説明

目標物検出画像生成装置、目標物検出装置、クラッタ画像生成装置、目標物検出画像生成プログラム、目標物検出プログラム、クラッタ画像生成プログラム、目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法、目標物検出装置の目標物検出方法およびクラッタ画像生成装置のクラッタ画像生成方法

【課題】目標物だけを高い検出率で検出できるようにすることを目的とする。
【解決手段】レファレンスセル抽出部110は、レーダ画像191からターゲットセル101aを選択し、レーダ画像191からレファレンスセル101bを抽出する。画素平均値算出部120はレファレンスセル101bの画素平均値102を算出する。画素標準偏差算出部130はレファレンスセル101bの画素標準偏差103を算出する。標準偏差補正値算出部140は画素平均値102と画素標準偏差103との差を標準偏差補正値104として算出し、目標物検出画像生成部141は標準偏差補正値104をターゲットセル101aに対応する目標物検出画像194の画素領域に設定する。目標物検出部150は、目標物検出画像194から検出閾値より大きい画素領域を目標物領域として特定し、特定した目標物領域に対応する座標値を目標物座標値195として算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、レーダ観測により得られた画像データから目標物を検出するための目標物検出画像生成装置、目標物検出装置、クラッタ画像生成装置、目標物検出画像生成プログラム、目標物検出プログラム、クラッタ画像生成プログラム、目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法、目標物検出装置の目標物検出方法およびクラッタ画像生成装置のクラッタ画像生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一様なテクスチャを持った表面(例えば、海面)に存在する目標物(例えば、船舶)を画像から自動検出するためにCFAR(Constant False Alarm Rate)という方式が用いられている。
CFARは、レーダ観測された電磁波の入射強度を画素値として示す画像データから対象画素に対して小領域を抽出し、小領域の統計値に基づいて閾値(電磁波の入射強度)を決定し、対象画素の画素値と閾値とを比較して目標物を検出する方式である(非特許文献1、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】M.Sekine and Y. Mao,Weibull Radar Clutter,Peter Peregrinus,London,1990
【非特許文献2】S.Sayama and M.Sekine,”Weibull, log−Weibull and K−distributed ground clutter modeling analyzed by AIC”,IEEE Trans.Aerosp.Electron.Syst.,vol.37,pp.1108−1113,2001
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CFARには、以下のような課題が有る。
(1)ノイズとなる海面や地表からの散乱波(または放射波)の入射強度は入射角に依存するが、この入射角の影響が考慮されない。
(2)適当な閾値を決定することが難しい。閾値が小さいと目標物だけでなく一部の海面や地表も目標物として検出してしまい、閾値が大きいと目標物を検出できない場合がある。
(3)対象画素に対する小領域はある程度大きい必要があるため、小領域に多数の目標物が存在する可能性が高い。この場合、閾値が大きくなり、目標物の検出率が低下する。
【0005】
本発明は、例えば、目標物だけを高い検出率で検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目標物検出画像生成装置は、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出部と、
前記標準偏差補正値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成部とを備える。
【0007】
前記レーダ画像は、前記特定地域の画像を前記レーダの進行方向を示すアジマス方向と前記レーダにより観測された電磁波の入射方向を示すレンジ方向との二次元で表し、
前記レファレンスセルは、前記アジマス方向に長くて前記レンジ方向に短い長方形状の画素領域である。
【0008】
前記目標物検出装置は、さらに、
前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出部を備える。
【0009】
本発明の目標物検出装置は、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出部と、
前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出部とを備える。
【0010】
本発明の目標物検出画像生成装置は、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成部とを備える。
【0011】
本発明のクラッタ画像生成装置は、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成するクラッタ画像生成部とを備える。
【0012】
本発明の目標物検出画像生成プログラムは、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出処理と、
前記標準偏差補正値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成処理とをコンピュータに実行させる。
【0013】
前記レーダ画像は、前記特定地域の画像を前記レーダの進行方向を示すアジマス方向と前記レーダにより観測された電磁波の入射方向を示すレンジ方向との二次元で表し、
前記レファレンスセルは、前記アジマス方向に長くて前記レンジ方向に短い長方形状の画素領域である。
【0014】
前記目標物検出プログラムは、さらに、
前記標準偏差補正値算出処理により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出処理を備える。
【0015】
本発明の目標物検出プログラムは、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出処理と、
前記標準偏差補正値算出処理により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出処理とをコンピュータに実行させる。
【0016】
本発明の目標物検出画像生成プログラムは、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成処理とをコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明のクラッタ画像生成プログラムは、
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成するクラッタ画像生成処理とをコンピュータに実行させる。
【0018】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法は、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
標準偏差補正値算出部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出し、
目標物検出画像生成部が、前記標準偏差補正値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する。
【0019】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出装置の目標物検出方法は、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
標準偏差補正値算出部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出し、
目標物検出部が前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する。
【0020】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法は、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
目標物検出画像生成部が、前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する。
【0021】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備えるクラッタ画像生成装置のクラッタ画像生成方法は、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
クラッタ画像生成部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、例えば、目標物検出画像を生成することにより目標物だけを高い検出率で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態1におけるレーダ観測を示す図。
【図2】実施の形態1における目標物検出装置100の機能構成図。
【図3】実施の形態1における目標物検出装置100の目標物検出方法を示すフローチャート。
【図4】実施の形態1におけるレーダ画像191を示す図。
【図5】実施の形態1における観測地域201を表した図。
【図6】実施の形態1におけるレーダ画像191を示した図。
【図7】CFARによる目標物検出方法を示す概要図。
【図8】実施の形態1における平均値画像192を示した図。
【図9】実施の形態1における標準偏差画像193を示した図。
【図10】実施の形態1におけるレファレンスセル101bの標準偏差の概念図。
【図11】実施の形態1における目標物検出画像194を示した図。
【図12】実施の形態1における(1)平均値画像192の画素値と(2)標準偏差画像193の画素値と(3)目標物検出画像194の画素値とを示すグラフ。
【図13】実施の形態1における目標物検出装置100のハードウェア資源の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態1.
レーダ観測された電磁波の入射強度を画素値として示す画像データから対象画素を含んだ小領域を抽出し、小領域の標準偏差を対象画素に設定した標準偏差画像を生成し、標準偏差画像に基づいて目標物を検出する形態について説明する。
【0025】
図1は、実施の形態1におけるレーダ観測を示す図である。
実施の形態1におけるレーダ観測について、図1に基づいて説明する。
【0026】
レーダ200は、人工衛星、航空機その他の飛行体に搭載され、アクティブ方式またはパッシブ方式で観測地域を観測する観測装置である。
アクティブ方式とは、電磁波を観測地域に向けて照射し、観測地域で反射して後方散乱した電磁波を入射し、入射した電磁波の強度を計測する方式である。
パッシブ方式とは、電磁波を照射しない方式であり、観測地域から放射される電磁波を入射し、入射した電磁波の強度を計測する方式である。
【0027】
例えば、合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)はレーダ200の一例である。
【0028】
レーダ200の進行方向を「アジマス方向」といい、電磁波の入射方向の水平成分を「レンジ方向」という。また、電磁波の入射方向と鉛直方向とが成す角度を「入射角(またはオフナディア角)」という。なお、地表面を平面で近似できる場合にのみ入射角とオフナディア角とが等しく、そうでない場合には入射角とオフナディア角とは異なる値を示す。
【0029】
以下、レーダ200で計測された電磁波の入射強度を画素値として示す画像データを「レーダ画像」という。
【0030】
図2は、実施の形態1における目標物検出装置100の機能構成図である。
実施の形態1における目標物検出装置100の機能構成について、図2に基づいて説明する。
【0031】
目標物検出装置100(目標物検出画像生成装置、クラッタ画像生成装置の一例)は、装置記憶部190を備える。
【0032】
装置記憶部190(レーダ画像記憶部の一例)は、目標物検出装置100で使用される各種データを記憶装置を用いて記憶する。
例えば、レーダ画像191や後述するその他の画像データ、検出した目標物の座標値(目標物座標値195)は、装置記憶部190に記憶されるデータの一例である。
【0033】
さらに、目標物検出装置100は、レファレンスセル抽出部110、画素平均値算出部120、画素標準偏差算出部130、標準偏差補正値算出部140および目標物検出部150を備える。
【0034】
レファレンスセル抽出部110は、装置記憶部190に記憶されたレーダ画像191から、所定数の画素から成る画素領域毎に、当該画素領域をターゲットセル101aとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセル101bとして抽出する。
【0035】
画素平均値算出部120は、レファレンスセル抽出部110により抽出されたレファレンスセル101b毎に、当該レファレンスセル101bの画素値の平均値を画素平均値102として算出する。
【0036】
画素標準偏差算出部130は、レファレンスセル抽出部110により抽出されたレファレンスセル101b毎に、当該レファレンスセル101bの画素値の標準偏差を画素標準偏差103として算出する。
【0037】
標準偏差補正値算出部140は、画素平均値算出部120によりレファレンスセル101b毎に算出された画素平均値102と画素標準偏差算出部130によりレファレンスセル101b毎に算出された画素標準偏差103とに基づいて、レファレンスセル101b毎に、当該レファレンスセル101bの画素平均値102と当該レファレンスセルの画素標準偏差103との差を標準偏差補正値104として算出する。
【0038】
目標物検出部150は、標準偏差補正値算出部140により算出された標準偏差補正値104毎に当該標準偏差補正値104と所定の検出閾値とを比較し、検出閾値より大きい標準偏差補正値104に対応するターゲットセル101aを観測地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する。
目標物検出部150は、目標物領域に基づいて目標物が位置した地点の座標値を目標物座標値195として算出する。
【0039】
さらに、目標物検出装置100は、平均値画像生成部121、標準偏差画像生成部131および目標物検出画像生成部141を備える。
【0040】
平均値画像生成部121(クラッタ画像生成部の一例)は、画素平均値算出部120によりレファレンスセル101b毎に算出された画素平均値102を当該レファレンスセル101b内のターゲットセル101aに対応する画素領域に設定した画像データを、観測地域の地表または海面を表示するクラッタ画像(平均値画像192)として生成する。
【0041】
標準偏差画像生成部131(目標物検出画像生成部の一例)は、画素標準偏差算出部130によりレファレンスセル101b毎に算出された画素標準偏差103を当該レファレンスセル101b内のターゲットセル101aに対応する画素領域に設定した画像データを、観測地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像(標準偏差画像193)として生成する。
【0042】
目標物検出画像生成部141は、標準偏差補正値算出部140によりレファレンスセル101b毎に算出された標準偏差補正値104を当該レファレンスセル101b内のターゲットセル101aに対応する画素領域に設定した画像データを、観測地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像194として生成する。
【0043】
さらに、目標物検出装置100は、画像表示部160を備える。
【0044】
画像表示部160は、レーダ画像191、平均値画像192、標準偏差画像193、目標物検出画像194および目標物座標値195をディスプレイ装置に表示する。
【0045】
レーダ画像191は、観測地域の画像をレーダ200の進行方向を示すアジマス方向とレーダ200により観測された電磁波の入射方向を示すレンジ方向との二次元で表す。
例えば、レファレンスセル101bは、アジマス方向に長くてレンジ方向に短い長方形状の画素領域である。
【0046】
図3は、実施の形態1における目標物検出装置100の目標物検出方法を示すフローチャートである。
実施の形態1における目標物検出方法の処理の流れについて、図3に基づいて説明する。
【0047】
まず、目標物検出方法(目標物検出画像生成方法、クラッタ画像生成方法の一例)の概要について説明する。
【0048】
レファレンスセル抽出部110は、レーダ画像191からターゲットセル101aを選択し(S110)、レーダ画像191からレファレンスセル101bを抽出する(S111)。
画素平均値算出部120はレファレンスセル101bの画素平均値102を算出し(S120)、平均値画像生成部121は画素平均値102をターゲットセル101aに対応する平均値画像192の画素領域に設定する(S121)。
画素標準偏差算出部130はレファレンスセル101bの画素標準偏差103を算出し(S130)、標準偏差画像生成部131は画素標準偏差103をターゲットセル101aに対応する標準偏差画像193の画素領域に設定する(S131)。
標準偏差補正値算出部140は画素平均値102と画素標準偏差103との差を標準偏差補正値104として算出し(S140)、目標物検出画像生成部141は標準偏差補正値104をターゲットセル101aに対応する目標物検出画像194の画素領域に設定する(S141)。
【0049】
S110〜S141を全てのターゲットセル101aを対象にして実行した後(S149:NO)、目標物検出部150は、目標物検出画像194から検出閾値より大きい画素領域を目標物領域として特定し(S150)、特定した目標物領域に対応する座標値を目標物座標値195として算出する(S151)。
画像表示部160は、目標物検出画像194(または、平均値画像192、標準偏差画像193)や目標物座標値195を表示する。
【0050】
次に、目標物検出方法の詳細について説明する。
【0051】
S110において、レファレンスセル抽出部110は、S111〜S141の処理対象とする画素領域をレーダ画像191から順に選択する。
以下、S110で選択された画素領域を「ターゲットセル101a」という。
【0052】
図4は、実施の形態1におけるレーダ画像191を示す図である。
実施の形態1におけるレーダ画像191について、図4に基づいて説明する。
【0053】
レーダ画像191は、観測地域の画像をアジマス方向とレンジ方向との二次元で表すデータであり、画素(ピクセル)毎に当該画素の画素値として当該画素に対応する地域から観測した電磁波の入射強度を示す。
【0054】
例えば、レファレンスセル抽出部110は、レーダ画像191からターゲットセル101aとして1画素ずつ選択する。
但し、ターゲットセル101aは、複数の画素から成るn画素×n画素の正方形の画素領域またはn画素×m画素の長方形の画素領域であっても構わない。
【0055】
図3に戻り、S111から説明を続ける。
【0056】
S111において、レファレンスセル抽出部110は、ターゲットセル101aを含んだ所定の大きさの画素領域をレーダ画像191から抽出する。
以下、S111で抽出された画素領域を「レファレンスセル101b」という。
【0057】
図4に示すように、レファレンスセル101bはターゲットセル101aを含んだ画素領域である。
レファレンスセル101bは、アジマス方向が長くてレンジ方向が短い長方形の画素領域であることが好ましい。理由については後述する。
【0058】
例えば、レファレンスセル抽出部110は、ターゲットセル101aを中心の画素(または端部の画素)にして10画素(アジマス方向)×3画素(レンジ方向)のレファレンスセル101bをレーダ画像191から抽出する。
S111の後、S120に進む。
【0059】
S120において、画素平均値算出部120は、レファレンスセル101bの画素値の平均値を算出する。
例えば、画素平均値算出部120は、10画素×3画素のレファレンスセル101bに対してレファレンスセル101bを構成する30画素の画素値の平均値を算出する。
以下、S120で算出された平均値を「画素平均値102」という。
S120の後、S121に進む。
【0060】
S121において、平均値画像生成部121は、ターゲットセル101aに対応する平均値画像192の画素領域に画素平均値102を画素値として設定する。
例えば、ターゲットセル101aがレーダ画像191内の座標値(u,v)で特定される画素である場合、平均値画像生成部121は、平均値画像192内の座標値(u,v)で特定される画素に画素平均値102を設定する。
S121の後、S130に進む。
【0061】
S130において、画素標準偏差算出部130は、レファレンスセル101bの画素値の標準偏差を算出する。
例えば、画素標準偏差算出部130は、10画素×3画素のレファレンスセル101bに対してレファレンスセル101bを構成する30画素の画素値の標準偏差を算出する。
以下、S130で算出された標準偏差を「画素標準偏差103」という。
S130の後、S131に進む。
【0062】
S131において、標準偏差画像生成部131は、ターゲットセル101aに対応する標準偏差画像193の画素領域に画素標準偏差103を画素値として設定する。
例えば、ターゲットセル101aがレーダ画像191内の座標値(u,v)で特定される画素である場合、標準偏差画像生成部131は、標準偏差画像193内の座標値(u,v)で特定される画素に画素標準偏差103を設定する。
S131の後、S140に進む。
【0063】
S140において、標準偏差補正値算出部140は、画素平均値102と画素標準偏差103との差を算出する。
例えば、標準偏差補正値算出部140は、画素標準偏差103から画素平均値102を差し引いた値(または、その絶対値)を算出する。
以下、S140で算出した値を「標準偏差補正値104」という。
S140の後、S141に進む。
【0064】
S141において、目標物検出画像生成部141は、ターゲットセル101aに対応する目標物検出画像194の画素領域に画素標準偏差103を画素値として設定する。
例えば、ターゲットセル101aがレーダ画像191内の座標値(u,v)で特定される画素である場合、目標物検出画像生成部141は、目標物検出画像194内の座標値(u,v)で特定される画素に標準偏差補正値104を設定する。
S141の後、S149に進む。
【0065】
S149において、レファレンスセル抽出部110は、ターゲットセル101aとして選択していない画素領域がレーダ画像191に残っているか否かを判定する。
但し、レファレンスセル抽出部110は、レーダ画像191の全ての画素をターゲットセル101aとして選択せずに、レーダ画像191から画素を間引きながらターゲットセル101aを選択しても構わない。例えば、レファレンスセル抽出部110は、S110において1画素から成るターゲットセル101aをn画素おきに選択する。1画素から成るターゲットセル101aをアジマス方向(またはレンジ方向)に1画素おきに選択すれば、ターゲットセル101aとして選択する画素の数が二分の一に減るため、S110〜S141の計算量および処理時間を二分の一に抑えることができる。また、1画素から成るターゲットセル101aをアジマス方向とレンジ方向とのそれぞれで1画素おきに選択すれば、ターゲットセル101aとして選択する画素の数が四分の一に減るため、S110〜S141の計算量および処理時間を四分の一に抑えることができる。
ターゲットセル101aの対象にする画素領域のうち未選択の画素領域が残っている場合(YES)、S110に戻る。
ターゲットセル101aの対象にする画素領域のうち未選択の画素領域が残っていない場合(NO)、S150に進む。
【0066】
S150において、目標物検出部150は、目標物検出画像194に設定された画素値を所定の検出閾値と比較し、検出閾値より大きい画素値が設定された画素領域を目標物領域として特定する。目標物領域とは、観測地域に存在する目標物が表示された画素領域のことである。目標物検出部150は後述するCFARにより目標物領域を特定してもよい。つまり、目標物検出部150はCFARにより画素領域(後述するターゲットセル)毎に検出閾値を算出し、算出した検出閾値と画素領域の画素値とを比較して目標物領域を特定してもよい。
S150の後、S151に進む。
【0067】
S151において、目標物検出部150は、レーダ画像191を取得したレーダ200の飛行位置の座標値(例えば、緯度、経度、高度)やレーダ200により観測された電磁波の入射角などのレーダ観測情報に基づいて、目標物領域に対応する座標値を算出する。レーダ観測情報は装置記憶部190に予め記憶されているものとする。
以下、S151で算出した座標値を「目標物座標値195」という。目標物座標値195は、目標物領域に対応する座標値、つまり、目標物が存在する場所を特定する座標値(例えば、緯度と経度)を示す。
【0068】
例えば、レーダ観測情報は電磁波の入射強度を観測した観測時刻を含む。目標物検出部150は、目標物検出画像194の目標物領域に対応するレーダ画像191の画素領域を特定し、特定した画素領域に設定された入射強度の観測時刻を取得し、観測時刻のレーダ200の座標値を取得し、観測時刻の電磁波の入射角を取得する。そして、目標物検出部150は、レーダ200の座標値を通る入射角方向のベクトルを算出し、観測地域の海面又は地表を表す平面を算出し、算出したベクトルと平面との交点の座標値を目標物座標値195として算出する。
また、レーダ画像191の画素に対応付けて観測地域の座標値を示す画像座標データを装置記憶部190に予め記憶しておいてもよい。この場合、目標物検出部150は、目標物検出画像194の目標物領域に対応するレーダ画像191の画素領域を算出し、算出した画素領域に対応する座標値を画像座標値データから目標物座標値195として取得する。
【0069】
S151の後、S160に進む。
【0070】
S160において、画像表示部160は、レーダ画像191、平均値画像192、標準偏差画像193、目標物検出画像194または目標物座標値195の少なくともいずれかをディスプレイ装置に表示する。
S160により、目標物検出方法の処理は終了する。
【0071】
次に、レーダ画像191、平均値画像192、標準偏差画像193および目標物検出画像194について説明する。
【0072】
図5は、実施の形態1における観測地域201を表した図である。
図5に示す観測地域201は、20度から65度の入射角でレーダ観測を行った約20キロメートル四方の海域である。
観測地域201内には複数の船舶202(目標物の一例)が存在している。
【0073】
図6は、実施の形態1におけるレーダ画像191を示した図である。
図6に示すレーダ画像191は図5に示した観測地域201を映しており、レンジ方向の座標値が小さい画素領域ほどレーダ観測の入射角が小さく、レンジ方向の座標値が大きい画素領域ほどレーダ観測の入射角が大きい。
【0074】
また、レーダ画像191の画素は、観測された入射強度が大きいほど明るく(白く)、観測された入射強度が小さいほど暗い(黒い)。
つまり、観測地域201に存在する船舶202(目標物の一例)はレーダ200からの電磁波をレーダ200に向けて反射(後方散乱)するため、船舶202を表示した画素領域は明るい。
一方、観測地域201の海面(特に、波が静かな海面)(クラッタの一例)はレーダ200からの電磁波のほとんどの成分をレーダ200と反対側に鏡面反射し、レーダ200に向けて後方散乱する電磁波の成分は少ないため、海面を映した画素領域は暗い。
【0075】
但し、入射角を小さくすると海面からレーダ200に向けて後方散乱する電磁波の成分が増えるため、レンジ方向の座標値が小さい画素領域は明るい。逆に、入射角を大きくすると海面からレーダ200に向けて後方散乱する電磁波の成分が減るため、レンジ方向の座標値が大きい画素領域は暗い。
【0076】
これらの事象は、観測地域201が海面ではなく地表(クラッタの一例)であり、目標物が船舶202でなく車両などの地物であっても同様に起きる。
【0077】
図6に示すようなレーダ画像191から目標物(例えば、船舶202)を検出する方法として「CFAR(Constant False Alarm Rate)」という方法がある。
【0078】
図7は、CFARによる目標物検出方法を示す概要図である。
CFARによる目標物検出方法について、図7に基づいて説明する。
【0079】
CFARでは、ターゲットセル210毎に、ガードセル211とレファレンスセル212とを設定する(図7(1))。
ガードセル211はターゲットセル210の周囲の画素領域であり、レファレンスセル212はガードセル211の周囲の画素領域である。
【0080】
次に、レファレンスセル212の画素値の分布を示すヒストグラム213に基づいて、レファレンスセル212の標準偏差sおよび平均値mを算出し、平均値mに標準偏差sの定数N倍を加算した値を閾値Tとして算出する(図7(2))。
そして、ターゲットセル210の画素値(例えば、平均値)と閾値Tとを比較し、ターゲットセル210の画素値が大きければターゲットセル210を目標物の画素領域として検出する。
【0081】
つまり、CFARは、閾値Tを定める定数Nが適切な値でなければ、目標物を正確に検出することはできない。閾値Tが小さければ目標物だけでなく一部の海面や地表も目標物として検出してしまい、閾値Tが大きければ目標物を検出できないためである。
また、CFARはガードセル211の周囲の画素領域をレファレンスセル212として使用するため、レファレンスセル212が大きな領域になってしまう。このため、図5のようにレーダ画像191に多数の目標物(船舶202)が存在している場合、レファレンスセル212に複数の目標物を含んでしまい、複数の目標物の画素値によって平均値mおよび標準偏差sが大きくなり、閾値Tが大きくなってしまう。その結果、ターゲットセル210に目標物が映っていても、ターゲットセル210を目標物の画素領域として検出できない。
さらに、レファレンスセル212はレンジ方向にも大きいため、レーダ画像191の画素値をレンジ方向によって変化させてしまう「レーダ観測における入射角の影響(図6参照)」を受けてしまい、目標物を正確に検出することが難しい。
【0082】
図8は、実施の形態1における平均値画像192を示した図である。
図8に示す平均値画像192は、図6に示したレーダ画像191から生成したものである。
平均値画像192は、画素領域(ターゲットセル101a)毎に、当該画素領域を含んだ参照領域(レファレンスセル101b)の画素値の平均値を当該画素領域の画素値として設定した画像である(図3のS120、S121参照)。
【0083】
平均値画像192で使用するレファレンスセル101b(図4参照)は、ガードセルが不要なためCFAR(図7参照)のレファレンスセル212より小さくすることができる。レファレンスセル101bが小さければ、レファレンスセル101bに複数の目標物が含まれる可能性は低い。
そのため、レファレンスセル101bに映るほとんどの部分は海面または地表であり、レファレンスセル101bの画素値の平均値は海面または地表面の画素値に近い値になる。
【0084】
また、平均値画像192で使用するレファレンスセル101b(図4参照)はレンジ方向に短い(入射角の範囲が狭い)。
【0085】
そのため、平均値画像192は、レーダ観測における入射角の影響(図6参照)を軽減し、目標物ではなく海面または地表(クラッタ)を強調して(高コントラストで)表示する。
【0086】
図9は、実施の形態1における標準偏差画像193を示した図である。
図9に示す標準偏差画像193は、図6に示したレーダ画像191から生成したものである。
標準偏差画像193は、画素領域(ターゲットセル101a)毎に、当該画素領域を含んだ参照領域(レファレンスセル101b)の画素値の標準偏差を当該画素領域の画素値として設定した画像である(図3のS130、S131参照)。
【0087】
図10は、実施の形態1におけるレファレンスセル101bの標準偏差の概念図である。
図10(1)は、目標物の画素領域のヒストグラム220と、目標物の画素領域を除いたレファレンスセル101bのヒストグラム221とを別々に示している。
図10(2)は、目標物の画素領域を含んだレファレンスセル101bのヒストグラム222を示している。ヒストグラム222はヒストグラム220とヒストグラム221とを結合したものである。
【0088】
図10(2)に示すように、レファレンスセル101bに目標物が含まれる場合、レファレンスセル101bの標準偏差sは大きくなる。つまり、(2)目標物を含んだレファレンスセル101bと(1)目標物を含まないレファレンスセル101bとでは標準偏差sが大きく異なる。
【0089】
また、標準偏差画像193で使用するレファレンスセル101b(図4参照)はレンジ方向に短い(入射角の範囲が狭い)。
【0090】
そのため、標準偏差画像193は、レーダ観測における入射角の影響(図6参照)を軽減し、目標物を強調して表示する。
【0091】
図11は、実施の形態1における目標物検出画像194を示した図である。
図11に示す目標物検出画像194は、図8に示した平均値画像192と図9に示した標準偏差画像193とから生成したものである。
目標物検出画像194は、画素領域(ターゲットセル101a)毎に、平均値画像192の画素値と標準偏差画像193の画素値との差を当該画素領域の画素値として設定した画像である(図3のS140、S141参照)。
【0092】
図12は、実施の形態1における(1)平均値画像192の画素値と(2)標準偏差画像193の画素値と(3)目標物検出画像194の画素値とを示すグラフである。
(1)平均値画像192、(2)標準偏差画像193および(3)目標物検出画像194から特定の第u列を抽出し、抽出した第u列の画素値[dB]をグラフ化して図12に示した。横軸にレンジ方向の座標値を示し、縦軸に画素値(入射強度)を示す。
【0093】
(3)目標物検出画像194の画素値は、(2)標準偏差画像193の画素値から(1)平均値画像192の画素値を差し引いた値を示している。
つまり、(3)目標物検出画像194の画素値は、目標物を強調している(2)標準偏差画像193の画素値から海面または地表を強調している(1)平均値画像192の画素値を差し引いた値であって、目標物をより強調した値である。
また、(3)目標物検出画像194の画素値は、(1)平均値画像192の画素値と(2)標準偏差画像193の画素値とに共通して含まれる「レーダ観測における入射角の影響(図6参照)」を除去した値である。
【0094】
つまり、目標物検出画像194は、レーダ観測における入射角の影響を除去し、目標物を強調して表示する。
【0095】
図12の場合、例えば、−5[dB]程度の検出閾値を用いることにより、(3)目標物検出画像194の画素値に基づいて目標物の画素領域を正確に検出することができる。検出閾値より画素値が大きい画素領域が目標物の画素領域である。
【0096】
図13は、実施の形態1における目標物検出装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。
図13において、目標物検出装置100は、CPU911(Central Processing Unit)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信装置915、ディスプレイ装置901、キーボード902、マウス903、ドライブ装置904、プリンタ装置905、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。ドライブ装置904は、FD(Flexible・Disk・Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital・Versatile・Disc)などの記憶媒体を読み書きする装置である。
【0097】
通信装置915は、有線または無線で、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線などの通信網に接続している。
【0098】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
【0099】
プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれる。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。すなわち、目標物検出プログラム(目標物検出画像生成プログラム、クラッタ画像生成プログラムの一例)は、「〜部」としてコンピュータを機能させるものであり、また「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0100】
ファイル群924には、実施の形態において説明する「〜部」で使用される各種データ(入力、出力、判定結果、計算結果、処理結果など)が含まれる。
【0101】
実施の形態において構成図およびフローチャートに含まれている矢印は主としてデータや信号の入出力を示す。
【0102】
実施の形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。
【符号の説明】
【0103】
100 目標物検出装置、101a ターゲットセル、101b レファレンスセル、102 画素平均値、103 画素標準偏差、104 標準偏差補正値、110 レファレンスセル抽出部、120 画素平均値算出部、121 平均値画像生成部、130 画素標準偏差算出部、131 標準偏差画像生成部、140 標準偏差補正値算出部、141 目標物検出画像生成部、150 目標物検出部、160 画像表示部、190 装置記憶部、191 レーダ画像、192 平均値画像、193 標準偏差画像、194 目標物検出画像、195 目標物座標値、200 レーダ、201 観測地域、202 船舶、210 ターゲットセル、211 ガードセル、212 レファレンスセル、220,221,222 ヒストグラム、901 ディスプレイ装置、902 キーボード、903 マウス、904 ドライブ装置、905 プリンタ装置、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信装置、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出部と、
前記標準偏差補正値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成部と
を備えたことを特徴とする目標物検出画像生成装置。
【請求項2】
前記レーダ画像は、前記特定地域の画像を前記レーダの進行方向を示すアジマス方向と前記レーダにより観測された電磁波の入射方向を示すレンジ方向との二次元で表し、
前記レファレンスセルは、前記アジマス方向に長くて前記レンジ方向に短い長方形状の画素領域である
ことを特徴とする請求項1記載の目標物検出画像生成装置。
【請求項3】
前記目標物検出装置は、さらに、
前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出部を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の目標物検出画像生成装置。
【請求項4】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出部と、
前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出部と
を備えたことを特徴とする目標物検出装置。
【請求項5】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出部と、
前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成部と
を備えたことを特徴とする目標物検出画像生成装置。
【請求項6】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部と、
前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出部と、
前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出部と、
前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成するクラッタ画像生成部と
を備えたことを特徴とするクラッタ画像生成装置。
【請求項7】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出処理と、
前記標準偏差補正値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成処理と
をコンピュータに実行させる目標物検出画像生成プログラム。
【請求項8】
前記レーダ画像は、前記特定地域の画像を前記レーダの進行方向を示すアジマス方向と前記レーダにより観測された電磁波の入射方向を示すレンジ方向との二次元で表し、
前記レファレンスセルは、前記アジマス方向に長くて前記レンジ方向に短い長方形状の画素領域である
ことを特徴とする請求項7記載の目標物検出画像生成プログラム。
【請求項9】
前記目標物検出プログラムは、さらに、
前記標準偏差補正値算出処理により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出処理を備える
ことを特徴とする請求項7または請求項8記載の目標物検出画像生成プログラム。
【請求項10】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出する標準偏差補正値算出処理と、
前記標準偏差補正値算出処理により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する目標物検出処理と
をコンピュータに実行させる目標物検出プログラム。
【請求項11】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出する画素標準偏差算出処理と、
前記画素標準偏差算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する目標物検出画像生成処理と
をコンピュータに実行させる目標物検出画像生成プログラム。
【請求項12】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出するレファレンスセル抽出処理と、
前記レファレンスセル抽出処理により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出する画素平均値算出処理と、
前記画素平均値算出処理により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成するクラッタ画像生成処理と
をコンピュータに実行させるクラッタ画像生成プログラム。
【請求項13】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法において、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
標準偏差補正値算出部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出し、
目標物検出画像生成部が、前記標準偏差補正値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された標準偏差補正値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する
ことを特徴とする目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法。
【請求項14】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出装置の目標物検出方法において、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
標準偏差補正値算出部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値と前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差とに基づいて、前記レファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素平均値と当該レファレンスセルの画素標準偏差との差を標準偏差補正値として算出し、
目標物検出部が前記標準偏差補正値算出部により算出された標準偏差補正値毎に当該標準偏差補正値と所定の検出閾値とを比較し、前記検出閾値より大きい標準偏差補正値に対応するターゲットセルを前記特定地域に存在する目標物が表示された目標物領域として特定する
ことを特徴とする目標物検出装置の目標物検出方法。
【請求項15】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備える目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法において、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素標準偏差算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の標準偏差を画素標準偏差として算出し、
目標物検出画像生成部が、前記画素標準偏差算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素標準偏差を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域に存在する目標物を表示する目標物検出画像として生成する
ことを特徴とする目標物検出画像生成装置の目標物検出画像生成方法。
【請求項16】
特定地域で散乱した電磁波と前記特定地域から放射される電磁波とをレーダで観測して得られた画像データであって観測された電磁波の強度を画素値として示す画像データをレーダ画像として記憶するレーダ画像記憶部を備えるクラッタ画像生成装置のクラッタ画像生成方法において、
レファレンスセル抽出部が、前記レーダ画像記憶部に記憶されたレーダ画像から、所定数の画素から成る画素領域毎に当該画素領域をターゲットセルとして含む所定の大きさの画素領域をレファレンスセルとして抽出し、
画素平均値算出部が、前記レファレンスセル抽出部により抽出されたレファレンスセル毎に、当該レファレンスセルの画素値の平均値を画素平均値として算出し、
クラッタ画像生成部が、前記画素平均値算出部により前記レファレンスセル毎に算出された画素平均値を当該レファレンスセル内のターゲットセルに対応する画素領域に設定した画像データを、前記特定地域の地表または海面を表示するクラッタ画像として生成する
ことを特徴とするクラッタ画像生成装置のクラッタ画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−63195(P2012−63195A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206534(P2010−206534)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】