説明

目用温熱具

【課題】凹凸のある目の部分に対するフィット性を向上させる。
【解決手段】着用者Hの目を覆って温熱を付与する目用温熱具100であって、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液Lが収容された本体部1を備え、本体部は、使用の際に着用者の目を覆うように着用され、本体部の一端部側には、当該本体部に収容された所定の溶液の結晶化を開始させる結晶化開始部Pが配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アイマスク形状に形成され、着用された目や目の周囲に温熱を付与する目用温熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄粉等の金属粉の酸化反応に伴って発熱する発熱体を利用して、例えば、目や目の周囲に温熱を付与する温熱具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この温熱具は、具体的には、発熱体の発熱によって水を加熱して水蒸気化し、当該水蒸気を温熱とともに目や目の周囲に供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3049707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、金属粉の酸化を効率良く行うことができるように発熱体がシート状に形成されているため、凹凸のある目の部分に対するフィット性が悪いといった問題がある。即ち、目は、眼球表面やまぶたが湾曲してなるとともに、目の周囲の部分は、上下方向には眉から頬(前頭骨の眉弓から眼窩下縁)にかけて凹凸を有し、左右方向には鼻から目尻(前頭骨の鼻部から眼窩外側縁)にかけて凹凸を有する形状である。
ここで、予めシート状の発熱体を凹凸に沿うように変形させておくことも考えられるが、目の周囲に限らずヒトの身体の形状は人種や性別や年齢等によって様々であるため、全てを満たすような特定の形状に形成することは困難であり、その一方で、個別に対応させるようにするとコストアップを招いてしまうといった問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、凹凸のある目の部分に対するフィット性を向上させることができる目用温熱具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
着用者の目を覆って温熱を付与する目用温熱具であって、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液が収容された本体部を備え、前記本体部は、使用の際に着用者の目を覆うように着用され、前記本体部の一端部側には、当該本体部に収容された前記所定の溶液の結晶化を開始させる結晶化開始部が配設されていることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液が収容された本体部の一端部側には、所定の溶液の結晶化を開始させる結晶化開始部が配設されているので、結晶化開始部により所定の溶液の結晶化が開始させられると、本体部の端部側からから他端部側にかけて所定の溶液の結晶化が進行していくことで、目の部分の凹凸に沿うように所定の溶液の結晶を成長させることができ、凹凸のある目の部分に対する当該目用温熱具のフィット性を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の目用温熱具において、
前記結晶化開始部は、前記所定の溶液と接することで当該所定の溶液の結晶化を開始させ、前記本体部の端部側には、前記所定の溶液と接しないように前記結晶化開始部が保持されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、本体部の端部側には、所定の溶液と接することで当該所定の溶液の結晶化を開始させる結晶化開始部が所定の溶液と接しないように保持されているので、当該結晶化開始部と所定の溶液とを接触させることで、所定の溶液の結晶化を開始させることができ、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の目用温熱具において、
前記本体部は、前記所定の溶液が収容された第1収容部と、前記結晶化開始部が収容された第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを非連通状態で保持する仕切り部とを備え、前記仕切り部は、前記第1収容部及び前記第2収容部のうち、少なくとも一方の収容部側から加えられる圧力により剥がされて、前記第1収容部と前記第2収容部とを連通状態とするように構成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、第1収容部と第2収容部とを非連通状態で保持する仕切り部は、第1収容部及び第2収容部のうち、少なくとも一方の収容部側から加えられる圧力により剥がされて、第1収容部と第2収容部とを連通状態とするので、第1収容部に収容されている所定の溶液と第2収容部に収容されている結晶化開始部とを接触可能な状態とすることができる。これにより、結晶化開始部と所定の溶液とが接触することで、所定の溶液の結晶化が開始することとなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の目用温熱具において、
前記所定の溶液には、当該所定の溶液が結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が添加されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明と同様の効果が得られるのは無論のこと、特に、所定の溶液には、当該所定の溶液が結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が添加されているので、所定の溶液が結晶化された状態で十分な柔らかさを保持することができ、着用される目の部分に対するフィット性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、目の部分の凹凸に沿うように所定の溶液の結晶を成長させることができ、凹凸のある目の部分に対する当該目用温熱具のフィット性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した一実施形態の目用温熱具を説明するための図である。
【図2】図1の目用温熱具の本体部を説明するための図である。
【図3】図2の目用温熱具の本体部に収容されている所定の溶液の結晶化を説明するための図である。
【図4】変形例1の目用温熱具の本体部を説明するための図である。
【図5】変形例2の目用温熱具の本体部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した一実施形態の目用温熱具100を説明するための図であり、図1(a)は、目用温熱具100を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)のI−I線における目用温熱具100の断面図である。
【0017】
目用温熱具100は、例えば、アイマスク形状に形成され、着用者Hの両目E、Eを覆って温熱を付与する温熱具である。具体的には、図1(a)及び図1(b)に示すように、目用温熱具100は、使用の際に着用者Hの左右両目E、Eを覆うように着用される二つの本体部1、1と、着用者Hの各耳に掛けられる一対の耳掛け部2、2とを備えている。
本実施形態においては、着用者Hの左右の両目E、Eを結ぶ左右方向をX方向とし、X方向に直交する一方向をY方向とし、X方向及びY方向の双方に直交する方向をZ方向とする。なお、目用温熱具100は、例えば、着用者Hが仰向けになるなど、顔の正面を上方に向けた状態(図1(b)参照)で使用されるのが一般的であるため、Z方向が鉛直方向(重力方向)と略平行なものとして説明する。
また、図1(b)には、着用者HのまぶたH3を閉じた状態で、眉H1から頬H2に亘るように目用温熱具100が着用された状態を模式的に表している。
【0018】
図2は、目用温熱具100の本体部1を説明するための図であり、図2(a)は、目用温熱具100の本体部1を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II線における本体部1の断面図である。
本体部1は、左右両目E、Eの各々に対応させるようにX方向(左右方向)に二つ設けられている。また、各本体部1は、主として、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液Lを収容するものである。具体的には、図2(a)及び図2(b)に示すように、所定の溶液Lが収容された第1収容部11と、所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが収容された第2収容部12と、第1収容部11と第2収容部12とを非連通状態で保持する仕切り部13とを備えている。
また、本体部1は、第1及び第2包装部材1A、1Bを有し、重ね合わされた第1及び第2包装部材1A、1Bの所定箇所が所定の圧着方法(例えば、ヒートシール等)により貼り合わされることで、第1収容部11、第2収容部12及び仕切り部13を形成している。
【0019】
第1包装部材1Aは、着用者Hの肌側に設けられ、一方、第2包装部材1Bは、着用者Hの肌と反対側に設けられる。第1及び第2包装部材1A、1Bは、例えば、略同形状に形成され、使用の際に本体部1が目Eを覆うのに十分なX方向(左右方向)の長さ(幅)及びY方向(眉H1から頬H2に亘る方向)の長さを有している。
また、第1及び第2包装部材1A、1Bは、強度や耐久性等を考慮した所定の材料から形成されている。第1及び第2包装部材1A、1Bの材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等のフィルムや、所定種類のフィルムを積層した積層体などが挙げられる。
【0020】
第1収容部11及び仕切り部13は、所定方向(例えば、Z方向)に重ね合わされた第1及び第2包装部材1A、1Bが、例えば、略「ロ」字状に貼り合わされることで形成される。
即ち、第1及び第2包装部材1A、1Bの所定位置に、所定の溶液L(過冷却状態のものであっても良いし、過冷却される前のものであっても良い)が配置された状態で、その周囲が略「ロ」字状に貼り合わされることで第1貼り合わせ部14が形成される。これにより、第1貼り合わせ部14の内側に第1収容部11が構成されるとともに、当該第1貼り合わせ部14における一部分(例えば、眉H1側の部分等)によって、仕切り部13が構成される。
このように、第1貼り合わせ部14は、第1収容部11の周りを囲むように(内外を隔てるように)形成されている。
【0021】
第1収容部11は、例えば、平面視にて略矩形状をなし、当該第1収容部11には、所定の溶液Lが過冷却状態で収容されている。
所定の溶液Lは、所定の塩が所定の濃度で水に溶解した水溶液である。具体的には、所定の溶液Lは、例えば、所定量の所定の塩を過飽和の状態となるように所定量の水に(必要に応じて加熱することで)溶解させ、過冷却状態としたものである。
ここで、所定の塩としては、酢酸ナトリウム無水塩、酢酸ナトリウム三水塩、硫酸ナトリウム十水塩、塩化カルシウム六水塩、ピロリン酸ナトリウム十水塩、水酸化バリウム六水塩等の無機水和塩及び他の塩を配合して融点を調整した無機水和塩の混合塩、パラフィンやポリエチレングリコール、脂肪酸等が挙げられ、これらの中でも、酢酸ナトリウム三水塩と硫酸ナトリウム十水塩が好ましい。
【0022】
なお、例えば、酢酸ナトリウム三水塩を過冷却状態とする場合、例えば、酢酸ナトリウム三水塩と水を混合した後加熱して酢酸ナトリウム三水塩を溶解させるか、酢酸ナトリウム三水塩と水を容器に充填後加熱して酢酸ナトリウム三水塩を溶解させる必要がある。
【0023】
また、所定の溶液Lには、当該所定の溶液Lが結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が添加されている。
調整剤としては、例えば、エタノール等の1価アルコール、グリセリンやポリエチレングリコール(PEG)等の多価アルコール、フルクトースやシクロデキストリン等の多糖類などが挙げられる。これらの1価アルコールや多価アルコールや多糖類は、調整剤として個別に用いても良いし、混合して用いても良い。即ち、調整剤は、アルコール及び多糖類のうち、少なくとも一方を含んでいれば良い。
ここで、アルコールは、多糖類に比べて分子量が小さく、また、分子構造が複雑でないため、所定の溶液Lに含まれる所定の塩や水と馴染み易い。そこで、結晶化された状態で十分な柔らかさを保持する必要がある場合には、主としてアルコール(特に、多価アルコール)を用いるのが好ましく、結晶化された状態である程度の硬さを保持する必要がある場合には、主として多糖類を用いるのが好ましい。
【0024】
また、所定の溶液Lには、調整剤が5〜20[重量%]となるように添加されている。
下限が5[重量%]未満では、当該所定の溶液Lが結晶化された状態で十分な柔らかさを保持することができず、着用される部位(例えば、目Eの部分等)に対するフィット性が悪化してしまうためである。また、上限が20[重量%]を超えると、当該所定の溶液Lが十分に結晶化することができず、相転移により十分な凝固熱を発生させることができないためである。
【0025】
仕切り部13は、第1貼り合わせ部14における他の部分に対して貼り合わせの強度が低くされている。
即ち、仕切り部13は、第1及び第2包装部材1A、1Bが所定の圧着方法により貼り合わされて第1貼り合わせ部14が形成される際に、当該第1貼り合わせ部14における他の部分に対して低い温度で圧着される(詳細後述)。これにより、仕切り部13の貼り合わせの強度は、当該第1貼り合わせ部14における他の部分の貼り合わせの強度に対して低くなる。
【0026】
また、仕切り部13の貼り合わせの強度は、第1収容部11及び第2収容部12のうち、少なくとも一方の収容部(例えば、第1収容部11等)側から加えられる圧力により剥がされる程度に設定されている。
即ち、仕切り部13は、当該目用温熱具100の非使用状態にて、第1収容部11と第2収容部12とを仕切るものであり、これにより、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと第2収容部12に収容されている結晶化開始部Pとが接しないように保持されている。
そして、当該目用温熱具100の使用の際に、第1収容部11及び第2収容部12のうち、少なくとも一方の収容部(例えば、第1収容部11等)が他方の収容部(例えば、第2収容部12等)側に使用者により加圧されると、当該仕切り部13が剥がされて、第1収容部11の内側と第2収容部12の内側(結晶化開始部Pの存する空間)とを連通状態とする。これにより、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと第2収容部12に収容されている結晶化開始部Pとが接触可能な状態となる。
なお、目用温熱具100の使用者は、当該目用温熱具100の着用者Hに限られず、当該目用温熱具100の使用を補助する補助者等であっても良い。
【0027】
また、仕切り部13は、第1収容部11よりも眉H1側に離れるほど左右方向の長さ(幅)が狭くなっている。即ち、平面視にて略矩形状に形成された第1収容部11の眉H1側に、平面視にて略台形状に形成された仕切り部13が形成されている。そして、仕切り部13の左右方向の長さ(幅)が最も狭くなっている上底部分に隣り合うように第2収容部12が形成されている。
なお、第1貼り合わせ部14における眉H1側の部分のうち、仕切り部13以外の部分は、第1貼り合わせ部14における他の部分と同様に、仕切り部13よりも貼り合わせの強度が高くされている。
なお、仕切り部13の形状は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。
【0028】
第2収容部12には、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが収容されている。
この第2収容部12は、所定方向(例えば、Z方向等)に重ね合わされた第1及び第2包装部材1A、1Bにおける、仕切り部13を挟んで第1収容部11と反対側の部分が所定の圧着方法(例えば、ヒートシール等)により貼り合わされることで形成される。即ち、第1及び第2包装部材1A、1Bが、第1収容部11よりも眉H1側にて門形状に貼り合わされることで第2貼り合わせ部15が形成される。具体的には、第2貼り合わせ部15は、第1貼り合わせ部14における眉H1側の部分(仕切り部13を含む部分)と隣り合うように第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされている。これにより、第2貼り合わせ部15の内側に、結晶化開始部Pが収容される第2収容部12が構成される。
【0029】
結晶化開始部Pは、例えば、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lを結晶化させた微細な結晶であり、所定の溶液Lと接することで当該所定の溶液Lの結晶化を開始させる。
ここで、従来の過冷却状態の溶液の相転移(結晶化)を利用した温熱体(例えば、カイロなど)として、例えば、溶液中に存する金属製の皿形の湾曲片を外圧によって反転させるときの衝撃を利用して当該過冷却状態の溶液の結晶化を開始するものが知られている。
しかしながら、上記のような結晶化の開始方法では、例えば、一度の操作で結晶化を確実に開始させることができない場合が多いといった問題や、金属製の湾曲片は反転できるように相対的に大きい寸法のものが必要であるためにコンパクト化が困難であるといった問題や、破損した場合に硬質の金属製の湾曲片が露出してしまい当該目用温熱具100の外部のものに傷を生じさせる虞があるだけでなく、長期間の保管の際に腐食する虞もあるといった問題などがある。さらに、誤って電子レンジなどで加熱してしまう虞もある。
上記の問題の解決を図る上で、本発明では、所定の溶液Lを結晶化させた微細な結晶を結晶化開始部Pとして用い、当該微細な結晶と所定の溶液Lとを接触させることで所定の溶液Lの結晶化を開始させる。
【0030】
また、結晶化開始部Pとしての微細な結晶は、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面に所定量付着されている。結晶化開始部Pの付着は、例えば、一方の包装部材の内面に所定の塗布方法により塗布されることで行われる。
ここで、所定の塗布方法としては、例えば、ダイコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等の各種の一般的なコーターを用いた塗工方法や、グラビア印刷、フレキソ印刷やシルクスクリーン印刷等の所定の印刷方法等が挙げられる。なお、塗工方法にあっては、包装部材(基材)の所定部分に対するストライプ・パターン塗工が可能なグラビアコーター、円筒ブレードコーター、スロットダイコーターなどが好ましい。
具体的には、例えば、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面の所定位置に対して、所定の印刷方法により微細な結晶を印刷することで、当該一方の包装部材の内面に微細な結晶が付着(塗布)されている。
ここで、一方の包装部材における微細な結晶を塗布する位置は、第2貼り合わせ部15の内側となる位置、即ち、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分(第1貼り合わせ部14)における仕切り部13の第1収容部11と反対側に隣り合うような位置となっている。
このように、第2収容部12は、本体部1の端部側(例えば、眉H1側の端部側等)に設けられている。
【0031】
一対の耳掛け部2、2の各々は、各本体部1の左右方向(X方向)両側部の各々に連続して設けられている。
また、耳掛け部2は、伸縮性を有する素材から構成され、具体的には、例えば、不織布、織布、紙、樹脂フィルム等から構成されている。
【0032】
次に、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lが結晶化する際の変化の態様について、図1(a)及び図1(b)並びに図3(a)及び図3(b)を参照して説明する。
図3(a)及び図3(b)は、目用温熱具100の本体部1に収容されている所定の溶液Lの結晶化を説明するための図であり、図3(a)に示す状態から図3(b)に示す状態へと変化する。なお、図3(a)及び図3(b)にあっては、所定の溶液Lが液体の状態と結晶化した状態とで模様を変えて表している。
【0033】
先ず、目用温熱具100の使用の際に、各本体部1が着用者Hの左右両目E、Eの各々を覆うように着用され、一対の耳掛け部2、2が着用者Hの各耳に掛けられる(図1(a)及び図1(b)参照)。
この状態では、第1収容部11と第2収容部12とは仕切り部13により仕切られ、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと第2収容部12に収容されている結晶化開始部Pとは接しないため、所定の溶液Lは液体状態である。このため、着用者Hが顔の正面を上方に向けた状態で当該目用温熱具100を着用すると、本体部1(特に、第1収容部11)が重力により目Eや目Eの周囲の凹凸に沿って変形し、当該目Eや目Eの周囲に対してフィットする。
【0034】
次に、第1収容部11及び第2収容部12のうち、例えば、第1収容部11が第2収容部12側に使用者により加圧されると、仕切り部13が剥がされて、第1収容部11の内側と第2収容部12の内側とが連通状態となる。そして、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと第2収容部12に収容されている結晶化開始部Pとが接すると、当該所定の溶液Lの結晶化が開始する。また、所定の溶液Lが相転移すると、凝固熱が発生し、目用温熱具100から着用者Hの着用部位である目Eや目Eの周囲に温熱が付与される。
ここで、結晶化開始部Pは、本体部1の眉H1側の端部に配設されているため、所定の溶液Lの結晶は、眉H1側から頬H2側にかけて(図3(a)中、白抜きの矢印で示す方向に)徐々に成長していき(図3(a)参照)、最終的に、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lの全てが結晶化した状態となる(図3(b)参照)。
つまり、目Eや目Eの周囲の凹凸に沿って本体部1が変形した状態で、本体部1の眉H1側から頬H2側に所定の溶液Lが結晶化していくため、当該目Eや目Eの周囲に対するフィット性は損なわれない。
【0035】
次に、目用温熱具100の製造方法について説明する。
先ず、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の所定位置に結晶化開始部Pを付着する工程(付着工程)を行う。具体的には、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた状態で、一方の包装部材の内面の第2貼り合わせ部15となる位置の内側(仕切り部13の第1収容部11と反対側に隣り合う位置)に対応する位置に結晶化開始部Pを付着する。
【0036】
次に、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の所定位置に、過冷却状態、或いは、過冷却される前の所定の溶液Lを配置する工程(配置工程)を行う。具体的には、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた状態で、一方の包装部材の内面の第1貼り合わせ部14となる位置の内側に所定の溶液Lを配置する。
なお、付着工程及び配置工程の順序は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能であり、例えば、配置工程の後に付着工程を行っても良い。
【0037】
次に、第1及び第2包装部材1A、1Bを所定方向に重ね合わせた状態で、第1貼り合わせ部14における仕切り部13以外の部分や第2貼り合わせ部15を相対的に高い温度で所定の圧着方法(例えば、ヒートシール等)により圧着して貼り合わせる工程(高温圧着工程)を行う。これにより、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分である第1貼り合わせ部14における仕切り部13(一部分)以外の他の部分が相対的に高い温度で所定の圧着方法により圧着されて貼り合わされる。
【0038】
次に、第1貼り合わせ部14における仕切り部13(第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分)を相対的に低い温度で所定の圧着方法により圧着して貼り合わせる工程(低温圧着工程)を行って、当該目用温熱具100の製造を完了する。
この低温圧着工程は、上記高温圧着工程と同様に、例えば、ヒートシール等を適用することができる。
【0039】
なお、高温圧着工程及び低温圧着工程の順序は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能であり、例えば、低温圧着工程の後に高温圧着工程を行っても良い。
【0040】
以下に、本発明の実施例及び比較例について説明する。
【0041】
<水溶液の結晶化の評価試験>
所定の溶液に含まれる所定の塩の濃度[重量%]を変化させた場合の温感、フィット性、持続性、結晶の柔らかさ・硬さについて、以下の比較例1〜6を参照して説明する。
【0042】
(水溶液)
溶媒:水
塩:酢酸ナトリウム三水塩
濃度:所定量の酢酸ナトリウム三水塩を水に溶解させて、酢酸ナトリウムの含有量が36、40、46、52、58、62[重量%]となるように調整し、過冷却状態のものを用いた。酢酸ナトリウムの各濃度の水溶液を試験体<比較例1〜6>とした。
【0043】
(結晶化開始部)
結晶化開始部:酢酸ナトリウムを結晶化させた微細な結晶を微量用いた。
なお、酢酸ナトリウムの微細な結晶は、微量(ごく少量)であるため、所定の溶液に含まれる所定の塩の濃度変化に対する影響はないものとする。
【0044】
(包装部材)
第1及び第2包装部材:低密度ポリエチレン(LDPE)とポリエチレン(PE)を積層した積層フィルムを用いた。
各包装部材の寸法:片方の目やその周囲を被覆できる程度の大きさとして、それぞれ60×60[mm]とした。
また、第1及び第2包装部材の所定位置に第1収容部及び第2収容部を仕切り部により隔てて形成し、第1収容部に所定濃度の酢酸ナトリウムを含有する過冷却状態の水溶液を収容し、第2収容部に結晶化開始部を収容した。
【0045】
(結晶化の開始方法)
比較例1〜6に対応する各試験体について、使用者が第1収容部を第2収容部側に加圧して仕切り部を剥がして、第1収容部の内側と第2収容部の内側とを連通状態とした。そして、第1収容部に収容されている水溶液と第2収容部に収容されている結晶化開始部とを接触させて、各試験体の水溶液の結晶化を開始させた。
【0046】
(温感の評価)
顔の正面を上方に向けた状態で、各試験体の水溶液の結晶化の開始後に左右何れか一方のまぶたの上に載せて、所定の溶液の発熱反応(結晶化)に伴う温感を目(まぶた)の部分と目の周囲(窪み)の部分とで評価した。
このときの温感を3段階で官能評価し、具体的には、温かさを感じる場合に「3」と表記し、温かさをやや感じる場合に「2」と表記し、全く温かさを感じない場合に「1」と表記する。
【0047】
(フィット性の評価)
各試験体のフィット性を温感の官能評価と併せて総合的に評価した。
即ち、温かさを感じる度合が大きいほどフィット性も高いと判断し、フィット性を3段階で官能評価した。具体的には、温かさを感じる場合にはフィット性も相対的に高いと判断して「3」と表記し、温かさをやや感じる場合にフィット性もあまり高くないと判断して「2」と表記し、全く温かさを感じない場合にはフィット性が高くないと判断して「1」と表記する。
【0048】
(温感の持続性の評価)
目の部分に各試験体を載せた状態で10分間経過後に、温感を評価した。
このときの温感を3段階で官能評価し、具体的には、温かさを感じる場合に「3」と表記し、温かさをやや感じる場合に「2」と表記し、全く温かさを感じない場合に「1」と表記する。
【0049】
(柔らかさ・硬さの評価)
各試験体の水溶液の発熱反応(結晶化)が開始してから30分経過後の柔らかさ・硬さを官能評価した。具体的には、相対的に柔らかい場合には「柔らかい」と表記し、相対的に硬いと感じる場合には「硬い」と表記する。また、水溶液の発熱反応(結晶化)が進行しなかった場合には(依然として液体の状態)、柔らかいと感じるものの「none」と表記する。
【0050】
【表1】

【0051】
[評価]
表1に示すように、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量が36[重量%]の場合(比較例1)、当該水溶液の結晶化が進行せずに、依然として液体の状態であった。
また、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量が40[重量%]の場合(比較例2)、当該水溶液の結晶化が進行したものの発熱量が少ないために、試験体と接触し易い部分である目は温かさを感じたものの、試験体と接触し難い部分である目の周囲は温かさを感じなかった。
【0052】
水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量を46[重量%]以上とした場合(比較例3〜6)、当該水溶液の結晶化が進行して十分な発熱量が得られた。この結果、試験体と接触し易い部分である目は温かさを感じたものの、当該試験体の水溶液の結晶が硬いために試験体と接触し難い部分である目の周囲は温かさを感じ難かった。特に、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量が52[重量%]以上とした場合(比較例4〜6)、目の周囲は温かさを感じなかった。
なお、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量が40[重量%]の場合、水溶液の発熱反応(結晶化)が開始してから30分経過後には、温かさを感じなかったが、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量を多くするにつれて持続性も改善され、酢酸ナトリウムの含有量を58[重量%]とした場合には、30分経過後にも温かさを感じた。
【0053】
この結果、温感や持続性を考慮すると、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量を多くするほど良いと考えられるが、当該水溶液の結晶が硬くなるとフィット性が悪くなり、結晶の柔らかさ・硬さを調整する調整剤の添加が必要であると考えられる。
【実施例1】
【0054】
<調整剤の評価試験>
各種の調整剤を所定濃度添加した場合の温感、フィット性、持続性、結晶の柔らかさ・硬さについて、以下の実施例1〜5を参照して説明する。
【0055】
(水溶液)
溶媒:水
塩:酢酸ナトリウム三水塩
調整剤:エタノール<実施例1>、グリセリン<実施例2>、PEG<実施例3>、シクロデキストリン<実施例4>、エタノール+グリセリン<実施例5>
濃度:所定量の酢酸ナトリウム三水塩及び各種調整剤を水に溶解させて、酢酸ナトリウムの含有量及び各種調整剤が所定の重量%(濃度)となるように調整し、過冷却状態のものを用いた。
<実施例1>
酢酸ナトリウムの含有量を52[重量%]、エタノール(79.15%)の含有量を10[重量%]に調整した。
<実施例2>
酢酸ナトリウムの含有量を52[重量%]、グリセリンの含有量を13[重量%]に調整した。
<実施例3>
酢酸ナトリウムの含有量を46[重量%]、PEGの含有量を12[重量%]に調整した。
<実施例4>
酢酸ナトリウムの含有量を46[重量%]、シクロデキストリンの含有量を12[重量%]に調整した。
<実施例5>
酢酸ナトリウムの含有量を51[重量%]、エタノール(79.15%)の含有量を6[重量%]、グリセリンの含有量を7[重量%]に調整した。
【0056】
(結晶化開始部)
結晶化開始部は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0057】
(包装部材)
包装部材は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、第1収容部に実施例1〜5の過冷却状態の水溶液を収容し、第2収容部に結晶化開始部を収容した。
【0058】
(結晶化の開始方法)
結晶化の開始方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0059】
(温感の評価)
温感の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0060】
(フィット性の評価)
フィット性の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0061】
(温感の持続性の評価)
温感の持続性の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0062】
(柔らかさ・硬さの評価)
柔らかさ・硬さの評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0063】
【表2】

【0064】
[評価]
表2に示すように、試験体の温感や持続性を考慮して、酢酸ナトリウムの含有量を46[重量%]以上に調整したところ、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量が51[重量%]以上で、エタノールやグリセリン等の各種のアルコールを所定濃度含有する水溶液の場合(実施例1、2、5)、各試験体の水溶液の結晶が十分な柔らかさを保持しているため、試験体と接触し易い部分である目だけでなく、試験体と接触し難い部分である目の周囲も温かさを感じた。また、各試験体の水溶液の発熱反応(結晶化)が開始してから30分経過後の時点でも、温かさを感じた。
【0065】
また、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量を46[重量%]として、PEG(アルコール)の含有量を12[重量%]とする場合や(実施例3)、シクロデキストリン(多糖類)の含有量を12[重量%]とする場合には(実施例4)、各試験体の水溶液の結晶が十分な柔らかさを保持しているため、試験体と接触し易い部分である目は温かさを感じ、試験体と接触し難い部分である目の周囲もやや温かさを感じた。なお、目の周囲の部分の温感の低下に伴ってフィット性の評価も悪化した。
【0066】
この結果、調整剤としてアルコールや多糖類を用いることで、水溶液の結晶に十分な柔らかさを付与することができると考えられる。また、水溶液中の酢酸ナトリウムの含有量を51[重量%]以上とした場合に、温感、フィット性、持続性、結晶の柔らかさの点で最も良い結果が得られた。
【実施例2】
【0067】
<調整剤の濃度の評価試験>
所定の溶液に含まれる調整剤の濃度を変化させた場合の温感、フィット性、持続性、結晶の柔らかさ・硬さについて、以下の実施例6〜9並びに比較例7、8を参照して説明する。
【0068】
(水溶液)
溶媒:水
塩:酢酸ナトリウム三水塩
調整剤:エタノール(79.15%)
濃度:試験体の温感や持続性を考慮して、所定量の酢酸ナトリウム三水塩を水に溶解させて、酢酸ナトリウムの含有量が52[重量%]となるように調整するとともに、エタノールの含有量が所定の重量%(濃度)となるように調整し、過冷却状態のものを用いた。
<比較例7>
エタノールの含有量が3[重量%]となるように水の含有量を45[重量%]に調整した。
<実施例6>
エタノールの含有量が5[重量%]となるように水の含有量を43[重量%]に調整した。
<実施例7>
エタノールの含有量が10[重量%]となるように水の含有量を38[重量%]に調整した。
<実施例8>
エタノールの含有量が15[重量%]となるように水の含有量を33[重量%]に調整した。
<実施例9>
エタノールの含有量が20[重量%]となるように水の含有量を28[重量%]に調整した。
<比較例8>
エタノールの含有量が25[重量%]となるように水の含有量を23[重量%]に調整した。
【0069】
(結晶化開始部)
結晶化開始部は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0070】
(包装部材)
包装部材は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、第1収容部に実施例6〜9並びに比較例7、8の過冷却状態の水溶液を収容し、第2収容部に結晶化開始部を収容した。
【0071】
(結晶化の開始方法)
結晶化の開始方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0072】
(温感の評価)
温感の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0073】
(フィット性の評価)
フィット性の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0074】
(温感の持続性の評価)
温感の持続性の評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0075】
(柔らかさ・硬さの評価)
柔らかさ・硬さの評価方法は、上記の水溶液の結晶化の評価試験と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0076】
【表3】

【0077】
[評価]
表3に示すように、水溶液中のエタノールの含有量を3[重量%]とした場合(比較例7)、当該水溶液の結晶化が進行して十分な発熱量が得られ、試験体と接触し易い部分である目は温かさを感じた。しかしながら、当該試験体の水溶液の結晶が硬いために試験体と接触し難い部分である目の周囲は温かさを感じなかった。
【0078】
水溶液中のエタノールの含有量を5[重量%]以上とすると(実施例6〜9)、各試験体の水溶液の結晶が十分な柔らかさを保持しているため、試験体と接触し易い部分である目だけでなく、試験体と接触し難い部分である目の周囲も温かさを感じた。特に、水溶液中のエタノールの含有量を5[重量%]、10[重量%]とした場合(実施例6、7)、各試験体の水溶液の発熱反応(結晶化)が開始してから30分経過後の時点でも、温かさを感じた。
また、水溶液中のエタノールの含有量を15[重量%]以上とすると(実施例8、9)、各試験体の水溶液の結晶が十分な柔らかさを保持しているものの、各試験体の水溶液の発熱反応(結晶化)が開始してから30分経過後の時点では、発熱量が十分でなくなり、温かさをやや感じた。
【0079】
なお、水溶液中のエタノールの含有量が25[重量%]とすると(比較例8)、当該水溶液の結晶化が進行せずに、依然として液体の状態であった。
【0080】
この結果、水溶液の結晶に十分な柔らかさを付与するためには、水溶液中に調整剤が5〜20[重量%]となるように添加されているのが好ましいと考えられる。また、水溶液中のエタノールの含有量を10[重量%]とした場合に、温感、フィット性、持続性、結晶の柔らかさの点で最も良い結果が得られた。
【0081】
以上のように、本実施形態の目用温熱具100によれば、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液Lが収容された本体部1の一端部側には、所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが配設されているので、結晶化開始部Pにより所定の溶液Lの結晶化が開始させられると、本体部1の一端部側から他端部側にかけて所定の溶液Lの結晶化が進行していくことで、目Eの部分の凹凸に沿うように所定の溶液Lの結晶を成長させることができ、凹凸のある目Eの部分に対する当該目用温熱具100のフィット性を向上させることができる。
【0082】
また、本体部1の端部側には、所定の溶液Lと接することで当該所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが所定の溶液Lと接しないように保持されているので、当該結晶化開始部Pと所定の溶液Lとを接触させることで、所定の溶液Lの結晶化を開始させることができる。
【0083】
また、第1収容部11と第2収容部12とを非連通状態で保持する仕切り部13は、第1収容部11及び第2収容部12のうち、少なくとも一方の収容部側から加えられる圧力により剥がされて、第1収容部11と第2収容部12とを連通状態とするので、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと第2収容部12に収容されている結晶化開始部Pとを接触可能な状態とすることができる。これにより、結晶化開始部Pと所定の溶液Lとが接触することで、所定の溶液Lの結晶化が開始することとなる。
【0084】
また、所定の溶液Lには、当該所定の溶液Lが結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が添加されているので、所定の溶液Lが結晶化された状態で十分な柔らかさを保持することができ、着用される目Eの部分に対するフィット性をさらに向上させることができる。
【0085】
また、目用温熱具100の本体部1に、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液Lが収容され、所定の溶液Lには、当該所定の溶液Lが結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が所定量添加されているので、当該所定の溶液Lが結晶化された状態で柔らかさを保持することができる。例えば、関節などに着用する場合には、可動部分の動きに追従するような十分な柔らかさを保持することができるとともに、骨折箇所などに着用する場合には、可動部分の動きを抑制するために必要な硬さを保持することができる。従って、着用される部位に対するフィット性を向上させた目用温熱具100を提供することができる。
【0086】
また、所定の溶液Lは、所定の塩が水に溶解した水溶液であり、調整剤は、アルコール及び多糖類のうち、少なくとも一方を含むので、所定の溶液Lに対してアルコール及び多糖類のうち、少なくとも一方を所定量添加することで、当該所定の溶液Lが結晶化された状態で柔らかさを保持することができる。
特に、所定の溶液Lに対する調整剤の添加量を5〜20[重量%]に調整することが望ましい。即ち、下限が5[重量%]未満では、当該所定の溶液Lが結晶化された状態で十分な柔らかさを保持することができず、着用される部位に対するフィット性が悪化してしまうためである。また、上限が20[重量%]を超えると、当該所定の溶液Lが十分に結晶化することができず、相転移により十分な凝固熱を発生させることができないためである。
【0087】
また、本体部1には、当該本体部1に収容された所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが設けられているので、結晶化開始部Pによって所定の溶液Lの結晶化を開始させることができる。
【0088】
また、相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液Lが収容された本体部1の第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面に、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分の第1収容部11と反対側に隣り合うように、所定の溶液Lと接することで当該所定の溶液Lの結晶化を開始させる結晶化開始部Pが付着され、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた部分における一部分は、当該目用温熱具100の非使用状態にて第1収容部11と結晶化開始部Pとを仕切るとともに、使用の際に第1収容部11側及び結晶化開始部P側のうちの少なくとも一方から加えられる圧力により剥がされて当該第1収容部11の内側と結晶化開始部Pの存する空間とを連通させるので、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた部分における一部分によって、目用温熱具100の非使用状態にて、所定の溶液Lと結晶化開始部Pとが接しないように保持することができ、一方、目用温熱具100の使用の際には、第1収容部11側及び結晶化開始部P側のうちの少なくとも一方から使用者により加圧されると、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた部分における一部分が剥がされて、第1収容部11の内側と結晶化開始部Pの存する空間とを連通状態として、第1収容部11に収容されている所定の溶液Lと結晶化開始部Pとが接触可能な状態とすることができる。従って、非使用状態で過冷却状態の所定の溶液Lと結晶化開始部Pとを保持する構造を簡略化することができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる
【0089】
さらに、結晶化開始部Pは、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面に所定の塗布方法により塗布されているので、当該結晶化開始部Pの配設を簡便に行うことができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる。
【0090】
加えて、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた部分における一部分は、当該一部分以外の他の部分に対して貼り合わせの強度が低くされているので、第1収容部11の内側と結晶化開始部Pの存する空間とを連通状態とする際に、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた部分における一部分を容易に剥がすことができる。具体的には、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分を、他の部分に対して低い温度で圧着するだけで、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分の貼り合わせの強度を他の部分に対して低くなるように当該目用温熱具100を製造することができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる。
【0091】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
以下に、本発明に係る目用温熱具100の各構成の変形例について説明する。なお、下記に説明する以外の点は、上記実施形態と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0092】
<変形例1>
図4は、変形例1の目用温熱具100の本体部201を説明するための図であり、図4(a)は、目用温熱具100の本体部201を示す平面図であり、図4(b)は、図4(a)のIV−IV線における本体部201の断面図である。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面における仕切り部13に対応する部分に、所定形状の粒子Qが所定量付着されている。粒子Qの付着は、例えば、少なくとも一方の包装部材の内面であって、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分に対応する部分に、所定の塗布方法により塗布されることで行われる。
なお、粒子Qの塗布方法は、上記実施形態における結晶化開始部Pの塗布方法と同様であり、その詳細な説明は省略するが、例えば、一方の包装部材の内面の所定位置に対して、グラビア印刷、フレキソ印刷やシルクスクリーン印刷等の所定の印刷方法により所定形状の粒子Qを印刷することで、当該一方の包装部材の内面に所定形状の粒子Qが付着(塗布)されている。
【0093】
ここで、所定形状の粒子Qとしては、無機物や有機物の各種のフィラーを適用することができる。具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、合成シリカ、酸化チタン等が挙げられる。
なお、粒子Qの形状や寸法等は、後述するように仕切り部13の貼り合わせの強度に応じて適宜任意に調整可能である。例えば、粒子Qの外形の凹凸が相対的に大きいほど、或いは、粒子Qの寸法が相対的に大きいほど、貼り合わせの強度が相対的に小さくなる一方で、粒子Qの外形の凹凸が相対的に小さいほど、或いは、粒子Qの寸法が相対的に小さいほど、貼り合わせの強度が相対的に大きくなる。
【0094】
また、仕切り部13は、第1及び第2包装部材1A、1Bが所定の圧着方法により貼り合わされて第1貼り合わせ部14が形成される際に、当該仕切り部13に対応する部分に付着された粒子Qを介在させて圧着される。これにより、仕切り部13の貼り合わせの強度は、当該第1貼り合わせ部14における他の部分の貼り合わせの強度に対して低くなる。
【0095】
次に、変形例1の目用温熱具100の製造方法について説明する。
先ず、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の所定位置に結晶化開始部Pを付着する工程(結晶化開始部付着工程)を行う。この結晶化開始部付着工程は、上記実施形態における付着工程と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0096】
次に、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の所定位置に所定形状の粒子Qを所定量付着する工程(粒子付着工程)を行う。具体的には、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされた状態で、一方の包装部材の内面の第1貼り合わせ部14の仕切り部13に対応する部分に、所定形状の粒子Qを所定量付着する。
【0097】
なお、結晶化開始部付着工程及び粒子付着工程の順序は、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能であり、例えば、粒子付着工程の後に結晶化開始部付着工程を行っても良い。
【0098】
次に、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の所定位置に、過冷却状態、或いは、過冷却される前の所定の溶液Lを配置する工程(配置工程)を行う。この配置工程は、上記実施形態における配置工程と略同様であり、その詳細な説明は省略する。
なお、配置工程は、例えば、結晶化開始部付着工程及び粒子付着工程よりも前に行われても良いし、結晶化開始部付着工程及び粒子付着工程のうち、先に行われた何れかの付着工程の後に行われても良い。
【0099】
次に、第1及び第2包装部材1A、1Bを所定方向に重ね合わせた状態で、第1貼り合わせ部14及び第2貼り合わせ部15を所定の温度で所定の圧着方法(例えば、ヒートシール等)により圧着して貼り合わせる工程(圧着工程)を行って、当該目用温熱具100の製造を完了する。これにより、第1及び第2包装部材1A、1Bは、仕切り部13に対応する部分に付着された粒子Qを介在させた状態で、所定の圧着方法により圧着されて貼り合わされる。
【0100】
従って、変形例1の目用温熱具100によれば、本体部201の第1及び第2包装部材1A、1Bが所定の圧着方法により貼り合わされる際に、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分を、当該一部分に対応する部分に付着された所定形状の粒子Qを介在させて圧着するだけで、即ち、一度の圧着作業だけで、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分の貼り合わせの強度を他の部分に対して低くなるように当該目用温熱具100を製造することができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる。
【0101】
さらに、所定形状の粒子Qは、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、少なくとも一方の包装部材の内面であって、第1及び第2包装部材が貼り合わされる部分における一部分に対応する部分に、所定の塗布方法により塗布されているので、当該粒子Qの配設を簡便に行うことができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる。
【0102】
また、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面に、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分の第1収容部11と反対側に隣り合うように結晶化開始部Pを付着する結晶化開始部付着工程と、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、少なくとも一方の包装部材の内面であって、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分に対応する部分に、所定形状の粒子Qを所定量付着する粒子付着工程とを行った後、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分を、当該一部分に対応する部分に付着された粒子Qを介在させて所定の圧着方法により圧着して第1及び第2包装部材1A、1Bを貼り合わせるだけで、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされる部分における一部分の貼り合わせの強度を他の部分に対して低くなるように当該目用温熱具100を製造することができ、当該目用温熱具100の製造効率の低下やコストアップを抑制することができる。
【0103】
なお、上記実施形態及び変形例1にあっては、結晶化開始部P及び所定形状の粒子Qの塗布方法として、所定の印刷方法を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、結晶化開始部P及び所定形状の粒子Qの塗布方法は適宜任意に変更可能である。例えば、結晶化開始部P及び所定形状の粒子Qを各種の一般的なコーターを用いた塗工方法により塗布するようにしても良い。
さらに、結晶化開始部P及び所定形状の粒子Qのうち、何れか一方の塗布を塗工方法により行い、他方の塗布を所定の印刷方法により行うようにしても良い。
【0104】
<変形例2>
図5は、変形例2の目用温熱具100の本体部301を説明するための図である。
図5に示すように、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材(例えば、第1包装部材1A等)の内面の複数箇所の各々に、結晶化開始部Pが付着されている。そして、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされることで複数の結晶化開始部P、…が互いに接しないように仕切られている。
具体的には、本体部301における仕切り部313の眉H1側には、それぞれ結晶化開始部Pが収容された複数の第2収容部312、…が設けられている。複数の第2収容部312、…は、例えば、略矩形状に形成され、X方向(左右方向)に所定間隔を空けて並設されている。
複数の第2収容部312、…どうしの間は、第1及び第2包装部材1A、1Bが仕切り部313よりも高い貼り合わせの強度で貼り合わされ、第1収容部11の一端部(例えば、眉H1側の一端部等)に連続している。即ち、複数の第2収容部312、…の各々と第1収容部11との間に、複数の仕切り部313、…が設けられ、各仕切り部313によって第1収容部11の内側と各結晶化開始部Pの存する空間とが仕切られている。
【0105】
なお、各仕切り部313や複数の第2収容部312、…どうしの間の貼り合わせ方法は、上記実施形態における貼り合わせ方法(例えば、ヒートシール等の圧着方法等)と同様であり、その詳細な説明は省略する。
また、各仕切り部313を剥がす方法も、上記実施形態で説明した方法と同様であり、その詳細な説明は省略する。
【0106】
また、複数の結晶化開始部P、…の付着は、上記実施形態と同様に、所定の塗布方法により塗布されることで行われ、具体的には、第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面の複数の第2収容部312、…に対応する位置に対して、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷やシルクスクリーン印刷等の所定の印刷方法により結晶化開始部Pを印刷することで、当該一方の包装部材の内面に複数の結晶化開始部P、…が付着されている。
【0107】
従って、変形例2の目用温熱具100によれば、本体部301の第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面の複数箇所の各々に、結晶化開始部Pが付着され、第1及び第2包装部材1A、1Bが貼り合わされることで複数の結晶化開始部P、…が互いに接しないように仕切られているので、第1収容部11の内側と複数の結晶化開始部P、…の各々の存する空間とを個別に連通状態とすることで、各結晶化開始部Pを個別に所定の溶液Lと接触させることができ、当該目用温熱具100を結晶化開始部Pの数に応じて繰り返し使用することができる。
【0108】
なお、上記変形例2にあっては、複数の結晶化開始部P、…を所定方向(例えば、X方向)に並べて設けるようにしたが、複数の結晶化開始部P、…の配設位置や数は一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。例えば、第1収容部11を取り囲むように、略矩形状の当該第1収容部11の所定数の辺に対して結晶化開始部Pを一つずつ設けるようにしても良いし、当該所定数の辺の各々に対して複数の結晶化開始部P、…を設けるようにしても良い。
【0109】
また、上記実施形態並びに各変形例にあっては、左右両目E、Eの各々に対応させるように左右二つの本体部1(201、301)を設け、対応する目Eに独立して温熱を付与可能な構成としたが、一例であってこれに限られるものではなく、本体部1の形状は適宜任意に変更可能である。例えば、本体部1を、左右両目E、Eを覆う左右方向に長尺な形状としても良い。
【0110】
さらに、上記実施形態並びに各変形例にあっては、結晶化開始部Pの配設位置として、本体部1(201、301)の眉H1側の端部側を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、適宜任意に変更可能である。即ち、結晶化開始部Pを配設する位置は、本体部1の端部側であれば如何なる位置であっても良く、頬H2側に配設しても良いし、耳側に配設しても良い。
また、本体部1を左右両目E、Eを覆う左右方向に長尺な形状とした場合には、左右方向における略中央の鼻側に結晶化開始部Pを配設しても良い。
【0111】
また、上記実施形態並びに各変形例にあっては、結晶化開始部Pを第1及び第2包装部材1A、1Bのうち、一方の包装部材の内面に付着した構造を例示したが、一例であってこれに限られるものではなく、結晶化開始部Pの収容構造は適宜任意に変更可能である。即ち、結晶化開始部Pとしての所定の溶液Lの微細な結晶を第2収容部12に収容するようにしても良いし、当該微細な結晶と所定のオイルとを混合して界面活性剤でエマルジョン化したものを第2収容部12に収容するようにしても良い。
【0112】
さらに、上記実施形態並びに各変形例において、酢酸ナトリウム三水塩を過冷却状態とする場合、例えば、酢酸と水酸化ナトリウムの無水物又は水溶液を混合して用いても良い。この場合には、中和反応により発熱が起こるため、当該熱により混合物の温度が上昇して酢酸ナトリウムが溶解し、加温を要せず液体状態で取り扱うことができると考えられる。
【0113】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0114】
100 目用温熱具
1、201、301 本体部
11 第1収容部
12、312 第2収容部
13 仕切り部
14 第1貼り合わせ部
15 第2貼り合わせ部
L 所定の溶液
P 結晶化開始部
Q 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の目を覆って温熱を付与する目用温熱具であって、
相転移により発熱する過冷却状態の所定の溶液が収容された本体部を備え、
前記本体部は、使用の際に着用者の目を覆うように着用され、
前記本体部の一端部側には、当該本体部に収容された前記所定の溶液の結晶化を開始させる結晶化開始部が配設されていることを特徴とする目用温熱具。
【請求項2】
前記結晶化開始部は、前記所定の溶液と接することで当該所定の溶液の結晶化を開始させ、
前記本体部の端部側には、前記所定の溶液と接しないように前記結晶化開始部が保持されていることを特徴とする請求項1に記載の目用温熱具。
【請求項3】
前記本体部は、
前記所定の溶液が収容された第1収容部と、前記結晶化開始部が収容された第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部とを非連通状態で保持する仕切り部とを備え、
前記仕切り部は、
前記第1収容部及び前記第2収容部のうち、少なくとも一方の収容部側から加えられる圧力により剥がされて、前記第1収容部と前記第2収容部とを連通状態とするように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の目用温熱具。
【請求項4】
前記所定の溶液には、当該所定の溶液が結晶化された状態での柔らかさを調整する調整剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の目用温熱具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75023(P2013−75023A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216661(P2011−216661)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】