説明

監視映像記録システム

【課題】監視映像記録システムは、装置の故障に備えRAID装置が用いられるが、MPUやホストシステムや電源などの故障では記録ができず、また、少なくとも2台のRAID装置を備え、同じ映像データを記録するものは、複数の記録先に同じデータを記録するため、記録容量の利用効率が悪い。
【解決手段】ネットワークに接続された監視カメラと監視映像記録装置を備え、監視映像記録装置は監視映像データを受信する映像受信手段、受信映像データを固定長に分割する映像分割手段、分割映像データ同士でパリティ演算を行うパリティ演算手段、分割映像データおよびパリティ演算結果を、分割映像データの状態で重複しないように予め決められた順序で選択する分割映像データ選択手段、選択され分割映像データおよびパリティ演算結果を記録媒体に記録する記録手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はカメラで撮影した映像を映像データに変換してネットワーク経由で配信し、遠隔監視等を行うための監視映像記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
監視映像を記録するシステムにおいて、HDD(Hard Disk Drive)の故障に備えるためにRAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)装置が用いられる。RAID装置は、図7に示す特開平8−137629号公報記載のように構成され、MPU(Micro Processing Unit)101がディスクI/F制御部105を介してディスク群200を構成するデータディスク201やパリティディスク202を制御することにより実現される。特開平8−137629号公報では、データを固定長のブロックに分割し、4台のデータディスク201に記録したブロック同士の排他的論理和を計算したパリティをパリティディスク202に記録することにより、データディスク201のいずれかが故障した場合でも、データを復元できるように構成している。
また、特開2008−117151号公報には少なくとも2台のRAID装置を備え、同じ映像データを記録する例が開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−137629号公報
【特許文献2】特開2008−117151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平8−137629号公報の構成では、MPU101やホストシステム100や図示されていない電源などが故障した場合に、記録を継続できない。また、特開2008−117151号公報は、複数の記録先に同じデータを記録するため、記録容量の利用効率が悪い。
この発明は、ネットワーク上に複数の監視映像記録装置が存在するシステムにおいて、監視映像記録装置を1台もしくは2台追加することにより、装置故障に対する冗長性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
また、この発明に係る監視映像記録システムは、
ネットワークを経由して、複数の対象機器に監視映像を同時配信可能な監視カメラと、
ネットワークを経由して監視カメラが配信する監視映像を受信し記録する、対象機器としての監視映像記録装置を複数備える監視映像記録システムにおいて、
上記監視映像記録装置は
ネットワークを経由して監視映像データを受信する映像受信手段と、
映像受信手段で受信した映像データを固定長に分割する映像分割手段と、
映像分割手段で分割した映像データ同士でパリティ演算を行うパリティ演算手段と、
上記分割映像データまたはパリティ演算結果を、分割映像データにおいて重複しないようにあらかじめ決められた順序により選択する分割映像データ選択手段と、
分割映像データ選択手段で選択した分割映像データまたはパリティ演算結果を記録媒体に記録する記録手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
この発明に係る監視映像記録システムによれば、
複数の監視映像記録装置を構成することにより、複数の監視映像記録装置のうち1台が故障した場合でも、故障した以外の監視映像記録装置から映像データを復元することができるため、HDD故障だけではなく、電源など、HDD以外の部分が故障した場合でも、記録の冗長性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明の実施の形態1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態3を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態4を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態5を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態6を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態7を示すブロック図である。
【図7】従来装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1を表すブロック図を図1に示す。図1において、1は映像を撮影して符号化し、RTP(Realtime Transport Protocol)などのプロトコルによりネットワークを介して映像を配信する監視カメラである。監視カメラ1において、101は映像を撮像し量子化することにより、データに変換する撮像部である。102は撮像部101から出力された映像を、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やMPEG(Moving Picture Experts Group)やH.264などの符号化方式により符号化する符号化部である。103は符号化部102で符号化したデータをネットワーク配信する映像送信部である。
【0009】
2a〜2cは、監視カメラ1が配信した映像データを受信して記録する監視映像記録装置であるところの監視レコーダであり、本実施の形態1では2a〜2cまでの3台が備えられている。3は監視映像データを伝送するIPネットワークなどの通信網であり、この通信網3に監視カメラ1と監視レコーダ2a〜2cが接続されている。
監視レコーダ2aにおいて、201は監視カメラ1が配信した映像データを通信網3を介して受信する映像受信部、202は受信した映像データを固定サイズに分割する映像分割部、203は分割した映像データもしくはパリティのうちいずれか一つを選択する分割映像データ選択部、204は分割した映像データ同士のビット毎の排他的論理和を演算するパリティ演算部、205は選択したデータを記録する記録部、206はデータを格納しておくハードディスクドライブやRAID装置などの記録媒体であり、監視レコーダ2b、2cも同様に構成されている。
【0010】
次に、動作について説明する。監視カメラ1は、RTPなどのプロトコルを用いて、通信網3を経由して監視映像データを監視レコーダ2a〜2cに配信する。配信先の監視レコーダ2a〜2cが複数であるため、IPマルチキャストを用いた同報配信が効率的であるが、ブロードキャストで配信しても、監視レコーダ2a〜2cに対して個別にユニキャストで配信しても構わない。
【0011】
監視レコーダ2a〜2cにおいて、映像受信部201で監視カメラ1からの映像データを受信する。映像データがRTPなどのプロトコルにより映像パケットに分割されて送信される場合には、映像受信部で映像パケットの結合を行う。映像分割部202では、受信および結合した映像データをあらかじめ規定されたサイズに分割する。分割映像データ選択部203では、映像分割部202で分割した映像データのうちいずれか、およびパリティ演算部204で演算するパリティを、分割映像データの状態において互いに重複しないように選択する。例えば、分割映像データに1から始まる通し番号を付与し、この通し番号をnとしたとき、nを6で割った余りに着目する。監視レコーダ2aでは、余りが0および5となる分割映像データからビット毎の排他的論理和を計算した結果と、余りが1および3となる分割映像データを選択する。同様に監視レコーダ2bでは、余りが3および4となる分割映像からビット毎の排他的論理和を計算した結果と、余りが2および5となる分割映像を選択する。同様に監視レコーダ2cでは、余りが1および2となる分割映像からビット毎の排他的論理和を計算した結果と、余りが4および6となる分割映像を選択する。
【0012】
パリティ演算部204では、分割映像データ選択部203においてパリティを選択した場合に、該当する分割映像データ同士の排他的論理和を演算する。記録部205では、選択した分割映像データおよびパリティを、記録媒体206に記録する。
このように構成することにより、監視レコーダ2a〜2cの各々において、互いに通信することなく、あらかじめ規定した法則に従って、記録対象とする分割映像データおよびパリティを、分割映像データの状態において重複せずに記録することができる。
【0013】
このように記録を行った後、監視レコーダ2bには、n=2および5および8および11の分割映像データと、n=3とn=4の映像データから演算したパリティと、n=9とn=10の映像データから演算したパリティとが記録されている。ここで、もし監視レコーダ2bが故障した状態でn=5の分割映像データを再生する場合、監視レコーダ2aからn=5とn=6の映像データから演算したパリティを読み出し、監視レコーダ2cからn=6の分割映像データを読み出し、これらデータの排他的論理和を演算することにより、n=5の分割映像データを復元することができる。
【0014】
以上のように監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、監視レコーダ2a〜2cのうち1台が故障した場合でも、故障した以外の監視レコーダ2a〜2cから映像データを復元することができるため、HDD故障だけではなく、電源など、HDD以外の部分が故障した場合でも、記録の冗長性を確保できる。なお、本実施の形態では3台の監視レコーダ2a〜2cを用いた例について説明したが、4台以上で構成することも可能である。また、排他的論理和によるパリティの他に、排他的論理和以外の方式によるパリティを組み合わせ、RAID6のように2台の映像監視レコーダの故障時にも映像データを安全に保管できるよう、構成しても良い。
【0015】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2を示すブロック図は、図1と同様である。
次に、動作について説明する。監視カメラ1および映像受信部201の動作は、実施の形態1と同様であるが、ここでは監視カメラ1は映像データをM−JPEG(Motion JPEG)方式により符号化し、JPEGピクチャを配信するものとする。映像分割部202においては、受信したJPEGピクチャを2等分する。分割映像データ選択部203においては、映像分割部202で分割した分割映像データのうちいずれか、およびパリティを、分割映像データの状態において互いに重複しないように選択する。
【0016】
例えば、受信したJPEGピクチャに1から始まる通し番号を付与し、この通し番号をnとしたとき、nを3で割った余りに着目する。監視レコーダ2aでは、余りが1の時にJPEGピクチャの前半部分を、余りが2のときにJPEGピクチャの後半部分を、余りが0の時にパリティを選択する。同様に監視レコーダ2bでは、余りが1の時にJPEGピクチャの後半部分を、余りが2のときにパリティを、余りが0の時にJPEGピクチャの前半部分を選択する。同様に監視レコーダ2cでは、余りが1のときにパリティを、余りが2の時にJPEGピクチャの前半部分を、余りが0の時にJPEGピクチャの後半部分を選択する。
パリティ演算部204,記録部205,記録媒体206の動作は、実施の形態1と同様である。
【0017】
以上のように映像監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、1台の映像監視レコーダ2a〜2cが故障した場合でも、故障した以外の映像監視レコーダ2a〜2cから映像データを復元することができるため、HDD故障だけではなく、RAIDコントローラや電源など、HDD以外の部分が故障した場合でも、記録の冗長性を確保できる。なお、本実施の形態では3台の映像監視レコーダ2a〜2cを用いた例について説明したが、4台以上で構成することも可能である。また、排他的論理和によるパリティの他に、排他的論理和以外の方式によるパリティを組み合わせ、RAID6のように2台の映像監視レコーダ2の故障時にも映像データを安全に保管できるよう、構成しても良い。
【0018】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3を示すブロック図を図2に示す。図2において、監視カメラ1aおよび1bは、図1の監視カメラ1と同様に構成される。また、207は分割した映像データのサイズを揃えるパディング部であり、監視レコーダ2a内に備えられる。その他の部分については、図1と同様である。
【0019】
次に、動作について説明する。監視カメラ1aおよび監視カメラ1bは、実施の形態1における監視カメラ1と同様に動作する。映像受信部201は、監視カメラ1aおよび監視カメラ1bからの映像データを受信する。映像分割部202は、受信した映像データを所定の単位毎に、例えば、映像に付与されたシーケンス番号が10増加する毎に区切る。パディング部207では、監視カメラ1aから受信した映像データと、監視カメラ1bから受信した映像データのそれぞれを区切ったデータのデータサイズが等しくなるよう、データサイズが小さなデータの末尾にパディングを行う。監視レコーダ2cにおいてのみ、パリティ演算部204において、パディング部207でサイズが等しくなるようパディングを行ったデータから排他的論理和によりパリティを演算する。記録部205においては、監視レコーダ2aでは監視カメラ1aから受信したデータを、監視レコーダ2bにおいては監視カメラ1bから受信したデータを、監視レコーダ2cではパリティ演算部204において演算したパリティを、記録媒体206に記録する。
【0020】
このように監視レコーダを構成することにより、実施の形態1および2と同様の効果が得られるとともに、例えば監視レコーダ2bが故障している状態で監視カメラ1aの映像データを再生したい場合には、監視レコーダ1aのみを用いて映像データの再生ができる、という効果が得られる。
【0021】
また、本実施の形態では監視レコーダ2a〜2cのそれぞれにおいて監視カメラ1aおよび監視カメラ1bからの映像データを受信するよう構成したが、監視レコーダ2aは監視カメラ1aの映像データのみを受信して、監視レコーダ2bは監視カメラ1bの映像データのみを受信するように構成しても良い。この場合、監視レコーダ2aと監視レコーダ2bは、図示しない通信手段により、映像分割部において分割した映像データのサイズを互いに通知する。
また、本実施の形態3において挙げた例では、監視レコーダ2cのみにパリティが記録されるため、監視レコーダ2aもしくは監視レコーダ2bが故障した場合に映像を再生すると監視レコーダ2cの負荷が高くなる。ここでもし図示しない監視カメラ1cおよび監視カメラ1dおよび監視カメラ1eおよび監視カメラ1fが存在する場合、監視カメラ1cと監視カメラ1dの映像のパリティを監視レコーダ2bに記録し、監視カメラ1eと監視カメラ1fの映像のパリティを監視レコーダ2cに記録するように構成することにより、監視レコーダ2a〜2cの負荷をほぼ同等とすることもできる。
【0022】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4を表すブロック図を、図3に示す。図3において、監視カメラ1の撮像部101、符号化部102および映像送信部103は、実施の形態1と同様である。104は、符号化部102が符号化したデータを規定の容量分保存する一次保存部、105は、監視レコーダ2a〜2cからの再送要求を受信する再送要求受信部、106は、再送要求受信部105からの指示を受け、一次保存部104に保存されている符号化データを送信するよう映像送信部103に指示する再送指示部である。
【0023】
また、監視レコーダ2aの映像受信部201、映像分割部202、分割映像データ選択部203、パリティ演算部204、記録部205および記録媒体206は、実施の形態1と同様である。
208は、映像受信部201において受信した映像パケットの欠落を検出するパケットロス検出部、209は映像の再送を要求する再送要求部である。
監視レコーダ2b、2cも同様の構成になっている。
【0024】
次に動作について説明する。パケットロス検出部208は、映像受信部201において受信したパケットについて、ネットワーク上もしくはその他の箇所で欠落していないか確認する。パケットロス検出部208がパケットの欠落を検出すると、再送要求部209は監視カメラ1に対し、該当するデータの再送を要求する。ここで、再送を行う単位は、パケット毎であっても構わないし、JPEGのピクチャ単位であっても構わないし、MPEGもしくはH.264のGOP(Group Of Pictures)であっても構わない。
【0025】
一方監視カメラ1において、一時保存部104は、例えばリングバッファ状に構成され、直近に符号化されたデータを、あらかじめ決められた容量分、常時保持している。再送要求受信部105が監視レコーダ2a〜2cからの再送要求を受信すると、再送指示部106は一時保存部104に再送を要求された映像データが保存されているか否かを確認し、保存されている場合、当該データを映像送信部103に渡す。映像送信部103は、監視レコーダ2a〜2cに当該データを再配信する。
【0026】
以上のように監視カメラ1および監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、実施の形態1〜3と同様の効果が得られると共に、監視レコーダ2a〜2cにおいてパケットロスが発生した場合でも、データの整合性を保ちつつ、冗長性を確保することができるという効果が得られる。
【0027】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5を表すブロック図を、図4に示す。図4において、撮像部101、符号化部102および映像送信部103は、実施の形態1と同様である。また、監視レコーダ2aの映像受信部201、映像分割部202、分割映像データ選択部203、パリティ演算部204、記録部205、記録媒体206およびパケットロス検出部208は、実施の形態4と同様である。
210は他の監視レコーダに映像の転送を要求する転送要求部、211は他の監視レコーダからの転送要求を受信する転送要求受信部、212は記録媒体206から、転送対象の映像を検索する映像検索部、213は他の監視レコーダに映像を転送する映像転送部である。
【0028】
次に動作について説明する。例えば監視レコーダ2aにおいて、パケットロス検出部208がパケットの欠落を検出すると、転送要求部210は監視レコーダ2bに対し、該当するデータの転送を要求する。ここで、再送を行う単位は、パケット毎であっても構わないし、JPEGのピクチャ毎であっても構わないし、MPEGもしくはH.264のGOP毎であっても構わない。
【0029】
一方監視レコーダ2bにおいて、転送要求受信部211が監視レコーダ2aからの転送要求を受信すると、映像検索部212は、記録媒体206から要求された映像を検索する。転送要求を受信するタイミングによっては、該当する映像データは記録媒体206に格納されておらず、図示しないメモリ上にて処理待ちの状態である可能性もあるため、映像検索部212は記録媒体206だけでなく、図示しないメモリ上も検索するよう構成しても良い。該当する映像データを検索できた場合、映像転送部213は、監視レコーダ2aに当該データを再配信する。
【0030】
以上のように監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、実施の形態1〜3と同様の効果が得られると共に、監視カメラ1が再送要求を処理するために必要な処理性能を備えない場合に監視レコーダ2a〜2cにおいてパケットロスが発生した場合でも、データの整合性を保ちつつ、冗長性を確保することができる。
【0031】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6を表すブロック図を図5に示す。
図5において、208は映像受信部201において受信した映像パケットの欠落を検出するパケットロス検出部、214はパケットロス検出部208がパケットロスを検出した際に、他の監視レコーダ2a〜2cにパケットロスを通知するパケットロス通知部である。215は、他の監視レコーダ2b、2cからのパケットロス通知を受信し、該当するデータを破棄するデータ廃棄部であり、これらは何れも監視レコーダ2a内に備えられている。その他については、実施の形態2と同様であり、また、監視レコーダ2b、2cも同様な構成にされている。
【0032】
次に、動作について説明する。例えば、監視レコーダ2aのパケットロス検出部208においてパケットロスを検出すると、パケットロス検出部214は監視レコーダ2bおよび2cに対し、パケットロスが発生したことを通知する。監視レコーダ2bおよび2cは、データ廃棄部215においてパケットロス発生通知を受信すると、データ廃棄部215は、映像分割部202、分割映像データ選択部203、パリティ演算部204および記録部205に対し、該当するデータの廃棄を要求する。データの廃棄を要求された映像分割部202、分割映像データ選択部203、パリティ演算部204および記録部205のうち、該当するデータを保持している部位は、該当するデータをJPEGであればピクチャ毎に、MPEGもしくはH.264であればGOP毎に、廃棄する。また、データ廃棄部215がデータの廃棄を要求した時点で、該当するデータが記録媒体206に記録済みであった場合、記録部205は記録媒体206から該当するデータを消去する。
【0033】
以上のように監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、実施の形態2により得られる効果に加え、パケットロスが発生した場合でもデータの再送や転送を待つことなく記録の処理を完了できるため、遅延の少ない記録を行うことが可能となる。
【0034】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7を表すブロック図を、図6に示す。図6において、107は映像送信部103から送信するパケットのサイズが決められた値を超えないように制限するパケットサイズ制限部で、監視カメラ1内に備えられている。216は映像受信部201が受信した映像データの各々について、送信された順序を識別する順序識別部であり、217は受信した映像パケットを結合する映像パケット結合部である。これら順序識別部216および映像パケット結合部217は監視レコーダ2a内に備えられている。その他については、実施の形態1を表す図1と同様である。
また、監視レコーダ2b、2cも同様な構成にされている。
【0035】
次に、動作について説明する。パケットサイズ制限部107では、パケットのサイズを決められたサイズ、例えば1024バイトまでに制限する。パケットサイズ制限部107により、映像送信部103から送出される映像パケットのサイズは、最大でも1024バイトとなる。
【0036】
監視レコーダ2aでは、映像受信部201において映像パケットを受信するが、本実施の形態の映像受信部201では受信した映像パケットの結合を行わない。次に順序識別部216において、受信したパケットの順序を識別する。これには、例えば監視カメラ1において映像パケットにシーケンス番号を付与し、前記シーケンス番号を参照することによって順序を識別するように構成する。映像パケット結合部217では、受信した映像パケットを図示しないメモリ上で結合する。この際、各パケットの格納先アドレスを、映像パケットの順序と上限サイズから計算する。例えば、送信順序が20番目の映像パケットを受信した場合、先頭から19キロバイトの位置に当該映像パケットを格納する。更に、例えば送信順序が19番目の映像パケットを受信できなかった場合には、先頭から18バイトの位置から1024バイト分、16進数のF(2進数の1)でパディングする。また、1024バイト未満のサイズの映像パケットを受信した場合、1024バイトに満たない分も16進数のF(2進数の1)でパディングする。以後の動作は実施の形態1〜3と同様である。
【0037】
以上のように監視カメラ1および監視レコーダ2a〜2cを構成することにより、実施の形態1〜3により得られる効果に加え、パケットロスが発生した場合でもデータの再送や転送を待つことなく記録の処理を完了できるため、遅延の少ない記録を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
カメラで撮影した映像を映像データに変換してネットワーク経由で配信し、遠隔監視すると同時にこの映像を記憶装置に記憶しておき、必要とする際映像を再生可能とする遠隔監視システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1、1a、1b;監視カメラ、101;撮像部、102;符号化部、103;映像送信部、104;一次保存部、105;再送要求受信部、106;再送指示部、2a〜2c;監視レコーダ、201;映像受信部、202;映像分割部、203;分割映像データ選択部、204;パリティ演算部、205;記録部、206;記録媒体、207;パディング部、208;パケットロス検出部、209;再送要求部、210;転送要求部、211;転送要求受信部、212;映像検索部、213;映像転送部、214;パケットロス通知部、215;データ廃棄部、107;パケットサイズ制限部、216;順序識別部、217;映像パケット結合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを経由して、複数の対象機器に監視映像を同時配信可能な監視カメラと、
ネットワークを経由して監視カメラが配信する監視映像を受信し記録する、対象機器としての監視映像記録装置を複数備える監視映像記録システムにおいて、
上記監視映像記録装置は
ネットワークを経由して監視映像データを受信する映像受信手段と、
映像受信手段で受信した映像データを固定長に分割する映像分割手段と、
映像分割手段で分割した映像データ同士でパリティ演算を行うパリティ演算手段と、
上記分割映像データとパリティ演算結果を、分割映像データの状態で重複しないようにあらかじめ決められた順序により選択する分割映像データ選択手段と、
分割映像データ選択手段で選択した分割映像データとパリティ演算結果を記録媒体に記録する記録手段を備えることを特徴とする監視映像記録システム。
【請求項2】
上記監視映像記録装置の映像分割手段は、受信した映像データを復号可能な単位で区切り、復号可能な単位で区切った映像データを分割する構成にされたことを特徴とする請求項1記載の監視映像記録システム。
【請求項3】
ネットワークを経由して、複数の対象機器に監視映像を同時配信可能な複数の監視カメラと、
ネットワークを経由して監視カメラが配信する監視映像を受信し記録する、対象機器としての監視映像記録装置を複数備える監視映像記録システムにおいて、
上記監視映像記録装置は
ネットワークを経由して監視映像を受信する、映像受信手段、
各カメラから受信した監視映像を任意の単位で区切る映像分割手段
各カメラ毎の分割映像データが同一サイズになるようパディングを行うパディング手段、
各監視カメラから受信した分割映像同士でパリティ演算を行うパリティ演算手段、
分割映像データまたはパリティ演算結果を記録媒体に記録する記録手段が設けられたことを特徴とする監視映像記録システム。
【請求項4】
上記監視映像記録装置は、
映像受信手段にて受信した映像のパケットロスを検出するパケットロス検出手段と、
パケットロス検出手段によりパケットロスを検出した場合に、監視カメラに対して映像データの再送を要求する再送要求手段を備え、
上記監視カメラは
監視映像記録装置からの再送要求を受信する再送要求受信手段、
監視映像記録装置から要求された映像データを再送する映像再送手段
を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の監視映像記録システム。
【請求項5】
上記監視映像記録装置は、
映像受信手段にて受信した映像のパケットロスを検出するパケットロス検出手段と、
パケットロス検出手段によりパケットロスを検出した場合に、他の監視映像記録装置に対して映像データの転送を要求する転送要求手段、
他の監視映像記録装置からの転送要求を受信する転送要求受信手段、
他の監視映像記録装置から要求された映像データを要求監視映像記録装置に転送する、映像転送手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の監視映像記録システム。
【請求項6】
上記監視映像記録装置は、
映像受信手段にて受信した映像のパケットロスを検出するパケットロス検出手段、
パケットロスを検出した場合、他の監視映像記録装置にパケットロスを通知するパケットロス通知手段、
パケットロスを検出した場合、もしくは他の監視映像記録装置からパケットロスを通知された場合に、映像データを復号可能な単位で廃棄するデータ廃棄手段を備えることを特徴とする請求項2記載の監視映像記録システム。
【請求項7】
上記監視カメラは
映像データを格納するパケットのサイズを上限サイズ以下に制限するパケットサイズ制限手段を備え、
上記監視映像記録装置は、
受信した映像パケットの送出順序を識別する順序識別手段、
映像パケット送出順序と、パケット上限サイズから映像データの記録先アドレスを決定する映像結合手段を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の監視映像記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−248935(P2011−248935A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117957(P2010−117957)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】