説明

監視装置、監視方法および監視プログラム

【課題】最も拡大画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる監視装置、監視方法および監視プログラムを提供する。
【解決手段】第1撮像部1により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値Nを算出し、算出した行動評価値Nに基づいて、第2画像を撮像する第2撮像部2の撮像対象を決定する演算処理部20と、演算処理部20により決定された撮像対象が第2画像に含まれるように第2撮像部2を調整する制御部23と、を備え、演算処理部20は、第2撮像部2による第2画像の撮像と並行して、第1撮像部1により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における行動評価値Nを再び算出して撮像対象を更新し、制御部23は、演算処理部20により撮像対象が更新されると、更新された撮像対象の第2画像が撮像されるように第2撮像部2を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、監視方法および監視プログラムに関し、特に、画角の異なる2つのカメラを連動させて不審者の監視を行う監視装置、監視方法および監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画角が大きい広角画像を撮像する広角カメラと、上下左右に撮影方向を移動させることができ、かつ、高倍率なズームレンズを備えて画角が小さい拡大画像を撮像する望遠カメラと、を連動させて、監視領域に侵入した不審者の監視を行う監視装置が提案されている。
【0003】
このような監視装置としては、例えば、広角画像を撮像する第1撮像部と、第1撮像部よりも小さい画角で画像を撮像する第2撮像部と、第1撮像部により撮像された広角画像から複数の物体を検出する検出部と、検出されたそれぞれの物体について広角画像における位置情報等を含む履歴情報を作成する作成部と、作成された履歴情報に基づいて複数の物体の中から追跡対象を選択する選択部と、追跡対象を撮像するように第2撮像部を駆動する駆動部と、を備える物体追跡装置がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−033224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の物体追跡装置によれば、物体ごとに作成された履歴情報に基づいて複数の物体の中から最も不審な物体を追跡対象として選択するため、物体追跡装置が追跡対象を選択した後に、他の物体が不審な動きを始めた場合には、物体追跡装置は当該物体を追跡対象として選択することができない。このため、特許文献1に記載の物体追跡装置によれば、当該物体が最も不審な人物であるような場合など、最も拡大画像の撮像対象とする必要のある物体の撮像を逃してしまうという問題があった。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、最も拡大画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる監視装置、監視方法および監視プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視装置は、第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した上記行動評価値に基づいて、上記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するための演算処理部と、上記演算処理部により決定された上記撮像対象が第2画像に含まれるように上記第2撮像部を調整するための制御部と、を備え、上記演算処理部は、上記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、上記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における上記行動評価値を再び算出し、算出した上記行動評価値に基づいて上記撮像対象を更新し、上記制御部は、上記演算処理部により上記撮像対象が更新されると、更新された上記撮像対象の第2画像が撮像されるように上記第2撮像部を調整する。
【0008】
このような構成により、演算処理部が撮像対象を決定した後であっても、第1撮像部による新たな撮像に基づき、第2撮像部による撮像と並行して撮像対象が更新されるため、例えば第2撮像部により撮像されている人物と異なる人物が新たに不審な行動を行った場合であっても、この新たに不審な行動を行った人物を撮像対象とすることができ。したがって、最も第2画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる。
【0009】
(2)より好ましくは、上記制御部は、上記第2撮像部により上記撮像対象の一部を拡大した第2画像が撮像されるように上記第2撮像部を調整する。
【0010】
このような構成により、例えば犯罪が起きた場合に、不審な人物の顔または手にしている物などを把握することができるため、多くの証拠の収集等が可能となる。
【0011】
(3)好ましくは、上記演算処理部は、上記第1撮像部により撮像された第1画像に基づいて、上記第1画像に含まれる被写体が人物であるか否かの人物判定を行い、人物であると判定した上記被写体の上記行動評価値を算出し、上記制御部は、上記演算処理部において上記人物判定を行うことができないと判断された場合には、上記第2撮像部により上記被写体の第2画像が撮像されるように上記第2撮像部を調整し、上記演算処理部は、上記第2撮像部により撮像された上記被写体の第2画像に基づいて上記被写体の上記人物判定をあらためて行う。
【0012】
このような構成により、人物ではない物体について行動評価値を算出するという誤検出、または、人物であるにも関わらず行動評価値を算出しないという未検出を防ぐことができる。
【0013】
(4)好ましくは、上記制御部は、照明装置により近赤外線が監視対象領域に照射されるように、上記照明装置を調整する。
【0014】
このような構成により、不要な光による光害が発生することを防ぐことができる。また、夜間でも常時安定した監視を行うことができる。さらに、日照変化または逆光などの影響を大きく受けることなく、常時安定した監視を行うことができる。
【0015】
(5)より好ましくは、上記制御部は、上記第2撮像部により第2画像が撮像される際、上記撮像対象の周囲が照明を必要とする程度に暗い場合には、上記照明装置を制御することにより、上記照明装置から上記撮像対象に照射される近赤外線を可視光線に切り替える。
【0016】
このような構成により、撮像対象の周囲が暗い場合であっても、明瞭な第2画像を撮像することができる。また、撮像対象に対して光による警告を行うことができ、犯罪等を未然に防止することができる。
【0017】
(6)好ましくは、上記監視装置は、さらに、上記第2撮像部により撮像される第2画像を録画するための録画部を備え、上記演算処理部は、決定した上記撮像対象に対応する上記行動評価値が所定の条件を満たす場合には、上記録画部を制御することにより、上記撮像対象の第2画像を録画する。
【0018】
このように、例えば撮像対象に対応する行動評価値が所定の閾値以上である場合など、撮像対象が不審な人物である可能性が高い場合にのみ第2画像を録画することができるため、録画されている画像を確認することにより、不審な人物を容易に特定することができる。また、第2画像の蓄積先であるメモリの容量を抑えることができるため、コストを低減させることができる。
【0019】
(7)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視方法は、第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した上記行動評価値に基づいて、上記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するステップと、決定した上記撮像対象が第2画像に含まれるように上記第2撮像部を調整するステップと、を含み、上記撮像対象を決定するステップにおいては、上記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、上記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における上記行動評価値を再び算出し、算出した上記行動評価値に基づいて上記撮像対象を更新し、上記第2撮像部を調整するステップにおいては、上記撮像対象を決定するステップにおいて上記撮像対象が更新されると、更新された上記撮像対象の第2画像が撮像されるように上記第2撮像部を調整する。
【0020】
このような構成により、撮像対象が決定された後であっても、第1撮像部による新たな撮像に基づき、第2撮像部による撮像と並行して撮像対象が更新されるため、例えば第2撮像部が撮像している人物と異なる人物が新たに不審な行動を行った場合であっても、この新たに不審な行動を行った人物を撮像対象とすることができ、最も第2画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる。
【0021】
(8)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる監視プログラムは、コンピュータに、第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した上記行動評価値に基づいて、上記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するステップと、決定した上記撮像対象が第2画像に含まれるように上記第2撮像部を調整するステップと、を実行させるためのプログラムであり、上記撮像対象を決定するステップにおいては、上記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、上記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における上記行動評価値を再び算出し、算出した上記行動評価値に基づいて上記撮像対象を更新し、上記第2撮像部を調整するステップにおいては、上記撮像対象を決定するステップにおいて上記撮像対象が更新されると、更新された上記撮像対象の第2画像が撮像されるように上記第2撮像部を調整する。
【0022】
このような構成により、撮像対象が決定された後であっても、第1撮像部による新たな撮像に基づき、第2撮像部による撮像と並行して撮像対象が更新されるため、例えば第2撮像部が撮像している人物と異なる人物が新たに不審な行動を行った場合であっても、この新たに不審な行動を行った人物を撮像対象とすることができ、最も第2画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、最も拡大画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視装置の外観を示す図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る監視装置に備えられた広角カメラにより撮像された広角画像を示す図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る監視装置に備えられたPTZカメラにより撮像された拡大画像を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る監視装置の構成を示すブロック図である。
【図4】最大の行動評価値の変化と、この変化に伴う決定部、制御部、録画部および通信部の動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る監視装置による監視動作の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る監視装置の人検出追跡部による人検出追跡処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】時刻tおよび時刻t+1における、広角カメラによる広角画像を示す図である。
【図8】(a)は、時刻tにおける、本実施の形態に係る監視装置の決定部により算出された行動評価値を示す表であり、(b)は、時刻t+1における、本実施の形態に係る監視装置の決定部により算出された行動評価値を示す表である。
【図9】本発明の実施の形態に係る監視装置の制御部による拡大追跡処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[構成および基本動作]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る監視装置100の外観を示す図であり、図2(a)は、本発明の実施の形態に係る監視装置100に備えられた広角カメラ1により撮像された広角画像を示す図であり、図2(b)は、本発明の実施の形態に係る監視装置100に備えられたPTZカメラ2により撮像された拡大画像を示す図である。また、図3は、本発明の実施の形態に係る監視装置100の構成を示すブロック図であり、図4は、最大の行動評価値Nmaxの変化と、この変化に伴う決定部22、制御部23、録画部24および通信部25の動作を説明する図である。
【0027】
(監視装置の構造)
図1を参照して、監視装置100は、監視処理部10と、広角カメラ1(第1撮像部)と、PTZ(パン・チルト・ズーム)カメラ2(第2撮像部)と、を備えている。
【0028】
図2(a)を参照して、広角カメラ1は、監視の対象である監視領域全体を、広角画像(第1画像)により常時撮像する。また、広角カメラ1は、近赤外線から可視光線までの光に対して感度を有している。
【0029】
PTZカメラ2は、上下左右に撮影方向を移動させることができ、かつ、画角を調整可能である。図2(b)を参照して、PTZカメラ2は、監視処理部10により広角カメラ1より小さな画角に調整されて、監視領域のうちの特定の領域を拡大画像(第2画像)により撮像する。具体的には、PTZカメラ2は、通常、例えば監視領域のうち人の出入りが多い場所など予め設定された場所を撮像しているが、監視処理部10より、例えば特定の人物を撮像対象として、この撮像対象の拡大画像を撮像するように調整されると、この特定の人物の拡大画像を撮像するように撮像方向を移動させ、撮像を行う。
【0030】
また、PTZカメラ2は、少なくとも可視光線に対する感度を有しており、好ましくは広角カメラ1と同様に、近赤外線から可視光線までの光に対して感度を有している。
【0031】
また、広角カメラ1とPTZカメラ2とは、それぞれ並行して画像の撮像を行う。なお、広角カメラ1およびPTZカメラ2は、監視装置100から分離され、監視装置100に対して外付けする構成であってもよい。さらに、広角カメラ1の代わりに最大画角がPTZカメラ2よりも大きなPTZカメラを用いることもできる。
【0032】
図3を参照して、監視装置100は、さらに、外部モニタ3と、照明装置4と、を備えている。外部モニタ3は、広角カメラ1により撮像される広角画像およびPTZカメラ2により撮像される拡大画像を表示する。例えば、外部モニタ3は、広角カメラ1により撮像された広角画像とPTZカメラ2により撮像された拡大画像とを1画面に表示する。
【0033】
照明装置4は、監視処理部10により制御されて、通常、監視対象領域全体に近赤外線を照射する。また、照明装置4は、PTZカメラ2が監視処理部10により制御されて特定の撮像対象の拡大画像を撮像する場合であって、例えば夜間時、日照変化または逆光であることより撮像対象の周囲が暗い場合には、監視処理部10により制御されて、可視光線を撮像対象に照射する。
【0034】
(監視処理部の詳細な構造)
監視処理部10は、映像入力部11と、A/D変換部12と、RAM13と、映像入力部14と、A/D変換部15と、情報処理部16と、メモリ17と、D/A変換部18と、出力部19と、を有している。
【0035】
映像入力部11は、広角カメラ1により撮像された広角画像のアナログ信号を受けて、このアナログ信号をA/D変換部12に出力する。A/D変換部12は、映像入力部11から受けた広角画像のアナログ信号をデジタル信号に変換し、RAM13に出力する。このように、RAM13には、広角カメラ1により撮像される広角画像のデジタル信号が順次記録され、上書きされる。
【0036】
映像入力部14は、PTZカメラ2により撮像された拡大画像のアナログ信号を受けて、このアナログ信号をA/D変換部15に出力する。A/D変換部15は、映像入力部14から受けた拡大画像のアナログ信号をデジタル信号に変換し、RAM13に出力する。このように、RAM13には、PTZカメラ2により撮像される拡大画像のデジタル信号が順次記録され、上書きされる。
【0037】
D/A変換部18は、RAM13から広角画像および拡大画像のデジタル信号を取得して、このデジタル信号をアナログ信号に変換し、出力部19に出力する。出力部19は、D/A変換部18から出力された広角画像および拡大画像のアナログ信号を外部モニタ3に出力する。これにより、広角画像と拡大画像とが1画面により外部モニタ3により表示される。なお、出力部19は、外部モニタ3に広角画像または拡大画像のいずれか一方が表示されるように、広角画像または拡大画像のいずれか一方のアナログ信号を外部モニタ3に出力してもよい。
【0038】
情報処理部16は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、演算処理部20と、制御部23と、録画部24と、通信部25と、を有している。また、演算処理部20は、人検出追跡部21と、決定部22と、含む。
【0039】
(a)人検出追跡部
人検出追跡部21は、RAM13に記録された広角画像のデジタル信号を取得し、広角画像に基づき、広角画像に含まれる1または複数の被写体について、例えば背景差分法を用いることにより、人物であるか否かの人物判定を行う。
【0040】
具体的には、まず、人検出追跡部21は、広角画像のデジタル信号に基づいて、広角画像における各画素の輝度値を取得し、取得した各画素の輝度値と、予め作成された人物が写っていない監視領域の画像(以下、「背景画像」という。)における各画素の輝度値と、の差の絶対値である背景差分値D1(i,j)を算出する。そして、人検出追跡部21は、広角画像について、背景差分値D1(i,j)に基づき「1」または「0」の二値化処理を行う。そして、人検出追跡部21は、二値化処理された広角画像について、人物の大きさ程度の枠を検出枠として複数読み出し、読み出した検出枠において「1」が与えられている割合P1が所定値Pa以上である場合には、この検出枠に人物が写っていると判断する。
【0041】
また、人検出追跡部21は、検出枠に写っている被写体が人物であるか否か明確に区別できず、人物判定を行うことができないと判断した場合には、この検出枠の拡大画像が撮像されるように制御部23に制御信号を出力する。例えば、人検出追跡部21は、読み出した検出枠において「1」が与えられている割合P1が、所定値Pa未満であり所定値Pb以上であるか否かを判断する。ただし、Pa>Pbである。人検出追跡部21は、所定値Pa未満であり所定値Pb以上である場合には、検出枠に写っている被写体が人物であるか否か明確に区別することができないと判断して、制御部23に制御信号を出力する。
【0042】
そして、制御信号を受けた制御部23がPTZカメラ2を調整し、PTZカメラ2により検出枠の拡大画像が撮像される。この拡大画像のアナログ信号が、映像入力部14を介してA/D変換部15に出力され、A/D変換部15によりデジタル信号に変換される。そして、この拡大画像のデジタル信号が、RAM13に記録される。そして、人検出追跡部21は、RAM13に記録された拡大画像のデジタル信号を取得し、拡大画像に基づいて検出枠の被写体について人物判定を行う。
【0043】
また、人検出追跡部21は、例えばテンプレートマッチング法を用いて、人物が写っていると判断した検出枠の追跡を行う。
【0044】
具体的には、人検出追跡部21は、時刻tにおける拡大画像のうち、人物が写っていると判断した検出枠をテンプレートとする。そして、人検出追跡部21は、時刻t+1における拡大画像からテンプレートと同じサイズの複数の検出枠を読み出す。そして、人検出追跡部21は、テンプレートにおける各画素の輝度値と、読み出した検出枠における各画素の輝度値の差の絶対値の総和を算出し、総和が最小である検出枠を人物の移動先として特定する。このようにして、人検出追跡部21は、広角画像における人物の移動先を特定して、人物が写っている検出枠の追跡を行い、追跡結果を決定部22に出力する。
【0045】
また、人検出追跡部21は、PTZカメラ2による拡大画像の撮像と並行して、広角カメラ1により新たに広角画像が撮像されると、新たに撮像された広角画像に含まれる人物の検出および追跡を行う。
【0046】
(b)決定部
決定部22は、広角カメラ1により撮像された広角画像に基づいて、広角画像に含まれる人物、すなわち人検出追跡部21により人物であると判定されて追跡されている被写体の行動評価値Nを算出する。
【0047】
ここで、行動評価値Nとは、例えば、人物の移動経路、重要文化財などの保護対象が存在する場所に対する人物の位置、特定の場所の徘徊、所定時間以上の滞在、人物が手にしている物、および、人物の移動速度などの行動に基づく値であり、予め設定されている。
【0048】
例えば、ある人物が、所定時間以上同じ位置に滞在し、さらに、この滞在している位置が重要文化財の存在する場所に近いような場合には、それぞれの行動に対する行動評価値Nが合算される。
【0049】
なお、上述のように、検出枠に写っている被写体が人物であるか否かが人検出追跡部21により明確に区別されない場合には、この被写体の拡大画像が撮像され、人検出追跡部21はこの拡大画像に基づいて被写体が人物であるか否か区別する。このような場合、決定部22は、広角画像ではなく、被写体が人物であるか否かの区別に用いられた拡大画像に基づいて、人物の行動評価値Nを算出することも可能である。
【0050】
決定部22は、人検出追跡部21が複数の人物を追跡している場合、追跡されているすべての人物について行動評価値Nを算出する。そして、決定部22は、算出した複数の行動評価値Nのうち、最大の行動評価値Nmaxに対応する人物をPTZカメラ2による撮像対象として決定する。そして、決定部22は、撮像対象が写っている検出枠の座標および当該検出枠における各画素の輝度値を制御部23に出力する。
【0051】
また、PTZカメラ2による拡大画像の撮像と並行して、広角カメラ1により新たに広角画像が撮像され、人検出追跡部21により、新たに撮像された広角画像に含まれる人物の検出および追跡が行われると、決定部22は、新たに撮像された広角画像おける人物の行動評価値Nを再び算出し、算出した行動評価値Nに基づいて撮像対象を更新する。すなわち、PTZカメラ2により既に特定の人物の拡大画像が撮像されているため、拡大画像の撮像対象が更新されることにより、撮像対象が切り替えられることがある。
【0052】
また、決定部22は、最大の行動評価値Nmaxが所定の条件を満たす場合には、撮像対象の拡大画像が録画されるように、録画部24を制御する。すなわち、図4を参照して、決定部22は、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上であるか否かを判断し、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上である場合には、最大の行動評価値Nmaxに対応する人物が不審者である可能性が高いとして、録画開始信号を録画部24に出力する。
【0053】
また、決定部22は、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上である場合には、さらに、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2以上であるか否かを判断する。ただし、Th1<Th2である。そして、決定部22は、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2以上である場合には、最大の行動評価値Nmaxに対応する人物が不審者である可能性がさらに高いとして、通信開始信号を通信部25に出力する。
【0054】
(c)制御部
再び図3を参照し、制御部23は、決定部22により決定された撮像対象である人物の拡大画像が撮像されるように、決定部22により出力された撮像対象が写っている検出枠の座標に基づいて、PTZカメラ2を調整する。また、制御部23は、決定部22が撮像対象を更新した場合には、更新された後の撮像対象である人物の拡大画像が撮像されるように、PTZカメラ2を調整する。
【0055】
なお、このとき制御部23は、撮像対象が写っている検出枠のうち、上部周辺を人物の顔の位置とし、さらに、動きが激しい部分または腰の高さ周辺を手元付近であるとして、PTZカメラ2により撮像対象の一部である顔または人物の手元付近を拡大した拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整する。また、制御部23は、撮像対象である人物が手にしていた物体を監視領域内に置いて離れたような場合には、この撮像対象から離れた物体の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整してもよい。
【0056】
また、制御部23は、広角画像における検出枠に人物が写っているか否かが人検出追跡部21により明確に区別されず、人検出追跡処理部21から制御信号を受けた場合には、PTZカメラ2により当該検出枠に含まれる被写体の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整する。
【0057】
また、制御部23は、通常、監視領域全体に近赤外線が照射されるように照明装置4を制御する。さらに、制御部23は、PTZカメラ2が監視処理部10により調整されて、PTZカメラ2が特定の撮像対象の拡大画像を撮像する場合であって、この撮像対象の周囲が暗い場合には、可視光線が撮像対象の周囲に照射されるように、照明装置4を制御する。
【0058】
詳細には、制御部23は、決定部22から出力された検出枠における各画素の輝度値に基づいて、撮像対象である人物の周囲が暗いか否かを判断する。そして、制御部23は、撮像対象である人物の周囲が暗い場合、照明装置4から可視光線が当該人物に照射されるように、照明装置4を制御する。
【0059】
なお、例えば、監視装置100が光検出センサを備え、制御部23は、この光検出センサによる検出結果に基づいて、撮像対象の周囲が暗いか否か判断することも可能である。
【0060】
(d)録画部
録画部24は、例えば、時刻t1において決定部22から録画開始信号を受けると、この録画開始信号を受けたタイミングよりもわずかに前のタイミング(例えば、時刻t1−1)までさかのぼり、RAM13に記録されている拡大画像を取得する(図3参照)。そして、録画部24は、RAM13から取得した拡大画像をメモリ17に出力し、この拡大画像がメモリ17に録画される。そして、例えば最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1未満になる時刻t4に至るまで、録画部24による録画が行われる。なお、メモリ17は、例えばSDメモリカードなどのリムーバブルハードディスクである。
【0061】
(e)通信部
通信部25、例えば、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2以上になる時刻t2において決定部22から通信開始信号を受けると、メモリ17に録画されている拡大画像を読み出して、予め登録されているスマートフォンなどの通信機器30に対して、読み出した拡大画像を出力する(図4参照)。そして、例えば最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2未満になる時刻t3に至るまで、通信部25による通信機器30への通信が行われる。なお、通信部25は、録画されている拡大画像だけでなく、不審状況を伝えるためのテキスト文を合わせて通信機器30へ出力してもよい。
【0062】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る監視装置100による監視動作について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る監視装置100による監視動作の手順を示すフローチャートであり、図6は、本発明の実施の形態に係る監視装置100の人検出追跡部21による人検出追跡処理の手順を示すフローチャートである。
【0063】
監視装置100は、フローチャートの各ステップを含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。このプログラムは、外部からインストールすることができる。このインストールされるプログラムは、たとえば記録媒体に格納された状態で流通する。
【0064】
図5を参照して、まず、広角カメラ1により撮像された広角画像のデータであるデジタル信号がRAM13に出力される(ステップS1)。
【0065】
次に、人検出追跡部21が、RAM13に記録されている広角画像のデータに基づいて、広角画像に含まれている人物の検出追跡処理を行う(ステップS2)。すなわち、人検出追跡部21が、広角画像に含まれる複数の検出枠について人物が写っているか否かを判断し、人物が写っていると判断した検出枠については追跡を行う。
【0066】
詳細には、図6を参照して、まず、人検出追跡部21が、広角画像のデータに基づいて、広角画像における各画素の輝度値を取得し、取得した広角画像の輝度値I(i,j)と、背景画像の輝度値B(i,j)と、の差(絶対値)であるD1(i,j)=|I(i,j)−B(i,j)|を算出する(ステップS11)。
【0067】
次に、人検出追跡部21が、背景差分値D1(i,j)について、所定の閾値を用いて「1」または「0」の二値化処理を行う(ステップS12)。
【0068】
次に、人検出追跡部21が、拡大画像内において、人物の大きさ程度の所定の検出枠を読み出し、読み出した検出枠内において「1」が与えられている割合P1を取得する(ステップS13)。
【0069】
次に、人検出追跡部21が、割合P1が基準値Pa以上であるか否かを判断する(ステップS14)。そして、人検出追跡部21が、割合P1が基準値Pa未満である場合には(ステップS14において「No」)、さらに、割合P1が基準値Pb(Pb>Pa)以上であるか否かを判断する(ステップS15)。
【0070】
そして、人検出追跡部21が、割合P1が基準値Pb以上である場合、すなわち割合P1が、基準値Pa未満、基準値Pb以上である場合には(ステップS15において「Yes」)、読み出された所定の検出枠に人物が写っているか否かが不明確であるとして、この検出枠に含まれる被写体の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2に制御信号を出力する。これにより、PTZカメラ2が、拡大画像を撮像する(ステップS16)。PTZカメラ2により撮像された拡大画像のデータは、映像入力部14およびA/D変換部15を介してRAM13に記録される。
【0071】
次に、人検出追跡部21が、RAM13から拡大画像のデータを取得して、ステップS11と同様に、RAM13に記録された拡大画像について背景差分値D2(i,j)を算出する(ステップS17)。そして、人検出追跡部21が、ステップS12と同様に、背景差分値D2(i,j)について二値化処理を行う(ステップS18)。
【0072】
次に、人検出追跡部21が、拡大画像内において「1」が与えられている割合P2を取得する(ステップS19)。次に、人検出追跡部21は、割合P2が基準値Pc以上であるか否かを判断する(ステップS20)。そして、人検出追跡部21が、割合P2が基準値Pc未満である場合には(ステップS20において「No」)、所定の検出枠に人物が写っていないと判断する(ステップS21)。
【0073】
一方、人検出追跡部21が、割合P1が基準値Pa以上である場合(ステップS14において「Yes」)、または、割合P2が基準値Pc以上である場合(ステップS20において「Yes」)には、所定の検出枠には人物が写っていると判断する(ステップS22)。
【0074】
そして、人検出追跡部21が、拡大画像における全ての検出枠について上記の判断を行ったか否かを判断し(ステップS23)、判断が行われていない検出枠がある場合には(ステップS23において「No」)、その検出枠について再びステップS13からステップS22を繰り返す。
【0075】
一方、人検出追跡部21が、全ての検出枠について判断を行った場合には(ステップS23において「Yes」)、例えばテンプレートマッチング法を用いて人物が写っている検出枠の追跡し、追跡結果を決定部22に出力する(ステップS24)。
【0076】
次に、再び図5を参照して、決定部22が、人検出追跡部21が追跡している全ての人物について行動評価値Nを算出する(ステップS3)。そして、決定部22が、算出された行動評価値Nに基づいて撮像対象を決定する(ステップS4)。
【0077】
ここで、図7は、時刻tおよび時刻t+1における、広角カメラ1による広角画像を示す図であり、図8(a)は、時刻tにおける、本実施の形態に係る監視装置100の決定部22により算出された行動評価値Nを示す表であり、図8(b)は、時刻t+1における、本実施の形態に係る監視装置100の決定部22により算出された行動評価値Nを示す表である。
【0078】
図7を参照し、時刻tにおいて広角カメラ1により撮像された広角画像(フレーム1)には人物A、BおよびCが含まれている。また、時刻t+1において広角カメラ1による撮像された広角画像(フレーム2)には人物A、B、CおよびDが含まれている。
【0079】
具体的には、広角カメラ1が時刻tにおいてフレーム1を撮像すると、決定部22が、人物A、BおよびCのそれぞれについて、行動評価値Nを算出し、図8(a)に示すような表を作成する。このとき、最大の行動評価値Nmaxは「120」であり、対応する人物は「A」であるため、決定部22は「A」を撮像対象として決定する。
【0080】
また、広角カメラ1が時刻t+1においてフレーム2を撮像すると、決定部22が、人物A、B、CおよびDのそれぞれについて、行動評価値Nを算出し、図8(b)に示すような表を作成する。このとき、最大の行動評価値Nmaxは「130」であり、対応する人物は「B」である。このため、決定部22は、撮像対象を「A」から「B」へ更新し、「B」を撮像対象として決定する。
【0081】
次に、決定部22が撮像対象を決定すると、制御部23が拡大追跡処理を開始する(図7に示すステップS5)。ここで、図9は、本発明の実施の形態に係る監視装置100の制御部23による拡大追跡処理の手順を示すフローチャートである。
【0082】
図9を参照して、まず、決定部22により、撮像対象として決定された人物が写っている検出枠の座標および当該検出枠における各画素の輝度値が制御部23に出力される(ステップS31)。
【0083】
次に、制御部23が、撮像対象の周囲の輝度値が所定値より小さいか否かを判断する(ステップS32)。そして、制御部23が、撮像対象である検出枠の輝度値が所定値より小さいと判断した場合には(ステップS32において「Yes」)、照明装置4により照射される光が近赤外線から可視光線に切り替わり、可視光線が撮像対象の周囲に照射されるように照明装置4を制御する(ステップS33)。
【0084】
次に、制御部23が、決定部22により受けた検出枠の座標に基づいて、撮像対象の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整し、PTZカメラ2により拡大画像の撮像が行われる(ステップS34)。
【0085】
このようにして、制御部23により照明装置4およびPTZカメラ2が制御されて撮像対象の拡大画像の撮像が行われる。ここで、上述のように、広角画像が新たに撮像されると、決定部22により撮像対象が更新される。このため、例えば図7および図8に示す例においては、時刻tにおいて、PTZカメラ2により「A」の拡大画像が撮像されている場合であっても、時刻t+1において、「A」の拡大画像の撮像は中止され、撮像対象が「B」に切り替わり、PTZカメラ2により「B」の拡大画像が撮像される。
【0086】
このようにしてPTZカメラ2により撮像された拡大画像のデータは、映像入植部14およびA/D変換部15を介して、RAM13に順次記録される。
【0087】
次に、再び図5を参照して、決定部22が、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上であるか否かを判断する(ステップS6)。そして、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上である場合には(ステップS6において「Yes」)、決定部22が、録画開始信号を録画部24に出力する。
【0088】
次に、録画部24が、決定部22から録画開始信号を受けた場合には、撮像対象の拡大画像をRAM13から取得して、メモリ17に出力する。これにより、撮像対象の拡大画像がメモリ17に録画される(ステップS7)。
【0089】
次に、決定部22が、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2(Th1<Th2)以上であるか否かを判断する(ステップS8)。そして、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th2以上である場合には(ステップS40において「Yes」)、決定部22が、通信開始信号を通信部25に出力する。
【0090】
そして、通信部25が、決定部22から通信開始信号を受けると、メモリ17に録画されている拡大画像を読み出して、例えば予め登録されているスマートフォンなどの通信機器30に対して、読み出した映像および不審状況を伝えるためのテキスト文を出力する(ステップS9)。
【0091】
一方、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1未満である場合には(ステップS6において「No」)、最大の行動評価値Nmaxに対応する人物が不審者である可能性は低いとして、決定部22による録画部24への録画開始信号の出力は行われない。
【0092】
また、最大の行動評価値Nmaxが所定の閾値Th1以上、閾値Th2未満(Th1≦Nmax<Th2)である場合には(ステップS8において「No」)、最大の行動評価値Nmaxに対応する人物が不審者である可能性があるものの、現時点で通信機器30に通信するほどの危険性は低いものとして、決定部22による通信開始信号の出力は行われない。
【0093】
具体的には、図7および図8に示す例の場合、所定の閾値Th1が「125」、所定の閾値Th2が「135」であるとすると、時刻tにおいて、最大の行動評価値Nmaxが「120」であるため、決定部22による録画部24に対する録画開始信号の出力、および、通信部25に対する通信開始信号の出力は行われない。一方、時刻t+1において、最大の行動評価値Nmaxが「130」であるため、決定部22による録画部24に対する録画開始信号の出力は行われ、通信部25に対する通信開始信号の出力は行われない。
【0094】
ところで、特許文献1に記載の技術では、物体追跡装置が追跡対象を選択した後に、不審な動きを始めた他の物体が存在するような場合など、最も拡大画像の撮像対象とする必要のある物体の撮像を逃してしまうという問題があった。
【0095】
これに対して、本発明の実施の形態に係る監視装置100は、広角カメラ1より撮像された広角画像に含まれる人物の行動評価値Nを算出し、算出した行動評価値Nに基づいて、拡大画像を撮像するPTZカメラ2の撮像対象を決定するための決定部22を備える。また、監視装置100は、決定部22により決定された撮像対象が拡大画像に含まれるようにPTZカメラ2を調整するための制御部23を備える。また、決定部22は、PTZカメラ2による拡大画像の撮像と並行して、広角カメラ1により広角画像が新たに撮像されると、新たに撮像された広角画像における行動評価値Nを再び算出し、算出した行動評価値Nに基づいて撮像対象を更新する。また、制御部23は、決定部22により撮像対象が更新されると、更新された撮像対象の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整する。
【0096】
このような構成により、演算処理部が撮像対象を決定した後であっても、第1撮像部による新たな撮像に基づき、第2撮像部による撮像と並行して撮像対象が更新されるため、例えば第2撮像部により撮像されている人物と異なる人物が新たに不審な行動を行った場合であっても、この新たに不審な行動を行った人物を撮像対象とすることができ。したがって、最も拡大画像の撮像対象とする必要のある人物を、より確実に撮像することができる。
【0097】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置100では、制御部23は、PTZカメラ2により撮像対象の一部を拡大した拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整する。
【0098】
このような構成により、例えば犯罪が起きた場合に、不審な人物の顔または手にしている物などを把握することができるため、多くの証拠の収集等が可能となる。
【0099】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置100では、人検出追跡部21は、広角カメラ1により撮像された広角画像に基づいて、広角画像に含まれる被写体が人物であるか否かの人物判定を行う。また、決定部22は、人検出追跡部21により人物であると判定された被写体の行動評価値Nを算出する。また、制御部23は、人検出追跡部21において人物判定を行うことができないと判断された場合には、PTZカメラ2により被写体の拡大画像が撮像されるようにPTZカメラ2を調整する。そして、人検出追跡部21は、PTZカメラ2により撮像された被写体の拡大画像に基づいて被写体の人物判定をあらためて行う。
【0100】
このような構成により、人物ではない物体について行動評価値を算出するという誤検出、または、人物であるにも関わらず行動評価値を算出しないという未検出を防ぐことができる。
【0101】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置100では、制御部23は、照明装置4により近赤外線が監視対象領域に照射されるように、照明装置4を制御する。
【0102】
このような構成により、不要な光による光害が発生することを防ぐことができる。また、夜間でも常時安定した監視を行うことができる。さらに、日照変化または逆光などの影響を大きく受けることなく、常時安定した監視を行うことができる。
【0103】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置100では、制御部23は、PTZカメラ2により拡大画像が撮像される際、撮像対象の周囲が照明を必要とする程度に暗い場合には、照明装置4を制御することにより、照明装置4から撮像対象に照射される近赤外線を可視光線に切り替える。
【0104】
このような構成により、撮像対象の周囲が暗い場合であっても、明瞭な拡大画像を撮像することができる。また、撮像対象に対して光による警告を行うことができ、犯罪等を未然に防止することができる。
【0105】
また、本発明の実施の形態に係る監視装置100は、さらに、PTZカメラ2により撮像される拡大画像を録画するための録画部24を備え、決定部22は、決定した撮像対象に対応する行動評価値Nmaxが所定の条件を満たす場合には、録画部24を制御することにより、撮像対象の拡大画像を録画する。
【0106】
このように、例えば撮像対象に対応する行動評価値が所定の閾値以上である場合など、撮像対象が不審な人物である可能性が高い場合にのみ拡大画像を録画することができるため、録画されている画像を確認することにより、不審な人物を容易に特定することができる。また、拡大画像の蓄積先であるメモリの容量を抑えることができるため、コストを低減させることができる。
【0107】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 広角カメラ(第1撮像部)
2 PTZカメラ(第2撮像部)
3 外部モニタ
4 照明装置
10 監視処理部
11,14 映像入力部
12,15 A/D変換部
13 RAM
16 情報処理部
17 メモリ
18 D/A変換部
19 出力部
20 演算処理部
21 人検出追跡部
22 決定部
23 制御部
24 録画部
25 通信部
30 通信機器
100 監視装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した前記行動評価値に基づいて、前記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するための演算処理部と、
前記演算処理部により決定された前記撮像対象が第2画像に含まれるように前記第2撮像部を調整するための制御部と、を備え、
前記演算処理部は、前記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、前記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における前記行動評価値を再び算出し、算出した前記行動評価値に基づいて前記撮像対象を更新し、
前記制御部は、前記演算処理部により前記撮像対象が更新されると、更新された前記撮像対象の第2画像が撮像されるように前記第2撮像部を調整する、監視装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2撮像部により前記撮像対象の一部を拡大した第2画像が撮像されるように前記第2撮像部を調整する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、前記第1撮像部により撮像された第1画像に基づいて、前記第1画像に含まれる被写体が人物であるか否かの人物判定を行い、人物であると判定した前記被写体の前記行動評価値を算出し、
前記制御部は、前記演算処理部において前記人物判定を行うことができないと判断された場合には、前記第2撮像部により前記被写体の第2画像が撮像されるように前記第2撮像部を調整し、
前記演算処理部は、前記第2撮像部により撮像された前記被写体の第2画像に基づいて前記被写体の前記人物判定をあらためて行う、請求項1または請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、照明装置により近赤外線が監視対象領域に照射されるように、前記照明装置を制御する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2撮像部により第2画像が撮像される際、前記撮像対象の周囲が照明を必要とする程度に暗い場合には、前記照明装置を制御することにより、前記照明装置から前記撮像対象に照射される近赤外線を可視光線に切り替える、請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
前記監視装置は、さらに、前記第2撮像部により撮像される第2画像を録画するための録画部を備え、
前記演算処理部は、決定した前記撮像対象に対応する前記行動評価値が所定の条件を満たす場合には、前記録画部を制御することにより、前記撮像対象の第2画像を録画する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の監視装置。
【請求項7】
第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した前記行動評価値に基づいて、前記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するステップと、
決定した前記撮像対象が第2画像に含まれるように前記第2撮像部を調整するステップと、を含み、
前記撮像対象を決定するステップにおいては、前記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、前記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における前記行動評価値を再び算出し、算出した前記行動評価値に基づいて前記撮像対象を更新し、
前記第2撮像部を調整するステップにおいては、前記撮像対象を決定するステップにおいて前記撮像対象が更新されると、更新された前記撮像対象の第2画像が撮像されるように前記第2撮像部を調整する、監視方法。
【請求項8】
コンピュータに、
第1撮像部により撮像された第1画像に含まれる人物の行動評価値を算出し、算出した前記行動評価値に基づいて、前記第1撮像部よりも小さな画角に調整可能な第2撮像部により撮像される第2画像の撮像対象を決定するステップと、
決定した前記撮像対象が第2画像に含まれるように前記第2撮像部を調整するステップと、を実行させるためのプログラムであり、
前記撮像対象を決定するステップにおいては、前記第2撮像部による第2画像の撮像と並行して、前記第1撮像部により第1画像が新たに撮像されると、新たに撮像された第1画像における前記行動評価値を再び算出し、算出した前記行動評価値に基づいて前記撮像対象を更新し、
前記第2撮像部を調整するステップにおいては、前記撮像対象を決定するステップにおいて前記撮像対象が更新されると、更新された前記撮像対象の第2画像が撮像されるように前記第2撮像部を調整する、監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−90063(P2013−90063A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227305(P2011−227305)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】