説明

監視機能付きテレビジョン受信機

【課題】セキュリティシステムを導入するには、セキュリティシステム設備の設置などに手間がかかり、警備会社と高額な契約をしなければならないこともあり、いまのところ一般家庭への導入はあまり進んでいないという問題がある。
【解決手段】プログレッシブテレビジョン機能に、テレビカメラからの入力手段と、監視モード設定手段と、異常判別手段と、通知手段を設け、 監視モード時にはプログレッシブテレビとしての映像表示機能を停止し、異常判別機能と通知機能を動作させることにより、プログレッシブテレビジョンをセキュリティシステムとして動作させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン受信機に係り、セキュリティシステムとしての機能を持ちあわせるテレビジョン受信機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、テレビジョン受信機として、インタレースのテレビ信号を受信し、プログレッシブ(ノンインタレースともいう)のテレビ信号に変換して表示するプログレッシブテレビジョンが主流になりつつある。このプログレッシブテレビジョンでは、一般的にインタレーステレビ信号からプログレッシブのテレビ信号に変換する際に映像中の動きを検出し、動きの有無に応じて映像処理を切り替える動き適応型プログレッシブ変換している。
【0003】図1は、プログレッシブテレビジョンにおけるプログレッシブ変換回路の構成図を示している。101はインタレーステレビ信号入力端子、102は動き検出回路、103は動き処理回路、104は映像変換処理回路、105はプログレッシブテレビ信号出力端子、106はインタレーステレビ信号出力端子である。
【0004】図1の動作を簡単に説明する。まず、101から入力されたインタレーステレビ信号は、動き検出回路102及び映像変換処理回路104へ導かれる。動き検出回路102は、前記インタレーステレビ信号内の映像の動きを検出する。動き処理回路103は、動き検出回路102で検出された映像の動きをもとに映像変換処理を制御する動き量を生成し、映像変換回路104へ導く。映像変換回路104は、前記動き量に応じてインタレーステレビ信号をプログレッシブテレビ信号に変換し、プログレッシブテレビ信号出力端子へ出力する。
【0005】また、近年は、防犯意識の高まりから、セキュリティシステムへの関心が高まってきている。セキュリティシステムの一例を図2に示す。201は監視センサ、202は異常検出装置、203は通報装置、204は通報出力端子である。監視センサ201には、監視カメラなどの装置などがある。この監視センサからの情報は異常検出装置202に導かれる。異常検出装置202は、たとえば監視カメラからの本来動きが無いはずの映像に動きを検出した場合などに異常であると判断し、異常発生を通報装置203へ導く。通報装置203は通報出力端子204を通して、異常発生をセキュリティ管理センタ(契約警備会社など)へ通報する。
【0006】このようなセキュリティシステムを導入するには、セキュリティシステム設備の設置などに手間がかかり、警備会社と高額な契約をしなければならないこともあり、いまのところ一般家庭への導入はあまり進んでいない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、関心の高さのわりに導入がすすんでいないセキュリティシステムの現状に対し、本発明の目的は、低コスト且つ導入しやすいセキュリティシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、プログレッシブテレビジョン機能に、テレビカメラからの入力手段と、監視モード設定手段と、異常判別手段と、通知手段を設け、監視モード時にはプログレッシブテレビとしての映像表示機能を停止し、異常判別機能と通知機能を動作させることにより、プログレッシブテレビジョンをセキュリティシステムとして動作させる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施例を図3に示す。301はテレビ信号入力端子、302は動き検出回路、303は動き処理回路、304は映像変換処理回路、305はプログレッシブテレビ信号出力端子、307は監視用テレビ信号入力端子、308は入力セレクタ、309はテレビ/監視モード制御回路、310は異常判別回路、311は通知回路、312は電話回線端子である。
【0010】まず、テレビモード/監視モード制御回路309がテレビモードに設定されているときは、テレビモード/監視モード制御回路309からのモード制御信号がテレビモードとなり、入力セレクタ308はテレビ信号入力端子301からの信号を選択し、動き検出回路302、動き処理回路303、映像変換処理回路304、プログレッシブテレビ信号出力端子305は、従来例と同様にインタレーステレビ信号を動きに応じてプログレッシブテレビ信号へ変換し、出力端子からディスプレイへと出力して映像を表示する。前記モード制御信号がテレビモードのとき、異常判別回路310、通知回路311は、動作を停止する。
【0011】テレビモード/監視モード制御回路309が監視モードに設定されているときは、テレビモード/監視モード制御回路309からのモード制御信号が監視モードとなり、これによって入力セレクタ308は監視用テレビ信号入力端子307からの信号を選択し、異常判別回路310及び通知回路311は動作を開始する。動き検出回路302は、入力セレクタを通して入力された映像中の動きを検出し、動き検出情報として異常判別回路310に導く。
【0012】異常判別回路310は、前記動き検出情報を基に異常発生を判別する。通知手段311は異常発生の判定結果を受けると、あらかじめ指定されている異常通知先へ電話回線を通して異常発生を通知する。なお、モード制御信号がテレビモードのときは、映像変換回路309は動作停止し、プログレッシブ出力端子305から映像は出力しない。
【0013】監視用テレビ信号入力端子307からの映像は、動きのない一定の場所を撮影した映像であるので、正常時には動きは検出されない。その監視用テレビカメラの撮影範囲内に、たとえば人が侵入した場合、人の動きがテレビカメラに映る。このとき監視用テレビ信号には人の動きが含まれ、動き検出回路302で動きが検出される。異常判別回路310は、検出された動きの程度及び検出期間などによって異常であるか否かを判別する。
【0014】たとえば、人の動きの場合、1フィールドトータルでの動きの検出量は多く、連続して動きと検出される領域も広い。また、このような動きが数フィールドにわたって検出されるという特徴もある。通知手段311に異常時の通知先、たとえば携帯電話など、の電話番号と、異常発生を通知するメッセージを記憶しており、異常発生の信号を受けると前記通知先に前記メッセージを送信する。
【0015】本実施例の構成によれば、留守中に本発明のプログレッシブテレビジョンを監視モード設定しておくことにより、留守中に侵入者があった場合に、それを知ることができるため、警察、隣人等に連絡するなど迅速な対応をすることが可能となる。また、本発明の構成は従来のプログレッシブテレビジョンに、内蔵可能な小規模な回路を追加するだけで実現できるため、低コストなセキュリティシステムとして使用できる。
【0016】次に、本発明の第二の実施例を図4に示す。401はテレビ信号入力端子、402は動き検出回路、403は動き処理回路、404は映像変換処理回路、405はプログレッシブテレビ信号出力端子、406はインタレーステレビ信号出力端子、407は監視用テレビ信号入力端子、408は入力セレクタ、409はテレビ/監視モード制御回路、410は異常判別回路、411は通知回路、412は記録on/off信号出力端子である。
【0017】401から405、407から410は第一の実施例の301から305、307から310と同じである。通知回路411は異常判別回路410で異常ありの判別結果を受けた場合、記録on/off信号を出力端子412を通して記録メディア(VTR、DVD−RAM、大容量ハードディスクなど)に送り、インタレーステレビ信号出力端子406から出力する映像信号を記録させる。なお、記録メディアへ記録するインタレーステレビ信号は、インタレーステレビ信号出力端子406から出力する映像信号に限らず、監視用テレビ信号入力端子407から入力されるインタレース信号を用いても同様の効果が得られる。
【0018】本実施例の構成によれば、留守中に本発明のプログレッシブテレビジョンを監視モード設定しておくことにより、留守中に侵入者があった場合に、侵入者を映像として記録メディアに記録することが可能となり、侵入者の特定に必要な証拠を残すことができる。また、本発明の構成は第一の実施例と同様に、従来のプログレッシブテレビジョンに、内蔵可能な小規模な回路を追加するだけで実現できるため、低コストなセキュリティシステムとして使用できる。
【0019】次に、本発明の第三の実施例を図5に示す。501はテレビ信号入力端子、502は動き検出回路、503は動き処理回路、504は映像変換処理回路、505はプログレッシブテレビ信号出力端子、506はインタレーステレビ信号出力端子、507は監視用テレビ信号入力端子、508は入力セレクタ、509はテレビ/監視モード制御回路、510は異常判別回路、511は通知回路である。
【0020】501から505,507から510は第一の実施例の301から305,307から310と同じである。通知回路511は、スピーカー、ランプなどを持ち、異常判別回路510で異常ありの判別結果を受けた場合、音や光などにより、侵入者に対して直接的に警報を発する。
【0021】本実施例の構成によれば、留守中に本発明のプログレッシブテレビジョンを監視モード設定しておくことにより、留守中に侵入者があった場合に、侵入者を映像として記録メディアに記録することが可能となり、侵入者の特定に必要な証拠を残すことができる。侵入者へ直接的に警報を発し、侵入を思いとどませる効果が期待できる。また、本発明の構成は第一の実施例と同様に、従来のプログレッシブテレビジョンに、内蔵可能な小規模な回路を追加するだけで実現できるため、低コストなセキュリティシステムとして使用できる。
【0022】
【発明の効果】本発明によると、通常はプログレッシブテレビとして使用可能で、且つ留守中には監視モード設定しておくことにより、留守中に侵入者があった場合に、侵入者ありの情報を知ることができるたり、侵入者を映像として記録メディアに記録するしたり、侵入者へ直接的に警報を発したりするセキュリティシステムとして機能するテレビを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のプログレッシブテレビジョンの構成を示すブロック図。
【図2】従来のセキュリティシステムの構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第一の実施例の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第二の実施例であるプログレッシブテレビの構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第三の実施例であるプログレッシブテレビの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
101…インタレーステレビ信号入力端子、102…動き検出回路、103…動き処理回路、104…映像変換処理回路、105…プログレッシブテレビ信号出力端子、106…インタレーステレビ信号出力端子、201…監視センサ、202…異常検出装置、203…通報装置、301…テレビ信号入力端子、302…動き検出回路、303…動き処理回路、304…映像変換処理回路、305…プログレッシブテレビ信号出力端子、307…監視用テレビ信号入力端子、308…入力セレクタ、309…テレビ/監視モード制御回路、310…異常判別回路、311…通知回路、312…電話回線端子、401…テレビ信号入力端子、402…動き検出回路、403…動き処理回路、404…映像変換処理回路、405…プログレッシブテレビ信号出力端子、406…インタレーステレビ信号出力端子、407…監視用テレビ信号入力端子、408…入力セレクタ、409…テレビ/監視モード制御回路、410…異常判別回路、411…通知回路、412…記録on/off信号出力端子、501…テレビ信号入力端子、502…動き検出回路、503…動き処理回路、504…映像変換処理回路、505…プログレッシブテレビ信号出力端子、506…インタレーステレビ信号出力端子、507…監視用テレビ信号入力端子、508…入力セレクタ、509…テレビ/監視モード制御回路、510…異常判別回路、511…通知回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】テレビ信号入力手段、動き検出手段、動き処理手段、映像変換処理手段、プログレッシブテレビ信号出力手段をもったプログレッシブテレビジョンに、監視用テレビ信号入力手段、入力セレクタ手段、テレビ/監視モード制御手段、異常判別手段、通知手段、電話回線接続手段を具備し、テレビモード/監視モード制御手段が監視モードに設定されているときは、入力セレクタ手段が監視用テレビ信号入力手段からの信号を選択し、動き検出手段での動き検出情報を基に異常判別手段で異常発生と判定されると、通知手段にあらかじめ指定されている異常通知先へ電話回線を通して異常発生を通知することを特徴とする監視機能付きテレビジョン受信機。
【請求項2】テレビ信号入力手段、動き検出手段、動き処理手段、映像変換処理手段、プログレッシブテレビ信号出力手段をもったプログレッシブテレビジョンに、監視用テレビ信号入力手段、入力セレクタ手段、テレビ/監視モード制御手段、異常判別手段、通知手段、インタレーステレビ信号出力手段を具備し、テレビモード/監視モード制御手段が監視モードに設定されているときは、入力セレクタ手段が監視用テレビ信号入力手段からの信号を選択し、動き検出手段での動き検出情報を基に異常判別手段で異常発生と判定されると、通知手段が記録on/off信号を記録メディア(VTR、DVD−RAM、大容量ハードディスクなど)に送り、インタレーステレビ信号出力手段から出力する映像信号を記録させることを特徴とする監視機能付きテレビジョン受信機。
【請求項3】テレビ信号入力手段、動き検出手段、動き処理手段、映像変換処理手段、プログレッシブテレビ信号出力手段をもったプログレッシブテレビジョンに、監視用テレビ信号入力手段、入力セレクタ手段、テレビ/監視モード制御手段、異常判別手段、通知手段を具備し、テレビモード/監視モード制御手段が監視モードに設定されているときは、入力セレクタ手段が監視用テレビ信号入力手段からの信号を選択し、動き検出手段での動き検出情報を基に異常判別手段で異常発生と判定されると、通知手段が音や光などを用いて直接的に警報を発することを特徴とする監視機能付きテレビジョン受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−224572(P2000−224572A)
【公開日】平成12年8月11日(2000.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−26974
【出願日】平成11年2月4日(1999.2.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】