説明

目の輪郭の外観を変える美容方法

本発明は、目の輪郭の外観を美容の目的で変える方法を提供し、本方法は、少なくとも1つのパッチ(1)を動き得る上眼瞼に施与する工程を含み、パッチ(1)の施与面(Ia)が多方向曲率を有する所定の非平面状の形状を有するか、または少なくとも1つのパッチが眼瞼上で多方向曲率を取り応力を取り除いても前記曲率を維持するように非弾性変形することにより応力に応答するのに適した材料で製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目の輪郭の外観を変える美容方法、および関連するパッチおよびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
目の外観を変えるために、またはさらには1つ以上の欠点、特に両目の非対称性、例えば、一方の目が他方より閉じているのを修正するために、例えば、広く認識されているまたは個人的な審美判断基準を適用して、目の輪郭の外観を変えようとする、特にその外見を美しくしようとする人が多い。
【0003】
他に、若かった時のかつての目の輪郭の外観を回復しようとする人もいる。老化の結果の1つとして特に、動かない上眼瞼の下垂があり、これは、場合によっては、目を開けているとき、動き得る上眼瞼に部分的に覆い被さるほどになることがある。この現象は、観察者により人の老化と関連付けられることが多く、一般に望ましくないものと考えられている。
【0004】
最後に、目の大きさのため、例えば、一方の目が閉じ過ぎているもしくは開き過ぎているため、大き過ぎるもしくは小さ過ぎるため、または望ましくない膨隆した外観を有するため、目の輪郭の形状を変えることを望む人もいる。
【0005】
特に、目の輪郭の全部または一部の色を強調するため、目の輪郭にメークアップ化粧料組成物を塗布することが知られている。それにもかかわらず、目のメークアップには幾つかの欠点がある。それは目を強調する役割を果たすが、目の輪郭の形状には影響を及ぼさないことが多い。非対称性の回復は特に困難であり、外見を若くすることは実際上不可能である。さらに、メークアップ化粧料を塗布することによって作り出される陰影を望まない人も多く、特に、男性、子供、老人、およびある一定の女性はそれを望まない。また、メークアップ化粧料を効果的に塗布するためには、その塗布に、ある一定の技術も必要である。さらに、長時間にわたりメークアップ結果を維持するためには、ある一定の注意事項に従う必要があることが多く、特に、決して擦ったり、洗ったりしてはならず、メークアップは一般に数時間しか、またはせいぜい1、2日しか持たないため、定期的に繰り返す必要がある。
【0006】
整形手術を使用して人の外見を変えることが可能である。それにもかかわらず、大部分の人は整形手術に頼ることを選択しないが、この理由は、その解決法が過激過ぎると考えられることが多く、痛みを伴うことがあるからである。さらに、整形手術ではより若々しい外見は達成されず、整形手術はとりわけ大きい修正目的には適切であるが、小さい修正目的、即ち、目の外見を変化させるという要望を満足させるだけの場合には適していない。
【0007】
眼瞼に人工的なひだを形成するために、動き得る上眼瞼に細長い平坦なストリップを施与することが知られている。このようなストリップは、特に、動き得る上眼瞼のひだが、コーカサス系またはアフリカ系の人の目と比較してあまり目立たないアジア系の人に、アジア人の目の外観をコーカサス人またはアフリカ人の目の外観に近付ける目的で使用されている。それにもかかわらず、この現象はコーカサス人またはアフリカ人の目にはほとんど存在せず、そのため、この解決法はそれらのタイプの目には効果がない。
【0008】
米国特許第4,854,307号明細書は、液体接着剤組成物を塗布して、動き得る上眼瞼と動かない上眼瞼を貼着することを記載している。接着剤には、使用者にとって不快且つ危険であるという欠点があり、全ての使用者が正確且つ適切に外見を変えるまたは修正することができるわけではない。
【0009】
米国特許第6,190,346号明細書および国際公開第01/34078号パンフレットは、動かない上眼瞼の下垂を修正するために、平坦な粘着ストリップを動き得る上眼瞼に施与することを記載している。その解決法では、ストリップが施与される眼瞼の形状にストリップが適合しないため、要望どおり有効且つ快適に目の輪郭を変えることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述の欠点の少なくとも幾つかを改善する必要がある。
【0011】
特に、魅力的で、簡単で、長持ちし、効果的で、復元可能であり、コーカサス人であるか、アジア人であるかまたはアフリカ人であるかにかかわりなく全てのタイプの目に適合するように、目の輪郭の外観を変えることができることが望ましい。
【0012】
また、魅力のない望ましくないひだが皮膚に形成されることなく、全てのタイプの人に、特に、どの年齢の人にも適合させるのに適した解決法を見出す必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般に、審美プロテーゼとも称されるパッチの使用に基づく。
【0014】
従って、本発明の例示的実施形態は、目の輪郭の外観を美容の目的で変える方法を提供し、本方法は、少なくとも1つのパッチを動き得る上眼瞼に施与する工程を含み、パッチの施与面が多方向曲率を有する所定の非平面状の形状を有するか、または少なくとも1つのパッチが眼瞼上で多方向曲率を取り、応力を取り除いても前記曲率を維持するように非弾性変形することにより応力に応答するのに適した材料で製造される。
【0015】
「多方向曲率」という用語は、少なくとも2つの異なる平面、例えば、互いに垂直な平面、例えば、パッチの長手軸を含む長手方向の平面とそれに垂直な横断面における曲率と理解されるものとする。
【0016】
従って、本発明の例示的実施形態では、本方法は:
・少なくとも1つのパッチを動き得る上眼瞼に施与する工程であって、パッチの施与面が施与前に複曲率(double curvature)を有する所定の非平面状の形状を有する工程;および/または
・少なくとも1つのパッチを動き得る上眼瞼に施与し、施与後にパッチの少なくとも1つの曲率を変える工程であって、パッチが塑性変形により、パッチが取る形状を動き得る上眼瞼とは独立して維持する傾向がある工程;
を含む。
【0017】
「複曲率」という用語は、パッチの施与面が、少なくとも2つの異なる軸、特に、互いに垂直な2つの軸を中心とする少なくとも2つの曲率、例えば、パッチの長手軸を中心とする一方の曲率とパッチの横軸を中心とする他方の曲率とを有する形状を有することと理解されるものとする。
【0018】
本発明により、動き得る上眼瞼に施与されるパッチは、動き得る上眼瞼の形状にさらによく適合する形状を有することができ、従ってパッチの装着中に快適さを提供することと、各人の必要に応じてパッチを使用し易くすることが同時に可能となる。
【0019】
本発明は、きめの細かいもしくは古い皮膚に施与する場合でも、または施与を速くし過ぎる場合でも、ひだの形成のリスクを低減することができる。従って、パッチの施与をより容易に、さほど注意を要せずに行うことができる。
【0020】
また、パッチの使用を人間工学的に改善し、各個人に適合するようにすることもできる。そのため、パッチの所定の場所への配置および除去を迅速且つ直感的に行うことができる。例えば、パッチの間違った面を動き得る上眼瞼に配置するリスクが少なくなる。
【0021】
さらに、パッチの曲率により、パッチを動き得る上眼瞼に貼着し易くすることができ、従って、場合によっては、接着剤を使用することなく、例えば、表面張力だけで、または接着力の低い接着剤を使用してパッチを固定することが可能になる。これにより、パッチを除去し易くすることができる、皮膚の刺激を少なくすることができる、長時間にわたり所定の場所によりうまく留まることができる、および/または、動き得る上眼瞼にパッチを再位置決めし易くすることができる。
【0022】
例えば、動かない上眼瞼を持ち上げる効果が向上するように、例えば、パッチの剛性および/または厚みが変化してもよい。
【0023】
パッチの施与面が少なくとも一部、動き得る上眼瞼の形状に適合するように、パッチは予め成形されてもよい、および/または予め成形可能であってもよい。
【0024】
特に、パッチの施与面の形状は、施与前に、動き得る上眼瞼の形状に応じて選択されてもよい。
【0025】
例として、パッチは、工場で、または販売時点で、または使用する場所で、切り抜く、機械加工する、成型する、圧縮する、熱間成形することにより、または他の何らかの方法で成形されてもよい。パッチの最終形状は、パッチを所定の場所に配置する前に、任意選択によりパッチの使用者に提供される成形機で付与されてもよい。
【0026】
変形形態では、パッチの施与面の形状は、施与前は、動き得る上眼瞼の形状に応じたものでなくてもよく、パッチは、施与後、動き得る上眼瞼の形状に一致する形状を取り、前記施与後の形状を、動き得る上眼瞼とは独立して維持することが可能であってもよい。換言すれば、施与面はその形状が付与されると、上眼瞼がなくてもこの形状を維持することができる。例えば、パッチは、パッチが上眼瞼と接触して変形することを可能にする可塑性を有し、パッチが受ける変形は非弾性的であってもよい。
【0027】
サイズおよび/または形状の異なる複数のパッチが使用者に提供されてもよく、例えば、共通の包装に入れて提供されてもよく、使用者は、それらのパッチから所望の効果を得るのに最も適したパッチを選択することができる。使用者は、逐次近似法でまたは専門家のアドバイスに従って行ってもよい。適宜、パッチの包装は、例えば、眼瞼の曲率および/または寸法、例えば、水平面における曲率および鉛直面における曲率を評価するのに役立つ1つ以上のテンプレートを含んでもよい。
【0028】
パッチは細長い形状であってもよい。例えば、パッチの縦断面は「半月」形または「三日月」形であってもよく、縦断面の輪郭は、例えば、2つの非同心円弧を、任意選択により両方とも凹面を同じ側にして、任意選択により両方とも同じ半径を有するものを結合することにより形成されてもよい。従って、パッチの縦断面の輪郭は、凹面が同じ側にあり、半径が異なる2つの円弧の結合に対応してもよく、円弧はそれぞれ施与面と外面に対応する。
【0029】
パッチの縦断面はまた、実質的に長方形、三角形、半楕円形、放物線状、または半円形の形状を有してもよい。
【0030】
パッチの長さは、動き得る上眼瞼の幅に実質的に等しく、パッチの幅は動き得る上眼瞼の高さに実質的に等しくてもよいが、他の寸法も可能である。パッチの施与面は、任意選択により動き得る上眼瞼の表面の実質的に全部に及んでもよい。パッチの形状は、任意選択により、対称面または対称軸に関して対称であってもよい。パッチの高さは、好ましくは、動き得る上眼瞼の高さの3分の1より多くを占め、より好ましくは動き得る上眼瞼の高さの半分より多くを占める。
【0031】
施与前にパッチの施与面は、複曲率を有する所定の非平面状の形状を有してもよく、または変形形態では、施与前にそれは平面内に延びる施与面を有してもよい。
【0032】
施与前にパッチの施与面が複曲率を有する所定の非平面状の形状を有する場合、前記施与面は眼瞼の方に凹状になっている。パッチの施与面は、少なくとも1つの回転楕円体状の部分、特に球状、楕円体状、放物面状、または双曲面状の部分を有してもよい。
【0033】
パッチの施与面、特にその回転楕円体状の部分の曲率半径は、1.2セントメートル(cm)〜1.6cmの範囲にあってもよい。
【0034】
パッチの施与面は複曲率を有し、その各曲率の曲率半径が1.2cm〜1.6cmの範囲にあってもよく、それらの曲率半径が異なっていることも可能である。
【0035】
パッチの施与面、特にその回転楕円体状の部分の施与面は、ある一定の幾何学的関数、例えば、球、楕円体、放物面、もしくは双曲面の関数で算出される曲率を有してもよく、または変形形態では、それは、幾何学的関数から算出されない曲率を有してもよい。特に、その曲率を、動き得る上眼瞼の形状に、例えば、パッチを施与する個人の眼瞼の形状に、基準として使用される個人の眼瞼の形状に、複数の個人の眼瞼の平均形状に、またはさらには美の規範に対応する眼瞼の形状に適合させてもよい。
【0036】
パッチの施与面、特にその回転楕円体状の部分は、同一平面上にない少なくとも2つの小平面、好ましくは同一平面上にない少なくとも6つの小平面を備えてもよい。パッチの施与面の形状および/または少なくとも1つの曲率は、小平面の寸法および前記小平面の法線のなす角度に応じた大きさであってもよい。
【0037】
パッチの施与面と施与面の反対側の外面との間で測定したパッチの厚み、特に回転楕円体状の部分の厚みは、1マイクロメートル(μm)〜1ミリメートル(mm)の範囲、好ましくは5μm〜200μmの範囲にあってもよい。
【0038】
パッチの厚みおよび/またはパッチの剛性は、パッチの少なくとも1つの軸、例えば、パッチの長手軸に沿って、またはパッチの長手軸に対して垂直なもしくは斜角をなす軸に沿って変化してもよい。
【0039】
パッチの弾力性は、パッチの位置に応じて、例えば、パッチの厚みの変化に伴って変化してもよい。
【0040】
パッチの剛性が一定であるのに対し、パッチの厚みは変化してもよい。変形形態では、パッチの厚みが一定であるのに対し、パッチの剛性は、例えば、補強要素を使用することにより変化してもよい。
【0041】
パッチの厚みおよび/または剛性は、パッチの縁部、特にパッチの長手方向端部より中心部の方が小さくてもよい。変形形態では、パッチの厚みおよび/または剛性は、パッチの縁部、特にパッチの長手方向端部より中心部の方が高くてもよい。
【0042】
パッチの厚みおよび/または剛性は、単調に変化しても、例えば、パッチの一端から他端に、またはパッチの中央部からその長手方向端部の方に減少または増加してもよい。
【0043】
パッチの厚みおよび/または剛性は、パッチの一端から他端まで、特に長手方向の一端から他端まで周期的にまたは不規則に変化してもよい。
【0044】
パッチは、厚みおよび/または剛性がパッチの残りの部分と異なる、特に長手方向の一端から他端まで異なる局所ゾーンを少なくとも1つ有してもよい。
【0045】
特に、その回転楕円体状の部分では、パッチの剛性が200キロパスカル(kPa)〜200ギガパスカル(Gpa)の範囲にあってもよく、好ましくは1メガパスカル(MPa)〜10Gpaの範囲にある。
【0046】
パッチの少なくとも2つのゾーン間で、その剛性は少なくとも2倍、例えば、5倍変化してもよい。パッチの厚みは、パッチの少なくとも2つのゾーン間で少なくとも1.25倍、例えば、2倍変化してもよい。
【0047】
パッチの剛性は変化してもよく、剛性の差は、特に、剛性の異なる少なくとも2種類の材料を使用することによって、少なくとも1つの補強要素を追加することによって、パッチ中の少なくとも1種類の化合物の濃度を変えることによって、および/またはパッチの少なくとも2つのゾーンに異なる処理を施すことによって得られてもよい。
【0048】
パッチの厚みは変化してもよく、例えば、厚みが変化している金型でパッチを成型することにより、厚みの変化が得られるようにパッチを機械加工することにより、材料を追加および/または除去することにより、局所的圧縮により、および/または三次元で印刷することにより、異なる厚みが得られてもよい。
【0049】
眼瞼に施与した後、特に圧力を加えることにより、パッチの少なくとも2つの構成部分間の相対的移動により、特に互いに対して移動可能な少なくとも2枚のパッチの移動により、例えば、パッチの材料を任意選択により局所的に硬化、軟化、および/または膨張させるために、熱を加えるおよび/または光を照射することにより(例えば、光硬化させることにより、熱硬化させることにより、および/または熱を加えて材料を膨張させることにより)、材料を追加および/または除去することにより、例えば、1つ以上の補強要素を局所的に使用することにより、または所定の試薬との接触により、パッチの剛性および/または厚みを変えてもよい。
【0050】
パッチは、軟質であってもまたは硬質であってもよく、可塑性であってもまたは弾性であってもよい。パッチの材料、厚み、および/または剛性は、パッチを取り扱い易くするのに、特に、パッチを所定の場所に配置するおよび/またはそれを除去するのに適切な特性を付与するように選択されてもよい。
【0051】
パッチは、少なくとも1種類のポリマー材料で製造されても、または他の何らかの合成材料で製造されてもよく、その例としては、とりわけ:
・ポリオレフィン、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリレート、またはポリアクリルアミド;
・縮合反応によって得られるポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ尿素、または他の何らかの有機もしくは有機無機複合ポリマー、例えば、ポリエーテル、シリコーン、多糖類(例えば、セルロース)、蛋白質などの天然高分子;または
・ワックス;
などが挙げられる。
【0052】
パッチは、無機および/または金属材料で製造されてもよく、その例としては、とりわけ:
・金属、アルカリ土類金属またはアルカリ金属酸化物、カーバイド、窒化物、炭酸塩、リン酸塩、または硫酸塩、例えば、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウム;
・ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩;または
・金属、または鉄、アルミニウム、チタン、マグネシウム、銀、金、もしくは白金をベースにする合金;
が挙げられる。
【0053】
パッチは、とりわけ、天然繊維、布帛または他の織物の形態、紙または他の不織物の形態、木材、バイオセルロースを含む材料から製造されてもよい。
【0054】
パッチは、純粋な材料で製造されても、または他の何らかの材料と混合された材料で製造されてもよい。
【0055】
パッチは、例えば、光学的または音波取得システム、例えば、立体視、干渉縞投影、超音波、または他のシステム、例えば、触針式測定装置で眼瞼の起伏の三次元(3D)取得を行うことにより、使用者の皮膚のインプリントまたは測定を行った後で製造されてもよい。
【0056】
起伏の取得は、目を閉じた状態でおよび/または眼瞼に対して移動させて、静的にまたは動的に行うことができる。
【0057】
適宜、眼瞼に配置される1つ以上の所定のパッチを使用して取得を行い、眼瞼の外見および機械的動きに対するこれらのパッチの効果を判定してもよい。
【0058】
パッチは、基本構造(base structure)から切り取られてもよい。例として、基本構造はプラスチック材料で製造されてもよい。例えば、基本構造は1つ以上の回転楕円体状の形状、特に、球状の形状を備え、それから(1つ以上の)パッチを切り抜いてもよい。回転楕円体状の形状の直径は、目の直径に近くてもよい。特に、回転楕円体状の形状の直径は、26mm〜28mmの範囲にあってもよい。
【0059】
パッチは、同じ材料のシートから構成されても、または異なる材料のシートから構成されてもよい。例えば、パッチは、シートを互いに積層することにより製造されてもよい。シート間の付着は、例えば、静電結合によりまたは表面張力によりまたは接着剤を使用することにより提供されてもよい。シートは任意選択により互いに対して移動可能であってもよい。
【0060】
パッチは、均質ではない材料、特に、粒子、繊維、フレーク、または液胞、空隙、および/または独立気泡または連続気泡を含む材料で製造されてもよい。
【0061】
パッチは、眼瞼が呼吸できるように、酸素、空気、および水蒸気透過性であってもよい。
【0062】
パッチは、膨張性材料を含んでもよい。
【0063】
パッチの施与面、および/またはパッチの反対側の面は平滑であってもよく、または、表面粗さ、小区画(cells)、および/または凹凸を有してもよい。
【0064】
パッチの施与面、および/または、好ましくはパッチの反対側の面は、ヒトの皮膚、特に眼瞼の皮膚を模擬していてもよい。特に、それは、施与前の眼瞼の皮膚と、または基準皮膚、例えば、ある一定の美的判断基準を満たす基準皮膚の皮膚と同じ色、同じテクスチャ、および/または同じ起伏を有してもよい。パッチの施与面および/またはその反対側の面の表面は、皮膚の表面に近い柔軟なまたはビロードのような外観を付与してもよい。表面は粗くてもよく、例えば、一連の窪みおよび/または突起を有してもよい。
【0065】
パッチは、任意選択により有色であってもよい。パッチは単色であってもよく、または多色であってもよい。パッチはヒトの皮膚の色に近い色であってもよい。パッチを通して眼瞼の皮膚を観察できるように、パッチは透明であってもおよび/または半透明であってもよい。従って、パッチは、観察者の目には実際上見えず、目の輪郭の外観を変えることを可能にすることができる。
【0066】
パッチは、光沢または無光沢効果を有してもよい。光沢は、特に若い人の場合、パッチに魅力的な効果を付与することができ、無光沢の外観は、特に年配の人の場合、パッチをより個別的に(discrete)するのに役立つことができる。
【0067】
パッチの施与面の反対側にあるパッチの外面の表面状態は、メークアップ化粧料が眼瞼に付着することを可能にするのに十分な粗さであってもよい。
【0068】
適宜、パッチは、パッチの外面に塗布されるのに適している少なくとも1つのメークアップ化粧料と一緒に使用者に提供されてもよく、そのメークアップ化粧料は、例えば、パッチと同じ包装に入っていてもよい。
【0069】
パッチの曲線長軸に沿って測定したパッチの長さは、2cm〜3cmの範囲にあってもよい。パッチの短軸に沿って測定したパッチの幅は、3mm〜10mmの範囲にあってもよい。パッチの最大寸法と厚み以外の最小寸法との比は、2〜10の範囲にあってもよい。
【0070】
パッチは、パッチの施与面におよび/または施与面の反対側の面に、任意選択により貫通した凹部を備えてもよい。特に、凹部は、例えば、メークアップ化粧料を眼瞼に直接塗布することを可能にする貫通凹部であってもよい。凹部は、パッチの通気を向上させることにより、快適さを改善することもできる。
【0071】
凹部は、実質的に細長い、特にパッチの長さ方向に細長い形状であってもよく、例えば、パッチを動き得る上眼瞼に施与すると、睫毛の近くに位置するようになっていてもよい。
【0072】
例として、凹部は、動き得る上眼瞼にアイライナーを直接塗布することを可能にするものであってもよい。例えば、凹部はパッチに形成されたスロットであってもよい。パッチは、アイライナーを塗布するためのステンシルの役割を果たしてもよい。パッチの材料は、アイライナーがパッチの所定の場所に固着しないように選択されてもよい。従って、パッチに付着したアイライナーの染みは容易に除去され、眼瞼に明瞭な線が残る。
【0073】
凹部はまた、睫毛の少なくとも幾つかをその中に挿入し、例えば、睫毛に所定の曲率を付与する役割を果たすこともできる。その場合、パッチの施与方法は、場合によってはガイドを使用しながら、パッチの凹部に睫毛を挿通する工程を含んでもよい。
【0074】
パッチはまた、眼瞼の所定の場所に配置された後、睫毛と接触しないようになっていてもよい。
【0075】
パッチの施与面と反対側にある外面に少なくとも一部メークアップ化粧料、例えば、有色の、光沢のある、または無光沢のメークアップ化粧料が塗布されてもよい。そのため、本発明は、例えば、眼瞼の光沢度、外観、および/または色を向上させることにより、目の輪郭の外観を変化させるのに役立つことができる。
【0076】
パッチは、アイライナーの線を模擬した有色の模様および/または印刷を備えてもよい。
【0077】
従って、動き得る上眼瞼の視認性を向上させ、且つ目の外観の改善に寄与することが可能となり得る。施与前または施与後のパッチの施与面の形状は、例えば、眼瞼に平坦なストリップを施与する場合と比較して、より高い効果を得ることを可能にすることができる。さらに、本発明のパッチは長時間にわたり機能が良好であるため、パッチの偶発的な剥がれを回避することができるが、パッチが剥がれると、メークアップ化粧料を使用した結果、眼瞼に魅力のない外観が現れることになりかねない。
【0078】
施与面と反対側にあるパッチの外面は、睫毛および/または模造睫毛を保持するゾーンを備えてもよい。保持ゾーンは、使用者の睫毛に所定の曲率を付与するように、使用者の睫毛を拘束するのに役立つことができる。保持ゾーンは、睫毛を挿入することができる前述の貫通スロットに対応してもよい。また、模造睫毛をパッチの保持ゾーンに、特にパッチの施与面の外縁におよび/またはその反対側の面に配置することも可能である。保持ゾーンは補強されていても、および/または厚みが大きくなっていてもよい。
【0079】
必要に応じて、本発明のパッチには、眼瞼の形状を変えること以外に、他の多くの用途がある。
【0080】
パッチは、個人の両方の目の眼瞼の対称的な外観を得るのに役立つことができる。
【0081】
パッチはまた、例えば、突出物、目に見える静脈、またはほくろなどの、動き得るおよび/または動かない上眼瞼の1つ以上の欠点を少なくとも一部隠すのに役立つこともできる。
【0082】
パッチは、目用または眼瞼用のケア活性剤の塗布を容易にすることができ、このような活性剤を含むことができる。特に、パッチは、動き得るおよび/または動かない上眼瞼に組成物を塗布するためのリザーバとして使用することができる。例として、パッチは、活性剤が含浸された多孔質材料で製造されてもよい。例えば、パッチは、とりわけ、睫毛のケアまたは成長用の活性剤、例えば、ビマトプロスト、眼瞼の老化防止処置用の活性剤、目に快適さを提供するための活性剤(例えば、水、生理学的液体を使用)、刺激作用に対する活性剤、麻酔剤、塵埃に対する活性剤を放出することができる。塗布される活性剤は、治療効果のない化粧料であってもよい。
【0083】
パッチの施与前に活性剤をパッチに組み込んでもよい、および/または施与時におよび/または施与後に活性剤をパッチに組み込んでもよい。溶媒を用いておよび/または溶媒を用いずに活性剤を所定の位置に組み込んでもよい。
【0084】
パッチが活性成分を含有する場合、パッチは、密封包装、例えば、滅菌包装に入れて使用者に提供されてもよい。
【0085】
パッチは、また、例えば、汗および/または皮脂などの分泌物の保持を可能にすることもできる。
【0086】
パッチは、また、動き得るおよび/または動かない上眼瞼を光(例えば、日光)の、風の、および/または粒子(例えば、砂)の侵入による影響から保護することを可能にすることもできる。
【0087】
パッチは、パッチ把持部を備えてもよい。把持部は平面状であり、パッチの残りの部分に屈曲可能に、例えば、蝶番連結によりパッチの縁部に連結されていてもよい。パッチの把持部は非回転楕円体状の部分を備えてもよい。パッチの把持部は、例えば、パッチの所定の場所への配置および/またはその除去を容易にすることができる。適宜、把持部は、パッチの除去可能な部分によって画成されてもよい。パッチの把持部は動かない上眼瞼を当接支持してもよい。
【0088】
パッチは、睫毛に機械的、生物学的、および/または化学的作用を及ぼすように、目の睫毛を少なくとも一部当接支持するように構成されている部分を備えてもよい。目の睫毛を当接支持するように構成されている部分は平面状であってもよく、屈曲可能に、特に、蝶番連結によりパッチの縁部に連結されていてもよい。目の睫毛を当接支持するように構成されている部分は、適宜、パッチの施与面の反対側の面の睫毛および/または模造睫毛を保持するゾーンについて前述したように、睫毛の曲率を少なくとも一部変えることを可能にするスロットを備えてもよい。
【0089】
パッチの把持部および/または睫毛を当接支持するように構成されている部分は、任意選択によりパッチの残りの部分と同じ材料で製造されてもよく、任意選択により同じ厚みを有してもよい。それらは、パッチの残りの部分と異なる材料で製造されてもよく、例えば、パッチの残りの部分とヒートシール、接着、オーバーモールドされても、および/または機械的に組み立てられてもよい。
【0090】
パッチは、とりわけ、熱成形、成型、三次元重合、レーザーエッチング、機械加工により製造されてもよい。
【0091】
パッチの施与面および/または動き得る上眼瞼に、少なくとも一部、パッチの動き得る上眼瞼への付着を促進する化合物が塗布されてもよい。化合物は、接着剤、特に感圧接着剤(PSA)であってもよい。化合物は、パッチを所定の場所に配置する前に眼瞼および/またはパッチに塗布されてもよい。化合物は、適宜、使用者により塗布されてもよい。化合物は、使用者に供給されるとき、パッチ上に存在していてもよい。
【0092】
パッチの施与面および/または動き得る上眼瞼の少なくとも一部に塗布される接着剤化合物の接着力を、他の化合物を添加することにより低下させてもよい。化合物は、適宜、除去可能な非固着性保護フィルムで被覆されてもよい。
【0093】
パッチは、施与面の少なくとも一部を画成する非接着部分を備えてもよい。
【0094】
パッチが眼瞼に貼着することを可能にする化合物は接着剤でなくてもよく、例えば、それは、任意選択により活性剤を含み、表面張力作用によりパッチを動き得る上眼瞼上に保持するのに十分な付着力をパッチに付与するのに役立つゲル、クリーム、溶媒、または油であってもよい。
【0095】
また、パッチの保持は、パッチの施与面の材料および/または形状を適切に選択することにより、改善されてもよい。例えば、パッチの施与面は、滑り止め材料、例えば、エラストマーで被覆されてもよい。
【0096】
適宜、動き得る上眼瞼に塗布される化合物は、パッチが製造されている材料と反応してもよい。動き得る上眼瞼に塗布される化合物は、例えば、ヒドロシリル化官能基などの反応性官能基を有するシリコーン、またはシアノアクリレートモノマーであってもよい。
【0097】
適宜、化合物は、パッチの施与面および/または動き得る上眼瞼の特定のゾーンだけに、例えば、パッチおよび/または動き得る上眼瞼の境界に位置するゾーンに塗布されてもよい。
【0098】
施与前に、パッチは様々な方法で予め成形可能に製造されてもよい。
【0099】
パッチは、形状調整可能な柔軟な材料、例えば、プラスチック材料または硬化に適した材料で製造されてもよい。
【0100】
例として、パッチの硬さは、例えば、とりわけ、放射線、液体の塗布、蒸発、加熱、化学反応または生物学的反応などの刺激の結果として、経時的に変化してもよい、好ましくは増加してもよい。
【0101】
また、パッチは、形状記憶を有する材料で製造されてもよく、特に、施与時に最終形状を取ることができるように製造されてもよい。
【0102】
パッチは、皮膜形成ポリマー材料、例えば、反応性シリコーンをベースにする皮膜形成ポリマー材料で製造されてもよい。
【0103】
パッチは、長手方向端部の少なくとも一方に延長部を備えてもよく、延長部は、目頭の窪み、および/または前記窪みから離れている目尻に施与されるようになっていてもよい。このような延長部は、目のひだを延長することによって、好ましい効果を目に与えることを可能にすることができる。
【0104】
延長部は、実質的に平坦であり、所定の非平面状の形状を有してもよい。特に、延長部が目頭の窪みを覆って配置されるようになっている場合、延長部は平坦であってもよい。逆に、延長部が目頭の反対側にある目尻を覆って配置されるようになっている場合、延長部は所定の非平面状の形状、特に回転楕円体状の形状を有してもよい。
【0105】
また、延長部は、特に、目頭の窪みを覆っておよび/またはその反対側にある目尻を覆って配置することが容易になるように、パッチの残りの部分より軟質の材料で製造されてもよい。
【0106】
延長部は、任意選択により、パッチの残りの部分と同じ材料で製造されてもよい。延長部とパッチの残りの部分は一体成型されてもよい。
【0107】
延長部の厚みは、例えば、10μm〜1mmの範囲にあってもよい。
【0108】
延長部は、パッチの残りの部分に連結されている箇所が、パッチの幅方向の狭窄部を形成してもよい。この狭窄部は蝶番を形成し、目頭の領域におけるパッチの傾斜の変化を容易にしてもよい。
【0109】
延長部にメークアップ化粧料および/またはケア製品が少なくとも一部塗布されていてもよい、および/または延長部はメークアップ化粧料および/またはケア製品を含んでもよい。
【0110】
前述のように、本発明の方法は、パッチを施与する前に目の輪郭の形状を取得する工程を含んでもよい。パッチは、目の輪郭の形状の取得の結果に応じて、予め成形されてもよい。
【0111】
例として、本方法は、目の輪郭の外観に所望の変化が得られるように、目の輪郭の形状、特に動き得る上眼瞼および/または動かない上眼瞼の形状の解析を可能にし、且つパッチの形状、特に動き得る上眼瞼に配置されるパッチの施与面の形状の演繹を可能にする解析システムを用いて実施されてもよい。
【0112】
従って、本発明は、前述の方法を実施するために、上記と独立して、または上記と組み合わせて、目の輪郭の形状を解析するシステムも提供する。
【0113】
本システムは、また、標準的な眼瞼の形状、例えば、とりわけ、美の規範に対応する形状、使用者の所望する形状、例えば、若い時の使用者の目の形状に対応する形状、またはさらには複数の人について行った評価の平均から得られる形状またはある年齢層および/または特定のタイプの人々に対応する形状に近づくように変えるため、動かないおよび/または動き得る上眼瞼の(1つ以上の)部分を識別するように構成されてもよい。
【0114】
特に、システムは、ある一定の人、特に若い人の動かないおよび/または動き得る上眼瞼の大部分が有する曲率の規則性に従っていない、動かないおよび/または動き得る上眼瞼の(1つ以上の)部分を判定するように構成されてもよい。
【0115】
システムは、特に、下垂した動かない上眼瞼の(1つ以上の)部分を識別するように構成されてもよい。システムは、また、動き得るおよび/または動かない上眼瞼の(1つ以上の)窪んだ部分を識別するのに役立つこともできる。
【0116】
システムは、シミュレーションにより作動することができる。従って、それは、パッチを施与した後の目の輪郭のレンダリングをシミュレートすることができるマイクロコンピュータまたはサーバーなどの計算手段を備えてもよい。例として、このような手段は、例えば、データベースを用いることによりおよび/または柔軟な物体に応力を加えるロジックに基づいて作動することができる。
【0117】
システムは、比較により、例えば、使用者の要望に応じた、または外観のモデルに応じた目標の形状に最も近い(1つ以上の)パッチを演繹することができる。
【0118】
システムは、また、演繹によりおよび計算により作動することもできる。例えば、システムは、例えば、目標の形状、例えば、使用者の要望に基づく、または外観のモデルに基づく目標の形状に対応するパッチの形状および/または剛性を演繹することができる。特に、柔軟な物体に応力を加えるロジックに基づいて、またはデータベースに基づいて、例えば、取得した経験から得られるものに基づいて演繹を行うことができる。
【0119】
好ましくは、システムは、シミュレートされたおよび/または計算された(1つ以上の)パッチの中から最良の快適さが得られる、特に厚みのもっとも小さい1つまたは複数のパッチを選択することを可能にするように構成される。
【0120】
システムは使用者インターフェースを備えてもよい。インターフェースは、例えば、目の輪郭に所望される最終形状、シミュレートされたもしくは演繹された最終形状、(1つ以上の)パッチの推定される快適さ、またはさらにはシミュレートされた最終形状の中からの最終形状の選択に関する入力を受ける役割を果たすことができる。
【0121】
システムは、複数の別々の要素として配設されてもよく、または単位装置として一体化されてもよい。適宜、データは所定の計算機に、または接続によりサーバーに伝送されてもよい。
【0122】
システムはまた、目の形状を、例えば、画像キャプチャで取り込むのに役立つこともできる。
【0123】
システムは、(1つ以上の)パッチを切り抜くおよび/または製造する、または適宜それらを注文するのに役立つことができる。
【0124】
システムは、例えば、スクリーンに表示される質問事項などのパッチに関して得られた結果に関する入力を受ける手段を備えてもよい。
【0125】
システムは、そのシミュレーション用および/または演繹用ツール、および/またはそのモデルを、任意選択により個別的に、漸進的に改良することを可能にする手段を備えてもよい。
【0126】
システムは、目の輪郭をレンダリングする色、および/または目の輪郭をレンダリングするテクスチャを最適化するのに役立つことができる。
【0127】
システムは、また、使用に適したメークアップ化粧料に関するより詳細なまたはより大まかなアドバイスを作成するのに役立つこともできる。
【0128】
システムは、両目を比較して両目の非対称性の問題を修正するように構成されてもよい。システムは、例えば、両目が対称であるか、否かを演繹するため、両目を比較することができる。システムは、例えば、画像解析に基づいて、より閉じている方の目を識別することができる。
【0129】
目の形状を取得し、パッチの選択および/または設計を助けるため、システムは1つ以上の画像取得を、特に、目の開き具合(例えば、半開きになるように閉じている時と開けている時の目の)に応じて行うことができる。
【0130】
また、実施者は、最も適切なパッチを決定するため、使用者が試着できる異なる標準的パッチを幾つか所定の数、有してもよい。
【0131】
本発明の方法は、前述の解析システムを使用する1つ以上の工程を含んでもよく、それらは任意選択により連続して行われる。
【0132】
上記と独立して、または上記と組み合わせて、本発明の例示的実施形態はまた、目の輪郭の外観を変えるパッチも提供し、パッチは、少なくとも2つの互いに垂直な曲率軸を中心とする曲率を有するように予め成形されている非平面状の施与面を有する。
【0133】
上記と独立して、または上記と組み合わせて、本発明の例示的実施形態はまた:
・動き得る上眼瞼にパッチを施与する前に多次元曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面を有する前述のパッチ、および/または、動き得る上眼瞼にパッチを施与した後、パッチの曲率を変えることによりパッチが取る形状を、動き得る上眼瞼とは独立して維持する傾向がある施与面を有するパッチ;および
・パッチの施与面に、パッチの反対側の面に、および/または動き得る上眼瞼に塗布される、特に即座に塗布されるメークアップ化粧料および/または接着剤および/または活性組成物;
を備えるキットも提供する。
【0134】
パッチは複曲率を有してもよい。
【0135】
上記と独立して、または上記と組み合わせて、本発明の例示的実施形態はまた:
・動き得る上眼瞼にパッチを施与する前に多次元曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面を有する前述のようなパッチ、および/または、動き得る上眼瞼にパッチを施与した後、パッチの曲率を変えることによりパッチが取る形状を、動き得る上眼瞼とは独立して維持する傾向がある施与面を有するパッチ;および
・眼鏡フレームおよび/または使用者の視力に適合する少なくとも1つの矯正レンズ;
を備えるキットも提供する。
【0136】
このようなキットは、例えば、レンズまたはフレームの色をパッチの色に一致させることにより、外見を変えることを可能にする。
【0137】
上記と独立して、または上記と組み合わせて、本発明の例示的実施形態はまた:
・動き得る上眼瞼にパッチを施与する前に多次元曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面を有する本発明の第1のパッチ、および/または、動き得る上眼瞼にパッチを施与した後、パッチの曲率を変えることによりパッチが取る形状を、動き得る上眼瞼とは独立して維持する傾向がある施与面を有するパッチ;および
・第1のパッチの施与面の形状と異なる施与面の形状、および/または第1のパッチの剛性および/または厚みと異なる剛性および/または厚みを有する本発明の第2のパッチ;
を備えるキットも提供する。
【0138】
これは、使用者が、所望の結果を得るのに最も適切なパッチを施与することを可能にすることができる。
【0139】
以下の本発明の非限定的な実施形態の説明を読み、図面の概略図および部分図を考察することにより、本発明をさらによく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1A】本発明の方法のパッチを使用しない場合の、目を閉じている時と目を開けている時の目の動かない上眼瞼と動き得る上眼瞼の相対的位置の例を示す図である。
【図1B】本発明の方法のパッチを使用しない場合の、目を閉じている時と目を開けている時の目の動かない上眼瞼と動き得る上眼瞼の相対的位置の例を示す図である。
【図2A】本発明のパッチを使用した場合、目を閉じている時と目を開けている時の目の動かない上眼瞼と動き得る上眼瞼の相対的位置の例を示す図である。
【図2B】本発明のパッチを使用した場合の、目を閉じている時と目を開けている時の目の動かない上眼瞼と動き得る上眼瞼の相対的位置の例を示す図である。
【図3A】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す図である。
【図3B】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す図である。
【図3C】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す図である。
【図3D】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す図である。
【図3E】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す図である。
【図4A】熱を加えて材料を膨張させることにより、本発明の方法に使用するのに適したパッチの剛性および/または厚みを変える可能性を示す図である。
【図4B】熱を加えて材料を膨張させることにより、本発明の方法に使用するのに適したパッチの剛性および/または厚みを変える可能性を示す図である。
【図4C】熱を加えて材料を膨張させることにより、本発明の方法に使用するのに適したパッチの剛性および/または厚みを変える可能性を示す図である。
【図5A】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す縦断面図である。
【図5B】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す縦断面図である。
【図5C】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す縦断面図である。
【図5D】本発明の方法に使用されるパッチの実施例を示す縦断面図である。
【図6A】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6B】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6C】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6D】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6E】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6F】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6G】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6H】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図6I】厚みおよび/または剛性が変化する、本発明の方法に使用されるパッチの他の実施例を示す図である。
【図7】厚みを変える必要なく剛性を変えるために、パッチ内に補強要素を使用する可能性を示す図である。
【図8A】一端に少なくとも1つの延長部を備える、本発明の方法に使用可能なパッチの可能性を示す略図である。
【図8B】一端に少なくとも1つの延長部を備える、本発明の方法に使用可能なパッチの可能性を示す略図である。
【図8C】一端に少なくとも1つの延長部を備える、本発明の方法に使用可能なパッチの可能性を示す略図である。
【図9】把持部と睫毛を当接支持する部分とを備える本発明のパッチの可能性を示す図である。
【図10】把持部と睫毛を当接支持する部分とを備える本発明のパッチの可能性を示す図である。
【図11a】凹部を有する本発明のパッチの実施例を示す図である。
【図11b】凹部を有する本発明のパッチの実施例を示す図である。
【図12】目の外見を変えるパッチの使用を示す図である。
【図13】目の外見を変えるパッチの使用を示す図である。
【図14】本発明のキットの実施例を示す図である。
【図15】本発明の方法を実施するために目の輪郭の形状を解析するシステムの実施例を示す図である。
【図16】本発明の方法で実施され得る工程の実施例を示す図である。
【図17】本発明の方法で実施され得る工程の実施例を示す図である。
【図18】本発明の方法で実施され得る工程の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0141】
図1Aおよび図1Bは、目を閉じている時(図1A)と目を開けている時(図1B)の、目4の動かない上眼瞼3と動き得る上眼瞼2の相対的位置の例を示す概略断面図である。
【0142】
図1Aと1Bを比較することにより、目4を閉じている時(図1A)、動き得る上眼瞼2は、目の瞳孔を覆うことが分かる。
【0143】
目4を開けている時(図1B)、動かない上眼瞼3は、動き得る上眼瞼2を少なくとも一部覆うように下垂していることが分かる。この現象は人の老化によって起こることが多く、望ましくない効果を有し、一般にそれを修正できることが望ましい。
【0144】
図2Aおよび図2Bは、それぞれ、図1Aおよび1Bの目4が開いている時の位置または閉じている時の位置に対応する。それにもかかわらず、パッチ1は、動き得る上眼瞼2に施与された。
【0145】
パッチ1は、施与前に複曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面1a、および/または、動き得る上眼瞼2にパッチを施与した後、パッチの曲率を変えることによりパッチが取る形状を、動き得る上眼瞼2とは独立して維持する傾向がある施与面1aを備えてもよい。
【0146】
パッチ1は、目4を閉じている時、動き得る上眼瞼2に施与される。目4を開けている時(図2B)、パッチ1は、動かない上眼瞼3の下垂を減少するのに寄与し、パッチ1は、動かない上眼瞼3を矢印Fの方向に持ち上げることにより、動き得る上眼瞼2に対する動かない上眼瞼3の相対的位置を変えることを可能にする。
【0147】
図3A〜図3Cは、パッチ1の第1の変形実施形態を示す。図3Aはパッチ1の斜視図であり、図3Bは図3Aのパッチ1のAAでの縦断面図であり、図3Cは図3Aのパッチ1のBBでの断面図である。
【0148】
この実施例では、パッチ1は、複曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面1aを有し、パッチ1は、例えば、回転楕円体状の部分を有する。パッチ1の施与面1aは、例えば、その長手軸Xとその横軸Yに沿って湾曲していてもよい。
【0149】
例として、パッチ1の厚みeは、1μm〜1ミリメートルmmの範囲にあってもよく、好ましくは5μm〜200μmの範囲にある。例として、パッチ1の剛性は、200kPa〜200GPaの範囲、好ましくは1MPa〜10GPaの範囲にある。この実施例では、パッチ1の厚みeと剛性は一定であるが、それらは一定である必要はない。
【0150】
パッチ1の曲率半径RおよびR(それぞれパッチ1の曲率軸XおよびYに関する)は、例えば、1.2cm〜1.6cmの範囲にあってもよい。
【0151】
その曲線長軸に沿って測定した場合、パッチ1の長さLは、2cm〜3cmの範囲にあってもよく、その短軸に沿って測定した場合、パッチ1の幅lは3mm〜10mmの範囲にあってもよい。
【0152】
図3Dは、本発明の方法に使用するのに適したパッチ1の別の変形実施形態、および/または本発明の方法に使用され得るパッチ1の模型を作るのに役立つ別の変形実施形態を示す。
【0153】
この実施例では、パッチ1は、例えば、同一平面上にない複数の小平面5を有する、回転楕円体状の部分を有する。
【0154】
図3Eは、本発明の方法に使用するのに適したパッチ1の第2の変形実施形態を示す。この実施例では、パッチ1は、施与前の形状が実質的に平面状であり、動き得る上眼瞼2にパッチを施与した後、パッチ1の曲率を変えることによりパッチ1が取る形状をパッチ1の可塑性により維持し、これが動き得る上眼瞼2とは独立している傾向がある施与面1aを有する。
【0155】
パッチ1の長さLは2cm〜3cmの範囲にあり、パッチの幅lは3mm〜10mmの範囲にあってもよい。
【0156】
例として、パッチ1の厚みeは1μm〜1ミリメートルmmの範囲にあってもよく、好ましくは5μm〜200μmの範囲にある。例として、パッチ1の剛性は、200kPa〜200GPaの範囲、好ましくは1MPa〜10GPaの範囲にある。この実施例では、パッチ1の厚みeと剛性は一定であるが、それらは一定である必要はない。
【0157】
図4A〜図4Cは、熱を加えて材料を膨張させることにより、本発明の方法に使用するのに適したパッチ1の剛性および/または厚みを変える可能性を示す。パッチを動き得る上眼瞼の所定の位置に配置する前、または配置した後、材料を膨張させることによりパッチの剛性および/または厚みを変えてもよい。
【0158】
パッチ1は、図4Aに示すように、パッチ1の全部または一部に存在する膨張性材料40aを備えてもよい。膨張性材料40aは、溶媒を内包する膨張性ポリマースフィア、例えば、Expansel(登録商標)スフィアを含んでもよい。
【0159】
熱源Cは、図4Aおよび図4Bに示すように、パッチ1を局所的に、例えば、ゾーンZを加熱する役割を果たすことができ、図4Bは、加熱後のゾーンZで得られた変化を示す。
【0160】
また、パッチの厚みおよび/または剛性を変えるために、パッチの下層よりサイズの小さい膨張性要素を配置することも可能である。
【0161】
熱源Cで熱を加えている時、パッチ1の厚みが変形するおそれ、またはパッチ1の剛性が変化するおそれを回避または低減するため、パッチ1を少なくとも2部1’および1”として、例えば、図4Cに示すように重なり合った部分として製造することも可能である。下部1”は、熱源Cによる加熱に対して非感受性であるように製造されてもよく、例えば、全部または一部、加熱により膨張しない材料40bから製造されてもよく、上部1’は、全部または一部、加熱により膨張する材料40aを含んでもよい。
【0162】
図5A〜図5Dは、パッチ1の実施例の縦断面を示す。
【0163】
図示するように、パッチ1の縦断面図の形状は、例えば、任意選択により丸みのある縁部を有する長方形、三角形、または半円形など、どのようなタイプの形状であってもよい。
【0164】
任意選択により、パッチの厚みeは変化してもよい。図5A〜図5Dの実施例は、施与面1aが施与時に成形されるパッチに対応する。図示されていない変形形態では、長手方向における厚みeの変化のプロファイルは、図5A〜図5Dに示すとおりであるが、施与面1aは、所定の位置に配置される前に、少なくとも2つの互いに垂直な曲率軸XおよびYを中心に曲げられ、例えば、施与面1aは回転楕円体状となる。
【0165】
図6A〜図6Iは、パッチ1の他の変形実施形態を示す。
【0166】
パッチ1の厚みeは、図6Aに示すように、パッチ1の横軸Yに沿って変化してもよく、またはパッチ1の厚みeは、図6B〜図6Hに示すように、パッチ1の長手軸Xに沿って変化してもよい。
【0167】
これらの図ではパッチ1は平坦であるように示されているが、下記の説明は、平面状ではない、例えば、球状の施与面を有するパッチにも適用される。
【0168】
図6Aに示すように、パッチ1の厚みeは周期的に変化してもよい。
【0169】
例として、パッチ1の厚みeは横方向で変化する。厚みeの変化により、外面1bからおよび/または施与面1aから突出する長手方向のリブが形成されてもよい。パッチ1の材料の密度は均一であってもよく、または密度は、厚みの小さいゾーンほど大きくなっていてもよく、例えば、パッチ1の前記ゾーンが圧縮される結果としてそのようになっていてもよい。
【0170】
また、図6Cに示すように、パッチ1の厚みeは単調に変化しても、例えば、パッチ1の一端から他端まで、例えば、長手方向の一端から他端まで増加または減少してもよい。
【0171】
パッチ1は、図6Bに示すように、パッチの残りの部分とは異なる厚みeを有する局所ゾーン13、例えば、厚みが局所的に大きくなっているゾーンを有してもよい。
【0172】
パッチ1の厚みeは、図6Hに示すように、パッチの長手方向端部より中心部の方が大きくなっていてもよく、または図6Gに示すように、パッチの端部より中心部の方が小さくなっていてもよい。この図では、パッチ1の外面1bに凹部14が形成されている。変形形態では、凹部は施与面1aに形成されている。
【0173】
パッチ1の厚みeは、図6D〜図6Fに示すように、複数のシート15を重ね合わせた結果として変化してもよい。これらのシート15は、互いに対して固定されていてもよい。
【0174】
例えば、複数のシート15、例えば、図6Iに示すように2枚のシート15aおよび15bを使用すると、パッチ1の剛性を大きくすることができる。シートは、ちょうど重ね合わせられてもまたは他の状態に重ね合わせられてもよい。例えば、上部シート15aは、下部シート15bを完全に被覆する必要はない。
【0175】
図6A〜図6Iの実施形態では、パッチ1の剛性および/または厚みは、また、長手軸X以外の1つ以上の軸に沿って変化してもよい。
【0176】
図7は、パッチの1つ以上のゾーンの剛性が変わるように、パッチ1に1つ以上の補強要素6を組み込む可能性を示す。例として、補強要素6は金属補強材、特に、直径が10μm〜200μmの範囲にある1つ以上のワイヤで、ポリエチレン糸などの硬質プラスチックまたはセラミック糸などの硬質材料で構成される補強材で構成されている。
【0177】
図8Aは、延長部7aおよび7bを備えるパッチ1を有する可能性を示す斜視図である。図8Bは、動き得る上眼瞼2に施与された延長部7aおよび7bを備えるこのようなパッチ1の概略正面図である。図8Cは、目頭の窪み16に施与される延長部7aを備えるパッチ1を示す概略断面図である。
【0178】
例として、延長部7aは、形状が実質的に平面状であってもよく、鼻17に隣接する目頭の窪み16に支持されるように設計されてもよく、延長部7bは、目頭の窪みと反対側にある目尻に配置されるように実質的に回転楕円体状の形状を有してもよい。
【0179】
延長部7aおよび7bは、パッチ1の中心部より軟質であってもよい。延長部7aおよび7bは、任意選択により、パッチ1の残りの部分と同じ材料で製造されてもよい。
【0180】
延長部7aおよび7bはそれぞれ、パッチ1の本体と協働してパッチ1の幅の各狭窄部RおよびR’を画成してもよい。このような狭窄部RおよびR’は、図8Cに示すように、変形性の大きいゾーンを画成し、パッチの延長部と本体との間の傾斜の変化点を得易くすることができる。
【0181】
図8A〜図8Cの実施例では、パッチ1は2つの延長部7aおよび7bを有するが、変形形態では延長部7aまたは7bを1つだけ有することもできる。
【0182】
図9は、例えば、施与面1aの反対側にある外面1bを延長する、把持部8aを備えるパッチ1の可能性を示す概略斜視図である。把持部8aは、その縁部18の1つがパッチ1の縁部に固定されていてもよい。
【0183】
把持部8aは平面状であり、動かない上眼瞼3を当接支持するようになってもよい。従って、把持部8aは、施与中、動かない上眼瞼3の形状に適合できるようにパッチ1の縁部の1つに屈曲可能に、例えば、蝶番連結により連結されていてもよい。
【0184】
把持部8aは、パッチ1を動き得る上眼瞼2の所定の場所に配置するおよび/またはそれを除去することをより容易にすることができる。例として、使用者は、パッチ1を動き得る上眼瞼2の所定の位置に配置するおよび/またはそれを除去することができるように、把持部8aでパッチ1を保持してもよい。
【0185】
図10は、睫毛を少なくとも一部当接支持するように構成された支持部8bを備えるパッチ1の可能性を示す。例として、支持部8bは、例えば、とりわけ、ケア製品および/またはメークアップ化粧料を睫毛に塗布するために、睫毛の曲率を変えるために、睫毛に機械的、生物学的、および/または化学的作用を及ぼすのに役立つことができる。例えば、支持部8bは、例えば、睫毛の曲率を変えるために、睫毛を少なくとも一部挿入することができるスロット19を備えてもよい。スロット19は、前述の模造睫毛および/または睫毛を、パッチ1の施与面1aの反対側の面1bの方に向けるゾーンの役割を果たすこともできる。支持部8bは平面状であり、パッチ1の残りの部分に屈曲可能に、例えば、蝶番連結により連結されていてもよい。適宜、支持部8bはまた、前述のように把持部の役割を果たしてもよい。
【0186】
図11aは、凹部9を備えるパッチ1の可能性を示す。凹部9は、任意選択により貫通穴であってもよく、例えば、動き得る上眼瞼2にメークアップ化粧料および/またはケア製品を塗布するのに役立つことができる。
【0187】
この実施例では、凹部9は横方向に細長い。変形形態では、図11bに示すように、凹部9は長手方向に細長くてもよく、図10を参照して前述したように、例えば、アイライナーを塗布することができるように、または睫毛を凹部9に挿入してそれらがある特定の曲率を有するように拘束することができるように、例えば、睫毛の近くに施与され得るパッチ1の縁の近くに位置してもよい。
【0188】
図14は、本発明のキット10の一実施例を示す。
【0189】
例として、キット10は、上記実施形態のいずれかに記載のパッチ1と、パッチ1の施与面1aに、施与面1aの反対側にある面1bに、および/または動き得る上眼瞼2に塗布するのに適したメークアップ化粧料および/または接着剤および/または活性組成物を収容する少なくとも1つの容器11とを備える。
【0190】
変形形態において、または組み合わせにおいて、キットは、パッチ1に関連する眼鏡フレームおよび/または矯正レンズを備えてもよい。
【0191】
図15は、本発明の方法を実施するために目の輪郭の形状を解析する解析システム20の一実施例を示す。
【0192】
例として、解析システム20は、コンピュータ21と、コンピュータ21に接続されたプリンタ22と、目の輪郭の形状の取得を可能にするカメラ23とを備えてもよく、カメラも同様にコンピュータ21に接続される。
【0193】
コンピュータ21は通常のものであり、中央装置24と、スクリーン25と、キーボード26およびマウス27を含む使用者インターフェースとを備えてもよい。
【0194】
解析システム20はまた、パッチを成形する装置30を備えてもよい。パッチを成形する装置30は、例えば、カメラ23で形状を取得した後、パッチを動き得る上眼瞼に施与する前に、パッチの施与面の形状を変える役割を果たすことができる。
【0195】
解析システム20は、前述のように使用してもよい。例えば、解析システム20は、使用者の皮膚について行った測定に基づいてパッチを製造するのに役立つことができる。解析システム20は、光学的または音波取得により、例えば、立体視により、干渉縞投影、超音波等により、例えば、触針式測定装置により、眼瞼の起伏を3Dで取り込むことを可能にすることができる。
【0196】
目を閉じた状態でおよび/または眼瞼に対して移動させて、静的にまたは動的に起伏を取得してもよい。
【0197】
適宜、目の外見および眼瞼の機械的動きに対するこれらのパッチの効果を判定するため、眼瞼に配置される1つ以上の所定のパッチを使用して、取得を行ってもよい。
【0198】
図16〜図18は、本発明の方法で実施され得る工程の実施例を示す略図である。
【0199】
例として、本方法は、図16に示すように、例えば、前述の解析システム20を使用して目の輪郭の形状を取得する工程Ia、それに続く、使用可能なパッチの範囲から目の形状に適切なパッチを選択する工程IIa、および最後に、このようにして選択されたパッチを動き得る上眼瞼に施与する工程IIIを含んでもよい。
【0200】
例えば、工程IIaで、使用者にサイズおよび/または形状の異なる複数のパッチを提供してもよく、例えば、共通の包装に入れて提供してもよく、使用者は、形状取得の結果を考慮して、これらのパッチ中から所望の効果を得るのに最も適したパッチを選択することができる。使用者は、逐次近似法でまたは専門家のアドバイスに従って行ってもよい。適宜、パッチの包装は、例えば、眼瞼の曲率および/または寸法、例えば、水平面における曲率と鉛直面における曲率を評価するのに役立つ1つ以上のテンプレートを含んでもよい。
【0201】
変形形態では、図17に示すように、本方法は、目の輪郭の形状を取得する工程1a、それに続く、目の形状に対応するパッチを製造する工程IIb、および最後に、このようにして製造されたパッチを動き得る上眼瞼に施与する工程IIIを含んでもよい。
【0202】
例として、工程IIbで、パッチは、工場で、販売時点で、または使用する場所で、裁断する、機械加工する、成型する、圧縮する、熱間成形することにより、または他の何らかの方法で、形状の取得の結果に応じて成形されてもよい。パッチの最終形状は、工程IIIで所定の場所に配置する前に、任意選択によりパッチの使用者に提供される成形機で付与されてもよい。
【0203】
変形形態では、施与前のパッチの施与面の形状は、動き得る上眼瞼の形状に応じたものでなくてもよく、使用者は、動き得る上眼瞼にパッチを施与した後、形状取得の結果に応じて、動き得る上眼瞼の形状に適合する形状をパッチに付与し、施与後、この形状は動き得る上眼瞼と独立して維持されることになる。
【0204】
例として、パッチは、基本構造から切り取ることによって製造されてもよい。例として、基本構造はプラスチック材料で製造され、1つ以上の回転楕円体状の形状、特に、球状の形状を備え、それからパッチを切り抜いてもよい。回転楕円体状の形状の直径は、目の直径に近くてもよい。実際上、回転楕円体状の形状の直径は、26mm〜28mmの範囲にあってもよい。
【0205】
図18は、少なくとも1つのパッチを、例えば、包装に入れて提供する工程Ib、目の輪郭の外観に所望の変化を変えるのに適した使用可能なパッチの範囲から目の形状に適合するパッチを選択する前述の任意の工程IIa、およびパッチを動き得る上眼瞼に施与する工程IIIを含む、本発明の方法を示す。
【0206】
パッチを動き得る上眼瞼に施与する前述の工程IIIでは、パッチの施与は、例えば、接着剤を用いて行っても、もしくは用いずに行っても、および/または化合物、例えば、活性剤を動き得る上眼瞼に、パッチの施与面に、および/または施与面の反対側のパッチの面に存在させて行っても、もしくは存在させずに行ってもよい。
【実施例】
【0207】
透明ポリエチレンテレフタレート(PET)材料から吹込成形法で半回転楕円体を作製した。半回転楕円体は、厚み約10μm、曲率半径約14mmの球状の形状を有する。
【0208】
その後、鋏を使用して半回転楕円体からパッチを切り抜いたが、パッチの縦断面は細長い卵形であり、例えば、長さ(経線に沿って測定)2.5cm、3cm、または3.5cm、最大幅(緯線に沿って測定)1.2cm以下、好ましくは1cmであった。
【0209】
供給業者Eastman Chemicalsにより販売されているAC1350(登録商標)タイプの分岐鎖スルホン酸ポリエステルポリマーの50%水溶液をパッチの施与面に堆積させた。
【0210】
図12および図13は、このようなパッチ1を使用することにより得られる、人に対する効果を示す2枚の写真を示す。
【0211】
図12は、左目(その人を見たとき、左側に位置する)の動き得る上眼瞼2での透明パッチ1の配置を示す。パッチ1は、動き得る上眼瞼2を閉じている時に施与した。
【0212】
パッチ1は、接着剤を使用してもしくは使用せずに、または湿潤組成物、例えば、保湿クリームもしくはゲルを使用して、動き得る上眼瞼2の所定の場所に保持されてもよい。
【0213】
図13に、パッチ1を貼った後に得られる、左目に対する効果を示す。
【0214】
右目と比較することによって分かるように、パッチ1は、実際上、動き得る上眼瞼を覆わないように、動かない上眼瞼3の下垂を大幅に減少させるのに役立つ。
【0215】
「1つの〜を含む(comprising a)」という用語は、「少なくとも1つの〜を含む(comprising at least one)」と同義である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目の輪郭の外観を化粧的に変える方法であって、少なくとも1つのパッチ(1)を動き得る上眼瞼(2)に施与する工程を含み、前記パッチ(1)の施与面(1a)が多方向曲率を有する所定の非平面状の形状を有するか、または少なくとも1つのパッチが眼瞼上で多方向曲率を取りかつ応力を取り除いたときに前記曲率を維持するように、非弾性変形することにより応力に応答するのに適した材料で製造されている、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパッチ(1)は、その施与面(1a)が、前記動き得る上眼瞼(2)の形状に少なくとも部分的に一致するように予め成形されているおよび/または予め成形可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パッチ(1)の前記施与面(1a)が、回転楕円体状、特に球状、放物面状、または双曲面状である少なくとも1つの部分を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転楕円体状の少なくとも1つの部分の曲率半径(R、R)が、1.2cm〜1.6cmの範囲にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記パッチ(1)、特に前記少なくとも1つの回転楕円体状の部分、の厚み(e)が、1μm〜1mmの範囲、特に5μm〜200μmの範囲にある、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記パッチ(1)、特に前記少なくとも1つの回転楕円体状の部分、の剛性が、200kPa〜200Gpaの範囲、特に1MPa〜10Gpaの範囲にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのパッチ(1)が、2cm〜3cmの範囲の長さ(L)及び3mm〜10mmの範囲の幅(l)を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのパッチ(1)が、前記パッチ(1)の前記施与面(1a)においておよび/または前記施与面(1a)の反対側の面(1b)において、任意的に貫通した、凹部(9)を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記施与面(1a)と反対側にある前記パッチの外面(1b)が、睫毛および/または模造睫毛を保持するゾーンを備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのパッチ(1)が、目または眼瞼のケア用の活性剤を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのパッチが、睫毛を少なくとも部分的に当接支持するように構成されている部分(8b)を備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記パッチの前記施与面(1a)と前記施与面の反対側の面(1b)との間で測定される前記パッチ(1)の厚み(e)、および/または前記パッチの剛性が、前記パッチの少なくとも1つの軸に沿って変化する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記パッチ(1)を施与する前に、目の輪郭の形状を取得する工程を含み、前記少なくとも1つのパッチ(1)が、目の輪郭の形状の取得の結果に応じて予め形成される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
目の輪郭の外観を変えるためのパッチ(1)であって、少なくとも2つの互いに垂直な曲率軸(X、Y)を中心とする曲率を有して予め形成されている非平面状の施与面(1a)を有するパッチ。
【請求項15】
・動き得る上眼瞼(2)にパッチを施与する前に多次元曲率を有する所定の非平面状の形状の施与面(1a)を有するパッチ(1)、および/または、前記パッチを前記動き得る上眼瞼に施与した後に前記パッチ(1)の曲率を変えることにより前記パッチが取る形状を、前記動き得る上眼瞼(2)とは独立して維持する傾向がある施与面(1a)を有する前記パッチ(1)および;
・前記パッチ(1)の施与面に、前記パッチの反対側の面におよび/または前記動き得る上眼瞼(2)に施与するためのメークアップ化粧料および/または接着剤および/または活性組成物
を備えるキット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−517084(P2013−517084A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549447(P2012−549447)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050191
【国際公開番号】WO2011/086530
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】