説明

監視サーバ、監視システム及び監視方法

【課題】簡単な構成で遠隔地からも容易に遠隔監視し、映像及び音声の双方向通信によって監視対象を監視すること。
【解決手段】監視システム1は、コントローラ10と、カメラユニットA20,B30,C40と、室内ユニット50と、携帯電話機60,70とを備えて構成される。各カメラユニットA20,B30,C40及び室内ユニット50はLAN接続されており、コントローラ10と携帯電話機60,70は外部通信網80を介して映像信号及び音声信号の送受信が可能な双方向通信により通信がおこなわれる。外出モード時には、カメラユニットB30,C40が侵入者などを検出するごとに自動的に侵入者を捕捉するように映像信号及び音声信号を切り替えて携帯電話機60(または70)に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不法侵入者などが屋内外に侵入した場合にその侵入者などの侵入を住人などに通報して遠隔地であっても屋内外の様子を監視することができる監視サーバ、監視システム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の発展などにより、遠隔地における住宅監視などを安価かつ容易におこなえるようになった一方で、依然空き巣やピッキングなどの不法侵入を伴う犯罪が後を絶たないという問題がある。このような問題に対応するため、必要に応じてユーザの現在位置から所望の場所の画像を容易に得て監視することができる遠隔監視装置が知られている。
【0003】
この遠隔監視装置は、例えば次のように構成されている。すなわち、遠隔監視装置は、電子メールを送受信するPHSカードと、被写体を撮影して画像データを生成する撮像部と、電子メールの送受信をおこなうメール処理装置と、これらPHSカード、撮像部及びメール処理装置の動作を制御する制御装置とを備えて構成されている。
【0004】
このように構成された遠隔監視装置では、メール処理装置が画像送信要求を含む電子メールを受信すると、撮像部が所望の被写体を撮影して画像データを生成する。そして、メール処理装置は、その画像データを、あらかじめ指定されたあるいは受信した電子メールで指定されたメールアドレス宛に電子メールによって送信し、簡単な構成で容易に所望の場所を監視することができるとされている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−174171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来の遠隔制御装置では、電子メールを介して画像送信要求や撮影した画像などを送受信するため、被写体を撮影してからユーザの手元に画像データが届くまでの処理に時間が掛かり、不法侵入などが発生した場合に素早い対応を図ることが困難であるという問題がある。また、従来の遠隔制御装置では、電子メールによって情報の送受信をおこなうため、メール処理装置が必要となり、構成の簡素化を図りにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、簡単な構成で遠隔地からも時間的格差なく容易に監視空間を遠隔監視することができるとともに、映像及び音声の送受信が可能な双方向通信によって監視空間を監視し監視対象とライブ感覚で連絡を取り合うことができる監視サーバ、監視システム及び監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る監視サーバは、監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置からの当該対象認識信号の入力を受け付ける受付手段と、該受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられたことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報、及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得手段と、前記受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、監視装置は所定の構内に設けられた監視ユニットであり、監視ユニットは、構内における複数の異なる場所に設置され、対象認識手段として人感センサをそれぞれ有し、あらかじめユーザによって構内に不在であることを示す外出設定がなされているときは、受付手段によって複数の監視ユニットのいずれかからの対象認識信号を受け付けるごとに、取得手段が映像情報及び音声情報を取得する取得対象とされる監視ユニットを、受付手段が受け付けた対象認識信号を出力した監視ユニットに切り替える切替手段をさらに備える。この場合、複数の監視ユニットは、それぞれ監視空間に向けて照射光を照射する照明装置における照射光の照射/非照射を切り替える照明機能を有し、照明機能は、対象認識手段による監視対象の認識時に連動して動作する。
【0010】
また、監視装置は所定の構内に設けられたインターフォン子機であり、インターフォン子機は、対象認識手段としてボタンスイッチを有し、あらかじめユーザによって前記構内に在宅していることを示す在宅設定がなされているときは、受付手段によってインターフォン子機のボタンスイッチへの操作入力による対象認識信号が受け付けられると、通信手段は、情報端末に対して接続要求を発信することなく、インターフォン親機からの指示を示す指示信号に基づいてインターフォン子機とインターフォン親機との間の双方向通信を確立し、映像情報及び音声情報を転送する。
【0011】
本発明に係る監視システムは、前記監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置と、該監視装置からの前記対象認識信号の入力を受け付ける受付手段、該受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられたことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得手段、及び前記受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信手段を有する監視サーバとを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、監視装置は所定の構内に設けられた監視ユニットであり、監視ユニットは、構内における複数の異なる場所に設置され、対象認識手段として人感センサをそれぞれ有し、監視サーバは、あらかじめユーザによって構内に不在であることを示す外出設定がなされているときは、複数の監視ユニットのいずれかからの前記対象認識信号を受付手段が受け付けるごとに、切替手段が取得手段により映像情報及び音声情報を取得する取得対象とされる監視ユニットを、受付手段が受け付けた対象認識信号を出力した監視ユニットに切り替える。
【0013】
また、監視装置は所定の構内に設けられたインターフォン子機であり、インターフォン子機は、対象認識手段としてボタンスイッチを有し、監視サーバは、あらかじめユーザによって構内に在宅であることを示す在宅設定がなされているときは、インターフォン子機のボタンスイッチへの操作入力による対象認識信号が受付手段によって受け付けられると、通信手段が情報端末に対して接続要求を発信することなく、インターフォン親機からの指示を示す指示信号に基づいてインターフォン子機とインターフォン親機との間の双方向通信を確立し、映像情報及び音声情報を転送する。
【0014】
本発明に係る監視方法は、監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置からの当該対象認識信号の入力を受け付ける受付工程と、該受付工程によって前記対象認識信号が受け付けられたことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報、及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得工程と、前記受付工程によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、監視サーバが受け付けた監視装置からの対象認識信号によって、監視空間における監視対象の映像情報及び音声情報を取得し、監視装置とユーザの情報端末との間の双方向通信によってこれらの映像情報及び音声情報を転送することができる。このため、従来のものと比較してメール処理装置などが不要となり、簡単な構成で遠隔地からも時間的に格差なく監視空間を遠隔監視することができる。また、監視空間における監視対象に対してライブ感覚で連絡を取り合うことができる。
【0016】
また、本発明によれば、監視装置が人感センサをそれぞれ有し、構内における異なる場所に設置された監視ユニットであり、あらかじめユーザによって外出設定がなされているときは、対象認識信号を受け付けるごとに取得手段による取得対象とされる監視ユニットを、対象認識信号を出力した監視ユニットに切り替えて映像情報及び音声情報を自動的に取得する。このため、ユーザが情報端末から各監視ユニットの切り替え指示をおこなわなくても監視対象を捕捉し続けることができ、利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る監視サーバ、監視システム及び監視方法の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る監視システムの基本的構成の一例を示す説明図である。また、図2は、同監視システムにおける監視サーバの制御ユニットのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図1に示すように、監視システム1は、例えば所定の住宅敷地内(構内)の宅内分電盤などに設置された監視サーバであるコントローラ10と、玄関門扉などに設置された監視装置としてのインターフォン子機であるカメラユニットA20と、ダイニングルームに設置された監視装置であるカメラユニットB30と、ベッドルームなどに設置された監視装置であるカメラユニットC40と、リビングルームに設置された情報端末としてのインターフォン親機である室内ユニット50と、遠隔地にある情報端末である携帯電話機60,70とを備えて構成されている。
【0020】
なお、各カメラユニットA20,B30,C40及び室内ユニット50は、例えば家庭内LAN(Local Area Network)において、LANケーブルなどによりコントローラ10を介してそれぞれ接続されている。また、コントローラ10と携帯電話機60,70とは、必要時に外部通信網80を介して接続される。この監視システム1においては、信号の伝送に所定の変調がかけられる。
【0021】
コントローラ10は、コントローラ10全体を制御する制御ユニット11と、各カメラユニットA20,B30,C40の映像信号や音声信号を切り替える切替信号処理回路12と、各カメラユニットA20,B30,C40の映像信号を分配する映像分配器13とを備えて構成されている。なお、切替信号処理回路12は、スイッチSW1〜SW3の接点を切り替えることにより、各カメラユニットA20,B30,C40の映像信号や音声信号の切り替えをおこなう。また、映像分配器13は、スイッチSW1を介して入力された各カメラユニットA20,B30,C40からの映像信号を制御ユニット11及び室内ユニット50に分配する。
【0022】
カメラユニットA20は、監視空間である玄関前の来訪者などの監視対象を撮像するカメラ(図示せず)を備えるとともに、この来訪者などが操作入力をおこなう操作部であるスイッチ21と、来訪者などへの音声出力及び来訪者などからの音声入力をおこなう音声入出力手段であるマイク/スピーカ22とを備えている。なお、スイッチ21は、対象認識手段であり、例えば押下するなどの操作入力によって対象認識信号としての操作入力信号を出力するボタンスイッチにより構成される。
【0023】
カメラユニットB30,C40は、それぞれ監視空間であるダイニングルームあるいはベッドルームへの侵入者などの監視対象を撮像するカメラ(図示せず)を備えるとともに、対象認識手段としてこの侵入者などを検出する検出手段である人感センサ31,41と、侵入者などへの音声出力及び侵入者などからの音声入力をおこなう音声入出力手段であるマイク/スピーカ32,42と、例えば人感センサ31,41によって侵入者などが検出されたときに連動して動作し、図示しないランプなどの照明を有するとともにこの照明のON/OFF動作(例えば、照明における照明光の照射/非照射)などをおこなうランプユニットB33,C43とを備えている。
【0024】
室内ユニット50は、監視者などへ静止画あるいは動画などの画像を表示するモニタ51と、この監視者などからの各カメラユニットA20,B30,C40の切替指示を示す切替信号をコントローラ10に出力するスイッチ52,53,54と、監視者などへの音声出力及び監視者などからの音声入力をおこなう音声入出力手段であるマイク/スピーカ55とを備えている。なお、モニタ51は、各カメラユニットA20,B30,C40から出力されコントローラ10に入力されて切替信号処理回路12によって切り替えられた映像信号に基づき、侵入者などを撮像した静止画あるいは動画などの画像を表示する。
【0025】
また、この室内ユニット50は、監視者などが構内に不在である場合の監視システム1の動作モードである外出モードを設定する外出設定ボタン56と、監視者などが構内に在宅である場合の監視システム1の動作モードである在宅モードを設定する在宅設定ボタン57とを備えている。これら外出設定ボタン56及び在宅設定ボタン57を任意に押下することにより、コントローラ10の制御ユニット11において各動作モードが設定される。
【0026】
ここで、外出モードとは、例えば各カメラユニットB30,C40の人感センサ31,41によって侵入者などが検出されたときに、携帯電話機60(または携帯電話機70)との間で双方向通信による映像信号及び音声信号の転送をおこなうモードである。また、在宅モードとは、例えばカメラユニットA20のスイッチ21によって来訪者などが検出されたときに、室内ユニット50との間で映像信号及び音声信号の転送をおこなうモードである。これら各動作モードにおける監視処理の具体例については、後述する。
【0027】
携帯電話機60(または携帯電話機70)は、例えば上記外出モード時において、コントローラ10の制御ユニットと外部通信網80を介して接続される。この場合、コントローラ10とこれら携帯電話機60,70とは、各カメラユニットB30,C40からの映像信号及び音声信号を携帯電話機60,70との間で双方向通信によって転送可能な状態で接続される。すなわち、具体的には、コントローラ10と携帯電話機60,70との間では、映像及び音声による通話が可能なTV電話形式で通信がおこなわれる。そして、携帯電話機60,70においては、液晶表示部61,71上に映像信号に基づく侵入者などを映した映像が表示され、操作部62,72を操作することによってコントローラ10に各種指示に関する指示入力信号を出力することができる。
【0028】
なお、外出モードにおいては、各カメラユニットB30,C40の人感センサ31,41の検出に伴い切替信号処理回路12によって、ユニットの切り替えが自動的におこなわれて侵入者などの映像信号及び音声信号が断続的に携帯電話機60(または携帯電話機70)へ転送される。また、携帯電話機60,70側からも切替信号処理回路12を介して任意に各カメラユニットB30,C40を切り替えることができる。
【0029】
また、各カメラユニットA20,B30,C40からの映像信号は、コントローラ10内のスイッチSW1によって切り替えられて映像分配器13に入力される。また、各カメラユニットA20,B30,C40と双方向通信によって入出力される音声信号は、コントローラ10内のスイッチSW2及びSW3によって切り替えられて制御ユニット11あるいは室内ユニット50へ入出力される。さらに、カメラユニットA20からのスイッチ信号とカメラユニットB30,C40からの人感センサ信号は、コントローラ10内の切替信号処理回路12へ入力される。
【0030】
一方、制御ユニット11は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)14と、ROM(Read Only Memory)15と、RAM(Random Access Memory)16と、映像インタフェース(I/F)17と、音声インタフェース(I/F)18と、信号入出力インタフェース(I/F)19と、通信インタフェース(I/F)29とを備え、これらがバス28によってそれぞれ接続された構造からなる。なお、図示は省略するが、制御ユニット11は、記憶手段としてのHD(Hard Disk)や着脱可能な記録媒体としてのメモリカードなどをさらに備えていても良い。
【0031】
CPU14は、例えば所定の演算処理を実行してコントローラ10全体の制御を司る。ROM15は、コントローラ10のブートプログラムや監視システム1における監視動作を実行させるための監視プログラムなどの各種プログラムを記憶している。ここで、監視プログラムは、上述した外出モード及び在宅モードの動作モードごとに、各カメラユニットA20,B30,C40と、室内ユニット50と、携帯電話機60,70との間で各モードに適した所定の映像信号及び音声信号の転送をおこなわせる。
【0032】
RAM16は、CPU14のワークエリアとして使用される。映像I/F17は、各カメラユニットA20,B30,C40及び室内ユニット50と接続され、主にカメラによって撮像された映像信号の入出力処理をおこなう。この映像I/F17は、例えば各カメラユニットA20,B30,C40によって撮像され入力された映像信号の信号処理をおこなうGPU(Graphics Processing Unit)や、室内ユニット50のモニタ51全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な映像信号を一時的に記憶するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される映像情報に基づいてモニタ51を表示制御する制御IC(Integrated Circuit)などによって構成される。
【0033】
音声I/F18は、各カメラユニットA20,B30,C40及び室内ユニット50と接続され、マイク/スピーカ22,32,42,55との間で音声信号の入出力処理をおこなう。この音声I/F18では、例えばマイク/スピーカ22,32,42,55から入力されたアナログ音声信号がデジタル信号にA/D変換されるとともに、その逆の変換処理もおこなわれる。
【0034】
信号入出力I/F19は、各カメラユニットA20,B30,C40及び室内ユニット50と接続され、各スイッチ21,52〜54や各ボタン56,57、あるいは各人感センサ31,41からの対象認識信号である検出入力信号を受け付けるとともに、各ランプユニットB33,C43などに対して照明機能に関する指示信号を出力する。
【0035】
通信I/F29は、無線あるいは有線によってインターネット網などの外部通信網80と接続され、この外部通信網80とCPU14との間で各種信号の送受信をおこなう。この通信I/F29は、具体的には、各携帯電話機60,70とCPU14との間で上述したような映像信号及び音声信号の送受信をおこなう。次に、このように構成された制御ユニット11を有するコントローラ10における上述した外出モード及び在宅モード時の監視処理について説明する。
【0036】
図3及び図4は、監視システム1におけるコントローラ10が実行する監視処理の一例を示すフローチャートである。なお、図3は外出モード時の監視処理を示し、図4は在宅モード時の監視処理を示している。まず、本実施形態の監視システム1における外出モード時の監視処理について説明する。
【0037】
図3に示すように、まず、コントローラ10によって、監視者により室内ユニット50の外出設定ボタン56が押下されたことによる操作入力信号を入力することにより、外出モードの設定を受け付ける(ステップS1)。次に、各カメラユニットB30,C40の人感センサ31,41から侵入者などを検出した検出入力信号を受け付けるまで待って(ステップS2:No)、受け付けた場合(ステップS2:Yes)は、検出入力信号を出力したカメラユニット(以下、「該当カメラユニット」と呼ぶ。)のランプユニットを制御してランプを点灯させ(ステップS3)、この該当カメラユニットにおいて監視対象である侵入者などを捕捉した静止画を撮影させる(ステップS4)。
【0038】
そして、あらかじめ登録してある携帯電話機60(または携帯電話機70)と通信を開始し(ステップS5)、該当カメラユニットから動画にて映像信号を取得し(ステップS6)、音声出力あるいは音声入力が可能となるように音声信号の入出力を開始して(ステップS6)、携帯電話機60(または携帯電話機70)との間で映像信号及び音声信号を転送し(ステップS7)、双方向による通信をおこなう。なお、登録してある携帯電話機が複数ある場合は、登録順に通信を試みて通信可能となった段階の携帯電話機のみと通信をおこなう。また、この状態のときは、監視者の携帯電話機と該当ユニットとの間で音声会話が可能となるため、例えば侵入者などを音声により威嚇することも可能となる。
【0039】
この通信中において、コントローラ10によって、侵入者などが該当カメラユニットの監視空間から離れて検出入力信号が得られなくなり途切れたか否かを判断し(ステップS8)、途切れたと判断した場合(ステップS8:Yes)は、上記ステップS2へ移行して検出入力信号の受け付けを待機する。すなわち、この段階において次に新たな検出入力信号が得られた場合には、その検出入力信号を出力したカメラユニットが該当カメラユニットとなり、上記ステップS3〜ステップS7によってこの該当カメラユニットと携帯電話機60(または携帯電話機70)との間で双方向の通信がおこなわれる。このため、携帯電話機60,70側でカメラユニットB30,C40の切り替えを指示しなくても自動的に侵入者などを捕捉して映像及び音声による通信をおこなうことができる。
【0040】
一方、途切れていないと判断した場合(ステップS8:No)は、携帯電話機60(または携帯電話機70)からの指示に関する指示入力信号によって通信を終了するか否かを判断し(ステップS9)、通信を終了しないと判断した場合(ステップS9:No)は、上記ステップS7へ移行して双方向の通信を継続する。通信を終了すると判断した場合(ステップS9:Yes)は、本フローチャートによる一連の外出モード時の監視処理を終了する。次に、本実施形態の監視システム1における在宅モード時の監視処理について説明する。
【0041】
図4に示すように、まず、コントローラ10によって、監視者により室内ユニット50の在宅設定ボタン57が押下されたことによる操作入力信号を入力することにより、在宅モードの設定を受け付ける(ステップS11)。次に、カメラユニットA20のスイッチ21を押下することによる来訪者などの操作入力に伴う検出入力信号を受け付けるまで待って(ステップS12:No)、受け付けた場合(ステップS12:Yes)は、カメラユニットA20において監視対象である来訪者などを捕捉した静止画を撮影させる(ステップS13)。
【0042】
そして、室内ユニット50と通信を開始し(ステップS14)、カメラユニットA20から動画にて映像信号を取得し(ステップS15)、室内ユニット50における図示しないボタンなどを監視者が操作することにより得られた操作入力信号に基づいて音声出力あるいは音声入力が可能となるように音声信号の入出力を開始して(ステップS15)、室内ユニット50との間で映像信号及び音声信号を転送し(ステップS16)、双方向による通信をおこなう。
【0043】
この通信中において、監視者が室内ユニット50におけるスイッチ52〜54などを操作することによる指示に関する指示入力信号によってカメラユニットA20,B30,C40の切替指示があったか否かを判断し(ステップS17)、切替指示があった場合(ステップS17:Yes)は、切替信号処理回路12によってカメラユニットを切り替えるとともに(ステップS18)、上記ステップS13へ移行する。
【0044】
一方、切替指示がなかった場合(ステップS17:No)は、室内ユニット50からの通信終了指示に関する指示入力信号によって通信を終了するか否かを判断し(ステップS19)、通信を終了しないと判断した場合(ステップS19:No)は、上記ステップS16へ移行して双方向の通信を継続する。通信を終了すると判断した場合(ステップS19:Yes)は、本フローチャートによる一連の在宅モード時の監視処理を終了する。
【0045】
以上述べたように、本実施形態によれば、監視装置が複数のカメラユニットA20,B30,C40により構成され、例えば室内ユニット50においてあらかじめユーザによって外出設定がなされているときは、侵入者などを検出した検出入力信号を受け付けるごとに、例えばカメラユニットB30,C40からの映像信号及び音声信号を携帯電話機60(または携帯電話機70)が自動的に取得することができる。このため、ユーザが携帯電話機60(または携帯電話機70)から複数のカメラユニットB30,C40の切り替え指示をおこなわなくても侵入者などを捕捉し続けることができる。これにより、簡単な構成で遠隔地からも時間的に格差なく侵入者などを遠隔監視するとともにライブ感覚で連絡をとることができ、利便性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、監視装置が複数のカメラユニットA20,B30,C40により構成され、例えば室内ユニット50においてあらかじめユーザによって在宅設定がなされているときは、来訪者などを検出した検出入力信号を受け付けると、カメラユニットA20からの映像信号及び音声信号を室内ユニット50にてモニタリングすることができるとともに、カメラユニットB30,C40などに適宜切り替えて映像信号及び音声信号のモニタリングをすることができ、利便性を向上させることができる。
【0047】
なお、各カメラユニットA20,B30,C40によって取得された映像信号及び音声信号は、図示しない記憶装置に一時的あるいは恒久的に保存することによって、通信が終了した後においてもこれらの情報を利用することができるようにしても良い。また、コントローラ10にLAN経由でパーソナルコンピュータを接続し、室内ユニット50の代わりに、あるいは室内ユニット50とともにモニタリングをおこなうことができるようにしても良い。この場合、コントローラ10における各種設定の変更作業などはパーソナルコンピュータからおこなえるように構成すれば、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る監視システムの基本的構成の一例を示す説明図である。
【図2】同監視システムにおける監視サーバの制御ユニットのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】同監視システムにおける監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】同監視システムにおける監視処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1…監視システム、10…コントローラ、11…制御ユニット、12…切替信号処理回路、13…映像分配器、14…CPU、15…ROM、16…RAM、17…映像I/F、18…音声I/F、19…信号入出力I/F、20…カメラユニットA、21,52,53,54…スイッチ、22,32,42,55…マイク/スピーカ、30…カメラユニットB、31,41…人感センサ、33,43…ランプユニット、50…室内ユニット、56…外出設定ボタン、57…在宅設定ボタン、60,70…携帯電話機、80…外部通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置からの当該対象認識信号の入力を受け付ける受付手段と、
該受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられたことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報、及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得手段と、
前記受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信手段とを備えた
ことを特徴とする監視サーバ。
【請求項2】
前記監視装置は所定の構内に設けられた監視ユニットであり、
該監視ユニットは、前記構内における複数の異なる場所に設置され、前記対象認識手段として人感センサをそれぞれ有し、
あらかじめユーザによって前記構内に不在であることを示す外出設定がなされているときは、前記受付手段によって複数の監視ユニットのいずれかからの前記対象認識信号を受け付けるごとに、前記取得手段が前記映像情報及び前記音声情報を取得する取得対象とされる監視ユニットを、前記受付手段が受け付けた前記対象認識信号を出力した監視ユニットに切り替える切替手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1記載の監視サーバ。
【請求項3】
複数の前記監視ユニットは、それぞれ監視空間に向けて照明光を照射する照明装置における照明光の照射/非照射を切り替える照明機能を有し、該照明機能は、前記対象認識手段による前記監視対象の認識時に連動して動作することを特徴とする請求項2記載の監視サーバ。
【請求項4】
前記監視装置は所定の構内に設けられたインターフォン子機であり、
前記インターフォン子機は、前記対象認識手段としてボタンスイッチを有し、
あらかじめユーザによって前記構内に在宅していることを示す在宅設定がなされているときは、前記受付手段によって前記インターフォン子機の前記ボタンスイッチへの操作入力による前記対象認識信号が受け付けられると、前記通信手段は、前記情報端末に対して接続要求を発信することなく、インターフォン親機からの指示を示す指示信号に基づいて前記インターフォン子機と前記インターフォン親機との間の双方向通信を確立し、映像情報及び音声情報を転送することを特徴とする請求項1記載の監視サーバ。
【請求項5】
前記監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置と、
該監視装置からの前記対象認識信号の入力を受け付ける受付手段、該受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得手段、及び前記受付手段によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信手段を有する監視サーバとを備えた
ことを特徴とする監視システム。
【請求項6】
前記監視装置は所定の構内に設けられた監視ユニットであり、
該監視ユニットは、前記構内における複数の異なる場所に設置され、前記対象認識手段として人感センサをそれぞれ有し、
前記監視サーバは、
あらかじめユーザによって前記構内に不在であることを示す外出設定がなされているときは、前記複数の監視ユニットのいずれかからの前記対象認識信号を前記受付手段が受け付けるごとに、前記切替手段が前記取得手段により前記映像情報及び前記音声情報を取得する取得対象とされる監視ユニットを、前記受付手段が受け付けた前記対象認識信号を出力した監視ユニットに切り替える
ことを特徴とする請求項5記載の監視システム。
【請求項7】
前記監視装置は所定の構内に設けられたインターフォン子機であり、
前記インターフォン子機は、前記対象認識手段としてボタンスイッチを有し、
前記監視サーバは、
あらかじめユーザによって前記構内に在宅であることを示す在宅設定がなされているときは、前記インターフォン子機の前記ボタンスイッチへの操作入力による前記対象認識信号が前記受付手段によって受け付けられると、前記通信手段が前記情報端末に対して接続要求を発信することなく、インターフォン親機からの指示を示す指示信号に基づいて前記インターフォン子機と前記インターフォン親機との間の双方向通信を確立し、映像情報及び音声情報を転送する
ことを特徴とする請求項5記載の監視システム。
【請求項8】
監視空間における監視対象を撮像する撮像手段、前記監視対象への音声出力及び前記監視対象からの音声入力をおこなう音声入出力手段、及び前記監視対象を認識したことに応じて対象認識信号を出力する対象認識手段を有する監視装置からの当該対象認識信号の入力を受け付ける受付工程と、
該受付工程によって前記対象認識信号が受け付けられたことに基づき、前記撮像手段により撮像された映像情報、及び前記音声入出力手段による音声入力により得られた音声情報を取得する取得工程と、
前記受付工程によって前記対象認識信号が受け付けられた場合に、登録されたユーザの情報端末に対して接続要求を発信し、該接続要求に当該情報端末が応じたことにより確立された前記監視装置と前記情報端末との間の双方向通信によって、前記取得手段により取得された前記映像情報及び前記音声情報を前記情報端末に転送するとともに、前記情報端末からの映像情報及び音声情報を受信して前記監視装置に転送する通信工程とを備えた
ことを特徴とする監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−323533(P2007−323533A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−155368(P2006−155368)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000103633)オーデリック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】