説明

監視システム及びセキュリティ管理システム

【課題】各家屋のホームセキュリティシステムが単独で動作する場合よりも、高いセキュリティを実現できる技術を提供する。
【解決手段】ホームセキュリティシステムと車両とセキュリティ管理システムとから構成される監視システムであり、セキュリティ管理システムは家屋に異常が発生した場合に、その家屋周辺を走行中の車両に対して画像の撮影及び送信を指示する。また、異常発生家屋で撮影された画像から不審者が特定できる場合には、周辺の車両や家屋から送信される画像から不審者の検出を行い、検出された場合には検出位置を中心としてその周辺の車両及び家屋に対して画像の撮影を指示することで、不審者の追跡を行うことも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋に第三者の侵入等の異常が発生した場合に、異常発生個所近隣で協働して画像を収集可能な監視システムおよびセキュリティ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家屋に対するホームセキュリティシステムの導入が進んでいる。各家屋に設置されているホームセキュリティシステムは、警備会社と通信回線で接続されており、家屋に侵入者がいるなどの異常を検知すると、通信回線を利用して警備会社に異常通知を行う。警備会社は、このような異常通知を受け取ると警備員の配備などを行う。また、ホームセキュリティシステムの一部である防犯カメラによって撮影される映像は、後日に捜査資料として利用される。
【0003】
特許文献1には、このようなホームセキュリティシステムを用いて個々の家屋の監視をするだけでなく、周辺家屋に設置されたホームセキュリティシステム間で連携することで、周辺地域のセキュリティを確保する技術が開示されている。この技術によると、ある家屋で異常が検知された場合には、警備会社だけでなく周辺の家屋にも異常を通知する。異常を通知された周辺家屋のホームセキュリティシステムは、セキュリティレベルを上げたり、カメラが撮影している映像の記録装置への記録を開始したりする。このように、各家屋に個別に導入されているホームセキュリティシステムを連携させることで、地域全体でセキュリティを確保することができる。
【特許文献1】特開2007−257113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、各家屋のホームセキュリティシステムが単独で動作する場合よりも、高いセキュリティを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る監視システムは、家屋に設置されたホームセキュリティシステムと、車両に搭載された車載システムと、ホームセキュリティシステム及び車載システムと通信可能なセキュリティ管理システムとから構成される。
【0006】
家屋に設定されるホームセキュリティシステムは、少なくとも、第三者の侵入等の異常を検知可能な検知手段と、動画像(一定の間隔をおいて連続した静止画像)を撮影可能な撮影手段とを含むことが好適である。ホームセキュリティシステムとセキュリティ管理システムとは、電話回線、専用回線、ADSL、無線通信などを介して相互に通信可能である。なお、家屋には、一戸建てや集合住宅などの住家の他、店舗、工場、倉庫その他の建物が含まれる。
【0007】
車載システムは、自車の位置情報を取得する位置情報取得手段と、自車の位置情報をセキュリティ管理システムに通知する位置情報通知手段と、画像を撮影する撮影手段を含む。車載システムは、無線通信機能を有し、直接又は路側機などのアクセスポイントを介してセキュリティ管理システムと通信可能である。
【0008】
車載システムが位置情報取得手段によって取得した自車の位置情報は、位置情報通知手段によってセキュリティ管理システムに通知されるため、セキュリティ管理システムでは車両の走行位置を管理(把握)することができる。
【0009】
ホームセキュリティシステムは、異常を検知する検知手段と、異常の発生をセキュリティ管理システムに通知する異常通知手段を有する。そして、セキュリティ管理システムは、異常発生の通知を受けた際に、異常が発生した家屋の近くに位置する車両に対して、画像の撮影および送信を指示する警戒指示手段を有する。
【0010】
このように、本発明に係る監視システムでは、ホームセキュリティシステムと車両とを連携させて、異常が発生した家屋の近辺に位置する車両に対して映像記録を行わせることができる。これによって、家屋単独のホームセキュリティシステムで映像記録を行う場合に比べて、より高い確率で不審者等が撮影された画像を得ることが可能となり、高いセキュリティを実現することができる。
【0011】
また、本発明におけるセキュリティ管理システムの警戒指示手段は、異常が発生した家屋の近隣家屋に設置されたホームセキュリティシステムに対して、異常の発生を通知すると共に、画像の撮影及び送信を指示することが好ましい。これにより、近隣家屋でも映像の記録が行われ、不審者等が撮影された画像を得る確率がさらに上昇する。また、異常の発生を通知された近隣家屋のホームセキュリティシステムは、住人に異常を警告したり、警戒レベルを上げたりすることが好適である。こうすることにより、各家屋単独のセキュリティが上昇するだけでなく、地域全体のセキュリティの向上が望める。
【0012】
また、車載システムの通信機能は、一般に送信速度に制限があり、動画像をリアルタイムに送信することが困難である。そこで、車載システムは、リアルタイムに画像を送信するために画質(データ容量)を落とした画像を送信することが好適である。このために、車載システムは、撮影した画像を蓄積する画像蓄積手段をさらに有し、セキュリティ管理システムの警戒指示手段から画像の撮影及び送信を指示された場合には、車載システムの撮影手段は所定のフレームレート及び解像度で動画像の撮影を行って、撮影画像を画像蓄積手段に蓄積する。それと同時に、フレームレート及び/又は解像度を低減させてデータ量を抑制した動画像(低精細画像)をリアルタイムにセキュリティ管理システムに送信することが好適である。また、蓄積した高精細画像は、撮影停止後に蓄積画像をセキュリティ管理システムに送信することが好適である。これにより、車載システムの送信容量が少ない場合であってもリアルタイムに画像の提供が行え、かつ、データ量の大きい画像データは後から時間をかけて送信して、後からの捜査のために役立たせることができる。
【0013】
また、本発明に係る監視システムは、車両等から送信される映像から不審者が発見された場合には、不審者が発見された場所近辺でさらに画像の撮影を行うことが好ましい。具体的には、異常を検知したホームセキュリティシステムにおいて撮影された画像から不審者を特定する手段と、車両から送信される画像内に特定された不審者が存在するかを判断する手段とを有する。さらに、警戒指示手段は、車両から送信される画像内に不審者が存在する場合には、その車両の位置の近くの車両に対して画像の撮影及び送信を指示することが好適である。このようにすれば、不審者が逃走(移動)する場合に、逃走経路上の車両が画像の撮影を行うことになり、不審者が撮影された画像を得る確率が向上すると共に、不審者の逃走経路(移動経路)の特定が可能となる。
【0014】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する監視システムとして捉えることができる。また、本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する、ホームセキュリティシステム、車載システム又はセキュリティ管理システムとして捉えることができる。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む映像監視方法、または、かかる方法を実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【0015】
たとえば、本発明の一態様としてのセキュリティ管理システムは、家屋に設置されたホームセキュリティシステムと通信可能なセキュリティ管理システムであって、車両に搭載された車載システムと通信するための通信手段と、前記車載システムから送信される位置情報に基づいて、車両の走行位置を管理する車両位置管理手段と、前記ホームセキュリティシステムから異常の発生を通知された場合に、該ホームセキュリティシステムが設置された家屋の近くに位置する車両に対して、画像の撮影及び送信を指示する警戒指示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各家屋のホームセキュリティシステムが単独で動作する場合よりも、高いセキュリティを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
〈システム構成〉
図1に、本実施形態に係る監視システムのシステム構成を示す。図に示すように本監視システムは、複数の家屋1と複数の車両2とセキュリティ管理システム3とから構成される。
【0019】
家屋1には、ホームセキュリティシステムとして、防犯センサ12,カメラ13、音声/画像端末14及びこれらを統括するホームゲートウェイ11が含まれる。防犯センサ12は、侵入者を検知するために玄関や窓などに取り付けられたドアセンサや窓開閉センサや、室内に設置された人体検知センサなどである。カメラ13は、家屋周辺の画像を撮影する。防犯センサ12とカメラ13は、それぞれ2つ以上設置される場合もある。また、防犯センサ12とカメラ13とは別個の装置である必要はなく、カメラ13に防犯センサ12が内蔵されている場合もある。
【0020】
カメラ13の撮影モードには、低解像度・低フレームレートで画像(以下、低精細画像という)を撮影する低精細モードと、高解像度・高フレームレートで画像(以下、高精細画像という)を撮影する高精細モードの2つのモードがある。カメラ13は、通常時は低精細モードで動作し、低精細画像の撮影を常時行い、これをホームサービスセンター4に送信している。
【0021】
音声/画像端末4は、第三者による侵入等の異常が発生した場合に、家屋内の住人に異常を知らせるために警告音を発したり、カメラ13が撮影している映像を再生するための端末である。また、ホームセキュリティシステムは、侵入者を威嚇するために警告音や光を発する威嚇装置(不図示)を備えていても良い。
【0022】
ホームセキュリティシステム内の各装置は、ホームゲートウェイ11と通信可能に接続されており、ホームゲートウェイ11によって制御可能である。また、ホームセキュリティシステム内の各装置は、ホームゲートウェイ11を介してホームサービスセンター4と通信可能である。ホームゲートウェイ11とホームサービスセンター4との間の通信は、電話回線やADSL回線、ケーブル回線といった有線回線や、無線通信によって行われる。両者間の通信は広帯域なネットワークで接続されており、カメラ13で撮影された高精細画像もリアルタイムに伝送することができる。
【0023】
ホームサービスセンター4は、送受信部41、家屋位置管理部42及び警戒指示部43を含む。ホームサービスセンター4は、送受信部41を介して、各家屋及びプローブセン
ター5と通信可能である。家屋位置管理部42は、各家屋1の位置情報、例えば緯度・経度情報やエリア情報を記憶する。警戒指示部43は、ある家屋で異常が発生した場合に、その周辺家屋に対して警戒を指示する。また、警戒指示部43は、送受信部41を介して、異常が発生したことをプローブセンター5に通知し、プローブセンター5側で周辺領域を走行する車両に警戒指示を出せるようにする。
【0024】
なお、図1では、ホームサービスセンター4の機能として本実施形態に必要最低限のもののみを示している。ホームサービスセンター4は、上記以外にも、各家屋1から常時送信される低精細画像を再生し、監視員が監視するための画像再生装置などを含んでも良い。また、異常が発生したときなどに警備員を派遣するための警備員手配装置などを含んでも良い。
【0025】
車両2は、車載機21、カメラ24及びGPS装置25を含む。車載機21は、画像蓄積部22及び送受信部23を含む。画像蓄積部22は、カメラ24によって撮影された画像を蓄積する。送受信部23は、無線通信によってプローブセンター5と通信する。送受信部23が利用する無線通信方式としては種々の方式が採用可能である。送受信部23は、例えば、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)、IEE
E802.11a/b/g/nなどの無線LAN、IEEE802.16e(モバイルWiMax)、IEEE802.20などを利用することができる。なお、送受信部23とプローブセンター5との間の通信は、全ての通信経路が無線通信であっても良く、一部に有線の通信経路が介在しても良い。
【0026】
カメラ24は、車外の映像(動画)を撮影するカメラである。カメラ24によって撮影された画像は、比較的高フレームレートで高解像度の画像(高精細画像)である。車載機21の送受信部23はこの高精細画像をリアルタイムで伝送するだけのネットワーク帯域がないので、車載機21はカメラ24によって撮影された動画を画像蓄積部22に蓄積し、後から時間をかけてプローブセンター5に送信することにしている。なお、車載機21は、カメラ24によって撮影される動画を、コマ数を落としたり、1枚あたりの解像度を落としたりしてデータ量を少なくするデータ容量削減部26を有する。車載機21は、このようにしてデータ量を少なくした低精細画像を、リアルタイムにプローブセンター5に送信する。
【0027】
GPS装置25は、GPS衛星からの信号を受信することで、自車両の位置(緯度・経度)を取得する。なお、GPS装置25は、GPS衛星信号のみでなく、地図(道路)データとジャイロや加速度センサを併用して、位置を取得しても良い。GPS装置25によって取得された車両2の位置情報は、送受信部23を介して、プローブセンター5に送信される。
【0028】
プローブセンター5は、各車両2をセンサとしてリアルタイムに各地の情報を収集するプローブカーシステムの管理センターである。プローブセンター5は、送受信部51、車両位置管理部52及び警戒指示部53を含む。プローブセンター5は、送受信部51を介して、各車両及びホームサービスセンター4と通信可能である。車両位置管理部52は、車両2から随時送信される位置情報を記憶・管理することで、各車両の位置を常時把握する。警戒指示部53は、ホームサービスセンター4からある家屋で異常が発生したことを通知された場合に、その家屋の周囲を走行する車両に対して画像を撮影して送信するように指示する。
【0029】
なお、図1では、プローブセンター5の機能として、本実施形態に必要最低限の構成のみを示している。プローブセンター5は、各車両から映像以外の情報として、例えば、走行速度やエアバッグの動作、ワイパーの動作などの各種データを収集する機能を有する。
【0030】
本実施形態では、ホームサービスセンター4とプローブセンター5とが連携することによってセキュリティ管理システム3が構成される。このように2つのシステムを連携することでセキュリティ管理システム3を構成するのは、ホームセキュリティに関するシステム(家屋1のホームセキュリティシステムとホームサービスセンター4)と、プローブカーシステム(車両2とプローブセンター5)とが個別に開発・展開されているという現状があるからである。このように個別に展開された2つのシステムを統合する方が、新たにシステムを開発するよりも簡単だからである。ただし、セキュリティ管理システム3を、ホームサービスセンター4とプローブセンター5の機能を両方共に備えた構成としても良い。また、本実施形態におけるホームサービスセンター4およびプローブセンター5の各々は、一つのコンピュータから構成される必要はなく、地理的に離れた複数のコンピュータがネットワークを介して連携することによって構築されていても構わない。
【0031】
〈処理フロー〉
次に、いずれかの家屋で不審者の侵入等の異常が発生した際の処理を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
まず、いずれかの家屋1の防犯センサ12が不審者の侵入等を検知すると、ホームゲートウェイ11はその家屋で異常が発生したことを、ホームサービスセンター4に通知する(S2)。ホームサービスセンター4は、家屋から異常発生通知を受信すると(S4)、家屋位置管理部42を参照することで、その家屋の位置を特定する。また、異常発生通知を受信した時刻を記憶する。そして、ホームサービスセンター4は、プローブセンター5に対して警戒すべき地域の中心位置と、時刻とを送信する(S6)。ここでは、警戒中心位置は異常発生家屋の位置であり、時刻は異常発生時刻である。この通知を受けた後のプローブセンター5の処理はS20以降であるが、これらの処理については後述することにし、ホームサービスセンター4での処理について説明を続ける。
【0033】
ホームサービスセンター4の警戒指示部43は、異常発生家屋(警戒中心位置)を中心とした所定の範囲内の家屋に対して、異常が発生したことを通知すると共に、一定時間の間高精細画像を送信するように指示する(S10)。図3に示すように、異常発生家屋101を中心とする警戒対象地域A内の家屋102に対して、警戒指示が通知される。なお、警戒対象地域Aはあらかじめ定義されており、その範囲(広さ)は適宜設計可能である。
【0034】
警戒指示部43から警戒の指示を受けた家屋1は、音声/画像端末14によって周辺の家屋で異常が発生したことを、住人に対して通知する。また、通常時には低精細モードで稼働しているカメラ13を高精細モードに切り替え、一定時間の間高精細画像を撮影し、リアルタイムにホームサービスセンター4に送信する(S12)。ホームサービスセンター4では、家屋から受信した高精細画像をリアルタイムに再生して、監視員に提供する(S14)。
【0035】
次に、ホームサービスセンター4から異常発生通知(S6)を受けたプローブセンター5の処理について説明する。プローブセンター5の警戒指示部53は、ホームサービスセンター4から異常発生の中心位置と発生時刻を受信する(S20)と、警戒指示部が警戒対象地域を設定する(S22)。図3では、プローブセンター5が設定する警戒対象地域をホームサービスセンター4が設定する警戒対象地域と同じ範囲であるとしているが、家屋と車両とで警戒対象地域の範囲が異なっていても構わない。例えば、車両用の警戒対象範囲を、住居用の警戒対象範囲よりも広くすることも好ましい。警戒指示部53は、次に、所定時間のタイマーを設定する(S24)。そして、現在警戒対象地域A内に位置している車両202に対して、画像(高精細画像)の撮影・蓄積を指示すると共に、リアルタ
イムに低精細画像を送信するよう指示する(S26)。ここで、プローブセンター5は、車両から常時位置情報を受信し、車両位置管理部52で管理しているので、各車両の現在位置を把握している。したがって、警戒指示部53は、車両位置管理部52を参照することで、警戒対象地域A内に位置している車両を特定することができる。
【0036】
車両2は、プローブセンター5から画像撮影指示を受信すると、カメラ24を用いて画像の撮影を開始する(S28)。カメラ24によって撮影された高精細画像は、データ容量と通信速度の関係でリアルタイムに送信できないので、画像蓄積部22に蓄積する(S30)。一方、データ容量削減部26が、フレームレートを落としたり解像度を落とすことでデータ量を削減した低精細画像を作成し、送受信部23がこの低精細画像をリアルタイムにプローブセンター5に送信する(S30)。なお、撮影指示を受けた車両は、所定の期間撮影を継続し、この期間が終了したら画像の撮影・記録を終了する(S36)。そして、画像蓄積部22に蓄積した高精細画像を、プローブセンター5に送信する(S38)。
【0037】
プローブセンター5は、車両2から低精細画像を受信すると、それをホームサービスセンター4へ送信する(S32)。ホームサービスセンター4では、この低精細画像をリアルタイムに再生して、監視員に提供する(S14)。
【0038】
プローブセンター5では、車両に対して警戒指示をした後、タイマーを減算し(S34)、まだタイマーが継続していればS26へ戻る。そして、次の時刻で、警戒対象地域A内に位置している車両に対して画像の撮影・記憶を指示する。このようにすることで、タイマーが継続している間、警戒対象地域A内での画像を得ることができる。
【0039】
タイマーが終了したら、車両に対する撮影指示を終了する。そして、車両から送信される高精細画像を受信したら、その画像をホームサービスセンター4へ送信する(S40)。高精細画像を受信したホームサービスセンター4は、車両からの高精細画像および家屋からの構成画像を、捜査等の資料として使えるように保存する(S42)。
【0040】
〈作用/効果〉
このように、ある家屋で第三者の侵入等の異常を検知した場合に、近隣の家屋および近隣を走行中の車両に通知し、それら家屋及び車両のカメラを使って画像の撮影を行う。これらの画像を集約・解析することで、一戸の家屋における防犯システムを単独で動作させるよりも、より高い確率で不審者が映った画像を記録することができ、地域全体での防犯が可能となる。
【0041】
また、ホームネットワークシステム(家屋1とホームサービスセンター4)と、プローブカーシステム(車両2とプローブカーシステム5)とが、それぞれ個別に導入済みである場合、これらを連携する仕組みを作るだけでよいので、構築が容易である。
【0042】
また、ホームネットワークシステムとプローブカーシステムの両方とも、サービス提供初期には対象となる家屋・車両が少なく、入手できる情報(本実施形態では画像)が少ないという欠点を持つが、両者が連携することで、より高密度にノードが配置されることになり、より多くの情報の取得が可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、上記第1の実施形態の機能に加えて、得られる画像から不審者を検出して追跡する。本実施形態では、第1の実施形態と比較して、ホームサービスセンター4での処理が追加されるので、図4のフローチャートを参照して、主に、ホームサービスセンター4での処理について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで、ホームサービス
センター4以外での処理は共通するため、図4ではホームサービスセンター4の処理のみを示している。なお、図4のフローチャートは、図2のフローチャートに、ステップS102とS104が追加されている点が異なっている。
【0044】
まず、家屋1で異常が発生すると、ホームサービスセンター4はその通知を受ける(S2,S4)。家屋1のカメラ13は、通常時には、低精細モードで撮影を行いその画像をホームサービスセンター4に送信している。ホームサービスセンター4は、家屋1から異常通知を受け取ると、その家屋から受信していた低精細画像から不審者の検出を行う(S102)。この不審者検出は、画像から顔検出を行うことで、コンピュータが自動で不審者の特徴を特定しても良い。また、低精細画像を画面上に表示し、監視員が不審者の顔が映っている画像の領域を指定することで、不審者の特徴を特定しても良い。このようにして、異常が発生したときに不審者を検出して、その特徴を抽出する。なお、ここでは各家屋が通常時に低精細画像を常時ホームサービスセンター4に送信しているものとして説明したが、各家屋は最新の所定期間(例えば、30分間)の画像を家屋1内に録画しておくものとし、異常が発生した場合にまとめてホームサービスセンター4に送信する構成としても構わない。この場合、ホームサービスセンター4はまとめて送信された画像から不審者を検出・特定する。
【0045】
以降の動作では、第1の実施形態と同様に、異常発生家屋の場所を中心として、その近辺の家屋及び車両に警戒指示がなされ、これらの家屋及び車両から画像がホームサービスセンター4に送信される(S6〜S14)。そして、ホームサービスセンター4は、家屋からリアルタイムに送信される高精細画像、及び、車両からリアルタイムに送信される低精細画像から、ステップS102で特定した不審者の検出を行う(S104)。この検出は、画像から顔検出・顔認識を行うことで実現できる。ここで、不審者が検出できた場合(図5(A))には、不審者検出位置を新たな警戒中心位置として、車両および家屋に対して画像の撮影を指示する(図5(B))。このように、不審者を特定し、撮影画像から不審者が検出された場合には、その位置を新たな警戒中心として画像の撮影を行うことで、不審者の追跡が可能となる。したがって、不審者の逃走経路を特定することが可能となる(図5(C))。
【0046】
家屋が高精細画像を送信している時間内および、車両が低精細画像を送信している時間内にこれらの画像から不審者を検出できない場合には、追跡を終了する。
【0047】
なお、上記の説明では、不審者の特定および検出に顔認識を利用する例を説明しているが、顔以外の器官に着目して不審者を特定しても良く、衣服等に着目して不審者の特定をしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1、2の実施形態に係る監視システムの構成を示した図である。
【図2】第1の実施形態に係る監視システムの処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】家屋で異常が発生した場合に、映像の撮影が指示される家屋及び車両の範囲を示した図である。
【図4】第2の実施形態に係る監視システムの処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る監視システムにおいて、不審者の追跡を説明する図である。
【符号の説明】
【0049】
1 家屋
2 車両
3 セキュリティ管理システム
4 ホームサービスセンター
5 プローブセンター
A 警戒対象地域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家屋に設置されたホームセキュリティシステムと、車両に搭載された車載システムと、前記ホームセキュリティシステム及び前記車載システムと通信可能なセキュリティ管理システムと、から構成される監視システムであって、
前記車載システムは、自車の位置情報を取得する位置情報取得手段と、自車の位置情報を前記セキュリティ管理システムに通知する位置情報通知手段と、画像を撮影する撮影手段と、を備え、
前記ホームセキュリティシステムは、異常を検知する検知手段と、異常の発生を前記セキュリティ管理システムに通知する異常通知手段と、を備え、
前記セキュリティ管理システムは、ホームセキュリティシステムから異常の発生を通知された場合に、該ホームセキュリティシステムが設置された家屋の近くに位置する車両に対して、画像の撮影および送信を指示する警戒指示手段と、を備える
ことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記セキュリティ管理システムの警戒指示手段は、異常が発生した家屋の近くに位置する家屋に設置されたホームセキュリティシステムに対しても、異常の発生を通知すると共に、画像の撮影および送信を指示する
ことを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記車載システムは、撮影した画像を蓄積する蓄積手段をさらに有し、
前記セキュリティ管理システムの警戒指示手段から画像の撮影および送信を指示された場合に、
前記撮影手段は所定のフレームレート及び解像度で動画像の撮影を行い、撮影された画像を蓄積手段に蓄積し、
フレームレート又は解像度の少なくともいずれかを低減させてデータ量を抑制した動画像をリアルタイムに前記セキュリティ管理システムに送信すると共に、撮影停止後に蓄積した画像を前記セキュリティ管理システムに送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
異常を検知したホームセキュリティシステムにおいて撮影された画像から不審者を特定する手段と、
車両から送信される画像内に前記特定された不審者が存在するかを判断する手段と、
を有し、
前記警戒指示手段は、車両から送信される画像内に不審者が存在する場合には、該車両の位置の近くに位置する車両に対して画像の撮影および送信を指示する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の監視システム。
【請求項5】
家屋に設置されたホームセキュリティシステムと通信可能なセキュリティ管理システムであって、
車両に搭載された車載システムと通信するための通信手段と、
前記車載システムから送信される位置情報に基づいて、車両の走行位置を管理する車両位置管理手段と、
前記ホームセキュリティシステムから異常の発生を通知された場合に、該ホームセキュリティシステムが設置された家屋の近くに位置する車両に対して、画像の撮影及び送信を指示する警戒指示手段と、
を備えることを特徴とするセキュリティ管理システム。
【請求項6】
前記警戒指示手段は、異常が発生した家屋の近くに位置する家屋に設置されたホームセキュリティシステムに対しても、異常の発生を通知すると共に、画像の撮影および送信を
指示する
ことを特徴とする請求項5に記載のセキュリティ管理システム。
【請求項7】
異常を検知したホームセキュリティシステムにおいて撮影された画像から不審者を特定する手段と、
車両から送信される画像内に前記特定された不審者が存在するか判断する手段と、
を有し、
前記警戒指示手段は、車両から送信される画像内に不審者が存在する場合には、該車両の近くに位置する車両に対して画像の撮影および送信を指示する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のセキュリティ管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−169540(P2009−169540A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4815(P2008−4815)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】