説明

監視映像表示装置

【課題】閲覧者が従来よりも正確に直感的な監視業務を行うことができる監視映像を表示する。
【解決手段】監視映像表示装置10は、撮影方向を制御可能で該撮影方向に応じて監視対象区域内を撮影する監視カメラ101からの映像を表示する映像表示手段16と、監視カメラ101の撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段14と、監視対象区域内の監視対象物の位置情報と付加情報を外部の他のシステム111から取得する付加情報取得手段12と、機器状態情報取得手段14で取得された監視カメラ101の撮影方向情報と付加情報取得手段12で取得された監視対象区域内の監視対象物の位置情報に基づき、監視カメラ101で撮影された映像内の監視対象物に付加情報を紐付け映像表示手段16の映像に重ねて表示する付加情報表示手段15とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば映像監視システムに用いられ、監視カメラで撮影された監視対象区域の映像を表示する監視映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像監視システムと他のシステムとを連携させる技術が進んでいる。映像監視システムは、例えば、入退室管理システムと連携させることによって、入退室管理システムの通行情報と映像監視システムの映像を管理し、相互の情報へのアクセスを効率化するように構成されている。このような構成における監視映像表示装置は、映像に対応する通行情報を、リストによる一覧表示や入退室情報を示すアイコンをフロアマップ上に重ねて表示している。
一方、撮影映像に付加情報を重ねて表示する構成が開示されている。例えば、特許文献1の情報表示装置によれば、撮影位置、撮影方向、映像の特徴点を用いて対象とするオブジェクトの撮影映像内における位置を算出し、算出した撮影映像内の位置に付加情報を重畳している。また、特許文献2の景観ラベリング装置によれば、撮影位置、カメラ角、焦点距離、画像サイズ、映像の特徴点を用いて対象とするオブジェクトの撮影映像内における位置を算出し、算出した位置に付加情報を重畳することで、撮影映像内のオブジェクトに地図情報を重ねて表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−140402号公報
【特許文献2】特開平10−267671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の映像監視システムにおける監視映像表示装置は、画面上のオブジェクトの位置と情報の対応関係を直感的に監視できず、重畳された情報に対応する位置を認識するのが困難、もしくは誤認するという課題があった。
また、特許文献1,2の情報表示方法では、撮影映像内の特徴点が認識されない場合、対象オブジェクトも認識することができず、付加情報を撮影映像内の対象オブジェクトに重畳することができない。その結果、画面上には不確実な監視映像が表示され、閲覧者が正確な監視業務を行うことができないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、閲覧者が従来よりも正確に直感的な監視業務を行うことができる監視映像を表示する監視映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る監視映像表示装置は、撮影方向を制御可能で該撮影方向に応じて監視対象区域内を撮影する撮影手段と、撮影手段で撮影された映像を表示する映像表示手段と、撮影手段の撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段と、監視対象区域内の監視対象物の位置情報と付加情報を外部のシステムから取得する付加情報取得手段と、機器状態情報取得手段で取得された撮影手段の撮影方向情報と付加情報取得手段で取得された監視対象区域内の監視対象物の位置情報に基づき、撮影手段で撮影された映像内の監視対象物に付加情報を紐付け、映像表示手段の映像に重ねて表示する付加情報表示手段とを備えたものである。
【0007】
また、この発明に係る監視映像表示装置は、所定の監視対象区域の地図情報を表示する地図情報表示手段と、旋回制御可能で撮影方向に応じて監視対象区域内を撮影する撮影手段からの映像を表示する映像表示手段と、撮影手段毎に設置位置情報を取得する設置位置情報取得手段と、撮影手段毎に撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段とを備え、映像表示手段が、閲覧者の操作入力により地図情報表示手段で表示された地図上が指定されると、設置位置情報取得手段からの設置位置情報と機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、指定された地図上の座標に対応する位置を撮影する撮影手段からの映像を表示するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る監視映像表示装置によれば、撮影手段の撮影方向情報と監視対象物の位置情報を用いて付加情報を映像上の監視対象物に紐付け重ねて表示するよう構成したことにより、特徴量を用いずに監視映像上の監視対象物に対応する位置に付加情報を確実に表示することができる。
また、この発明に係る監視映像表示装置によれば、監視対象区域の地図を表示し、閲覧者の操作入力により指定された地図上の座標に対応する位置を撮影する撮影手段からの映像を表示するよう構成したことにより、閲覧者が地図上を指定するだけで所望の監視映像を表示させることができる。
その結果、閲覧者が従来よりも正確に直感的な監視業務を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1の監視映像表示装置における処理動作を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1の監視映像表示装置で表示する監視映像の特徴を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2の監視映像表示装置における処理動作を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態2の監視映像表示装置で表示する監視映像の特徴を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態3の監視映像表示装置における処理動作を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3の監視映像表示装置で表示する監視映像の特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示している。
映像監視システム1は、監視映像表示装置10と監視カメラ101がネットワーク200を介して通信可能に接続され構成されており、また、ネットワーク200を介して外部の他のシステム111も接続されている。ここでは、ネットワーク200が有線で構成されている例を示しているが無線で構成するものであってもよい。
【0011】
監視カメラ101は、旋回制御可能で撮影方向に応じて監視対象区域内を撮影する撮影手段として構成されている。監視カメラ101は、例えば、外部の制御装置から与えられる制御値に応じて旋回動作を行って撮影方向を変更し、特定の監視対象区域のうち撮影方向に応じた範囲内を撮影しており、撮影した映像を出力する。ここでは、監視カメラ101が監視映像表示装置10とは別の構成で説明するが、監視カメラ101は監視映像表示装置10の内部に設けられる構成であってもよい。
【0012】
他のシステム111は、監視対象区域内の監視対象物の状態を管理しており、監視対象物のイベント情報をネットワーク200を介して監視映像表示装置10へ送信する。他のシステム111が送信するイベント情報は、監視対象物の状態を示す状態情報(付加情報)に監視対象区域内における監視対象物毎の位置を示す位置情報が付加された情報である。このような他のシステム111には、例えば、プリンタの状態(トナー残量、動作)を管理するシステムや入退室を管理するシステムがある。なお、他のシステム111の機能を監視映像表示装置10の内部に設ける構成にしてもよい。
【0013】
ここで、図1において、監視映像表示装置10と監視カメラ101と他のシステム111は1つずつ設けられている構成を示しているが、それぞれ複数設ける構成であってもよい。また、監視映像表示装置10は、パソコンで構成されることを想定しているが、映像レコーダやサーバであってもよい。さらに、監視映像表示装置10が監視カメラ101内に設けるよう構成してもよい。
【0014】
監視映像表示装置10は、設置位置情報取得手段11、付加情報取得手段12、記録手段13、機器状態情報取得手段14、付加情報表示手段15、映像表示手段16で構成されている。
【0015】
設置位置情報取得手段11は、外部装置または監視カメラ101から、全監視対象区域に対する監視カメラ101の設置位置を示すカメラ設置位置情報を取得し、記録手段13に保存するよう構成されている。
【0016】
付加情報取得手段12は、他のシステム111から、監視対象区域内の監視対象物のイベント情報(付加情報、位置情報)を取得し、記録手段13に保存するよう構成されている。
【0017】
記録手段13は、設置位置情報取得手段11で取得されたカメラ設置位置情報13aを格納するとともに、付加情報取得手段12で取得されたイベント情報(状態情報、位置情報)13bを格納し、付加情報表示手段15からの要求に応じてカメラ設置位置情報13a、イベント情報13bを出力する。
機器状態情報取得手段14は、監視カメラ101の撮影方向を示す撮影方向情報を取得する。撮影方向情報は、例えば、監視カメラ101の旋回制御値を示す情報である。
【0018】
付加情報表示手段15は、機器状態情報取得手段14で取得された監視カメラ101の撮影方向情報、設置位置情報取得手段11で取得されたカメラ設置位置情報、付加情報取得手段12で取得された監視対象物のイベント情報に基づき、監視カメラ101で撮影された映像内の監視対象物に付加情報としての状態情報を紐付け、映像表示手段16の映像に重ねて表示するよう機能する。
具体的には、付加情報表示手段15は、機器状態情報取得手段14から撮影方向情報を取得すると、記録手段13からカメラ設置位置情報13aとイベント情報13bを取得する。付加情報表示手段15は、カメラ設置位置情報13aと撮影方向情報に基づき、監視カメラ101の全監視対象区域内における撮影範囲を算出し、イベント情報13bの位置情報を用いて撮影範囲内の監視対象物に状態情報を紐付けるための座標(付加情報の表示座標)を算出する。付加情報表示手段15は、監視対象物の状態情報を表示可能な形態に加工処理し、算出した表示座標を用いて加工処理後の状態情報を映像表示手段16で表示された映像に重ねて表示する。
【0019】
映像表示手段16は、監視カメラ101から映像信号を入力し、図示しないディスプレイを介して映像を表示するよう機能する。
【0020】
次に、図2を用いて、実施の形態1における監視映像表示装置10の特徴的な処理動作を説明する。
監視映像表示装置10は、図示しない電源から電力が供給されると処理を開始し、監視カメラ101から映像信号を入力して、映像表示手段16が監視カメラ101からの映像を表示する。
【0021】
設置位置情報取得手段11は、監視カメラ101からの入力により、全監視対象区域に対するこの監視カメラ101の設置位置を示すカメラ設置位置情報を取得する。記録手段13は、設置位置情報取得手段11が取得した監視カメラ101のカメラ設置位置情報13aを保存する(ステップST101)。なお、ステップST101におけるカメラ設置位置情報13aは、管理者が外部装置から入力するものであってもよいし、GPSや無線等を利用して監視カメラ101自体から入力するものであってもよい。
【0022】
付加情報取得手段12は、他のシステム111からネットワーク200を介して監視対象区域内における監視対象物のイベント情報(状態情報、位置情報)を取得する。記録手段13は、付加情報取得手段12が取得したイベント情報13bを保存する(ステップST102)。
機器状態情報取得手段14は、監視カメラ101からネットワーク200を介して、当該監視カメラ101の撮影方向を示す撮影方向情報を取得する(ステップST103)。
【0023】
付加情報表示手段15は、機器状態情報取得手段14で取得された撮影方向情報に基づき、全監視対象区域内における監視カメラ101の撮影範囲を算出する。付加情報表示手段15は、付加情報取得手段12で取得されたイベント情報13bに含まれる位置情報を用いて撮影範囲内の付加情報の表示座標を算出する(ステップST104)とともに、イベント情報13bに含まれる状態情報を表示可能な形態に加工処理する。
【0024】
付加情報表示手段15は、映像表示手段16で表示された映像に対し、表示可能な形態に加工処理した状態情報を、算出した表示座標に重ねて表示する。(ステップST105)。
機器状態情報取得手段14は、続いて監視カメラ101から取得した撮影方向情報を取得し、撮影方向情報に基づき監視カメラ101の撮影方向が変化したかどうかを判定する(ステップST106)。機器状態情報取得手段14は、監視カメラ101の撮影方向が変化したと判定した場合(ステップST106“YES”)、ステップST103からの処理を繰り返す。一方、機器状態情報取得手段14は、監視カメラ101の撮影方向が変化していないと判定した場合(ステップST106“NO”)、監視カメラ101から撮影方向情報を取得して、ステップST106の処理を行う。
【0025】
ここで、実施の形態1の監視映像表示装置10で表示する監視映像の特徴について図3を用いて説明する。図3においては、監視対象物がプリンタである例について説明し、監視映像表示装置10は、他のシステム111からのイベント情報として、プリンタ17aのトナーの残量を示す状態情報と位置情報を入力するものとする。
【0026】
図3に示す監視映像Aは、プリンタ17aにおいてトナー残量が少ないことを示すイベントが発生し、撮影映像内のイベントが発生したプリンタ17aに対応する位置に、吹き出し図形内にプリンタ17aの「トナー少」状態を示す付加情報を表示している。
【0027】
このとき、監視カメラ101が右方向に旋回操作され撮影方向が変わると、映像も右方向に旋回する。監視映像表示装置10は、上述したステップST103からステップST105の処理を行い、撮影方向が変わる度に付加情報の表示座標を算出し、図3の監視映像A´に示すように状態情報を撮影映像範囲内の表示座標に重ねて表示する。このように監視カメラ101の撮影方向の変化にしたがって付加情報も移動して表示するようにしている。
【0028】
上述したように、実施の形態1の監視映像表示装置10は、旋回制御可能で該撮影方向に応じた監視対象区域内を撮影する監視カメラ(撮影手段)101からの映像を表示する映像表示手段16と、監視カメラ101の撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段14と、監視対象区域内の監視対象物のイベント情報(位置情報と付加情報)を外部から取得する付加情報取得手段12と、機器状態情報取得手段14で取得された監視カメラ101の撮影方向情報と付加情報取得手段12で取得された監視対象区域内の監視対象物の位置情報に基づき、監視カメラ101で撮影された映像内の監視対象物に付加情報を紐付け、映像表示手段16の映像に重ねて表示する付加情報表示手段15とを備えるよう構成したことにより、映像の特徴量を用いずに撮影映像上の監視対象物に対応する位置に付加情報を確実に表示することができる。その結果、閲覧者が従来よりも正確に直感的な監視業務を行うことができるという効果が得られる。
【0029】
また、実施の形態1の監視映像表示装置10は、他のシステム111としての外部装置から監視対象区域内の監視対象物のイベント情報(位置情報と付加情報)を取得する付加情報取得手段12を備えるよう構成したので、他のシステム111と連携して監視対象物の状態を示す監視映像を表示することができるという効果が得られる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態1においては、1つの監視カメラ101からの撮影映像に付加情報を重畳する構成について説明した。実施の形態2は、複数の監視カメラからの各撮影映像内に同一の監視対象物が表示される場合、撮影映像毎の同一監視対象物に同一の付加情報を重畳する構成について説明する。
【0031】
図4は、実施の形態2に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示している。
映像監視システム2は、監視映像表示装置20と監視カメラ101と監視カメラ102がネットワーク200を介して通信可能に接続され構成されており、また、ネットワーク200を介して外部の他のシステム111も接続されている。ここでは、ネットワーク200が有線で構成されている例を示しているが無線で構成するものであってもよい。ここで、図4における監視カメラ101、他のシステム111は実施の形態1の構成と同様であり、監視カメラ102は監視カメラ101と同様の構成であるため、監視カメラ101,102、他のシステム111の構成の説明を省略する。
【0032】
監視映像表示装置20は、設置位置情報取得手段21、付加情報取得手段12、記録手段23、機器状態情報取得手段24、付加情報表示手段25、映像表示手段26で構成されている。図4において、付加情報取得手段12の構成は、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
設置位置情報取得手段21は、外部装置または各監視カメラ101,102から、全監視対象区域に対する監視カメラ101の設置位置を示すカメラ設置位置情報と全監視対象区域に対する監視カメラ102の設置位置を示すカメラ設置位置情報を取得し、記録手段23に保存するよう構成されている。
【0034】
記録手段23は、設置位置情報取得手段21で取得された監視カメラ101のカメラ設置位置情報13aと監視カメラ102のカメラ設置位置情報23aを格納するとともに、付加情報取得手段12で取得されたイベント情報(状態情報、位置情報)13bを格納し、付加情報表示手段25からの要求に応じてカメラ設置位置情報13a、カメラ設置位置情報23a、イベント情報13bを出力する。
機器状態情報取得手段24は、監視カメラ101,102毎に撮影方向を示す撮影方向情報を取得する。
【0035】
付加情報表示手段25は、機器状態情報取得手段24で取得された監視カメラ101,102毎の撮影方向情報、設置位置情報取得手段21で取得された監視カメラ101,102毎のカメラ設置位置情報、付加情報取得手段12で取得された監視対象物のイベント情報に基づき、各監視カメラ101,102で撮影された映像内の監視対象物に付加情報としての状態情報を紐付け映像表示手段26の映像に重ねて表示するよう機能する。また、付加情報表示手段25は、監視カメラ101,102のうち一方(複数の監視カメラのうちの少なくとも一つ)の監視カメラ101で撮影された映像内の監視対象物と、他方(別の)監視カメラ102で撮影された映像内の監視対象物が同一の場合、設置位置情報取得手段21で取得された監視カメラ101,102毎の設置位置情報に基づき、同一の監視対象物に同一の付加情報を紐付け映像表示手段の映像に重ねて表示するよう機能する。
【0036】
具体的には、付加情報表示手段25は、機器状態情報取得手段24から監視カメラ101,102毎の撮影方向情報を取得すると、記録手段23からカメラ設置位置情報13a,23a、イベント情報13bを取得する。付加情報表示手段25は、カメラ設置位置情報13a,23aと監視カメラ101,102毎の撮影方向情報に基づき監視カメラ101,102毎に全監視対象区域内における撮影範囲を算出し、各監視カメラ101,102の撮影範囲とイベント情報13bの位置情報を比較して同一領域内の同一監視対象物が含まれるかを判定する。付加情報表示手段25は、同一監視対象物が含まれていないと判定した場合、イベント情報13bの位置情報を用いて監視カメラ101,102毎に撮影範囲内の監視対象物に状態情報を紐付けるための座標(付加情報の表示座標)を算出する。一方、付加情報表示手段25は、同一監視対象物が含まれていると判定した場合、一方の映像に表示されている付加情報の表示座標を他方の映像における付加情報の表示座標に変換する。付加情報表示手段25は、監視対象物の状態情報を表示可能な形態に加工処理し、算出または変換した表示座標を用いて加工処理後の状態情報を映像表示手段26で表示された各監視カメラ101,102の映像に重ねて表示する。
【0037】
映像表示手段26は、各監視カメラ101,102から映像信号を入力し、各映像を図示しないディスプレイに表示させる。
【0038】
次に、図5を用いて、実施の形態2における監視映像表示装置20の処理動作を説明する。図5の処理においては、監視カメラ101からの映像を先に表示しており、監視カメラ102からの映像を用いて監視映像を表示する際の処理について説明する。
監視映像表示装置20は、図示しない電源から電力が供給されると処理を開始し、監視カメラ101からの映像信号を入力して、上述した図2に示すステップST101からステップST104の処理を行い監視カメラ101の映像を用いた監視映像を表示する(ステップST201)。
【0039】
設置位置情報取得手段21は、外部からの入力または監視カメラ102から、この監視カメラ102が設置されている監視対象区域内の位置を示すカメラ設置位置情報を取得する。記録手段23は、設置位置情報取得手段21が取得した監視カメラ102のカメラ設置位置情報23aを保存する(ステップST202)。
【0040】
機器状態情報取得手段24は、監視カメラ101と監視カメラ102からネットワーク200を介して、監視カメラ101,102毎に撮影方向を示す撮影方向情報を取得する(ステップST203)。
【0041】
付加情報表示手段25は、カメラ設置位置情報13a,23aと監視カメラ101,102毎の撮影方向情報に基づき、監視カメラ101,102毎に全監視対象区域内における撮影範囲を算出し、各監視カメラ101,102の撮影範囲とイベント情報13bの位置情報を比較して監視カメラ102が別の監視カメラ101の撮影領域の同一監視対象物を撮影しているかを判定する(ステップST204)。
付加情報表示手段25は、ステップST204において、監視カメラ102が別の監視カメラ101の撮影領域の同一監視対象物を撮影していないと判定した場合(ステップST204“NO”)、ステップST101からステップST104の処理と同様の処理を行って監視映像を表示し、ステップST203からの処理を繰り返す。一方、付加情報表示手段25は、ステップST204において、監視カメラ102が別の監視カメラ101の撮影領域の同一監視対象物を撮影していると判定した場合(ステップST204“YES”)、監視カメラ101の映像に重ねて表示されている付加情報の表示座標を監視カメラ102の映像における付加情報の表示座標に変換する。
【0042】
付加情報表示手段25は、監視対象物の状態情報を表示可能な形態に加工処理し、算出または変換した表示座標を用いて加工処理後の状態情報を映像表示手段26で表示された各監視カメラ102の映像に重ねて表示する(ステップST206)。
【0043】
機器状態情報取得手段24は、続いて監視カメラ101から取得した撮影方向情報と監視カメラ102から撮影方向情報を取得し、各撮影方向情報に基づき監視カメラ101または監視カメラ102の撮影方向が変化したかどうかを判定する(ステップST207)。
機器状態情報取得手段24は、監視カメラ101または監視カメラ102の撮影方向が変化したと判定した場合(ステップST207“YES”)、ステップST204からの処理を繰り返す。一方、機器状態情報取得手段24は、監視カメラ101または監視カメラ102の撮影方向が変化していないと判定した場合(ステップST207“NO”)、各監視カメラ101,102から撮影方向情報を取得して、ステップST207の処理を行う。
【0044】
ここで、実施の形態2の監視映像表示装置20で表示する監視映像の特徴について図6を用いて説明する。図6においては、監視対象物がプリンタである例について説明し、監視映像表示装置20は、他のシステム111からのイベント情報として、プリンタ27aのトナーの残量を示す状態情報と位置情報を入力するものとする。
【0045】
監視映像Bには、一方の監視カメラ101で撮影された映像上のプリンタ27aに対応する表示座標にプリンタ27aの「トナー少」状態を示す付加情報27が重ねて表示されている。ここで他方の監視カメラ102の撮影範囲にプリンタ27aが撮影されると、監視映像Bにおける付加情報27の表示座標が、監視カメラ101,102毎のカメラ設置位置情報に基づき監視映像B´における表示座標に変換され、監視映像B´にもプリンタ27aの「トナー少」状態を示す付加情報27が重ねて表示される。このように異なる監視カメラ101,102で撮影された映像内の同一監視対象物に同一の状態を示す付加情報27が重畳表示される。
【0046】
上述したように、実施の形態2の監視映像表示装置20は、実施の形態1の効果に加え、複数の監視カメラ101,102毎に設置位置情報を取得する設置位置情報取得手段21と、複数の監視カメラのうち一方(少なくとも一つ)の監視カメラ101で撮影された映像内の監視対象物と他方(別)の監視カメラ102で撮影された映像内の監視対象物が同一の場合、設置位置情報取得手段21で取得された監視カメラ101,102毎の設置位置情報に基づき同一の監視対象物に同一の付加情報を紐付け映像表示手段26の映像に重ねて表示する付加情報表示手段25とを備えるよう構成したことにより、複数の監視カメラ101,102毎の映像に同一監視対象物が表示されている場合、同一監視対象物に対して同一の付加情報を重畳し監視映像を表示することができる。その結果、監視映像において各監視カメラ101,102の映像間で付加情報の食い違いが無くなり、閲覧者が確認漏れをする危険性を軽減できるという効果が得られる。
【0047】
実施の形態3.
実施の形態1,2においては、監視カメラの撮影方向に応じた監視対象区域の映像を用いて監視映像を表示する構成について説明した。実施の形態3は、監視カメラがフロアマップ上で選択された位置に対応する撮影方向を撮影した映像を用いて監視映像を表示する構成について説明する。
【0048】
図7は、実施の形態3に係る監視映像表示装置の構成および監視映像表示装置を含む映像監視システムを示している。
映像監視システム3は、監視映像表示装置30と監視カメラ101がネットワーク200を介して通信可能に接続され構成されている。図7における監視カメラ101は実施の形態1の構成と同様であるため、監視カメラ101の構成の説明を省略する。
【0049】
監視映像表示装置30は、設置位置情報取得手段11、記録手段33、機器状態情報取得手段34、映像表示手段36、地図情報表示手段37、機器状態制御手段38で構成されている。図7において、設置位置情報取得手段11の構成は、実施の形態1と同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
記録手段33は、設置位置情報取得手段11で取得された監視カメラ101のカメラ設置位置情報33aを格納し、機器状態制御手段38からの要求に応じてカメラ設置位置情報を出力する。
【0051】
機器状態情報取得手段34は、監視カメラ101の撮影方向を示す撮影方向情報を取得し、機器状態制御手段38へ出力する。撮影方向情報は、例えば、監視カメラ101の撮影方向制御値としてのパン、チルト、ズーム値を示す情報である。
【0052】
映像表示手段36は、閲覧者の操作入力により後述する地図情報表示手段37のフロアマップ上が指定されると、監視カメラ101から指定座標に対応する監視対象区域内の位置が撮影された映像信号を入力し、図示しないディスプレイを介して映像を表示するよう機能する。
【0053】
地図情報表示手段37は、予め記憶された所定の監視対象区域のフロアマップデータ(地図情報)を表示し、閲覧者の操作入力により外部の操作入力装置からフロアマップ上の位置を指定する操作信号を入力すると、フロアマップ上の指定された座標(指定座標)を機器状態制御手段38へ出力する。
【0054】
機器状態制御手段38は、閲覧者の操作入力により外部の操作入力装置から地図情報表示手段37で表示されたフロアマップ上の座標が指定されると、指定された座標に対応する位置を撮影するよう監視カメラ101を旋回制御する。
具体的には、機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からフロアマップ上の指定座標を入力すると、記録手段33からカメラ設置位置情報33aを取得するとともに、機器状態情報取得手段34から撮影方向情報を取得する。機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からのフロアマップ上の指定座標に基づき、閲覧者が指定した座標に対応する監視対象区域内の位置(指定位置)を算出する。機器状態制御手段38は、設置位置情報取得手段11からの設置位置情報、機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、算出した指定位置を撮影中心位置とする制御コマンド(制御信号)を監視カメラ101へ出力して監視カメラ101を旋回制御する。
なお、監視対象区域に対して複数の監視カメラが設けられている場合、機器状態制御手段38は、設置位置情報取得手段11からの設置位置情報、機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、複数の監視カメラの中から指定位置を撮影可能な監視カメラ101を選択してから、監視カメラ101を旋回制御して撮影方向を変化させる。
【0055】
次に、図8を用いて、実施の形態3における監視映像表示装置30の特徴的な処理動作を説明する。
監視映像表示装置30は、図示しない電源から電力が供給されると処理を開始する。
設置位置情報取得手段11は、監視カメラ101からの入力により、全監視対象区域に対するこの監視カメラ101の設置位置を示すカメラ設置位置情報を取得する。記録手段33は、設置位置情報取得手段11が取得した監視カメラ101のカメラ設置位置情報33aを保存する(ステップST301)。なおステップST301におけるカメラ設置位置情報33aは、管理者が外部装置から入力するものであってもよいし、GPSや無線等を利用して監視カメラ101自体から入力するものであってもよい。
【0056】
機器状態情報取得手段34は、監視カメラ101からネットワーク200を介して、当該監視カメラ101の撮影方向を示す撮影方向情報を取得する(ステップST302)。
地図情報表示手段37は、予め記憶された所定の監視対象区域のフロアマップデータ(地図情報)を図示しないディスプレイを介して表示する(ステップST303)。
【0057】
ここで、閲覧者は、地図情報表示手段37で表示されたフロアマップ上の監視したい位置を図示しない操作入力装置から指定する。地図情報表示手段37は、フロアマップ上の位置を指定する操作信号を入力すると、フロアマップ上の指定された座標(指定座標)を機器状態制御手段38へ出力する(ステップST304)。
【0058】
機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からフロアマップ上の指定座標を入力すると、記録手段33からカメラ設置位置情報33aを取得するとともに、機器状態情報取得手段34から撮影方向情報を取得する。機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からのフロアマップ上の指定座標に基づき、フロアマップ上の指定座標に対応する監視対象区域内の位置(指定位置)を算出する。機器状態制御手段38は、算出した指定位置、設置位置情報取得手段11からの設置位置情報、機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、指定位置を撮影可能な監視カメラ101を選択するとともに、指定位置を撮影中心位置とする制御値を算出する。機器状態制御手段38は、算出した制御値を含む制御コマンド(制御信号)を監視カメラ101へ出力して監視カメラ101を旋回制御して撮影方向を変化させ(ステップST305)、監視カメラ101に撮影した映像信号を出力させる。
映像表示手段36は、監視カメラ101から映像信号を入力すると、フロアマップ表示に変えて監視カメラ101で撮影された映像を表示する(終了)。
【0059】
次に、実施の形態3の監視映像表示装置30で表示する監視映像の特徴について図9を用いて説明する。
監視映像Cは、地図情報表示手段37がディスプレイに表示するフロアマップを示しており、フロアマップで示される範囲を撮影可能な2つの監視カメラ301,302もフロアマップ上に表示されている。監視映像C上には、閲覧者の操作入力により位置を指定するためのマウスカーソル303が重ねて表示されている。
ここで、閲覧者の操作入力によりフロアマップ上の監視したい位置が指定されると、監視映像表示装置30では上述したステップST304からステップST305の処理が行われ、マウスカーソル303のフロアマップ上の指定座標に対応する実際の監視対象区域内の指定位置303´を算出し、指定位置303´を撮影中心位置とするよう監視カメラ301と監視カメラ302を制御し、監視カメラ301と監視カメラ302からの映像を監視映像Dとして表示する。
【0060】
上述したように、実施の形態3の監視映像表示装置30は、所定の監視対象区域の地図情報を表示する地図情報表示手段37と、旋回制御可能で該撮影方向に応じた監視対象区域内を撮影する監視カメラ101からの映像を表示する映像表示手段36と、監視カメラ101毎に設置位置情報を取得する設置位置情報取得手段11と、監視カメラ101毎に撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段34と、閲覧者の操作入力により地図情報表示手段37で表示された地図上が指定されると、設置位置情報取得手段11からの設置位置情報と機器状態情報取得手段34からの撮影方向情報に基づき、指定された地図上の座標に対応して監視対象区域内の位置を撮影するよう監視カメラ101毎に旋回制御する機器状態制御手段38を備えるよう構成したので、閲覧者がフロアマップ上を指定するだけで所望の監視映像を表示させることができる。その結果、閲覧者が従来よりも正確に直感的な監視業務を行うことができるという効果が得られる。
【0061】
なお、実施の形態3の監視映像表示装置30において、機器状態制御手段38が監視カメラ101の旋回制御を行わない構成であってもよい。その場合、機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からフロアマップ上の指定座標を入力すると、記録手段33からカメラ設置位置情報33aを取得するとともに、機器状態情報取得手段34から撮影方向情報を取得する。機器状態制御手段38は、地図情報表示手段37からのフロアマップ上の指定座標、設置位置情報取得手段11からの設置位置情報、機器状態情報取得手段34からの撮影方向情報に基づき、閲覧者が指定した座標に対応する監視対象区域内の位置を算出する。機器状態制御手段38は、例えば複数の監視カメラの中から、算出した監視対象区域内の位置を撮影する監視カメラ101から映像信号を出力するよう制御する。
【0062】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1,2,3 映像監視システム、10,20,30 監視映像表示装置、11,21 設置位置情報取得手段、12 付加情報取得手段、13,23,33 記録手段、13a,23a,33a カメラ設置位置情報、13b イベント情報、14,24,34 機器状態情報取得手段、15,25 付加情報表示手段、16,26,36 映像表示手段、17,27 付加情報、17a,27a プリンタ(監視対象物)、37 地図情報表示手段、38 機器状態制御手段、101,102 監視カメラ、111 他のシステム,200 ネットワーク、301 カメラA、302 カメラB、303 指定座標、303´ 指定座標に対応した監視対象区域内の指定位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回制御可能で撮影方向に応じて監視対象区域内を撮影する撮影手段からの映像を表示する映像表示手段と、
上記撮影手段の撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段と、
上記監視対象区域内の監視対象物の位置情報と付加情報を外部の他システムから取得する付加情報取得手段と、
上記機器状態情報取得手段で取得された上記撮影手段の撮影方向情報と上記付加情報取得手段で取得された上記監視対象区域内の監視対象物の位置情報に基づき、上記撮影手段で撮影された映像内の監視対象物に上記付加情報を紐付け上記映像表示手段の映像に重ねて表示する付加情報表示手段と
を備えた監視映像表示装置。
【請求項2】
複数の撮影手段毎に設置位置情報を取得する設置位置情報取得手段を備え、
付加情報表示手段は、少なくとも一つの撮影手段で撮影された映像内の監視対象物と別の撮影手段で撮影された映像内の監視対象物が同一の場合、上記設置位置情報取得手段で取得された上記撮影手段毎の設置位置情報に基づき同一の監視対象物に同一の付加情報を紐付け映像表示手段の映像に重ねて表示することを特徴とする請求項1記載の監視映像表示装置。
【請求項3】
所定の監視対象区域の地図情報を表示する地図情報表示手段と、
旋回制御可能で撮影方向に応じて上記監視対象区域内を撮影する撮影手段からの映像を表示する映像表示手段と、
上記撮影手段毎に設置位置情報を取得する設置位置情報取得手段と、
上記撮影手段毎に撮影方向情報を取得する機器状態情報取得手段とを備え、
上記映像表示手段は、閲覧者の操作入力により上記地図情報表示手段で表示された地図上が指定されると、上記設置位置情報取得手段からの設置位置情報と上記機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、上記指定された地図上の座標に対応する位置を撮影する上記撮影手段からの映像を表示することを特徴とする監視映像表示装置。
【請求項4】
閲覧者の操作入力により地図情報表示手段で表示された地図上が指定されると、設置位置情報取得手段からの設置位置情報と機器状態情報取得手段からの撮影方向情報に基づき、上記指定された地図上の座標に対応する位置を撮影するよう撮影手段を旋回制御する機器状態制御手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の監視映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−119971(P2012−119971A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268327(P2010−268327)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】