説明

監視システム及び無線タグ

【課題】監視対象者が所定の静止状態となったことをより早く且つより正確に検出し得る構成を提供する。
【解決手段】監視システム1は、無線タグ50を無線タグリーダ10によって読み取ることで監視するものである。無線タグ50は、当該無線タグ50の静止状態を検出する静止状態検出手段と、静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び無線タグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、使用者が所持する非接触通信媒体を検出装置(タグリーダ等)によって検出するシステムが広く提供されている。例えば、特許文献1では、LF周波数帯の無線信号によってウェイクアップ動作がなされ、UHF帯の電波で応答する車両用電子キー装置が提供されている。また、特許文献2では、入退室管理などに用いるアクティブタグに関する技術が開示されており、この技術では、質問器に対する接近度に応じて電波の発信周期を変化させることで、ゲート制御を適切なタイミングで行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306161公報
【特許文献2】特開2005−321853公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、現在では、様々な分野において無線タグを人や物の移動管理に用いており、その適用対象も拡大の一途をたどっている。その中でも、病院や高齢者介護施設など、見守るべき人が数多く存在する施設では、無線タグシステムを適用できる可能性が高い。例えば、施設内の様々な場所(各部屋や共用施設(トイレ、洗面所等))にタグリーダを配置しておくと共に、見守りの対象者に無線タグを常時所持させるようにすれば、対象者が施設内のどの位置に移動したかを把握することができるようになり、対象者をより適切に見守ることができる。また、対象者が長い時間特定の場所から動いていない場合には、無線タグリーダ側でその状態を把握することができるため、このような場合には警報等の緊急対応をとることもできる。
【0005】
しかしながら、このように無線タグリーダのみで無線タグの状態を検出する場合、対象者が実際にどのような状態にあるのかを無線タグリーダ側で正確に把握できないという問題がある。例えば、特定の無線タグリーダでのみ無線タグが検出され、その検出状態がある程度の時間持続していたとしても、当該無線タグリーダの通信エリア内で立ち話をしているのか、それとも動けない状態となってしまったのかを判断できないという問題がある。従って、対象者が監視対象エリアで動けない状態となってしまったことをある程度正確に判断するためには、静止状態の判断に用いる閾値時間を長く設定せざるを得ず、閾値時間よりも短い時間内に迅速な対応が望まれる場合に適切に機能しない虞がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、監視対象者が所持する無線タグを無線タグリーダによって監視する監視システム、又はこのような監視システムに用いられる無線タグにおいて、監視対象者が所定の静止状態となったことをより早く且つより正確に検出し得る構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、無線タグを無線タグリーダによって読み取ることで監視する監視システムに係るものである。
この発明では、前記無線タグが、当該無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、前記静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段と、を有している。
また、前記無線タグリーダは、前記無線タグからの前記報知信号を検出する報知信号検出手段を備えている。
更に、前記無線タグリーダ又は前記無線タグリーダと通信可能な外部装置において、前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出したときに所定の緊急処理を行う緊急処理手段が設けられている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の監視システムにおいて、前記無線タグリーダが、所定の起動信号を定期的に出力する起動信号出力手段を備えており、前記無線タグが、前記起動信号出力手段から出力される前記起動信号を検出する起動信号検出手段を有している。そして、前記報知信号出力手段は、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合において、前記起動信号検出手段によって前記起動信号が検出されたときに前記報知信号を出力している。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の監視システムにおいて、前記起動信号検出手段が、前記判断手段によって前記所定時間を経過したと判断された後、予め定められた検出期間中に前記起動信号の検出動作を行い、前記検出期間の経過後には、次に前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断されるまで前記起動信号の検出動作を停止している。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、前記無線タグが、外部操作可能なタグ側操作手段と、前記無線タグの電源投入直後又は前記タグ側操作手段に対する所定の解除操作時に前記無線タグを非検出モードに設定し、前記タグ側操作手段に対して所定の起動操作がなされたときに前記無線タグを検出モードに切り替えるモード切替手段と、備えている。
更に、前記静止状態検出手段は、前記非検出モードのときには前記静止状態の検出動作を停止し、前記検出モードに切り替えられたときに前記静止状態の検出動作を行う構成をなしている。
そして、前記報知信号出力手段は、前記無線タグが前記検出モードに設定された場合において前記タグ側操作手段に対して所定の緊急操作がなされたときに、前記無線タグリーダに対して緊急報知信号を出力している。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、前記緊急処理手段が、前記報知信号検出手段が前記報知信号を受信したときに警報を発する警報手段からなることを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、前記報知信号出力手段から出力される前記報知信号に、前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間のデータが含まれるようになっており、前記緊急処理手段は、前記報知信号検出手段が前記報知信号を受信したときに、前記報知信号に含まれる前記継続時間に対応する対応処理を行う構成をなしている。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の監視システムにおいて、前記緊急処理手段は、前記継続時間が所定の警報基準時間に満たない場合に前記無線タグの所持者に問いかける音声処理を行い、前記継続時間が所定の警報基準時間以上の場合には前記音声処理で発せられる音声とは異なる警報を発する警報処理を行っている。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の監視システムにおいて、複数の前記無線タグリーダが施設内の複数の位置に配置され、各無線タグリーダには固有IDが割り当てられている。
更に、それら複数の前記無線タグリーダと通信可能な管理装置が設けられており、前記無線タグリーダは、当該無線タグリーダの前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出したときに前記管理装置に通報する通報手段を有している。
そして、前記管理装置は、前記無線タグから前記報知信号の出力があったとき、当該報知信号に応じた前記通報手段からの通報と、この通報を行う前記無線タグリーダに割り当てられた固有IDとに基づいて、当該報知信号の出力があった前記無線タグと通信可能ないずれかの前記無線タグリーダの位置を検出するリーダ位置検出手段を有している。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載の監視システムにおいて、更に、各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍に配置されるリーダ側マイクと、前記リーダ側マイクによって集められた音声を電気信号に変換して前記管理装置に伝送するリーダ側音声伝送手段と、前記管理装置に設けられた管理装置側操作手段又は前記無線タグに設けられたタグ側操作手段にて所定のオン操作がなされた場合、又は前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出した場合に前記リーダ側マイクをオン状態とするオンオフ切替手段とが設けられている。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の監視システムにおいて、更に、各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍にそれぞれ配置される複数のスピーカと、前記管理装置側に配置される管理装置側マイクと、前記管理装置側マイクによって集められた音声を電気信号に変換して前記スピーカに伝送する管理装置側音声伝送手段とが設けられている。
【0017】
請求項11の発明は、無線タグリーダによって監視される無線タグであって、当該無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、前記静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に前記無線タグリーダに対して報知信号を出力する報知信号出力手段と、を有することを特徴としている。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11に記載の無線タグであって、所定の起動信号を定期的に出力するように構成された前記無線タグリーダを通信対象としている。
更に、前記起動信号を検出する起動信号検出手段が設けられ、前記報知信号出力手段は、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に、前記起動信号検出手段によって、所定時間内に起動信号検出手段による前記起動信号が検出されたときに前記報知信号を出力している。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、無線タグにおいて、当該無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段とが設けられている。この構成によれば、無線タグの静止状態が所定時間を経過した場合に、無線タグから外部に報知信号を出力することができるため、無線タグの所持者に異常が生じた虞がある場合にその状態を外部に知らせることができるようになる。
また、無線タグリーダに、無線タグからの報知信号を検出する報知信号検出手段が設けられ、無線タグリーダ又は無線タグリーダと通信可能な外部装置において、報知信号検出手段が報知信号を検出したときに所定の緊急処理を行う緊急処理手段が設けられている。この構成によれば、無線タグの静止状態が所定時間経過して報知があった場合に、無線タグリーダ又は外部装置が所定の緊急処理を行うことができるため、無線タグ所持者に異常の虞がある場合により迅速により適切な対応が可能となる。
【0020】
請求項2の発明は、無線タグリーダが、所定の起動信号を定期的に出力する起動信号出力手段を備えており、無線タグが、起動信号出力手段から出力される起動信号を検出する起動信号検出手段を有している。そして、報知信号出力手段は、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合において、起動信号検出手段によって起動信号が検出されたときに報知信号を出力している。
この構成によれば、無線タグから報知信号が出力されているか否かを無線タグリーダ側で定期的にチェックすることができ、無線タグ保持者の異常を効率的に監視することができる。
【0021】
請求項3の発明は、起動信号検出手段が、判断手段によって所定時間を経過したと判断された後、予め定められた検出期間中に起動信号の検出動作を行い、検出期間の経過後には、次に判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断されるまで起動信号の検出動作を停止している。この構成では、判断手段によって所定時間を経過したと判断されるまで起動信号の検出動作が停止するため、効果的に省電力化を図ることができる。
【0022】
請求項4の発明では、無線タグは、タグ側操作手段に対して所定の起動操作がなされたときに検出モードに切り替わるようになっており、検出モードに切り替えられたときに静止状態の検出動作が行われるようになっている。そして、報知信号出力手段は、無線タグが検出モードに設定された場合においてタグ側操作手段に対して所定の緊急操作がなされたときに、無線タグリーダに対して緊急報知信号を出力している。
この構成によれば、無線タグ保持者等がタグ側操作手段に対して緊急操作を行ったときに緊急報知信号が出力されるため、静止状態の監視に応じた報知のみならず、積極的な緊急操作によっても外部に報知することができる。従って、異常時の伝達方法の自由度が増し、無線タグ所持者の利便性、安心度を高めることができると共に、外部での監視をより一層適切に行うことができる。
【0023】
請求項5の発明では、緊急処理手段が、報知信号検出手段が報知信号を受信したときに警報を発する警報手段によって構成されている。このようにすると、無線タグの静止状態が所定時間経過したときに緊急性を外部に知らしめることができる。
【0024】
請求項6の発明では、報知信号出力手段から出力される報知信号に、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間のデータが含まれるようになっており、緊急処理手段は、報知信号検出手段が報知信号を受信したときに、報知信号に含まれる継続時間に対応する対応処理を行う構成をなしている。この構成によれば、静止状態がどの程度継続しているかを外部(無線タグから離れた監視位置)で把握することができ、静止状態の継続時間に応じたより適切な対応が可能となる。
【0025】
請求項7の発明では、継続時間が所定の警報基準時間に満たない場合には、緊急処理手段が無線タグの所持者に問いかける音声処理を行い、継続時間が所定の警報基準時間以上の場合には、緊急処理手段は、音声処理で発せられる音声とは異なる警報を発する警報処理を行っている。このようにすると、警報基準時間を基準とし、異常の虞が相対的に低い段階では無線タグの所持者への問いかけを行うことで事態の変化を見守ることができ、異常の虞が相対的に高まった段階では、警報を発することで外部に緊急性を伝えることができる。
【0026】
請求項8の発明は、施設内の複数の無線タグリーダと通信可能な管理装置が設けられており、無線タグリーダは、当該無線タグリーダの報知信号検出手段が報知信号を検出したときに管理装置に通報する通報手段を有している。一方、管理装置は、無線タグから報知信号の出力があったとき、当該報知信号に応じた通報手段からの通報と、この通報を行う無線タグリーダに割り当てられた固有IDとに基づいて、当該報知信号の出力があった無線タグと通信可能ないずれかの無線タグリーダの位置を検出するリーダ位置検出手段を有している。
この構成によれば、報知信号を発している無線タグが施設内のどの場所にいるかを管理装置側で迅速且つ正確に把握することができ、施設内において異常が懸念される無線タグ所持者の発見や当該無線タグ所持者に対する対応をより早期に行うことができる。
【0027】
請求項9の発明は、各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍に配置されるリーダ側マイクと、リーダ側マイクによって集められた音声を電気信号に変換して管理装置に伝送するリーダ側音声伝送手段と、管理装置に設けられた管理装置側操作手段又は無線タグに設けられたタグ側操作手段にて所定のオン操作がなされた場合、又は報知信号検出手段が報知信号を検出した場合にリーダ側マイクをオン状態とするオンオフ切替手段とが設けられている。
このようにすると、異常が懸念される無線タグ所持者の付近のマイク(リーダ側マイク)を動作させて無線タグ所持者の声やその周囲の音を外部で確認することができ、無線タグ所持者の具体的な様子を把握する判断材料を当該無線タグ所持者から離れた外部に対して迅速に提供することができる。
【0028】
請求項10の発明は、各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍にそれぞれ配置される複数のスピーカと、管理装置側に配置される管理装置側マイクと、管理装置側マイクによって集められた音声を電気信号に変換してスピーカに伝送する管理装置側音声伝送手段とが設けられている。
この構成によれば、異常が懸念される無線タグ所持者に対して管理装置側から何らかの音声(問いかけや指示等)を発することができ、管理装置側では、その音声に対する無線タグ所持者からの反応を考慮してより適切な対応をとりやすくなる。
【0029】
請求項11の発明は、無線タグリーダと通信可能な無線タグに係るものであって、無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段とが設けられている。この構成によれば、無線タグの静止状態が所定時間を経過した場合に、無線タグから外部に報知信号を出力することができるため、無線タグの所持者に異常が生じた虞がある場合にその状態を外部に知らせることができるようになる。
【0030】
請求項12の発明は、所定の起動信号を定期的に出力するように構成された無線タグリーダを通信対象としている。更に、起動信号を検出する起動信号検出手段が設けられ、報知信号出力手段は、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に、起動信号検出手段によって、所定時間内に起動信号検出手段による起動信号が検出されたときに報知信号を出力している。
この構成によれば、無線タグから報知信号が出力されているか否かを無線タグリーダ側で定期的にチェックすることができ、無線タグ保持者の異常を効率的に監視することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る監視システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の監視システムの適用対象となる施設を概略的に説明する説明図である。
【図3】図3は、管理装置と無線タグリーダとの接続構成及び各無線タグリーダの通信範囲等を概念的に説明する説明図である。
【図4】図4は、図1の監視システムで用いられる無線タグリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図5】図5は、図1の監視システムで用いられる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【図6】図6(A)は、図5の無線タグで用いられる振動センサの内部構成を概念的に説明する説明図であり、図6(B)は、無線タグが傾いた状態で静止しているときの振動センサの様子を概念的に説明する説明図である。図6(C)は、図6(B)とは異なる姿勢で静止しているときの振動センサの様子を概念的に説明する説明図である。図6(D)は、図6(A)等の振動センサからの信号を検出する検出回路を例示する回路図である。
【図7】図7は、無線タグで行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【図8】図8は、無線タグで行われる静止時間監視タイマ処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、無線タグで行われる操作スイッチ検知処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図10は、無線タグリーダで行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【図11】図11は、無線タグリーダ側での起動信号送信期間、応答信号待ち期間、無線タグ側での振動センサによる振動検出期間、起動信号受信待ち期間、応答信号送信期間を説明するタイミングチャートである。
【図12】図12(A)は、無線タグリーダから無線タグへ送信する起動信号のデータフレームを説明する説明図であり、図12(B)は、無線タグから無線タグリーダへ送信する応答信号のフレーム(レスポンスフレーム)を説明する説明図である。
【図13】図13は、管理装置で行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【図14】図14は、監視装置における報知例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、本発明の監視システム及び無線タグを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、図1〜図5等を参照し、本実施形態に係る監視システム1を構成する各要素のハードウェア構成等について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る監視システムを概略的に説明する説明図である。図2は、図1の監視システムの適用対象となる施設を概略的に説明する説明図である。図3は、管理装置と無線タグリーダとの接続構成及び各無線タグリーダの通信範囲等を概念的に説明する説明図である。図4は、図1の監視システムで用いられる無線タグリーダの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。図5は、図1の監視システムで用いられる無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
【0033】
(監視システムの概要)
まず、図1等を参照し、監視システム1の概要について説明する。
監視システム1は、病院や高齢者介護施設などにおいて、患者や高齢者などの監視対象者(見守り対象者)を監視しながら見守るシステムとして構成されており、監視対象者によって所持される無線タグ50と、この無線タグ50を読取可能な無線タグリーダ10と、無線タグリーダ10と通信可能な管理装置2とを備えている。なお、以下の例では、高齢者介護施設で用いられる高齢者見守りシステムとして適用される場合を代表例として説明する。
【0034】
本実施形態では、図2に示すように、複数の無線タグリーダ10が施設内の複数の位置に配置されており、各無線タグリーダ10には固有IDが割り当てられている。具体的には、各無線タグリーダ10のメモリ32の固有ID(リーダID)がそれぞれ記憶されており、管理装置2には、どの固有IDの無線タグリーダ10がどの場所に配置されているかを特定するデータが登録されている。
【0035】
図2の例では、監視対象者の各部屋に無線タグリーダ10がそれぞれ設けられており、更に、共用場所(階段、共用室、共同浴場、共用トイレ)などにも無線タグリーダ10がそれぞれ配置されている。従って、監視対象者が部屋に在室しているときにはその部屋で無線タグを読み取ることができ、階段や共用トイレなどにいるときにはその場所でも無線タグを読み取ることができるようになっている。なお、図2では、一部の無線タグリーダ10a、10b、10c、10d、10e、10f、10gのみに符号を付し、他の無線タグリーダの符号は省略している。
【0036】
(管理装置)
次に、管理装置2について説明する。管理装置2は、例えば図2に示すように、施設内においてスタッフが常駐する場所(スタッフルーム)などに設けられている。この管理装置2は、図1に示すように、CPU3,通信部4、表示部5、操作部6、記憶部7、スピーカ8、管理装置側マイク9などを備えており、各種情報処理を行い得るコンピュータとして構成されている。また、管理装置2は、図3のように施設内の各無線タグリーダ10と通信可能に接続され、各無線タグリーダ10に対する情報送信或いは各無線タグリーダ10からの情報受信が可能となっている。
【0037】
CPU3は、管理装置2の全体的制御を司るものであり、各種情報処理を行う構成をなしている。通信部4は、各無線タグリーダ10と通信可能な通信インターフェースとして構成されており、例えば、無線LANインターフェースなどとして構成されている。表示部5は各種情報を表示するものであり、例えば液晶表示装置などによって構成されている。操作部6は、外部入力を可能とするものであり、マウスやキーボードなどの入力デバイスによって構成されている。記憶部7は、ROM、RAM、HDD、その他の半導体メモリなどによって構成されており、各種情報を記憶可能に構成されている。スピーカ8は、公知のスピーカによって構成されており、様々な音を発するように構成されている。管理装置側マイク9は、公知のマイクロホンとして構成されており、管理装置2付近の音を集めて電気信号に変換し、伝送する構成をなしている。
【0038】
(無線タグリーダ)
次に、図4等を参照し、各無線タグリーダ10について説明する。無線タグリーダ10は、例えばRFIDタグを読取可能なRFIDタグリーダライタとして構成されており、無線タグ50との間で電磁波による通信を行い、無線タグ50に記録された情報の読み取りや、無線タグ50に対する情報の書き込みなどを行うように構成されている。この無線タグリーダ10は、図4に示すように、主として、制御部11と、送信部12と、受信部13と、アンテナ14と、起動信号送信部15によって構成されている。
【0039】
制御部11は、CPU31、メモリ32、タイマ33などによって構成されており、無線タグリーダ10の全体的制御を司る構成をなしている。
【0040】
送信部12は、符号部21、変調部22、増幅部23などを備えており、図示しないキャリア発振器から所定周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号部21は、制御部11に接続されており、当該制御部11より出力される送信データを符号化して変調部22に出力している。変調部22は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号部21より出力される符号化された送信符号(変調信号)によって例えばASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅部23に出力している。
【0041】
増幅部23は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を図示しないフィルタ、整合回路等を介してアンテナ14に出力している。このようにしてアンテナ14に送信信号が出力されると、その送信信号が電磁波として当該アンテナ14より外部に放射されるようになっている。
【0042】
受信部13は、復調部25や復号部26などを備えており、アンテナ14によって受信された電波信号が入力される構成をなしている。この受信部13は、図示しない整合回路を介してアンテナ14からの受信信号が入力され、フィルタ(図示略)によってフィルタリングした後、増幅器(図示略)によって増幅し、その増幅信号を復調部25によって復調する。そして、その復調された信号波形を図示しない二値化処理部によって二値化し、復号部26にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部11に出力している。また、受信部13には、電波を発射するチャネルが空いているかを調べるキャリアセンス部27が設けられている。
【0043】
起動信号送信部15は、LF帯アンテナ42を介してLF(Low Frequency)帯の起動信号を送信するものである。LF帯送信回路41は、LF帯の信号を送信し得る公知の信号発生回路からなり、例えば、30kHz〜300kHzの周波数のトリガ信号を発生させ、LF帯アンテナ42を介してこのトリガ信号を出力している。LF帯アンテナ42は、LF帯の電波を出力可能な構成であればよく、例えば並列共振回路によって構成されている。
【0044】
また、無線タグリーダ10には、リーダ側マイク17やスピーカ18も設けられている。リーダ側マイク17は、公知のマイクロホンとして構成されており、無線タグリーダ10付近の音を集めて電気信号に変換し、伝送する構成をなしている。スピーカ18は、公知のスピーカによって構成されており、様々な音を発するように構成されている。
【0045】
(無線タグ)
次に、図5等を参照し、無線タグ50について説明する。
無線タグ50は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDタグとして構成され、図5に示すように、制御部51、アンテナ54、受信部53、送信部52、電源部59などを備えている。なお、図3の例では、無線タグ50がいわゆるアクティブタグとして構成され、内蔵電池(例えばリチウムコイン電池など)が設けられており、電源部59がこの内蔵電池からの電力供給を受け、制御部51をはじめとする各構成要素に動作用電力を供給している。
【0046】
制御部51は、CPU55、メモリ56、タイマ57などによって構成されており、CPU55によって無線タグ50内の各種制御や演算処理を行う構成をなしている。また、メモリ56は、ROM、EEPROM、RAM等の各種半導体メモリによって構成されており、無線タグ50を識別するためのタグ識別情報(タグID)や後述する通信処理で扱われる情報などの各種情報が記憶されるようになっている。
【0047】
また、受信部53は、復調部65、復号部66などを備えている。この受信部53では、アンテナ54で受信された信号を復調部65にて復調し、その復調信号を復号部66で復号化することにより、受信信号に重畳されているデータを制御部51に出力している。また、受信部53には、電波を発射するチャネルが空いているかを調べるキャリアセンス部68も設けられている。
【0048】
送信部52は、主として、符号部61、変調部62、増幅部63によって構成されている。この送信部52は、制御部51から出力されたデータを送信データとして符号部61にて符号化した後、変調部62によって変調している。そして、その変調信号を増幅部63にて増幅してアンテナ54に出力している。このようにアンテナ54に出力された送信データは、アンテナ54から電波信号として放射されるようになっている。
【0049】
起動信号受信部58は、アンテナ72と、LF帯受信回路71とを備えている。アンテナ72は、上述の起動信号送信部15にて発生したLF帯の起動信号(トリガ電波)を受信可能に構成されている。また、LF帯受信回路71は、アンテナ72で受信されたLF帯の電波を復調して制御部51に出力している。
【0050】
操作スイッチ90は、例えばボタン式、スライド式、回転式等のスイッチによって構成され、使用者による外部操作が可能とされており、外部操作がなされたときに制御部51に対して操作信号を出力するようになっている。
【0051】
振動センサ80は、無線タグ50の静止状態を検出する「静止状態検出手段」の一例に相当するものであり、例えば図6のような構成をなしている。なお、図6(A)は、図5の無線タグ50で用いられる振動センサ80の内部構成を概念的に説明する説明図であり、図6(B)は、無線タグ50が傾いた状態で静止しているときの振動センサ80を様子を概念的に説明する説明図である。図6(C)は、図6(B)とは異なる姿勢で静止しているときの振動センサ80の様子を概念的に説明する説明図である。図6(D)は、図6(A)等の振動センサ80からの信号を検出する検出回路を例示する回路図である。
【0052】
振動センサ80は、公知の振動センサによって構成されており、無線タグ50に振動が発生しているときには振動に応じた信号(振動信号)を出力し、無線タグ50が静止しているときには、静止状態に応じた信号(静止信号)が出力されるようになっている。図6で例示される振動センサ80は、センサ内に紡錘状の空洞が形成されると共に、当該空洞内に2つの電極81、82が設けられている。更に、この空洞内には、2つの導通球83、84が設けられている。そして、無線タグ50が静止状態とのとき(即ち振動センサ80が静止状態のとき)には、どのような姿勢であっても図6(B)(C)のように、電極81、導通球83、導通球84、電極82の導通経路ができ、電極81と電極82とが通電するようになっている。一方、無線タグ50が振動するとき(即ち振動センサ80が振動するとき)には、振動に応じて導通球83と導通球84が動くため、これら導通球83及び導通球84が瞬間的に離れ、電極81と電極82との間の通電が少なくとも瞬間的に途切れるようになる。即ち、電極81と電極82の通電状態が長く続かず、短い間隔で通電の途切れが発生することとなる。従って、この瞬間的な通電の途切れを検出することで無線タグ50に信号が発生しているか否かを検出することができる。
【0053】
電極81と電極82の間の通電の途切れは、例えば図6(D)のような検出回路で検出できる。この回路では、例えばCPU55が、振動センサ80を動作させるべきタイミング(即ち、振動を検知したいタイミング)で、出力ポートP1をHレベルに設定する。振動センサ80は静止時にONとなるため、静止時には割込ポートP2がLレベルになる。従って、このLレベルが継続しているときには静止状態が継続していると判断することができる。一方、振動センサ80が振動を検知すると、上述したように電極81、82の間が瞬間的にOFFとなり、電極81、82の間がオープン状態となったときには割込ポートP2の電圧レベルがHレベルになる。従って、CPU55では、出力ポートP1をHレベルに駆動しているときに割込ポートがHレベルになっているか否か確認することで振動が発生しているか否かを判断することができる。
【0054】
(無線タグの監視動作)
次に、監視システム1で行われる無線タグの監視動作について説明する。
図7は、無線タグで行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。図8は、無線タグで行われる静止時間監視タイマ処理の流れを例示するフローチャートである。図9は、無線タグで行われる操作スイッチ検知処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、無線タグリーダで行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。図11は、無線タグリーダ側での起動信号送信期間、応答信号待ち期間、無線タグ側での振動センサによる振動検出期間、起動信号受信待ち期間、応答信号送信期間を説明するタイミングチャートである。図12(A)は、無線タグリーダから無線タグへ送信する起動信号のデータフレームを説明する説明図であり、図12(B)は、無線タグから無線タグリーダへ送信する応答信号のフレーム(レスポンスフレーム)を説明する説明図である。図13は、管理装置で行われる監視処理の流れを例示するフローチャートである。
【0055】
まず、無線タグ50で行われる処理について説明する。
無線タグ50では、図7のような流れで監視処理(無線タグ側監視処理)が行われる。図7に示す監視処理は、無線タグ50の制御部51によって実行されるものであり、例えば電源投入或いは外部からの所定操作等をトリガとして開始され、まず、S1において、スリープ状態に設定する処理を行う。このS1の処理は、操作スイッチ90(起動スイッチ)に対して外部から所定操作(例えば長押し)がなされるまで無線タグ50をスリープ状態に維持する処理である。なお、S1のスリープ状態では、特定の機能を停止させており、例えば送信部52や受信部53でのキャリアの送受信を停止させたり、起動信号受信部58の動作を停止させている。
【0056】
S1の処理の後には、振動センサ80を有効化する処理を行う(S2)。振動センサ80を機能させるためには、図6(D)のような検出回路を動作させる必要があるため、S2ではこのような振動センサ用の検出回路を有効化する。具体的には、出力ポートP1の電圧状態をHレベルに設定し、振動発生状態(即ち、電極81と電極82との間の通電遮断が発生する状態)のときに割込ポートにHレベル信号が入力されるようにする。
【0057】
S2の処理の後には、操作スイッチ90の操作に応じた報知機能を有効化する(S3)。具体的には、図9に示す操作スイッチ検知処理を並列処理で実行させ、操作スイッチ90が押されたときに緊急情報の送信(緊急発報)が行われるようにする。
【0058】
ここで、図9に示す操作スイッチ検知処理について説明する。
図9に示す操作スイッチ検知処理は、上述のようにS3の処理をトリガとして行われるものであり、まず、操作スイッチ90が押されたか否かを判断する(S31)。操作スイッチ90が押されるまでは、S31にてNoに進んで待機状態を維持し(S33)、S31に戻って操作スイッチ90の監視を継続する。このようにして短い時間間隔で操作スイッチ90の押圧を繰り返し監視しており、操作スイッチ90が押された場合には、S31にてYesに進み、無線タグリーダ10に対して緊急情報の送信(緊急発報)を行う(S32)。
【0059】
なお、本実施形態では、操作スイッチ90が外部操作可能な「タグ側操作手段」の一例に相当する。
また、S1〜S3の処理を行う制御部51は、「モード切替手段」の一例に相当し、無線タグ50が無線タグ50の電源投入直後又はタグ側操作手段に対する所定の解除操作時に無線タグ50を非検出モード(S1のスリープ状態)に設定し、操作スイッチ90(タグ側操作手段)に対して所定の起動操作(長押し等)がなされたときに無線タグ50を検出モード(振動センサ80が有効化され、操作スイッチ90による報知機能が有効化されたモード)に切り替えるように機能する。そして、「静止状態検出手段」に相当する振動センサ80は、非検出モードのときには静止状態の検出動作を停止し、検出モードに切り替えられたときに静止状態の検出動作を行う構成をなしている。
【0060】
なお、本実施形態では、図7のS11の処理(後述)及び図9のS32の処理を行う制御部51及び送信部52が「報知信号出力手段」の一例に相当し、後述の「判断手段」によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力するように機能し、更には、無線タグ50が上記「検出モード」に設定された場合において操作スイッチ90(タグ側操作手段)に対して所定の緊急操作がなされたときに、無線タグリーダ10に対して緊急報知信号を出力するように機能する。
【0061】
S3の処理の後には、図8に示す静止時間監視タイマ処理を開始する。
ここで、静止時間監視タイマ処理について説明する。図8の静止時間監視タイマ処理は、図7の監視処理と並列処理で行われ、まず、タイマ57を動作させて時間計測を開始させ(S20)、その後、S21にて振動の発生を検知する。S21では、割込ポートP2にHレベル信号が入力されるか否かを検知しており、Hレベル信号の入力がない場合(割込ポートP2がLレベルで維持されている場合)には、S21にてNoに進み、時間計測を継続する(S23)。一方、割込ポートP2にHレベル信号が入力されたときには、S21にてYesに進み、タイマ57による時間計測をリセットする(S22)。このS22の処理が行われたときには、タイマ57での時間計測が一旦「0」となって再度スタートし、時間計測が継続する(S23)。このように、静止時間監視タイマ処理では、振動センサ80が静止している状態(即ち無線タグ50が静止している状態)の継続時間が計測されることとなる。
【0062】
ここで、図7に戻って監視処理の説明を続けることとする。
S4の後には、振動センサ80が振動を検知するまでスリープ状態に設定する(S5)。このS5の処理は、当該処理が開始されてから割込ポートP2にHレベル信号が入力されるまで無線タグ50をスリープ状態に維持する処理である。なお、S5のスリープ状態でも、特定の機能を停止させており、例えば送信部52や受信部53でのキャリアの送受信を停止させたり、起動信号受信部58の動作を停止させている。
【0063】
S5の処理中、振動センサ80が振動を検知したときには、S6の判断処理が行われる。このS6では、図8の静止時間監視タイマ処理で計測されている時間(無線タグ50の静止状態が継続している時間T(以下、静止時間Tともいう)が予め決められた閾値Ts以上になっているか否かを判断する。なお、閾値Tsは、後述する駆動信号の送信周期Tcよりも短い時間で設定されるものであり、以下では、Tsを30sとし、Tcを60s(1分)とした場合を代表例として説明する。
【0064】
静止時間監視タイマ処理で計測されている静止時間Tが閾値Tsに達していない場合にはS6にてNoに進む。このS6では、静止時間Tが閾値Tsに達するまでNoの判断が繰り返され、静止時間Tが閾値Tsに達した段階でYesの判断となる。つまり、閾値Ts時間以内で振動の発生(割込ポートP2へのHレベル信号の入力)がある限りは、S6でNoの判断が繰り返されることになる。
【0065】
そして、静止時間監視タイマ処理で計測されている静止時間Tが閾値Ts以上となったときには、起動信号受信部58をオン状態(受信可能状態)に切り替える(S7)。そして、所定時間Tdが経過するまで或いは無線タグリーダ10からの起動信号を受信するまでオン状態を維持する(S8)。これにより無線タグリーダ10で出力されるLF帯の起動信号が起動信号受信部58によって受信可能となる。なお、S8で待機する上記所定時間Tdは、後述する駆動信号の送信周期Tcよりも長い時間となっている。
【0066】
そして、無線タグリーダ10から起動信号を受信した場合、又はS7でオン状態としてから所定時間Tdが経過した場合には起動信号受信部58をオフ状態(受信不能状態)に切り替える(S9)。そして、起動信号受信部58をオン状態としているとき(即ちS8での待機処理中)に無線タグリーダ10から起動信号を受信したか否かを判断し(S10)、起動信号を受信している場合にはS10にてYesに進み、静止状態監視タイマ処理で現在(S11の処理実行時)計測されているタイマの値Trを無線タグリーダ10に送信する(S11)。S11で送信するデータは、例えば図12(B)のようなフレーム構成をなしており、ヘッダ、送信相手となる無線タグリーダ10の固有ID(リーダID)、送信を行おうとする当該無線タグ50の固有ID(タグID)、レスポンス長、応答データの内容を示す応答コード、静止監視タイマ値(上述のタイマ値Tr),CRCなどを含んでいる。
【0067】
なお、本実施形態では、図8の処理を実行する制御部51が「静止継続時間検出手段」の一例に相当し、振動センサ80(静止状態検出手段)によって検出される静止状態の継続時間を検出するように機能する。また、S6の処理を実行する制御部51は、「判断手段」の一例に相当し、「静止継続時間検出手段」によって検出された継続時間が所定時間(閾値Ts)を経過したか否かを判断するように機能する。
【0068】
一方、起動信号受信部58をオン状態としているとき(即ちS8での待機処理中)に起動信号を受信しなかった場合には、S10にてNoに進み、振動センサ80にて振動が検出されるまでスリープ状態に設定する(S5)。
【0069】
次に、無線タグリーダ側での監視処理について説明する。
図10に示す監視処理は、無線タグリーダ10の制御部11によって実行されるものであり、電源投入や所定操作などをトリガとして開始される。この監視処理では、一定時間Tcが経過する毎に起動信号を送信しており、まず、S41にて一定時間Tcが経過するまで待機し、その後、起動信号を送信する(S42)。このS42の処理では、例えば、図12(A)のようなデータフレームの起動信号を、起動信号送信部15からLF帯の電波によって送信している。この起動信号には、ヘッダ、起動信号の送信を行う当該無線タグリーダ10の固有ID(リーダID)、CRCなどが含まれている。
【0070】
そして、S42で起動信号を送信した後には、所定の待機時間の間、無線タグ50からの応答信号を待ち(S43)、その後、S43の待機中に無線タグ50からの応答が確認できたか否かを判断する(S44)。このように定期的に起動信号が送信され、起動信号送信直後に応答信号が受信可能とされることで、図11上段のようなタイミングで起動信号の送信及び応答信号の受信待機が行われることとなる。
なお、本実施形態では、制御部11及び起動信号送信部15が「起動信号出力手段」の一例に相当し、所定の起動信号を定期的に出力するように機能する。
【0071】
図11上段のように、無線タグリーダ10は、所定周期Tc毎に起動信号送信部15によってLF帯の起動信号(トリガ信号)を送信しており、その送信直後の所定時間帯に無線タグ50からの応答信号を待っている。一方、無線タグ50側では、振動センサ80による振動検出が停止してから所定時間(閾値時間Ts)経過した後(即ち、S6でYesとなった後)に、所定時間Tdの間、無線タグリーダ10からの起動信号を受信可能な状態で待機しており(図7のS8参照)、図11の矢印F1のように、この所定時間Tdの時間帯に起動信号が送信されてきたときに、S11にて応答信号(静止状態監視タイマ処理で計測されている現在のタイマ値Tr)を送信している(図11の矢印F2参照)。
【0072】
なお、無線タグ50の制御部51及び起動信号受信部58は、「起動信号検出手段」の一例に相当し、「起動信号出力手段」から出力される起動信号を検出するように機能しており、より具体的には、「判断手段」によって所定時間(閾値Ts)を経過したと判断された後、予め定められた検出期間中(所定時間Tdの期間)に起動信号の検出動作を行っている。なお、S10でNoに進む場合(即ち検出期間(所定時間Tdの期間)の経過後)には、次に「判断手段」によって継続時間(静止時間T)が所定時間Tsを経過したと判断されるまで起動信号の検出動作を停止している。
また、「報知信号出力手段」に相当する制御部51は、「判断手段」によって継続時間Tが所定時間Tsを経過したと判断された場合において、「起動信号検出手段」によって起動信号が検出されたとき(即ち、S10でYesに進むとき)にS11にて報知信号(、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間Tのデータ、即ち、上記タイマ値Tr)を出力している。
【0073】
一方、S43の待機中に無線タグ50からの応答信号が確認された場合には、S44にてYesに進み、応答信号に含まれる応答データを確認する(S45)。そして、S32(図9)で送信された緊急情報であるか否かを判断し、緊急情報の場合にはS46にてNoに進んで警報を発する(S49)。なお、図9のS32で送信される緊急情報は、無線タグリーダ10からの起動信号に応答する形で送信されてもよく、一定時間継続的に送信されてもよい。
【0074】
無線タグリーダ10ガ受信した応答データが緊急情報ではない場合には、S46にてNoに進み、応答データに含まれるタイマ値Trに応じた処理を行う(S47)。例えば、応答データに含まれるタイマ値Trが第1の閾値(図10の例では3分)未満である場合には、特に対応処理を行わずにS41に戻り、S41以降の処理を繰り返している。一方、応答データに含まれるタイマ値Trが第1の閾値(図10の例では3分)以上であって、第2の閾値(図10の例では5分)未満のときには、S48に進んで問いかけ音声を発している。例えば、予め録音された音声データや機械音声などを再生し、無線タグリーダ10に設けられたスピーカ18から「大丈夫ですか?」等の問いかけの言葉を発する。
【0075】
更に、応答データに含まれるタイマ値Trが第2の閾値(図10の例では5分)以上のときには、S49に進み、スピーカ18から警報を発する。S49で発せられる警報は、S48の問いかけ音声とは内容が異なり、この問いかけ音声より音量が大きいブザー音、アラーム音などとすることができる。また、スピーカ18からの警報に加えて、管理装置2に対して通報を行っている。この通報では、無線タグ50からタイマ値Trを取得した当該無線タグリーダ10の固有IDと、異常発生を報知する所定データとを対応付けて管理装置2に送信する。
【0076】
なお、本実施形態では、制御部11が「報知信号検出手段」の一例に相当し、無線タグ50からの報知信号(S11(図7)のタイマ値Tr、或いはS32(図9)の緊急情報)を検出する機能を有する。
また、制御部11及びスピーカ18は、「緊急処理手段」「警報手段」の一例に相当し、報知信号検出手段が報知信号を検出したときに所定の緊急処理を行うように機能し、具体的には、報知信号に含まれる継続時間(S11(図7)で送信されるタイマ値Tr)に対応する対応処理を行う構成をなして、より詳しくは、継続時間(タイマ値Tr)が所定の警報基準時間(上記第2の閾値)に満たない場合に無線タグ50の所持者に問いかける音声処理を行い、継続時間(タイマ値Tr)が所定の警報基準時間以上の場合には音声処理で発せられる音声とは異なる警報を発する警報処理を行っている。
また、制御部11は、「通報手段」の一例に相当し、無線タグリーダ10の「報知信号検出手段」が報知信号を検出したときに管理装置2に通報するように機能する。なお、図10の例では、応答データに含まれるタイマ値Trが第2閾値(例えば5分)以上のときに管理装置2への通報を行っていたが、無線タグリーダ10が報知情報(上記緊急情報或いはタイマ値Tr)を受信した全ての場合に管理装置2への通報を行うようにしてもよい。
【0077】
次に、管理装置2で行われる監視装置について説明する。
管理装置2では、図13のような監視処理が行われており、この監視処理では、まず、無線タグリーダ10からの通報を受信可能な状態で待機する待機処理を行う(S51)。本実施形態では、施設内の各無線タグリーダ10によって図10のような処理が行われるようになっており、いずれかの無線タグリーダ10が図10の処理において管理装置2への通報を発したとき(即ち、S49の処理を行ったとき)には、S52にてYesに進み、この通報に含まれる無線タグリーダ10の固有ID(リーダID)を取得する(S53)。そして、この固有ID(リーダID)に基づいて、当該固有ID(リーダID)が付された無線タグリーダ10の位置を特定し(S53)、その特定した位置を表示する(S54)。例えば、通報されてきた固有ID(リーダID)が、共用トイレに配置される無線タグリーダ10bを特定するものである場合、管理装置2の表示部5に、図14のような情報(通報があった無線タグリーダ10bの位置を示す情報)を表示する。これにより、静止状態が発生している無線タグ50が施設内のどの場所に存在するかを、管理装置2側(例えばスタッフルーム側)で迅速かつ的確に把握できるようになる。
【0078】
なお、本実施形態では、管理装置2のCPU3が「リーダ位置検出手段」の一例に相当し、無線タグ50から報知信号の出力があったとき、当該報知信号に応じた「通報手段」からの通報と、この通報を行う無線タグリーダ10に割り当てられた固有IDとに基づいて、当該報知信号の出力があった無線タグ50と通信可能ないずれかの無線タグリーダ10の位置を検出するように機能する。
【0079】
また、管理装置2では、図13に示すS54の処理の後、その他の緊急処理を行っている。この緊急処理では、例えば、管理装置2のスピーカ8から異常発生位置(通報のあった無線タグリーダ10が配置される場所)を特定可能な警報(例えば、「共用トイレの利用者に異常が発生しました」といった音声データの警報)を自動音声等によって発するようにしてもよい。
【0080】
或いは、S55の処理において、通報のあった無線タグリーダ10に対してマイクの動作を指示する指示信号を送信し、これを受けた無線タグリーダ10がリーダ側マイク17を自動的にオン状態とするようにしてもよい。そして、通報のあった無線タグリーダ10付近の音声をリーダ側マイク17で集音して電気信号に変化し、管理装置2側に伝送してスピーカ8から発するようにしてもよい。
この場合、制御部11が「リーダ側音声伝送手段」の一例に相当し、リーダ側マイク17によって集められた音声を電気信号に変換して管理装置2に伝送するように機能する。また、管理装置2のCPU3及び無線タグリーダ10の制御部11が「オンオフ切替手段」の一例に相当し、「報知信号検出手段」が報知信号を検出した場合にリーダ側マイク17をオン状態とするように機能している。なお、この「オンオフ切替手段」は、管理装置2に設けられた操作部6(管理装置側操作手段)にて所定のオン操作がなされた場合にリーダ側マイク17をオン状態に切り替える構成であってもよく、無線タグ50に設けられた操作スイッチ90(タグ側操作手段)にて所定のオン操作(例えばボタン押圧)がなされて緊急情報(S32)が発せられる場合に、リーダ側マイク17をオン状態に切り替える構成であってもよい。
【0081】
また、本実施形態では、S55の処理の際、或いはこれとは別の時期に、管理装置2に設けられた管理装置側マイク9からの音声を、通報のあった無線タグリーダ10のスピーカ18に伝送してもよい。即ち、管理装置2付近の管理者が、管理装置側マイク9にて適切な対処方法等を話し、これを通報のあった無線タグリーダ10のスピーカ18から伝えるようにしてもよい。この場合、管理装置2のCPU3が「管理装置側音声伝送手段」の一例に相当し、管理装置側マイク9によって集められた音声を電気信号に変換してスピーカ18に伝送するように機能する。
【0082】
(第1実施形態の主な効果)
本実施形態に係る監視システム1では、無線タグ50において、当該無線タグ50の静止状態を検出する静止状態検出手段と、静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段とが設けられている。この構成によれば、無線タグ50の静止状態が所定時間を経過した場合に、無線タグ50から外部に報知信号を出力することができるため、無線タグ50の所持者に異常が生じた虞がある場合にその状態を外部に知らせることができるようになる。
また、無線タグリーダ10に、無線タグ50からの報知信号を検出する報知信号検出手段が設けられ、無線タグリーダ10又は無線タグリーダ10と通信可能な外部装置(管理装置2)において、報知信号検出手段が報知信号を検出したときに所定の緊急処理を行う緊急処理手段が設けられている。この構成によれば、無線タグ50の静止状態が所定時間経過して報知があった場合に、無線タグリーダ10又は外部装置(管理装置2)が所定の緊急処理を行うことができるため、無線タグ50所持者に異常の虞がある場合により迅速により適切な対応が可能となる。
【0083】
また、本実施形態では、無線タグリーダ10が、所定の起動信号を定期的に出力する起動信号出力手段を備えており、無線タグ50が、起動信号出力手段から出力される起動信号を検出する起動信号検出手段を有している。そして、報知信号出力手段は、判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断された場合において、起動信号検出手段によって起動信号が検出されたときに報知信号を出力している。
この構成によれば、無線タグ50から報知信号が出力されているか否かを無線タグリーダ10側で定期的にチェックすることができ、無線タグ50保持者の異常を効率的に監視することができる。
【0084】
また、本実施形態では、起動信号検出手段が、判断手段によって所定時間を経過したと判断された後、予め定められた検出期間中に起動信号の検出動作を行い、検出期間の経過後には、次に判断手段によって継続時間が所定時間を経過したと判断されるまで起動信号の検出動作を停止している。この構成では、判断手段によって所定時間を経過したと判断されるまで起動信号の検出動作が停止するため、効果的に省電力化を図ることができる。
【0085】
また、本実施形態では、無線タグ50は、操作スイッチ90(タグ側操作手段)に対して所定の起動操作がなされたときに検出モードに切り替わるようになっており、検出モードに切り替えられたときに静止状態の検出動作が行われるようになっている。そして、報知信号出力手段は、無線タグ50が検出モードに設定された場合において操作スイッチ90(タグ側操作手段)に対して所定の緊急操作がなされたときに、無線タグリーダ10に対して緊急報知信号を出力している。
この構成によれば、無線タグ50保持者等が操作スイッチ90(タグ側操作手段)に対して緊急操作を行ったときに緊急報知信号が出力されるため、静止状態の監視に応じた報知のみならず、積極的な緊急操作によっても外部に報知することができる。従って、異常時の伝達方法の自由度が増し、無線タグ50所持者の利便性、安心度を高めることができると共に、外部での監視をより一層適切に行うことができる。
【0086】
また、本実施形態では、緊急処理手段が、報知信号検出手段が報知信号を受信したときに警報を発する警報手段によって構成されている。このようにすると、無線タグ50の静止状態が所定時間経過したときに緊急性を外部に知らしめることができる。
【0087】
また、本実施形態では、報知信号出力手段から出力される報知信号に、静止継続時間検出手段によって検出された継続時間のデータが含まれるようになっており、緊急処理手段は、報知信号検出手段が報知信号を受信したときに、報知信号に含まれる継続時間に対応する対応処理を行う構成をなしている。この構成によれば、静止状態がどの程度継続しているかを外部(無線タグ50から離れた監視位置)で把握することができ、静止状態の継続時間に応じたより適切な対応が可能となる。
【0088】
また、本実施形態では、静止状態の継続時間(タイマ値Tr)が所定の警報基準時間(上記第2の閾値)に満たない場合には、緊急処理手段が無線タグ50の所持者に問いかける音声処理を行い、静止状態の継続時間(タイマ値Tr)が所定の警報基準時間(上記第2の閾値)以上の場合には、緊急処理手段は、音声処理で発せられる音声とは異なる警報を発する警報処理を行っている。このようにすると、警報基準時間を基準とし、異常の虞が相対的に低い段階では無線タグ50の所持者への問いかけを行うことで事態の変化を見守ることができ、異常の虞が相対的に高まった段階では、警報を発することで外部に緊急性を伝えることができる。
【0089】
また、本実施形態では、施設内の複数の無線タグリーダ10と通信可能な管理装置2が設けられており、無線タグリーダ10は、当該無線タグリーダ10の報知信号検出手段が報知信号を検出したときに管理装置2に通報する通報手段を有している。一方、管理装置2は、無線タグ50から報知信号の出力があったとき、当該報知信号に応じた通報手段からの通報と、この通報を行う無線タグリーダ10に割り当てられた固有IDとに基づいて、当該報知信号の出力があった無線タグ50と通信可能ないずれかの無線タグリーダ10の位置を検出するリーダ位置検出手段を有している。
この構成によれば、報知信号を発している無線タグ50が施設内のどの場所にいるかを管理装置2側で迅速且つ正確に把握することができ、施設内において異常が懸念される無線タグ50所持者の発見や当該無線タグ50所持者に対する対応をより早期に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態では、各無線タグリーダ10内又は各無線タグリーダ10の近傍に配置されるリーダ側マイク17と、リーダ側マイク17によって集められた音声を電気信号に変換して管理装置2に伝送するリーダ側音声伝送手段と、管理装置2に設けられた操作部6(管理装置側操作手段)又は無線タグ50に設けられた操作スイッチ90(タグ側操作手段)にて所定のオン操作がなされた場合、又は報知信号検出手段が報知信号を検出した場合にリーダ側マイク17をオン状態とするオンオフ切替手段とが設けられている。
このようにすると、異常が懸念される無線タグ50所持者の付近のマイク(リーダ側マイク17)を動作させて無線タグ50所持者の声やその周囲の音を外部で確認することができ、無線タグ50所持者の具体的な様子を把握する判断材料を当該無線タグ50所持者から離れた外部に対して迅速に提供することができる。
【0091】
また、本実施形態では、各無線タグリーダ10内又は各無線タグリーダ10の近傍にそれぞれ配置される複数のスピーカ18と、管理装置2側に配置される管理装置側マイク9と、管理装置側マイク9によって集められた音声を電気信号に変換してスピーカ18に伝送する管理装置側音声伝送手段とが設けられている。
この構成によれば、異常が懸念される無線タグ50所持者に対して管理装置2側から何らかの音声(問いかけや指示等)を発することができ、管理装置2側では、その音声に対する無線タグ50所持者からの反応を考慮してより適切な対応をとりやすくなる。
【0092】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0093】
上記実施形態では、監視システム1を図2の施設に適用した例を示したが、図2に示す配置はあくまで一例であり、様々な配置構成とすることができる。例えば、図2の例では、施設内の一部の部屋に無線タグリーダ10が設けられているが、全ての部屋に設けられていてもよい。また、図2の例では、全ての個室に無線タグリーダ10がそれぞれ設けられているが、一部の個室のみに設けられていてもよい(例えば、一つの無線タグリーダ10によって複数の部屋を監視するような構成であってもよい)。
【0094】
上記実施形態では、リーダ側マイク17やスピーカ18が無線タグリーダ10に設けられていたが、無線タグリーダ10とは別の場所(例えば無線タグリーダ10が設けられた部屋内の別の場所等)にあってもよい。
【0095】
上記実施形態では、管理装置側マイク9やスピーカ8が管理装置2に設けられていたが、管理装置2とは別の場所(例えば管理装置2が設けられた部屋内の別の場所等)にあってもよい。
【0096】
上記実施形態では、静止状態検出手段の一例として振動センサ80を示したが、無線タグの振動状態と静止状態を区別し得るセンサであれば公知の様々な振動センサを用いてもよい。或いは加速度検出センサなどを用い、水平方向の移動速度或いは移動加速度が所定値以上となっているか否かに基づいて静止状態であるか否かを判断してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…監視システム
2…管理装置(外部装置)
3…CPU(リーダ位置検出手段、管理装置側音声伝送手段)
9…管理装置側マイク
10…無線タグリーダ
11…制御部(報知信号検出手段、緊急処理手段、起動信号出力手段、警報手段、通報手段、リーダ側音声伝送手段、オンオフ切替手段)
15…起動信号送信部(起動信号出力手段)
17…リーダ側マイク
18…スピーカ(緊急処理手段、警報手段)
50…無線タグ
51…制御部(静止継続時間検出手段、判断手段、報知信号出力手段、起動信号検出手段、モード切替手段)
52…送信部(報知信号出力手段)
58…起動信号受信部(起動信号検出手段)
80…振動センサ(静止状態検出手段)
90…操作スイッチ(タグ側操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを無線タグリーダによって読み取ることで監視する監視システムであって、
前記無線タグは、
当該無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、
前記静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、
前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に報知信号を出力する報知信号出力手段と、
を有し、
前記無線タグリーダは、前記無線タグからの前記報知信号を検出する報知信号検出手段を備え、
更に、前記無線タグリーダ又は前記無線タグリーダと通信可能な外部装置において、前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出したときに所定の緊急処理を行う緊急処理手段が設けられていることを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記無線タグリーダは、所定の起動信号を定期的に出力する起動信号出力手段を備え、
前記無線タグは、前記起動信号出力手段から出力される前記起動信号を検出する起動信号検出手段を有し、
前記報知信号出力手段は、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合において、前記起動信号検出手段によって前記起動信号が検出されたときに前記報知信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記起動信号検出手段は、前記判断手段によって前記所定時間を経過したと判断された後、予め定められた検出期間中に前記起動信号の検出動作を行い、前記検出期間の経過後には、次に前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断されるまで前記起動信号の検出動作を停止することを特徴とする請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記無線タグは、
外部操作可能なタグ側操作手段と、
前記無線タグの電源投入直後又は前記タグ側操作手段に対する所定の解除操作時に前記無線タグを非検出モードに設定し、前記タグ側操作手段に対して所定の起動操作がなされたときに前記無線タグを検出モードに切り替えるモード切替手段と、
を備え、
前記静止状態検出手段は、前記非検出モードのときには前記静止状態の検出動作を停止し、前記検出モードに切り替えられたときに前記静止状態の検出動作を行い、
前記報知信号出力手段は、前記無線タグが前記検出モードに設定された場合において前記タグ側操作手段に対して所定の緊急操作がなされたときに、前記無線タグリーダに対して緊急報知信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記緊急処理手段は、前記報知信号検出手段が前記報知信号を受信したときに警報を発する警報手段からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記報知信号出力手段から出力される前記報知信号には、前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間のデータが含まれており、
前記緊急処理手段は、前記報知信号検出手段が前記報知信号を受信したときに、前記報知信号に含まれる前記継続時間に対応する対応処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記緊急処理手段は、前記継続時間が所定の警報基準時間に満たない場合には前記無線タグの所持者に問いかける音声処理を行い、前記継続時間が所定の警報基準時間以上の場合には前記音声処理で発せられる音声とは異なる警報を発する警報処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
複数の前記無線タグリーダが施設内の複数の位置に配置され、各無線タグリーダには固有IDが割り当てられ、
更に、それら複数の前記無線タグリーダと通信可能な管理装置が設けられており、
前記無線タグリーダは、当該無線タグリーダの前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出したときに前記管理装置に通報する通報手段を有し、
前記管理装置は、前記無線タグから前記報知信号の出力があったとき、当該報知信号に応じた前記通報手段からの通報と、この通報を行う前記無線タグリーダに割り当てられた固有IDとに基づいて、当該報知信号の出力があった前記無線タグと通信可能ないずれかの前記無線タグリーダの位置を検出するリーダ位置検出手段を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍に配置されるリーダ側マイクと、
前記リーダ側マイクによって集められた音声を電気信号に変換して前記管理装置に伝送するリーダ側音声伝送手段と、
前記管理装置に設けられた管理装置側操作手段又は前記無線タグに設けられたタグ側操作手段にて所定のオン操作がなされた場合、又は前記報知信号検出手段が前記報知信号を検出した場合に前記リーダ側マイクをオン状態とするオンオフ切替手段と、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
各無線タグリーダ内又は各無線タグリーダの近傍にそれぞれ配置される複数のスピーカと、
前記管理装置側に配置される管理装置側マイクと、
前記管理装置側マイクによって集められた音声を電気信号に変換して前記スピーカに伝送する管理装置側音声伝送手段と、
を有することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の監視システム。
【請求項11】
無線タグリーダによって監視される無線タグであって、
当該無線タグの静止状態を検出する静止状態検出手段と、
前記静止状態検出手段によって検出される静止状態の継続時間を検出する静止継続時間検出手段と、
前記静止継続時間検出手段によって検出された前記継続時間が所定時間を経過したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に前記無線タグリーダに対して報知信号を出力する報知信号出力手段と、
を有することを特徴とする無線タグ。
【請求項12】
所定の起動信号を定期的に出力するように構成された前記無線タグリーダを通信対象とし、
更に、前記起動信号を検出する起動信号検出手段が設けられており、
前記報知信号出力手段は、前記判断手段によって前記継続時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に、前記起動信号検出手段によって、所定時間内に起動信号検出手段による前記起動信号が検出されたときに前記報知信号を出力することを特徴とする請求項11に記載の無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−63978(P2012−63978A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207663(P2010−207663)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】