説明

目地部の挙動再現装置及び目地部の挙動再現方法

【課題】実際の外壁部や床部の仕様に即して目地部の挙動を再現して、短期間で信頼性の高い試験結果を効率良く得ることができ、しかも簡単な構造で小型化を実現でき、コスト削減も図ることができる目地部の挙動再現装置を提供する。
【解決手段】この目地部の挙動再現装置は、外壁板又は床板からなる複数の板材11、61・・と、吸放湿に伴って寸法変化する下地板20とを備え、複数の板材11、61・・の端部間に目地部12、62を形成するように、複数の板材11、61・・を下地板20上に並設状態で取り付けて、下地板20の吸放湿に伴う寸法変化に応じて、複数の板材11、61・・を互いに近接離間する方向に移動させて、目地部12、62をその隙間幅が増減するように挙動させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として建物の外壁板間や床板間に生じる目地部の挙動を再現する挙動再現装置及び挙動再現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等の建物の外壁部は、複数の外壁板を並設することで構成され、また床部は、複数の床板を並設することで構成されている。これら外壁部の外壁板間や床部の床板間には、筋状の目地部が生じている。このような外壁部や床部における目地部は、建物の施工当初において所定幅の隙間が確保されている(隙間がない場合もある)が、施工後の温度変化や湿度変化に伴う外壁板や床板の寸法変化(膨張収縮)によって、その隙間幅を変化させるように挙動する。
【0003】
外壁部においては、例えば目地部を埋めるようにパテ材が充填されて、このパテ材を覆うようにして外壁板の表面に塗装が施されているが、隙間幅を増大するように目地部が挙動すると、塗膜の筋割れが生じて見栄えを損なうといった不具合があった。また、床部においては、例えば目地部に釘を打ち込んだり、接着剤を塗布することで、実嵌合された床板端部同士が接合されているが、隙間幅を増大するように目地部が挙動すると、幅広の目隙が生じて見栄えを損なうといった不具合があった。
【0004】
そこで、このような不具合を生じさせないようにするための各種対策、例えば外壁部における目地部に充填するパテ材やその上に吹き付ける塗料、さらには目地部の形状、床部における床板端部同士の接合方法等についての改良が種々検討されている。各種対策が有効であるか否かを検証するためには、外壁部や床部における目地部の挙動を再現して、塗膜の筋割れや目隙の発生等を確認するための試験を行う必要がある。
【0005】
従来より、目地部の挙動を再現する装置としては、対向配置させた一対の目地構成部材を黒色のアクリル樹脂製帯板材に連結して、屋外暴露による温度変化に伴うアクリル樹脂製帯板材の熱膨張、熱収縮を利用して、目地構成部材を相対的に近接離間させることで、目地部を挙動させるようにした構造のものがある。また、対向配置させた一対の目地構成部材を、駆動モータ等の動力源を利用して相対的に近接離間させることで、目地部を挙動させるようにした構造のものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−190921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のいずれの装置においても、一対の目地構成部材を対向配置させて単に目地部を形成しているだけであって、外壁板や床板を並設して目地部を形成した実際の構造とは程遠い構造となっていて、実際の外壁部や床部の仕様に即して目地部の挙動を再現することができず、例えば外壁部における塗膜の筋割れや床部における目隙の発生等を確認するための試験を行うには不向きな構造となっていた。
【0008】
また、アクリル樹脂製帯板材の熱膨張、熱収縮を利用して目地部を挙動させる場合には、アクリル樹脂製帯板材が目地構成部材の長手方向中央部や両端部にスポット的に連結されていて、アクリル樹脂製帯板材の熱膨張、熱収縮によって目地構成部材に対して局部的
に力が加わるようになっているので、目地構成部材が湾曲し易くなって、目地部全長に亘ってその隙間幅を均等に増減させることが困難となり、試験結果にばらつきが生じ易いといった不具合もあった。
【0009】
さらに、駆動モータ等の動力源を利用して目地部を挙動させる場合には、構造が複雑で大掛かりになり、製造費も高価になるといった不具合があった。しかも、同時に複数の試験を行うには、その分だけ高価な装置を用意する必要があり、設備費を抑えた効率の良い試験を行うことが困難であった。
【0010】
一方、実際の外壁部や床部と同構造の装置を用いて、原寸大の外壁板や床板の温度変化や湿度変化に伴う寸法変化(膨張収縮)によって、目地部の挙動を忠実に再現すれば、例えば外壁部における塗膜の筋割れや床部における目隙の発生等を確認するための試験を精度良く行うことができるが、試験に長期間を要するとともに、装置自体も大型化するといった不具合があった。
【0011】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、実際の外壁部や床部の仕様に即して目地部の挙動を再現して、短期間で信頼性の高い試験結果を効率良く得ることができ、しかも簡単な構造で小型化を実現でき、コスト削減も図ることができる目地部の挙動再現装置及び目地部の挙動再現方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の目地部の挙動再現装置1、2は、外壁板又は床板からなる複数の板材11、61・・と、吸放湿に伴って寸法変化する下地板20とを備え、前記複数の板材11、61・・の端部間に目地部12、62を形成するように、前記複数の板材11、61・・を前記下地板20上に並設状態で取り付けて、前記下地板20の吸放湿に伴う寸法変化に応じて、前記複数の板材11、61・・を互いに近接離間する方向に移動させて、前記目地部12、62をその隙間幅が増減するように挙動させるようにしたことを特徴としている。
【0013】
具体的に、前記下地板20は、前記複数の板材11、61・・よりも吸放湿に伴う寸法変化を大としたパーティクルボードからなる。また、前記複数の板材11、61・・における目地部12、62側の端部とは反対側の端部のみを、前記下地板20に固着している。
【0014】
さらに、前記下地板20に、その板面方向への寸法変化を許容しながら反りを規制するガイド部材40を取り付けている。具体的に、前記ガイド部材40は、前記下地板20の下面側に複数の連結部材50・・を介して取り付けて、前記目地部12、62に対して略直交する方向に沿って互いに平行に配置した一対のレール材41、41からなり、これらレール材41、41は、その長手方向に沿ったリブ42、42付きの上向き溝43を有し、前記連結部材50・・は、前記下地板20を上下方向に貫通したボルト51と、このボルト51の前記下地板20の下面から突出した下端部に連結して、上向き溝43内に摺動可能且つ回転不能に配した摺動体52と、前記ボルト51の前記下地板20の上面から突出した上端部に螺合したナット53とを備え、前記ナット53を締め付けることで、前記摺動体52と前記ナット53によって前記下地板20及び前記上向き溝43のリブ42、42を挟持している。
【0015】
さらにまた、前記ガイド部材40は、前記下地板20の下面側において前記目地部12、62に対して略直交する方向に沿って互いに平行に配置した一対のレール材41、41からなり、前記下地板20の上面側に、前記一対のレール材41、41の直上部位を回避するように前記複数の板材11、61・・を取り付けている。
【0016】
また、前記複数の板材11・・は、外壁板からなり、前記目地部12にパテ材13を充填するとともに、このパテ材13を覆うようにして前記外壁板11・・の表面に塗膜14を形成している。若しくは、前記複数の板材61・・は、床板からなり、互いに隣接する一方の床板61の目地部側端部に雄実64を形成するとともに、他方の床板61の目地部側端部に雌実65を形成して、これら雄実64と雌実65とを嵌合している。
【0017】
この発明の目地部の挙動再現方法は、上記の挙動再現装置1を使用して、前記下地板20を予め乾燥した後、この下地板20上に前記複数の板材11、61・・を取り付けて、屋内又は恒温恒湿室内に放置して前記下地板20を加湿することで、前記下地板20を寸法拡大させて、前記目地部12、62をその隙間幅が増大するように挙動させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
この発明の目地部の挙動再現装置によれば、外壁板又は床板からなる複数の板材を下地板上に並設して、これら板材の端部間に形成した目地部を、下地板の吸放湿に伴う寸法変化を利用して挙動させていることから、実際の外壁部や床部の仕様に即して目地部の挙動を再現することができる。
【0019】
このため、複数の板材として外壁板を用いて、目地部にパテ材を充填するとともに、このパテ材を覆うようにして外壁板の表面に塗膜を形成した状態とすれば、外壁部における塗膜の筋割れの発生を確認するための試験を行うことができ、また複数の板材として床板を用いて、これら床板の端部同士を実嵌合した状態とすれば、床部における目隙の発生を確認するための試験を行うことができ、外壁部や床部における目地部の挙動に起因する不具合を予見したり、それら不具合を解消するための各種対策の有効性を検証することができる。
【0020】
しかも、下地板上に重ね合わせるようにした板材全体を、下地板の吸放湿に伴う寸法変化によって移動させて、目地部全長に亘ってその隙間幅を略均等に増減させることができ、従来のようなアクリル樹脂製帯板材の熱膨張、熱収縮を利用して目地部を挙動させる場合と比べて、信頼性の高い試験結果を得ることができる。さらに、従来のような駆動モータ等の動力源を利用して目地部を挙動させる場合と比べて、構造を簡単にして製造費を安価に抑えることができ、複数の装置を用意して同時に複数の試験を効率良く行うようにしながらも、設備費を安価に抑えることができる。
【0021】
加えて、原寸大の外壁板や床板の温度変化や湿度変化に伴う寸法変化によって目地部を挙動させるのでなく、例えばパーティクルボードのような下地板を使用して、その吸放湿に伴う大きな寸法変化によって目地部を挙動させているので、試験結果を短期間で効率良く得ることができ、板材の外形寸法も小さく抑えて装置の小型化も実現することができる。
【0022】
また、複数の板材における目地部側の端部とは反対側の端部のみを、下地板に固着することで、下地板の寸法変化による板材の移動量を極力多くして、目地部の隙間幅を大きく増減させることができ、試験結果を短期間で効率良く得ることができる。
【0023】
さらに、下地板に取り付けたガイド部材によって、下地板の板面方向への寸法変化を許容しながら反りを規制することで、目地部の挙動を正確に再現することができ、信頼性の高い試験結果を得ることができる。
【0024】
さらにまた、ガイド部材を構成する一対のレール材を、それらのリブ付きの上向き溝を
利用しながら、連結部材を介して下地板に取り付けることで、ガイド部材としての機能を有効に発揮させながらも、下地板に対するガイド部材の取り付けを簡単且つ確実に行うことができる。
【0025】
また、下地板の上面側に、一対のレール材の直上部位を回避するように複数の板材を取り付けることで、複数の装置を積み重ねた場合、上側の装置のレール材を、下側の装置の板材に干渉させることなく、上側の装置を下側の装置に載置することができる。従って、複数の装置を積み重ねた状態での試験を支障なく行うことができ、小さなスペースで同時に複数の試験を効率良く行うことができる。
【0026】
この発明の目地部の挙動再現方法によれば、下地板を予め乾燥しているので、屋内又は恒温恒湿室内に放置して下地板を加湿したときに、下地板を大きく寸法変化させることができ、試験結果を短期間で効率良く得ることができる。また、下地板の外形寸法を小さくしても、板材の移動量を十分に維持して、目地部の隙間幅を確実に増大させることができることから、装置のより一層の小型化も実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1実施形態に係る目地部の挙動再現装置を示す斜視図である。
【図2】同じくその分解斜視図である。
【図3】目地部を示す拡大断面図である。
【図4】目地部の挙動再現装置をレール材と直交する方向で切断した場合の断面図である。
【図5】複数の目地部の挙動再現装置の積層状態を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る目地部の挙動再現装置を示す斜視図である。
【図7】同じくその分解斜視図である。
【図8】床部の一例を示す平面図である。
【図9】目地部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係る目地部の挙動再現装置1は、住宅の外壁部における目地部の挙動を再現するものであって、図1及び図2に示すように、複数の外壁板を並設してなる外壁部の一部を想定した試験体10を、吸放湿に伴って寸法変化(膨張収縮)する下地板20上に設置することによって構成されている。
【0029】
試験体10は、下地板20上に並設状態で取り付けられた一対の外壁板(板材)11、11を備え、これら外壁板11、11の側端部同士を突き合わせた部分が目地部12とされている。なお、外壁板11は、一辺が約400mmの平面視略正方形状、若しくは、長辺が400〜500mmで短辺が約400mmの平面視略長方形状に形成されている。
【0030】
そして、目地部12には、図3に示すように、外壁板11、11の目地部12側の端部上面を切り欠いてなるV字溝12aが形成されており、このV字溝12aにパテ材13が充填されて、さらにパテ材13を覆うようにして外壁板11、11の上面に塗膜14が形成されている。
【0031】
このようにして構成された試験体10は、長辺が約800mmで、短辺が約400〜500mmの平面視略長方形状に形成されている。なお、上記の試験体10において、外壁板11、パテ材13、塗膜14の材質や目地部12の形状は、実際の外壁部の仕様に合わせて適宜設定すれば良い。
【0032】
下地板20は、外壁板11よりも吸放湿に伴う寸法変化が大きい例えばパーティクルボードからなる。なお、下地板20は、長辺が800mmで短辺が600mmの平面視略長方形状に形成されている。
【0033】
この下地板20への試験体10の設置に際しては、図1及び図2に示すように、下地板20の長手方向に沿った両端部上面を回避しながら、下地板20の上面に一対の外壁板11、11が重ね合わされて、外壁板11、11における目地部12側の端部とは反対側の端部のみが、下地板20の短手方向に沿った両端部上面に例えばエポキシ系接着剤30によって固着されている。これにより、下地板20の吸放湿に伴う寸法変化に応じて、一対の外壁板11、11が互いに近接離間する方向に移動して、目地部12がその隙間幅を増減するように挙動するようになっている。
【0034】
また、下地板20の下面側には、下地板20の板面方向への寸法変化を許容しながら、下地板20の反りを規制するガイド部材40が設けられている。このガイド部材40は、下地板20の長手方向に沿った両端部下面に複数の連結部材50・・を介して取り付けられて、試験体10の目地部12に対して略直交する方向に沿って互いに平行に配置された一対のレール材41、41からなる。
【0035】
レール材41は、図2及び図4に示すように、長手方向に沿ってリブ42、42付きの上向き溝43が形成された例えばアルミニウム製の押出成型品からなり、外壁板11、11及び下地板20よりも吸放湿に伴う寸法変化が小とされている。上向き溝43のリブ42、42は、図4に示すように、溝開口部を狭めるように互いに近接する方向に延出されている。なお、レール材41の高さは、試験体10の高さ(厚み)より大とされている。
【0036】
連結部材50は、下地板20を上下方向に貫通したボルト51と、このボルト51の下地板20の下面から突出した下端部に連結して、上向き溝43内に摺動可能且つ回転不能に配した摺動体52と、ボルト51の下地板20の上面から突出した上端部に螺合したナット53とを備えている。そして、ボルト51の上端部に螺合したナット53を締め付けることで、摺動体52とナット53とにより下地板20と上向き溝43のリブ42、42が挟持されて、下地板20にレール材41が取り付けられている。
【0037】
この取付状態において、下地板20の板面方向(レール材41、41の長手方向)への寸法変化に対しては、摺動体52がナット53の締付力に抗して上向き溝43内を摺動することで許容するようになっている。また、下地板20の反り(湾曲)に対しては、レール材41、41が突っ張ることで規制するようになっている。
【0038】
次に、上記装置1を用いて、外壁部における目地部の挙動を再現して、塗膜14の筋割れの発生状況を確認するための試験を行う方法について説明する。まず、パーティクルボードからなる下地材20を、60℃で1〜2週間程度乾燥させて、含水率を4%にする。なお、通常、パーティクルボードは、出荷時の含水率が7〜8%である。
【0039】
乾燥終了後、下地板20にガイド部材40を取り付け、さらに試験体10を設置する。その後、装置1を屋内に放置し、下地板20を加湿して含水率を7〜11%まで上昇させる。すると、下地板20が吸湿に伴って寸法拡大(膨張)し、これに伴って試験体10における一対の外壁板11、11が互いに離間する方向へと移動し、目地部12の隙間幅が増大する。この際の隙間幅は、おそよ1〜2mmである。なお、下地板20の吸湿に伴う寸法変化をより大きくして、目地部12の隙間幅をより増大させる場合には、装置1を恒温恒湿室内に放置して、十分に加湿すれば良い。
【0040】
このようにして目地部12の挙動を再現して、このときの試験体10における塗膜14
の筋割れの発生状況を確認することで、例えば外壁部の筋割れを軽減するための各種対策の有効性を検証することができる。
【0041】
図5は、複数の装置1・・を積み重ねて、小さなスペースで同時に複数の試験を行う時の状況を示している。上述したように、装置1においては、下地板20の長手方向に沿った両端部上面を回避して外壁板11、11が取り付けられ、下地板20の長手方向に沿った両端部下面にレール材41、41が取り付けられている。すなわち、下地板20の上面側に、レール材41、41の直上部位を回避して外壁板11、11が取り付けられている。このため、上側の装置1のレール材41、41を、下側の装置1の試験体10に干渉させることなく、上側の装置1を下側の装置1に載置することができ、複数の装置1・・を積み重ねた状態での試験を支障なく行うことができる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る目地部の挙動再現装置2は、住宅の床部における目地部の挙動を再現するものであって、図6及び図7に示すように、複数の床板を並設してなる床部の一部(例えば図8に示す床部の点線で囲まれた部分F)を想定した試験体60が用いられている。
【0043】
試験体60は、下地板20上に並設状態で取り付けられた一対の床板(板材)61、61を備え、これら床板61、61の側端部同士を突き合わせた部分が目地部62とされている。また、これら床板61、61の目地部62と直交する両側端部に沿って一対の添え板63、63が配されている。なお、床板61は、長辺が約400mm、短辺が約300mmの平面視略長方形状に形成され、また、添え板63は、長辺が約800mm、短辺が約50〜100mmの平面視略長方形状に形成されている。
【0044】
そして、一方の床板61の目地部側端面には雄実64が形成され、他方の床板61の目地部側端面には雌実65が形成されており、これら雄実64と雌実65とが嵌合されている。また、床板61、61の目地部62と直交する両側端面においても、雄実64や雌実65が形成されており、これら雄実64や雌実65と添え板63、63に形成された雄実64や雌実65とが嵌合されている。このようにして構成された試験体60は、長辺が約800mmで、短辺が約400〜500mmの平面視略長方形状に形成されている。
【0045】
試験体60以外の下地板20、ガイド部材40、連結部材50・・の構成は、第1実施形態と同様であり、試験体60は、第1実施形態と同様にして、下地板20上に設置されている。なお、試験体60の目地部62においては、図9に示すように、実際の床部の仕様に即して、釘70を打ち込んだり、接着剤80を塗布することで実嵌合された床板61、61の側端部同士を接合している。
【0046】
上記装置2を用いて、第1実施形態と同様の手順で試験を行って、床部における目地部62の挙動を再現して、試験体60における目隙の発生状況を確認することで、例えば床部の目隙を軽減するための各種対策の有効性を検証することができる。
【0047】
以上に、この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1、2・・挙動再現装置、11・・外壁板、12、62・・目地部、13・・パテ材、14・・塗膜、20・・下地板、40・・ガイド部材、41・・レール材、42・・リブ、43・・上向き溝、50・・連結部材、51・・ボルト、52・・摺動体、53・・ナ
ット、61・・床板、64・・雄実、65・・雌実

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁板又は床板からなる複数の板材(11)(61)・・と、吸放湿に伴って寸法変化する下地板(20)とを備え、前記複数の板材(11)(61)・・の端部間に目地部(12)(62)を形成するように、前記複数の板材(11)(61)・・を前記下地板(20)上に並設状態で取り付けて、前記下地板(20)の吸放湿に伴う寸法変化に応じて、前記複数の板材(11)(61)・・を互いに近接離間する方向に移動させて、前記目地部(12)(62)をその隙間幅が増減するように挙動させるようにしたことを特徴とする目地部の挙動再現装置。
【請求項2】
前記下地板(20)は、前記複数の板材(11)(61)・・よりも吸放湿に伴う寸法変化を大としたパーティクルボードからなる請求項1記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項3】
前記複数の板材(11)(61)・・における目地部(12)(62)側の端部とは反対側の端部のみを、前記下地板(20)に固着した請求項1又は2記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項4】
前記下地板(20)に、その板面方向への寸法変化を許容しながら反りを規制するガイド部材(40)を取り付けた請求項1乃至3のいずれかに記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項5】
前記ガイド部材(40)は、前記下地板(20)の下面側に複数の連結部材(50)・・を介して取り付けて、前記目地部(12)(62)に対して略直交する方向に沿って互いに平行に配置した一対のレール材(41)(41)からなり、これらレール材(41)(41)は、その長手方向に沿ったリブ(42)(42)付きの上向き溝(43)を有し、前記連結部材(50)・・は、前記下地板(20)を上下方向に貫通したボルト(51)と、このボルト(51)の前記下地板(20)の下面から突出した下端部に連結して、上向き溝(43)内に摺動可能且つ回転不能に配した摺動体(52)と、前記ボルト(51)の前記下地板(20)の上面から突出した上端部に螺合したナット(53)とを備え、前記ナット(53)を締め付けることで、前記摺動体(52)と前記ナット(53)によって前記下地板(20)及び前記上向き溝(43)のリブ(42)(42)を挟持した請求項4記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項6】
前記ガイド部材(40)は、前記下地板(20)の下面側において前記目地部(12)(62)に対して略直交する方向に沿って互いに平行に配置した一対のレール材(41)(41)からなり、前記下地板(20)の上面側に、前記一対のレール材(41)(41)の直上部位を回避するように前記複数の板材(11)(61)・・を取り付けた請求項4記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項7】
前記複数の板材(11)・・は、外壁板からなり、前記目地部(12)にパテ材(13)を充填するとともに、このパテ材(13)を覆うようにして前記外壁板(11)・・の表面に塗膜(14)を形成した請求項1乃至6のいずれかに記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項8】
前記複数の板材(61)・・は、床板からなり、互いに隣接する一方の床板(61)の目地部側端部に雄実(64)を形成するとともに、他方の床板(61)の目地部側端部に雌実(65)を形成して、これら雄実(64)と雌実(65)とを嵌合した請求項1乃至6のいずれかに記載の目地部の挙動再現装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の目地部の挙動再現装置を使用して、前記下地板(20)を予め乾燥した後、この下地板(20)上に前記複数の板材(11)(61)・・を取り付けて、屋内又は恒温恒湿室内に放置して前記下地板(20)を加湿することで、前記
下地板(20)を寸法拡大させて、前記目地部(12)(62)をその隙間幅が増大するように挙動させるようにしたことを特徴とする目地部の挙動再現方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−196817(P2011−196817A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63749(P2010−63749)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】