説明

監視カメラシステム

【課題】雷の誘導電圧から監視カメラ及び映像受信機器を保護しつつ、伝送される高周波映像信号のノイズによる品質劣化を低減できる監視カメラシステムを提供する。
【解決手段】監視カメラ111と映像受信機器112とを同軸ケーブル113で接続し、同軸ケーブル113に誘導されるサージ電圧から監視カメラ111及び映像受信機器112を保護する保護回路を含む避雷器114を同軸ケーブル113に接続した構成とされており、避雷器114は、保護回路を収容する避雷器金属筐体と、保護回路を大地に接地する接地端子と、保護回路を同軸ケーブルの外部導体に接続する外部導体接続端子と、保護回路に同軸ケーブルの中心導体を接続する中心導体接続端子と、避雷器金属筐体の接続を切り換える切換手段を有し、切換手段は、映像受信機器で受信される映像信号へのノイズの状態に応じて避雷器金属筐体の接続が切り換え可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラシステムに係り、特に、監視カメラと監視カメラからの映像信号を受信する映像受信機器とを同軸ケーブルで接続する監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、監視カメラ、産業用カメラの性能の向上に伴い、カメラからの高周波映像信号を、同軸ケーブルを用いて映像受信機器へ伝送する映像システムが多く使用されている。同軸ケーブルは、中心導体と中心導体を囲うように配置された外部導体からなり、中心導体と外部導体とを往復導体とする伝送路として高周波映像信号が伝搬される。外部導体は電磁シールドの機能も併せ有している。
【0003】
このとき、同軸ケーブルの配線が屋外等の電磁的影響を受け易い場所にある場合は、落雷の誘導電圧が同軸ケーブルに誘導される可能性がある。雷の誘導による過電圧・過電流が、監視カメラ、映像受信機器へ侵入してこれらを破壊する恐れがある。
【0004】
そこで、効果的な雷防護を行うために、同軸ケーブル用避雷器を用いることが有効となる。同軸ケーブル用避雷器は、同軸ケーブルに直列に接続され、同軸ケーブルの中心導体及び外部導体に誘導される雷の誘導電圧を、接地ラインを通して大地に流す構成とされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この種の同軸ケーブル用避雷器は、通常、同軸ケーブルの中心導体、外部導体に接続され、接地用の端子を有し、避雷器回路全体を金属筐体で覆う構造がとられる。金属筐体は避雷器回路部分の電磁シールドの機能も有するものであるが、その設置場所のノイズ環境によっては同軸ケーブル用避雷器の金属筐体と同軸ケーブル外部導体との接続の有無がノイズ低減効果に大きな影響を与えることが知られている。
【0006】
監視カメラシステムの電磁波ノイズの混入の状況について、更に、詳細に説明する。
【0007】
監視カメラシステムでは、同軸ケーブルを介して監視カメラと映像受信装置との間で高周波映像信号の伝送を行っている。このような監視カメラシステムでは、高周波映像信号は、同軸ケーブルの中心導体と外部導体間を伝播する。
【0008】
同軸ケーブルの外部導体は、中心導体に流れる高周波信号電流の帰路電流路として使用されるため、同軸ケーブルの外部導体は、電子回路の基準点(0Vライン)又はグラウンドと呼ばれる点に接続される。これにより、外部導体を監視カメラ及び映像受信装置の金属筐体に接続するとともに、これらの金属筐体を大地に接地したとき、共に基準点と同電位となり、伝送される高周波映像信号が外来ノイズの影響を受けない構成とされている。
【0009】
このとき、放送波や無線電波などの外来ノイズに対しては監視カメラと映像受信装置の金属筐体を、監視カメラシステムの基準点と同電位とすることで防いでいるが、誘導雷などの比較的大きな電位が誘導される過電圧に対しては、同軸ケーブルに避雷器を挿入し、監視カメラシステムを防護している。この避雷器挿入箇所において、同軸ケーブル外部導体は避雷素子を介して大地へ接続される。
【0010】
同軸ケーブルの外部導体と大地との間に避雷素子を接続することにより、避雷器の外部導体接続部は避雷素子を通じて大地と接続されるため、通常時は電気的には50MΩ以上の高抵抗値で大地と絶縁されているが、誘導雷などによる比較的大きな誘導電圧が生じると導通状態となり誘導電流を大地に流す構成とされている。
【0011】
また、他の電気設備等から大地へ漏洩するノイズ電流が存在する環境では、電子回路基準点を大地に接続すると、大地への接続位置からの廻り込みにより逆にノイズの影響を受けやすくなることがある。
【0012】
また、監視カメラ用避雷器を監視カメラシステムに接続した場合、同軸ケーブルの外部導体である編組線等の金属体で外周を覆われている状態が物理的に切断されるが、避雷器の外部導体接続部に電気的には接続された状態となっている。避雷器の中には、同軸ケーブルの外部導体が避雷器金属筐体と電気的に絶縁されているものもあり、このような避雷器では、シールド効果を得ることができない場合がある。
【0013】
監視カメラ用避雷器の外部導体接続部と金属筐体が電気的に接続されているものもある。この場合、避雷器の取り付けは金属製のラックキャビネットが想定され、ラックキャビネットは感電防止として大地と接続されていることが多いため必然的に外部導体と大地が接続された状態となり、これにより、大地からノイズの影響を受けることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−50494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のような種々状況から、監視カメラシステムのノイズ発生状態及び雷保護状態などの環境条件に応じて同軸ケーブルの外部導体と大地と避雷器金属筐体との接続を自由に選べる構成が望まれている。
【0016】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、雷の誘導電圧から監視カメラ及び映像受信機器を保護しつつ、伝送される高周波映像信号のノイズによる品質劣化を低減できる監視カメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、監視カメラと監視カメラからの映像信号を受信する映像受信機器とを同軸ケーブルで接続する監視カメラシステムであって、
同軸ケーブルに接続され、同軸ケーブルに誘導されるサージ電圧から監視カメラ及び映像受信機器を保護する保護回路を含む避雷器を同軸ケーブルに接続した構成とされており、
避雷器は、
導電材から構成され、保護回路を収容する避雷器金属筐体と、
避雷器金属筐体とは絶縁され、保護回路を大地に接地する接地端子と、
避雷器金属筐体とは絶縁され、保護回路を同軸ケーブルの外部導体に接続する外部導体接続端子と、保護回路に同軸ケーブルの中心導体を接続する中心導体接続端子と、
避雷器金属筐体の接続を、接地端子に接続した状態、外部導体接続端子に接続した状態、接地端子及び外部導体接続端子のいずれとも切断した状態に切り換える切換手段を含み、切換手段は、映像受信機器で受信される信号のノイズの状態及び雷保護状態等の環境条件に応じて避雷器金属筐体の接続が切り換え可能とされている。
【0018】
また、切換手段は、
保護回路の接地端子に接続される接地パターンに接続され、避雷器金属筐体と絶縁された第1のネジ孔部と、
保護回路の外部導体接続端子に接続される外部導体接続パターンに接続され、避雷器金属筐体と絶縁された第2のネジ孔部と、避雷器金属筐体に、第1のネジ孔部に対応して設けられた第1の孔部と、
避雷器金属筐体に、第2のネジ孔部に対応して設けられた第2の孔部とを有し、
避雷器金属筐体の第1の孔部を通して第1のネジ孔部にネジを螺入することにより、避雷器金属筐体を接地端子に接続し、
避雷器金属筐体の第2の孔部を通して第2のネジ孔部にネジを螺入することにより、避雷器金属筐体を外部導体接続端子に接続する構成とされている。
【0019】
また、切換手段は、操作ツマミが第1のポジションのとき避雷器金属筐体を接地端子に接続し、操作ツマミが第2のポジションのとき避雷器金属筐体を外部導体接続端子に接続するスイッチ装置から構成されている。
【0020】
さらに、切換手段は、
保護回路の接地端子に接続される接地パターンに接続され、避雷器金属筐体と絶縁された第1の挿入部と、
保護回路の外部導体接続端子に接続される外部導体接続パターンに接続され、避雷器金属筐体と絶縁された第2の挿入部と、
避雷器金属筐体に、第1の挿入部に対応して設けられた第1の孔部と、
避雷器金属筐体に、第2の挿入部に対応して設けられた第2の孔部とを有し、
避雷器金属筐体の第1の孔部を通して第1の挿入部にピンを螺入することにより、避雷器金属筐体を接地端子に接続し、避雷器金属筐体の第2の孔部を通して第2の挿入部にピンを螺入することにより、避雷器金属筐体を外部導体接続端子に接続する構成とされている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、監視カメラと監視カメラからの映像信号を受信する映像受信機器とを同軸ケーブルで接続する監視カメラシステムにおいて、避雷器金属筐体の接続を、接地端子に接続した状態、外部導体接続端子に接続した状態、接地端子及び外部導体接続端子のいずれとも切断した状態に切り換える切換手段を設け、映像受信機器で受信される映像信号へのノイズの状態及び雷保護状態に応じて避雷器金属筐体の接続が切り換え可能とすることにより、ノイズの状態及び雷保護状態などと各装置の設置状況に応じて避雷器金属筐体と同軸ケーブルの外部導体との接続の有無を切り換えることができ、これにより、容易に電磁波ノイズの低減効果を切り換えできるため、監視カメラシステムにおける高周波映像信号のノイズによる品質劣化を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】避雷器114のブロック構成図である。
【図3】避雷器114の分解斜視図である。
【図4】避雷器114の装置本体の斜視図である。
【図5】避雷器114の裏面側平面図である。
【図6】避雷器114の変形例のブロック図である。
【図7】避雷器114の変形例の分解斜視図である。
【図8】避雷器114の変形例の裏面側平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。
【0024】
本発明の監視カメラシステム100は、監視カメラ111と監視カメラ111からの映像信号を受信する映像受信機器112とを同軸ケーブル113a、113b、113cを介して接続する。
【0025】
監視カメラ111は、例えば、CCDを用いたカメラから構成され、監視対象の周囲の映像を撮影する。監視カメラ111は、撮影した映像を高周波映像信号に変換して、同軸ケーブル113aの一端より出力する。同軸ケーブル113bの他端は、避雷器114に接続されている。監視カメラ111から出力される高周波映像信号は、同軸ケーブル113aを通して避雷器114に供給される。
【0026】
避雷器114は、保安器などとも呼ばれ、監視カメラ111に近接して設けられている。避雷器114には、同軸ケーブル113bの一端、及び、一端が大地に接地された接地ケーブル119が接続されている。避雷器114は、同軸ケーブル113aを通して供給された高周波映像信号を、保護回路を通して同軸ケーブル113bに伝送する。保護回路は、同軸ケーブル113bに誘導されるサージ電圧を、接地用ケーブル119を通して接地に流す。接地用ケーブル119は、一端が保護回路に接続され、他端が大地に接地されている。
【0027】
図2は避雷器114のブロック構成図を示す。
【0028】
避雷器114は、電圧防護回路121、122、123、切換手段125、避雷器金属筐体126、同軸コネクタ127、128、接地端子T31を含む構成とされている。
【0029】
同軸コネクタ127は、例えば、BNC型コネクタから構成されており、同軸ケーブル131bの一端に取り付けられたBNC型コネクタが装着される。同軸コネクタ127は、中心導体接続端子T11、外部導体接続端子T12を含む構成とされている。中心導体接続端子T11は、同軸コネクタ127側で同軸ケーブル131bの中心導体に接続され、避雷器114の内部側で、同軸コネクタ128の中心導体接続端子T21に接続されている。
【0030】
また、同軸コネクタ128は、同軸コネクタ127と同様に、例えば、BNC型コネクタから構成されており、同軸ケーブル131aの一端に取り付けられたBNC型コネクタが装着される。同軸コネクタ128は、中心導体接続端子T21、外部導体接続端子T22を含む構成とされている。中心導体接続端子T21は、同軸コネクタ127側で同軸ケーブル131aの中心導体に接続され、避雷器114の内部側で、同軸コネクタ127の中心導体接続端子T11に接続されている。
【0031】
同軸コネクタ128の外部導体接続端子T12は、同軸コネクタ127側で同軸ケーブル131bの外部導体に接続され、避雷器114の内部側で、同軸コネクタ128の外部導体接続端子T22に接続されている。
【0032】
電圧防護回路121は、避雷器金属筐体126の内部に配置され、同軸コネクタ127、128の中心導体接続端子T11、T21と接地端子T31との間に接続される。電圧防護回路122は、避雷器金属筐体126の内部に配置され、同軸コネクタ127、128の外部導体接続端子T12、T22と、接地端子T31との間に接続される。電圧防護回路123は、避雷器金属筐体126の内部に配置され、同軸コネクタ127、128の中心導体接続端子T11、T21と、同軸コネクタ127、128の外部導体接続端子T12、T22との間に接続される。
【0033】
なお、電圧防護回路121、122、123は、両極間の電圧が設定された一定の電圧よりも上昇することを防止する回路であり、例えば、避雷管、ツェナーダイオード、サイリスタなどの電圧防護素子を含む構成とされている。
【0034】
なお、接地端子T31は、接地ケーブル119を介して大地に接地される。
【0035】
避雷器114は、電圧防護回路121、122、123により同軸ケーブル113a、11bなどに接続される監視カメラ111などの機器を保護する。
【0036】
切換手段125は、接地接続ねじ孔A、B、C、接地切換ねじ131から構成されている。接地接続ねじ孔Aは、同軸コネクタ127の外部導体接続端子T12、同軸コネクタ128の外部導体接続端子T22、電圧防護回路122の一端に接続されている。接地接続ねじ孔Bは、電圧防護回路121、122の他端、及び、接地端子T31に接続されている。接地接続ねじ孔Cは、絶縁状態であり、どこにも接続されていない。また、接地接続ねじ孔A、B、Cは、避雷器金属筐体126とは絶縁されている。
【0037】
図3は避雷器114の分解斜視図、図4は避雷器114の装置本体の斜視図、図5は避雷器114の裏面側平面図を示す。
【0038】
避雷器金属筐体126は、ステンレスなどの導電材板から構成されており、上側金属筐体126a、及び、下側金属筐体126bから構成されている。避雷器金属筐体126の内部には、装置本体141が避雷器金属筐体126とは電気的に絶縁となるように状態で取り付けられる。
【0039】
装置本体141は、プリント配線板142、143から構成されている。プリント配線板142、143には、同軸コネクタ127、128、接地端子T31、電圧防護回路121、122、123のいずれかが実装される。プリント配線板142とプリント配線板142とは、接続ピン144などにより接続される。
【0040】
プリント配線板142とプリント配線板143とは、互いに平行に配置され、同軸コネクタ127、128、接地端子T31、電圧防護回路121、122、123を構成する部品が間に配置される。上記構成により、装置本体141の小型化が図られている。
【0041】
装置本体141は、絶縁体からなるスペーサ145を介してねじ147により下避雷器金属筐体126bに電気的に絶縁状態に固定される。
【0042】
上側金属筐体126aは、ねじ148により下側金属筐体126bに固定される。上側金属筐体126aと下側金属筐体126bとは、電気的に導通状態に固定される。
【0043】
また、このとき、同軸コネクタ127、128、接地端子T31は、ねじ149、ワッシャ150などにより避雷器金属筐体126に対して電気的に絶縁状態に固定される。
【0044】
なお、下側金属筐体126bには、接地接続ねじ孔A、B、Cに対応する位置に貫通孔151a、151b、151cが形成されている。接地切換ねじ131は、貫通孔151a、151b、151cを通して、接地接続ねじ孔A−Cに螺入される。
【0045】
接地切換ねじ131は、避雷器金属筐体126の外部から接地接続ねじ孔Aに螺入されると、避雷器金属筐体126と接地接続ねじ孔Aとを電気的に接続し、避雷器金属筐体126の外部から接地接続ねじBに螺入されると、避雷器金属筐体126と接地接続ねじ孔Bとを電気的に接続し、避雷器金属筐体126の外部から接地接続ねじ孔Cに螺入されると、避雷器金属筐体126と接地接続ねじ孔Cとを電気的に接続する。
【0046】
接地切換ねじ131を接地接続ねじ孔Aに螺入することによって、避雷器金属筐体126を同軸コネクタ127、128の外部導体接続端子T12、T22を介して同軸ケーブル113a、113bの外部導体に接続することができる。また、接地切換ねじ131を接地接続ねじBに螺入することによって、避雷器金属筐体126を、接地端子T31、接地用ケーブル119を介して大地に接地することができる。さらに、接地切換ねじ131を接地接続ねじ孔Cに螺入することによって、避雷器金属筐体126を電気的に絶縁状態にすることができる。
【0047】
接地切換ねじ131を接地接続ねじ孔Cに螺入することにより、避雷器金属筐体126を電気的に絶縁状態にする場合であっても接地切換ねじ131を避雷器金属筐体126に固定しておくことができるため、接地切換ねじ131の紛失などを防止できる。
【0048】
避雷器115は、避雷器114と同様な構成であり、同軸ケーブル113bの他端に接続される。避雷器115は、映像受信機器112に近接して設けられる。避雷器115には、同軸ケーブル113cの一端及び接地用ケーブル120の一端が接続されている。接地用ケーブル120の他端は、接地されている。避雷器115は、同軸ケーブル113b、113cに誘導されるサージ電圧を、接地用ケーブル120を通して大地に流す。
【0049】
同軸ケーブル113cの他端は、映像受信機器112に接続されている。映像受信機器112は、例えば、映像サーバ、ビデオレコーダなどから構成される。映像受信機器112は、モニタ118に接続されている。映像受信機器112は、監視カメラ111からの高周波映像信号を受信して、モニタ118に表示させたり、録画したりする。
【0050】
本実施例によれば、避雷器114、115の切換手段125により、映像受信機器112で受信される高周波映像の状態に応じて避雷器金属筐体126を外部導体接続端子T11、T21に接続した状態、または、避雷器金属筐体126を接地端子T31に接続した状態、または、避雷器金属筐体126を外部導体接続端子T11、T21及び接地端子T31のどちらにも接続しない状態に切り換えることにより、高周波映像信号へのノイズの影響を低減することができる。
【0051】
例えば、図1中に示す監視カメラシステム100において、避雷器114、115を、それぞれ監視カメラ111、映像受信装置112にできるだけ近い位置に設置する。このとき、通常は、避雷器金属筐体126は接地し、様々な電気的影響から避雷器金属筐体126が充電され電気的に不安定となることを防止することができる。このとき、映像信号の品質への影響が考えられるノイズとして、近辺の電気機器等から大地へ漏洩するノイズ電流が接地から廻り込んで侵入する場合、及び、空間の電磁波ノイズが避雷器114のプリント基板上の外部導体、中心導体に誘導されて侵入する場合が想定される。
【0052】
前者の近辺の電気機器等から大地へ漏洩するノイズ電流が接地から廻り込んで侵入する場合は、避雷器金属筐体126を接地から外し、経路を断つことでノイズの侵入を防ぐことができる。後者の空間の電磁波ノイズが避雷器114のプリント基板上の外部導体、中心導体に誘導されて侵入する場合は、切換手段125を、避雷器金属筐体126が外部導体端子T12、T22に接続されるように切り換えることで、避雷器金属筐体126が同軸ケーブル113a、113b、113cの外部導体から続く遮蔽体として働き、避雷器114のプリント基板上の外部導体、中心導体を電磁波ノイズから遮蔽することができる。
【0053】
なお、避雷器114、115は、例えば、高耐量(8/20μs、20kA)の雷防護機能を有する。また、ナノ秒オーダーの高速雷サージ応答性を有する構成とされている。また、DC〜30MHzまでの伝送が可能、すなわち、高精細テレビジョン信号伝送が可能な構成とされている。
【0054】
本実施例によれば、監視カメラ111と監視カメラ111からの映像信号を受信する映像受信機器112とを同軸ケーブル113a、113b、113cで接続する監視カメラシステム100において、避雷器114、115の避雷器金属筐体126の接続を、接地端子に接続した状態、外部導体接続端子に接続した状態、接地端子及び外部導体接続端子のいずれとも切断した状態に切り換える切換手段125を設け、映像受信機器112で受信される高周波映像信号へのノイズの状態及び雷保護状態に応じて避雷器金属筐体126の接続の状態を切り換え可能とすることにより、監視カメラ111、映像受信機112、同軸ケーブル113a、113b、113c、避雷器114、115などの装置の設置状況に応じて避雷器114、115の避雷器金属筐体126と同軸ケーブル113a、113b、113cの外部導体との接続の有無を切り換えることができ、これにより、容易に高周波映像信号のノイズによる品質劣化を低減できる。
【0055】
なお、接地切換ねじ131に替えて、接地切換ピンとし、接地接続ねじ孔A、B、Cを、接地切換ピンを挿入するための3つの挿入孔などにより構成するようにしてもよい。ピンを用いることにより、ピンの挿入孔への装着脱により、避雷器金属筐体126の接続を切り換えることができるため、ねじのように螺入などの回転作業が不要となるので、避雷器金属筐体126の接続の切換作業の作業効率を向上させることができる。
【0056】
また、本実施例の避雷器114、115は、切換手段125による避雷器金属筐体126の接続の切換を接地切換ねじ131、ピンなどを差し替えることにより行ったが、スイッチの切換などにより行える構成としてもよい。
【0057】
図6は、避雷器114の変形例のブロック図、図7は避雷器114の変形例の分解斜視図、図8は避雷器114の変形例の裏面側平面図を示す。同図中、図2、図3、図5などと同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0058】
本変形例の避雷器214は、切換手段225がスイッチ231から構成されている。スイッチ231は、プリント配線板142の下面側に実装されており、プリント配線板142及び避雷器金属筐体126と電気的に接続されている。スイッチ231は、操作ツマミ231aが下側金属筐体126bの開口部232から外方に露出する構成とされている。
【0059】
スイッチ231の操作ツマミ231aは、3つのポジションPa、Pb、Pcを取り得る。スイッチ231は、操作ツマミ231aがポジションPaにあるときには、避雷器金属筐体126が節点taに接続される。節点taは、同軸コネクタ127、128の外部導体接続端子T12、T22に接続されている。このため、操作ツマミ231aをポジションPaに位置させることにより、避雷器金属筐体126は、同軸コネクタ127、128の外部導体接続端子T12、T22を通して同軸ケーブル113a、113b、113cなどの外部導体に接続される。
【0060】
スイッチ231は、操作ツマミ231aがポジションPbにあるときには、避雷器金属筐体126が節点tbに接続される。節点tbは、接地端子T31に接続されている。このため、操作ツマミ231aをポジションPbに位置させることにより、避雷器金属筐体126は、接地端子T31を通して大地に接地される。
【0061】
スイッチ231は、操作ツマミ231aがポジションPcにあるときには、避雷器金属筐体126が節点tcに接続される。節点tcは、開放状態とされており、どこにも接続されていない。このため、操作ツマミ231aをポジションPcに位置させることにより、避雷器金属筐体126は、開放状態となり、どこにも接続されない。
【0062】
本変形例によれば、操作ツマミ213aの操作により容易に避雷器金属筐体126の接続を切り換えることができる。
【0063】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例が考えられることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
100 監視カメラシステム
111 監視カメラ、112 映像受信機器
113a、113b、113c 同軸ケーブル
114、115、214 避雷器
121、122、123 電圧防護回路
124 ツェナーダイオード対、125、225 切換手段
126 避雷器金属筐体、126a 上側金属筐体、126b 下側金属筐体
127、128 同軸コネクタ
131 接地接続ねじ
142 プリント配線板
231 スイッチ、231a 操作ツマミ
A、B、C 接地接続ねじ孔
T11、T21 中心導体接続端子、T12、T22 外部導体接続端子
T31 接地端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラと該監視カメラからの映像信号を受信する映像受信機器とを同軸ケーブルで接続する監視カメラシステムであって、
前記同軸ケーブルに接続され、前記同軸ケーブルに誘導されるサージ電圧から前記監視カメラ及び前記映像受信機器を保護する保護回路を含む避雷器を前記同軸ケーブルに接続した構成とされており、
前記避雷器は、
導電材から構成され、前記保護回路を収容する避雷器金属筐体と、
前記避雷器金属筐体とは絶縁され、前記保護回路を大地に接地する接地端子と、
前記避雷器金属筐体とは絶縁され、前記保護回路を前記同軸ケーブルの外部導体に接続する外部導体接続端子と、
前記保護回路に前記同軸ケーブルの中心導体を接続する中心導体接続端子と、
前記避雷器金属筐体の接続を、前記接地端子に接続した状態、前記外部導体接続端子に接続した状態、前記接地端子及び前記外部導体接続端子のいずれとも切断した状態に切り換える切換手段を含み、
前記切換手段は、前記映像受信機器で受信される前記映像信号へのノイズの状態に応じて前記避雷器金属筐体の接続が切り換え可能とされている監視カメラシステム。
【請求項2】
前記切換手段は、前記保護回路の前記接地端子に接続される接地パターンに接続され、前記避雷器金属筐体と絶縁された第1のネジ孔部と、
前記保護回路の前記外部導体接続端子に接続される外部導体接続パターンに接続され、前記避雷器金属筐体と絶縁された第2のネジ孔部と、
前記避雷器金属筐体に、前記第1のネジ孔部に対応して設けられた第1の孔部と、
前記避雷器金属筐体に、前記第2のネジ孔部に対応して設けられた第2の孔部とを有し、
前記避雷器金属筐体の前記第1の孔部を通して前記第1のネジ孔部にネジを螺入することにより、前記避雷器金属筐体を前記接地端子に接続し、
前記避雷器金属筐体の前記第2の孔部を通して前記第2のネジ孔部にネジを螺入することにより、前記避雷器金属筐体を前記外部導体接続端子に接続する請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項3】
前記切換手段は、操作ツマミが第1のポジションのとき前記避雷器金属筐体を前記接地端子に接続し、前記操作ツマミが第2のポジションのとき前記避雷器金属筐体を前記外部導体接続端子に接続するスイッチ装置から構成されている請求項1記載の監視カメラシステム。
【請求項4】
前記切換手段は、前記保護回路の前記接地端子に接続される接地パターンに接続され、前記避雷器金属筐体と絶縁された第1の挿入部と、
前記保護回路の前記外部導体接続端子に接続される外部導体接続パターンに接続され、前記避雷器金属筐体と絶縁された第2の挿入部と、
前記避雷器金属筐体に、前記第1の挿入部に対応して設けられた第1の孔部と、
前記避雷器金属筐体に、前記第2の挿入部に対応して設けられた第2の孔部とを有し、
前記避雷器金属筐体の前記第1の孔部を通して前記第1の挿入部にピンを挿入することにより、前記避雷器金属筐体を前記接地端子に接続し、
前記避雷器金属筐体の前記第2の孔部を通して前記第2の挿入部にピンを挿入することにより、前記避雷器金属筐体を前記外部導体接続端子に接続する請求項1記載の監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−61331(P2011−61331A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206444(P2009−206444)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(592128191)株式会社川口電機製作所 (18)
【Fターム(参考)】