説明

監視装置、方法及びプログラム

【課題】監視装置によって予め管理対象とされていないネットワーク接続機器であっても、リモート監視の対象とすることができるようにすること。
【解決手段】監視装置は、ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部と、監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出するインタフェース検出部と、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを抽出する構成情報抽出部と、抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する可視化部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続機器の監視装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチやルータといったネットワーク接続機器を管理するための監視装置が知られている(例えば、特許文献1)。監視装置は、各機器のフロントパネル上のポートやLED等の実装状態をそっくりそのままグラフィック化し、各機器に対する操作をグラフィック画面上から行うためのGUIを提供する。監視装置によると、離れた場所に設置された機器をあたかも眼前に存在するかのように表示することができ、直感的かつ分かりやすい機器のリモート(遠隔)監視を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−161587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0005】
ネットワーク接続機器に対する監視装置を開発する際、従来は、個々の対象機器に特化した監視装置の開発が行われてきた。しかし、現在では、多くのベンダから様々な機器が出荷され、各機器のライフサイクルも短いことから、監視装置の開発及び保守の効率が悪い。また、予め監視装置によって管理対象とされている機器以外のものについては、監視装置による管理対象とすることができないという問題もある。さらに、スタック接続されたスイッチなどのポート数の多い機器に対して監視装置がSNMPプロトコルなどを使って各ポート情報を取得する場合に、多量のトラフィックを必要とするという問題もある。
【0006】
そこで、予め監視対象とされていないネットワーク接続機器であっても、リモート監視の対象とすることが課題となる。本発明の目的は、かかる課題を解決する監視装置、監視方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点に係る監視装置は、ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部と、監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出するインタフェース検出部と、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを記憶部から抽出する構成情報抽出部と、抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて前記監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する可視化部と、を備えている。
【0008】
本発明の第2の視点に係る監視方法は、監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出する工程と、ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部を参照し、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが前記記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを記憶部から抽出する工程と、抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する工程と、を含む。
【0009】
本発明の第3の視点に係るプログラムは、監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出する処理と、ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部を参照し、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを記憶部から抽出する処理と、抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る監視装置、監視方法及びプログラムによると、予め管理対象とされていないネットワーク接続機器であっても、リモート監視の対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る監視装置を備えたネットワーク監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るカスタマイズ装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるネットワーク接続機器のインタフェース構成を一例として示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるカスタマイズデータを一例として示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における構成情報ファイルを一例として示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるダイアログ表示を一例として示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るプログラムを実行するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の展開形態の監視装置は、上記第1の視点に係る監視装置であることが好ましい。かかる監視装置によると、かかる監視装置によると、予め監視対象とされていなかったネットワーク接続機器であっても、リモート監視の対象とすることができる。監視下に置かれたネットワーク接続機器と同一の機種に対する構成情報ファイルが記録されていない場合には、監視装置は、同一のベンダの異なる機種に対する構成情報ファイルを利用して、ネットワークインタフェースの稼動状況を可視化するからである。
【0013】
第2の展開形態の監視装置は、次の監視装置であることが好ましい。すなわち、構成情報抽出部は、検出された識別子を含む構成情報ファイルが記憶部に記録されていない場合において、該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを複数抽出したときには、監視対象機器から検出されたネットワークインタフェース構成と最も類似するネットワークインタフェース構成を含む構成情報ファイルを該複数の構成情報ファイルの中から選択する。
【0014】
第3の展開形態の監視装置は、次の監視装置であることが好ましい。すなわち、構成情報抽出部は、検出された識別子を含む構成情報ファイルが記憶部に記録されていない場合において、検出された識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを記憶部から抽出したときには、検出された識別子と抽出した構成情報ファイルに含まれるネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを記憶部に記録する。
【0015】
第4の展開形態の監視装置は、記憶部が、ネットワーク接続機器の機種に依存しない汎用のネットワークインタフェース構成を含む汎用構成情報ファイルをさらに記録し、構成情報抽出部が、検出された識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルが記憶部に記録されていな場合には、汎用構成情報ファイルを記憶部から抽出することが好ましい。
【0016】
第5の展開形態の監視装置は、インタフェース検出部が、検出した稼働状況に基づいて、障害が発生したネットワークインタフェースに対しては障害から回復するまで稼働状況の検出を行わないことが好ましい。
【0017】
第6の展開形態の監視方法は、上記第2の視点に係る監視方法であることが好ましい。
【0018】
第7の展開形態のプログラムは、上記第3の視点に係るプログラムであることが好ましい。
【0019】
図9は、上記監視装置を、コンピュータによって実現する場合におけるコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。図9を参照すると、コンピュータ70は、CPU71、メモリ72、ハードディスク73、入力装置74、及び出力装置75を備えている。
【0020】
これらの各部は、バスラインに接続されていてもよい。入力装置74は、マウス及びキーボードを含んでいてもよい。出力装置75は、ディスプレイを有し、上記の可視化において用いられるようにしてもよい。ハードディスク73は、プログラム、構成情報ファイル、及び、汎用構成情報ファイルを記憶するようにしてもよい。CPU71は、上記監視装置の各部における処理を実行することが好ましい。
【0021】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態に係る監視装置を備えたネットワーク監視システムについて図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の監視装置10を備えたネットワーク監視システムの構成を示すブロック図である。図1を参照すると、ネットワーク監視システムは、監視装置10及びカスタマイズ装置20を有する。ネットワーク接続機器30は、監視装置10の監視下に置かれている。
【0022】
カスタマイズ装置20は、ネットワーク接続機器30に固有のカスタマイズデータに基づいて、構成情報ファイル40を生成する。カスタマイズデータは、開発者によって定義される。
【0023】
図2は、本実施形態に係る監視装置10の詳細な構成を示すブロック図である。図2を参照すると、監視装置10は、記憶部11、管理プロトコル通信部15、インタフェース検出部12、構成情報抽出部13、GUI−IF部16、及び、可視化部14を備えている。
【0024】
構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40に基づいて、ネットワーク接続機器30に固有のデータを解析する。
【0025】
インタフェース検出部12は、構成情報ファイル40のインタフェース構成情報(図7のA)と、管理プロトコル通信部15によってネットワーク接続機器30から取得した情報とに基づいて、ネットワーク接続機器30がどのようなインタフェースで構成されているかを検出する。
【0026】
記憶部11は、構成情報ファイル40及び汎用構成情報ファイル41を記録する。
【0027】
可視化部14は、構成情報ファイル40中のメニュー・ダイアログ情報(図7のC)と、管理プロトコル通信部15によってネットワーク接続機器30から取得された情報に基づいてGUIを生成するとともに可視化する。
【0028】
構成情報抽出部13は、ネットワーク接続機器30からベンダ識別子を取得して、構成情報ファイル40を特定する。ベンダ識別子は、ネットワーク接続機器30によって保持されている、各機器の機種を識別する識別子である。構成情報抽出部13は、該当する構成情報ファイル40がない場合には、ネットワーク接続機器と同一のベンダに対する構成情報ファイル40が存在するか否かを検索する。
【0029】
構成情報抽出部13は、同一のベンダに対する構成情報ファイル40が存在する場合には、その構成情報ファイル40に基づいて、ネットワーク接続機器30と通信しつつ、インタフェース構成情報(図7のA)及びメニュー・ダイアログ情報(図7のC)を取得する。構成情報抽出部13は、ネットワーク接続機器30から取得することができたデータについては有効とみなして、新たに構成情報ファイル40を生成して、監視装置10を起動する。
【0030】
構成情報抽出部13は、同一のベンダが存在しない場合には、汎用構成情報ファイル41に基づいて、監視装置10を起動する。汎用構成情報ファイル41は、例えば、図7に示した構成情報ファイル40のフォーマットを有するとともに、各項目に対してネットワーク接続機器30の機種に依存しない情報が格納されたものとする。
【0031】
インタフェース検出部12は、特定された構成情報ファイル40のインタフェース構成情報(図7のA)において定義されているネットワーク接続機器の構成や状態を定期的にポーリングし、LED若しくはポートの構成又はLEDの色に変化があった場合には、GUI−IF部16及び可視化部14を介して、その変化をGUIに反映させる。
【0032】
インタフェース検出部12は、ダウン(故障)しているポートに対しては、次回のポーリングの際に、データの取得を一時的に中断することが好ましい。これにより、ネットワークトラフィックの増加を防ぐことができるからである。
【0033】
図5は、本発明実施形態におけるネットワーク接続機器50のインタフェース構成を一例として示す図である。
【0034】
ネットワーク接続機器50は、監視装置10によって監視対象とされる機器である。ネットワーク接続機器50は、一例として、以下の特徴を有する。
(1)管理プロトコルとして、SNMPエージェントを搭載している。
(2)インタフェースとして、24個の100BASE−Tインタフェース51、1個のSERIALインタフェース52、1個のATMインタフェース53、1個のFDDIインタフェース54を有する。
(3)2スロットの拡張スロットを有し、スロットにインタフェースボードを挿入することによって運用中に構成を変更することができる。
(4)ATMボードとFDDIボードの2種類のインタフェースボードを有する。
(5)100BASE−Tインタフェース51は、それぞれ対応するLED55を有し、通常はオレンジ色に発光し、ネットワークの状態が混雑している場合には、緑色に発光する。なお、ネットワーク接続機器50によって各インタフェースに対して一意に設定された番号(以下、「インタフェース番号」という。)は、100BASE−Tインタフェース51、シリアル(SERIAL)インタフェース52、ATMインタフェース53、FDDIインタフェース54の順に付されているものとする。
【0035】
カスタマイズ装置20は、ネットワーク接続機器50のカスタマイズデータ61(図6)に基づいて、監視装置10における構成情報ファイル40を生成する。
【0036】
(動作)
次に、本実施形態に係るカスタマイズ装置20及び監視装置10の動作について、図面を参照して説明する。
【0037】
(カスタマイズ装置の動作)
図3は、本実施形態に係るカスタマイズ装置20の動作、すなわち、カスタマイズ装置20によって構成情報ファイル40を生成する動作のフローチャートである。図3、及び、図5〜図8を参照して、カスタマイズ装置20の動作について詳細に説明する。
【0038】
図7は、本実施形態における構成情報ファイル40を一例として示す図である。図7は、図6に示したカスタマイズデータ61に基づいて、カスタマイズ装置20によって生成された構成情報ファイル40を示す。
【0039】
ネットワーク接続機器を識別するためのベンダ識別子(図7のF)を設定する(ステップS41)。
【0040】
カスタマイズ装置20は、ネットワーク接続機器のパネルをイメージしたビットマップファイル(パネルイメージビットマップファイル)を生成し、ビットマップファイル名(図7のD)を設定する(ステップS42)。
【0041】
ネットワーク接続機器50によってサポートされているMIBの定義に基づいて、インタフェース形状を識別するMIB(タイプ識別MIB(図7のA2))とインタフェース番号を識別するMIB(インタフェース番号識別MIB(図7のA4))を特定する(ステップS43)。ここで、MIB(Management Information Base)とは、SNMPプロトコルにおいて使用されるツリー構造のデータ定義のことをいう。
【0042】
位置が固定されているインタフェースを定義する(図7のA1)。本実施形態においては、100BASE−Tインタフェース51とSERIALインタフェース52が該当する。図7のA1における座標は、パネルイメージビットマップファイル上の座標であり、インタフェース番号順に列挙される。
【0043】
インタフェースのタイプを識別するため、タイプ(図7のA3)を設定する。次に、実際のインタフェースタイプ(10BASE−T等)とネットワーク接続機器が有するインタフェースタイプ識別MIBの値とを関連付ける。例えば、ATMインタフェースのインタフェース識別MIBの値が“1”である場合には、“ATM:1“とする。インタフェースタイプは、カスタマイズ装置20によって選択することができる。
【0044】
インタフェースの拡張用ボードの構成を設定する。ネットワーク接続機器50によってサポートされているMIBの定義に基づいて、ボードのタイプを識別するMIB(図7のA6)とボードの番号を識別するMIB(図7のA5)を特定する。
【0045】
ボートタイプ(図7のA6)として、図7のA3の値と、インタフェースのタイプと、パネルイメージビットマップファイル上におけるボードの位置を原点としたそのインタフェースの座標を順に列挙する。
【0046】
次に、ボードの位置(図7のA7)を設定する。パネルイメージビットマップファイル上においてボードを表示する座標を設定する。
【0047】
次に、メニューを定義し(ステップS44)、表示情報定義とメニューとのリンクを行う(ステップS45)。メニューを設定し、ダイアログの表示内容を設定する。メニュー名、ニーモニック、及びダイアログIDを設定する(図7のC1)。ダイアログIDは、いずれのダイアログを表示するかを識別する識別子である。
【0048】
ダイアログのタイトルと表示内容を設定する。ラベル名(項目内容)と表示するMIB名を設定する(図7のC2)。例えば、図8(A)のようなダイアログを表示する場合には、カスタマイズ装置20は、構成情報ファイル40として、図8(B)のようなデータを生成する。
【0049】
LED情報を定義する(ステップS46)。パネルイメージビットマップファイル上におけるLEDの座標をLEDの番号(インデックス)順に列挙する(図7のB1)。さらに、LEDビットマップファイル名(図7のB2)を設定する。
【0050】
ネットワーク接続機器50によってサポートされているMIBの定義に基づいて、LEDの番号を識別するMIB(図7のB3)を特定する。この値は、ポーリング情報に基づいてLEDの状態を取得する場合に、どのLEDであるのかを特定するために用いられる。
【0051】
ポーリング情報を定義する(ステップS47)。ポーリングする対象のMIBを指定する。本実施形態においては、インタフェース及びLEDの状態をポーリングする場合の設定について説明する。
【0052】
インタフェースの状態を設定する場合には、図7のE1において、インタフェースの状態を識別するMIBを設定する。インタフェースの状態として、例えば、インタフェースのUP/DOWN状態(物理的に特定のインタフェースが接続可能な状態(UP)であるか、不可能な状態(DOWN)であるかを表す。)がある。次に、図7のE2において、インタフェース状態を識別するMIBの値と色とを対応付ける。例えば、インタフェースのUP/DOWN状態のポーリングにおいて、UP状態のインタフェースの色を黒、DOWN状態のインタフェースの色を赤に設定する。監視装置10は、インタフェースが何らかの原因によってDOWN状態となった場合には、ポーリング時に検出して、そのインタフェースビットマップを赤色に表示する。利用者は、GUI画面を介してインタフェースの状態を視認することができる。
【0053】
LEDの状態に関しても、インタフェースの状態と同様に設定する。本実施形態においては、LEDを備えたインタフェースにおけるネットワークの混雑状態を識別するMIB(図7のE3)を設定する。ネットワークが正常な状態におけるMIBの値及びLEDの色をオレンジ色に設定し、ネットワークが混雑した状態におけるMIBの値及びLEDの色を緑色に設定する(図7のE4)。このとき、監視装置10は、ネットワークが混雑した状態のインタフェースを、GUI画面に対して可視化することができる。
【0054】
(監視装置の動作)
図4は、本実施形態に係る監視装置10の動作を示すフローチャートである。ここでは、カスタマイズ装置20によって生成された構成情報ファイル40(図7)と監視装置10の動作との関係についても詳述する。
【0055】
管理プロトコル通信部15は、ネットワーク接続機器30よりベンダ識別子を取得する(ステップS51)。構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40に記録されたベンダ識別子(図7のF)のうち、取得したベンダ識別子と一致するものが有るか否かを判定する(ステップS52)。
【0056】
ベンダ識別子は、「1.3.4.5.6」のように数値とドット「.」で表記され、前半部分はネットワーク接続機器30のベンダを定義する識別子(以下、「狭義のベンダ識別子」という)であり、後半部分は機種を定義する識別子(以下、「機種識別子」という)で構成される。構成情報抽出部13は、一例として、狭義のベンダ識別子を検索した後、機種識別子をドット単位で検索する。
【0057】
ベンダ識別子が完全に一致するものが検出された場合には(ステップS52のYes)、構成情報抽出部13は、かかるベンダ識別子が記録された構成情報ファイル40を読み込む(ステップS55)。
【0058】
ベンダ識別子が完全に一致するものが検出されない場合において(ステップS52のNo)、「狭義のベンダ識別子」が一致するものが検出されたときには(ステップS53のYes)、構成情報抽出部13は、「機種識別子」についてドット単位で検索し、最もマッチしたベンダ識別子が記録された対象構成情報ファイル40を特定する(ステップS54)。
【0059】
同一ベンダに対する構成情報ファイル40が複数存在する場合には(ステップS53のYes)、対象の構成情報ファイル40の絞込みを行う(ステップS54)。一例として、実際にネットワーク接続機器30から構成情報ファイル40のインタフェース情報(図7のA)を取得することによって絞り込みを行う。次に、実際にネットワーク接続機器30から、構成情報ファイル40におけるLED構成情報(図7のB)、及びメニュー・ダイアログの情報(図7のC)を取得する。ここで、ネットワーク接続機器30から取得することができない情報については削除して、取得することができた情報のみに基づいて、新規に、ネットワーク接続機器30に対する専用の構成情報ファイル40を生成する(ステップS54)。
【0060】
「狭義のベンダ識別子」にマッチするものがない場合には(ステップS53のNo)、構成情報抽出部13は、予め用意された汎用構成情報ファイルを読み込む(ステップS56)。
【0061】
GUI−IF部16は、読み込んだ構成情報ファイル40を参照して、構成情報ファイル40のパネルイメージビットマップファイル(図7のD)を取得し、指定されたビットマップファイルを読み込む(ステップS57)。
【0062】
インタフェース検出部12は、構成情報抽出部13によって読み込まれた構成情報ファイル40と管理プロトコル通信部15によって取得されたネットワーク接続機器取得データに基づいて、インタフェースを自動検出する(ステップS58)。以下に、インタフェース検出部12による処理を示す。
【0063】
ネットワーク接続機器30からタイプ識別MIB(図7のA2)を取得する。取得されるデータは、ネットワーク接続機器30に現在実装されたインタフェースの数だけあり、インタフェースの形状を識別する情報を含んだリストである(インタフェース番号順に昇順となっている。)。これによって、インタフェースの数を判断することができる。
【0064】
ネットワーク接続機器30からインタフェース番号MIB(図7のA4)を取得する。取得されるデータは、タイプ識別MIBと順に対応している、各インタフェースに固有の番号のリストである。これによって、各インタフェースを一意に識別することができる。
【0065】
タイプ(図7のA3)の情報を読みこむ。タイプ識別MIBによって取得された値には、各ベンダによって定義されたものが含まれる。ここでは、タイプ識別MIBによって取得された値と読み込まれた上記の情報に基づいて、各インタフェースの形状を判断する。これによって、各インタフェースの形状を判断することができる。
【0066】
位置(図7のA1)情報を読み込む。この情報には、固定インタフェースの位置がインタフェース番号順に設定されているため、データがある限り座標の決定を続ける。本実施形態の場合には、この時点において、24個の100BASE−Tインタフェース51及び1個のシリアルインタフェース52のタイプ及び位置が決定される。
【0067】
ネットワーク接続機器30からボードタイプ識別MIB(図7のA6)を取得する。取得されるデータは、ネットワーク接続機器30に現在実装されているボードの数だけあり、ボードのタイプを識別する情報を含んだリストである。本実施形態の場合には、ATMインタフェース53とFDDIインタフェース54のボードのタイプが格納されている。これによって、実装されているボードの個数及びタイプを判断することができる。
【0068】
ネットワーク接続機器30からボード番号識別MIB(図7のA5)を取得する。取得されるデータは、ボードタイプ識別MIBと順に対応している、各ボード固有の番号のリストである。これによって、実装されているボードを一意に識別することができる。
【0069】
ボード位置(図7のA7)情報を読み込む。この情報には、指定のボード番号がパネルビットマップ上のどの位置にあるかが設定されているので、取得したボード番号MIBの値とボードタイプ識別MIBの値に基づいて、どのボードがどの位置にあるかを判断することができる。
【0070】
ボードタイプ(図7のA6)情報を読み込む。この情報には、どのボードタイプにどのインタフェースが実装されているか、及び、ボードを原点としてどの位置にあるかが設定されている。ボード位置及びタイプは既知であることから、ボードに実装されているンタフェースの位置及びタイプを判断することができる。
【0071】
ネットワーク接続機器30から番号識別MIB(図7のB3)を取得する。取得されるデータは、ネットワーク接続機器30に現在実装されているLEDの数だけあり、ネットワーク接続機器30において、一意かつ昇順に並べられたLED番号のリストである。これによって、LEDの数を判断することができる。
【0072】
位置(図7のB1)情報を読み込む。この情報には、LEDの位置情報が昇順に列挙されており、パネルビットマップ上における各LEDの位置を判断することができる。
【0073】
ビットマップ(図7のB2)の情報を読み込む。この情報によると、表示すべきLEDに対するビットマップファイル名を判断することができる。なお、インタフェースのビットマップは、汎用構成情報ファイル41においてGUI汎用データとして予め登録されたものを使用する。
【0074】
インタフェース検出部12は、以上の手順にしたがって、インタフェースの自動検出を行う(ステップS58)。
【0075】
構成情報抽出部13は、前回の終了時に構成情報ファイル40へ書き込まれたGUI保存データと今回の起動時においてインタフェース検出部12によって検出されたインタフェースの構成とが同一であるか否かを判定する(ステップS59)。監視装置10の初回の起動時においては、GUI保存データが無いため(ステップS59のNo)、ステップS61の処理へ進む。
【0076】
インタフェースの構成が前回の起動時と同一である場合には(ステップS59のYes)、構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40におけるGUI保存データに含まれるインタフェース構成情報(インタフェースタイプ、パネルウィンドウ上の座標など)を読み込む(ステップS60)。構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40のGUI保存データに基づいてGUI表示をするためのインタフェース情報をGUI−IF部16へ設定する(ステップS62)。このときのインタフェース構成は、監視装置10を前回起動したときと同様のインタフェース構成である。
【0077】
それ以外の場合には(ステップS59のNo)、構成情報抽出部13は、インタフェース自動検出処理(ステップS58)によるデータに基づいてGUI表示をするためのインタフェース情報をGUI−IF部16へ設定する(ステップS61)。
【0078】
次に、構成情報抽出部13は、前回の終了時に構成情報ファイル40へ書き込まれたGUI保存データと今回の起動時においてインタフェース検出部12よって検出されたLEDの構成と同一であるか否かを判定する(ステップS63)。監視装置10の初回の起動時においては、GUI保存データが無いため(ステップS63のNo)、ステップS65の処理へ進む。
【0079】
LEDの構成が前回の起動時と同一である場合には(ステップS63のYes)、構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40におけるGUI保存データに含まれるLED情報(LEDのビットマップファイル名、パネル画面上の座標など)を読み込む(ステップS64)。構成情報抽出部13は、構成情報ファイル40のGUI保存データに基づいてGUI表示をするためのLED情報をGUI−IF部16へ設定する(ステップS66)。このときのLED構成は、監視装置10を前回起動したときと同様のLED構成である。
【0080】
それ以外の場合には(ステップS63のNo)、構成情報抽出部13は、インタフェース自動検出処理(ステップS58)によるデータに基づいてGUIに表示をするためのLED情報をGUI−IF部16へ設定する(ステップS65)。
【0081】
可視化部14は、パネルウィンドウを表示する(ステップS67)。ここでは、メニュー及びダイアログを生成する際の動作について説明する。
【0082】
メニュー名(図7のC1)の情報を読み込む。ここでは、メニュー名、ニーモニック、表示するダイアログを識別するダイアログIDを設定している。これにより、メニューを作成し、選択された場合、どのダイアログを表示するかを判断できる。
【0083】
ダイアログ(図7のC2)の情報を読み込む。この情報には、表示されるダイアログの内容が設定されており、表示されるラベル名、及びネットワーク接続機器30から取得されるMIB名が設定されている。これによって、表示されるダイアログの内容を判断することができる。また、パネルイメージビットマップの読み込み(ステップS57)及び自動検出処理(ステップS58)に基づいて、GUI−IF部16は、GUI構成データを生成する。可視化部14は、インタフェース情報、LED情報、及びパネルイメージビットマップをパネルウィンドウに設定して可視化する。
【0084】
インタフェース検出部12は、構成情報ファイル40のポーリング情報(図7のE)を取得して、ポーリングを行う(ステップS70)。
【0085】
ネットワーク接続機器30からインタフェース状態識別MIB(図7のE1)を取得する。取得されるデータは、ネットワーク接続機器30に現在実装されているインタフェースの状態を、その番号順に昇順に並べたリストである。
【0086】
インタフェース状態色(図7のE2)の情報を読み込む。この情報においては、インタフェース状態識別MIBによって取得された値とパネルウィンドウに表示されるインタフェースビットマップファイルの色とが対応付けられている。したがって、表示されるインタフェースビットマップファイルの色を判断することができる。
【0087】
LED状態識別MIB(図7のE3)、及び、LED状態色(図7のE4)についても、インタフェース状態MIBの場合と同様にして読み込まれる。なお、インタフェース検出部12は、ダウン(故障)しているポートに関しては、次回のポーリングにおいて、そのポートに対するインタフェース情報、及びLED情報の取得を行わない。これによって、トラフィックを削減することができる。
【0088】
また、監視装置10を開発する際に、カスタマイズ装置20を用いることによって、ネットワーク接続機器を分析した情報を容易に設定することができる。
【0089】
さらに、カスタマイズ装置20によって生成された構成情報ファイル40を使用することによって、複数の種類のネットワーク接続機器30が存在する場合であっても、共通の構成要素(すなわち、管理プロトコル通信部15、インタフェース検出部12、構成情報抽出部13、GUI−IF部16、及び可視化部14)によって監視装置10を構成することができる。
【0090】
(効果)
本実施形態の監視装置10によると、予め管理対象とされていなかったネットワーク接続機器30であっても管理対象とすることができる。本実施形態の監視装置10によると、以前に蓄積された同一のベンダの構成情報ファイル40、及び、新たにネットワーク接続機器30から取得した情報に基づいて、そのネットワーク接続機器30に対する専用の構成情報ファイル40を構成することができるからである。
【0091】
また、汎用構成情報ファイル41を用いることによって、同一のベンダに対する構成情報ファイル40が記憶部11に記録されていない場合であっても、監視装置10による管理対象とすることができる。
【0092】
また、本実施形態の監視装置10によると、定期的にポート又はLED情報を取得する際のネットワークトラフィックを削減することができる。監視装置10は、前回の情報取得時に、ポートがダウンしているネットワーク接続機器に対する情報収集を一時的に中断するからである。したがって、監視装置10によると、特に、多数のポートが実装されたスタック状のスイッチの場合には、トラフィックを削減することができる。
【0093】
さらに、カスタマイズ装置20を用いて構成情報ファイル40を生成するだけで、新たなネットワーク接続機器30に対する監視装置10を開発することができる。したがって、監視装置10の開発における生産性が向上し、特に、ライフサイクルが短いネットワーク接続機器に対する監視装置を開発する場合に、監視装置の開発コストを削減することができる。また、監視装置10の構成要素は、記憶部11に記録される構成情報ファイルを除いて、ネットワーク接続機器に依らず、共通化することができる。したがって、監視装置10の保守も負担も軽減される。
【0094】
(実施形態2)
実施形態1においては、ネットワーク接続機器30が構成情報ファイル40に存在しない場合には、より近い構成を備えた構成情報ファイル40を参照して、新規に構成情報ファイル40を生成し、パネルウィンドウを起動する。このとき、ネットワーク接続機器の実物とGUIに表示されたものとの間で、背景のイメージ、又は、ポート構成が異なる場合が生じ得る。
【0095】
そこで、背景のビットマップを変更する機能、及び、GUIを介してポートをドラッグアンドドロップする機能を追加して、利用者がカスタマイズできるようにすることが好ましい。これらの機能によると、利用者は、より実際のネットワーク接続機器に近いイメージのパネルウィンドウに基づいて、ネットワーク接続機器を監視することができる。
【0096】
以上の記載は実施形態に基づいて行ったが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0097】
10 監視装置
11 記憶部
12 インタフェース検出部
13 構成情報抽出部
14 可視化部
15 管理プロトコル通信部
16 GUI−IF部
20 カスタマイズ装置
30、50 ネットワーク接続機器
40 構成情報ファイル
41 汎用構成情報ファイル
51 100BASE−Tインタフェース
52 シリアル(SERIAL)インタフェース
53 ATMインタフェース
54 FDDIインタフェース
55 LED(発光ダイオード)
61 カスタマイズデータ
70 コンピュータ
71 CPU
72 メモリ
73 ハードディスク
74 入力装置
75 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部と、
監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出するインタフェース検出部と、
検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが前記記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを前記記憶部から抽出する構成情報抽出部と、
抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて前記監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する可視化部と、を備えていることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記構成情報抽出部は、検出された識別子を含む構成情報ファイルが前記記憶部に記録されていない場合において、該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを複数抽出したときには、前記監視対象機器から検出されたネットワークインタフェース構成と最も類似するネットワークインタフェース構成を含む構成情報ファイルを該複数の構成情報ファイルの中から選択することを特徴とする、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記構成情報抽出部は、検出された識別子を含む構成情報ファイルが前記記憶部に記録されていない場合において、検出された識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを前記記憶部から抽出したときには、検出された識別子と抽出した構成情報ファイルに含まれるネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを前記記憶部に記録することを特徴とする、請求項1に記載の監視装置。
【請求項4】
前記記憶部は、ネットワーク接続機器の機種に依存しない汎用のネットワークインタフェース構成を含む汎用構成情報ファイルをさらに記録し、
前記構成情報抽出部は、検出された識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルが前記記憶部に記録されていな場合には、前記汎用構成情報ファイルを前記記憶部から抽出することを特徴とする、請求項1に記載の監視装置。
【請求項5】
前記インタフェース検出部は、検出した稼働状況に基づいて、障害が発生したネットワークインタフェースに対しては障害から回復するまで稼働状況の検出を行わないことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出する工程と、
ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部を参照し、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが該記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを該記憶部から抽出する工程と、
抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて前記監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する工程と、を含むことを特徴とする監視方法。
【請求項7】
監視下に置かれたネットワーク接続機器の識別子とそのネットワークインタフェースの稼動状況を検出する処理と、
ネットワーク接続機器の機種及びベンダを識別する識別子と該機種のネットワークインタフェース構成とを含む構成情報ファイルを機種ごとに予め記録している記憶部を参照し、検出された識別子を含む構成情報ファイル、又は該識別子を含む構成情報ファイルが該記憶部に記録されていない場合には該識別子と同一のベンダの機種に対する識別子を含む構成情報ファイルを該記憶部から抽出する処理と、
抽出された構成情報ファイルと検出された稼動状況に基づいて前記監視対象機器のネットワークインタフェースの稼動状況を可視化する処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−219762(P2010−219762A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63037(P2009−63037)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】