説明

監視カメラシステム

【課題】プライバシーの保護と効果的な監視を両立する監視カメラシステムを提供すること。
【解決手段】監視対象の患者Pを撮影して映像データを出力する監視カメラ11と、監視カメラから出力される映像データを受け取って再生表示する映像表示装置12と、を備える監視カメラシステムであって、映像表示装置における患者P側の映像データの再生表示の制限を解除操作部36の撮影停止ボタン36aを押下されて指示入力される解除指示端末13と、解除操作部36への入力操作に従って映像表示装置での再生表示の制限制御を行う制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラシステムに関し、詳しくは、監視の許容・拒否を任意に選択することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高齢者の増加により、医療施設や介護施設等が増加・大規模化する傾向にある。このような施設は、病室や個室・居室等として仕切られたスペースが多く、一度に広範囲を目視により監視することが困難である。このため、監視カメラを死角のないように複数箇所に配置する監視カメラシステムが、急病、ケガ、出火等の緊急事態を早期に発見して早急に通報でき、安全性を高める上で有効である。
【0003】
また、監視カメラシステムでは、これらの施設のように滞在・生活する者が大人数である場合でも、集中映像監視を行うことができるので、施設管理者や医療・介護従事者の見回りなどの時間を削減することができ、それも少人数で行うことができるなど、施設運用コストも削減できるというメリットもある。
【0004】
しかし、このような監視カメラを仕切られたスペースにまで設置するのは、見られているという感覚が付きまとい、また、現実にプライバシーを侵害してしまう場合もあって、そのまま適用することは困難である。そこで、監視カメラが撮影する映像にマスクを掛けるという機能を付加することにより、見られたくない部分を隠すことができるようにすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−193227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような監視カメラシステムにあっては、マスクされた部分の映像が監視画面内に存在することになる。
【0007】
その一方で、監視対象となる撮影映像内に映り込む患者や居住者等だけでなく、お見舞いに来た第三者も見られているような気分になる。不必要に見られるのは気分がよいものではなく、監視カメラの設置の許諾の妨げになり、監視カメラシステムの有効活用の妨げにもなる。
【0008】
そこで、本発明は、プライバシーの保護と効果的な監視を両立する監視カメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する監視カメラシステムの発明の一態様は、監視対象を撮影して該監視対象の映像データを出力する監視カメラと、前記監視カメラから出力される前記映像データを受け取って再生表示する映像表示装置と、を備える監視カメラシステムであって、前記映像表示装置における前記監視対象の前記映像データの再生表示の制限を指示する入力を行う制限指示部と、前記制限指示部への入力操作に従って前記映像表示装置での前記再生表示の制限制御を行う制限制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の態様では、監視対象側から制限指示部に任意に制限指示入力をするだけで、制限制御部が監視カメラによる撮影映像の再生出力を制限する。したがって、着替えなどする必要のある任意のタイミングに、映像による監視を中断させて監視カメラの存在を気にする必要をなくすことができる。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明の一態様によれば、監視カメラによる効果的な監視を得つつ、監視カメラによる監視を所望のタイミングに中断することができ、プライバシーを確保することができる。したがって、監視カメラによる監視を受け入れ易くすることができ、効果的な監視の期待できる監視カメラシステムを普及させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る監視カメラシステムの第1実施形態を示す図であり、その全体構成を示す概念図である。
【図2】そのシステムにおける要部構成を示すブロック図である。
【図3】その監視側画面内の表示例を示す説明図である。
【図4】その監視対象者側画面内の表示例を示す説明図である。
【図5】その図4と異なる監視対象者側画面内の表示例を示す説明図である。
【図6】その他の態様の全体構成を示す概念図である。
【図7】本発明に係る監視カメラシステムの第2実施形態を示す図であり、その全体構成を示す概念図である。
【図8】そのシステムにおける要部構成を示す図であり、(a)は監視制限前の状態を示す正面図、(b)は監視制限時の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の態様としては、上記の課題解決手段のように、監視対象を撮影して該監視対象の映像データを出力する監視カメラと、前記監視カメラから出力される前記映像データを受け取って再生表示する映像表示装置と、を備える監視カメラシステムであって、前記映像表示装置における前記監視対象の前記映像データの再生表示の制限を指示する入力を行う制限指示部と、前記制限指示部への入力操作に従って前記映像表示装置での前記再生表示の制限制御を行う制限制御部と、を備えるのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0014】
第1の他の態様としては、前記制限制御部は、前記制限指示部への制限指示入力を受け取ったときに、前記監視カメラの撮影動作の停止、前記監視カメラの前記映像データの出力停止、前記映像表示装置の前記映像データの受け取り停止、前記映像表示装置の前記映像データの再生表示停止、前記監視カメラの前記映像データの改変のうちの少なくともいずれか1つを実行して、監視対象の前記映像データの再生表示に禁止を含む制限を掛けるようにしてもよい。
【0015】
この態様では、映像データ自体の受け渡しをなくして、監視映像が見られてしまうことをなくすことができ、あるいは、映像データを判別不能に改変して見られることの嫌悪感を低減することができる。
【0016】
第2の他の態様としては、前記制限指示部は、前記監視カメラの設置場所に配置されていてもよい。
【0017】
この態様では、監視対象者自身が監視制限の指示入力をすることができ、着替えなどする必要のある任意のタイミングに容易に映像による監視を中断させることができる。
【0018】
また、第3の他の態様としては、前記制限制御部は、前記映像表示装置での前記再生表示の前記制限制御の実行中であることを報知する報知部を有していてもよい。この態様は、特に、前記報知部を前記映像表示装置の設置場所に配置するのが好ましい。
【0019】
この態様では、監視映像の再生表示の制限中(監視中断中)であることを監視対象者側または監視側が確認することができ、監視対象者側では監視映像を監視側が見ることができないことを把握して着替えなど必要な作業等をすることができ、また、監視側では故障でないことを把握することができる。
【0020】
第4の他の態様としては、前記映像表示装置での前記再生表示の前記制限制御を開始してからの経過時刻を計時する計時部を備えており、前記制限制御部は、前記計時部が計時する前記経過時刻が予め設定されている制限期間を経過したときに、前記制限制御を解除するようにしてもよい。この態様は、前記制限制御の解除時刻までの残存期間を通知する通知部を有するのが好ましく、前記通知部は、特に、前記監視カメラの設置場所に配置するのが好ましい。
【0021】
この態様では、監視を制限する指示入力があったときでも、一定時間が経過したときに監視を再開することができ、再開することを失念したときでも、監視不能な状態が維持されてしまうことなく、監視を再開することができる。このとき、その監視の制限を解除されるまでの残存期間を監視対象者側と監視側の一方または双方が確認でき、特に、監視対象者側では監視映像を監視側が見ることができるまでの残りの時間を把握しつつ必要な作業等をすることができる。
【0022】
第5の他の態様としては、前記映像表示装置での前記再生表示の前記制限制御の強制解除を指示する入力を行う解除指示部を備えており、前記制限制御部は、前記解除指示部への解除指示入力を受け取ったときに、前記制限制御を強制解除するようにしてもよい。この態様は、前記制限制御を強制解除する旨を予告する予告部を有するのが好ましく、前記予告部は、前記監視カメラの設置場所に配置するのが好ましい。
【0023】
この態様では、監視を制限する指示入力があったときでも、必要な場合にその監視制限を強制解除することができ、緊急時など必要に応じて監視を再開することができる。このとき、その監視制限の強制解除されることを特に監視対象者側に予告することにより、監視の再開をその再開前に知ることができ、不用意に見られてしまうことを回避することができる。
【0024】
第6の他の態様としては、前記各部は有線または無線により各種データをやり取り可能に接続されている。
【0025】
この態様では、監視カメラ、映像表示装置、制限指示部、制限制御部などの間を有線により確実に接続する、あるいは、無線により容易かつ自由なレイアウトで接続するなど、設置場所の状況に応じて接続することができ、シンプルな配線・信号伝達経路にして信頼性や保守性を向上させることができる。
【0026】
第7の他の態様としては、前記制限指示部として前記監視カメラの撮影を遮るロールスクリーンを配置するとともに、前記制限制御部として前記ロールスクリーンを巻き取る巻取器を備えるようにしてもよい。この態様は、前記ロールスクリーンの前記監視カメラ側(撮影面)または監視対象側(監視対象側からの目視可能な面)の一方あるいは双方の巻取直前の領域に当該巻取完了までの残存時間を表示するのが好ましく、また、前記ロールスクリーンの巻取速度の調整機構を備えていてもよい。
【0027】
この態様では、ロールスクリーンを引き下げることにより、監視カメラの監視対象の撮影を制限して映像表示装置での撮影データの再生表示の制限を指示入力することができ、そのロールスクリーンの巻き取りにより、監視対象の映像表示装置での再生表示の制限を制御することができる。このロールスクリーンの巻取り直前の領域に巻取完了までの残存時間を表示することにより監視対象の撮影制限解消(撮影再開)までの時間を把握することができ、また、その巻取速度を調整可能にすることにより監視制限時間を任意に設定することができる。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図5は本発明に係る監視カメラシステムの第1実施形態を示す図である。
【0029】
図1および図2において、監視カメラシステムは、例えば、病院などのように個室や仕切られた各スペース内の患者Pの状態を監視する必要がある環境内に設置されるものである。この監視カメラシステムは、その患者Pを監視対象としてそのプライベート空間S毎に設置される複数台の監視カメラ11と、その患者Pの状態に気を配る看護師等が看るためにナースステーションなどの管理室Mに設置されるその患者P毎の映像表示装置12と、患者Pのプライベート空間S内で見つけ易い監視カメラ11の直下(あるいは、取り扱いやすい不図示のベッドの近傍でもよい)に設置されている解除指示端末13と、管理室Mに配置される映像表示装置12の直下に設置されている強制指示端末14と、を備えて構築されている。
【0030】
ここで、監視カメラ11は、映像表示装置12および強制指示端末14の間を、混線や病院内での電波を極力避けたい場合には1対1でデータのやり取り可能に通信線16により直接有線接続すればよく、あるいは、病院内の遠隔各所間であったり場所の変更が多い環境である場合にはそれぞれにID(識別情報)付与して電波の送受による無線通信により容易に接続可能にしてもよい。また、監視カメラ11は、解除指示端末13の間を、直近であることから通信線17により直接有線接続すればよく、あるいは、リモートコントローラ(不図示)による赤外線通信などの無線通信により容易に指示入力可能にしてもよい。このように、適宜、有用な配線を採用することにより、シンプルな信号伝達経路を構築することができ、信頼性や保守性を向上させることができる。なお、図中には、監視カメラ11、映像表示装置12、解除指示端末13および強制指示端末14は、それぞれ1台のみ図示しているが、患者P毎に準備されていることは言うまでもない。
【0031】
この監視カメラ11は、患者Pのプライベート空間Sの全体(監視対象)を撮影可能に向けているレンズ部21と、このレンズ部21に入る監視対象からの反射光を結像させて撮影する撮像部22と、この撮像部22が撮像した映像データを適宜伝送・再生可能に明るさ調整などと共に圧縮処理などする処理部23と、この処理部23が伝送・再生に適するように加工処理した映像データを映像表示装置12に送信する通信部24と、その映像表示装置12側などから送られてくる指示信号等を受信して、これら装置各部を統括制御する制御部25と、を備えている。ここで、処理部23は、撮像部22が撮影する監視映像(監視対象の結像画像)を動画像の映像データとして取得するように構成して、その映像データを通信部24に受け渡して映像表示装置12に送信させ再生表示させるようにするのが好適である。なお、処理部23は、処理容量や通信容量などの理由により、例えば、撮像部22が撮影する監視映像を監視対象の静止画像として、例えば、30秒間隔に取得して映像データとして通信部24を介して映像表示装置12に送信させ再生表示させるようにしてもよい。
【0032】
映像表示装置12は、特に図示することは省略するが、監視カメラ11側から送られてくる映像データを再生出力する汎用のモニタでよく、モニタ台を構成する強制指示端末14上に設置されている。
【0033】
そして、本実施形態における監視カメラ11は、処理部23と通信部24の間に制御部25がON/OFF制御するスイッチ31が介在されており、また、この制御部25は、後述する任意のタイミングからの経過時間を計時するタイマ(計時部)32を備えている。これに対して、解除指示端末13は、患者Pのプライベート空間S内の患者P本人やお見舞いの家族(第三者)などが監視を制限(拒否)したときなどに押下して解除要求を入力指示する撮影停止ボタン36aを備える解除操作部36と、制御部25から送られてくるメッセージ情報などを表示する解除表示部37と、を備えている。
【0034】
ここで、制御部25は、図示することは省略するが、CPUがROM内に予め格納する制御プログラムに従って各種パラメータ等のデータを使用しつつRAMをワークエリアとして利用して後述する各種制御処理を実行する。なお、本実施形態では、本実施形態特有の制御処理を監視カメラ11が備える制御部25により実行させるが、これに限らず、映像表示装置12側に配設してもよく、また、別個の独立装置として配置させてもよいことは言うまでもない。
【0035】
この監視カメラ11の制御部(制限制御部)25は、解除指示端末13の解除操作部36の撮影停止ボタン36aが患者Pなどにより押下されることによるON信号を解除要求信号として受け取って、スイッチ31をOFFして処理部23と通信部24との間を開放して映像表示装置12側への映像データの送信を遮断する。
【0036】
このとき、制御部25は、図3に示すように、予め準備されている「患者により撮影が禁止されました」というメッセージMm1を映像表示装置12に通信部24を介して送信して、そのモニタ画面12mに表示出力させるようになっている。また、制御部25は、図4に示すように、予め準備されている「撮影禁止中」というメッセージMs1を解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに表示出力させるようになっている。すなわち、解除操作部36が制限指示部を構成して、解除表示部37が報知部と共に通知部を構成している。
【0037】
これにより、監視対象者となる患者Pは、着替えをする際など、必要なタイミングに解除指示端末13の撮影停止ボタン36aを押下して監視解除要求を入力するだけで、監視カメラ11による監視映像が自分の意思に反して管理室Mで見られる状態にあることを容易に中断することができ、監視カメラシステムが設置されていることの嫌悪感を大きく和らげることができる。
【0038】
また、患者Pは、解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに表示される「撮影禁止中」のメッセージMs1を確認して、確実に監視撮影が停止されていることを認識して、着替え等を安心してすることができる。なお、その撮影停止ボタン36aは、患者Pのプライベート空間Sに設置しないで、認知症の患者Pなど状況によっては管理可能な位置に設置してもよいが、患者Pの感情を優先してその空間Sの操作し易い場所に設置するのが好適である。
【0039】
また、監視側の管理室M側でも、映像表示装置12のモニタ画面12mに表示される「患者により撮影が禁止されました」というメッセージMm1を確認して、監視対象の患者Pが撮影停止ボタン36aを押下入力したことにより監視映像の再生表示が中断していることを点検するまでもなく把握することができ、故障と勘違いして無駄な作業をしてしまうことを回避することができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、処理部23と通信部24の間のスイッチ31を開放して映像データの受け渡しを停止することにより、映像表示装置12の映像データの受け取りをできなくしているが、これに限らず、監視カメラ11自体の撮影動作を停止してもよく、また、監視カメラ11からの映像データの出力を停止してもよく、映像表示装置12自体での映像データの受け取りを停止してもよく、映像表示装置12自体で映像データの再生表示を停止してもよく、これらのいずれによっても管理室M側が監視映像を見ることを全面的に禁止することができる。また、監視映像を完全に見られなくするだけでなく、映像データを画素単位にぼかすフィルタリング処理、所謂、モザイク処理を施すなどの改変処理を行って監視映像の内容を判別不能にして監視対象者が嫌悪感を少なく着替えなどをすることができるように監視を任意のタイミングに制限するようにしてもよい。
【0041】
この制御部25は、患者Pなどによる解除要求信号を受け取ったときには、スイッチ31をOFFするのと同時に、タイマ32を起動して予め設定されている中断許容時間をカウントダウンする計時を開始するようになっており、そのタイマ32のカウントダウンが終了(監視制限期間を経過)したときに、スイッチ31をONして処理部23から通信部24への映像データの受け渡し制限を解除して映像表示装置12での映像データの再生表示を再開する。
【0042】
このとき、制御部25は、図3に示すように、予め準備されている「タイマによる自動解除まで○○○」というメッセージMm2を映像表示装置12に通信部24を介して送信して、先のメッセージMm1に並べてモニタ画面12mに表示出力させるようになっている。また、制御部25は、図4に示すように、予め準備されている「解除まで○○○」というメッセージMs1を解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに表示出力させるようになっている。ここで、制御部25は、監視の中断許容期間(時間)として、例えば、1分30秒が予め設定されており、このメッセージMm2、Ms2内の「○○○」にタイマ32の計時時間、例えば、「1分30秒」をその監視解除の残存期間(経過時刻)として組み込んで映像表示装置12や解除指示端末13の解除表示部37に送ってそれぞれのモニタ画面12m、37mに表示出力させるようになっている。なお、この監視中断期間としては、例えば、監視カメラ11の制御部25にパーソナルコンピュータなどを接続することにより環境・事情などに合わせて変更設定できるようにするのが好適である。
【0043】
これにより、監視対象者となる患者Pが着替えをする際などに解除指示端末13の撮影停止ボタン36aを押下入力して監視を中断する状態にしたままでも、予め設定されている中断許容期間が経過したときには、監視を自動的に再開することができ、監視カメラシステムを無効状態のままにしてしまうことを回避することができる。
【0044】
また、患者Pは、着替えをする際などには、解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに表示される、例えば、「解除まで1分30秒」のメッセージMs2を確認して、それまでに着替えなどを終わらせることができ、いつ監視が再開されるか分からないまま不安な状態での着替え等を強いることをなくすことができる。
【0045】
また、監視側の管理室M側でも、映像表示装置12のモニタ画面12mに表示される、例えば、「タイマによる自動解除まで1分30秒」というメッセージMm2を確認して、監視映像の再生表示がいつ再開されるか分からないままイライラしてしまうことを回避することができる。
【0046】
なお、監視の中断を延長したい患者Pは、再度、その撮影停止ボタン36aを押下することにより、そのタイマ32のカウントダウンをリセットして監視制限期間を最初から計時させることができるようになっている。解除指示端末13の解除操作部36の撮影停止ボタン36aの他に監視再開ボタンを設けることにより、その監視再開ボタンを患者Pなどが押下したときに再開要求信号として受け取って、スイッチ31をONして処理部23と通信部24との間を開通(導通)させ映像表示装置12側への映像データの送信を再開するようにしてもよい。この場合には、監視対象者となる患者Pは、着替えなど監視を中断する理由がなくなったときには、任意のタイミングにその監視再開ボタンを押下して監視再開要求を入力するだけで、監視カメラ11による監視映像を管理室Mで見ることができるように積極的に操作することができ、監視カメラシステムを有効利用して安心して過ごすことができる状態に戻すことができる。
【0047】
その一方で、管理室Mの映像表示装置12下の強制指示端末14は、患者P側から解除操作部36の撮影停止ボタン36aが押下されていて監視映像の再生表示が中断されている場合でも、管理室M側から押下入力して監視制限の解除要求を入力指示する強制撮影ボタン39を備えている。
【0048】
これに対して、監視カメラ11の制御部25は、強制指示端末14の強制撮影ボタン39が管理室Mの看護師などにより押下されることによるON信号を強制監視要求信号として受け取ったとき、タイマ32の中断許容時間として、例えば、10秒程度に変更することによりその設定時間が経過した後にスイッチ31をONして処理部23と通信部24との間を開通させて映像表示装置12側への映像データの送信を再開する。
【0049】
このとき、制御部25は、図5に示すように、「撮影禁止中」というメッセージMs1に追加して、「***緊急〜強制的に撮影が開始〜***」という強制解除する旨のメッセージMs3を解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに並べて表示出力させるようになっている。すなわち、映像表示装置12下の強制指示端末14が解除指示部を構成して、解除表示部37が予告部をも構成している。なお、強制撮影ボタン39には、患者P側の意思に反して監視を再開することから、「緊急時のみ〜相手に通知されます。」という注意書きMhが表示されており、無闇に使用することを控えるように促して患者P側のプライバシーをできるだけ確保するようになっている。
【0050】
これにより、患者Pを監視する管理室M側では、患者Pの容態の変化を察知して緊急に映像表示装置12下の強制指示端末14の強制撮影ボタン39を押下して監視再開要求を入力するだけで、監視映像の再生表示が中断されている場合でも、監視カメラ11による監視映像を映像表示装置12で再生表示して患者Pの状態を迅速に確認することができ、監視カメラシステムを設置する意義を埋没させてしまうことを回避することができる。
【0051】
また、患者Pは、解除指示端末13の解除表示部37のモニタ画面37mに表示される「撮影禁止中」のメッセージMs1下に監視が再開されることを予告するメッセージMs3を確認して、その監視再開の前に対策を採るなどすることもでき、強制的な監視の再開の拒否感を緩和することができる。
【0052】
このように本実施形態においては、監視対象者の患者P側では任意のタイミングに撮影停止ボタン36aを押下するだけで、監視カメラ11による監視映像の再生表示を設定時間の間だけ全面禁止することができ、監視を気にすることなく、着替えなどをすることができる。その一方で、管理室M側では、反対に、強制撮影ボタン39を押下するだけで、患者P側からの要求により中断していた監視カメラ11による監視映像の再生表示をその設定期間が経過するのを待つことなく再開することができ、異常発生時などに監視映像を見られないことになってしまうことを回避することができる。したがって、監視カメラ11による効果的な監視を実現して患者Pの安全を確保しつつ、その監視カメラ11による監視を所望のタイミングに中断して患者P側のプライバシーを確保することができる。この結果、監視カメラシステムの必要性を理解して貰って積極的な導入を促進することができ、効果的な監視の期待できる監視カメラシステムを普及させることができる。
【0053】
ここで、本実施形態の他の態様としては、図6に示すように、上述実施形態の構成に加えて、監視カメラ11と映像表示装置12に、例えば、赤色発光と緑色発光(青色発光でもよい)可能な発光ダイオードおよびそのドライバを備える発光部41を制御部25により制御可能に備えさせて、その各色の点灯・点滅・消灯により監視稼動状況を表示するようにしてもよい。
【0054】
具体的には、通常の監視映像の再生表示を行なっている場合には、制御部25はその発光部41を常時緑色発光させて監視中であることを表示する。また、解除指示端末13の解除操作部36の撮影停止ボタン36aが患者Pなどにより押下されて監視映像の再生表示を禁止された場合には、制御部25は監視の中断期間中に発光部41を常時赤色発光させて監視を中断中であることを表示する。また、その監視の中断期間が終了近くなる、例えば、その残存期間が30秒を切ったときからは、制御部25は発光部41の赤色発光の点滅を開始して監視の再開が近いことを表示する。また、その監視の中断期間が終了直前、例えば、その残存期間が10秒を切ったときや、強制指示端末14の強制撮影ボタン39が管理室Mの看護師などにより押下されて監視映像の再生表示が強制的に再開される場合には、制御部25は発光部41の赤色発光の点滅を早くして監視再開の直前であることを表示する。
【0055】
この他の態様の場合には、上述実施形態による作用効果に加えて、メッセージを確認するまでもなく、発光部41の点灯・点滅を離れた位置から確認して監視状況を負担なく把握することができる。また、この他の態様では、発光部41のような光で監視状況を知らせるが、これに限らず、音声で知らせるようにしてもよい。
【0056】
さらに、この他の態様では、上述実施形態の構成に加えて、監視カメラ11と映像表示装置12の双方に発光部41を配置するが、これに限るものではなく、上述のメッセージ表示に代えて、発光部41による監視状況の表示のみにしても、上述実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、発光部41は、少なくとも監視カメラ11側のみに配置するようにすれば、略同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
次に、図7および図8は本発明に係る監視カメラシステムの第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と同様な構成を備えることから同様の構成には、同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0058】
図7および図8において、監視カメラシステムは、患者Pのプライベート空間S毎に設置される複数台の監視カメラ11と、ナースステーションなどの管理室Mに設置される患者P毎の映像表示装置12と、監視カメラ11の前面を遮蔽可能に設置されているロールスクリーン51と、を備えて構築されている。
【0059】
ロールスクリーン51は、一対の位置決めロッド52aにより挟まれている本体スクリーン52がメインロッド53に巻き取られた状態で監視カメラ11の前面側に設置されており、その本体スクリーン52を引き下げることにより監視カメラ11に撮影させる、言い換えると、監視対象の撮影を遮って監視を中断(制限指示)するようになっている。
【0060】
このロールスクリーン51は、本体スクリーン52の一端側端辺に固設されている操作入力ロッド54の両端部に架けられている引っ掛け紐55に指先などを引っ掛けて引っ張ることにより引き下げるようになっており、メインロッド53は、その本体スクリーン52の一時停止を許可することなく、そのまま所定速度での巻取りを開始して所定時間でその巻取りを完了する巻取器53aを備えている。すなわち、ロールスクリーン51が制限指示部として機能するとともに、メインロッド53の巻取器53aが制限制御部を構成している。なお、このとき、本体スクリーン52は、操作入力ロッド54が位置決めロッド52aに衝止されてそれ以上巻き取られることを制限される。
【0061】
また、ロールスクリーン51は、本体スクリーン52の両面側の巻取り直前の領域(メインロッド53の直下位置)Aに巻取り完了までの残存時間Tがメッセージ表示されており、その本体スクリーン52の巻き取りが完了して監視カメラ11による撮影データが映像表示装置12に再生表示されるまでの残り時間を目視により把握可能に表示されている。
【0062】
このように本実施形態においては、監視カメラ11と映像表示装置12とからなる汎用の監視カメラシステムにロールスクリーン51を設置するだけで、監視カメラ11による患者Pの姿などの監視映像の再生表示を本体スクリーン52の巻取り時間の間だけ全面禁止することができ、監視を気にすることなく、着替えなどをすることができる。その監視の再開までの時間は、ロールスクリーン51の本体スクリーン52の領域Aに表示されている巻取り完了までの残存時間Tにより患者Pと管理室M側の双方で把握することができる。したがって、監視カメラ11による効果的な監視を実現して患者Pの安全を確保しつつ、その監視カメラ11による監視を所望のタイミングに中断して患者P側のプライバシーを確保することができる。この結果、監視カメラシステムの必要性を理解して貰って積極的な導入を促進することができ、効果的な監視の期待できる監視カメラシステムを普及させることができる。なお、監視の中断延長を希望する患者Pは、本体スクリーン52を再度引き下げるだけでよい。
【0063】
ここで、本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、本体スクリーン52の残存期間Tの表示は、患者P側の片面だけでもよい。しかしながら、その残存時間Tの表示は、管理室M側でも把握可能に本実施形態のように両面に表示するのが好適である。また、メインロッド53の巻取器54は、一定時間で本体スクリーン52を巻き取るように設定されているが、これに限るものではなく、巻取り速度を調整する機構を内蔵させて監視の中断時間を調整可能にしてもよい。
【0064】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
11 監視カメラ
12 映像表示装置
13 解除指示端末
14 強制指示端末
16、17 通信線
25 制御部
31 スイッチ
32 タイマ
36 解除操作部
36a 撮影停止ボタン
37 解除表示部
39 強制撮影ボタン
51 ロールスクリーン
52 本体スクリーン
53 メインロッド
53a 巻取器
M 管理室
Mm1、Mm2、Ms1〜Ms3 メッセージ
P 患者
P 空間
S プライベート空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象を撮影して該監視対象の映像データを出力する監視カメラと、前記監視カメラから出力される前記映像データを受け取って再生表示する映像表示装置と、を備える監視カメラシステムであって、
前記映像表示装置における前記監視対象の前記映像データの再生表示の制限を指示する入力を行う制限指示部と、前記制限指示部への入力操作に従って前記映像表示装置での前記再生表示の制限制御を行う制限制御部と、を備えることを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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