しなかったり、顧客による故障復旧ができなかった旨の報知を行った場合(手順S14)、画像異常報知手段33は、保守拠点に設置されているパーソナルコンピュータや保守員が携行するPDA、携帯電話等の保守拠点端末装置6に、監視カメラが故障した旨の情報と、画像異常判別手段22にて判定した画像異常の状況と、画像異常の状況を復旧する為に必要な作業内容、および顧客が調査した結果があればその内容などを通信手段43を介して報知し(手順S16)、顧客を担当する保守員が出動し、機器の状況の確認や修理を実施する(手順S17)。
【0045】
このように、監視カメラの遠隔監視システムにおいて、監視カメラに画像異常が発生した場合、画像異常の状況および要因を判別し、より短時間・低コストとなる故障修理手段を提供することが可能となり、ひいては監視カメラ、遠隔監視システムを含んだシステムの運用コストの低減、監視カメラの不稼働時間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る監視カメラ(例、防犯カメラ)の遠隔監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される判別のための初期設定の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される画素相関値Cを算出する際の画面上の画素の座標と算出式を表す図である。
【図4】本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段で使用される判別手順を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に関する遠隔監視装置における画像異常判別手段にて使用される画像の各画像統計値と画像異常の状況と要因報知先とを関連付けたテーブルを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に関する監視センタでの監視および画像異常発生時の報知手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
1 監視カメラ
2 遠隔監視装置
21 画像取込み手段
22 画像異常判別手段
23 画像異常伝送手段
24 画像記録手段
3 監視センタ
31 画像異常受信手段
32 画像異常分類手段
33 画像異常報知手段
41,42,43 通信手段
5 顧客所有端末装置
51 顧客画像異常報知手段
52 顧客側復旧報知手段
6 保守拠点端末装置
61 保守拠点画像異常報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラと、
前記監視カメラからの画像を取り込む画像取込み手段、前記画像取込み手段にて取り込んだ画像に対して画像の異常発生状況を判別する画像異常判別手段、前記画像異常判別手段にて判別した画像の異常発生状況について通信手段を介して通報する画像異常伝送手段、を有する遠隔監視装置と、
前記画像異常伝送手段より伝送された画像の異常発生状況を受信する画像異常受信手段、前記画像の異常発生を報知する画像異常報知手段、を有する監視センタと、を備えた監視カメラの遠隔監視システムであって、
前記監視カメラの設置された顧客側に設けた画像の異常発生を報知する顧客画像異常報知手段を有する顧客所有端末装置と、修理又は保全を行う保守拠点側に設けた画像の異常発生を報知する保守拠点画像異常報知手段を有する保守拠点端末装置と、をさらに備え、
前記遠隔監視装置の前記画像異常判別手段で判別した画像の異常発生状況に対応して、前記画像の異常発生の報知先として、前記顧客画像異常報知手段と前記保守拠点画像異常報知手段のいずれか一方を選択する画像異常分類手段を前記監視センタに設ける
ことを特徴とする監視カメラの遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記監視センタの前記画像異常報知手段は、前記顧客画像異常報知手段に報知する際に、顧客による想定される復旧方法の表示画像を伝送することを特徴とする監視カメラの遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記顧客画像異常報知手段を有する顧客所有端末装置には、画像復旧作業の可否及び画像復旧完了を前記監視センタヘ報知する顧客側復旧報知手段が設けられ、前記顧客側復旧報知手段から画像復旧否の信号、又は予め定めた時間内に画像復旧完了の信号を前記監視センタが受信しないとき、前記監視センタの前記画像異常報知手段は画像の異常発生を前記保守拠点端末装置の前記保守拠点画像異常報知手段に報知する
ことを特徴とする監視カメラの遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−290542(P2009−290542A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140847(P2008−140847)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】