説明

目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック

【課題】 目地板を境界ブロックの間に挿入する際、その隙間の微調節は必ず行なわなければならず面倒であった。また境界ブロックを並べる際、目地板がずれるので、その位置決めをしなければならなかった。更に目地板は境界ブロックの間に密着されていないと接着剤を多く使用したり、その役目が果せず、接着力が激減してしまう。このため本考案は簡単な作業でコンクリ−ト境界ブロックの施工が効率良く行えると共に安定した接着力が必ず得られる目地板を有するコンクリ−ト境界ブロックを提供することを目的とする。
【解決手段】 ブロック体1の一端に目地板2がインサ−ト3を介して一体に設けられ、且つ前記目地板2の他端面に接着用の溝穴21を形成し、前記目地板2の上面から前記溝穴21の中心付近に渡って充填溝22を穿設させる構造とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は道路工事又は土地境界の施工に使用する目地板を有するコンクリ−ト境界ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路工事又は土地境界の施工などの土木工事に於いて、コンクリ−ト境界ブロックを使用する際には、境界ブロックを先に並べて置き、該境界ブロックの間にセメントが細い左官コテで押し込まれて気密性を保持させていた。しかしセメントの押し込む作業は、天候に左右されて工期が遅れたり、その作業に熟練技能を必要とするため素人が容易に応援出来なかった。このため、本考案者が実用新案登録第3006815号「コンクリ−ト境界ブロック用目地板」を提案し、これを使用して施工すれば、天候に余り左右されず、且つ作業が簡単で誰にでもコンクリ−ト境界ブロックの施工が出来るようになった。この目地板は弾力性を有し、境界ブロック間に接着剤を流し込むことにより、気密性が保持されるものであった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前記目地板は予め並べられた境界ブロックの間に挿入する際、境界ブロックの隙間が狭い時には、必要な隙間を確保するために後方の境界ブロックを移動させなければならず、面倒であった。又、境界ブロックの隙間が広過ぎる時には、且つ目地板を挿入した後から後方の境界ブロックを押し付けて密着させなければならず、境界ブロックの隙間の微調節は、目地板を挿入する際に必ず行わなければならなかった。しかも境界ブロックを並べる際、凹みがあると目地板が境界ブロックの間で、下方に下がってしまい、その目地板を持ち上げるには大変手間が掛り、且つ突部があると、目地板が境界ブロックの上部や横部から出てしまい、その都度、両境界ブロック間の地面を平らに削ったりしてうまく収まるように位置決めをしなければならなかった。更に前記目地板は境界ブロックの間に密着されていないと接着剤を多く使用したり、或いは接着剤の役目が果せず、接着力が激減する等の問題点があった。
【0004】
本考案は境界ブロックを単に並べると共に目地板の充填溝から接着剤を流し込むだけの簡単な作業でコンクリ−ト境界ブロックの施工が効率良く行える目地板を有するコンクリ−ト境界ブロックを提供する。又、他の目的として、目地板の位置決め作業を省略すると共に安定した接着力が必ず得られる目地板を有するコンクリ−ト境界ブロックを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本考案は成されたものであり、つまり、ブロック体の一端に目地板がインサ−トを介して一体に設けられ、且つ前記目地板の他端面に接着用の溝穴を形成し、前記目地板の上面から前記溝穴の中心付近に渡って充填溝を穿設させる構造とする。
【0006】
【考案の実施の形態】
図1,図2は本考案の実施形態を図であり、これに基づき説明する。(1)は道路工事又は土地境界の施工に使用するコンクリ−ト境界ブロック体である。(2)はブロック体(1)の一端面へ一体に設けた目地板であり、該目地板(2)
の形状はブロック体(1)の端面と同一形状で且つその厚さが15mm前後である。
また前記目地板(2)の表側端面には、円形或いは多角形で且つその深さが 0.5mm〜2mmの接着用の溝穴(21)が形成され、又、その目地板(2)の上面から前記溝穴(21)の中心付近に渡って半円形或いはU字状の充填溝(22)が穿設されている。更に目地板(2)の材質としてはゴム板或いはゴム系発泡体の抜きもの、またはゴム板或いは発泡体の粉砕品を合成樹脂等で固めて成形したものを用いる。尚、ゴム系発泡体の発泡倍率は3〜20倍の範囲のものが良いが、7倍のものが最良である。又、前記溝穴(21)の深さは接着層の厚みと成り、その大きさは大きくなればなるほど接着面積が増加される。(3)は金属製或いは合成樹脂製のインサ−トであり、これはブロック体(1)と目地板(2)を連結するものである。
【0007】
本考案品を製造する時には、先ず初めにインサ−ト(3)を目地板(2)用の型にセットし、そこにゴム板或いは発泡体の粉砕品に合成樹脂等を混入したものを入れて固めることにより、目地板(2)が成形されるのである。尚、ゴム板或いはゴム系発泡体を抜いて成形した目地板(2)の場合には、インサ−ト(3)
を取付ける穴や凹みが予め設けられており、そこへインサ−ト(3)を取付ければ良い。この時には、インサ−ト(3)の一部が目地板(2)の一端から突出される。次に前記目地板(2)をコンクリ−ト境界ブロック用の型の所定位置にセットしてから、コンクリ−トを流し込むことにより、ブロック体(1)が成型されると同時に目地板(2)は前記インサ−ト(3)を介して一体に固着されるのである。
【0008】
次に本考案品を用いて道路工事又は土地境界の施工を行う場合について説明する。先ず目地板(2)が端面に設けられたブロック体(1)を用意し、それを所定位置に順次配置させる。この時、目地板(2)がブロック体(1)間に必ず来るように配置すると共に隙間が出来ないように押し付けて密着状態を確保しながら配列させる。その後、目地板(2)の上面の充填溝(22)位置から図3の矢印のように接着剤を流し込む。すると、充填溝(22)の下方が溝穴(21)中心付近まで達しているので、ここから接着剤が流れ込んで下方から順次充填でき、且つ接着剤を多量に流し込んだ際であっても、溝穴(21)内部にある充填溝(22)の横から接着剤が流れ出て充填出来るので、接着作業が素早く、且つ充填も確実に行えるものとなる。その溝穴(21)が充填された後は、次の目地板(2)の充填溝(22)から前記同様に接着剤を順次注入して行けば良い。このように本考案品はブロック体(1)を並べる前に、該ブロック体(1)の端面に目地板(2)が固着して定位置へ常に保持されるため、ブロック体(1)を単に並べるだけで、従来のような目地板(2)のずれや外れがなくなるのである。またブロック体(1)と目地板(2)の隙間も殆どない密着状態で接着して固定されるので、安定した接着力を得ることが出来る。
【0009】
【考案の効果】
本考案はこのように構成させたことにより、下記の効果を有する。
【0010】
請求項1に示すようにブロック体(1)の一端面には、これと同一形状の目地板(2)がインサ−ト(3)を介して一体に設けられたこと、前記目地板(2)
の表側端面の上方から溝穴(21)の中心付近に渡って充填溝(22)を穿設したことにより、ブロック体(1)に目地板(2)が固着されるので、ブロック体(1)を並べる場合、単に押え付けながら並べるだけでブロック体(1)間が密着状態となって配置でき、従来のようなブロック体(1)間の隙間の微調節作業が不要となり、且つ目地板(2)の位置ずれ調節作業も不要となる。従って、本考案品を用いてコンクリ−ト境界ブロックの施工を行えば、誰にでも簡単に、且つ素早く行えるため施工費のコストダウンに寄与できる。しかもブロック体(1)と目地板(2)の隙間も殆どない密着状態で接着して固定されるので、安定した接着力を得ることが出来る。
【0011】
請求項2に示すように目地板(2)をゴム板或いはゴム系の発泡体で形成させたことにより、ブロック体(1)間の目地板(2)は、気候条件の変化によるブロック体(1)自体の伸縮等で目地部の隙間に変動が生じても、目地板(2)には弾力性を有しているので充分に追従でき、長期間に渡る気密性の確保が可能となる。
【0012】
請求項3のように目地板(2)がゴム板又は発泡体の粉砕品を合成樹脂等で固めて成形されることにより、耐摩耗性と耐候性が良好なものとなる。尚、前記ゴム板又は発泡体の粉砕品は産業廃棄物とならずに再利用できるので、資源の有効利用に貢献できる。
【0013】
請求項4のように充填溝(22)の形状を半円形或いはU字状に設けることにより、接着剤の流し込みがスム−ズに行え、且つ接着剤が溝穴(2)を確実に充填出来るものとなる。
【提出日】平成7年10月3日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ブロック体(1)の一端面には、これと同一形状の目地板(2)が金属製或いは合成樹脂製のインサ−ト(3)を介して一体に設けられ、且つ前記目地板(2)の表側端面には接着用の溝穴(21)を形成し、前記目地板(2)の上面から前記溝穴(21)の中心付近に渡って充填溝(22)を穿設したことを特徴とする目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック。
【請求項2】 前記目地板(2)がゴム板或いはゴム系の発泡体である請求項1記載の目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック。
【請求項3】 前記目地板(2)がゴム板又は発泡体の粉砕品を合成樹脂等で固めて成形される請求項1記載の目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック。
【請求項4】 前記充填溝(22)の形状が半円形或いはU字状である請求項1記載の目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3022288号
【登録日】平成7年(1995)12月27日
【発行日】平成8年(1996)3月22日
【考案の名称】目地板を有するコンクリ−ト境界ブロック
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−9076
【出願日】平成7年(1995)8月4日
【出願人】(394014870)東海シーラント工業株式会社 (1)