説明

監視カメラシステム

【課題】連続するセンサ発報におけるカメラ連動処理を、優先度の低い制御を間引くとにより、効率的な制御を実施し、カメラのハードウェア負荷を低減させる。
【解決手段】発報センサの検出処理とカメラ連動処理を独立させ、検出処理とカメラ連動処理とを非同期で動作させることにより、センサ発報の間引き処理を行い、カメラ制御するものである。即ち、本発明の監視システムは、センサ発報によるカメラ連動処理において、所定時間毎に複数のセンサからの発報情報を確認し、所定時間内に1台のカメラに対して複数のセンサから発報がなされた場合には、最新の発報情報に基づいて当該カメラの動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラシステムにおけるセンサ連動処理方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセンサ発報時のカメラ連動処理では、センサ発報検出時に対応するカメラ連動処理を実施している。また、カメラ連動処理においては、センサ発報の優先度により、センサ連動処理の実施有無が決まり、本項における後優先カメラ連動処理においては、常に最新のセンサ発報にカメラを連動させる必要がある。
【0003】
従来の監視カメラシステムにおけるセンサ発報時のカメラ連動処理の制御概略を図3によって説明する。図3は、従来の監視カメラシステムにおけるセンサ発報時のカメラ連動処理の制御手順を説明するためのフローチャートである。
最初に、ステップS301では、制御装置(例えば、システム制御装置)は、所定の時間間隔で、マルチシステムコントローラからセンサ発報通知があるか否かを判定する。センサ発報通知がある場合には、ステップS302の処理に移行する。また、センサ発報通知がない場合には、ステップS301の処理を繰り返す。なお、センサ発報通知は、1つ、あるいは複数のセンサ発報情報を含む。
【0004】
ステップS302では、制御装置は、センサ発報通知内容を解析し、発報したセンサを特定する。このとき複数の発報センサが存在しても、先にセンサ1つ分の処理を完了後、次のセンサ処理を実施する。
次に、ステップS303(ステップS331〜ステップS333)では、カメラを制御する。
まず、ステップS331では、あらかじめ登録されている連動カメラを特定する。
次に、ステップS332では、プリセット位置を特定する。
なお、ステップS331とステップS332を同時に処理しても良い。
そして、ステップS333では、制御装置は、特定されたカメラについて、特定されたプリセット移動を行うようにカメラを制御する。
ステップS303の処理を、ステップ301で検出した発報センサ数分繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4262838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような処理を実施したときに、複数の発報センサに連動するカメラが同一カメラである場合、順次センサ連動処理を実行するため、最終的な位置に移動するまでに、無駄なカメラ制御が発生するという問題がある。
特許文献1には、複数のセンサのうち、2以上の所定個数のセンサが監視対象を検知したときに、最後に検知したセンサに対応する撮像手段の現状態画像のみを使用し、他は間引くことが開示されている。しかし、最新の検知に対応してカメラを制御する点については開示していない。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、連続するセンサ発報におけるカメラ連動処理を、優先度の低い制御を間引くことにより、効率的な制御を実施し、カメラのハードウェア負荷を低減させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の監視カメラシステムは、発報センサの検出処理とカメラ連動処理を独立させ、検出処理とカメラ連動処理とを非同期で動作させることにより、センサ発報の間引き処理を行い、カメラ制御するものである。即ち、本発明の監視システムは、センサ発報によるカメラ連動処理において、所定時間毎に複数のセンサからの発報情報を確認し、所定時間内に1台のカメラに対して複数のセンサから発報がなされた場合には、最新の発報情報に基づいて当該カメラの動作を制御するものである。
【0008】
即ち、本発明の監視カメラシステムは、監視視野内の監視対象を検知し検知情報として出力するセンサと、該検知情報からセンサから監視対象の位置情報を特定して出力するマルチシステムコントローラと、該マルチシステムコントローラからの検知情報から監視対象を撮像するカメラを特定し、当該監視対象を撮像するカメラとプリセット位置を特定するシステム制御装置と、該システム制御装置から出力される制御信号に基づいて特定されたカメラに旋回動作を行わせるカメラ制御装置と、該カメラ制御装置からの制御に応じて旋回動作をして監視対象を撮像するカメラを備えた監視システムにおいて、さらにバッファを備え、前記システム制御装置は、該バッファに前記マルチシステムコントローラから出力される発報センサ情報を格納し、後出し先出し方式で該バッファから発報センサ情報を取得し、複数の発報センサ情報が同一のカメラであるか否かを判定し、同一のカメラである場合には、最新のカメラのプリセット情報に基づいてカメラを旋回動作させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラにかかる機械的負荷を低減し、耐久性の向上を実現することができる。即ち、本発明によれば、一時的な移動しかしないカメラ制御を排除することにより、機械的な制御を減らすことで、耐久期間が延びる。また、映像表示においても、カメラ移動時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の監視カメラシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の監視カメラシステムにおけるセンサ発報時のカメラ連動処理の制御手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図3】従来の監視カメラシステムにおけるセンサ発報時のカメラ連動処理の制御手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1によって、本発明の監視カメラシステムの一実施例を説明する。図1は、本発明の監視カメラシステムの一実施例の構成を示すブロック図である。101は旋回台付きカメラ、102は監視対象を検出するためのセンサ、103はマトリックススイッチャ、104はカメラ制御装置、106は映像をIPネットワークに配信するためのWEBエンコーダ、107はセンサ情報(位置情報)とカメラ101を連動させるための監視システム全体のシステム制御装置、105は各種センサ102それぞれの検知エリアを元に座標を生成し、監視対象の位置情報をシステム制御装置107に通知するためのマルチシステムコントローラ、108はIPネットワーク、109はWEBデコーダ、110はモニタ、111は監視システムを操作するための操作装置である。また210はシステム制御装置107内のバッファ、旋回台付きカメラ101は、例えば、パン動作機能およびチルト動作機能、ズーム倍率変更機能、並びに、フォーカス調整機能を備え、パン動作およびチルト動作、ズーム倍率変更操作、並びに、フォーカス調整操作がカメラ制御装置104若しくはシステム制御装置107から可能なカメラである。また、操作装置111は、例えば、監視システムの制御ソフトウエアがインストールされているPC(Personal Computer )である。
なお、システム制御装置107には、予め、図示しないメモリとCPU(Central Processing Unit )が少なくとも内蔵され、メモリ内にシステムを動作させるための処理プログラムが登録されており、システム制御装置107のCPUが、その処理プログラムに従って、システム制御を実行する。
【0012】
複数のカメラ101は、それぞれ、マトリックススイッチャ103およびカメラ制御装置104と結合し、マトリックススイッチャ103に監視視野内を撮像した映像を出力する。また、複数のカメラ101は、それぞれ、カメラ制御装置104から出力されるコントロール信号(例えば、後述する雲台制御コマンド)を受信して、当該コントロール信号によって制御される。
マトリックススイッチャ103は、複数のカメラ101から入力された映像を切替えて、WEBエンコーダ106に出力する。マトリックススイッチャ103は、通常、入力された映像を予め定められた順番で、カメラ101の入力映像を切替えて出力するが、システム制御装置107から制御される制御信号があれば、入力された制御信号に従って出力する映像を切替える。
WEBエンコーダ106は、入力された映像を符号化した映像データに変換して、IPネットワーク108を介してWEBデコーダ109と操作装置111に伝送する。
WEBデコーダ109は、受信した映像データを復号してモニタ110に出力する。WEBエンコーダ109は、IPネットワーク108を介して、操作装置111から制御される。
【0013】
複数のセンサ102は、それぞれ、マルチシステムコントローラ104にセンサの検知情報を出力するように結合されている。
センサ102が監視対象を検知すると、センサ102は、検知情報をマルチシステムコントローラ105に伝送する。検知情報を受信したマルチシステムコントローラ105は、受信した検知情報と共に検知したセンサを特定する情報をシステム制御装置に出力する。
を特定して監視対象の位置情報をシステム制御装置107に通知する。
システム制御装置107は、複数台あるカメラ101から監視対象に最も近いカメラを自動的に選別して、本発報に対するカメラを自動的に割り当てる。システム制御装置107は、カメラ制御装置103を介して、カメラ101側に、パン操作およびチルト操作をするための雲台制御コマンドを送信し、監視対象に対してカメラ101を旋回動作(パン動作若しくはチルト動作)またはズーム倍率の変更を行う。以降、旋回動作およびズーム倍率の変更を含めて、視野角変更動作と称する。
同時に、システム制御装置107は、IPネットワーク108を介して、操作装置111に発報情報(発報の有無、監視対象の位置、等の情報)を通知する。
【0014】
操作装置111は、自身の操作画面内で発報表示を行い、マトリックススイッチャ103から出力された該当カメラの映像をネットワーク経由でモニタ110に表示させる。
監視対象が移動するため、マルチシステムコントローラ105は、所定の時間間隔で検知情報(位置情報)をシステム制御装置107に通知する。システム制御装置107は、検知時と同様に、監視対象の現在位置に対して該当するカメラ101の視野角変更動作をするように、カメラ201をリモート制御する。これを繰り返すことで、監視対象を自動追尾可能としている。
【0015】
図2に本発明の制御例を示す。図2は、本発明の監視カメラシステムにおけるセンサ発報時のカメラ連動処理の制御手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。図2の制御は、発報センサ検出処理S21とカメラ連動制御処理S25の2つの処理に分かれ、図1の監視システムにおけるシステム制御装置107が実行する。また、システム制御装置107は、後入れ先出しのLIFO(Last In,First Out)メモリが内蔵若しくは外付けで設けられ、バッファ210として使用される。
【0016】
発報センサ検出処理S21では、最初に、ステップS301では、所定の時間間隔で、センサを検出するマルチシステムコントローラ104からのセンサ発報通知があるか否かを判定する。センサ発報通知があった場合には、ステップS302の処理に移行する。また、センサ発報通知がない場合には、ステップS301の処理を繰り返す。なお、センサ発報通知は、1つ、あるいは複数のセンサ発報情報を含む。
ステップS302では、センサ発報通知内容を解析し、発報したセンサを特定する。このとき複数の発報センサが存在しても、先にセンサ1つ分の処理を完了後、次のセンサ発報通知の解析を実施する。複数の発報センサ情報を検出した場合には、検出順に格納していく。
次に、ステップS201(ステップS331およびステップS211)では、連動カメラを特定し、発報センサ情報をバッファに格納する。
まず、ステップS331では、あらかじめ登録されている連動カメラを特定する。 次に、ステップS211では、発報センサ情報をバッファに格納する。
【0017】
また、カメラ連動制御処理S25では、 カメラ連動制御処理では、周期的にバッファに格納された発報情報をチェックする。
最初に、そして、ステップS251では、タイマが動作し、所定の周期になった場合にはステップS251の処理に移行する。
ステップS252(ステップS221、ステップS331、ステップS222、およびステップS333)では、周期的にバッファ210に格納された発報情報をチェックする。
まず、ステップS221では、バッファ210に格納された一番最新の発報センサ情報から順次取得する。
次に、ステップS331では、順次所得した発報センサ情報について、それぞれあらかじめ登録されている連動カメラを特定する。
そして、ステップS222では、特定された連動カメラが同一カメラである時には、最新の発報センサ情報の連動カメラ位置を保持する。
次に、ステップS333では、バッファ内に存在する全発報センサ情報のチェックを完了した場合に、特定されたカメラについて、特定されたプリセット移動(視野角変更動作)を行うように各連動カメラの制御を実施する。
以上のような方法により、一定時間内に発生した発報センサの連動カメラ制御は、最新情報のみ制御する。
【0018】
上述の実施例によれば、一時的な視野角変更動作しかしないカメラ制御を排除することにより、機械的な制御を減らすことで、耐久期間が延びる。また、映像表示においても、カメラ移動時間を減らすことができる。
【0019】
以上、本発明を実施例によって詳細に説明した。しかし、本発明は、上述の実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
101:旋回台付きカメラ、 102:センサ、 103:マトリックススイッチャ、 104:カメラ制御装置、 105:マルチシステムコントローラ、 106:WEBエンコーダ、 107:システム制御装置、 108:IPネットワーク、 109:WEBデコーダ、 110:モニタ、 111:操作装置、 210:バッファ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視視野内の監視対象を検知し検知情報として出力するセンサと、該検知情報からセンサから監視対象の位置情報を特定して出力するマルチシステムコントローラと、該マルチシステムコントローラからの検知情報から監視対象を撮像するカメラを特定し、当該監視対象を撮像するカメラとプリセット位置を特定するシステム制御装置と、該システム制御装置から出力される制御信号に基づいて特定されたカメラに旋回動作を行わせるカメラ制御装置と、該カメラ制御装置からの制御に応じて旋回動作をして監視対象を撮像するカメラを備えた監視システムにおいて、
さらにバッファを備え、
前記システム制御装置は、該バッファに前記マルチシステムコントローラから出力される発報センサ情報を格納し、後出し先出し方式で該バッファから発報センサ情報を取得し、複数の発報センサ情報が同一のカメラであるか否かを判定し、同一のカメラである場合には、最新のカメラのプリセット情報に基づいてカメラを旋回動作させることを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−97581(P2013−97581A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239838(P2011−239838)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】