説明

監視システム

【課題】 複数の撮影手段の設置して集中管理するためのコストを抑えるとともに、個人のプライバシーを保護することが可能な監視装置を提供する。
【解決手段】 撮影された映像を秘匿化するために必要な情報が記録された秘匿化情報記録手段と、前記映像を記録するための映像記録手段とを択一的に接続できるように構成され、前記秘匿化情報記録手段を接続した後に前記情報に基づいて前記映像を秘匿化して前記映像記録手段に記録できるように構成された撮影手段と、前記映像記録手段を接続し、前記秘匿化するために必要な情報を入力することにより前記映像を視聴できるように構成された管理表示装置を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影手段を備えた監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の監視システムとしては、例えば、特許文献1に開示がなされている。
このような監視システムにおいて、カメラ等の撮影手段の設置台数が多いことが望ましい一方で、それぞれのカメラを回線を通じて集中管理するにはコストがかかるという問題と、映像には、不特定の者が撮影されているために、個人のプライバシーを保護することが難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2005−303646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明では、複数の撮影手段の設置して集中管理するためのコストを抑えるとともに、個人のプライバシーを保護することが可能な監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討の結果、下記の解決手段を見いだした。
即ち、本発明の監視システムは、請求項1に記載の通り、撮影された映像を秘匿化するために必要な情報が記録された秘匿化情報記録手段と、前記映像を記録するための映像記録手段とを択一的に接続できるように構成され、前記秘匿化情報記録手段を接続した後に前記情報に基づいて前記映像を秘匿化して前記映像記録手段に記録できるように構成された撮影手段と、前記映像記録手段を接続し、前記秘匿化するために必要な情報を入力することにより前記映像を視聴できるように構成された管理表示装置を備えたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の監視システムにおいて、前記管理表示装置により、前記情報を前記秘匿化情報記録手段に記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、複数の撮影手段同を集中して管理するためのネットワークを構築する必要がなく、しかも、不特定の者が撮影されている映像は、パスワード等の秘匿化情報に基づいて秘匿化されているので、映像記録手段のみが盗難されたとしても映像を視聴することは極めて困難となるため、セキュリティ及びプライバシーを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明では、映像記録手段と秘匿化情報記録手段とを使用する。秘匿化情報記録手段には、予め、映像を視聴する権限を有する者がパスワード等の秘匿化するために必要な情報を記録し、この情報に基づいて撮影手段により撮影された映像に対して暗号化処理等の秘匿化が行われる。これら映像記録手段と秘匿化情報記録手段とは、撮影手段に対して択一的に接続される。従って、撮影手段は、映像記録手段と秘匿化情報記録手段とを接続するための接続部と、撮影する機能と、映像を秘匿化する情報を読み込んで記録するための機能と、該情報に基づいて撮影された映像を秘匿化するための機能を備えている必要がある。
上記秘匿化された映像は、暗号の復号化等の秘匿化を解除するための管理表示装置を介して始めて視聴可能となる。この映像を視聴するための装置には、暗号の復号化等の秘匿化を解除する機能を備える必要がある。
【0007】
上記構成によれば、仮に、映像記録手段が盗難にあったとしても、この映像記録手段には、秘匿化するために必要な情報が記録されていないので、暗号を解読することは非常に困難となるため、プライバシー及びセキュリティの向上を図ることができる。また、小型の記録媒体を用いることにより、撮影手段の構造を大きくする必要がなく、また、秘匿化に必要な情報を変更するにあたり、撮影手段に他の外部機器を接続する必要がないのでセキュリティを高めることができる。
【0008】
また、前記管理表示装置により、前記情報を前記秘匿化情報記録手段に記録するようにすることが好ましい。秘匿化情報記録手段へ情報を記録するための装置と、視聴のための表示管理装置とを、別に設けるようにすると、複数の装置から秘匿化に必要な情報が入力されることになるため、セキュリティ上望ましくなく、また、コストもかかるからである。
【0009】
次に、具体的に、図1を用いて、本発明の一実施の形態について説明をする。
図1(a)は、市販のパーソナルコンピュータ1(以下、「PC」と略す。)にメモリーカードリーダ2が接続された状態を示し、このPCは、パスワード入力装置としての機能を果たすもので、パスワード等を入力するためのソフトウェアがインストールされている。そして、メモリーカードリーダ2には、秘匿化情報記録手段3となるmicroSDカード(登録商標)が挿入され暗号が記録される。
次に、同図(b)に示すように、撮影手段である監視カメラ4に、秘匿化するために必要な情報が記録された秘匿化情報記録手段3を挿入(接続)する。この時、秘匿化情報記録手段3に記録された情報は、監視カメラ4に自動でロードされるようになっている。そして、秘匿化情報記録手段3を取り外して、次に、同図(c)に示すように、映像記録手段5となる別のmicroSDカードを挿入(接続)する。
その後、撮影を開始することになるが、撮影された映像は、秘匿化情報記録手段に従って暗号化がなされ、映像記録手段5に記録される。
撮影終了後、映像記録手段5を取り外し、同図(d)に示すように、メモリーカードリーダ6が接続されたPCと接続する。このPCは、管理表示装置7となるもので、映像記録手段5に記録された映像が視聴可能なソフトウェアと、パスワードを入力することにより、前記映像を復号化させるためのソフトウェアがインストールされている。この表示装置7に、暗号を入力し、映像記録手段5に記録された映像が復号化され、初めて映像が視聴可能となる。
【0010】
次に、上記監視カメラ4について、具体的に説明する。
監視カメラ4は、通常のデジタルカメラとしての機能する撮影部、外部記録媒体との接続端子、秘匿化情報記録手段3からの秘匿化情報記録手段を読み込むためのプログラム、及び、映像をパスワードに従って暗号化するためのプログラムを備えている。
具体的な監視カメラ4の構成図を図2に示す。
図2に示したものでは、秘匿化情報記録手段3又は映像記録手段5の外部記録媒体が監視カメラ4の接続端子8に接続された状態を示すものである。図示された通り、外部記録媒体3,5は、RAM9やROM10と同様にしてCPU11に接続され、撮影部12からの映像は、画像処理用のIC13を介して、CPU11及びRAM9に接続される。また、図示したものでは、撮影部12の付加的な機能として、ライト14及び赤外線センサ15を備えている。赤外線センサ15により、熱感知した場合に、ライト14を点灯し、撮影をしたり、或いは、熱感知した時のみ所定の時間撮影をしたりすることができるようにするためである。尚、図示していないが、音声が記録できるようにマイクを備えていてもよい。
上記構成において、秘匿化情報記録手段3を接続端子8に接続すると、秘匿化情報記録手段3の中のファイルを検索して、暗号ファイルをRAM9に読み込む。次に、秘匿化情報記録手段3を取り外し、映像記録媒体5を接続すると、撮影部12からの映像は、画像処理用のIC13を介して、CPU11に転送される。この時、CPU11は、映像を、RAM9内に保存されている暗号化プログラムに従って暗号化を行う。
【0011】
撮影部12は、上記の通り、通常のデジタルカメラ程度の機能を有するものであれば、CMOSやCCD等特に制限をするものではない。尚、本明細書において、撮影される対象は、動画に限られず静止画も含むものとする。また、動画の場合に、音声の有無は問わないものとする。
また、秘匿化情報記録手段3の中のファイルを検索して、暗号ファイルを読み込むためのソフトウェアは、図示したものではROM10内に記録しているが、特定の拡張子が付されたファイル名のものを検索する等の暗号が記録されたファイルを検索により特定できるものであれば記録される場所は特に制限するものではない。
また、映像を暗号に従って暗号化するためのソフトウェアも同様にROM10内に記録されているが、サイファ等の周知の暗号化の方法により行うことができ、このソフトウェアについても特に制限をするものではない。
【0012】
本発明に使用する表示装置は、PC等の映像を視聴(静止画の場合には閲覧)できるソフトウェアであれば特に制限するものではない。
暗号化映像を解読するソフトウェアとしても、特に制限するものではない。
【0013】
本発明に使用する秘匿化情報記録手段3及び映像記録手段5についても、特に制限するものではなく、microSDカード以外に、SDカード(登録商標)、CFカード、USB接続のフラッシュメモリ等も利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、住宅街の監視装置のみならず、子供用のカバンや、バス・タクシー等に取り付けることができる点で産業上広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態の説明図
【図2】同実施の形態の外部記録媒体が監視カメラの接続端子に接続された状態の説明図
【符号の説明】
【0016】
1 パーソナルコンピュータ(PC)
2 メモリカードリーダ
3 秘匿化情報記録手段
4 監視カメラ(撮影手段)
5 映像記録手段
6 メモリカードリーダ
7 管理表示装置
8 接続端子
9 RAM
10 ROM
11 CPU
12 撮影部
13 画像処理用IC
14 ライト
15 赤外線センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された映像を秘匿化するために必要な情報が記録された秘匿化情報記録手段と、前記映像を記録するための映像記録手段とを択一的に接続できるように構成され、前記秘匿化情報記録手段を接続した後に前記情報に基づいて前記映像を秘匿化して前記映像記録手段に記録できるように構成された撮影手段と、前記映像記録手段を接続し、前記秘匿化するために必要な情報を入力することにより前記映像を視聴できるように構成された管理表示装置を備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記管理表示装置により、前記情報を前記秘匿化情報記録手段に記録することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−118960(P2010−118960A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291486(P2008−291486)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(504145364)国立大学法人群馬大学 (352)
【出願人】(594025564)株式会社ロッキー (4)
【Fターム(参考)】