説明

監視情報統合表示システム

【課題】監視対象に対する情報の監視漏れを低減するとともに、監視業務に対する監視員等の作業負荷を軽減することのできる監視情報統合表示システムを得る。
【解決手段】監視対象の事象を監視するにあたって行なわれる、監視端末の監視画面のカスタマイズ操作を受けつけ、種々の監視情報の中からこのカスタマイズ操作の中で選択し対応付けされた監視情報を監視画面内にそれぞれ異なる表示ウィンドウにより統合表示するとともに、このときの監視情報及びその表示ウィンドウ相互の関係を、監視対象の事象に対応させて統合表示情報として統合表示データベースに記憶する。そして、監視業務を継続するなかで、統合表示データベース内にその統合表示情報が記憶されている監視対象の事象が指定された際は、この対応する統合表示情報に基づいて監視端末の監視画面を構成し監視情報を統合表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の異なる情報源からの監視情報を1つの画面に統合して表示する監視情報統合表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の事象を監視する監視システムにおいては、対象の事象に関する監視情報を複数の異なる情報源から継続して取得するとともに、これら取得した情報を状況に応じて段階的に加工あるいは高次処理を施していく中で、その結果の表示、蓄積、あるいは配布等が行なわれる。この種のシステムでは、各段階での処理結果等を含めると取扱う監視情報は多種に及び、また情報間で相互に関連を有するものもあることから、特にこれらを表示するにあたっては、的確な監視業務を遂行できるように、その画面構成や表示のための操作等について種々の手法が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
この特許文献1には、複数の監視対象の状態、それら監視対象に関連する情報、及び監視対象に異常が発生した場合の警報を、それぞれウィンドウ形式で1つの画面に表示することにより、系統だてた監視を行えるようにした監視制御装置の事例が開示されている。また、特許文献2には、選択操作して表示された監視画面の縮小画面を操作履歴順にアイコンとして表示させておき、先の監視画面を再表示させる場合にはこの縮小画面から選択操作することにより、操作者が所望の監視画面を容易に素早く再表示できるようにした監視装置の事例が開示されている。
【特許文献1】特開2000−56826号公報(第12ページ、図2)
【特許文献2】特開2006−163468号公報(第12ページ、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一例として、船舶の動向等を監視する業務等においては、監視情報を取得する情報源として、例えば船舶の航跡情報、航空機の航跡情報、気象情報、テレビやラジオ等の報道情報、監視カメラの映像情報、インターネットによる情報等、様々な監視手段を用いて監視システムが構築される。そして、監視業務の遂行にあたっては、これら監視手段や監視情報は、具体的な監視対象あるいは監視事象に対応して、監視員等によりそれぞれに単独あるいは種々に組み合わされて用いられるとともに、その状況が監視画面等に表示される。すなわち、具体的な監視対象あるいは監視対象の事象が異なると、同じ監視システム内でも用いる監視手段及びその組み合わせ等はそれぞれに異なり、またその状況を表示するために最適な監視画面表示等も異なるものとなる。
【0005】
しかしながら、監視手段あるいは監視情報取得のための情報源は上記のように多岐にわたるため、具体的な監視対象あるいは監視事象と、監視手段あるいは監視情報取得のための情報源との対応付け及び組合せについては、当該監視業務に関するノウハウ等に十分精通する必要があった。このため、監視員の熟練度等によっては、監視情報に対する監視漏れが生じるおそれがあった。また、種々の監視情報を切り換えあるいは組合せて監視画面等に表示させながら監視業務を遂行するため、業務遂行中の監視員に対する操作負荷等も軽微なものではなかった。さらに、監視画面表示等については、監視員の熟練度や監視中における監視対象の状況等を反映しながら、その表示画面内の配置を適切かつ容易に再構成できることが望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の事情を考慮してなされたものであり、監視対象に対する情報の監視漏れを低減するとともに、監視業務の作業負荷を軽減する監視情報統合表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の監視情報統合表示システムは、複数の異なる情報源からの監視情報を取得する監視情報取得手段と、前記取得した監視情報を保持制御しながらネットワーク上でこれら監視情報に対する所定の情報処理サービスを提供する監視サーバと、この監視サーバにネットワーク接続され、前記複数の異なる情報源からの監視情報を監視対象の事象に対応させて選択的に監視画面内のそれぞれ異なる表示ウィンドウに表示させるためのカスタマイズ操作を受けつけるとともに、このカスタマイズ操作に基づき前記監視情報の表示ウィンドウを前記監視画面内に統合して表示する監視端末と、前記監視端末の監視画面内に統合して表示された前記監視情報の各表示ウィンドウ相互の関係を、この監視画面のカスタマイズ操作を行なった前記監視対象の事象に対応させて前記ネットワーク上で記憶する統合表示データベースとを有し、監視対象の事象を監視するにあたって前記監視端末に監視画面を表示する際は、この監視対象の事象に対応させて前記統合表示データベースに記憶された前記監視情報の各表示ウィンドウ相互の関係に基づきこれら監視情報をこの監視画面に統合して表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、監視対象に対する情報の監視漏れを低減するとともに、監視業務に対する監視員等の作業負荷を軽減することのできる監視情報統合表示システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明に係る監視情報統合表示システムを実施するための最良の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明に係る監視情報統合表示システムの一実施例を示すブロック図である。この事例では、3台の監視端末がネットワークに接続されている場合を示している。
【0011】
図1に例示したように、この監視情報統合表示システムは、監視情報取得部10、監視サーバ20、監視端末30、統合表示データベース40、ならびにこれらを相互に接続するネットワーク50から構成されている。監視情報取得部10は、本実施例においてはそれぞれの情報源に対応させて、船舶及び航空機の航跡を取得する航跡情報取得部11、気象情報を取得する気象情報取得部12、報道情報を取得するテレビチューナ部13、及びラジオチューナ部14、監視カメラによる画像情報を取得する監視カメラ部15、ならびにインターネットによる電子的情報を取得するインターネット情報取得部16を備えている。そして、それぞれに取得した監視情報を監視サーバ20に送出する。
【0012】
監視サーバ20は、監視情報取得部10からの監視情報を受けとって一時保持・蓄積を行ないながら、監視情報に対する各種の情報処理を行なって、ネットワーク50に接続された各機器に提供する。監視端末30は、監視員等が監視業務を行なう際のマンマシンインターフェイス部である。本実施例では、いずれも同一に構成された3台の監視端末30a、30b、及び30cを備え、ネットワーク50に接続された場合を例示している。そして、監視対象の事象にあわせて監視員等により行なわれる監視画面のカスタマイズ操作を受けつけるとともに、監視サーバ20からの監視情報をネットワーク50経由で受けとり、このカスタマイズ操作に基づいて監視画面内に統合してそれぞれの表示ウィンドウに表示する。
【0013】
監視端末30の監視画面の一例を図2に示す。この図2(a)に示した事例では、この監視画面は4つの表示領域、すなわち監視事象名表示領域31、監視情報名表示領域32、制御ボタン表示領域33、及び監視情報表示領域34から構成されている。監視事象名表示領域31には、監視対象の事象名がカテゴリー毎にツリー状に表示される。監視情報名表示領域32には、監視情報を選択指定するためにその監視情報名に対応して設けられた監視情報名アイコン321が表示される。制御ボタン表示領域33には、監視サーバ20内の監視情報に対する保持・蓄積を制御する制御ボタン331が表示される。監視情報表示領域34には、監視画面のカスタマイズ操作に基づいて、表示対象の監視情報がこの表示領域内に統合されてそれぞれ異なる表示ウィンドウ341に表示される。
【0014】
統合表示データベース40は、監視端末30の監視画面内の監視情報表示領域34にカスタマイズ操作によって統合して表示された監視情報の各表示ウィンドウ相互の関係を、統合表示情報として監視対象の各事象に対応させて記憶する。この統合表示情報の記憶内容の一例を示す概念図を図3に例示する。この図3の事例では、1件分の統合表示情報41は、監視画面の監視事象名表示領域31に表示されたそれぞれの監視対象の事象名に対して、この事象の監視をするために組み合わせるべき、監視画面の監視情報名表示領域32に表示された複数の監視情報名が、カスタマイズ操作によって関連づけられ、さらに監視情報名のそれぞれに対しては、カスタマイズ操作に基づく表示ウィンドウ位置、サイズ、及び更新レートといった、その表示ウィンドウの属性が記憶されている。これらは、監視端末20でのカスタマイズ操作に沿って監視端末20から統合表示データベース40に送出され記憶されるとともに、指定された監視事象を監視するにあたって監視画面を表示する際は、この監視対象の事象に対応した統合表示データベース40内の統合表示情報41に基づき監視画面が構成され、それぞれの監視情報が監視画面に統合表示される。
【0015】
ネットワーク50は、監視サーバ20、監視端末30及び統合表示データベース40を相互に接続通信回線であり、各機器は、このネットワーク50を経由して所要のデータを授受する。
【0016】
上記した監視サーバ20及び監視端末30は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションといった、汎用的に用いられるコンピュータシステム上にインプリメントされる。これらコンピュータシステムの構成の一例を図4に示す。このコンピュータシステムはCPU61、メモリ62、入力装置63、出力装置64、HDD65、及び外部記憶装置66から構成されている。
【0017】
CPU61は、このコンピュータシステム全体の制御を行なうものであり、メモリ62に展開された各種機能を実現するためのプログラムに従って各種処理を実行する。入力装置63は、例えばキーボードやマウス等からなり、上記したカスタマイズ操作や各種の情報処理のための操作等を含む、監視員の行なう各種操作を受けつける。
【0018】
出力装置64は、例えばCRT表示器やLCD表示器からなり、監視画面に加え、監視員の入力操作に伴う表示や各種情報処理結果に伴う表示等を行なう。HDD65は、各種情報処理サービスやカスタマイズ操作機能を実現するためのプログラムが記憶されており、記憶されているプログラムは、機能実行時にメモリ62に転送される。外部記憶装置66は、大容量の記憶装置であり、監視情報の保持・蓄積を含む各種データを記憶する。
【0019】
次に、前出の図1乃至図3、及び図5のフローチャートを参照して、上述のように構成された監視情報統合表示システムの動作について、監視業務中の監視員の操作の流れに沿って説明する。図5は、本発明に係る監視情報統合表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0020】
まず、監視端末30の監視画面内の監視事象名表示領域31に表示された監視カテゴリー名を選択し、更に監視対象の事象を指定する。監視対象の事象は、監視カテゴリー毎にツリー状に表示されている。例えば、図2(b)の事例では、「船舶監視」という監視カテゴリーの中に、複数の監視対象の事象、すなわち「特定船舶監視」や「通峡船舶監視」等がツリー状に表示されている。監視員等は、例えばこの画面上でマウスクリックすることによって、監視カテゴリー及び監視対象の事象を特定する(ST501、及びST502)。ここで、監視対象の事象が新規の事象の場合(ST503のY)、例えば図2(b)の「不審船監視」のように、あらたにその名称を付与する(ST504)。
【0021】
次に、この監視対象の事象の監視画面に対して、一連のカスタマイズ操作を行なう。すなわち、まずこの監視対象の事象に対応付ける監視情報を選択するため、例えば対応する監視情報名アイコン321をすべて監視情報表示領域34にドラッグアンドドロップしてそれぞれに監視情報の表示ウィンドウ341を生成し、監視情報を表示させる(ST505)。次に、これら表示ウィンドウ341の監視情報表示領域内34内での位置及び大きさを、例えば画面上のマウス操作等により指定する。図2(b)の事例では、「不審船舶監視」のための監視情報として、航跡情報、気象情報、監視カメラの画像情報、及び3種の報道情報を関連づけ、監視情報表示領域34にそれぞれの表示ウィンドウを所望の大きさ及び位置に配置して統合表示した場合を例示している(ST506)。さらに、それぞれの表示ウィンドウ341内の表示属性等を指定する(ST407)。このようにカスタマイズ操作を行なって監視画面内に統合表示された監視情報と監視対象の事象との関係については、監視情報名及び表示ウィンドウ相互の関係とともに監視対象の事象に対応付けた上で、監視端末30からネットワーク50を経由して統合表示データベース40に送られ、統合表示データベース40内に統合表示情報41として記憶される。
【0022】
一方、ST503のステップで、監視対象の事象として新規でない事象が指定された場合には(ST503のN)、監視業務を行なうにあたってこの事象の監視画面を表示する際は、既にカスタマイズ操作が行なわれて統合表示データベース40に記憶されている統合表示情報41の内容に従って、それぞれの監視情報の表示ウィンドウを監視画面内に統合表示する(ST510)。この監視画面に対して更なるカスタマイズ操作が必要であれば(ST511のY)、上記したST505のステップからの一連のカスタマイズ操作を行なって統合表示情報41を更新する。不要であれば(ST511のN)、次のステップに進む。
【0023】
この後は、これら一連のカスタマイズ操作により監視画面内に統合表示された監視情報に基づき、監視対象の事象に対する監視業務が継続される。この監視業務中には、監視画面の制御ボタン表示領域33に表示された制御ボタン331により、監視サーバ20内の監視情報に対して記録、再生、及び消去等の制御を可能にしている(ST509)。そして、監視業務を終了するまで、上述のステップを繰り返す(ST512)。
【0024】
以上説明したように、本実施例においては、監視対象の事象を監視するにあたって行なわれる、監視端末の監視画面のカスタマイズ操作を受けつけ、種々の監視情報の中からこのカスタマイズ操作の中で選択し対応付けされた監視情報を監視画面内にそれぞれ異なる表示ウィンドウにより統合表示するとともに、このときの監視情報及びその表示ウィンドウ相互の関係を、監視対象の事象に対応させて統合表示情報として統合表示データベースに記憶している。そして、監視業務を継続するなかで、統合表示データベース内にその統合表示情報が記憶されている監視対象の事象が指定された際は、この対応する統合表示情報に基づいて監視端末の監視画面を構成し監視情報を統合表示している。
【0025】
これにより、監視対象の事象とこの事象を監視するための監視情報との対応付け及び組合せが監視業務の遂行に沿って更新されながら記憶・保持されているので、特に、例えば同一事象に対する監視業務を再開する場面や、監視員の熟練度が異なる場合等についても、監視対象に対する監視情報の漏れを低減することができ、より確実な監視業務が可能となる。また、各監視情報の表示ウィンドウについても、同様にその表示属性が保持されて監視画面内に統合表示されるので、監視員の画面操作に対する負荷等を増加させることなく、監視業務の継続が可能となる。従って、監視対象に対する情報の監視漏れを低減するとともに、監視員の監視業務に対する作業負荷を軽減する効果がある。
【0026】
なお、本発明は、上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る監視情報統合表示システムの一実施例を示すブロック図。
【図2】監視端末の監視画面の一例を示す説明図。
【図3】統合表示データベースの記憶内容の一例を示す概念図。
【図4】監視サーバ及び監視端末に用いるコンピュータシステムの構成の一例を示すブロック図。
【図5】図1に例示した監視情報統合表示システムの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0028】
10 監視情報取得部
20 監視サーバ
30 監視端末
31 監視事象名表示領域
32 監視情報名表示領域
33 制御ボタン表示領域
34 監視情報表示領域
40 統合表示データベース
41 統合表示情報
50 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる情報源からの監視情報を取得する監視情報取得手段と、
前記取得した監視情報を保持制御しながらネットワーク上でこれら監視情報に対する所定の情報処理サービスを提供する監視サーバと、
この監視サーバにネットワーク接続され、前記複数の異なる情報源からの監視情報を監視対象の事象に対応させて選択的に監視画面内のそれぞれ異なる表示ウィンドウに表示させるためのカスタマイズ操作を受けつけるとともに、このカスタマイズ操作に基づき前記監視情報の表示ウィンドウを前記監視画面内に統合して表示する監視端末と、
前記監視端末の監視画面内に統合して表示された前記監視情報の各表示ウィンドウ相互の関係を、この監視画面のカスタマイズ操作を行なった前記監視対象の事象に対応させて前記ネットワーク上で記憶する統合表示データベースとを有し、
監視対象の事象を監視するにあたって前記監視端末に監視画面を表示する際は、この監視対象の事象に対応させて前記統合表示データベースに記憶された前記監視情報の各表示ウィンドウ相互の関係に基づきこれら監視情報をこの監視画面に統合して表示することを特徴とする監視情報統合表示システム。
【請求項2】
前記取得する監視情報は、船舶及び航空機の航跡情報、気象情報、報道情報、監視カメラ画像情報、ならびにインターネットによる電子的情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の監視情報統合表示システム。
【請求項3】
前記監視端末の監視画面は、
前記監視対象の事象名をカテゴリー毎にツリー状に表示する監視事象名表示領域と、
これら監視情報のそれぞれに対応する監視情報名をアイコンにして表示する監視情報名表示領域と、
前記取得した監視情報の前記監視サーバ内における保持制御を指示するボタンを表示する制御ボタン表示領域と、
前記監視情報をそれぞれ異なる表示ウィンドウに表示する監視情報表示領域とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の監視情報統合表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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