説明

監視端末装置および管理システム

【課題】管理サーバにかかる負担を軽減しつつ、緊急性のある情報を迅速に処理することができる監視端末装置および管理システムを提供すること。
【解決手段】検体に対する分析を行う自動分析装置20を監視し、ネットワークNに接続された管理サーバ30に対して自動分析装置20から出力された状態情報を、ネットワークNを介して送信する監視端末装置10を有する管理システム1であって、監視端末装置10が自動分析装置20の状態情報を受信し、優先度管理テーブル17を参照して得られる優先度と、負荷情報算出部19が算出した管理サーバ30負荷情報とをもとに、状態情報を管理サーバ30に遅延させて送信するかを判断し、優先すべき状態情報から管理サーバ30に送信することで、管理サーバ30の負荷を軽減しつつ、優先すべき情報を送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置を有する管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置の信頼性を高めるため、自動分析装置を監視する監視端末装置と管理サーバとがネットワークなどの通信接続手段を介して接続され、接続した監視端末装置と管理サーバとの間で通信を行うことによって、自動分析装置の保守・管理する管理システムが提案されている。この管理システムでは、ネットワークを介して遠隔制御が可能であり、自動分析装置から状態情報を定期的または不定期に受信することによって、自動分析装置の状態を把握することができる。特に、自動分析装置において障害等が発生した場合に電子メール等で通知されるため、迅速に対応できる。
【0003】
ところで、管理装置が定期的または不定期に自動分析装置の状態情報を取得すると、情報量の増大につながり、管理装置の処理能力が低下するという問題があった。この問題に対して、管理装置側へのデータの送信を遅延または再送信させてサーバへの負荷を軽減させる伝送システムが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−8957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す伝送システムでは、緊急性のある情報までもが遅延して送信されてしまう場合があり、緊急性のある情報に対応できず、装置の状態を悪化させてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、管理サーバにかかる負担を軽減しつつ、緊急性のある情報を迅速に処理することができる監視端末装置および管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置であって、前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷情報を受信する受信手段と、前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷情報に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間を受信し、前記処理開始時間と処理終了時間との差分により前記管理装置が処理した処理時間を算出し、該処理時間と前記管理装置の円滑処理が可能な基準処理時間との比を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間とを受信し、前記管理装置が処理した状態情報の情報量と前記処理開始時間と前記処理終了時間とをもとに単位処理時間に処理した情報量を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記送信制御手段は、前記負荷情報が示す負荷値が基準負荷値を超えた場合に前記送信時期を遅延させる制御を行なうことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記送信制御手段は、前記優先度および前記負荷情報に応じて各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、一時保存領域の空容量係数に応じて、前記遅延時間を算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記空容量係数は、一時保存領域の空容量と前記一時保存領域の全容量との比をもとに決定されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置であって、前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷係数を受信する受信手段と、前記負荷係数および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷係数に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記送信制御手段は、前記優先度および前記負荷係数に応じて各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、一時保存領域の空容量係数に応じて、前記遅延時間を算出することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる監視端末装置は、上記の発明において、前記空容量係数は、一時保存領域の空容量と前記一時保存領域の全容量との比をもとに決定されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置を有する管理システムであって、前記監視端末装置は、前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷情報を受信する受信手段と、前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷情報に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間を受信し、前記処理開始時間と処理終了時間との差分により前記管理装置が処理した処理時間を算出し、該処理時間と前記管理装置の円滑処理が可能な基準処理時間との比を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間とを受信し、前記管理装置が処理した状態情報の情報量と前記処理開始時間と前記処理終了時間とをもとに単位処理時間に処理した情報量を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置を有する管理システムであって、前記監視端末装置は、前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷係数を受信する受信手段と、前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明にかかる管理システムは、上記の発明において、前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷係数に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、管理サーバの負荷情報と管理サーバに送信する情報の優先度とをもとに、管理サーバに遅延して送信する時間を算出し、遅延時間経過後に管理サーバに情報を送信するようにしたので、管理サーバにかかる負担を軽減しつつ、緊急性のある情報を迅速に処理することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である自動分析装置の管理システムについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0026】
まず、実施の形態にかかる管理システムについて説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる自動分析装置の管理システムの構成を示す模式図である。この管理システム1は、検体を自動的に分析する自動分析装置20と接続され、自動分析装置20の状態情報を受信し、管理サーバ30に状態情報を送信するとともに、自動分析装置20の監視を行なう監視端末装置10と、監視端末装置10から送信される各自動分析装置20の状態情報を管理する管理装置としての管理サーバ30とがインターネット等のネットワークNを介して通信可能に接続される。
【0027】
監視端末装置10は、監視端末装置10の各構成部位の処理動作を制御する制御部11と、種々の情報を入力するためのキーボード等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する入力部12と、ディスプレイ等を用いて構成され、自動分析装置20の情報を表示する出力部13と、ネットワークNを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する送受信部14と、自動分析装置20の状態情報を記憶する記憶部15と、を有する。また、制御部11は、管理サーバ30に送信する自動分析装置20の状態情報の送信を制御する送信制御部18と、管理サーバ30から受信した情報をもとに負荷情報を算出する負荷情報算出部19を有する。さらに、記憶部15は、一時的に状態情報等を保存する一時保存領域16と、自動分析装置20の各状態情報に付加され、管理サーバ30への情報送信に関する優先度を管理する優先度管理テーブル17とを有する。
【0028】
自動分析装置20は、検体および検査項目に対応する試薬を反応容器に分注し、反応容器内で生じる反応を光学的に測定する測定機構を有し、測定機構の各種情報を自動分析装置20の状態情報として、監視端末装置10に送信する。なお、自動分析装置20の状態情報には、警報情報、温度情報、分注回数または測光回数等の情報が含まれる。
【0029】
管理サーバ30は、管理サーバ30の各構成部位の処理動作を制御する制御部31と、諸情報を外部から取得する入力部32と、ディスプレイ等を用いて構成され、管理サーバ30が処理した各自動分析装置20の状態情報を表示する出力部33と、監視端末装置10とネットワークNを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する送受信部34と、各自動分析装置20から送信された各自動分析装置20の情報を管理情報として記憶する記憶部35と、を有する。
【0030】
この管理システム1では、監視端末装置10が自動分析装置20の状態情報を受信し、受信した状態情報に対応する優先度と、負荷情報算出部19が算出した管理サーバ30負荷情報とをもとに、状態情報を管理サーバ30に遅延させて送信するかを判断し、優先すべき状態情報から管理サーバ30に送信する。なお、監視端末装置10は、ネットワークNを介して管理サーバ30に接続するものを例示したが、これに限らず、例えば、管理サーバ30にローカル接続してもよい。また、監視端末装置10は、複数の自動分析装置と接続してもよい。
【0031】
ここで、監視端末装置10から管理サーバ30に送信する自動分析装置20の状態情報の優先度について、図2,3を参照して説明する。図2は、本発明の実施の形態にかかる優先度管理テーブルにおける優先度設定テーブルを示す模式図である。図2に示す優先度設定テーブルT1は、管理サーバ30に送信する状態情報の優先度と、優先度に対応した優先値とを設定することができる。優先値は、優先度における優先性が低くなるにつれて、値が大きくなるように設定される。優先度設定テーブルT1において設定された優先値は、監視端末装置10が、自動分析装置20から状態情報を受信した場合に、送信制御部18が行なう遅延時間の算出に用いられる。なお、優先度が最優先である場合は、遅延時間の算出は行わずに管理サーバ30に送信されるため、優先値は設定されていない。また、優先度および優先値は、任意に設定が可能であり、各優先度が複数の優先値を有してもよく、優先値が浮動的な値でもよい。
【0032】
また、図3は、図2に示す優先度設定テーブルをもとに、各状態情報と、管理サーバ30に送信する優先度との優先度対応テーブルの一例を示す模式図である。図3に示す優先度対応テーブルT2は、警報番号に対応した優先度を示しており、監視端末装置10が自動分析装置20から状態情報を受信した場合に、制御部11が優先度対応テーブルT2を参照して、受信した状態情報の優先度を確認し、送信制御部18がこの優先度を用いて、遅延時間の算出を行なう。なお、優先度対応テーブルT2は、状態情報のカテゴリ毎に分けて優先度対応テーブルを作成してもよく、すべての状態情報を包括した優先度対応テーブルとしてもよい。
【0033】
つぎに、管理サーバ30の負荷情報について、図4,5を参照して説明する。図4は、処理時間比と負荷係数とを管理する負荷情報テーブルを示す図であり、図5は、図4に示す負荷情報テーブルに対応したグラフを示す図である。図4に示す負荷情報テーブルT3は、管理サーバ30にかかる負荷が低い状態で処理された場合の状態情報の基準処理時間を、直前に処理した状態情報の処理時間で除算して算出される負荷値としての処理時間比と、処理時間比に対応して設定される負荷係数とを管理する。管理サーバ30から直前に処理した状態情報の処理開始時間と処理終了時間とを受信すると、負荷情報算出部19は、管理サーバ30が直前に処理した状態情報の処理時間を算出し、基本処理時間と除算することで得られた処理時間比を、図4に示す負荷情報テーブルT3を参照して負荷係数を決定する。得られた処理時間比が、1を下回る場合は、基準処理時間と比して、時間を要して処理されたこととなるため、管理サーバ30に負荷がかかっていると判断でき、負荷係数を用いて、遅延時間を算出する。なお、除算した結果得られた処理時間比が1以上である場合は、管理サーバ30が通常行う処理と比して負荷がかかっていないことから、負荷係数は0となり、送信制御部18が算出する遅延時間も0となる。また、処理時間比と負荷係数とを、図5に示すような負荷情報グラフとして設定・管理してもよく、この場合、送信制御部18は、算出した処理時間比をもとに、負荷情報グラフを参照して負荷係数を決定する。
【0034】
なお、管理サーバの30の負荷情報は、送信制御部18が、管理サーバ30から直前に処理した状態情報の処理開始時間および処理終了時間を受信して処理時間を算出後、該当する状態情報の情報量を処理時間で除算することによって、単位時間に処理した情報量を算出して、算出された単位時間に処理した情報量を負荷情報としてもよい。ここで、基準処理情報量として、通常、管理サーバ30が処理可能な情報量を設定し、算出された単位時間に処理した情報量と比較することによって管理サーバ30の負荷状態を判断してもよい。
【0035】
ここで、監視端末装置10が行なう自動分析装置20の状態情報の受付処理について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態にかかる状態情報受付処理を示すフローチャートである。まず、図1に示す自動分析装置20から状態情報を受信すると(ステップS102)、制御部11は、受信した状態情報が管理サーバ30に送信すべき情報であるか否かを判断する(ステップS104)。受信した状態情報が管理サーバ30に送信する情報である場合(ステップS104:Yes)、制御部11は、優先度管理テーブル17を参照して、受信した状態情報の優先度が最優先に設定されるか否かを判断する(ステップS106)。受信した状態情報が、最優先に設定されない場合(ステップS106:No)、受信した状態情報に、該当する優先度の情報を付加して、ステップS110に移行して、受信した状態情報を一時保存領域16に格納する。また、受信した状態情報の優先度が、最優先に設定される場合(ステップS106:Yes)、制御部11は、受信した状態情報に割り込みして送信する旨の情報を付加し(ステップS108)、ステップS110に移行して状態情報を一時保存領域16に格納する。その後、制御部11は、新たな状態情報があるか否かを確認し(ステップS112)、新たな状態情報がある場合(ステップS112:Yes)、ステップS104に移行して、受信した新たな状態情報に対して上述した処理を繰り返す。また、新たな状態情報がない場合(ステップS112:No)、制御部11は、状態情報受付処理を終了する。
【0036】
なお、ステップS104において、管理サーバ30に送信すべき情報でない場合(ステップS104:No)、制御部11は、ステップS102に移行して自動分析装置20からの新たな状態情報の受信に備え、待機する。また、ステップS108における割込送信では、最優先である旨の情報の付加に加え、一時保存領域16の先頭に格納するように設定されることが好ましい。
【0037】
また、監視端末装置10が行なう自動分析装置20の状態情報の送信処理について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる状態情報送信処理を示すフローチャートである。まず、送信制御部18は、一時保存領域16に状態情報があるか否かを確認する(ステップS202)。一時保存領域16に状態情報がある場合(ステップS202:Yes)、送信制御部18は、管理サーバ30への状態情報の送信が初回か否かを判断し、初回である場合(ステップS204:Yes)、ステップS212へ移行し、管理サーバ30に状態情報を送信する。また、状態情報の送信が初回ではなく(ステップS204:No)、状態情報の優先度が最優先に設定されている場合(ステップS206:Yes)においても送信制御部18は、ステップS212に移行して管理サーバ30に状態情報を送信する。管理サーバに状態情報を送信後、送信制御部18は、管理サーバ30から負荷情報を受信したか否かを判断する(ステップS214)。ここで、管理サーバ30からの負荷情報を受信していない場合(ステップS214:No)、負荷情報の受信が完了するまで待機し、負荷情報の受信が完了すると(ステップS214:Yes)、受信した負荷情報を記憶部15に格納し、ステップS216に移行して新たな状態情報が一時保存領域16にあるか否かを確認する。その後、新たな状態情報がある場合(ステップS216:Yes)、ステップS204に移行して上述した処理を繰り返し、新たな状態情報がない場合(ステップS216:No)、送信制御部18は、状態情報送信処理を終了する。
【0038】
ここで、ステップS206において、状態情報の優先度が最優先に設定されない場合(ステップS206:No)、送信制御部18は、遅延時間の計算を行なう(ステップS208)。遅延時間は、送信制御部18が、管理サーバ30が通常処理に要する時間をもとに設定される遅延単位時間と、上述した優先値および負荷係数とを乗算することによって算出される。遅延単位時間は、任意に設定可能であり、たとえば、30(秒)に設定され、この遅延単位時間に優先値および負荷係数を乗算することによって、優先度と管理サーバ30の負荷状況とに適した遅延時間が得られる。遅延時間が算出されると、送信制御部18は、状態情報を算出された遅延時間待機させ(ステップS210)、遅延時間経過後、管理サーバ30に送信する(ステップS212)。上述した処理を繰り返すことによって、管理サーバ30の負荷状況を確認しつつ、管理サーバ30への状態情報の送信を優先度に応じて送信制御することができる。
【0039】
なお、送信制御部18が行なう遅延時間の算出において、監視端末装置10の一時保存領域16の空容量を考慮してもよい。図8は、空容量比と空容量係数とを管理する空容量情報テーブルを示す図である。図8に示す空容量情報テーブルT4は、一時保存領域16の空容量を、一時保存領域16の全容量で除算した空容量比と、空容量比に対応して設定される空容量係数とが管理される。送信制御部18は、得られた空容量係数を上述した遅延時間に乗算し、監視端末装置10の空容量を考慮した遅延時間を算出することができる。また、図9に示すようなグラフを用いて空容量比と空容量係数とを管理してもよい。図9は、図8に示す空容量情報テーブルに対応した空容量情報グラフを示す図であり、送信制御部18が、算出して得られた空容量比をもとに、空容量情報グラフを参照して空容量係数を決定してもよい。
【0040】
また、送信制御部18が受信する管理サーバ30の負荷情報において、管理サーバ30が図4に示す処理時間比または負荷係数を算出し、負荷情報または負荷係数として監視端末装置10に送信するようにしてもよい。図10は、図1に示す管理システムの変形例を示す模式図である。図10に示す管理システム1は、管理サーバ30が負荷情報算出部36を有し、負荷情報算出部36が処理時間比を算出して、記憶部35に記憶された処理時間比と負荷係数との関係テーブルを参照して負荷係数を決定し、監視端末装置10に送信してもよく、負荷情報算出部36で算出された処理時間比を負荷情報として監視端末装置10に送信してもよい。
【0041】
上述した実施の形態にかかる管理システムによって、自動分析装置の状態情報に対応する優先度と、管理サーバの負荷情報とをもとに遅延時間を算出して、送信を制御することによって、管理サーバにかかる負荷を軽減しつつ、緊急性のある状態情報を優先して送信することができる。また、管理サーバの負荷状態を確認しながら監視端末装置と管理サーバとの間の情報の送受信を行なうため、再送信処理がなく無駄な送受信を抑制することができる。さらに、監視端末装置の一時保存領域の空容量情報を遅延時間の算出に加えることによって、管理システム内での処理状況を一層考慮した送受信を行なうことが可能となる。
【0042】
また、上述した実施の形態に限らず、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動分析装置の管理システムの構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる優先度管理テーブルにおける優先度設定テーブルを示す図である。
【図3】各状態情報と、管理サーバに送信する優先度との優先度対応テーブルの一例を示す図である。
【図4】処理時間比と負荷係数とを管理する負荷情報テーブルを示す図である。
【図5】図4に示す負荷情報テーブルに対応した負荷情報グラフを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる状態情報受信処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態にかかる状態情報送信処理を示すフローチャートである。
【図8】空容量比と空容量係数とを管理する空容量情報テーブルを示す図である。
【図9】図8に示す空容量情報テーブルに対応した空容量情報グラフを示す図である。
【図10】図1に示す管理システムの変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 管理システム
10 監視端末装置
11,31 制御部
12,32 入力部
13,33 出力部
14,34 送受信部
15,35 記憶部
16 一時保存領域
17 優先度管理テーブル
18 送信制御部
19,36 負荷情報算出部
20 自動分析装置
30 管理サーバ
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置であって、
前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、
前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷情報を受信する受信手段と、
前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする監視端末装置。
【請求項2】
前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷情報に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の監視端末装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間を受信し、
前記処理開始時間と処理終了時間との差分により前記管理装置が処理した処理時間を算出し、該処理時間と前記管理装置の円滑処理が可能な基準処理時間との比を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の監視端末装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間とを受信し、
前記管理装置が処理した状態情報の情報量と前記処理開始時間と前記処理終了時間とをもとに単位処理時間に処理した情報量を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の監視端末装置。
【請求項5】
前記送信制御手段は、前記負荷情報が示す負荷値が基準負荷値を下回る場合に前記送信時期を遅延させる制御を行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の監視端末装置。
【請求項6】
前記送信制御手段は、前記優先度および前記負荷情報に応じて各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、一時保存領域の空容量係数に応じて、前記遅延時間を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の監視端末装置。
【請求項7】
前記空容量係数は、一時保存領域の空容量と前記一時保存領域の全容量との比をもとに決定されることを特徴とする請求項6に記載の監視端末装置。
【請求項8】
検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置であって、
前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、
前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷係数を受信する受信手段と、
前記負荷係数および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする監視端末装置。
【請求項9】
前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷係数に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする請求項8に記載の監視端末装置。
【請求項10】
前記送信制御手段は、前記優先度および前記負荷係数に応じて各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、一時保存領域の空容量係数に応じて、前記遅延時間を算出することを特徴とする請求項8または9に記載の監視端末装置。
【請求項11】
前記空容量係数は、一時保存領域の空容量と前記一時保存領域の全容量との比をもとに決定されることを特徴とする請求項10に記載の監視端末装置。
【請求項12】
検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置を有する管理システムであって、
前記監視端末装置は、
前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、
前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷情報を受信する受信手段と、
前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする管理システム。
【請求項13】
前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷情報に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間を受信し、
前記処理開始時間と処理終了時間との差分により前記管理装置が処理した処理時間を算出し、該処理時間と前記管理装置の円滑処理が可能な基準処理時間との比を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の管理システム。
【請求項15】
前記受信手段は、前回以前に送信した複数の状態情報の処理開始時間と処理終了時間とを受信し、
前記管理装置が処理した状態情報の情報量と前記処理開始時間と前記処理終了時間とをもとに単位処理時間に処理した情報量を前記負荷情報として算出する負荷情報算出手段を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の管理システム。
【請求項16】
検体に対する分析を行う自動分析装置を監視し、ネットワークに接続された管理装置に対して前記自動分析装置から出力された状態情報を、該ネットワークを介して送信する監視端末装置を有する管理システムであって、
前記監視端末装置は、
前記自動分析装置から出力された複数の状態情報を受信するとともに、各状態情報の優先度を管理する優先度管理手段と、
前回以前に送信した複数の状態情報に対する前記管理装置の処理負荷に関する情報である負荷係数を受信する受信手段と、
前記負荷情報および前記管理装置に送信すべき各状態情報の優先度をもとに各状態情報の送信時期をそれぞれ遅延させて送信する送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする管理システム。
【請求項17】
前記送信制御手段は、優先度が低くなる順序で各状態情報の送信時期を遅らせるとともに、前記負荷係数に応じて各送信遅延時間を算出することを特徴とする請求項16に記載の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−190688(P2010−190688A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34523(P2009−34523)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】