説明

監視制御用集約装置およびそれを用いた監視制御システム

【課題】複数のサーバ間でデータ共有が必要となった際に、監視制御システムを容易に構築することのできる監視制御用集約装置を提供する。
【解決手段】複数のサーバとネットワークを介して接続され、複数のサーバにより収集されたそれぞれの監視情報を複数のサーバ間で共有するための通信制御を行う監視制御用集約装置であって、監視情報を限定されたデータ構造で記憶する記憶部(22)と、ネットワークを介して複数のサーバから限定されたデータ構造を有する監視情報を受信し、記憶部に記憶させる保存手段(21)と、記憶部に記憶された監視情報を取り出し、ネットワークを介して複数のサーバに対して監視情報を送信する配信手段(23)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の監視情報を収集する複数のサーバ間の情報共有化を実現するための監視制御用集約装置およびそれを用いた監視制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ間でデータを共有する場合の従来技術においては、複数のサーバ間で情報の送受信を直接行うものがある。個々のサーバは、必要なタイミングで自らの情報を取得・保存するとともに、他のサーバからの情報の取得あるいは他のサーバへの情報の提供を行う。複数のサーバは、それぞれ全く異なる装置であり、データ構造あるいは通信可能な手段もそれぞれ異なっている。
【0003】
しかしながら、このようなシステムにおいて新たなサーバを追加する場合には、新たなサーバは、複数の既存サーバそれぞれが持つ独自の通信方式を理解してデータ共有処理を作成する必要があるため、非常に非効率である。これは、サーバが追加され、システム全体が大規模化されるほどその負担が大きくなる。
【0004】
これに対して、様々な管理情報やコマンド情報などを構造化文書形式により共通化することにより、複数の通信装置(本願における複数のサーバに相当)の管理を容易に行うことができるとともに、通信装置の管理情報を容易に送受信でき、容易に処理可能な通信装置および管理サーバを提供するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−30062号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。構造化文書形式を用いることによりサーバ間で情報の共通化を図る場合には、例えば、構造化文書形式としてXML等を利用することができる。しかし、その構造化文書のデータ形式の自由度は非常に高いため、データ形式の統一は図れるものの、結果的には情報を受信したサーバ、あるいは管理サーバで、受信情報を解読するための処理が必要となる。したがって、想定外のデータ形式の情報を有する新たなサーバが付加される場合の監視制御システムの構築には、新たなデータ形式に対応するために、各サーバおよび管理サーバの改造が必要であった。
【0007】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、複数のサーバ間でデータ共有が必要となった際に、監視制御システムを容易に構築することのできる監視制御用集約装置およびそれを用いた監視制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る監視制御用集約装置は、複数のサーバとネットワークを介して接続され、複数のサーバにより収集されたそれぞれの監視情報を複数のサーバ間で共有するための通信制御を行う監視制御用集約装置であって、監視情報を限定されたデータ構造で記憶する記憶部と、ネットワークを介して複数のサーバから限定されたデータ構造を有する監視情報を受信し、記憶部に記憶させる保存手段と、記憶部に記憶された監視情報を取り出し、ネットワークを介して複数のサーバに対して監視情報を送信する配信手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サーバ間のデータを共有化するために、各サーバにおけるデータ取得・保存の形式を一定のルールを設けて限定することにより、複数のサーバ間でデータ共有が必要となった際に、監視制御システムを容易に構築することのできる監視制御用集約装置およびそれを用いた監視制御システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の監視制御用集約装置およびそれを用いた監視制御システムの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
本発明の監視制御用集約装置は、各サーバで取得・保存する情報のデータ形式を限定し、限定されたデータ形式に基づいて、各サーバの監視情報の集約管理を行うことを特徴とするものである。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における監視制御用集約装置で取り扱うデータ構造を示した図である。ここで、「データ」とは、意味を持つ複数の情報がひとまとめになった構造体である。取り扱うデータ構造は、0次元型11、1次元型12、2次元型13、2次元ヘッダ付型14、3次元型15、および3次元ヘッダ付型16の6パターンがある。
【0012】
0次元型11は、1つの構造体で形成されている。1次元型12は、複数の同一形式の構造体が1次元の配列として形成されている。2次元型13は、複数の同一形式の構造体が2次元の配列として形成されている。2次元ヘッダ付型14は、特殊な形をした構造体を有するヘッダデータを先頭に備え、複数の同一形式の構造体が2次元の配列として形成されている。
【0013】
3次元型15は、複数の同一形式の構造体が3次元の配列として形成されている。さらに、3次元ヘッダ付型16は、特殊な形をした構造体を有するヘッダデータを先頭に備え、複数の同一形式の構造体が3次元の配列として形成されている。
【0014】
このような6個のパターンにデータ構造を固定することで、本発明の監視制御用集約装置につながれ、種々の監視制御をおこなうそれぞれのサーバは、この6パターンのデータに対応した保存・取得方法を実装すればよい。また、データ構造の設計者は、設計時にこの6パターンの中から最も利用しやすい形式を選択して設計すればよく、設計にかける時間を短縮することができる。
【0015】
したがって、本発明の実施の形態1の監視制御用集約装置を含む監視制御システムにおいて、この監視制御用集約装置に接続される各サーバで取り扱うデータのために、データの送信元である各サーバの設計者、あるいは他のサーバのデータを利用する配信先の各サーバのユーザが実際に必要となる作業は、以下となる。
【0016】
A:送信元のサーバの設計者は、あらかじめ決められた6パターンのデータ構造の中から所望のパターンを選択する。
B:さらに、送信元のサーバの設計者は、選択したパターンのデータ構造に適合する構造体を設計する。
C:配信先の各サーバのユーザは、6パターンのデータ構造のそれぞれに対応して、保存・取得する機能を作成する。一度製作したパターンは、同一のパターンデータを保存・取得する際に流用可能である。
【0017】
これらA〜Cの作業内容に対して、監視制御用集約装置を用いない場合に、送信元および配信先のそれぞれのサーバにおいて必要となる作業は、以下のA’〜C’となる。
A’:送信元のサーバの設計者は、データ構造を設計する。
B’:さらに、送信元のサーバの設計者は、設計したデータ構造に適合する構造体を設計する。
C’:配信先の各サーバのユーザは、送信元のサーバのデータ構造に合わせてデータを保存・取得する機能を毎回作成する。
【0018】
実施の形態1によれば、あらかじめ決められたパターンのデータ構造に限定して、監視制御用集約装置を介在して各サーバ間のデータ送受信を行うことにより、送信元サーバおよび配信先サーバの設計負荷を軽減することができ、複数のサーバにより取得されたデータに基づく監視制御システムを構築する際に、設計作業の生産性を向上させることができる。
【0019】
実施の形態2.
本実施の形態2では、実施の形態1で示した6パターンに限定したデータ構造を有する監視制御用集約装置と、各種データの収集・配信を行う複数のサーバとを備えた監視制御システムの機能について具体的に説明する。図2は、本発明の実施の形態2における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【0020】
図2における監視制御システムは、監視制御用集約装置20、第1サーバ31、第2サーバ32、および第3サーバ33を備え、これらは、ネットワーク41を介して互いに接続されている。また、監視制御用集約装置20は、保存手段21、記憶部22、および配信手段23で構成される。
【0021】
保存手段21は、各サーバからの指示に従って、ネットワーク41を介して各種サーバから情報を収集し、収集した情報を記憶部22に記憶させるための保存機能を有している。記憶部22は、各種サーバの情報を記憶するデータベースの働きをする。さらに、配信手段23は、各サーバからの指示に従って、記憶部22に記憶されたデータを読み取り、各サーバに配信するための配信機能を有している。
【0022】
次に、各サーバについて説明する。第1サーバ31は、道路情報を各地から収集するサーバである。第2サーバ32は、河川情報を各地から収集するサーバである。また、第3サーバ33は、気象情報を各地から収集するサーバである。
【0023】
このように構成された監視制御システムにおいて、各サーバ間でのデータの共有化を図るための動作について、次に説明する。第1サーバ31、第2サーバ32、および第3サーバ33の3種類のサーバは、自身が収集した道路情報、河川情報、または気象情報とともに、自身以外の他のサーバが収集した情報も必要であることを想定する。例えば、第1サーバ31は、自身が収集した道路情報以外に、第2サーバ32が収集した河川情報および第3サーバ33が収集した気象情報も必要であるとする。
【0024】
このような場合には、新たな情報を収集したサーバ(すなわち、新たな情報の送信元のサーバ)は、その新たな情報の保存要求を監視制御用集約装置20の保存手段21に対して送信した後に、監視制御用集約装置20の配信手段23に対して他の配信先サーバへの配信要求を送信することにより、全サーバでデータを等価とすることが可能となる。
【0025】
具体的な処理の流れを、図2を用いて説明する。第1サーバ31が収集した新たな道路情報を、監視制御用集約装置20を介して第2サーバ32および第3サーバ33に配信する場合を例にして説明する。図2において、第1サーバ31は、監視制御用集約装置20に対して、自らが新たに収集した道路情報の保存要求を送信し、さらにその情報の配信要求を送信する(S201)。
【0026】
監視制御用集約装置20内の保存手段21は、保存要求に応じて第1サーバ31から新たな道路情報を収集し、記憶部22に記憶させる。さらに、監視制御用集約装置20内の配信手段23は、配信要求に応じて記憶部22に記憶された新たな道路情報を取り出し、第2サーバ32および第3サーバ33に送信する(S202)。
【0027】
これにより、第2サーバ32および第3サーバ33は、最新の道路情報によって記憶部22が更新されたタイミングで、この最新の道路情報を取得することができる。河川情報および気象情報についても同様であり、各サーバは、等価なデータを持つことが可能となる。
【0028】
さらに、監視制御システム内で扱われる道路情報、河川情報、および気象情報は、あらかじめ決められた6パターンのうちの何れか1つのデータ構造を有しているため、それぞれのサーバは、監視制御用集約装置20を介して得ることのできる他のサーバからの情報を、容易に取り込むことができる。
【0029】
実施の形態2によれば、監視制御システム内で取り扱う情報のデータ構造をあらかじめ決められたパターンに限定することにより、監視制御用集約装置は、種々のサーバから得られる情報の管理を容易に行えるとともに、それぞれのサーバは、監視制御用集約装置を介して得られる他のサーバの情報を容易に取り込むことができる。
【0030】
さらに、監視制御用集約装置は、それぞれのサーバからの保存要求に基づいて、最新情報を記憶部に記憶して統括管理できるとともに、保存要求に続いて送信される配信要求に基づいて、最新情報の送信元以外の配信先サーバに対して最新情報を直ちに配信できる。これにより、監視制御システム内で取り扱う情報を、監視制御用集約装置および各サーバで等価とすることが可能となり、種々の情報を共有するシステムの構築が容易に行える。
【0031】
実施の形態3.
本実施の形態3では、すでに構築された監視制御システムに対して、さらに新たなサーバを容易に付加できるようにするための監視制御用集約装置について説明する。図3は、本発明の実施の形態3における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【0032】
実施の形態2における監視制御システムの構成を示した図2と比較すると、図3の構成は、新たに第4サーバ34が付加されているとともに、監視制御用集約装置20内に新たに配信先記憶部24を備えている点が異なる。これらの異なる構成要素を中心にして、以下に説明する。
【0033】
第4サーバ34は、災害情報を各地から収集するサーバであり、監視制御システムに新たに追加されるサーバである。また、配信先記憶部24は、各サーバからの配信要求に対応した配信先サーバの一覧を配信先管理テーブルとして格納するデータベースである。
【0034】
このように構成された監視制御システムにおいて、新たに追加された第4サーバ34の災害情報も加えて、各サーバ間でのデータの共有化を図るための動作について、次に説明する。本実施の形態3において、監視制御用集約装置20内の配信手段23は、各サーバから配信要求を受けたタイミングで配信要求に対応する情報を記憶部22から取り出すとともに、配信先記憶部24に格納された配信先管理テーブルを参照して、配信要求に対応した配信先サーバを特定し、特定したサーバに必要な情報を配信することができる。
【0035】
ここで、新たに第4サーバ34が追加された場合には、配信先記憶部24内の配信先管理テーブルのデータを書き換えることにより、容易に新たな構成に対応することができる。すなわち、配信先管理テーブルのデータとして、第1サーバ31、第2サーバ32、第3サーバ33のそれぞれからの配信要求に対応する配信先サーバに第4サーバ34を追加するとともに、第4サーバ34の配信要求に対応する配信先サーバとして、第1サーバ31〜第3サーバ33からなるデータを新たに追加することにより、容易に新たな構成に対応することができる。
【0036】
具体的な処理の流れを、図3を用いて説明する。第1サーバ31が収集した新たな道路情報を、監視制御用集約装置20を介して第2サーバ32および第3サーバ33に配信するとともに、新たに追加された第4サーバ34にも配信する場合を例にして説明する。まず始めに、新たなサーバとして第4サーバ34が追加されたことに伴い、上述のようにして配信先記憶部24の配信先管理テーブルのデータを書き換えておく。そして、図3において、第1サーバ31は、監視制御用集約装置20に対して、自らが新たに収集した道路情報の保存要求を送信し、さらにその情報の配信要求を送信する(S301)。
【0037】
監視制御用集約装置20内の保存手段21は、保存要求に応じて第1サーバ31から新たな道路情報を収集し、記憶部22に記憶させる。さらに、監視制御用集約装置20内の配信手段23は、配信要求に応じて記憶部22に記憶された新たな道路情報を取り出し、さらに、配信要求に応じて配信先記憶部24内の配信先管理テーブルにより配信先サーバを特定し(この場合は、配信先サーバとして第2サーバ32〜第4サーバ34が特定される)、特定された第2サーバ32、第3サーバ33に新たな道路情報を送信する(S302)とともに、追加となった第4サーバ34にも新たな道路情報を送信することができる(S303)。
【0038】
上述においては、図3を用いて新たなサーバが追加になる場合を説明したが、既存のサーバが削除される場合、あるいはサーバの構成は変更ないが、配信要求に対応する配信先サーバを修正する場合にも、配信先管理テーブルのデータを修正することにより、容易に対応することができ、監視制御システム全体としてデータの等価を実現できる。
【0039】
実施の形態3によれば、監視制御用集約装置内に配信先記憶部を備え、配信先記憶部に格納された配信先管理テーブルを用いて、各サーバからの配信要求に応じた配信先サーバを管理することにより、新たにサーバが追加になるなど監視制御システムの構成が変更になる場合にも、配信先管理テーブルを修正することにより容易に対応することができ、監視制御システム全体としてデータの等価を実現できる。
【0040】
実施の形態4.
実施の形態2、3では、各サーバの最新情報を監視制御用集約装置20内の記憶部22で統括管理する場合について説明した。本実施の形態3では、記憶部22が全ての情報を記憶するのではなく、監視情報の特性に応じて、例えば、容量の大きなデータ等は、送信元のサーバ内の記憶部で管理しておき、データを取得したい配信先のサーバからの取得要求に応じて監視制御用集約装置20を介してデータの送受信を行う場合について説明する。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態4における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。実施の形態2における監視制御システムの構成を示した図2と比較すると、図4の構成は、第3サーバ33がないとともに、第2のサーバ32内には記憶部32aが記載されており、さらに、監視制御用集約装置20内の記憶部22には新たに格納先情報が格納されている点が異なる。これらの異なる構成要素を中心にして、以下に説明する。
【0042】
第2サーバ32内の記憶部32aは、最新の河川情報が記憶されているデータベースである。なお、先の図2あるいは図3における第1サーバ31〜第3サーバ33、および図4における第1サーバ31においては記載を省略したが、図4の第2サーバ32における記憶部32aに相当する記憶部をそれぞれのサーバが有していることは言うまでもない。
【0043】
また、記憶部22内に記憶される格納先情報は、送信元のサーバにより更新された最新情報がそのサーバ内の記憶部のどこに記憶されているかを示す参照データからなるものである。このように構成された監視制御システムにおいて、各サーバ間でのデータの共有化を図るための動作について、次に説明する。
【0044】
本実施の形態4において、送信元の各サーバは、新たな情報の保存要求を監視制御用集約装置20に対して送信する際に、監視情報の特性に応じて、例えば、新たな情報が極端にサイズの大きいデータである場合には、データ自身は自らの記憶部に格納しておき、そのデータの格納先情報を保存要求とともに監視制御用集約装置20に知らせる。また、監視情報の特性に応じて、例えば、新たな情報のサイズが大きくないデータである場合には、送信元のサーバは、格納先情報ではなく、先の実施の形態2、3と同様に新たな情報のデータ自身を送信することとし、格納先情報を付属しない保存要求を監視制御用集約装置20に送信する。
【0045】
一方、監視制御用集約装置20内の保存手段21は、送信元のサーバから新たな情報の保存要求とともに格納先情報を受け取ると、新たな情報の代わりに格納先情報を記憶部22に記憶させる。また、保存手段21は、送信元のサーバから格納先情報が付属されていない新たな情報の保存要求を受け取ると、先の実施の形態2、3と同様に新たな情報のデータ自身を送信元のサーバから受け取り、記憶部22に記憶させる。
【0046】
配信先のサーバは、監視制御用集約装置20から新たな情報を取得したい場合には、監視制御用集約装置20に対して取得要求を送信する。受信した取得要求に対して、監視制御用集約装置20は、記憶部22内に取得要求に対応する新たな情報のデータ自体が記憶されている場合には、その新たな情報を記憶部22から取り出して取得要求を送ってきた配信先サーバに配信する。
【0047】
また、受信した取得要求に対して、監視制御用集約装置20は、記憶部22内に取得要求に対応する新たな情報のデータ自体が記憶されておらず、これに対応する格納先情報が記憶されている場合には、格納先情報に基づいて送信元であるサーバから新たな情報のデータ自身を取得し、取得要求を送ってきた配信先サーバに配信する。このような手順の処理を施すことにより、監視制御システム内のデータの等価を図ることができる。
【0048】
具体的な処理の流れを、図4を用いて説明する。格納先情報が送信された第2サーバ32の新たな情報を、第1サーバ31が取得したい場合を例にして説明する。まず始めに、第2サーバ32は、更新した新たな情報を記憶部32aに記憶させるとともに、この新たな情報に対応する格納先情報を生成し、監視制御用集約装置20に対して、格納先情報を付属した保存要求を送信する(図示せず)。監視制御用集約装置20内の保存手段21は、格納先情報が付属した保存要求を受信すると、記憶部22に格納先情報を記憶させる。
【0049】
第1サーバ31は、第2サーバの最新情報を取得したい場合に、監視制御用集約装置20に取得要求を送信する(S401)。監視制御用集約装置20内の配信手段23は、受信した取得要求に対応する格納先情報を記憶部22から取り出す。さらに、配信手段23は、取り出した格納先情報に基づいて第2サーバ32に対して最新情報の送信要求を出し(S402)、第2サーバ32の記憶部32aに格納されている最新情報を取得する(S403)。そして、配信手段23は、取得した最新情報を第1サーバ31に対して配信する(S404)。
【0050】
実施の形態4によれば、監視情報の特性に応じて、データの格納先を示す参照データからなる格納先情報を導入することにより、通信負荷を軽減するとともに、監視制御用集約装置内の記憶部に格納するデータ量を削減することができる。特に、データサイズが大きい場合には、より大きな軽減効果、削減効果が期待できる。さらに、最新情報を取得したい配信先のサーバは、その最新情報の実データが監視制御用集約装置にあるなしに関わらず、監視制御用集約装置に対して取得要求を出すことができる。したがって、各サーバは、監視制御用集約装置に対して、常に一定の方法で取得要求を出すことができる。
【0051】
なお、上述では、監視情報の特性の一例として、監視情報のデータサイズが大きい場合について説明したが、本実施の形態4はこれに限定されるものではない。例えば、6つのパターンで規定できないデータに関しても、格納先情報を導入することにより、監視制御用集約装置の記憶部内には監視情報を記憶せずに、配信手段を介して各サーバ間で監視情報の送受信が可能となる。
【0052】
なお、上述では、送信元のサーバからの保存要求に続く配信要求がなく、配信先のサーバからの取得要求に応じて実データを送信する手順を説明したが、本実施の形態4はこれに限定されるものではない。格納先情報を導入した場合にも、次のようにすれば、配信要求を併用することが可能である。
【0053】
配信手段23は、新たな情報のデータ自身が記憶部22に記憶されている場合には、送信元のサーバからの保存要求に続く配信要求に応じて、先の実施の形態2、3と同じようにその新たな情報を直ちに配信先のサーバに配信する。
【0054】
一方、送信元のサーバからの保存要求に続く配信要求に応じて、新たな情報のデータ自身の代わりに格納先情報が記憶部22に記憶されている場合には、配信手段23は、この格納先情報のみを配信先のサーバに配信する。
【0055】
これに対して、配信先のサーバは、監視制御用集約装置20から新たな情報のデータ自身を受け取った場合には、先の実施の形態2、3と同様に、この時点でデータの等価が図られることとなる。また、配信先のサーバは、監視制御用集約装置20から新たな情報のデータ自身の代わりに格納先情報を受け取った場合には、その格納先情報を記憶部内に保存することにより、仮想的なデータの等価が図られることとなる。
【0056】
さらに、配信先のサーバは、格納先情報に対応する新たな情報のデータ自身を取得したい場合には、監視制御用集約装置20に対して、実施の形態4で説明したような取得要求を送信することにより、実データを取得できる。このように、配信要求に応じて格納先情報を配信先のサーバに送信することにより、配信先のサーバは、送信元のサーバのデータ更新タイミングを知ることが可能となり、監視制御システム内のデータをタイムリーに等価とすることが可能となる。
【0057】
実施の形態5.
実施の形態2〜4では、監視制御用集約装置20が保存手段21および配信手段23の2つの手段を有する場合について説明した。実施の形態5では、保存、配信以外の新たな機能を容易に付加することができる監視制御用集約装置20について説明する。図5は、本発明の実施の形態5における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【0058】
実施の形態2における監視制御システムの構成を示した図2と比較すると、図5の構成は、監視制御用集約装置20内に新たに変換手段25、管理手段26、および対応手段記憶部27を備えている点が異なる。これらの異なる構成要素を中心にして、以下に説明する。
【0059】
変換手段25は、監視制御用集約装置20の記憶部22に記憶されているデータを変換する機能を有し、保存手段21および配信手段23の2つの既存手段に加えて新たに付加された新規機能を示している。管理手段26は、各サーバから直接要求コマンドを受信し、受信した要求コマンドに応じて保存手段21、配信手段23、変換手段25の何れかに、要求コマンドを伝える機能を有している。対応手段記憶部27は、各サーバからの要求コマンドと、その要求コマンドを伝達すべき各種手段とを対応づけたデータを手段管理テーブルとして格納するデータベースである。
【0060】
このように構成された監視制御システムにおいて、新規機能として変換手段25が追加された場合の動作について、次に説明する。管理手段26は、各サーバからの要求コマンドとして、例えば、保存要求、配信要求、変換要求を受け取る。さらに、管理手段26は、対応手段記憶部27に記憶された手段管理テーブルに基づいて、これらの要求コマンドを対応する保存手段21、配信手段23、または変換手段25の何れかに振り分ける。
【0061】
管理手段26による振り分けは、振り分け先によらずにすべて同一の方式、同一の形式で行なわれる。すなわち、管理手段26および対応手段記憶部27を用いることにより、各サーバから監視制御用集約装置20に対して送信する要求コマンドを一定の方式、一定の形式とすることができる。
【0062】
図5において、新規機能として変換手段25が加えられ、これに対応する要求コマンドが「変換要求」であったとすると、対応手段記憶部27の手段管理テーブルのデータとして、変換手段25と変換要求との対応関係を規定する新たなデータを設定することにより、記憶部22に記憶された種々のデータに対する変換手段25を組み込むことが容易に行える。
【0063】
実施の形態5によれば、各サーバと、監視制御用集約装置内の記憶部に記憶されたデータに対する各操作機能の実行手段との間に、要求コマンドの振り分けを行うための管理手段および対応手段記憶部を設けることにより、監視制御用集約装置の内部のどのような機能であっても、サーバからの要求コマンドを一定の形式にすることが可能であり、種々の操作機能に対して柔軟に対応できる監視制御システムを容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1における監視制御用集約装置で取り扱うデータ構造を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態2における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【図4】本発明の実施の形態4における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態5における監視制御用集約装置を含む監視制御システム全体の構成図である。
【符号の説明】
【0065】
20 監視制御用集約装置、21 保存手段、22 記憶部、23 配信手段、24 配信先記憶部、25 変換手段、26 管理手段、27 対応手段記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサーバとネットワークを介して接続され、前記複数のサーバにより収集されたそれぞれの監視情報を前記複数のサーバ間で共有するための通信制御を行う監視制御用集約装置であって、
前記監視情報を限定されたデータ構造で記憶する記憶部と、
前記ネットワークを介して前記複数のサーバから限定されたデータ構造を有する監視情報を受信し、前記記憶部に記憶させる保存手段と、
前記記憶部に記憶された前記監視情報を取り出し、前記ネットワークを介して前記複数のサーバに対して前記監視情報を送信する配信手段と
を備えたことを特徴とする監視制御用集約装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視制御用集約装置において、
前記保存手段は、監視情報の送信元であるサーバからの要求コマンドとして保存要求を受信することにより、前記サーバから前記監視情報を受信し、
前記配信手段は、監視情報の送信元であるサーバからの要求コマンドとして配信要求を受信することにより、前記記憶部に記憶された前記サーバに対応する監視情報を取り出し、送信元以外のサーバに対して前記監視情報を送信する
ことを特徴とする監視制御用集約装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視制御用集約装置において、
送信元サーバに対応して、前記送信元サーバの監視情報を配信する配信先サーバの一覧を配信先管理テーブルとしてあらかじめ格納する配信先記憶部をさらに備え、
前記配信手段は、監視情報の送信元であるサーバからの要求コマンドとして配信要求を受信することにより、前記記憶部に記憶された前記サーバに対応する監視情報を取り出し、前記配信要求に対応した配信先サーバを前記配信先管理テーブルにより特定し、特定した前記配信先サーバに対して前記監視情報を送信する
ことを特徴とする監視制御用集約装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の監視制御用集約装置において、
前記記憶部は、監視情報の特性に応じて、実データの代わりに前記監視情報の格納先情報を参照データとして記憶し、
前記保存手段は、要求コマンドとして保存要求を受信したときは、監視情報の特性に応じて、限定されたデータ構造を有する監視情報もしくは前記監視情報の格納先情報を受信して前記記憶部に記憶させ、
前記配信手段は、要求コマンドとして配信要求を受信したときは、監視情報の特性に応じて、前記監視情報もしくは前記格納先情報を前記記憶部から取り出して送信し、前記記憶部に監視情報が記憶されている状態で監視情報の受信要求を要求コマンドとして受信したときは、前記記憶部から前記監視情報を取り出して受信要求元のサーバに送信し、前記記憶部に格納先情報が記憶されている状態で監視情報の受信要求を要求コマンドとして受信したときは、前記格納先情報に基づいて送信元のサーバから監視情報を受信して受信要求元のサーバに前記監視情報を送信する
ことを特徴とする監視制御用集約装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の監視制御用集約装置において、
サーバからの要求コマンドと、前記要求コマンドを処理する前記保存手段および前記配信手段を含む各種処理手段とを対応づけたデータを手段管理テーブルとしてあらかじめ格納する対応手段記憶部と、
前記各種処理手段と各サーバとの間に位置し、前記ネットワークを介して前記複数のサーバから要求コマンドを受信した場合には、前記要求コマンドに対応した処理手段を前記手段管理テーブルにより特定し、特定した前記処理手段に対して前記要求コマンドを送信することにより前記各種処理手段と前記複数のサーバとの間の通信制御を行う管理手段と
をさらに備えたことを特徴とする監視制御用集約装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の監視制御用集約装置を用いたことを特徴とする監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−79204(P2006−79204A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260054(P2004−260054)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】