説明

目土散布機

【課題】
コンベアーベルトにより送り出された目土を広い散布幅で芝目の奥深くに効率良く入れることのできる目土散布機を提供する。
【解決手段】
前輪と2つの後輪を有する走行可能な台車と、その台車の後輪の上方に設けられ目土を収容するホッパーと、そのホッパーの下方に設けられる下部出口と、その下部出口を通って前記ホッパーから供給される目土を台車の後方に搬送する環状のコンベアーベルトと、前記コンベアーベルトの搬送方向の下流側に設けられ前記コンベアーベルトにより搬送された目土を散布するブラシとを有する目土散布機において、前記コンベアーベルトは、前記走行可能な台車の2つの後輪の上方にかつ2つの後輪の両方にわたる幅で載置され、前記コンベアーベルトの搬送方向は、2つの後輪の車軸上で台車の後方に行くに従って低くなるように傾斜されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場・公園などにおいて、芝生に目土(目砂)を散布する目土散布機に関するものである。特に、本発明は、従来のものに比べて目土を芝目の奥深くに効率良く入れることができる目土散布機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場、公園などでは、芝生の育成のために、芝目間に目土を散布することが行われている。その作業には、台車で走行しながらホッパー内に収容された目土を散布する目土散布機が用いられる。
【0003】
従来のこの種の目土散布機を、図1を使用して説明する。図1は、従来の目土散布機の全体側面図である。図において、1はエンジン2により自走可能な走行台車で、前輪1aと後輪1bを有し、油圧モータ3によって駆動される。4は目土を入れるホッパーで、走行台車1の後輪1bの上方に設けられる。このホッパー4の下方は開放しており、開放部の下にコンベアーベルト5が配設される。6は前記コンベアーベルト5の下流後端に設けられた回転ブラシで、コンベアーベルト5より送り出された目土を地表に勢いよく散布する。7は目砂の送り出し量を調整するシャッターである。8はシャッター7の調整レバーである。
【0004】
かかる目土散布機は、エンジン2により走行しながら、散布レバー9の操作によってコンベアーベルト5と回転ブラシ6が駆動され、目土はコンベアーベルト5によって台車の後方へ送り出され、回転ブラシ6によって芝生面へ散布される。
【0005】
この従来の目土散布機を用いて目土を散布する場合、コンベアーベルト5が後輪1bの上方に位置しているために、その落下始点高さが高位置となり、一定の散布角度θ°で散布されると、地表面ではその散布幅がL1と後方に広くなる。従って、散布された目砂は、芝生の地表面を転がった状態で散布されるので、芝目の奥深くに入らない欠点を有する。
【0006】
また、この場合、タイヤ径を小径としてコンベアーベルトを低位置に設けることもできるが、使用場所がゴルフ場の特にグリーン上の場合、タイヤの轍を防止する為に、接地圧を軽減する幅広のタイヤが好まれる。しかしながら、小径タイヤでは幅広のものにするにも限度があり、幅広タイヤを選択すると大径となってしまう。
【0007】
また、別の観点から、散布落下始点高さを低位置にするために、走行台車の後輪を車体の横側に配置して2つの後輪の内側にコンベアーベルトを設け、散布落下始点高さを低位置にした散布機も存在するが(特許文献1の図1,2参照)、この散布機は、散布幅が2つの後輪分だけ狭く、散布幅を広げようとすると車体全体の全幅も広くなって、ゴルフ場・公園等の管理道路を走行する際に制約を受ける問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−210934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消するために創案されたものであり、その目的は、ホッパーから供給されたコンベアーベルトにより送り出された目土を広い散布幅で芝目の奥深くに効率良く入れることのできる目土散布機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、目土を送り出すコンベアーベルトを2つの後輪の上方で車体幅全体にわたって設けたうえで、コンベアーベルトを台車の後方に行くに従って低くなるように傾斜させることによって、上記目的を達成できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
即ち、本発明は、前輪と2つの後輪を有する走行可能な台車と、その台車の後輪の上方に設けられ目土を収容するホッパーと、そのホッパーの下方に設けられる下部出口と、その下部出口を通って前記ホッパーから供給される目土を台車の後方に搬送する環状のコンベアーベルトと、前記コンベアーベルトの搬送方向の下流側に設けられ前記コンベアーベルトにより搬送された目土を散布するブラシとを有する目土散布機において、前記コンベアーベルトは、前記走行可能な台車の2つの後輪の上方にかつ2つの後輪の両方にわたる幅で載置されていること、及び前記コンベアーベルトの搬送方向は、2つの後輪の車軸上で台車の後方に行くに従って低くなるように傾斜されていることを特徴とする目土散布機である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の目土散布機は、コンベアーベルトを、後輪の車軸上で台車の後方に行くに従って傾斜されているので、散布始点位置高さが低くなり、コンベアーベルトと回転ブラシから散布される散布角度がθ°が同じであっても、地表面での散布幅を狭くすることができると共に、その散布角度域を、コンベアーベルトを傾斜させた角度分だけ垂直(β°からα°)になるので、目土を芝目の奥深くに入り込ませることができる。更に、本発明の目土散布機は、コンベアーベルトを後輪の上方に車体幅全体にわたって載置しているので、車体幅一杯の散布幅で目土を散布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、従来の目土散布機の全体側面図である。
【図2】図2は、本発明の目土散布機の一実施形態を示す全体側面図である。
【図3】図3は、図2の本発明の目土散布機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目土散布機を図面に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図2は本発明の目土散布機の一実施形態の全体側面図である。図3は、図2の本発明の目土散布機の背面図である。図において、前述した図1の従来の目土散布機と同一又は相当部分は同一符号を付けて説明を省略する。また、以下においては、本発明の独自の特徴部分に絞って説明する。
【0016】
本発明の目土散布機では、コンベアーベルト5は2つの後輪1bの上方に載置され、後輪1bの車軸1c上で走行台車1の後方へ行くに従って低くなるように傾斜されている。従って、本発明の散布機のコンベアーベルトの後端の散布落下始点高さは、図2からわかるように、図1の従来の散布機と比べて低い位置になる。
【0017】
この場合、図1の散布機と同じ一定の散布角度(θ)で散布されると、本発明の散布機の地表面での散布幅(L2)は図1の散布機の散布幅(L1)より狭くなる。従って、本発明の散布機は、散布角度域を図1の散布機に比べて垂直方向に立ち上げることができ、結果として、コンベアーベルトより送り出された目土を芝目の奥深くに入れることができる。
【0018】
また、本発明の散布機では、図3から良くわかるように、コンベアーベルト5は2つの後輪1bの上方に載置され、しかも2つの後輪の両方にわたる幅、即ち車体幅いっぱいに載置されている。従って、本発明の散布機は、車体全体の幅を広げずに散布幅を広く保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の目土散布機は、ホッパーから供給されたコンベアーベルトにより送り出された目土を広い散布幅で芝目の奥深くに効率良く入れることのできるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0020】
1. 走行台車
1a.前輪
1b.後輪
1c.後輪車軸
2. エンジン
3. 油圧モータ
4. ホッパー
5. コンベアーベルト
6. 回転ブラシ
7. シャッター
8. 調整レバー
9. 散布レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と2つの後輪を有する走行可能な台車と、その台車の後輪の上方に設けられ目土を収容するホッパーと、そのホッパーの下方に設けられる下部出口と、その下部出口を通って前記ホッパーから供給される目土を台車の後方に搬送する環状のコンベアーベルトと、前記コンベアーベルトの搬送方向の下流側に設けられ前記コンベアーベルトにより搬送された目土を散布するブラシとを有する目土散布機において、前記コンベアーベルトは、前記走行可能な台車の2つの後輪の上方にかつ2つの後輪の両方にわたる幅で載置されていること、及び前記コンベアーベルトの搬送方向は、2つの後輪の車軸上で台車の後方に行くに従って低くなるように傾斜されていることを特徴とする目土散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−152106(P2012−152106A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11149(P2011−11149)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(391020090)初田拡撒機株式会社 (8)
【Fターム(参考)】