説明

監視画面表示装置

【課題】機器状態の判別性の高い監視画面を表示すること。
【解決手段】本実施形態に係る監視画面表示装置100は、監視画面を構成する複数のレイヤを監視対象の状態を示す信号と対応づけて記憶する記憶部13と、前記信号の状態に基づいて、前記レイヤの表示を制御するレイヤ表示コントロール部17とを具備し、さらに、前記記憶部は、前記レイヤを当該レイヤ毎に配置される操作手段と対応付けて記憶し、前記レイヤ表示制御部は、前記操作手段の状態に基づいて前記レイヤの表示を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば航空灯火等の状態を表示する監視画面表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視画面の多くは、信号の状態により色や形が変化する可変画面レイヤ(装置状態や故障、航空灯火の点灯/消灯状態を表すシンボルなど)と、一度表示したら変化することのない固定画面レイヤ(系統線やレイアウト線など)の2つのレイヤで構成されている。各レイヤの中にも、それぞれ可変図形と固定図形が配置される。また、複数のレイヤを備えていても、機器を監視するためという理由で、固定図形により可変図形が隠れるのを防止するために、可変画面レイヤは固定画面レイヤより下位レイヤに表示することはできず、またレイヤ数は固定である。そのため、機器の故障や、任意の信号の状態により背景画面を可変図形で表すことは困難である。
【0003】
加えて、グラフィックパネルの代替として監視画面を大型表示装置等に表示する場合、タッチパネルやマウス等の入力装置は備えているものの、実際には単一監視画面を表示するだけの機能に限定される場合が多い。
【0004】
また、監視画面に複数ウィンドウ(1画面1ウィンドウとして、複数のウィンドウを開くことで、同時に複数画面の表示が可能)を用いるものもあるが、個々のウィンドウを見た場合、上記制約は変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−145741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように従来の技術では、可変画面に配置された可変シンボルの色や形、表示/非表示を変化させることしかできない。そのため、監視画面において、平常状態では表示する必要のない固定図形や可変図形を常に表示し続け、かつ監視員の操作により非表示にすることはできないため、装置数が多く、系統線が入り組んでいる等で煩雑な監視画面では、機器状態の判別性が著しく低下する場合があった。また、グラフィックパネルの代替として監視画面を表示する場合、限られた表示領域内に可変シンボルを収めきれず、大きさが定められた表示装置では、各図形を小さくするしかなく、その分判別性も低下していた。
【0007】
本実施形態の目的は、機器状態の判別性の高い監視画面を表示する監視画面表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る監視画面表示装置は、監視画面を構成する複数のレイヤを監視対象の状態を示す信号と対応づけて記憶する記憶部と、前記信号の状態に基づいて、前記レイヤの表示を制御するレイヤ表示制御部とを具備するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る監視画面表示装置を示す図。
【図2】監視画面を構成するレイヤの構造の一例を示す図。
【図3】レイヤ表示コントロール部の表示制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る監視画面表示装置を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る監視画面表示装置の機能構成を示すブロック図である。監視画面表示装置100は、通信インタフェース11、制御部12、記憶部13、監視画面表示コントロール部14、可変図形コントロール部15、表示部16、及びレイヤ表示コントロール部17を有する。
【0012】
図1において、監視画面を表示する画面表示装置100は、他装置からの信号データを通信インタフェース11で受け取り、制御部12にて信号データを展開し、状態、故障などの判別を行う。監視画面表示コントロール部14は、制御部12からの状態・故障情報を受け、可変図形コントロール部15およびレイヤ表示コントロール部17に渡す。可変図形コントロール部15は、状態、故障によって可変画面レイヤに配置した可変シンボル(可変図形)の形や色を変更する。
【0013】
記憶部13には、監視画面を構成する複数のレイヤが表示順に記憶される。レイヤは、可変図形が配置される可変画面レイヤと、固定図形のみが配置される固定画面レイヤとがある。
【0014】
図2に、監視画面を構成するレイヤの構造の一例を示す。図2に示すように、各監視画面に、可変画面レイヤおよび固定画面レイヤを複数個作成し、そのレイヤ毎に、表示タイプ(常時表示/任意信号ON表示/操作表示/表示禁止/レイヤ内割付警報ON表示/レイヤ内割付信号ON表示など)と必要に応じて任意信号レコードを登録しておく。任意信号レコードは、信号を一意に識別するための信号ID、表示座標、拡大率等の情報によって構成される。レイヤ内割付警報ON表示は、可変画面レイヤの場合のみ有効であり、レイヤ内の可変シンボルに割り付けられているすべての故障信号について、いずれかがONした場合に表示される。レイヤ内割付信号ON表示は、可変画面レイヤの場合のみ有効であり、レイヤ内の可変シンボルに割り付けられているすべての信号(状態・故障信号に問わず)について、いずれかがONした場合に表示される。
【0015】
レイヤ表示コントロール部17は、監視画面表示コントロール部14から受け取った状態・故障・操作情報から、表示部16に表示する画面レイヤの表示/非表示を設定する。また、任意信号がONの場合は、指定された座標・拡大率でレイヤを表示する。
【0016】
次に、このように構成された監視画面表示装置の動作について詳しく説明する。図3は、レイヤ表示コントロール部17の表示制御処理を示すフローチャートである。
レイヤ表示コントロール部17は、ステップS1〜S16までの繰り返し処理により、各レイヤの表示タイプにより条件分岐処理し、一定の条件を満たすことで各レイヤの表示・非表示を制御する。
【0017】
ステップS2において、レイヤの表示タイプが表示禁止有効の場合は、常に当該レイヤを表示しないように制御する(ステップS15)。表示禁止は、本来監視画面上には表示する必要のない、監視画面を作成するための補助線等の図形を格納しておくためのレイヤに対して設定する。
【0018】
ステップS3において、レイヤの表示タイプが常時表示有効の場合は、常に当該レイヤを表示させる(ステップS14)。
【0019】
ステップS4において、レイヤの表示タイプが操作表示有効の場合は、当該レイヤに対応する操作ボタンの操作状態により表示・非表示を制御する。非表示操作ONの場合(ステップS5)は、当該レイヤを非表示にし(ステップS15)、表示操作ONの場合(ステップS6)は、当該レイヤを表示させる(ステップS14)。
【0020】
ステップS7において、レイヤの表示タイプが任意信号ON表示有効の場合は、図2に示したようにレイヤ毎に予め設定した任意信号がONした場合に(ステップS8)、当該レイヤを表示する(ステップS14)。また、その際、各任意信号に指定した座標および拡大率にてレイヤを表示する(ステップS9)。
【0021】
ステップS10において、レイヤ内割付警報ON表示有効の場合は、レイヤ内に配置された可変シンボルに割り付けられた故障信号のいずれかがONした場合に(ステップS11)、当該レイヤを表示する(ステップS14)。
【0022】
ステップS12において、レイヤ内割付信号ON表示有効の場合は、上記レイヤ内割付警報ON表示と同様で、レイヤ内の可変シンボルに割り付けられた信号のいずれかがONした場合に(ステップS13)、当該レイヤを表示する(ステップS14)。
【0023】
上記のように、各信号と各レイヤ(またはレイヤ内可変シンボル)が関連付けされているため、ある故障が発生した場合や特定の操作を行った場合、当該レイヤを表示/非表示することが可能となる。例えば、滑走路の監視システムにおいては、可変画面レイヤ1(航空灯火の可変図形)、固定画面レイヤ1(滑走路上の標識)、可変画面レイヤ3(風速表示の可変図形)、固定画面レイヤ3(滑走路の線図)、固定画面レイヤ4(背景)がというように監視員の必要な情報のみを重ね合わせて表示することができる。
【0024】
以上述べたように、上記実施形態によれば、監視制御システムを構成する画面表示装置において、監視画面に複数のレイヤを設け、任意の信号のON/OFFや特定の操作により、レイヤの表示/非表示、表示座標、拡大率を切り替えることで、監視員にとって機器状態の判別性が高い監視画面の表示が可能となる。
【0025】
すなわち、本実施形態では、監視画面において平常状態では表示しなくてもよい、または、異常状態で表示/拡大表示することで判別性を高めることのできる、固定図形や可変図形があることに着目し、監視画面に固定画面レイヤ、可変画面レイヤを複数個設け、当該レイヤに割り付けられた信号がONになった場合だけ、サブ画面としてレイヤを表示することで、機器状態の判別性が高い監視画面を表示することができる。
【0026】
さらに、監視画面上に各レイヤ毎の表示/非表示用のボタンを設けることで、監視員が任意のレイヤのみを簡単に表示/非表示にさせることが可能であり、単一画面しか表示できないタッチパネルやマウスを有した監視画面表示装置においても、機器状態の判別性を高めることが可能となる。
【0027】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
100…監視画面表示装置、11…通信インタフェース、12…制御部、13…記憶部、14…監視画面表示コントロール部、15…可変図形コントロール部、16…表示部、17…レイヤ表示コントロール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視画面を構成する複数のレイヤを監視対象の状態を示す信号と対応づけて記憶する記憶部と、
前記信号の状態に基づいて、前記レイヤの表示を制御するレイヤ表示制御部と
を具備することを特徴とする監視画面表示装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記レイヤを当該レイヤ毎に配置される操作手段と対応付けて記憶し、
前記レイヤ表示制御部は、前記操作手段の状態に基づいて前記レイヤの表示を制御することをさらに特徴とする請求項1に記載の監視画面表示装置。
【請求項3】
前記複数のレイヤは、固定図形のみが配置される固定画面レイヤと可変図形が配置される可変画面レイヤとを含むことをさらに特徴とする請求項1又は2に記載の監視画面表示装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記可変画面レイヤの場合に、当該レイヤ内の可変図形に前記信号を割り付けて記憶し、
前記レイヤ表示制御部は、前記可変図形に割り付けられた信号の状態に基づいて、前記レイヤの表示を制御することをさらに特徴とする請求項3に記載の監視画面表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−65094(P2013−65094A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202247(P2011−202247)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】