説明

監視カメラ付きソーラー照明灯装置

【課題】監視カメラによる撮影が必要な状況では、照明灯により明るさを低下させることなく撮影画像の画質を維持し、照明及び監視のサービス期間の全体を通じては消費電力の抑制を可能にする監視カメラ搭載型ソーラー照明灯装置を提供する。
【解決手段】照明灯6の動作と監視カメラ8の動作とを制御する制御手段(CPU)4は、監視カメラ8がその動作で消費した消費電力量に応じて、所定時間の間、LED照明6へ供給される電力を低減する制御を行う。所定時間の間はLED照明6による明かりが一時的に暗くなるが、通常時は所定の明るさを保つことができ、全体の消費電力は一定に保たれる。また、監視カメラ8を搭載していながらも、監視カメラ8が搭載されない場合の蓄電容量やソーラー電池サイズと同じ蓄電池3及びソーラー電池1が24時間使用可能であり、コストアップを抑えた監視カメラ搭載のソーラー照明灯装置が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ソーラー照明灯に監視カメラを組み合せて設けた監視カメラ付きソーラー照明灯装置、特に、ソーラー発電を利用した夜間照明機能に遠隔画像監視する機能を追加した監視カメラ付きソーラー照明灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に配慮したクリーンなエネルギーであるソーラー電池が脚光を浴びており、家庭の屋根に設置するソーラー発電用途以外にもその利用が進み、街路灯用の電源としても導入が進んでいる。
【0003】
街路灯の中には、設置条件によってはAC電源にて駆動しているものもあるが、ソーラー電池を搭載した街路灯においては、昼間にソーラー電池によって電源である内蔵蓄電池を充電し、夜間には、蓄電池に蓄えた電力をLED照明( 蛍光灯あるいはその他照明手段でも可能) に供給して点灯させるという仕組みで利用される。そのため、外部からの電源配線が不要になり、設置に対する制約条件を減らせるというメリットがある。
【0004】
図4は、従来のソーラー照明灯装置である。図4において、昼間においてはソーラー電池1より充電制御回路2を経て、蓄電池3が充電される。また、LED照明6の点灯・消灯(オン・オフ)の制御は、電圧比較器15においてソーラー電池1の出力電圧と設定値とを大小比較し、その比較結果をCPU4が判断することで行われている。LED照明6のオンオフ制御は、別に照度センサを設けて照度センサの検出に応じて制御することもできる。夜間においては、CPU4からデューティ制御されたPWM信号としての駆動パルスが照明電源供給回路5に供給され、蓄電池3からLED照明6に供給される電力を制御をしている。CPU4の電源として、蓄電池3からDC−DCコンバータ7により定電圧化された電圧が供給されている。
【0005】
また、防犯に対する意識が年々高まっており、街路灯に監視カメラを付設し、監視カメラの利用形態としても、その電源をソーラー照明灯内の蓄電池より供給して遠隔監視を可能にするという形態が増えてきている。外部からの電源配線がないということは、監視カメラからの画像出力信号も配線レスであれば装置全体としても配線が無くなり、メリットが大きい。そのため、監視カメラを無線伝送方式の監視カメラとすることが望まれる。
【0006】
蓄電池は、夜間照明に必要な消費電力を賄える蓄電容量を持つ蓄電池が選定されるが、装置コストを抑えるために必要最小限の蓄電容量のものが選定される。また、ソーラー電池は、昼間の明るい環境でしか蓄電池を充電する能力がないため、ソーラー電池のサイズは、必要な充電能力のものが選定される。
【0007】
しかしながら、無線伝送方式の監視カメラを搭載し24時間監視できる装置に構成すると、照明灯の消費電力に無線伝送方式の監視カメラの消費電力が加わる。無線伝送には相当の電力が必要であるので、大きな蓄電容量の蓄電池を選定しなければならない。充電能力如何では充電手段であるソーラー電池までも容量や出力を大きくしなければならなくなり、コスト的な面で非常に不利になるという問題がある。
【0008】
太陽電池によって充電される蓄電池を電力供給源とし、撮影画像を遠隔の監視センタへ送出する監視カメラ端末であって、周囲の照度に応じて撮影画像の更新速度を可変として、消費電力の低減を図ることが提案されている(特許文献1)。例えば、検出した照度が予め設定した閾値よりも小さいときには、これに応答して画面の更新速度を遅くして、消費電力の小さい撮影モードに移行することが図られている。
【特許文献1】特開2001−186387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、ソーラー照明灯に監視カメラを設けた監視カメラ搭載型のソーラー照明灯装置においては、不審者や不審物が移動する場合など監視カメラが撮影をしなければならないような状況では、照明灯により明るさを低下させることなく撮影画像の画質を維持することを可能にするとともに、照明及び監視のサービス期間の全体を通じては消費電力の抑制を可能にする点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、照明灯により明るさを低下させることなく監視カメラによる撮影画像の画質を維持するとともに、照明及び監視のサービス期間の全体を通じては消費電力の抑制を可能にし、蓄電池容量かつソーラー電池サイズについて監視カメラを搭載しても格別の大きな変更のない監視カメラ搭載型ソーラー照明灯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明による監視カメラ付きソーラー照明灯装置は、太陽光で発電するソーラー電池と、当該ソーラー電池によって発電された電力を蓄える蓄電池と、当該蓄電池から電力が供給される照明灯と、前記蓄電池から供給される電力で動作可能な監視カメラと、前記照明灯の動作及び前記監視カメラの動作を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記照明灯の照度を低下させることのない点灯状態で前記監視カメラを作動させるとともに、前記監視カメラの消費電力量に応じて所定期間の間、前記照明灯へ供給される電力を低減させることから成っている。
【0012】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置によれば、照明灯による照度を低下させることなく監視カメラにより撮影が可能となり、撮影画質を維持し、監視カメラ本来の撮像機能を発揮させることができる。蓄電池の供給電力については、照明灯と監視カメラとに同時に供給可能であり、照明灯の通常の明るさに相当する消費電力と監視カメラの消費電力とを同時に賄えることができるように設定されている。
【0013】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置においては、制御手段は、監視カメラが動作した消費電力量に相当する電力量に応じて照明灯へ供給される電力を低減する制御を行うので、所定時間の間は照明灯による明かりが一時的に暗くなるが、通常時は所定の明るさを保つことができる。したがって、たとえ監視カメラの作動回数が頻繁になっても、その都度、その増加分だけ照明灯への供給電力が抑制制御されることになり、監視カメラの動作回数に関係なく、期間を通じてみれば全体の消費電力は一定に保たれる。また、監視カメラを搭載していながらも、監視カメラが搭載されない場合の蓄電容量やソーラー電池サイズと同じ蓄電池及びソーラー電池が24時間使用可能であり、コストアップを抑えた監視カメラ搭載のソーラー照明灯装置が実現される。
【0014】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記制御手段は、前記照明灯への供給電力を低減させる前記所定時間の開始時刻を、早くとも前記監視カメラの動作終了時にまで遅延させる制御を行うことができる。この場合には、照明灯への供給電力が低減されるのは早くとも監視カメラの動作終了時であるので、監視カメラの動作中には照明灯への供給電力は低減されず監視カメラが撮影するのに必要な照度が確保される。
【0015】
更に、前記制御手段への設定入力手段として、前記制御手段に前記所定時間の前記開始時刻を遅延させるか否かを設定する遅延設定スイッチを備えることができる。この遅延設定スイッチをオフとしたときには、一つの取り得る態様として、監視カメラの作動時間と同じタイミングで照明灯への供給電力を低減させる(照明は暗くなる)ことになる。この遅延設定スイッチを作動させるときには、照明灯への供給電力を低減させる所定時間の開始時期を監視カメラの動作終了時以後となるように制御手段への設定入力が行われる。詳細には、夜間に監視カメラが起動したときに照明灯へ供給電力を抑制すると、当然照明は暗くなって監視カメラの撮影画像のSN比を悪化させることになり、せっかく夜間照明していることと相反することになる。照明灯への供給電力を抑制する時間を遅延させる遅延設定スイッチをオンにしたときには、監視カメラの撮影機能が立ち上がった時に照明灯への供給電力を抑制して暗くするのではなく、照明灯への供給電力を抑制して照度を低下させるタイミングを監視カメラの駆動時間経過後にずらす。かかる制御により、照明灯の照度を維持し監視カメラの撮影画像のSN比の低下が防止され、監視カメラからの画像を最良のSN比で撮影・処理させることができる。
【0016】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記制御手段は、前記照明灯への供給電力が低減される前記所定時間を、当該供給電力の低減に応じて消費抑制される電力量が少なくとも前記監視カメラが消費した前記消費電力量となるように制御を行うことができる。即ち、監視カメラが駆動された時間に合わせて、好ましくは監視カメラの駆動時間と同一時間の間、監視カメラの作動で増加した消費電力分だけ照明灯への供給電力を抑制するので、一定以上の期間を通してみれば、監視カメラの作動の有無に関わらず、消費電力量を所定の範囲に抑えることができる。
【0017】
前記所定時間を制御する監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記制御手段への設定入力手段として、前記所定時間の長さを設定可能な期間設定スイッチを備えることができる。監視カメラへの電源供給時間を任意に設定できる給電設定スイッチ(DIPスイッチ)を設け、監視カメラの動作時間の時間設定を可変できるようにすることにより、監視カメラの使用の目的により任意に設定することができる。
【0018】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記監視カメラを前記蓄電池から供給される電力で動作される無線送信回路を備えた無線伝送方式のカメラとし、前記制御手段は前記無線送信回路への電力供給を制御することができる。無線伝送方式の監視カメラは、通常、CMOS( 又はCCDでも可能) カメラと無線送信回路から構成されているが、一般にCMOSカメラだけの消費電力は非常に少なく、照明灯(特に、LED照明灯)の消費電力や無線送信の消費電力と比べると無視できるレベルである。無線送信回路が動作し電波を送信するときには、消費電力は大きくなり、頻繁に動作すると蓄電池容量を大きく消耗させる場合も考えられる。したがって、制御手段は、無線送信回路の動作を監視カメラの動作として扱うことができ、例えば、無線送信回路の動作開始(伝送開始)を以て監視カメラの動作開始とみなすことができる。したがって、この監視カメラ付きソーラー照明灯装置は、無線送信回路を備える無線伝送方式の監視カメラを搭載する場合には、無線送信回路の動作に着目して消費電力を抑制することによって、利用コストの大きな改善が見込まれる。
【0019】
無線送信を行う監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記制御手段は、前記監視カメラによる撮影で得られた画像データとその前の時間に得られた画像データとの間で有意な変動が検出されたことに応答して、前記無線送信回路を動作させることができる。CMOSカメラの画像データを例に取ると、画像データは制御手段(CPU)に取り込まれ、CPUは撮影範囲内の画像変化の有無を逐一監視し画像データに変化があったときだけ無線送信回路を起動させる。即ち、画像データの変化のセンシング(消費電力は小さい)に必要なCMOSカメラ部のみ24時間通電する。画像データに変化があるときには、監視カメラとしては、当該変化を監視すべきであるので、画像データについても監視センタ等に伝送する必要がある。消費電力が大きい無線送信回路については、CMOSカメラが画像センシング( 画像データが変化) した時だけ通電するように制御する。無線送信回路が通電されている時間の無線送信回路消費電力に相当する分だけ、照明灯への供給電力が抑制制御される。なお、照明が点灯していない昼間においてもCMOSカメラの画像データが変化すれば、そのときだけ無線送信回路を駆動させるが、昼間は充電時の余剰電力で賄うことができるので、蓄電池の充電能力への影響は殆ど無視することができる。
【0020】
この監視カメラ付きソーラー照明灯装置において、前記照明灯はLED照明灯とすることができる。LED照明灯は消費電力が少なく、蓄電池やソーラー電池への負担を軽くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明による監視カメラ付きソーラー照明灯装置によれば、監視カメラを24時間連続通電しても、監視カメラを搭載しない場合の能力のソーラー電池及び蓄電池から大きく変更のない、好ましくはそのままで使用でき、監視カメラの動作中或いは監視カメラの動作が終了後のような所定期間だけ照明灯の照度が低下するが、それ以外は通常時の明るさを保つことができる。そのため、電力消費を抑制することができるとともに、装置の製造コスト及び利用コストを低減することができる。また、監視カメラを後から追加設置した場合でも、ソーラー電池あるいは蓄電池の容量を大きなものに交換しなくても対応できる。
【0022】
また、監視カメラが動作したことによる消費電力の増加に対して、夜間点灯する照明灯への供給電力を監視カメラの動作と同一タイミングでその増加分だけ抑制して照明灯の明るさを削減制御すると、監視カメラで撮像している期間、被写体の照度が低下する。本発明では、これを防ぐために監視カメラの作動が再びオフになったタイミングで、監視カメラが動作したことによる消費電力の増加分だけ、照明灯への供給電力を抑制制御することにより、監視カメラの撮影画像のSN比の悪化を防止することができる。
【0023】
また、本発明では、照明灯への供給電力を抑制制御するタイミングは、遅延設定SWにより、監視カメラの動作時間のタイミングと一致させて抑制点灯制御する場合と、監視カメラが再びオフになったタイミングで監視カメラの動作時間と同一時間、抑制点灯制御する場合とを、切り替えることができるようにした。監視カメラが再びオフになったタイミングで抑制点灯制御することにより、監視カメラの動作時には、照明が低下せず、必要な映像のSN比を悪化させることなく、例えば監視センタ等に送信することができる。
【0024】
更に、本発明では、監視カメラが動作したことによる消費電力の増加分に対して、点灯する照明灯への供給電力を抑制し、明るさを削減制御する時間を、監視カメラの使用目的によって任意に設定できる給電設定スイッチを設けた。給電設定スイッチはDIPスイッチで構成することができる。監視カメラの画像データが頻繁に変化するような場合は、監視カメラの消費電力も大きくなるため、この場合には給電設定スイッチで監視カメラの動作時間を短くするような使い方もできる。
【0025】
また、監視カメラが無線送信回路を備えた無線伝送方式の監視カメラである場合は、監視カメラの画像データが変化したときだけ、消費電力が大きい無線送信回路を動作させ、無線送信回路が動作したことによる消費電力の増加分に対して、夜間点灯する照明灯への供給電力を抑制し、照明の明るさを削減制御することにより、期間を通じた場合の消費電力を抑制することの利点が大きくなり、蓄電池容量への影響をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明による監視カメラ付きソーラー照明灯装置の一実施例を示すブロック回路図である。図1において、図4に示す従来装置と同様、昼間にソーラー電池1によって発電された電力は充電制御回路2を経て蓄電池3に供給されて蓄電池3が充電される。夜間はCPU4から、その駆動パルスがデューティ制御されたPWM制御信号が照明電源供給回路5に出力され、蓄電池3からの電力が照明電源供給回路5において制御された上で、照明灯としてのLED照明6に供給される。
【0027】
無線伝送方式の監視カメラ8内のCMOSカメラ(CCDでも可)9からの画像データに前の画像データとの間で変化がないときは、LED照明6は、従来のソーラー照明灯装置と全く同様の動作を行う。
【0028】
CMOSカメラ9には、DC−DCコンバータ7により、蓄電池3の変動電圧が定電圧化された上で24時間連続して電源供給される。無線送信回路10は、CMOSカメラ9からの画像データの変化をCPU4が検知した時だけ通電されるように制御される。CMOSカメラ9からは、画像データが順次CPU4に伝送され、これを受信したCPU4は、画像データ変化前の画像データを記憶している外部メモリ12内の画像データと比較して、CMOSカメラ9からの画像データに変化があった時のみ、無線送信回路電源供給回路11を通じ、無線送信回路10に蓄電池3からの電力を供給する。
【0029】
CPU4には、予め無線送信回路10の消費電力と所定電源供給時間との積算消費電力量を把握させておき、CMOSカメラ9からの画像データに変化があったときには、CPU4は、PWM駆動パルス信号のデューティ幅を上記積算消費電力に相当するデューティ幅まで狭くした上で、PWM駆動パルス信号を照明電源供給回路5に供給する。こうすることにより、蓄電池3の蓄電池容量は、無線伝送方式の監視カメラ8の作動の影響を受けないようにすることができる。
【0030】
CPU4への設定手段として、無線送信回路への電源供給時間を設定する給電設定SW13が設けられている。給電設定SW13は、上記所定電源供給時間を可変できるようにしたDIPSWで構成されており、ビット数によって任意に時間設定可能なスイッチである。無線送信回路電源供給時間が長く設定されると、PWM駆動パルスのデューティ幅は狭くなり、LED照明6への電力供給をより低減させる。また、無線送信回路電源供給時間が短く設定されると、PWM駆動パルスのデューティ幅は広くなり、LED照明6への電力供給は抑制されるが、その抑制程度は低くなるよう制御される。給電設定SW13の設定については、例えば、録画条件や監視する者の常駐頻度等により、数段階の設定時間(数十秒から数分程度)を選択可能とすることができる。また、人の往来頻度が激しい場所では、無線送信動作1回当たりの動作時間を上記設定に優先して比較的短い時間(数秒から数十秒)に設定可能として、監視カメラ8や無線送信回路10による連続消費を意識的に抑制することが好ましい。給電設定SW13については、監視カメラ8の設置時だけではなく、周囲の状態を見て、設置後でも設定変更可能に構成される。
【0031】
また、CPU4への別の設定手段として、LED照明6への供給電力抑制時間を遅延設定させる遅延設定SW14が設けられている。遅延設定SW14をオフ設定したときは、無線送信回路10の動作時間と同一タイミングに、LED照明6への供給電力を抑制して照度を低下させ、無線送信回路10の動作時間終了と同時にLED照明6は元の明るさに戻る。
【0032】
LED照明6の遅延設定SW14がオン設定の場合は、LED照明6への供給電力の抑制は、無線送信回路10への所定電源供給時間と同一時間にするのではなく、抑制開始のタイミングをずらす制御が行われる。即ち、無線送信回路10の動作時間終了後に、無線送信回路10の駆動時間と同一時間の間、LED照明6への供給電力を抑制して暗くするよう制御する。このような制御により、無線伝送方式の監視カメラの動作中は、LED照明6の照度を低下させることなく最良の画像SN比の状態で撮影可能にしている。LED照明6の照度は、無線送信回路10の駆動時間と同一時間が経過すると元に戻る。
【0033】
CMOSカメラ9の画像データが頻繁に変化する場合は、無線送信回路10へのトータル供給電力が大きくなるため、それに連動してLED照明6へのPWM駆動パルスのデューティ幅の狭い状態が多くなり、LED照明6が暗い状態が長くなるが、あくまで蓄電池3の蓄電容量を確保させることを最優先としており、その場合は無線送信回路10の電源供給時間を、給電設定SW13の時間設定によって短くすることで対応可能である。
【0034】
このように、遅延設定SW14のオフ又はオンの設定に応じて、無線伝送方式の監視カメラ8が動作している時だけ、あるいは無線伝送方式の監視カメラ8の動作が終了直後の無線送信回路10の動作時間分だけ、LED照明6の照度が低下する。しかしながら、それ以外の時間では、LED照明6は通常時の所定の照度を保つことができ、24時間連続通電の無線伝送方式の監視カメラ搭載のソーラー照明灯装置が実現できる。
【0035】
図2は、図1に示すカメラ付きソーラー照明灯装置において、遅延設定スイッチのオンとオフに応じた無線送信回路10の動作とLED照明の明るさとの関係を示したタイムチャートである。LED照明6への供給電力の抑制時間を遅延設定する遅延設定SW14がオン又はオフのときに、CMOSカメラ9の画像データが変化した時からの、無線送信回路10の動作状態とLED照明6の明るさの変化との関係を示している。
【0036】
図2において、時間Aは無線送信回路10の動作時間を表し、時間Bは無線送信回路10の動作時間経過後に、LED照明6への供給電力を抑制して暗くする時間であり、無線送信回路10の時間Aに等しく設定されている。
【0037】
図3は図1に示す本発明による監視カメラ付きソーラー照明灯装置の動作フローの一例を示すフローチャートである。ここでは、監視カメラは無線送信回路10を備えた無線伝送方式のカメラであるとする。
【0038】
監視カメラ搭載ソーラー照明灯装置の作動開始後、監視カメラ8が撮影して得られた画像データに変化があるか否かが判定される(ステップ1、「S1]と略す。以下同じ)。この画像データに変化がなければ、時間の経過とともに、S1の判定が繰り返される。S1の判定で「画像データの変化あり」と判定されると、無線送信回路10に電源供給が行われ、画像データが無線送信される。ここで、LED照明6への供給電力抑制時間の遅延を設定する遅延設定SW14がONであるか否かが判定される(S3)。S3の判定で遅延設定SW14がONでなければ、LED照明6の駆動パルスのデューティ幅が狭くなり(S4)、LED照明6の照度が低下される(S5)。その後、所定時間が経過したか否かが判定したかが判定され(S6)、所定時間が経過したと判定されたときに、LED照明6の駆動パルスのデューティ幅が元に戻され(S7)て、LED照明6が元の明るさに戻る(S8)。
【0039】
S3の判定で遅延設定SW14がONであると判定されると、直ちにはLED照明6の駆動パルスのデューティ幅が変化せず(S10)、したがってLED照明6が照度が低下しない(S11)。LED照明6が明るい状態で、監視カメラ8の撮影と画像データの無線送信とが継続される。その後、所定時間、即ち、無線送信回路10の動作時間(図2における時間Aであって、給電設定SW13で時間長さが設定可能)が経過したか否かが判定したかが判定され(S12)、当該所定時間が経過したと判定されたときに、S4に移行してその後のステップ(S5〜S8)が実行される。即ち、無線送信回路10の動作終了後に、無線送信回路10の動作時間と同じ時間の間、LED照明6の駆動パルスのデューティ幅を狭くしてLED照明6の照度を低下させているので、LED照明6による蓄電池3の電力消費が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による監視カメラ付きソーラー照明灯装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すカメラ付きソーラー照明灯装置において、遅延設定スイッチのオンとオフに応じたLED照明の明るさとの関係を示すタイムチャートである。
【図3】図1に示す監視カメラ付きソーラー照明灯装置の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【図4】従来のソーラー照明灯装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ソーラー電池 2 充電制御回路
3 蓄電池 4 CPU
5 照明電源供給回路 6 LED照明
7 DC―DCコンバータ 8 無線伝送方式の監視カメラ
9 CMOSカメラ 10 無線送信回路
11 無線送信回路への電源供給回路 12 外部メモリ
13 無線送信回路の電源供給時間を設定する給電設定スイッチ(DIPSW)
14 LED照明への供給電力抑制時間の遅延を設定する遅延設定スイッチ
15 電圧比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光で発電するソーラー電池と、当該ソーラー電池によって発電された電力を蓄える蓄電池と、当該蓄電池から電力が供給される照明灯と、前記蓄電池から供給される電力で動作可能な監視カメラと、前記照明灯の動作及び前記監視カメラの動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記照明灯の照度を低下させることのない点灯状態で前記監視カメラを作動させるとともに、前記監視カメラの消費電力量に応じて所定期間の間、前記照明灯へ供給される電力を低減させることから成る監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記照明灯への供給電力を低減させる前記所定期間の開始時刻を、早くとも前記監視カメラの動作終了時にまで遅延させる制御を行うことから成る請求項1記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項3】
前記制御手段への設定入力手段として、前記制御手段に前記所定時間の前記開始時刻を遅延させるか否かを設定する遅延設定スイッチを備えていることから成る請求項2記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記照明灯への供給電力が低減される前記所定時間を、当該供給電力の低減に応じて消費抑制される電力量が少なくとも前記監視カメラが消費した前記消費電力量となるように制御を行うことから成る請求項1〜3のいずれか1項記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項5】
前記制御手段への設定入力手段として、前記所定時間の長さを設定可能な期間設定スイッチを備えていることから成る請求項4記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項6】
前記監視カメラは前記蓄電池から供給される電力で動作される無線送信回路を備えた無線伝送方式のカメラであり、
前記制御手段は前記無線送信回路への電力供給を制御していることから成る請求項1〜5のいずれか1項記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記監視カメラによる撮影で得られた画像データとその前の時間に得られた画像データとの間で有意な変動が検出されたことに応答して、前記無線送信回路を動作させることから成る請求項6記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記無線送信回路の動作のみを前記監視カメラの動作として扱うことから成る請求項7記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。
【請求項9】
前記照明灯はLED照明灯であることから成る請求項1〜8のいずれか1項記載の監視カメラ付きソーラー照明灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−188900(P2009−188900A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28951(P2008−28951)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】