説明

目標追尾装置

【課題】必要最小限のネットワーク通信容量で、各センサにおける送信制御または各センサを管理する管理サーバによる送信要求制御を行うことを可能にし、ネットワーク通信容量の低減を図った目標追尾装置を提供する。
【解決手段】センサ側からセンサ観測情報を集約した再追尾センサ航跡をネットワークに流すことにより、センサ観測情報を全て出力する従来方式に比べネットワークに流すデータ量を低減させる。センサ側において、送信判定処理部1107により、自律的に自センサの再追尾センサ航跡が融合航跡の航跡精度に寄与するか否かによりネットワークに送信するか否かの送信判定を行い、寄与する場合のみ、再追尾センサ航跡を伝送することにより、必要最小限のネットワーク通信容量で、融合航跡の追尾精度を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の目標を複数のセンサを使用して追尾する目標追尾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置として、複数のセンサから構成されるセンサ群を管理して目標群の複数の目標を追尾するセンサ群管理装置において、前記センサ群からの複数の観測情報を受けてこれらを前記目標ごとに選別する入力装置と、前記入力装置の出力に応じて前記目標の追尾を行う、カルマンフィルタに基づく複数の追尾フィルタから構成された追尾フィルタ群と、前記入力装置の出力と前記追尾フィルタ群の出力とを受けて予測誤差のバイアス成分を評価するバイアス誤差評価器と、前記追尾フィルタ群の出力を受けて予測誤差のランダム成分を評価するランダム誤差評価器と、前記バイアス誤差評価器の出力と前記ランダム誤差評価器の出力とに基づいて前記目標ごとの観測必要性を評価する観測必要性評価器と、前記目標群の各目標と前記センサ群の各センサとの割り当てを仮想的に決定する仮想割り当て器と、前記仮想割り当て器が仮想的に決定した前記目標とセンサとの各割り当てに対して、観測の効果を判定する観測効果判定器と、前記観測必要性評価器の出力と前記観測効果判定器の出力とに基づいて、前記目標群の各目標と前記センサ群の各センサとの割り当てを決定する割り当て器とを備えたことを特徴とするセンサ群管理装置があった(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−75023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のこの種の装置では、複数の目標(例えば、航空機目標で、制御工学における推定すべき状態ベクトルは、位置、速度の推定)を複数のセンサで追尾する際、各センサの各目標への割当を旋回中の目標に対してより優先的に行うことにより、目標の追尾性能を高めていた。しかしながら、ネットワーク全体の通信量を考慮しないで、各センサからの観測値を、垂れ流しているため、ネットワークの通信容量に制限がなければ、追尾性能の向上が見込めるが、現実は、ネットワークの通信容量に制限がある状況では、かえって追尾性能が劣化する可能性がある。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、複数の目標を追尾する複数のセンサとこれらを管理する少なくとも1台の管理サーバがネットワークを介して接続される目標追尾装置において、必要最小限のネットワーク通信容量で各センサにおける送信制御または各センサを管理する管理サーバによる送信要求制御を行うことを可能にし、ネットワーク通信容量の低減、さらにはそのなかで、融合航跡の追尾精度の向上を図った目標追尾装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、ネットワークに接続された複数のセンサと、前記ネットワークに接続されたまたは前記複数のセンサの1つにそれぞれ搭載された少なくとも1つの管理サーバとからなり、複数の目標を追尾する目標追尾装置であって、各センサが、センサで観測した結果をセンサ観測値として出力する信号処理部と、前回追尾結果のセンサ航跡からのセンサ航跡の予測値を含むセンサ航跡とセンサ航跡の予測値と対応したセンサ観測値である相関済センサ観測値を生成するセンサ追尾処理部と、前記相関済センサ観測値およびセンサ航跡から再追尾センサ航跡を生成する再追尾処理部と、前記ネットワーク上から他のセンサからの再追尾センサ航跡を受信し、また送信判定結果に従って生成した再追尾センサ航跡を送信する送受信処理部と、1サンプリング分遅延させた融合航跡と前記送受信処理部からの他のセンサからの再追尾センサ航跡との相関処理を行って対応したものを相関済再追尾センサ航跡とする融合相関処理部と、前記相関済再追尾センサ航跡で更新された融合航跡を算出する融合追尾処理部と、前記融合相関処理部で対応しない融合航跡初期値および前記融合追尾処理部で更新された融合航跡を蓄積する前記融合航跡を蓄積した融合航跡DBと、前記融合航跡DBに蓄積された融合航跡を遅延させ前記1サンプリング分遅延させた融合航跡を出力する遅延部と、前記再追尾処理部からの再追尾センサ航跡と前記1サンプリング分遅延させた融合航跡から、再追尾センサ航跡の融合航跡誤差低減への寄与度による送信要否判定を行い前記送受信処理部に再追尾センサ航跡と共に前記送信判定結果を出力する送信判定処理部と、を備えたことを特徴とする目標追尾装置にある。
【発明の効果】
【0007】
この発明による目標追尾装置では、センサ側からセンサ観測情報を集約した再追尾センサ航跡をネットワークに流すことにより、センサ観測情報を全て出力する従来方式に比べ、ネットワークに流すデータ量を低減している。そして、センサ側において、自律的に自センサの再追尾センサ航跡が融合航跡の航跡精度に寄与するか否かによりネットワークに送信するか否かの送信判定を行い、寄与する場合のみ、再追尾センサ航跡を伝送することにより、必要最小限のネットワーク通信容量で、融合航跡の追尾精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図2】この発明による目標追尾装置の送信判定処理部の動作を説明するための図である。
【図3】この発明による目標追尾装置の送信判定処理部の動作を説明するための図である。
【図4】この発明による目標追尾装置の送信要求判定処理部の動作を説明するための図である。
【図5】この発明による目標追尾装置の送信要求判定処理部の動作を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態2による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態3による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態4による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態5による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態6による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態7による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態8による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態9による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態10による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態11による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態12による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態13による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態14による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図19】この発明の実施の形態15による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態16による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図21】この発明の実施の形態17による目標追尾装置の構成を示す図である。
【図22】この発明による目標追尾装置のセンサ側の航跡誤差閾値設定処理部の動作を説明するための図である。
【図23】この発明による目標追尾装置の管理サーバ側の航跡誤差閾値設定処理部の動作を説明するための図である。
【図24】この発明の実施の形態18による目標追尾装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明による目標追尾装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各図において同一もしくは相当部分は同一符号で示し、図面毎の詳細な説明の繰り返しは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による目標追尾装置の構成を示す図である。図1において、1000はセンサ群、1100はセンサ群1000内の1つのセンサ(1)である。センサ(1)1100において、1101は表示処理部、1102は融合追尾処理部、1103は融合相関処理部、1104は送受信処理部、1105は遅延部、1106は融合航跡DB、1107は送信判定処理部、1108は信号処理部、1109はセンサ追尾処理部、1110は再追尾処理部である。1200はセンサ(M)であり、センサ群1000はセンサ(1)1100と同一構成のセンサをM個含む。
【0011】
また、1300は管理サーバ(管理サーバ(1))である。管理サーバ(1)1300において、1301は拡張送受信処理部、1302は融合相関処理部、1303は融合追尾処理部、1304は表示処理部、1305は遅延部、1306は送信要求判定処理部、1307はセンサパラメータDB、1308は融合航跡DBである。1400は管理サーバ(1)1300と同じ構成の管理サーバ(L)であり、管理サーバは1台から最大L台あることを想定する。また、1500はネットワークである。
【0012】
このようにこの発明の目標追尾装置は、複数(M個)のセンサ1100〜1200と少なくとも1台(最大L台)の管理サーバ1300〜1400がネットワーク1500に接続されて構成される。なお、管理サーバ(例えば管理サーバ1300)の機能は、代表するセンサ、例えば管理サーバ(1)1300内に全て組み込まれていてもよく、この場合には構成上、管理サーバ機能を備えた1つの代表するセンサ(1)1100と、センサ機能のみを備えた複数のセンサ(センサ(M)1200等)がネットワーク1500に接続されて構成される。
【0013】
各センサ1100〜1200および管理サーバ1300〜1400はそれぞれコンピュータで構成される。そして後述する各部における事前の設定や手動処理は、ユーザが例えばセンサ側であれば表示処理部1101の表示を確認しながらコンピュータへの入力装置(図示省略)で行う。またこの発明の目標追尾装置で使用されるデータベース(DB)は、必要な処理機能も含み得るものとする。
【0014】
まず、センサ群1000は、センサ(1)からセンサ(M)までの1台から最大M台までのセンサ群である。そして、センサ(1)1100は、後述の1101〜1110の処理部を有する。
【0015】
表示処理部1101では、後述の融合追尾処理部1102から出力される融合航跡、相関済再追尾センサ航跡をオペレータに表示する。
【0016】
融合追尾処理部1102では、融合相関処理部1103から得る融合航跡と、融合航跡と対応づけられた相関済再追尾センサ航跡を用いて、カルマンフィルタによる追尾を行う。ここで、融合追尾処理部1102では、カルマンフィルタで用いる観測値相当が、相関済再追尾センサ航跡であり、後述する遅延部1105の出力の融合航跡を、相関済再追尾センサ航跡の持つ時刻まで1サンプリング分予測して得られたものを、カルマンフィルタで用いる予測値として、相関済再追尾センサ航跡で更新された融合航跡を算出する。ここで、この相関済再追尾センサ航跡で更新された融合航跡が、カルマンフィルタの平滑値相当である。
ここで、融合相関処理部1103で、融合航跡が、再追尾センサ航跡と対応づけられない場合は、その融合航跡がメモリトラック状態にあると判断して、融合航跡を再追尾センサ航跡で更新しないで、そのまま融合航跡DB1106に登録する。
【0017】
融合相関処理部1103では、送受信処理部1104から得る再追尾センサ航跡が、遅延部1105から得る融合航跡と対応づけがとれるか否かの相関処理を行い、対応がとれたものを相関済再追尾センサ航跡として、融合航跡と相関済再追尾センサ航跡と関連付けて融合追尾処理部1102に出力する。また、再追尾センサ航跡と融合航跡の上記相関処理を行った結果、再追尾センサ航跡が既存の融合航跡と対応づけられない場合は、当該再追尾センサ航跡を融合航跡初期値として新規登録して、直接、後述する融合航跡DB1106に登録する。
【0018】
送受信処理部1104では、ネットワーク1500から他のセンサからの再追尾センサ航跡や管理サーバからの送信要求データを受信する。そして、融合相関処理部1103に、再追尾センサ航跡を出力する。さらに送受信処理部1104では、送信判定処理部1107からの再追尾センサ航跡と送信判定結果を得る。ここで、送信判定結果フラグを定義する。送信判定結果フラグとは、フラグが“1”の場合“送信”を表し、フラグが“0”の場合“送信保留”を表す。
【0019】
また送受信処理部1104は、送信要求データを受信すると、要求に従った再追尾センサ航跡等のデータを送信する。
【0020】
送受信処理部1104では、送信判定結果として送信判定結果フラグが“1”を受信した場合、自分で生成した再追尾センサ航跡、つまり、後述する再追尾処理部1110で生成する再追尾センサ航跡をネットワーク1500に送出する。ここで、再追尾センサ航跡には、時刻と、航跡位置、速度からなる状態ベクトルと、その状態ベクトルの誤差共分散行列の他に、目標番号、センサ番号等の識別番号が付与される。この識別番号は、例えば、目標を類識別した番号、例えば、航空機、衛星、打上げロケット、等、別処理部により、機体の種別で識別された番号、あるいは、敵か味方かの判断を別処理部により行い付与された番号、等に拡張可能である。
また、送受信処理部1104において、送信できる最大データ容量の制限しきい値を事前に設定しておき、この最大データ容量の制限しきい値を超えて、再追尾センサ航跡の送信はできないこととする。
【0021】
また、状態ベクトルは、航跡位置、速度だけではなく、加速度も含む場合もある。但し、通常は、航跡位置、速度を使用する場合が多いと考えられる。また、状態ベクトルは、センサの観測位置の内容によっても異なり、状態ベクトルが、直交座標のX、Y、Zの位置とその速度で表されることもあれば、極座標の距離R、仰角E、方位角Azの位置とその速度の6次元の状態ベクトルで表されることもあれば、仰角E、方位角Azの位置と速度の4次元の状態ベクトルで表されることもあれば、角度と角度の速度の2次元の状態ベクトルで表されることもあれば、距離と距離の速度の2次元の状態ベクトルで表される等、センサの観測量によって決まる。ここで、状態ベクトルの次数やどの観測量を使用するかは、ユーザが自由に設定することができる。
そして、状態ベクトルの誤差共分散行列は、状態ベクトルの次数に合わせて変化する。つまり、6次元の状態ベクトルの場合の、状態ベクトルの誤差共分散行列の行列の次数は6行6列となる。
【0022】
遅延部1105では、融合追尾処理部1102の出力である融合航跡を1サンプリング分遅延して、1サンプリング分遅延した融合航跡を出力する。
【0023】
融合航跡DB1106では、融合相関処理部1103から得る既存の融合航跡と対応づけられなかった融合航跡初期値と、融合追尾処理部1102から得る融合航跡すなわち再追尾センサ航跡により更新された融合航跡を登録する。
【0024】
送信判定処理部1107を説明する前に、信号処理部1108、センサ追尾処理部1109、再追尾処理部1110を説明する。
【0025】
信号処理部1108では、センサ(図示省略)により目標を観測したセンサから得られた観測信号処理等を行い、目標の観測位置及びその観測誤差を計算する。そして、観測位置と観測誤差をセンサ観測値としてセンサ追尾処理部1109に出力する。
信号処理部1108では、目標の観測位置の他に、ドップラ速度やRCS(Radar Cross Section)等の属性情報を観測する場合もある。この場合は、目標の観測位置の他に、このドップラ速度、RCS、そしてそれらの観測誤差を、センサ観測値として出力する。
【0026】
センサ追尾処理部1109では、信号処理部1108から得るセンサ観測値の観測次元に応じて、カルマンフィルタにより追尾を行う。ここで、センサ追尾処理部1109では、予測処理、相関処理、データ更新処理の順に、カルマンフィルタを元に追尾の計算を行う。ここで予測処理では、前回計算した追尾の結果であるセンサ航跡を1サンプリング予測して、センサ航跡の予測値を算出する。そして、次に相関処理では、センサ観測値とセンサ航跡の予測値の対応付けを行い、対応づけがされる場合には、当該センサ観測値を、相関済センサ観測値とする。そして、相関済センサ観測値と予測処理の出力のセンサ航跡の予測値からセンサ航跡の平滑値を算出する。また、センサ航跡の予測値がセンサ観測値と対応づけされない場合には、センサ航跡の予測値をそのままセンサ航跡の平滑値として登録する。
センサ追尾処理部1109では、上記センサ航跡の予測値とセンサ航跡の平滑値をセンサ航跡として再追尾処理部1110に出力する。また、相関済センサ観測値を再追尾処理部1110に出力する。
【0027】
再追尾処理部1110では、センサ追尾処理部1109から得るセンサ航跡と相関済センサ観測値を用いて再追尾センサ航跡を生成し、その再追尾センサ航跡を送信判定処理部1107に出力する。再追尾処理部1110では、後述する再追尾センサ航跡生成方法1〜4の内、ユーザが事前に決めた(入力設定した)方法により、再追尾センサ航跡を生成する。
【0028】
ここで、再追尾センサ航跡の生成方法について説明する。再追尾センサ航跡の生成方法は、いろいろ考えられるが、ここでは、再追尾センサ航跡生成方法1〜4についてそれぞれ説明を行う。
再追尾センサ航跡は、状態ベクトルと状態ベクトルの誤差共分散行列を持つ。この状態ベクトルの定義の方法は、先の送受信処理部1104に関する説明で述べたように、状態ベクトルの変数の内容や座標系の内容をユーザの設定で事前に決めておくことができる。
例えば、再追尾センサ航跡は、直交座標のXYZの位置と速度で定義してもよいし、直交座標のXYZの位置と速度と加速度で定義してもよいし、極座標の距離R,仰角E,方位角Azの位置と速度で定義してもよいし、極座標の距離R,仰角E,方位角Azの位置と速度と加速度で定義してもよいし、極座標の仰角E,方位角Azの位置と速度で定義してもよいし、極座標の仰角E,方位角Azの位置と速度と加速度で定義してもよいし、角度の位置、速度で定義してもよいし、距離の位置、速度で定義してもよいし、つまり、ユーザの設定で、状態ベクトルを事前に自由に定義しておくことができる。
【0029】
まず、再追尾センサ航跡生成方法1は、ある事前に決めた一定時間間隔Tの中で、Nスキャン分(Nは正の整数)すなわち所定回数のスキャン分、相関済センサ観測値が得られる場合、その相関済センサ観測値を用いてカルマンフィルタにより予測、データ更新を行い航跡を生成する。その生成した航跡を再追尾センサ航跡生成方法1における、再追尾センサ航跡と呼ぶことにする。
【0030】
次に、再追尾センサ航跡生成方法2では、ある事前に決めた一定時間間隔Tの中で、Nスキャン分、相関済センサ観測値が得られる場合、その相関済センサ観測値をL次元(所定数の次元、管理サーバの最大数とは無関係)の曲線にフィッティングさせ、そのフィッティングさせた最新時刻の位置とその位置変化率を速度と見なして、位置と位置変化率を再追尾センサ航跡とする。
【0031】
次に、再追尾センサ航跡生成方法3では、センサ航跡から、式(1)〜式(3)を用いて、再追尾センサ航跡を算出する。
【0032】
Xu(k)=Xs(k)+A(k)[Xs(k)−Xp(k)] (1)
Pu(k)=Pp(k)[Pp(k)−Ps(k)]−1・Pp(k)−Pp(k) (2)
A(k)=[Pu(k)+Pp(k)][Pp(k)]−1 (3)
【0033】
式(1)〜(3)において、記号(k)は時刻kを表し、式(2)、(3)における記号[]−1は、行列の逆行列を表す記号を表す。
式(1)において、
Xu(k)は、時刻kにおける再追尾センサ航跡の状態ベクトル、
Xs(k)は、時刻kにおけるセンサ航跡の平滑値の状態ベクトル、
Xp(k)は、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の状態ベクトル、
A(k)は、式(3)で表される。
【0034】
式(2)において、
Pu(k)は、時刻kにおける再追尾センサ航跡の誤差共分散行列、
Ps(k)は、時刻kにおけるセンサ航跡の平滑値の誤差共分散行列、
Pp(k)は、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の誤差共分散行列である。
【0035】
再追尾センサ航跡生成方法4では、再追尾センサ航跡生成方法3において、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の状態ベクトルおよび、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の誤差共分散行列が得られない又は得られるが使用できない場合に、式(4)、(5)により、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の状態ベクトルと、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の誤差共分散行列、を算出する。
【0036】
そして、式(4)(5)により算出した、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の状態ベクトルと、時刻kにおけるセンサ航跡の予測値の誤差共分散行列と、時刻kにおけるセンサ航跡の平滑値の状態ベクトルと、時刻kにおけるセンサ航跡の平滑値の誤差共分散行列を用いて、式(1)(2)(3)によって、時刻kにおける再追尾センサ航跡の状態ベクトルと、時刻kにおける再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を算出する。
【0037】
Xp(k)=Φ(k−1)Xs(k−1) (4)
Pp(k)=Φ(k−1)P(k−1)Φ(k−1)+Q(k−1) (5)
【0038】
式(4)(5)において、Φ(k−1)は時刻k−1における状態遷移行列であり、Q(k−1)は時刻k−1におけるシステム雑音ベクトルの誤差共分散行列を表す。また、記号()は行列及びベクトルの転置を表す。システム雑音ベクトルの誤差共分散行列は、サンプリング間隔と、事前に設定するカルマンフィルタにおけるシステム雑音ベクトルの標準偏差のパラメータにより決まる。
【0039】
送信判定処理部1107では、再追尾処理部1110から得る再追尾センサ航跡と遅延部1105から得る融合航跡を用いて送信判定結果を算出する。そして、送信判定結果を、送受信処理部1104に入力する。
【0040】
送信判定処理部1107の処理を説明する。図2、図3は、送信判定処理の概念を表した図である。
【0041】
図2は、再追尾センサ航跡を統合する前の融合航跡の誤差である再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差と、再追尾センサ航跡を統合した後の融合航跡の誤差である再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差と、再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差から再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差を引いた差異である融合航跡誤差差異の関係を表している。
【0042】
再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差は、再追尾センサ航跡統合前融合誤差を再追尾センサ航跡誤差で更新することにより算出される。この算出方法を以下に説明する。
まず、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列と再追尾センサ航跡の誤差共分散行列から、カルマンフィルタによって再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列を算出する。
ここで、再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差は、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列の代数学におけるスペクトルノルムとする。同様に、再追尾センサ航跡誤差は、再追尾センサ航跡の誤差共分散行列のスペクトルノルムとし、また、再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差は、再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列のスペクトルノルムとする。
【0043】
なお、航跡誤差を説明のため、誤差共分散行列のスペクトルノルムで定義しているが、誤差共分散行列のトレースノルムでも行列式でもよいノルムの定義の方法はユーザが事前に決める(入力設定する)。
また、誤差共分散行列は、位置成分のみの誤差共分散行列でも、速度成分のみの誤差共分散行列でもよい。
また、再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列と再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列と再追尾センサ航跡の誤差共分散行列は、直交座標で定義することもできるし、極座標で定義することもできる。
【0044】
また、制御工学の拡張カルマンフィルタの考え方に基づき、再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を極座標で定義し、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列及び再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列を直交座標で定義してもよい。
さらに、再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を角度のみの極座標で定義して、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列及び再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列を直交座標で定義してもよい。
また、再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を距離のみの極座標で定義して、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列及び再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列を直交座標で定義してもよい。
また、再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を距離変化率のみの極座標で定義して、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差共分散行列及び再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差共分散行列を直交座標で定義してもよい。
【0045】
図2において、融合航跡誤差差異が差異しきい値よりも大きい場合は、再追尾センサ航跡を統合前融合航跡に追加して再追尾センサ航跡統合後融合航跡を生成することにより、再追尾センサ航跡の再追尾センサ航跡統合後融合航跡への、航跡誤差低減のための寄与が高いと判断して、ネットワークに送信する。この場合、送受信処理部1104に出力する送信判定結果における送信判定結果フラグを“1”とする。
一方、融合航跡誤差差異が差異しきい値以下の場合は、再追尾センサ航跡を統合前融合航跡に追加して再追尾センサ航跡統合後融合航跡を生成することにより、再追尾センサ航跡の再追尾センサ航跡統合後融合航跡への、航跡誤差低減のための寄与が小さいと判断して、ネットワークへの送信を保留とする。この場合、送受信処理部1104に出力する送信判定結果における送信判定結果フラグを“0”とする。
【0046】
図3は、再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差(A)と、再追尾センサ航跡誤差(B)と、再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差(C)と、融合航跡誤差差異(D)を表す(それぞれ楕円で示す)、イメージ図である。図2のスペクトルノルムは、図3の誤差楕円の長軸に相当すると考えられる。つまり、再追尾センサ航跡統合前融合航跡に再追尾センサ航跡を追加して再追尾センサ航跡統合後融合航跡を算出すると、再追尾センサ航跡が、再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差低減につながる場合、再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差楕円は、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差楕円に比べ、その大きさは小さくなると考えられる。
【0047】
つまり、再追尾センサ航跡を、再追尾センサ航跡統合前融合航跡に加えて、再追尾センサ航跡統合後融合航跡を算出する場合は、再追尾センサ航跡統合前の航跡誤差の誤差楕円の長軸よりも、再追尾センサ航跡統合後の航跡誤差の誤差楕円の長軸は小さくなっていることが期待される。そして、図2における融合航跡誤差差異が、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差楕円の大きさと再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差楕円の大きさの差に相当し、同様に、融合航跡誤差差異は、再追尾センサ航跡統合前融合航跡の誤差楕円の長軸の長さと再追尾センサ航跡統合後融合航跡の誤差楕円の長軸の長さに相当する。
長軸の長さに相当するか、誤差楕円の大きさに相当するかは、航跡誤差を定義するノルムに依る。また、再追尾センサ航跡を生成するサンプリングレートは、ユーザの設定により必要に応じて粗くしたり細かくしたりすることができる。
【0048】
1200のセンサ(M)は、センサ(1)と同機能を有する。
【0049】
また、管理サーバ(1)1300は上述の1301〜1308を含む。ここで管理サーバ(1)1300は、便宜上センサとは別に記載しているが、各センサに備え付けてもよい。
【0050】
まず、拡張送受信処理部1301では、ネットワーク1500から得た再追尾センサ航跡を受信する。そして後述に示す、送信要求判定処理部1306から得る送信要求判定結果を元に、送信要求判定結果における送信要求判定フラグが“1”の場合に、送信要求データをネットワーク1500に出力する。さらに、ネットワーク1500から得た再追尾センサ航跡を融合相関処理部1302に出力する。そして、事前に準備したセンサエントリーリスト(図示省略)を元に未受信センサ番号を、送信要求判定処理部1306に出力する。
【0051】
センサエントリーリストとは、事前にどの時刻にどのセンサからの再追尾センサ航跡を含む観測情報がネットワーク1500に流れるといったセンサ番号のリストであり、例えばメモリ(図示省略)に格納されている。ネットワーク1500から得る、再追尾センサ航跡のセンサ番号と、センサエントリーリストを常に比較して、センサエントリーリストに記載されているが、ある一定(所定)時間、受信されない再追尾センサ航跡のセンサ番号が検索された場合、そのある一定時間、受信されない再追尾センサ航跡のセンサ番号を未受信センサ番号として送信要求判定処理部1306に出力する。
一方、センサエントリーリストに記載されていないセンサ番号を持つ再追尾センサ航跡を受信した場合は、そのセンサ番号を、センサエントリーリストに追加し、送信要求判定処理部1306に、センサエントリーリストに記載されていないセンサ番号を持つ再追尾センサ航跡を出力する。
【0052】
融合相関処理部1302は、融合相関処理部1103と同様な処理を行う。融合相関処理部1302からは、相関済再追尾センサ航跡を融合追尾処理部1303に出力し、遅延部1305から得る融合航跡と対応づけがとれるか否かの相関処理を行った結果、既存の融合航跡と対応づけられない場合は、当該再追尾センサ航跡を融合航跡初期値として直接、融合航跡DB1308に新規登録する。
【0053】
融合追尾処理部1303は、融合追尾処理部1102と同様な処理を行い、融合航跡を算出して出力する。ここで、融合相関処理部1302で融合航跡が再追尾センサ航跡と対応づけられない場合は、その融合航跡がメモリトラック状態にあると判断して、融合航跡を再追尾センサ航跡で更新しないで、そのまま、融合航跡DB1308に登録する。
【0054】
表示処理部1304は、表示処理部1101と同様な処理を行う。
【0055】
遅延部1305は、遅延部1105と同様な処理を行う。
【0056】
送信要求判定処理部1306では、拡張送受信処理部1301から得る未受信センサ番号を元に、センサパラメータDB1307に対し、未受信センサ番号を送る。
そして、センサパラメータDBで1307は、各センサに関するセンサ番号とそのノミナル観測精度のデータを含む情報を格納し、上記送信要求判定処理部1306から得た未受信センサ番号に対応した、未受信センサ番号対応ノミナル観測精度を送信要求判定処理部1306に出力する。
【0057】
ここで、未受信センサ番号対応ノミナル観測精度とは、未受信センサの既知の観測精度、つまり距離観測精度、仰角観測精度、方位角観測精度である。ここでもし未受信センサが、仰角、方位角しか得られないセンサであれば、仰角観測精度、方位角観測精度が、未受信センサ番号対応ノミナル観測精度となり、未受信センサが、距離しか得られないセンサであれば、距離観測精度が、未受信センサ番号対応ノミナル観測精度となり、未受信センサが、距離変化率しか得られないセンサであれば、距離変化率観測精度が未受信センサ番号対応ノミナル観測精度となり、未受信センサが、角度しか得られないセンサであれば、角度精度が未受信センサ番号対応ノミナル観測精度となる。
【0058】
送信要求判定処理部1306のイメージ図を図4、図5に示す。
【0059】
図4、図5は上述の図2、図3において、再追尾センサ航跡を未受信センサノミナル観測精度に置き換え、かつ送信を送信要求、送信保留を送信要求保留に置き換えたものである。ここで、図2の差異閾値と図4の差異閾値は同じ閾値を設定してもよいが、基本的には異なる。
【0060】
ここで、未受信センサのノミナル観測精度を対角成分に持つ、未受信センサ観測誤差共分散行列を算出する。ここで、距離、仰角、方位角観測精度が得られるセンサが未受信センサの場合は、下記式(6)で観測誤差共分散行列が表される。
下記式(6)において、
B(k)は、サンプリング時刻kの未受信センサ観測誤差共分散行列であり、
σRnomは、ノミナル観測精度の距離成分であり、
σEnomは、ノミナル観測精度の仰角成分であり、
σAznomは、ノミナル観測精度の方位角成分であり、
(a)aの2乗を表し、
diag[a, b, c]はa, b, cを対角成分に持つ対角行列を表す。
なお、B(k)は拡張カルマンフィルタに基づき、状態ベクトルの定義する座標系へ座標変換を行う。
【0061】
B(k)=diag[(σRnom),(σEnom),(σAznom)] (6)
【0062】
また、仰角、方位角観測精度が得られるセンサが未受信センサの場合は、式(6)同様に式(7)で表される。さらに、未受信センサの観測量に応じて、未受信センサ観測誤差共分散行列B(k)も変わる。
【0063】
B(k)=diag[(σEnom),(σAznom)] (7)
【0064】
ここで、ノミナル観測精度の距離成分や、ノミナル観測精度の仰角成分や、ノミナル観測精度の方位角成分は、センサと目標間の距離に応じたテーブル(例えばメモリ(図示省略)に格納)で持たせてもよい。この場合、センサと目標間の距離は、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡から求めた距離を使用することによって、実現できる。
【0065】
図4、図5における未受信センサノミナル観測精度は、前述の未受信センサ観測誤差共分散行列と置き換えて考えてよい。つまり、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡は未受信センサ観測誤差共分散行列統合前融合航跡と同じ意味であり、同様に未受信センサノミナル観測精度統合後融合航跡は未受信センサ観測誤差共分散行列統合後融合航跡と同じ意味である。
図5は、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡誤差(A)と、未受信センサノミナル観測誤差(未受信センサノミナル観測精度)(B)と、未受信センサノミナル観測精度統合後融合航跡誤差(C)と、融合航跡誤差差異(D)を表す(それぞれ楕円で示す)、イメージ図である。
【0066】
送信要求判定処理部1306では、センサパラメータDB1307から得る未受信センサ番号対応ノミナル観測精度と遅延部1305から得る融合航跡から、送信判定処理部1107と同様に、未受信センサ番号対応ノミナル観測精度統合前融合航跡誤差と未受信センサ番号対応ノミナル観測精度統合後融合航跡誤差から算出される融合航跡誤差差異が差異しきい値よりも大きい場合は、未受信センサ番号のセンサから仮に再追尾センサ航跡が得られた場合、融合航跡の誤差低減のための寄与が高いと判断して、ネットワークに送信要求する。この場合、拡張送受信処理部1301に出力する、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグを“1”とする。
一方、融合航跡誤差差異が差異しきい値以下の場合は、未受信センサ番号のセンサから、仮に再追尾センサ航跡が得られた場合、融合航跡の誤差低減の寄与が小さいと判断して、ネットワークへの送信要求を保留とする。この場合、拡張送受信処理部1301に出力する、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグを“0”とする。
【0067】
また、未受信センサ観測誤差共分散行列を生成するサンプリングレートと、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡を生成する際のサンプリングレートは、ユーザの設定により必要に応じて粗くしたり細かくしたりすることができる。
つまり、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡の時刻と未受信センサ観測誤差共分散行列の時刻は一致させているので、未受信センサ観測誤差共分散行列を生成するためのサンプリングレートを細かくしたら、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡を生成するためのサンプリングレートも細かくなる。
また、未受信センサ観測誤差共分散行列を生成するためのサンプリングレートを粗くしたら、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡を生成するためのサンプリングレートも粗くなる。
【0068】
融合航跡DB1308は、融合航跡DB1106と同様な処理を行う。
【0069】
1400の管理サーバ(L)は、管理サーバ(1)1300と同機能を有する。
【0070】
ネットワーク1500は、管理サーバおよびセンサ群からのデータが存在するネットワークである。但し、ネットワークの全体の通信容量には制限がある。
【0071】
以上のように従来、ネットワーク全体の通信量を考慮しないで、各センサからの観測値を垂れ流しているため、ネットワークの通信容量に制限がなければ、追尾性能の向上が見込めるが、現実はネットワークの通信容量に制限がある状況では、かえって追尾性能が劣化する可能性がある。それに対しこの本発明の装置では、センサ側からセンサ観測情報を集約した再追尾センサ航跡をネットワークに流すことにより、センサ観測情報を全て出力する従来方式に比べ、ネットワークに流すデータ量を低減している。そして、センサ側において、自律的に自センサの再追尾センサ航跡が融合航跡の航跡精度に寄与するか否かによりネットワークに送信するか否かの送信判定を行い、寄与する場合のみ、再追尾センサ航跡を伝送することにより、必要最小限のネットワーク通信容量で、融合航跡の追尾精度を確保することができる。
【0072】
また、仮にセンサにおける送信判定処理のネットワークに送信するか否かの融合航跡差異しきい値の設定を誤る等の理由でネットワークに再追尾センサ航跡が送信されないような状況においても、管理サーバにおいてネットワーク上に流れている再追尾センサ航跡のセンサ番号から、予め登録してあるセンサリスト上にエントリーしてあるセンサ番号と対応させることで、未受信センサ番号を割り出し、未受信センサ番号のノミナル観測精度を用いて、未受信センサの再追尾センサ航跡を送信要求することにより未受信センサへの再追尾航跡を受信することが可能となり、融合航跡の追尾精度を向上することが可能となる。
【0073】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による目標追尾装置の構成を示す図である。図6において、1309はサンプリング制御処理部、1310はサンプリング累積判断処理部、である。
【0074】
サンプリング制御処理部1309には、送信要求判定処理部1306から未受信センサ番号が入力される。そしてサンプリング制御処理部1309では、N通り(Nは正の整数、上記Nスキャン分とは無関係)のサンプリングレートで送信要求判定処理を実施するような制御信号(仮サンプリング間隔)を送信要求判定処理部1306に出力する。上記制御信号は、順に送信要求判定処理部1306に入力する。そして、送信要求判定処理部1306では、サンプリング制御処理部1309から順に入力されたN通りのサンプリングレートで送信要求判定処理を実施した結果である送信要求判定結果を、サンプリング累積判断処理部1310に出力する。そして送信要求判定処理部1306からは、N通りのサンプリングレートに対応した航跡誤差差異をサンプリング制御処理部1309に入力する。
【0075】
そしてサンプリング制御処理部1309は、始めは粗いサンプリングのものを入力し、粗いサンプリングで計算し航跡誤差差異の中で、航跡誤差差異が小さくなるような粗いサンプリングの周辺について、細かいサンプリングで、送信要求判定を実施するような制御信号を、送信要求判定処理部1306に入力する。
【0076】
サンプリング累積判断処理部1310では、いくつか行わせたサンプリングの中で、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグが“1”となる場合のサンプリング間隔で、送信要求を行うといった累積送信要求判定結果を、送信要求判定処理部1306に入力する。この累積送信要求判定結果は、送信要求を行う場合は、累積送信要求判定結果における累積送信要求判定フラグが“1”、送信要求を保留する場合は、累積送信要求判定結果における累積送信要求判定フラグを“0”とする。
そして、送信要求判定処理部1306では、上記累積送信要求判定結果における累積送信要求判定フラグが“1”となる場合に、拡張送受信処理部1301に累積送信要求判定結果として、送信要求判定結果フラグを“1”として、送信要求を行う。
また、サンプリングをいくら細かくしても送信要求判定処理を満たさない場合は、サンプリング制御処理部1309において、サンプリングレートの最小閾値を持たせておいて、その最小閾値未満に、サンプリングレートがなった場合は、処理を打ち切る制御信号を、送信要求判定処理部1306に出力して、送信要求判定を行わないようにする。
【0077】
以上のようにこの実施の形態2によれば、細かいサンプリングで未受信センサから再追尾センサ航跡を入手した方がよいか、それとも粗いサンプリングで未受信センサから再追尾センサ航跡を入手した方がよいか、航跡誤差が低減するように必要最小限のサンプリングで再追尾センサ航跡の送信要求をすることができるため、融合航跡の追尾精度確保と、ネットワークの通信容量の低減の両立が図れる。
【0078】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による目標追尾装置の構成を示す図である。図7において、1311は外部航跡DB、1312は誤差変換処理部、1313は誤差タイプ設定処理部、である。
【0079】
外部航跡DB1311には、拡張送受信処理部1301から送信要求判定処理部1306を介して得た、不明センサ番号の再追尾センサ航跡を蓄積する。不明センサ番号とは、センサエントリーリストに登録されていないセンサ番号を意味し、不明センサ番号の再追尾センサ航跡とは、上述のように状態ベクトルと誤差共分散行列である。そして、不明センサ番号の再追尾センサ航跡が直交座標の場合は、外部航跡DB1311から、誤差変換処理部1312により、直交座標から極座標への変換を行い、その不明センサ番号の再追尾センサ航跡の直交座標から極座標へ座標変換されたものを、外部航跡DB1311に出力する。
【0080】
そして、誤差タイプ設定処理部1313では、直交座標の不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列か、又は極座標の不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列か、の誤差タイプを、ユーザの事前設定により決めておく。そして、ユーザの事前設定で、直交座標の誤差タイプを設定した場合は、直交座標の不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を、外部航跡DB1311から送信要求判定処理部1306に出力し、極座標の誤差タイプを設定した場合は、極座標の不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を、外部航跡DB1311から送信要求判定処理部1306に出力する。
ここで、ユーザは外部航跡DB1311の誤差共分散行列の値と、センサパラメータDB1307に登録してあるノミナル観測精度パラメータを比較することにより、外部航跡DB1311の誤差共分散行列の値が、センサパラメータDB1307の値よりも極端に悪い場合は、外部航跡DB1311の誤差共分散行列の値を削除することが可能である。
【0081】
以上のようにこの実施の形態3によれば、万が一、センサエントリーリストに登録してない場合に、そのセンサエントリーリストに登録されていないセンサ番号、つまり不明センサ番号を持った再追尾センサ航跡が、ネットワークから得られた場合に、その不明センサ番号を持った再追尾センサ航跡を自動登録できる。その結果、その不明センサ番号を持った再追尾センサ航跡を、あたかも、センサエントリーリストに登録しているセンサと同等に扱い、送信要求判定処理を行うことができるため、融合航跡の高精度化が図れる。
また、誤差タイプを、直交座標の場合と極座標の場合で分けて持たせることで、センサパラメータDB1307で登録してあるノミナル観測精度パラメータと、観測誤差の比較をすることができ、オペレータ判断により、必要あれば誤差が大きい外部航跡DB1311登録の再追尾センサ航跡を削除することができる、つまりユーザを介した外部航跡DB1311登録の再追尾センサ航跡のチェックができるため、結果として融合航跡の高精度化が図れる。
【0082】
なお、外部航跡DB1311の誤差共分散行列の値とセンサパラメータDB1307のノミナル観測精度パラメータとの比較を行い、所定値以上の誤差のある外部航跡DB1311登録の再追尾センサ航跡をユーザに代わって自動的に削除するデータ管理部(図示省略)を別途設けてもよい。削除の基準となる上記所定値はユーザが設定する。
【0083】
実施の形態4.
図8はこの発明の実施の形態4による目標追尾装置の構成を示す図である。図8において、1314はデータ数モニタリング処理である。
【0084】
データ数モニタリング処理部1314では、拡張送受信処理部1301からネットワークから全目標分の受信センサの受信データ総数を得る。そして、この全目標分の受信センサの受信データ総数が事前に決めたしきい値以内であったら、つまり下記の式(8)を満たす場合は、送信要求判定開始の制御信号を送信要求判定処理部1306に入力する。もし、式(8)を満たさない場合は、送信要求判定処理を行わない。ここで、式(8)において、データ数しきい値は、ネットワークにおける最大データ数相当、つまり通信容量の観点で許容できる最大データ数を事前に設定する。
【0085】
次に、送信要求判定処理部1306では、式(8)を満たした場合に、送信要求判定処理を目標毎に実施し、データ数モニタリング処理部1314は全目標数分の未受信センサの送信要求データ予定総数を得る。そして、式(9)により、ネットワーク中の予定データ総数を算出する。
次に、式(10)を満たす場合には、送信要求判定処理部1306を介して拡張送受信処理部1301に対し、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグを“1”として、送信要求を行う。そして、式(10)を満たさない場合には、航跡誤差差異が大きいものから順に、式(10)を満たす未受信センサの送信要求データを抽出したものと、全目標分の受信センサの受信データの和を、ネットワーク中の予定データ総数として、拡張送受信処理部1301に対し、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグを“1”として、送信要求を行う。
【0086】
(全目標分の受信センサの受信データ総数)≦(データ数しきい値(ネットワークにおける最大データ数相当)) (8)
(ネットワーク中の予定データ総数)=
(全目標分の受信センサの受信データ総数)+(全目標分の未受信センサの送信要求データ予定総数) (9)
(ネットワーク中の予定データ総数)≦(データ数しきい値(ネットワークにおける最大データ数相当)) (10)
【0087】
以上のようにこの実施の形態4によれば、実施の形態1に比べてさらに、管理サーバで得る受信データの総数を考慮した、精度の高い送信要求をすることが可能となる。
【0088】
実施の形態5.
図9はこの発明の実施の形態5による目標追尾装置の構成を示す図である。図9において、1315はデータ数モニタリングバッチ処理部である。
【0089】
データ数モニタリングバッチ処理部1315では、基本的な処理はデータ数モニタリング処理部1314と同じであるが、データ数モニタリング処理部1314と違う処理として、上記式(10)のネットワーク中の予定データ総数がばらつくため、M回中N回(m回中n回(m,n:共に任意の正の整数でm>n、m,nは上記M、Nとは無関係))の予定データ総数の平均が、データ数しきい値以下である場合に、拡張送受信処理部1301に対し、送信要求判定結果における送信要求判定結果フラグを“1”として、送信要求を行う。
【0090】
以上のようにこの実施の形態5によれば、実施の形態4に比べネットワーク中の予定データ総数のばらつきがある場合に、M回中N回(m回中n回)の予定データ総数の平均を取ることで、安定した送信要求をすることが可能となる。
【0091】
実施の形態6.
図10はこの発明の実施の形態6による目標追尾装置の構成を示す図である。図10において、1316は送信要求センサ優先度設定処理部である。
【0092】
送信要求センサ優先度設定処理部1316では、ある一定時間内で、複数の送信要求センサがある場合、事前に決めた送信要求するセンサの順番が記載されている送信要求センサリストに基づいて、事前に決めた順番に該当する上位N個(上位所定個)のセンサについて送信要求を行うような制御信号を、送信要求判定処理部1306に入力する。送信要求センサリストは例えばメモリ(図示省略)等に格納されている。
【0093】
以上のようにこの実施の形態6によれば、送信要求するデータ総数が多い場合、事前に決めた優先度(順番)に基づき、送信要求を行うことで、ネットワーク全体の通信容量を低減することが可能となる。
【0094】
実施の形態7.
図11はこの発明の実施の形態7による目標追尾装置の構成を示す図である。図11(図8の派生形)において、1317は再送信要求判定処理部である。
【0095】
再送信要求判定処理部1317では、データ数モニタリング処理部1314において、上記式(8)や式(10)を満たさない場合、サンプリングレートを粗くして、送信要求を行う制御をする。
【0096】
以上のようにこの実施の形態7によれば、送信要求するデータ総数が所定値又は所定条件より多い場合、サンプリングレートを粗くして、送信要求を行うことで、ネットワーク全体の通信容量を低減することが可能となる。
【0097】
実施の形態8.
図12はこの発明の実施の形態8による目標追尾装置の構成を示す図である。図12において、1111は送信要求数モニタリング処理部である。
【0098】
送信要求数モニタリング処理部1111では、管理サーバからの送信要求データを1票とした場合、複数の管理サーバからの票が何票集まったかを、送受信処理部1104または送信要求数モニタリング処理部1111がネットワーク1500から得る管理サーバからの送信要求データを数えることにより票数を数え、事前に決めた得票数のしきい値を超えたら、送受信処理部1104から送信を行うような制御信号を送受信処理部1104に対して出力する。
【0099】
以上のようにこの実施の形態8によれば、管理サーバからの送信要求に関わる票数をカウントし、その票数がある事前に決めた得票数のしきい値を超えたら、そのセンサに関わる再追尾センサ航跡の需要がシステムの中で高いとみなして、再追尾センサ航跡をネットワークに送信することで、センサ群中のセンサが管理サーバからの送信要求に従い、一度に送信することにより、ネットワーク全体の通信容量がパンクするような事態を防ぐことができる。
【0100】
実施の形態9.
図13はこの発明の実施の形態9による目標追尾装置の構成を示す図である。図13において、1318は時間モニタリング処理部である。
【0101】
時間モニタリング処理部1318では、受信データに関する時間を入力する。受信データとは再追尾センサ航跡である。そして、時間モニタリング処理部1318では、受信データの最新時刻からある事前に決めた時間しきい値を超えて、受信データが得られない場合、拡張送受信処理部1301に対し、得られなかった受信データの配信元のセンサに対し送信要求を行う。
【0102】
以上のようにこの実施の形態9によれば、送信判定処理部1107や送信要求判定処理部1306で適切な航跡差異しきい値を設定できない場合においても、送信要求を行うことができるため、融合航跡の精度の劣化を防ぐことが可能となる。
【0103】
実施の形態10.
図14はこの発明の実施の形態10による目標追尾装置の構成を示す図である。図14において、1319は探知状況モニタリング処理部である。
【0104】
探知状況モニタリング処理部1319では、拡張送受信処理部1301から受信データがある事前に決めた時間の中で、M回中N回(m回中n回)得られない場合、拡張送受信処理部1301に対し、得られなかった受信データの配信元のセンサに対する送信要求を行う。
【0105】
以上のようにこの実施の形態10によれば、送信判定処理部1107や送信要求判定処理部1306で適切な航跡差異しきい値を設定できない場合においても、送信要求を行うことができるため、融合航跡の精度の劣化を防ぐことが可能となる。
【0106】
実施の形態11.
図15はこの発明の実施の形態11による目標追尾装置の構成を示す図である。図15において、1320は旋回状況モニタリング処理部である。
【0107】
融合相関処理部1302において、拡張送受信処理部1301から得る再追尾センサ航跡と遅延部1305から得る融合航跡と対応付けがとれるか否かの相関処理において、下記式(11)で表されるマハラノビス距離Dを使用した場合、マハラノビス距離Dが下記式(12)を満たさない場合は、目標が旋回しているとみなし、目標旋回判定フラグを“1”とする。そして、その目標旋回判定フラグを旋回状況モニタリング処理部1320に出力する。
【0108】
D=(Xp−Z) ’S(Xp−Z) (11)
D≧dt (12)
【0109】
式(11)において、Xpは、融合航跡、Zは、再追尾センサ航跡、Sは融合航跡と再追尾センサ航跡の残差共分散行列、“’”は、行列およびベクトルの転置を表す記号である。また、式(12)において、dtは、旋回判定しきい値である。
【0110】
旋回状況モニタリング処理部1320では、目標旋回判定フラグがM回中N回(m回中n回または所定回数)つづく場合、目標が旋回していると最終判断を行い、拡張送受信処理部1301に、目標に対応する、再追尾センサ航跡の送信要求を行う。
【0111】
以上のようにこの実施の形態11によれば、旋回目標の場合に送信要求を行うことができるため、融合航跡の精度の劣化を防ぐことが可能となる。
【0112】
実施の形態12.
図16はこの発明の実施の形態12による目標追尾装置の構成を示す図である。図16において、1321は第1の送信判定評価指標制御処理部である。
【0113】
第1の送信判定評価指標制御処理部1321では、ユーザが事前に決めた(入力設定した)送信要求判定処理部1306における送信要求判定を実施する際に、位置の誤差共分散行列で評価するか、速度の誤差共分散行列で評価するか、位置と速度を含んだ誤差共分散行列で評価するかの制御信号を送信要求判定処理部1306に出力する。上記いずれの誤差共分散行列で評価するかは、第1の送信判定評価指標制御処理部1321にユーザの入力により事前に設定される。
そして、送信要求判定処理部1306では、位置の誤差共分散行列で評価する制御信号が入力された場合は、位置の誤差共分散行列で送信要求判定処理を実施し、速度の誤差共分散行列で評価する制御信号が入力された場合は、速度の誤差共分散行列で送信要求判定処理を実施し、位置と速度の誤差共分散行列で評価する制御信号が入力された場合は、位置と速度の誤差共分散行列で送信要求判定処理を実施する。
【0114】
以上のようにこの実施の形態12によれば、位置の誤差共分散行列で評価するか、速度の誤差共分散行列で評価するか、位置と速度の誤差共分散行列で評価するか、をユーザの判断で決めることができ、もし、ユーザが事前に、位置の誤差共分散行列、速度の誤差共分散行列、位置と速度の誤差共分散行列の内、どれか1つ効果がありそうな諸元を知っている場合、ユーザの意向を反映した融合航跡の精度を得ることが可能となる。
【0115】
実施の形態13.
図17はこの発明の実施の形態13による目標追尾装置の構成を示す図である。図17において、1322は第2の送信判定評価指標制御処理部である。
【0116】
第2の送信判定評価指標制御処理部1322では、位置の誤差共分散行列で評価するか、速度の誤差共分散行列で評価するか、位置と速度の誤差共分散行列で評価するかの、3つの評価指標のAND又はORの組合せを生成する。
【0117】
(A)例えば、位置の誤差共分散行列の評価指標と速度の誤差共分散行列の評価指標のANDの組合せとは、位置の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理部1306の送信要求判定処理を実施した後、速度の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理部1306の送信要求判定処理を実施し、位置の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理を実施した結果で得た送信要求判定結果フラグが“1”かつ、速度の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理を実施した結果で得た送信要求判定結果フラグが“1”ならば(AND条件:積集合)、送信要求を行う、といった組合せである。
【0118】
(B)同様に、位置の誤差共分散行列の評価指標と速度の誤差共分散行列の評価指標のORの組合せとは、位置の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理部1306の送信要求判定処理を実施した後、速度の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理部1306の送信要求判定処理を実施し、位置の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理を実施した結果で得た送信要求判定結果フラグが“1”又は、速度の誤差共分散行列の評価指標で送信要求判定処理を実施した結果で得た送信要求判定結果フラグが“1”ならば(OR条件:和集合)、送信要求を行う、といった組合せである。
【0119】
そして、位置の誤差共分散行列の評価指標と速度の誤差共分散行列の評価指標と位置と速度の誤差共分散行列の評価指標のANDの組合せも、位置の誤差共分散行列の評価指標と速度の誤差共分散行列の評価指標と位置と速度の誤差共分散行列の評価指標のORの組合せ等、各種実施が可能である。
【0120】
第2の送信判定評価指標制御処理部1322では、位置の誤差共分散行列で評価するか、速度の誤差共分散行列で評価するか、位置と速度の誤差共分散行列で評価するかの、3つのうちの2つ又は3つの評価指標のAND又はORの組合せを1つ生成して、その組合せに基づき上記のような組み合わせによる送信判定評価指標制御処理を行う制御信号を、送信要求判定処理部1306に入力する。これらの組み合わせ条件は、第2の送信判定評価指標制御処理部1322にユーザの入力により事前に設定される。
【0121】
以上のようにこの実施の形態13によれば、位置の誤差共分散行列で評価するか、速度の誤差共分散行列で評価するか、位置と速度の誤差共分散行列で評価するかの2つ以上の評価指標を組合せることによって、送信要求判定の確度を向上させることができ、結果として、融合航跡の高精度化とネットワーク全体の通信容量の低減が図れる。
【0122】
実施の形態14.
図18はこの発明の実施の形態14による目標追尾装置の構成を示す図である。図18において、1323は第3の送信判定評価指標制御処理部である。
【0123】
第3の送信判定評価指標制御処理部1323では、
(1)時間モニタリング処理部1318に基づく評価指標に基づく送信要求判定処理、
(2)探知状況モニタリング処理部1319に基づく評価指標に基づく送信要求判定処理、
(3)旋回状況モニタリング処理部1320に基づく評価指標に基づく送信要求判定処理、
(4)第1の送信判定評価指標制御処理部1321に基づく評価指標に基づく送信要求判定処理、
においてそれぞれ送信要求を行う、つまり、個々の処理における送信要求判定結果である送信要求判定結果フラグが“1”となるものが、L個以上(所定個以上、管理サーバの最大数とは無関係)ある場合に、最終的な送信要求判定結果として、拡張送受信処理部1301に対し、送信判定結果フラグを“1”として出力する。
【0124】
以上のように、この実施の形態14によれば、所定数以上の評価指標に基づく送信要求判定処理を行うことにより、送信要求判定の確度を向上させることができ、結果として、融合航跡の高精度化とネットワーク全体の通信容量の低減が図れる。
【0125】
実施の形態15.
図19はこの発明の実施の形態15による目標追尾装置の構成を示す図である。図19において、1112は再追尾処理方法選択処理部である。
【0126】
再追尾処理方法選択処理部1112では、実施の形態1に記載した再追尾センサ航跡生成方法1〜4の内、初期時間帯は、再追尾センサ航跡生成方法2又は3又は4を使用して再追尾センサ航跡を生成し、ある事前に決めた所定時間以上となったら、初期時間帯での再追尾センサ航跡生成方法2又は3又は4を、再追尾センサ航跡生成方法1における初期値として設定し、再追尾センサ航跡生成方法1に基づいて再追尾センサ航跡生成を行う制御信号を再追尾処理部1110に出力する。そして、再追尾処理部1110では、その制御信号に基づき、再追尾センサ航跡を生成する。
【0127】
以上のようにこの実施の形態15によれば、再追尾センサ航跡生成方法1で再追尾センサ航跡を生成した場合、初期値がばらつくことが想定されるため、その初期値のばらつきを、再追尾センサ航跡生成方法2又は3又は4を使用して抑えることにより、再追尾センサ航跡の精度が向上し、結果として融合航跡の精度も向上する。
【0128】
実施の形態16.
図20はこの発明の実施の形態16による目標追尾装置の構成を示す図である。図20において、1113は再追尾航跡初期航跡除去処理部である。
【0129】
再追尾航跡初期航跡除去処理部1113では、再追尾センサ航跡生成方法1で生成した再追尾センサ航跡の初期時間帯の初期航跡は除去し、ある事前に決めた所定時間以上となったら、再追尾センサ航跡生成方法1による再追尾センサ航跡を出力する制御信号を再追尾処理部1110に出力する。
【0130】
以上のようにこの実施の形態16によれば、再追尾センサ航跡生成方法1で再追尾センサ航跡を生成した場合、初期値がばらつくことが想定されるため、その初期値のばらつきを取り除くことにより融合航跡の精度が向上する。
【0131】
なお、図19、20における第4の送信判定評価指標制御処理部1324は、上記各実施の形態の適応可能ないずれか1つで構成される。
【0132】
実施の形態17.
図21はこの発明の実施の形態17による目標追尾装置の構成を示す図である。図21において、1114は航跡誤差閾値設定処理部、1325は航跡誤差閾値設定処理部である。
【0133】
航跡誤差閾値設定処理部1114について、図22を用いて、説明する。図22において、まず再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差により、再追尾センサ航跡を送信するか否かの粗い判定を行う。具体的には、図22における送信閾値よりも再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差が大きい場合は、融合航跡誤差差異の計算をすることなく無条件に再追尾センサ航跡を送信すると判定する。
次に、送信保留閾値よりも再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差が小さい場合には、融合航跡誤差差異の計算をすることなく無条件に再追尾センサ航跡を送信しない、つまり、送信保留と判定する。
そして、再追尾センサ航跡統合前融合航跡誤差が送信保留閾値以上、送信閾値以下の場合に、初めて融合航跡誤差差異の計算を行う。
【0134】
同様に、航跡誤差閾値設定処理部1325について、図23を用いて、説明する。図23において、まず未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡誤差により、再追尾センサ航跡の、送信要求するか否かの粗い判定を行う。具体的には、図23における送信要求閾値よりも未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡誤差が大きい場合は、融合航跡誤差差異の計算をすることなく無条件に再追尾センサ航跡を送信要求すると判定する。
次に、送信要求保留閾値よりも未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡誤差が小さい場合には、融合航跡誤差差異の計算をすることなく無条件に再追尾センサ航跡を送信要求しない、つまり、送信要求保留と判定する。
そして、未受信センサノミナル観測精度統合前融合航跡誤差が、送信要求保留閾値以上、送信要求閾値以下の場合に、初めて融合航跡誤差差異の計算を行う。
【0135】
このように、航跡誤差閾値設定処理部1114では、これまでの差異閾値の他に、送信閾値と送信保留閾値の3段階の閾値を設定して送信判定処理を行うような制御信号を送信判定処理部1107に出力する。そして送信判定処理部1107において、上記差異閾値、送信閾値と送信保留閾値の3段階の閾値により、送信判定処理を行う。
【0136】
同様に、航跡誤差閾値設定処理部1325では、これまでの差異閾値の他に、送信要求閾値と送信要求保留閾値の3段階の閾値を設定して送信要求判定処理を行うような制御信号を送信要求判定処理部1306に出力する。そして送信要求判定処理部1306において、上記差異閾値、送信要求閾値と送信要求保留閾値の3段階の閾値により、送信判定処理を行う。
ここで、航跡誤差閾値設定処理部1114と、航跡誤差閾値設定処理部1325における差異閾値は、航跡誤差閾値設定処理部1114と、航跡誤差閾値設定処理部1325で同じでもよいし、異なってもよい。
【0137】
以上のようにこの実施の形態17によれば、送信判定処理部1107における再追尾センサ航跡統合後融合航跡誤差の計算や、融合航跡誤差差異の計算や、送信要求判定処理部1306における未受信センサノミナル観測精度統合後融合航跡誤差の計算や、融合航跡誤差差異の計算を、3段階の閾値設定により、融合航跡誤差差異の計算を全目標及び全センサに行う必要がなくなるため、演算量の低減が図れる。
【0138】
実施の形態18.
図24はこの発明の実施の形態18による目標追尾装置の構成を示す図である。図24において、1326は観測値要求設定処理部である。
【0139】
観測値要求設定処理部1326では、旋回状況モニタリング処理部1320から、目標が旋回していると最終判断を行った結果を得た場合に、その目標航跡の周りの領域の観測値を、センサから要求する制御信号を、拡張送受信処理部1301に出力する。そして、拡張送受信処理部1301では、その制御信号に基づき、センサから目標航跡の周りの領域の観測値を送信するように要求するといった送信要求データをネットワークに配信する。そして、センサからは観測値をネットワークに配信する。
【0140】
以上のようにこの実施の形態18によれば、再追尾センサ航跡を生成する前の目標航跡の周りの領域の観測値を送信要求し、再追尾センサ航跡よりも情報量が多い、再追尾センサ航跡を生成する前の目標航跡の周りの領域の観測値を使用して、融合航跡を生成することで、旋回目標や目標以外の不要信号が存在する状況においても、融合航跡の精度を高めることが可能となる。
【0141】
なおこの発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、これらの実施の形態の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0142】
1000 センサ群、1100 センサ、1101 表示処理部、1102 融合追尾処理部、1103 融合相関処理部、1104 送受信処理部、1105 遅延部、1106 融合航跡DB、1107 送信判定処理部、1108 信号処理部、1109 センサ追尾処理部、1110 再追尾処理部、1111 送信要求数モニタリング処理部、1112 再追尾処理方法選択処理部、1113 再追尾航跡初期航跡除去処理部、1114 航跡誤差閾値設定処理部、1300 管理サーバ、1301 拡張送受信処理部、1302 融合相関処理部、1303 融合追尾処理部、1304 表示処理部、1305 遅延部、1306 送信要求判定処理部、1307 センサパラメータDB、1308 融合航跡DB、1309 サンプリング制御処理部、1310 サンプリング累積判断処理部、1311 外部航跡DB、1312 誤差変換処理部、1313 誤差タイプ設定処理部、1314 データ数モニタリング処理部、1315 データ数モニタリングバッチ処理部、1316 送信要求センサ優先度設定処理部、1317 再送信要求判定処理部、1318 時間モニタリング処理部、1319 探知状況モニタリング処理部、1320 旋回状況モニタリング処理部、1321 第1の送信判定評価指標制御処理部、1322 第2の送信判定評価指標制御処理部、1323 第3の送信判定評価指標制御処理部、1324 第4の送信判定評価指標制御処理部、1325 航跡誤差閾値設定処理部、1326 観測値要求設定処理部、1500 ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のセンサと、前記ネットワークに接続されたまたは前記複数のセンサの1つにそれぞれ搭載された少なくとも1つの管理サーバとからなり、複数の目標を追尾する目標追尾装置であって、
各センサが、
センサで観測した結果をセンサ観測値として出力する信号処理部と、
前回追尾結果のセンサ航跡からのセンサ航跡の予測値を含むセンサ航跡とセンサ航跡の予測値と対応したセンサ観測値である相関済センサ観測値を生成するセンサ追尾処理部と、
前記相関済センサ観測値およびセンサ航跡から再追尾センサ航跡を生成する再追尾処理部と、
前記ネットワーク上から他のセンサからの再追尾センサ航跡を受信し、また送信判定結果に従って生成した再追尾センサ航跡を送信する送受信処理部と、
1サンプリング分遅延させた融合航跡と前記送受信処理部からの他のセンサからの再追尾センサ航跡との相関処理を行って対応したものを相関済再追尾センサ航跡とする融合相関処理部と、
前記相関済再追尾センサ航跡で更新された融合航跡を算出する融合追尾処理部と、
前記融合相関処理部で対応しない融合航跡初期値および前記融合追尾処理部で更新された融合航跡を蓄積する前記融合航跡を蓄積した融合航跡DBと、
前記融合航跡DBに蓄積された融合航跡を遅延させ前記1サンプリング分遅延させた融合航跡を出力する遅延部と、
前記再追尾処理部からの再追尾センサ航跡と前記1サンプリング分遅延させた融合航跡から、再追尾センサ航跡の融合航跡誤差低減への寄与度による送信要否判定を行い前記送受信処理部に再追尾センサ航跡と共に前記送信判定結果を出力する送信判定処理部と、
を備えたことを特徴とする目標追尾装置。
【請求項2】
前記各管理サーバが、
前記ネットワーク上から再追尾センサ航跡を受信し、また送信要求判定結果に従って送信要求データを送信し、エントリーリストに基づき未受信センサ番号を発生する拡張送受信処理部と、
1サンプリング分遅延させた融合航跡と前記拡張送受信処理部からの他のセンサからの再追尾センサ航跡との相関処理を行って対応したものを相関済再追尾センサ航跡とするサーバ側融合相関処理部と、
前記相関済再追尾センサ航跡で更新された融合航跡を算出するサーバ側融合追尾処理部と、
前記サーバ側融合相関処理部で対応しない融合航跡初期値および前記サーバ側融合追尾処理部で更新された融合航跡を蓄積する前記融合航跡を蓄積したサーバ側融合航跡DBと、
前記サーバ側融合航跡DBに蓄積された融合航跡を遅延させ前記1サンプリング分遅延させた融合航跡を出力するサーバ側遅延部と、
前記各センサに関するセンサ番号とそのノミナル観測精度のデータを含む情報を格納するセンサパラメータDBと、
前記拡張送受信処理部が発生する前記未受信センサ番号に基づく前記センサパラメータDBから得られる該未受信センサ番号に対応するノミナル観測精度と前記1サンプリング分遅延させた融合航跡から、ノミナル観測精度の融合航跡誤差低減への寄与度による送信要求要否判定を行い前記拡張送受信処理部に前記送信要求判定結果を出力する送信要求判定処理部と、
を備え、
前記各センサの前記送受信処理部が管理サーバからの前記送信要求データを受信し、要求に従って再追尾センサ航跡を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の目標追尾装置。
【請求項3】
前記管理サーバが、
前記送信要求判定処理部にサンプリングを細かくして送信要求要否判定処理を行う制御信号を出力するサンプリング制御処理部と、
各サンプリングで送信要求要否判定処理を行った結果である送信要求判定結果から、最終的な送信要求要否判定を行うサンプリング累積判断処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項4】
前記管理サーバが、
前記拡張送受信処理部がエントリーリストにない不明センサ番号の再追尾センサ航跡を出力し、
前記不明センサ番号の再追尾センサ航跡を蓄積する外部航跡DBと、
前記不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差を直交座標及び極座標で設定する誤差変換処理部と、
前記送信要求判定処理部で使用する未受信センサ番号のノミナル観測精度のノミナル値として設定する、不明センサ番号の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列の座標系を決定する誤差タイプ設定処理部と、
を備え、前記外部航跡DBは前記誤差変換処理部により前記誤差タイプ設定処理部で決定された座標系の再追尾センサ航跡の誤差共分散行列を前記拡張送受信処理部に提供することを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項5】
前記管理サーバが、
管理サーバで受信する受信データの総数を求め、受信データの総数に従った送信要求を行わせる制御信号を出力するデータ数モニタリング処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項6】
前記管理サーバが、
管理サーバで受信する受信データの総数を、受信回数m回中n回(m,n:共に任意の正の整数でm>n)で平均化して求め、求めた受信データの総数に従った送信要求を行わせる制御信号を出力するデータ数モニタリングバッチ処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項7】
前記管理サーバが、
所定時間内に複数の送信要求する必要がある場合に、予め定められたセンサの優先順位で予め定められた数の送信要求を行わせる制御信号を出力する送信要求センサ優先度設定処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項8】
前記管理サーバが、
管理サーバで受信する受信データの総数が所定値より多い場合に、前記送信要求判定処理部にサンプリングレートを粗くして送信要求を行わせる制御信号を出力する再送信要求判定処理部を備えたことを特徴とする請求項5に記載の目標追尾装置。
【請求項9】
前記各センサが、
管理サーバからの1つの送信要求データを1票として票数をカウントし、票数が所定ののしきい値を超えたら該センサに関わる再追尾センサ航跡の需要がネットワーク中で高いとみなし、前記送受信処理部に再追尾センサ航跡をネットワークに送信させる制御信号を出力する送信要求数モニタリング処理部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標追尾装置。
【請求項10】
前記管理サーバが、
受信データの最新時刻から所定の時間しきい値を超えて受信データが得られない場合、得られなかった受信データの配信元のセンサに対し送信要求を行わせる制御信号を出力する時間モニタリング処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項11】
前記管理サーバが、
受信データが所定時間の中でm回中n回(m,n:共に任意の正の整数でm>n)得られない場合、得られなかった受信データの配信元のセンサに対し送信要求を行わせる制御信号を出力する探知状況モニタリング処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項12】
前記管理サーバが、
前記サーバ側融合相関処理部における前記拡張送受信処理部からの再追尾センサ航跡と前記サーバ側遅延部からの融合航跡から目標が旋回していると判断した際に、目標旋回判定フラグをたて、前記目標旋回判定フラグが所定回数つづく場合に目標が旋回していると最終判断して、該目標に対応する再追尾センサ航跡の送信要求を行わせる制御信号を出力する旋回状況モニタリング処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項13】
前記管理サーバが、
前記送信要求判定処理部における送信要求要否判定の際に、位置の誤差共分散行列による評価、速度の誤差共分散行列による評価、および位置と速度を含んだ誤差共分散行列による評価のいずれで評価するかを指定する制御信号を前記送信要求判定処理部に出力する第1の送信判定評価指標制御処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項14】
前記管理サーバが、
前記送信要求判定処理部における送信要求要否判定の際に、位置の誤差共分散行列による評価、速度の誤差共分散行列による評価、位置と速度の誤差共分散行列による評価のうちの2つ以上の評価指標を組合せることによって送信要求判定を行うように前記送信要求判定処理部に制御信号を出力する第2の送信判定評価指標制御処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項15】
前記管理サーバが、
前記送信要求判定処理部における送信要求要否判定の際に、
時間モニタリング処理に基づく評価指標に基づいて送信要求判定処理を行う、
探知状況モニタリング処理に基づく評価指標に基づいて送信要求判定処理を行う、
旋回状況モニタリング処理に基づく評価指標に基づいて送信要求判定処理を行う、および、
位置の誤差共分散行列による評価、速度の誤差共分散行列による評価、および位置と速度を含んだ誤差共分散行列による評価のいずれか1つに基づいて送信要求判定処理を行う、場合において、個々の処理における送信要求判定結果である送信要求判定結果フラグが送信要求を行うことを示す1となるものが所定数ある場合に、送信要求を行わせる制御信号を出力する第3の送信判定評価指標制御処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項16】
前記各センサが、
前記再追尾処理部において再追尾センサ航跡を生成する際に、複数の再追尾センサ航跡生成方法の内、初期時間帯はカルマンフィルタによる再追尾センサ航跡生成方法以外の再追尾センサ航跡生成方法を使用して再追尾センサ航跡を生成し、所定時間経過後、初期時間帯での再追尾センサ航跡生成方法による再追尾センサ航跡をカルマンフィルタによる再追尾センサ航跡生成方法における初期値として設定し、カルマンフィルタによる再追尾センサ航跡生成方法に基づいて再追尾センサ航跡生成を行わせる制御信号を出力する再追尾処理方法選択処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項17】
前記各センサが、
前記再追尾処理部において再追尾センサ航跡を生成する際に、カルマンフィルタによる再追尾センサ航跡生成方法で生成した再追尾センサ航跡の初期時間帯の初期航跡は除去し、所定時間経過後、カルマンフィルタによる再追尾センサ航跡生成方法による再追尾センサ航跡を出力するようにさせる制御信号を出力する再追尾航跡初期航跡除去処理部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の目標追尾装置。
【請求項18】
前記各センサが、
前記送信判定処理部において、差異閾値と送信閾値と送信保留閾値の3段階の閾値を設定して送信判定処理を行うように制御信号を出力する航跡誤差閾値設定処理部を備え、
前記管理サーバが、
前記送信要求判定処理部において、差異閾値と送信要求閾値と送信要求保留閾値の3段階の閾値を設定して送信要求判定処理を行うように制御信号を出力する航跡誤差閾値設定処理部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の目標追尾装置。
【請求項19】
前記管理サーバが、
前記旋回状況モニタリング処理部において、目標が旋回していると最終判断を行った結果を得た場合に、該目標の航跡の周りの領域の観測値の送信をセンサに要求する送信要求をおこなわせる制御信号を出力する観測値要求設定処理部を備えたことを特徴とする請求項12に記載の目標追尾装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−281782(P2010−281782A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137164(P2009−137164)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】