説明

監視システム、監視サーバー、及び、監視方法

【課題】監視対象者における徘徊や迷子などの異常を、容易かつ的確に報知できるようにする。
【解決手段】携帯端末1は、自装置の状態を検知し、検知した状態を示す状態情報を監視サーバー2に通知し、監視サーバー2は、携帯端末1から通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索し、近傍に所定数以上の他の携帯端末1が位置する場合には異常を報知せず、近傍に所定数以上の他の携帯端末1がない場合は異常を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視サーバー、及び、監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子供や老人などの監視対象者を監視する監視システムが知られている。この種のシステムは、例えば、監視対象者が所有する携帯電話等の携帯端末からの通信をもとに、予め定められたエリア外に監視対象者が移動したことを検知して、徘徊や迷子などの監視対象者の異常を報知する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−328018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、監視対象者が携帯端末を所持する衆人の中に居て、実際には徘徊や迷子などではない場合であっても、予め設定されたエリア外に監視対象者が移動するだけで徘徊や迷子などの異常と報知されてしまうという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に判定し、不要な報知を抑え、必要な報知を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、複数の携帯端末と、複数の前記携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーとを有する監視システムであって、複数の前記携帯端末は、自装置の状態を検知する状態検知手段と、検知した状態を示す状態情報を前記監視サーバーに通知する通知手段とを備え、前記監視サーバーは、前記携帯端末から通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定手段と、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に位置する他の携帯端末を探索する探索手段と、前記状態判定手段に所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の携帯端末が自装置の状態を検知して監視サーバーに通知し、監視サーバーが、通知された状態情報に基づいて予め設定された所定の状態を示すか否かを判定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末については、近傍に所定数以上の他の携帯端末がない場合に、異常を報知する。したがって、他の携帯端末を所持する衆人の近傍にあって、実際には徘徊や迷子などではない場合には異常の報知を行わず、携帯端末を所持する衆人が近傍にいない場合に異常の報知を行うことから、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に報知できる。
【0006】
また、本発明は、上記監視システムにおいて、前記監視サーバーは、複数の前記携帯端末ごとに、これら複数の前記携帯端末が属するグループを設定するグループ設定手段を更に備え、前記報知手段は、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に同じグループの前記携帯端末が所定数以上位置する場合に異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に同じグループの携帯端末が所定数以上位置しない場合は異常を報知することを特徴とする。
本発明によれば、複数の携帯端末が属するグループを設定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末の近傍に、同じグループに設定された他の携帯端末が所定数以上ある場合には異常を報知しない。これにより、例えば集団で登下校する児童または生徒が所持する携帯端末を同一のグループとして設定することで、登下校中に他の子供とはぐれた場合の報知などを行うことが可能となる。従って、異常を報知すべき状態か否かをより適切に判定し、的確な報知を行うことができる。
【0007】
また、本発明は、上記監視システムにおいて、前記携帯端末が備える前記状態検知手段は自位置を検知し、前記通知手段は前記状態検知手段により検知した自位置を前記監視サーバーに通知し、前記監視サーバーが備える前記探索手段は、複数の前記携帯端末の各々から通知された位置をもとに、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に位置する他の前記携帯端末を探索することを特徴とする。
ここで、自位置を検知する方法としては、例えば、GPS衛星から送信された電波を受信して自位置を演算処理により求める方法、この携帯端末と通信可能な位置検出用標準局(例えば、携帯通信網の基地局や無線LANのアクセスポイント等)からの距離を電波強度に基づいて求めることで、自位置を算出する方法、或いは、これらの方法を組み合わせることが考えられる。
本発明によれば、各々の携帯端末が検知した各携帯端末の位置に基づいて、携帯端末の探索を行い、的確な報知を行うことができる。
【0008】
また、本発明は、上記監視システムにおいて、複数の前記携帯端末は、それぞれ所定の通信エリアを有する複数の基地局のうち、いずれかの基地局を介して前記監視サーバーと通信接続し、前記監視サーバーが備える前記探索手段は、前記状態判定手段により判定された前記携帯端末と同一または近接する前記基地局と通信する携帯端末を、当該携帯端末の近傍に位置する携帯端末として探索することを特徴とする。
本発明によれば、例えば複数の基地局で通信エリア(セル)をカバーする携帯電話(セルラーフォン)や、店舗や駅などに設置された基地局(アクセスポイント)を介して通信する公衆無線LANなどの通信システムを用いて本発明を構成する場合に、所定の状態を示すと判定された携帯端末の近傍に位置する他の携帯端末を容易に探索できる。
【0009】
また、本発明は、上記監視システムにおいて、前記状態検知手段は、自装置の移動速度または加速度の状態を検知し、前記状態判定手段は、通知された前記携帯端末の移動速度または加速度が予め設定された値を超えた状態であるか否かを判定することを特徴とする。
本発明によれば、携帯端末を所持する監視対象者が移動する状態あるいは監視対象者の動作の状態に基づいて、異常の報知を行うことができる。
【0010】
また、本発明は、上記監視システムにおいて、前記監視サーバーは、前記携帯端末ごとに報知先を設定する報知先設定手段を更に備え、前記報知手段は、前記報知先設定手段により設定された報知先へ異常を報知することを特徴とする。
本発明によれば、予め設定された報知先に、携帯端末を所持する監視対象者についての状況を報知できる。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、複数の携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーであって、前記携帯端末より通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定手段と、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された携帯端末の近傍に位置する携帯端末を探索する探索手段と、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、監視サーバーは、複数の携帯端末が自装置の状態を検知して通知した状態情報に基づいて、予め設定された所定の状態を示すか否かを判定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末については、近傍に所定数以上の他の携帯端末がない場合に、異常を報知する。したがって、他の携帯端末を所持する衆人の近傍にあって、実際には徘徊や迷子などではない場合には異常の報知を行わず、携帯端末を所持する衆人が近傍にいない場合に異常の報知を行うことから、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に報知できる。
【0012】
また、上記課題を解決するため、本発明は、複数の携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーによる監視方法であって、前記携帯端末より通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定ステップと、前記状態判定ステップにより所定の状態を示していると判定された携帯端末の近傍に位置する携帯端末を探索する探索ステップと、前記状態ステップで所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定ステップで所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知ステップと、を含むことを特徴とする監視方法。
本発明の監視方法によれば、複数の携帯端末が自装置の状態を検知して監視サーバーに通知し、監視サーバーが、通知された状態情報に基づいて予め設定された所定の状態を示すか否かを判定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末については、近傍に所定数以上の他の携帯端末がない場合に、異常を報知する。したがって、他の携帯端末を所持する衆人の近傍にあって、実際には徘徊や迷子などではない場合には異常の報知を行わず、携帯端末を所持する衆人が近傍にいない場合に異常の報知を行うことから、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に報知できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯端末を所持する監視対象者の状態に関する異常の報知を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかる監視システムの構成を示す図である。
【図2】携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図3】監視サーバーの構成を示すブロック図である。
【図4】監視サーバーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、実施形態にかかる監視システムの構成を示す図である。
図1に示すように、監視システム100は、子供や老人などの監視対象者を含む人物Hの各々が保有する携帯端末1と、インターネットやWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNTを介して携帯端末1と通信可能に接続する監視サーバー2、端末装置3を備える構成である。携帯端末1は、携帯電話(セルラーフォン)やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯型の端末装置であってよく、移動体通信や、公衆無線LAN(Local Area Network)などの通信システムを用い、通信ネットワークNTを介して監視サーバー2と通信可能な構成であればいずれであってもよい。具体的には、携帯端末1は、所定の通信エリアA(セルラーフォンにおけるセル、公衆無線LANにおけるアクセスエリア等)を有する複数の基地局Bの中の、いずれかの基地局Bを介して通信ネットワークNTと接続し、その通信ネットワークNTを介して監視サーバー2と通信する。なお、本実施形態では携帯電話を例にして説明する。
また、携帯端末1は、GPS衛星ST(GPS:Global Positioning System)が送信するGPS信号SGを受信し、受信したGPS信号SGをもとに自らの位置を測位する。監視サーバー2は、例えばWS(Work Station)等の情報機器である。監視サーバー2は、通信ネットワークNTを介して通信する携帯端末1の保有者(子供や老人などの監視対象者)に異常が生じた場合に、その保有者の異常を端末装置3などに報知する(詳細は後述する)。端末装置3は、例えばPC(Personal Computer)や携帯電話などの情報機器であり、監視対象者を監視する監視者(子供の保護者等)が利用する。
【0016】
図2は、携帯端末1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯端末1は、主として、CPU10と、不揮発性メモリーであるROM11と、揮発性メモリーであるRAM12と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である表示部13と、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスである操作部14と、所定の通信プロトコルを用いた基地局Bとの通信や、GPS衛星STが送信するGPS信号SGの受信を行う通信部15と、自装置の加速度を検知する加速度センサー16とを備えている。携帯端末1では、CPU10がROM11などに記憶されたファームウェアを実行して各部を制御することで、基地局Bを介した通信等の携帯電話としての機能を実現する。また、携帯端末1は、ソフトウェアとハードウェアとの協働、すなわちCPU10が上述したファームウェアを実行することで、状態検知部101、通知部102としての機能を実現する。
【0017】
状態検知部101(状態検知手段)は、加速度センサー16の検知結果をもとに、携帯端末1の加速度やその加速度を積分して得られる携帯端末1の速度等の携帯端末1の状態を検知する。例えば、状態検知部101の検知結果により携帯端末1の加速度や速度の値が大きい場合は、携帯端末1を保有する保有者が車や電車などで移動している状態であることを検知できる。
なお、本実施形態では、携帯端末1の状態として速度、加速度を状態検知部101で検知する構成を例示するが、状態検知部101は、照度センサーや温度センサーなどにより携帯端末1の周囲の照度や温度の状態を検知してもよい。
また、状態検知部101は、通信部15がGPS衛星STより受信したGPS信号SGをもとに、自装置の位置を検知する。具体的には、状態検知部101は、複数のGPS衛星STより受信したGPS信号SGから各々のGPS衛星STに対する距離を算出し、算出した各々のGPS衛星STに対する距離から自装置の位置を測位する3次元測位により、自装置の位置を検知する。なお、状態検知部101が、複数の基地局Bとの間で通信を行い、各基地局の位置と各基地局から受信した電波の強度とに基づいて、自装置の位置を検出してもよいし、この方法とGPS衛星から受信した電波に基づく演算処理とを併用して、自装置の位置を検出してもよい。
【0018】
通知部102(通知手段)は、状態検知部101が検知した検知結果を、通信部15を介して通信接続する監視サーバー2に通知する。具体的には、通知部102は、ROM11などに設定された通信ネットワークNT上における監視サーバー2のアドレスを読み出し、所定の通信プロトコルにしたがって状態検知部101が検知した加速度や速度などの値を監視サーバー2に通知する。例えば、監視サーバー2への通知は、SMS(ショートメッセージサービス)やMMS(メールメッセージサービス)などで行われてよい。また、監視サーバー2への通知は、予め設定された時間間隔ごとに行われてもよいし、状態検知部101が検知した結果に変化があったタイミングで行われてもよい。
【0019】
図3は、監視サーバー2の構成を示すブロック図である。図3に示すように、監視サーバー2は、主として、CPU20と、不揮発性メモリーであるROM21と、揮発性メモリーであるRAM22と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である表示部23と、キーボード、マウス等の入力デバイスである操作部24と、通信ネットワークNTを介して所定の通信プロトコルを用いた通信を行う通信部25と、HDD(Hard Disk Drive)等の大規模記憶装置としての記憶部26とを備えている。CPU20は、ROM21や記憶部26に記憶されたプログラムを実行して各部を制御することで、監視サーバー2の動作を中央制御する。具体的には、CPU20が上述したプログラムを実行して、状態判定部201、探索部202、報知部203、グループ設定部204としての機能を実現する。
【0020】
記憶部26は、携帯端末1ごとの位置にかかる情報である携帯端末位置情報261、携帯端末1ごとの、携帯端末1が属するグループを示す情報であるグループ設定情報262、携帯端末1ごとの、携帯端末1の保有者に異常の報知先の情報である報知先設定情報263を記憶する。
携帯端末位置情報261は、携帯端末1にユニークに割り当てられた識別情報ごとに、経度・緯度、住所名などで携帯端末1の現在位置を記述したファイルである。携帯端末位置情報261における携帯端末1の現在位置については、携帯端末1からの通知や、どの通信エリアAを有する基地局Bと通信を行っているかをもとに更新される。具体的には、通知元の携帯端末1に割り当てられた識別情報をもとに、携帯端末1の状態検知部101が検知して通知部102より通知された携帯端末1の位置で、携帯端末位置情報261に記述されている携帯端末1の現在位置を更新する。また、携帯端末1が通信を行っている基地局Bの位置や、その基地局Bが有する通信エリアAにかかる情報を、基地局Bを管理する通信事業者のサーバー装置などから取得して、携帯端末位置情報261に記述されている携帯端末1の現在位置を更新してもよい。
グループ設定情報262は、携帯端末1にユニークに割り当てられた識別情報ごとに、携帯端末1が属するグループを示すグループ識別情報を記述したファイルである。このグループ設定情報262は、グループ設定部204の設定により情報の更新が行われる(詳細は後述する)。
報知先設定情報263は、後述するように、携帯端末1にユニークに割り当てられた識別情報ごとに、報知先の情報を記述したファイルである。報知先の情報は、例えば通信ネットワークNT上における端末装置3のアドレスや、端末装置3を利用するアカウント宛のメールアドレス等である。報知先設定情報263は、報知先設定部205の設定により情報の更新が行われる。
【0021】
状態判定部201(状態判定手段)は、携帯端末1の状態検知部101が検知して通知部102より通知された携帯端末1の状態が、予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する。具体的には、状態判定部201は、状態検知部101が検知して通知部102より通知された携帯端末1の加速度や速度が予め設定された値よりも大きいか否かを判定する。これにより、状態判定部201は、携帯端末1の加速度や速度が予め設定された値よりも大きく、携帯端末1を保有する保有者が車や電車などで移動している状態であるか否かなどを判定できる。例えば、携帯端末1を保有する保有者が子供などであり、通常は徒歩で登下校を行う場合には、状態判定部201により車や電車などで移動している状態を判定することで、通常の登下校とは異なる警戒すべき状態であるか否かを判定できる。なお、状態判定部201が判定の基準とする所定の状態は、携帯端末1の状態をもとに携帯端末1の保有者が置かれている状態が警戒すべき状態であるか否かを判断可能なものであれば、携帯端末1の周囲の温度や照度など、上述した携帯端末1の加速度や速度以外の状態であってもよい。
【0022】
探索部202(探索手段)は、予め設定された所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索する。具体的には、探索部202は、記憶部26に記憶された携帯端末位置情報261を参照して、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1に対して、所定の距離以内に存在する他の携帯端末1の数をカウントする。携帯端末位置情報261には携帯端末1の各々がGPSによる測位によって検知した位置が記述されていることから、探索部202は、携帯端末位置情報261を参照することで、携帯端末1の各々から通知された位置をもとに、所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索できる。また、携帯端末位置情報261には携帯端末1が通信を行っている基地局Bの位置や、その基地局Bが有する通信エリアAにかかる情報が記述されていることから、探索部202は、携帯端末位置情報261を参照することで、所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1が通信する基地局Bまたはその基地局Bと近接する基地局Bと通信する他の携帯端末1を、近傍に位置する携帯端末として探索できる。
【0023】
報知部203(報知手段)は、探索部202による探索結果をもとに、予め設定された所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1の近傍に所定数以上の携帯端末1が位置しない場合に、所定の状態を示していると判定された携帯端末1を保有する保有者にかかる異常を報知する。なお、報知部203は、所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に所定数以上の携帯端末1が位置する場合には上述した異常を報知しない。したがって、監視サーバー2では、監視対象者の異常を検知するためのエリアなどを予め設定しておく必要がない。また、携帯端末1を所持する衆人の近傍にあって、実際には徘徊や迷子などではない場合には異常の報知を行うことなく、携帯端末1を所持する衆人の近傍にない場合に異常の報知を行うことから、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を、容易かつ的確に報知できる。
【0024】
なお、報知部203による異常の報知は、携帯端末1の表示部23などに警告画面を表示して行ってもよいし、報知先設定情報263に設定された報知先の端末装置3にSMSやMMSなどで通知してもよい。例えば、報知先の端末装置3として保護者などが使用する端末装置を報知先設定情報263に予め設定することで、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に保護者に通知可能となる。また、報知部203は、グループ設定情報262を参照することで、所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に、その携帯端末1と同じグループとして設定された他の携帯端末1が所定数以上位置しない場合に異常の報知を行い、所定数以上位置する場合には異常の報知を行わなくてもよい。この場合は、例えば登下校などが同じ子供同士が保有する携帯端末1を同一のグループとしてグループ設定情報262に設定しておくことで、登下校中に他の子供とはぐれた場合の報知を行うことが可能となる。
【0025】
グループ設定部204(グループ設定手段)は、表示部23に表示した設定画面で行われる操作部24による操作指示や、ウエブブラウザーなどにより通信ネットワークNTを介して通信接続する端末装置3より入力された操作指示などをもとに、携帯端末1ごとに、その携帯端末1が属するグループの設定をユーザー(監視者)より受け付けて、受け付けた情報をもとにグループ設定情報262を更新する。例えば、識別情報が割り当てられた携帯端末1の一覧から、グループの設定を行う携帯端末1の選択を受け付け、選択された携帯端末1のグループを選択操作などで設定してよい。保護者などの監視者は、一緒に登下校を行う子供同士など、同じ行動をする携帯端末1の保有者同士を同じグループに設定しておくことで、例えば登下校中に他の子供とはぐれた場合の報知などを報知部203に的確に行わせることが可能となる。
【0026】
報知先設定部205(報知先設定手段)は、表示部23に表示した設定画面で行われる操作部24による操作指示や、ウエブブラウザーなどにより通信ネットワークNTを介して通信接続する端末装置3より入力された操作指示などをもとに、携帯端末1ごとに、報知先とする端末装置3の設定をユーザー(監視者)より受け付けて、受け付けた情報をもとに報知先設定情報263を更新する。例えば、識別情報が割り当てられた携帯端末1の一覧から、報知先の設定を行う携帯端末1の選択を受け付け、選択された携帯端末1の報知先である端末装置3のアドレスや、端末装置3を利用するアカウント宛のメールアドレスなどの入力を受け付けて、報知先設定情報263の更新を行う。保護者などの監視者は、例えば自らが使用する端末装置3やメールアドレスなどを報知先として設定しておくことで、監視対象者である携帯端末1の保有者の異常が的確に自分宛に届くようにすることが可能となる。
【0027】
次に、図4を参照して、監視サーバー2の具体的な動作の流れを説明する。図4は、監視サーバー2の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、処理が開始されると、CPU20は、状態判定部201の判定結果をもとに、所定の状態の携帯端末1が存在するか否かを判定する(ステップS1)。所定の状態の携帯端末1が存在しない場合は、S1に処理を戻して待機する。所定の状態の携帯端末1が存在する場合、探索部202は、所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索する(ステップS2)。次いで、報知部203は、探索部202による探索結果をもとに、予め設定された所定の状態を示すと状態判定部201により判定された携帯端末1の近傍に所定数以上の他の携帯端末1が存在するか否かを判定する(ステップS3)。所定の状態を示す携帯端末1の近傍に所定数以上の他の携帯端末1が存在しない場合、報知部203は、所定の状態を示す携帯端末1を保有する保有者にかかる異常を報知し(ステップS4)、処理をリターンする。なお、所定の状態を示す携帯端末1の近傍に所定数以上の他の携帯端末1が存在する場合、報知部203は、S4による異常の報知を行うことなく、処理を終了する。監視サーバー2は、図4の動作を、例えば所定時間毎、事前に設定された時刻に到達する毎、携帯端末1が通信する基地局が変わる毎、監視者が使用する端末装置3からの要求がある毎などの所定のタイミングで、繰り返し実行する。
【0028】
以上説明したように、本発明を適用した実施携帯にかかる監視システム100は、複数の携帯端末1と、複数の携帯端末1と通信可能に接続する監視サーバー2とを有し、複数の携帯端末1は、自装置の状態を検知する状態検知部101と、検知した状態を示す状態情報を監視サーバー2に通知する通知部102とを備え、監視サーバー2は、携帯端末1から通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定部201と、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索する探索部202と、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に所定数以上の他の携帯端末1が位置する場合には異常を報知せず、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に所定数以上の他の携帯端末1が位置しない場合は異常を報知する報知部203と、を備える。これにより、複数の携帯端末1が自装置の状態を検知して監視サーバー2に通知し、監視サーバー2が、通知された状態情報に基づいて予め設定された所定の状態を示すか否かを判定し、所定の状態を示していると判定された携帯端末1については、近傍に所定数以上の他の携帯端末1がない場合に、異常を報知する。したがって、携帯端末1を所持する監視対象者が、他の携帯端末1を所持する衆人の近傍にあって、実際には徘徊や迷子などではない場合には異常の報知を行わず、携帯端末1を所持する衆人が近傍にいない場合に異常の報知を行うことから、監視対象者における徘徊や迷子などの異常を的確に報知できる。
【0029】
また、監視サーバー2は、複数の携帯端末1ごとに、これら複数の携帯端末1が属するグループを設定するグループ設定部204を更に備え、報知部203は、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に同じグループの携帯端末1が所定数以上位置する場合に異常を報知せず、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に同じグループの携帯端末1が所定数以上位置しない場合は異常を報知するので、例えば集団で登下校する児童または生徒が所持する携帯端末1を同一のグループとして設定することで、登下校中に他の子供とはぐれた場合の報知などを行うことが可能となる。このように、異常を報知すべき状態か否かをより適切に判定し、的確な報知を行うことができる。
【0030】
また、状態検知部101は自装置である携帯端末1の位置を検知し、通知部102は状態検知部101により検知した自位置を監視サーバー2に通知し、監視サーバー2が備える探索部202は、複数の携帯端末1の各々から通知された位置をもとに、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を探索するので、各々の携帯端末1が検知した各携帯端末1の位置に基づいて、携帯端末1の探索を行い、的確な報知を行うことができる。
さらに、携帯端末1は、それぞれ所定の通信エリアを有する複数の基地局のうち、いずれかの基地局を介して監視サーバー2と通信接続し、監視サーバー2が備える探索部202は、状態判定部201により所定の状態を示していると判定された携帯端末1と同一または近接する基地局と通信する携帯端末1を、当該携帯端末1の近傍に位置する携帯端末1として探索するので、所定の状態を示すと判定された携帯端末1の近傍に位置する他の携帯端末1を容易に探索できる。
さらにまた、状態検知部101は、自装置の移動速度または加速度の状態を検知し、状態判定部201は、通知された携帯端末1の移動速度または加速度が予め設定された値を超えた状態であるか否かを判定する場合に、携帯端末1を所持する監視対象者が移動する状態あるいは監視対象者の動作の状態に基づいて、異常の報知を行うことができる。
また、監視サーバー2は、携帯端末1ごとに報知先を設定する報知先設定部205を更に備え、報知部203は、報知先設定部205により設定された報知先へ異常を報知するので、予め設定された報知先に、携帯端末1を所持する監視対象者についての状況を報知できる。
【0031】
なお、上記実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、携帯端末1が使用する通信回線は携帯電話回線網に限らず、公衆無線LAN等の他の通信システムを介して監視サーバー2と通信可能な構成であってもよい。また、図2及び図3に示した各部はCPUがプログラムを実行することで、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。このため、各機能ブロックはハードウェアの実装形態を限定するものではないし、複数の機能ブロックの機能を一つの機能部が具備する構成とすることも勿論可能である。さらに、上記実施形態においてROM11、ROM21、記憶部26が記憶していたプログラムを図示しない不揮発性メモリーが記憶する構成であってもよいし、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、携帯端末1や監視サーバー2が通信ネットワークを介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶され、これらの装置から携帯端末1や監視サーバー2が上記プログラムをダウンロードして実行してもよい。その他、監視システム100の細部構成については任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0032】
100…監視システム、1…携帯端末、2…監視サーバー、3…端末装置、10…CPU、15…通信部、16…加速度センサー、20…CPU、26…記憶部、101…状態検知部(状態検知手段)、102…通知部(通知手段)、201…状態判定部(状態判定手段)、202…探索部(探索手段)、203…報知部(報知手段)、204…グループ設定部(グループ設定手段)、205…報知先設定部(報知先設定手段)、261…携帯端末位置情報、262…グループ設定情報、263…報知先設定情報、A…通信エリア、B…基地局、NT…通信ネットワーク、SG…GPS信号、ST…GPS衛星。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯端末と、複数の前記携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーとを有する監視システムであって、
複数の前記携帯端末は、
自装置の状態を検知する状態検知手段と、
検知した状態を示す状態情報を前記監視サーバーに通知する通知手段とを備え、
前記監視サーバーは、
前記携帯端末から通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に位置する他の携帯端末を探索する探索手段と、
前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記監視サーバーは、複数の前記携帯端末ごとに、これら複数の前記携帯端末が属するグループを設定するグループ設定手段を更に備え、
前記報知手段は、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に同じグループの前記携帯端末が所定数以上位置する場合に異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に同じグループの携帯端末が所定数以上位置しない場合は異常を報知すること、
を特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記携帯端末が備える前記状態検知手段は自位置を検知し、
前記通知手段は前記状態検知手段により検知した自位置を前記監視サーバーに通知し、
前記監視サーバーが備える前記探索手段は、複数の前記携帯端末の各々から通知された位置をもとに、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に位置する他の前記携帯端末を探索すること、
を特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項4】
複数の前記携帯端末は、それぞれ所定の通信エリアを有する複数の基地局のうち、いずれかの基地局を介して前記監視サーバーと通信接続し、
前記監視サーバーが備える前記探索手段は、前記状態判定手段により判定された前記携帯端末と同一または近接する前記基地局と通信する携帯端末を、当該携帯端末の近傍に位置する携帯端末として探索すること、
を特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項5】
前記状態検知手段は、自装置の移動速度または加速度の状態を検知し、
前記状態判定手段は、通知された前記携帯端末の移動速度または加速度が予め設定された値を超えた状態であるか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の監視システム。
【請求項6】
前記監視サーバーは、前記携帯端末ごとに報知先を設定する報知先設定手段を更に備え、
前記報知手段は、前記報知先設定手段により設定された報知先へ異常を報知すること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の監視システム。
【請求項7】
複数の携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーであって、
前記携帯端末より通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された携帯端末の近傍に位置する携帯端末を探索する探索手段と、
前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定手段により所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする監視サーバー。
【請求項8】
複数の携帯端末と通信可能に接続する監視サーバーによる監視方法であって、
前記携帯端末より通知された状態情報が予め設定された所定の状態を示すか否かを判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップにより所定の状態を示していると判定された携帯端末の近傍に位置する携帯端末を探索する探索ステップと、
前記状態ステップで所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置する場合には異常を報知せず、前記状態判定ステップで所定の状態を示していると判定された前記携帯端末の近傍に所定数以上の他の前記携帯端末が位置しない場合は異常を報知する報知ステップと、
を含むことを特徴とする監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−216119(P2012−216119A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81697(P2011−81697)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】