説明

目的地検索装置

【課題】より感覚的な、ジャンルの絞り込みによる目的地検索を実現可能とする。
【解決手段】該ジャンルを複数階層に分類して管理し、各目的地情報を何れかのジャンルに属するように記憶した目的地情報記憶手段と、デジタル符号化された複数の楽曲データであって、その各々が、該目的地情報の少なくとも1つに関連付けられた楽曲データを記憶した楽曲データ記憶手段と、ユーザ・オペレーションによって何れかのジャンルが選択されたとき、当該ジャンルに属する目的地情報に関連付けられた楽曲データを楽曲データ記憶手段から抽出する楽曲データ抽出手段と、該抽出された楽曲データをデコードして再生する楽曲データ再生手段とを具備した目的地検索装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザ・オペレーションによって選択されたジャンルに属する目的地を検索する目的地検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の現在位置から目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムが広く知られ実用に供されている。このようなナビゲーションシステムでは、目的地の住所や電話番号、施設名称等をユーザが入力することにより、当該目的地への経路設定が可能となっている。また、例えば下記特許文献1に示されているように、目的地設定のためのアプリケーションとしてジャンル検索機能を備えたものもある。このジャンル検索機能では、ユーザは、各階層においてジャンルを選択して目的地の絞り込みを行い、所望の目的地を探し当てることになる。
【特許文献1】特開2005−55334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ジャンル検索機能を実行させたとき、ナビゲーションシステムの画面上には、「レジャー」、「ホテル」、「レストラン」等の各ジャンルの項目が例えば文字列や画像アイコンで表示される。従って、ユーザは、ジャンル検索機能を利用する場合、このような各ジャンルを表す文字列や画像アイコンを選択して所望の目的地を検索し設定することになる。しかし、画面上に表示された文字列や画像アイコン等の情報だけでは、目的地の検索を感覚的に行うことが難しいという問題点がある。
【0004】
そこで、本発明は上記の事情に鑑みて、より感覚的な、ジャンルの絞り込みによる目的地検索を実現可能とする目的地検索装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係る目的地検索装置は、ユーザ・オペレーションによって選択されたジャンルに属する目的地を検索する装置に関するものである。この目的地検索装置は、該ジャンルを複数階層に分類して管理し、各目的地情報を何れかのジャンルに属するように記憶した目的地情報記憶手段と、デジタル符号化された複数の楽曲データであって、その各々が、該目的地情報の少なくとも1つに関連付けられた楽曲データを記憶した楽曲データ記憶手段と、ユーザ・オペレーションによって何れかのジャンルが選択されたとき、当該ジャンルに属する目的地情報に関連付けられた楽曲データを楽曲データ記憶手段から抽出する楽曲データ抽出手段と、該抽出された楽曲データをデコードして再生する楽曲データ再生手段とを具備したことを特徴としたものである。
【0006】
このように構成された目的地検索装置によれば、目的地検索時において、ユーザによって選択されたジャンルに対応した楽曲データが再生される。このため、ユーザは、目的地のイメージを聴覚で感じ取りつつ目的地検索を行うことができる。このように本発明に係る目的地検索装置によれば、ジャンルの絞り込みによる目的地検索をより感覚的に行うことが可能となる。
【0007】
なお、上記目的地検索装置において楽曲データ抽出手段によって抽出された楽曲データが複数ある場合、上記楽曲データ再生手段は、当該複数の楽曲データを所定の順序で再生しても良い。
【0008】
この場合、上記目的地検索装置は、例えば該楽曲データの各々に所定の楽曲情報を関連付けて記憶した楽曲情報記憶手段を更に具備したものであっても良い。ここでいう所定の順序は、例えば該所定の楽曲情報に基づいた順序であっても良い。
【0009】
また、上記目的地検索装置は、例えば楽曲データ再生中に、当該楽曲データに関連付けられた所定の楽曲情報を表示する楽曲情報表示手段を更に具備したものであっても良い。
【0010】
また、上記目的地検索装置は、例えば外部端末と通信するための通信手段を更に具備したものであっても良い。この場合、該所定の楽曲情報は、例えば通信手段を介して該外部端末が保持するCDDB(CD DataBase)から取得した情報であっても良い。
【0011】
また、上記目的地検索装置は、例えば楽曲データ再生手段でデコードされた楽曲データの周波数解析を行う周波数解析手段を更に具備したものであっても良い。この場合、上記楽曲データ再生手段を、例えば周波数解析手段による解析結果に基づいて当該楽曲データの所定のパートを特定し、該特定されたパートだけを再生する構成としても良い。
【0012】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係る目的地検索装置は、ユーザ・オペレーションによって選択されたジャンルに属する目的地を検索する装置に関するものである。この目的地検索装置は、該ジャンルを複数階層に分類して管理し、各目的地情報を何れかのジャンルに属するように記憶した目的地情報記憶手段と、デジタル符号化された複数の楽曲データであって、その各々が、該目的地情報の少なくとも1つに関連付けられた楽曲データを記憶した楽曲データ記憶手段と、ユーザ・オペレーションによって所定の階層のジャンルが選択されたときのみ、当該ジャンルに属する目的地情報に関連付けられた楽曲データを楽曲データ記憶手段から抽出する楽曲データ抽出手段と、該抽出された楽曲データをデコードして再生する楽曲データ再生手段とを具備したことを特徴としたものである。
【0013】
ここで、該所定の階層は例えば最上位の階層であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る目的地検索装置によれば、ジャンルの絞り込みによる目的地検索をより感覚的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態のナビゲーションシステムの構成及び作用について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態のナビゲーションシステム100の構成を示したブロック図である。ナビゲーションシステム100には、例えばユーザを目的地に案内するためのナビゲーション用アプリケーションが実装されている。
【0017】
ナビゲーションシステム100は、制御部1、GPS(Global Positioning System)レシーバ2、ジャイロセンサ3、車速センサ4、HDD(Hard Disk Drive)5、入力部6、表示部7、ROM(Read Only Memory)8、DRAM(Dynamic Random Access Memory)9、SRAM(Static Random Access Memory)10、VRAM(Video Random Access Memory)11、ユーザインタフェース12、画像処理部13、通信部14、オーディオ部15、及び、スピーカ16を具備する。制御部1はシステム全体を統括的に制御するよう動作する。ナビゲーションシステム100の各構成要素は制御部1の制御下で各種処理を実行する。
【0018】
GPSレシーバ2は、地球を周回する複数のGPS衛星の幾つかを捕捉・追尾する。そして捕捉・追尾中に受信される各GPS衛星からのGPS信号を用いて、位置及び速度測位を実行する。GPSレシーバ2は、算出された測位(以下、便宜上「GPS測位」と称する)結果を制御部1に送出する。
【0019】
ジャイロセンサ3及び車速センサ4は、周知のデッドレコニング(Dead Reckoning、以下、「DR」と略記)用のセンサである。ジャイロセンサ3は、ナビゲーションシステム100を搭載した車両の方位に関する角速度を計測し、その計測結果を制御部1に出力する。また車速センサ4は、当該車両の左右の駆動輪の回転速度を検出してその平均速度に応じた車速パルス信号を生成して制御部1に出力する。なお、説明の便宜上、これらのセンサ出力を「DRセンサ出力」と記す。
【0020】
HDD5には、例えばナビゲーションシステム100がナビゲーション用アプリケーションを実行する際に必要とする地図データMDが格納されている。ここで、図2に、地図データMDを概略的に示す。図2に示されるように、地図データMDは、地図データベースMDB、シンボルデータベースMDB(更には地図画像データ等の諸データ)から構成されている。
【0021】
地図データベースMDBでは、例えば日本全国の地図情報が所定単位の地域に分割されて管理されている。この地図データベースMDBは、「地域」、「座標」、「地図画像」、「道路」、「文字情報」のフィールドを有する。
【0022】
「地域」フィールドには、所定単位に分割された各地域の名称(又は識別番号等)がエントリされている。「座標」フィールドには、当該各地域を座標で表した座標データ(或いはその座標データが格納されているHDD内のアドレス)がエントリされている。「地図画像」フィールドには、当該各地域の地形等を表す地図画像データ(或いはその地図画像データが格納されているHDD内のアドレス)がエントリされている。「道路」フィールドには、当該各地域に含まれる道路の座標データ(或いはその座標データが格納されているHDD内のアドレス)がエントリされている。「文字情報」フィールドには、当該各地域に関する付加的情報を表すテキストデータ(或いはそのデータが格納されているHDD内のアドレス)がエントリされている。なお「地域」、「道路」フィールドの座標データは、GPS測位結果やDR測位結果(後述)に対応したデータである。
【0023】
またシンボルデータベースMDBでは、例えば日本全国の各地域に存在する飲食店やコンビニエンスストア、観光施設、商業施設等の目的地となり得るシンボルのデータが管理されている。このシンボルデータベースMDBは、「大ジャンル」、「中ジャンル」、「小ジャンル」、「シンボル名」、「座標」、「曲属性」のフィールドを有する。
【0024】
シンボルデータベースMDBにおいて各シンボルはジャンル毎に分類され、その分類毎に階層的に管理されている。「大ジャンル」フィールドでは、各シンボルが最も大まかに分類されている。「大ジャンル」フィールドには、各シンボルを例えば「観光」、「買い物」、「レジャー」、「宿泊」等で分類して管理するためのデータ(以下、「大ジャンルデータ」と記す)がエントリされている。「中ジャンル」フィールドでは、「大ジャンル」で分類された各シンボルがより細かく分類されている。「中ジャンル」フィールドには、各シンボルを例えば「商業施設」、「コンビニエンスストア」、「公営施設」、「休憩処」等で分類して管理するためのデータ(以下、「中ジャンルデータ」と記す)がエントリされている。「小ジャンル」フィールドでは、「中ジャンル」で分類された各シンボルがより細かく分類されている。「小ジャンル」フィールドには、各シンボルを例えば「水族館」、「Aマート」、「競馬場」、「温泉」等で分類して管理するためのデータ(以下、「小ジャンルデータ」と記す)がエントリされている。
【0025】
「シンボル名」フィールドには、例えば「○○水族館」、「Aマート××支店」、「△△競馬場」、「FGH温泉」等の各シンボルの名称データがエントリされている。「座標」フィールドには、各シンボルの位置情報を表した座標データがエントリされている。この座標データも先と同様に、GPS測位結果やDR測位結果(後述)に対応したデータである。
【0026】
「曲属性」フィールドには、例えば「水/魚」、「街」、「馬」、「温泉」等の各シンボルの曲属性データがエントリされている。大ジャンルデータ、中ジャンルデータ、小ジャンルデータが各シンボルをシンボルデータベースMDB上で分類・管理するためのデータであるのに対して、曲属性データはその曲のイメージを表すデータとなっている。
【0027】
図1の説明に戻る。入力部6はユーザ・オペレーションを成すためのものであり、例えばナビゲーションシステム100のフロントパネル(不図示)に設置されたメカニカル式の入力キーである。或いは、ユーザインタフェース12と赤外線通信を行うことによりユーザ・オペレーションを実現させるリモートコントロール機器(不図示)である。例えば電源スイッチは入力部6を構成する一要素である。
【0028】
表示部7は例えばナビゲーション用画面を表示するためのものである。この表示部7で表示される画像は画像処理部13により生成される。附言するに、表示部7は例えば感圧式又は静電式等の周知のタッチ・パネルであり、入力手段を兼ねている。入力部6又は表示部7が操作されると、それに応じた信号がユーザインタフェース12を介して制御部1に入力する。そして制御部1は、ユーザ・オペレーションに対応した処理が実行されるよう各構成要素を制御する。
【0029】
ROM8には、例えば周知のナビゲーション機能を実現するためのプログラムや各種データ等が格納されている。またDRAM9やSRAM10は、例えばHDD5やROM8に格納されているプログラムやデータの展開先である。制御部1は、例えばHDD5やROM8に格納されているプログラムを読み出して、DRAM9やSRAM10の所定領域に展開して実行させる。これにより、例えばナビゲーション用のアプリケーションが動作して、ナビゲーション機能が実現される。なお、SRAM10は電源オフ時にバッテリバックアップされており、そのメモリ内容を保持することができる。またVRAM11は、表示部7に表示される画像を保持するための画像用メモリである。
【0030】
ここで、GPSレシーバ2からのGPS測位結果及び各センサからのDRセンサ出力を受け取った際の制御部1の処理について説明する。
【0031】
制御部1は、各センサが出力したDRセンサ出力に基づいてDR測位演算を行い、車両の進行方向及び移動距離を得る。次いで制御部1は、演算したDR測位結果及びGPS測位結果と、夫々の測位結果に対する誤差推定値とを比較する。そして、この比較結果に基づいて、高精度と判定される測位結果を選択し、選択された測位結果をマップマッチングする。また、制御部1は、各測位結果に基づいてHDD5の地図データベースMDBを検索し、現在位置周辺の地図画像データを抽出する。次いで、この抽出された地図画像データに車両の現在位置を示す自車位置マークが重畳表示されるよう画像処理部13を動作させる。
【0032】
なお、ここでいうマップマッチングとは、表示部7に表示されている地図中の道路から外れた位置に自車位置マークが表示される等の誤差を補正することを示す。マップマッチングを行うことによって自車位置と地図との整合性が取れ、ユーザは自車の現在位置を正確に把握することができる。マップマッチングは、ナビゲーションの実行に拘わらず常時行われている。
【0033】
ある目的地に向けてナビゲーションするようにユーザ・オペレーションが成されたとき、制御部1は、ナビゲーション用のプログラムをROM8から読み出して例えばDRAM9に展開する。次いでHDD5の地図データMDを読み込み、且つ、測位結果に基づく現在位置情報及び設定された目的地の情報を参照して、例えば周知のダイクストラ法により経路検索を実行する。そして、最適と判断される経路を検索結果として得る。制御部1は、例えば得られた経路や当該経路に関する種々の情報が表示部7に表示中の地図に重畳表示されるよう画像処理部13を動作させる。これにより、表示部7にナビゲーション情報を含む各種情報が出力されて表示される。
【0034】
ここで、HDD5には、地図データMDに加えて、例えば数千曲の楽曲データが格納されている。この楽曲データは所定の形式にデジタル符号化されたものであり、例えば光ディスク等の記憶媒体から取り込んだものであったり、通信部14を介してネットワーク上のサーバ等からダウンロードしたものであったりする。オーディオ部15は周知の構成を有したものであり、HDD5に格納されたこれらの楽曲データをデコードしてスピーカ16に出力するよう動作する。これによりスピーカ16で楽曲が再生され、ユーザは様々な楽曲を車内で楽しむことができる。
【0035】
HDD5には、更に、各楽曲データに関する情報を蓄積した楽曲情報データベースMUDB及びプレイリストPLも格納されている。ここで、図3に、楽曲情報データベースMUDB及びプレイリストPLを概略的に示す。
【0036】
楽曲情報データベースMUDBは楽曲に関する情報を蓄積したものであり、「曲ID」、「曲属性」、「曲名」、「アーティスト名」、「TOC(Table of contents)情報」、「アドレス」のフィールドを有する。「曲属性」、「曲名」、「アーティスト名」、及び、「TOC情報」の各フィールドには、例えば通信部14を介してネットワーク上のCDDB等からダウンロードした楽曲情報のデータがエントリされる。「曲ID」フィールドには、楽曲情報データベースMUDBに含まれる各レコードを識別するための便宜的な情報がエントリされる。「アドレス」フィールドには、各レコードに対応した楽曲データが格納されているHDD5内のアドレスがエントリされる。楽曲情報データベースMUDBの「曲属性」フィールドにもシンボルデータベースMDBの「曲属性」フィールドと同様に、その曲のイメージを表す曲属性データがエントリされる。
【0037】
プレイリストPLには、ジャンル検索機能を用いて目的地を設定するようユーザ・オペレーションが成されたとき、その検索中のジャンルに関連した楽曲がエントリされる。ここで、図4に、プレイリストPLに楽曲をエントリし、そのエントリに基づいて楽曲を再生する、ジャンル検索に対応した楽曲再生処理のフローチャートを示す。
【0038】
図4の楽曲再生処理は、例えば図5に示されている目的地検索用の画面において「ジャンル」の項目Jが選択された時点、すなわちジャンル検索機能で目的地を設定するようにユーザ・オペレーションが成された時点で開始される。
【0039】
図5に示されている画面において「ジャンル」の項目Jが選択されると、表示部7の表示は、「大ジャンル」に対応する各項目(すなわち「観光」、「買い物」、「レジャー」、「宿泊」等)が配列されたジャンル検索画面(以下、「大ジャンル検索画面」と記す)に切り替わる。この大ジャンル検索画面において何れかの項目が選択されると(ステップ1、以下、明細書及び図面においてステップを「S」と略記)、制御部1は、シンボルデータベースMDBを検索し、上記選択された項目に対応する大ジャンルデータを有するレコードに注視する。例えばS1の処理において「観光」の項目が選択された場合、制御部1は、「○○水族館」のエントリデータを有するレコードを始めとする、「観光」の大ジャンルデータを有しているレコードに注視する。次いで、注視された各レコードの曲属性データを取得する(S2)。例えば「○○水族館」のエントリデータを有するレコードからは「水/魚」の曲属性データを取得する。
【0040】
なお、大ジャンル検索画面において「大ジャンル」に対応する何れかの項目が選択されると、表示部7の表示は、「中ジャンル」に対応する各項目(すなわち「商業施設」、「コンビニエンスストア」、「公営施設」、「休憩処」等)が配列されたジャンル検索画面(以下、「中ジャンル検索画面」と記す)に切り替わる。更に、中ジャンル検索画面において「中ジャンル」に対応する何れかの項目が選択されると、表示部7の表示は、「小ジャンル」に対応する各項目(すなわち「水族館」、「Aマート」、「競馬場」、「温泉」等)が配列されたジャンル検索画面(以下、「小ジャンル検索画面」と記す)に切り替わる。そして、小ジャンル検索画面において「小ジャンル」に対応する何れかの項目が選択されると、表示部7には、当該「小ジャンル」の下に属するシンボルのリスト(例えば「○○水族館」、「××水族館」等)が表示される。このリスト中の何れかのシンボルが選択されると、目的地設定が完了する。
【0041】
制御部1はS2の処理に次いで、楽曲情報データベースMUDBを検索し、上記取得された曲属性データが「曲属性」フィールドにエントリされている全ての楽曲のレコードを抽出する(S3)。例えばS2の処理で取得された曲属性データが「水/魚」である場合、制御部1は、「AB海岸メドレー」のエントリデータを有する楽曲のレコードを始めとする、「水/魚」の曲属性データを有している全ての楽曲のレコードに抽出する。そして、抽出された全てのレコードの「曲ID」のエントリデータを、所定の規則に基づいた順序(例えば「曲ID」に基づいた順序、50音順(曲名)、ランダム等)でプレイリストPLにエントリする(S4)。「プレイリストPLにエントリ」とは、その楽曲データを特定するための何らかの情報をプレイリストPLに書き込むことを意味する。ここでは上記のように「曲ID」のエントリデータがプレイリストPLにエントリされる。
【0042】
S4の処理でプレイリストPLを作成すると、制御部1は、オーディオ部15と連携して動作し、当該プレイリストPLに基づいた楽曲再生を行う(S5)。具体的には、オーディオ部15は、プレイリストPLの序数(図3における「No.」)にしたがって楽曲を順に再生させる。オーディオ部15は先ず、序数が「1」の「曲ID」のエントリデータをキーとして楽曲情報データベースMUDBを検索し、該当するレコードを抽出する。次いで、抽出されたレコードの「アドレス」フィールドを参照して当該アドレスにアクセスし、楽曲データを取得する。そして、この楽曲データをデコードしてスピーカ16に出力する。このような処理をプレイリストPLにエントリされた各楽曲に対して順に実行することにより、ユーザがジャンル検索機能で目的地を検索している間、選択したジャンル(ここでは大ジャンル)に関連した楽曲がスピーカ16で順次再生されることになる。ユーザは、画面上に表示された文字列や画像アイコン等の情報だけでなく、選択したジャンルに関連した楽曲を聴取しながらジャンル検索による目的地の検索を行うことができる。つまり、ユーザは、目的地検索をより感覚的に行うことができるようになる。また、上記のように、選択されたジャンルと曲属性データに基づいてプレイリストPLを作成するようにナビゲーションシステム100を構成することで、ユーザが普段聴取しない楽曲が再生されることがある。このような場合、ユーザは新鮮みを覚え、楽曲をより楽しむことができるようになる。
【0043】
制御部1はS5の処理に次いで、現在再生中の楽曲のレコードの各エントリデータを用いて、その楽曲情報を表示部7に表示させる(S6)。この楽曲情報はジャンル検索画面に重畳して表示される。そして、制御部1は楽曲情報の表示を行うと、ユーザ・オペレーションによるジャンル検索の目的地設定が完了したか否かを判定する(S7)。目的地設定が完了している場合(S7:YES)、制御部1は、本フローチャートの処理を終了させる。また、目的地設定が完了していない場合(S7:NO)、制御部1は、S5の処理に復帰して楽曲再生処理を継続する。なお、プレイリストPLは、楽曲再生処理終了と共に消去される。
【0044】
ここで、製品購入時等においては、曲属性に対応した楽曲がHDD5に格納されていないことが考えられる。従って、各ジャンルに対応した各曲属性の楽曲を製品出荷時にHDD5に予め何曲か格納しておくことが好ましい。このような構成によれば、ユーザがHDD5に何れの楽曲も格納していない場合であっても、初期的に格納された楽曲によるプレイリスト作成・再生が実現される。このため、ユーザは、製品購入時にも、より感覚的な目的地検索を実行することが可能となる。
【0045】
以上が本発明の実施の形態である。本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば本実施形態では、大ジャンル検索画面において選択された「大ジャンル」の項目に基づいてプレイリストPLを作成しているが、別の実施の形態では、中ジャンル検索画面や小ジャンル検索画面で選択された項目に基づいてプレイリストPLを作成するようにしても良い。
【0046】
図6に、別の実施の形態のナビゲーションシステムで実行される楽曲再生処理のフローチャートを示す。図6のS11乃至16の処理は、図4のS1乃至7の処理と実質的に同一であるためその説明を省略する。S17の処理において制御部1は、ジャンル検索の目的地設定が完了したと判定した場合(S17:YES)、本実施形態と同様に本フローチャートの処理を終了させる。また、目的地設定が完了していないと判定した場合(S17:NO)、制御部1は、S12乃至S17の処理実行中にジャンル検索画面上の項目の選択操作が行われたか否かを判定する(S18)。
【0047】
S18の処理において制御部1は、ジャンル検索画面上の項目の選択操作が行われていないと判定した場合(S18:NO)、S15の処理に復帰する。また、ジャンル検索画面上の項目の選択操作が行われていると判定した場合(S18:YES)、S19の処理に進む。そして、S12乃至S17の処理実行中に選択された項目(ジャンル)に対応した処理を実行する。
【0048】
例えば中ジャンル検索画面上で「コンビニエンスストア」が選択された場合、制御部1は、前回作成されたプレイリストPL(例えば大ジャンル検索画面において選択された「大ジャンル」の項目に基づいて作成されたプレイリストPL)を消去する(S19)。次いで、S12の処理に復帰して、「Aマート××支店」のエントリデータを有するレコードを始めとする、「コンビニエンスストア」の中ジャンルデータを有しているレコードに注視する。そして、注視された各レコードの曲属性データを取得する。例えば「Aマート××支店」のエントリデータを有するレコードからは「街」の曲属性データを取得する。曲属性データ取得後、制御部1は、曲属性データに基づいたレコード抽出処理(S13)、抽出レコードによるプレイリストPL作成処理(S14)、プレイリストPLに基づいた楽曲再生処理(S15)、及び、楽曲情報表示処理(S16)を実行する。
【0049】
別の実施の形態によれば、階層を移動(例えば「大ジャンル」から「中ジャンル」に移動)する毎に、現在の階層に対応したプレイリストPLが作成され再生されることになる。従って、別の実施の形態の楽曲再生処理で再生される楽曲は、下の階層に移動するほど目的地に近いイメージを有するものとなる。このため、ユーザは、より感覚的に目的地検索を行うことができるようになる。
【0050】
すなわち本実施形態においては、プレイリストPLの作成回数が1回に限定され、制御部1の負担が軽減されるというメリットがあり、別の実施の形態においては、より感覚的に目的地検索を行うことができるというメリットがある。
【0051】
また、本実施形態ではプレイリストPLの各楽曲をその頭部分から再生しているが、更に別の実施の形態では、例えばオーディオ部15でデコードされた楽曲に対して周知の周波数解析を施し、その解析結果に基づいて各楽曲の所定のパート(例えばサビの部分)を特定し、その特定部分だけをスピーカ16で再生するようにしても良い。
【0052】
また、本実施形態では、シンボルデータベースMDBは複数のジャンルのフィールド(「大ジャンル」、「中ジャンル」、「小ジャンル」フィールド)を有しているが、更に別の実施の形態では、シンボルデータベースMDBがジャンルのフィールドとして、例えば「大ジャンル」フィールドだけを有するようにしても良い。
【0053】
また、更に別の実施の形態では、シンボルデータベースMDB及び楽曲情報データベースMUDBから「曲属性」フィールドを排除しても良い。この場合、楽曲情報データベースMUDBには「曲属性」フィールドとして、例えば「大ジャンル」に対応したフィールドが含まれる。すなわちこのような実施の形態では、シンボルデータベースMDBと楽曲情報データベースMUDBとをリンクさせるデータが曲属性データでなく大ジャンルデータとなる。この場合、シンボルデータベースMDBのフィールド数が減るため、データ容量の削減という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態のナビゲーションシステムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態のHDDに格納された地図データを概略的に示した図である。
【図3】本発明の実施の形態のHDDに格納された楽曲情報データベース及びプレイリストを概略的に示した図である。
【図4】本発明の実施の形態のナビゲーションシステムで実行される楽曲再生処理を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における目的地検索用の画面の一例である。
【図6】別の実施の形態のナビゲーションシステムで実行される楽曲再生処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 制御部
2 GPSレシーバ
3 ジャイロセンサ
4 車速センサ
5 HDD
6 入力部
7 表示部
8 ROM
9 DRAM
10 SRAM
11 VRAM
12 ユーザインタフェース
13 画像処理部
14 通信部
15 オーディオ部
16 スピーカ
100 ナビゲーションシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ・オペレーションによって選択されたジャンルに属する目的地を検索する目的地検索装置において、
該ジャンルを複数階層に分類して管理し、各目的地情報を何れかのジャンルに属するように記憶した目的地情報記憶手段と、
デジタル符号化された複数の楽曲データであって、その各々が、該目的地情報の少なくとも1つに関連付けられた楽曲データを記憶した楽曲データ記憶手段と、
ユーザ・オペレーションによって何れかのジャンルが選択されたとき、当該ジャンルに属する目的地情報に関連付けられた楽曲データを前記楽曲データ記憶手段から抽出する楽曲データ抽出手段と、
該抽出された楽曲データをデコードして再生する楽曲データ再生手段と、を具備したこと、を特徴とする目的地検索装置。
【請求項2】
前記楽曲データ抽出手段によって抽出された楽曲データが複数ある場合、前記楽曲データ再生手段は、当該複数の楽曲データを所定の順序で再生すること、を特徴とする請求項1に記載の目的地検索装置。
【請求項3】
該楽曲データの各々に所定の楽曲情報を関連付けて記憶した楽曲情報記憶手段を更に具備し、
該所定の順序は、該所定の楽曲情報に基づいた順序であること、を特徴とする請求項2に記載の目的地検索装置。
【請求項4】
楽曲データ再生中に、当該楽曲データに関連付けられた所定の楽曲情報を表示する楽曲情報表示手段を更に具備したこと、を特徴とする請求項3に記載の目的地検索装置。
【請求項5】
外部端末と通信するための通信手段を更に具備し、
該所定の楽曲情報は、前記通信手段を介して該外部端末が保持するCDDB(CD DataBase)から取得した情報であること、を特徴とする請求項3又は請求項4の何れかに記載の目的地検索装置。
【請求項6】
前記楽曲データ再生手段でデコードされた楽曲データの周波数解析を行う周波数解析手段を更に具備し、
前記楽曲データ再生手段は、前記周波数解析手段による解析結果に基づいて当該楽曲データの所定のパートを特定し、該特定されたパートだけを再生すること、を特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の目的地検索装置。
【請求項7】
ユーザ・オペレーションによって選択されたジャンルに属する目的地を検索する目的地検索装置において、
該ジャンルを複数階層に分類して管理し、各目的地情報を何れかのジャンルに属するように記憶した目的地情報記憶手段と、
デジタル符号化された複数の楽曲データであって、その各々が、該目的地情報の少なくとも1つに関連付けられた楽曲データを記憶した楽曲データ記憶手段と、
ユーザ・オペレーションによって所定の階層のジャンルが選択されたときのみ、当該ジャンルに属する目的地情報に関連付けられた楽曲データを前記楽曲データ記憶手段から抽出する楽曲データ抽出手段と、
該抽出された楽曲データをデコードして再生する楽曲データ再生手段と、を具備したこと、を特徴とする目的地検索装置。
【請求項8】
該所定の階層は最上位の階層であること、を特徴とする請求項7に記載の目的地検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−82727(P2008−82727A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260139(P2006−260139)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】