説明

目覚まし装置

【課題】目覚まし装置において、良い目覚めを得る確率を十分に高くする。
【解決手段】目覚まし装置1を提供する。目覚まし装置1は、CPU9と、被験者の状態を検出して生体信号として出力する検出部2とを備える。CPU9は、被験者の入眠時刻を推定し、生体信号に基づいて被験者の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定し、起床予定時刻、入眠時刻および被験者の睡眠周期に基づいて、被験者の覚醒に好適な好適期間を決定し、好適期間において、第1レベルまで浅くなると、刺激付与動作を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起床予定時刻に生体の目を覚まさせる目覚まし装置(アラーム装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
目覚まし装置は、睡眠状態の生体を覚醒状態へ誘導する刺激を対象の生体に与える刺激付与動作を、使用者に設定された起床予定時刻に開始する装置であり、一般には、起床予定時刻を迎えるまでは刺激付与動作を開始しない。睡眠中の生体の状態は睡眠期間を通じて一定ではなく、目覚めの良し悪しはそのときの生体の状態に依存するが、一般的な目覚まし装置では、刺激付与動作が開始される時刻が起床予定時刻に限られるから、良い目覚めとなる確率が低いという欠点がある。
【0003】
この確率を上げることができる目覚まし装置が、特許文献1に記載されている。この目覚まし装置は、目覚まし時刻(起床予定時刻)を基準とした対象範囲(期間)において、被験者の状態が起床推奨状態の場合には、被験者の体動を検出したときに、目覚まし機構を駆動する。なお、被験者の状態は、被験者の自律神経の活動状態に基づいて検出される。また、特許文献1には、被験者の自律神経の活動状態と体動の有無とに基づいて睡眠周期(睡眠期間におけるレム睡眠の開始時刻から次のレム睡眠の開始時刻までの期間)を算出し、この睡眠周期に基づいて対象範囲の長さを決定すること、具体的には睡眠周期の1/2を対象範囲の長さとすることが記載されている。
【特許文献1】特開2006−271894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、睡眠中の生体の状態は、入眠時刻を基準として周期的に変動するものであり、起床予定時刻を基準として変動するものではない。したがって、特許文献1の目覚まし装置のように、刺激付与動作を開始し得る期間を、入眠時刻に基づかずに決定する目覚まし装置では、良い目覚めとなる確率を十分に高くすることは困難である。
そこで、本発明は、良い目覚めを得る確率が十分に高い目覚まし装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、睡眠状態の生体を覚醒状態へ誘導する刺激を対象の生体に与える刺激付与動作を起床予定時刻に開始する目覚まし装置において、前記対象の生体の入眠時刻を推定する入眠時刻推定部と、前記対象の生体の状態を検出して生体信号として出力する検出部と、前記生体信号に基づいて、前記対象の生体の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定する第1レベル判定部と、前記起床予定時刻、前記入眠時刻および前記対象の生体の睡眠周期に基づいて、前記対象の生体の覚醒に好適な好適期間を決定する好適期間決定部と、前記好適期間において、前記第1レベル判定部の判定結果が肯定的になると、前記刺激付与動作を開始させる第1制御部とを備える、ことを特徴とする目覚まし装置(態様1)を提供する。態様1では、対象の生体の睡眠が第1レベルまで浅くなると刺激付与動作が開始される好適期間が、入眠時刻、睡眠周期および起床予定時刻に基づいて決定される。したがって、この目覚まし装置によれば、良い目覚めを得る確率を十分に高くすることができる。
【0006】
態様1において、前記好適期間決定部は、時間軸上で前記入眠時刻から長さが前記睡眠周期の期間を繰り返し連ねた場合に前記起床予定時刻より前に終了する前記期間の終了時刻を周期由来時刻としたとき、前記睡眠周期より短い第1時間だけ前記周期由来時刻よりも前の時刻から前記周期由来時刻までの期間を前記好適期間とする、ようにしてもよい(態様2)。態様2によれば、対象の生体の状態が覚醒に好適な状態になる時刻であって起床予定時刻から著しく離れていない時刻を含み、対象の生体の状態が覚醒に好適な状態になる時刻であって起床予定時刻から著しく離れている時刻を含まない好適期間を、簡単に定めることが可能である。
【0007】
態様2において、前記生体信号に基づいて、前記睡眠周期よりも短く前記第1時間よりも長い第2時間だけ前記起床予定時刻よりも前の時刻に開始して前記起床予定時刻よりも前の時刻に終了する期間を前記対象の生体の覚醒に好適な許容期間としたとき、前記許容期間において前記対象の生体の睡眠が前記第1レベルよりも浅い第2レベルまで浅くなったか否かを判定する第2レベル判定部と、前記第2レベル判定部の判定結果が肯定的になると、前記刺激付与動作を開始させる第2制御部とを備える、ようにしてもよい(態様3)。態様3によれば、対象の睡眠が第1レベルよりも浅い第2レベルまで浅くなった時刻が、好適期間外の時刻であっても、許容期間内の時刻であれば、その時刻に刺激付与動作を開始することができる。また、態様3は、第2制御部のために検出部以外の検出部を設ける態様に比較して、その構成が簡素となる。
【0008】
態様3において、前記第2レベル判定部は、前記許容期間において前記第1レベル判定部の判定結果が肯定的になった回数が、予め定められた基準回数に達すると、前記対象の生体の睡眠が前記第2レベルまで浅くなったと判定する、ようにしてもよい(態様4)。態様4によれば、第1レベル判定部による判定の結果を第2レベル判定部による判定に用いない態様に比較して、第2レベル判定部の処理を簡素とすることができる。
【0009】
上記各態様において、前記生体信号に基づいて、前記対象の生体の体動を検出する体動検出部を備え、前記第1レベル判定部は、前記体動検出部に前記体動が検出されると、前記対象の生体の睡眠が前記第1レベルまで浅くなったと判定する、ようにしてもよい(態様5)。体動の検出は、対象の生体を拘束することなく実現可能であるから、態様5によれば、検出部として心電計等の電極の貼り付けを必要とする機器を用いる態様に比較して、使用者の手間を削減することができる。
【0010】
上記各態様において、前記生体信号に基づいて前記睡眠周期を算出する睡眠周期算出部を備える、ようにしてもよい(態様6)。態様6によれば、使用者が睡眠周期を設定する態様に比較し、使用者の手間を削減することができる。
【0011】
態様6において、前記睡眠周期算出部は、前記生体信号に基づいて前記対象の生体の単位時間あたりの呼吸数または心拍数を検出する数検出部を有し、前記単位時間あたりの呼吸数または心拍数に基づいて前記睡眠周期を算出する、ようにしてもよい(態様7)。態様7によれば、簡単な処理によって睡眠周期を算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<1.構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る目覚まし装置1の使用時の外観を示す図である。目覚まし装置1は、使用者に設定された起床予定時刻に被験者(寝具に横臥した人体)を目覚めさせる装置であり、睡眠状態の人体を覚醒状態へ誘導する刺激を被験者に与える刺激付与動作を、起床予定時刻を基準とした時刻に開始する。図1に示すように、目覚まし装置1は、生体の状態を検出して生体信号として出力する検出部2と、検出部2に接続され、刺激付与動作を実行および制御する本体3とを備える。
【0013】
検出部2は、例えば、非圧縮性の流体を内封したマットレスの圧力変動を、マイクロホン(例えば、コンデンサマイクロホン)を用いて検出するものであり、図示したようにマットレスを、寝具の下に敷くことにより、被験者の状態を検出して当該状態を表す生体信号を出力する。本体3は、使用者に起床予定時刻や睡眠周期を設定させるための画面を表示する表示部4と、使用者に操作されて当該操作の内容を表す操作信号を出力する操作部5を備える。操作部5は電源スイッチを有する。
【0014】
図2は、人体の睡眠の深さの推移の一例を示す図である。この図に示す推移は、自然に目覚めるときのものである。この図に示すように、睡眠の深さは入眠時刻(Ts)から周期的に変動する。この変動の周期、すなわちレム睡眠の終わりから次のレム睡眠の終わりまでの時間の長さが、睡眠周期(L)である。図2では、時間軸上で入眠時刻(Ts)から長さが睡眠周期(L)の期間を繰り返し連ねたときの先頭の期間を「第1期間」、次の期間を「第2期間」、さらに次の期間を「第3期間」、最後の期間を「第4期間」としており、第4期間の終了時刻(T1)に睡眠期間が終了している。
【0015】
図3は、目覚まし装置1の構成を示すブロック図である。本体3は、表示部4および操作部5の他に、刺激付与動作を行う刺激付与部6、データを記憶する記憶部7、目覚まし装置1の各部に電力を供給する主電源8、上記の生体信号および操作信号を受けて表示部4、刺激付与部6、記憶部7および主電源8を制御するCPU(Central Processing Unit)9を備える。
【0016】
操作部5は、その電源スイッチがオン操作されると、その旨の操作信号を出力する。この操作信号を受けた主電源8は、電力の供給を開始する。これにより、目覚まし装置1が使用可能となる。また、主電源8は、CPU9による制御に従って、電力の供給を停止する。刺激付与部6は、具体的には、上記の刺激となる音を発する発音部である。
【0017】
記憶部7は、具体的には一つの不揮発性の半導体メモリであり、CPU9に実行されるプログラムPを記憶している。また、記憶部7は、起床予定時刻を示す起床予定時刻データ、入眠時刻(Ts)を示す入眠時刻データ、入眠時刻(Ts)の推定に用いられる推測用データ、睡眠周期(L)の設定の有無を論理値で示す設定有無データ、睡眠周期(L)を示す睡眠周期データ、後述の周期由来時刻を示す周期由来時刻データ、後述の測定結果データの記憶に用いられる。
【0018】
CPU9は、主電源8からの電力の供給が開始されると、記憶部7からプログラムPを読み出して実行し、計時処理、手動終了処理および目覚まし処理を開始する。計時処理は現在時刻を計時する処理である。手動終了処理では、CPU9は、電源スイッチがオフ操作された旨の、操作部5からの操作信号を待ち、この操作信号を受けると、主電源8を制御し、その電力の供給を停止させる。目覚まし処理は、被験者を目覚めさせるための処理であり、その詳細は、次に述べる通りである。
【0019】
<2.目覚まし処理>
<2−1.設定>
図4は、目覚まし処理の流れを示すフローチャートの前半を示す図であり、図5は当該フローチャートの後半を示す図であり、両図は接続点で接続されて当該フローチャートを示す。図4に示すように、目覚まし処理では、CPU9は、まず、現在時刻(Tn)、起床予定時刻(Te)、睡眠周期(L)の設定の有無および睡眠周期(L)の設定に係る設定処理を行う(S1)。設定処理では、CPU9は、表示処理および操作対応処理を並列に実行する。
【0020】
表示処理は、現在時刻(Tn)、起床予定時刻(Te)、睡眠周期(L)の設定の有無および睡眠周期(L)の設定を促す設定画面を表示部4に表示させる処理である。設定画面の一例を図6に示す。表示処理において最初に表示される設定画面には、現在時刻(Tn)を表す画像(図6では「23:41」)、記憶部7に記憶されている起床予定時刻データで示される起床予定時刻(Te)を表す画像(図6では「06:45」)、記憶部7に記憶されている周期設定データで示される論理値に応じた画像(図6では睡眠周期(L)の設定が有る旨の画像)、および記憶部7に記憶されている睡眠周期データで示される睡眠周期(L)を表す画像(図6では「90」)が含まれる。
【0021】
操作対応処理は、操作部5からの操作信号に応じた処理である。CPU9は、操作対応処理において、操作部5からの操作信号が上記の画像を変更する旨の信号であれば、この変更を行う。したがって、表示中の設定画面が使用者の操作に応じて変化する。また、操作対応処理では、CPU9は、設定処理を終了する旨の信号を操作部5から受けると、そのときの設定画面の内容に応じた設定を行う。例えば、設定処理を終了する旨の信号をCPU9が操作部5から受けたときの設定画面が図6に示す通りであれば、そのときの現在時刻(Tn)として23時41分が採用され、6時45分を示す起床予定時刻データ、睡眠周期(L)の設定が有る旨の論理値を示す周期設定データ、および90分を示す睡眠周期データが記憶部7に記憶される。
【0022】
<2−2.推定、および設定に基づく演算>
次に、CPU9は、入眠時刻(Ts)を推定する(S2)。つまり、CPU9は、被験者の入眠時刻を推定する入眠時刻推定部として機能する。この推定の内容は、記憶部7に推測用データが記憶されているか否かで異なる。推測用データは、入眠までに費やした時間を示すデータであり、詳しくは後述するが、前回以前の目覚まし処理の各々において記憶部7に記憶される。したがって、初回の目覚まし処理のステップS2では、記憶部7に推測用データが記憶されていないことになる。この場合、CPU9は、現在時刻(Tn)を入眠時刻(Ts)として採用する。具体的には、CPU9は、現在時刻(Tn)を示すデータを、入眠時刻データとして記憶部7に記憶させる。
【0023】
一方、二回目以降の目覚まし処理のステップS2では、記憶部7に一以上の推測用データが記憶されていることになる。この場合、CPU9は、記憶部7に記憶されている一以上の推測用データで示される一以上の時間(入眠までに費やした時間)に基づいて、入眠までに費やす時間を推定し、推定された時間だけ現在時刻(Tn)よりも後の時刻を示すデータを、入眠時刻データとして記憶部7に記憶させる。つまり、この場合、CPU9は、入眠時刻(Ts)および入眠までに費やした時間に基づいて入眠時刻(Ts)を推定する。なお、上記の一以上の時間に基づいて入眠までに費やす時間を推定する方法は任意であるが、本実施の形態では、上記の一以上の時間の平均値を、入眠までに費やす時間として採用している。
【0024】
次に、CPU9は、睡眠周期(L)の設定が有るか否かを判定する(S3)。この判定の結果が「YES」の場合、CPU9は、周期由来時刻(Tp)を算出する周期由来時刻算出処理を行う(S4)。周期由来時刻(Tp)は、睡眠周期(L)に由来する時刻であり、入眠時刻(Ts)、睡眠周期(L)および起床予定時刻(Te)に基づいて算出され、被験者の覚醒に好適な好適期間W1の基準となる。
【0025】
<2−3.好適期間および周期由来時刻>
ここで、好適期間W1および周期由来時刻(Tp)について、詳述する。
図7は、図2の例において、T1よりも前の起床予定時刻(Te)に刺激付与動作を開始した場合の様子を示す図である。この場合、起床予定時刻(Te)に刺激付与動作が開始し、起床予定時刻(Te)の直後の時刻(T2)に睡眠期間が終了する。図2の例では、深睡眠の区間においてT2を迎えるため、人体の状態は、T2において、最も深い睡眠状態から一気に覚醒状態へ遷移することになる。このような急激な遷移による目覚めは、悪い目覚めになり易い。一方、レム睡眠の終了直前に目覚めた場合、この目覚めは良い目覚めになり易い。よって、レム睡眠の終了直前にT2を迎えるように起床予定時刻(Te)を設定することができれば、良い目覚めを得やすくなる。
【0026】
しかし、使用者に、レム睡眠の終了直前にT2を迎えるように起床予定時刻(Te)を設定させることは、非現実的である。そこで、本実施の形態では、起床予定時刻(Te)を刺激付与動作の開始期限として扱い、それよりも前の好適期間に刺激付与動作を開始するようにしている。なお、図7の例では、好適期間の候補として、第1期間の終了直前の十分に短い期間と、第2期間の終了直前の十分に短い期間があるが、本実施の形態では、後者を好適期間W1としている。
【0027】
図8は、図7の例において、好適期間W1内のある時刻(T3)に刺激付与動作を開始した場合の様子を示す図である。この図では、第2期間後半および第3期間前半の様子が時間軸方向に拡大して示されている。この図に示すように、好適期間W1は、ある時刻(T5)に開始して周期由来時刻(Tp)に終了する。好適期間W1の長さは、第1時間(B)であり、睡眠周期(L)よりも短い。この図の例では、睡眠の深さは、T3まで図7と同様に推移し、T3に刺激付与動作が開始し、後の時刻(T4)に睡眠期間が終了する。この例では、レム睡眠の終了直前に目覚めるから、良い目覚めを得やすい。
【0028】
以上説明したことから明らかなように、時間軸上で入眠時刻(Ts)から長さが睡眠周期(L)の期間を繰り返し連ねた場合に起床予定時刻(Te)の前に終了する期間(図8では第2期間)の終了時刻が周期由来時刻(Tp)であり、睡眠周期(L)よりも短い第1時間(B)だけ周期由来時刻(Tp)よりも前の時刻(T5)から周期由来時刻(Tp)までの期間が好適期間W1である。
【0029】
図9は、周期由来時刻算出処理の流れを示すフローチャートである。この図に示すように、周期由来時刻算出処理では、CPU9は、まず、変数であるnに0を代入する(S41)。次にCPU9は、次式(1)が成立するか否かを判定し(S42)、この判定の結果が「NO」であれば、CPU9は、nをインクリメントし(S43)、処理をステップS42に戻す。
Ts + n * L ≦ Te ≦ Ts + (n+1) * L … (1)
一方、ステップS42の判定結果が「YES」であれば、CPU9は、次式(2)によって周期由来時刻(Tp)を算出し(S44)、記憶部7に記憶させる(S45)。
Tp = Ts + n * L … (2)
つまり、周期由来時刻算出処理では、CPU9は、式(1)が成立するときのnを求め(S41〜S43)、求めたnを用いて周期由来時刻(Tp)を算出して保存する(S44〜S45)。
【0030】
<2−4.測定>
図4に示すように、ステップS4の周期由来時刻算出処理を終えると、またはステップS3の判定結果が「NO」となると、CPU9は、検出部2からの生体信号を受けて、一般的な睡眠周期に比較して十分に短い単位時間(例えば30秒間)あたりの呼吸数を測定する(S5)。つまり、CPU9は、生体信号に基づいて前記対象の生体の単位時間あたりの呼吸数を検出する数検出部として機能する。次にCPU9は、この測定の結果を示す測定結果データを記憶部7に記憶させる(S6)。次にCPU9は、現在時刻をTnとし、後述の第2時間をAとしたとき、次式(3)が成立するか否かを判定する(S7)。
Tn < Te < Tn + A … (3)
【0031】
この判定の結果が「NO」であれば、処理はステップS5に戻る。つまり、CPU9は、起床予定時刻(Te)よりも第2時間(A)だけ前の時刻から起床予定時刻(Te)までの期間を刺激付与動作の開始が許容された許容期間W2としたとき、許容期間W2を迎えるまで、単位時間あたりの呼吸数を測定して測定結果を保存する処理を繰り返す(S5〜S7)。
【0032】
図10は、図8に第2時間(A)を描き加えた図である。この図に示すように、第2時間(A)は、睡眠周期(L)よりも短く、好適期間W1の開始時刻(T5)と起床予定時刻(Te)との差の時間よりも長い。したがって、図10の例では、許容期間W2の開始時刻(T6)は、第2期間内の時刻であって、好適期間W1の開始時刻(T5)よりも前の時刻となる。
【0033】
<2−5.次回の推定の準備、および測定に基づく演算>
許容期間W2を迎えてステップS7の判定結果が「YES」となると、CPU9は、保存された測定結果に基づいて、被験者が入眠までに費やした時間を推定する(S8)。具体的には、今回の目覚まし処理のステップS5〜S7において保存された測定結果を参照し、単位時間あたりの呼吸数の減少傾向が所定の条件を充足する最初の期間を特定し、この期間の先頭の単位時間の開始時刻または終了時刻からステップS1にて設定された現在時刻(Tn)までの時間を求め、この時間を、被験者が入眠までに費やした時間として定める。上記の所定の条件は任意であるが、本実施の形態では、連続する四つの単位期間にわたって呼吸数が減少している最先の期間を上記の最初の期間としている。このため、例えば、単位時間あたりの呼吸数が、10.2、11.4、11.0、12.0、11.4、11.2、11.0、…と変遷した場合、12.0に対応する単位期間が、上記の最初の期間の先頭の単位期間となる。
【0034】
次にCPU9は、ステップS8で推定された時間を、入眠までに費やした時間として保存する(S9)。具体的には、CPU9は、ステップS8にて推定された時間を示すデータを、推定用データとして、記憶部7に記憶させる。この推定用データは、次回の目覚まし処理のステップS2で用いられる。
【0035】
次に、CPU9は、睡眠周期(L)の設定が有るか否かを判定する(S10)。この判定の結果が「NO」の場合、すなわち周期由来時刻算出処理が未だ行われていない場合、CPU9は、保存された測定結果に基づいて睡眠周期(L)を算出して保存する睡眠周期算出処理を行う(S11)。つまり、CPU9は、生体信号に基づいて睡眠周期を算出する睡眠周期算出部として機能する。具体的には、CPU9は、記憶部7に記憶された多数の測定結果データを周波数解析して睡眠周期(L)を算出し、この睡眠周期(L)を示す睡眠周期データを記憶部7に記憶させる。つまり、CPU9は、単位時間あたりの呼吸数または心拍数に基づいて睡眠周期を算出する。単位時間あたりの呼吸数は、睡眠の深さに応じて変化するから、上記の周波数解析によって睡眠周期(L)を算出することができる。なお、周波数解析の手法としては、FFT(高速フーリエ変換)等の公知の手法を採用可能である。
【0036】
睡眠周期算出処理を終えると、CPU9は、周期由来時刻算出処理を行う(S12)。この周期由来時刻算出処理の内容は図9に示す通りであり、ステップS4の周期由来時刻算出処理と同一である。つまり、CPU9は、ステップS4またはS12において、起床予定時刻、入眠時刻および被験者の睡眠周期に基づいて、被験者の覚醒に好適な好適期間を決定する好適期間決定部として、より具体的には、時間軸上で入眠時刻から長さが睡眠周期の期間を繰り返し連ねた場合に起床予定時刻より前に終了する期間の終了時刻を周期由来時刻としたとき、睡眠周期より短い第1時間だけ周期由来時刻よりも前の時刻から周期由来時刻までの期間を好適期間とする好適期間決定部として機能する。
【0037】
<2−6.制御>
ステップS12の周期由来時刻算出処理を終えると、またはステップS10の判定結果が「YES」となると、CPU9は、被験者の体動の回数をカウントするための変数であるcに0を代入する(S13)。この代入が行われる時刻は、許容期間W2内の時刻であって、好適期間W1の開始時刻よりも前の時刻である。
【0038】
次にCPU9は、図5に示すように、検出部2からの生体信号を受けて、単位時間における体動の有無を測定する(S14)。この測定は、例えば、単位時間における生体信号の振幅のばらつきを評価することにより行われる。つまり、CPU9は、生体信号に基づいて被験者の体動を検出する体動検出部として機能する。次にCPU9は、この測定の結果を示す測定結果データを記憶部7に記憶させる(S15)。次にCPU9は、現在時刻(Te)が起床予定時刻(Te)以降の時刻であるか否か、すなわち起床予定時刻(Te)を迎えたか否かを判定する(S16)。
【0039】
この判定の結果が「NO」であれば、CPU9は、保存された測定結果に基づいて、当該単位時間において体動が発生したか否かを判定する(S17)。つまり、CPU9は、生体信号に基づいて、被験者の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定する第1レベル判定部として、より具体的には、体動検出部に体動が検出されると、被験者の睡眠が第1レベルまで浅くなったと判定する第1レベル判定部として機能する。ステップS17の判定は、当該単位時間について記憶部7に記憶された測定結果データを用いて行われる。この判定の結果が「NO」であれば、処理はステップS13に戻る。
【0040】
一方、ステップS17の判定結果が「YES」であれば、CPU9は、cをインクリメントする(S18)。次にCPU9は、cが予め定められた定数(C)に達したか否かを判定する(S19)。Cは例えば3である。ステップS19の判定結果が「NO」の場合、CPU9は、次式(4)が成立するか否かを判定する(S20)。
Tn < Tp < Tn + B … (4)
【0041】
つまり、CPU9は、生体信号に基づいて、睡眠周期よりも短く第1時間よりも長い第2時間だけ起床予定時刻よりも前の時刻に開始して起床予定時刻よりも前の時刻に終了する期間を被験者の覚醒に好適な許容期間としたとき、許容期間において被験者の睡眠が第1レベルよりも浅い第2レベルまで浅くなったか否かを判定する第2レベル判定部として、より具体的には、許容期間において第1レベル判定部の判定結果が肯定的になった回数が、予め定められた基準回数に達すると、被験者の睡眠が第2レベルまで浅くなったと判定する第2レベル判定部として機能する。
【0042】
この判定の結果が「NO」であれば、処理はステップS14に戻る。つまり、CPU9は、起床予定時刻(Te)を迎えておらず、かつ、cが定数C未満であり、かつ、好適期間W1内に体動が発生していない間、体動が発生したか否かを調べ、体動が発生したときにのみcをインクリメントする、という処理を繰り返し行う(S14〜S20)。
【0043】
ステップS16、S19またはS20の判定結果が「YES」となると、CPU9は、刺激付与部6に刺激付与動作を開始させ(S21)、予め定められた終了条件が充足されるまで待ち(S22)、終了条件が充足されたら、刺激付与部6に刺激付与動作を終了させ(S23)、主電源8に電力の供給を停止させる。つまり、ステップS16、S19またはS20の判定結果が「YES」となると、刺激付与部6による刺激付与動作(具体的には発音)が開始され、この刺激付与動作は、終了条件が充足されるまで継続される。終了条件は、刺激付与動作を終了させる条件であり、その内容は任意である。例えば、刺激付与動作の開始後に操作部5が操作されると充足されるような終了条件であってもよい。
【0044】
ステップS20の判定結果が「YES」となった場合に刺激付与動作が開始される時刻は、好適期間W1内の時刻となる。したがって、この場合、被験者は好適期間W1内またはその直後に目覚めると期待される。よって、極めて高い確率で良い目覚めが得られると期待される。また、以上の説明から、CPU9が、好適期間において第1レベル判定部の判定結果が肯定的になると刺激付与動作を開始させる第1制御部として機能することが分かる。
【0045】
ステップS19の判定結果が「YES」となった場合に刺激付与動作が開始される時刻は、許容期間W2内の時刻となる。したがって、この場合、被験者は許容期間W2内またはその直後に目覚めると期待される。よって、高い確率で良い目覚めが得られると期待される。また、以上の説明から、CPU9が、第2レベル判定部の判定結果が肯定的になると刺激付与動作を開始させる第2制御部として機能することが分かる。
【0046】
ステップS16の判定結果が「YES」となった場合に刺激付与動作が開始される時刻は、起床予定時刻(Te)となる。したがって、この場合、被験者は起床予定時刻(Te)またはその直後に目覚めると期待される。
【0047】
<3.まとめ>
以上説明したように、目覚まし装置1は、CPU9と、被験者の状態を検出して生体信号として出力する検出部2とを備え、CPU9は、被験者の入眠時刻を推定し、生体信号に基づいて被験者の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定し、起床予定時刻、入眠時刻および被験者の睡眠周期に基づいて、被験者の覚醒に好適な好適期間を決定し、好適期間において、第1レベルまで浅くなると、刺激付与動作を開始させる。したがって、目覚まし装置1によれば、良い目覚めを得る確率を十分に高くすることができる。
【0048】
また、目覚まし装置1によれば、起床予定時刻よりも前に刺激付与動作が開始される場合には、その開始時刻は体動が発生したと判定された時刻に限られるから、睡眠が浅くなったときに刺激付与動作を開始することができる。また、目覚まし装置1によれば、好適期間にあっては体動が生じただけで刺激付与動作が開始され、好適期間を含む許容期間にあっては体動の発生回数が一定の回数に達して初めて刺激付与動作が開始されるから、被験者を、なるべくは好適期間において目覚めさせ、それが不適切であれば許容期間で目覚めさせ、それすらも不適切であれば起床予定時刻に目覚めさせる、という段階的な制御が可能となる。また、目覚まし装置1によれば、生体信号に基づいて睡眠周期を算出することができるから、使用者にかかる負担を軽減することができる。また、目覚まし装置1によれば、被験者を拘束せずに済むから、心電計等の被験者への電極の貼り付けを必要とする機器に比較して、被験者にかかる負担を軽減することができる。
【0049】
<4.変形>
本発明は、以下に列記する各種の変形例をもその範囲に含む。
上述した実施の形態では、時間軸上で入眠時刻から長さが睡眠周期の期間を繰り返し連ねた場合に起床予定時刻より前に終了する期間の終了時刻を周期由来時刻としたが、これを変形し、他の方法によって周期由来時刻を特定するようにしてもよい。例えば、時間軸上で入眠時刻から長さが睡眠周期の期間を繰り返し連ねた場合に起床予定時刻を含むことになる期間の開始時刻を周期由来時刻としてもよい。また、好適期間の長さを可変としてもよい。例えば、好適期間の長さを、被験者の睡眠周期に応じた長さとしてもよい。
【0050】
上述した実施の形態を変形し、許容範囲を用いない形態としてもよい。つまり、刺激付与動作の開始時刻が好適範囲内の時刻または起床予定時刻に限られる形態としてもよい。また、上述した実施の形態を変形し、第2レベル判定部が第1レベル判定部の判定結果を用いずに判定を行うようにしてもよい。すなわち、好適期間において刺激付与動作を開始するか否かの判定と、許容期間において刺激付与動作を開始するか否かの判定とを互いに独立して行う形態としてもよい。
【0051】
上述した実施の形態を変形し、体動とは異なる指標を検出し、この検出結果に基づいて、被験者の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定するようにしてもよい。また、上述した実施の形態を変形し、睡眠周期を算出しない形態としてもよい。すなわち、使用者による睡眠周期の設定を必須とした形態としてもよい。また、上述した実施の形態を変形し、単位時間あたりの呼吸数以外の指標を用いるようにしてもよい。例えば、単位時間あたりの心拍数に基づいて睡眠周期を算出する形態としてもよい。もちろん、単位時間あたりの呼吸数および心拍数に基づいて睡眠周期を算出する形態としてもよい。
【0052】
上述した実施の形態を変形し、現在時刻とは別に入眠時刻(Ts)を設定させる形態としてもよいし、設定された現在時刻よりも一定の時間だけ後の時刻を入眠時刻(Ts)とする形態としてもよいし、検出部2からの生体信号に基づいて入眠時刻(Ts)を特定する形態としてもよい。
【0053】
上述した実施の形態を変形し、CPU9がRTC(リアルタイムクロック)と協働して現在時刻を計時する形態としてもよい。この形態では、RTCに主電源8から電力が供給されないときには予備電源から電力を供給するようにすることにより、主電源8からの電力供給が停止されているときにも現在時刻の計時を継続することができる。また、上述した実施の形態を変形し、記憶部7およびCPU9に代えて一つのマイクロコンピュータを用いる形態としてもよい。
【0054】
上述した実施の形態を変形し、刺激付与部6として、睡眠状態の生体を覚醒状態へ誘導する刺激となる光を発する発光部や、当該刺激となる振動を発生させる振動発生部を採用してもよい。また、上述した実施の形態を変形し、記憶部7として、複数の不揮発性の半導体メモリや、一つの不揮発性の半導体メモリおよび一つの揮発性の半導体メモリを採用してもよいし、半導体以外のメモリまたはストレージを採用してもよい。
【0055】
上述した実施の形態を変形し、コンデンサマイクロホンセンサに代えてピエゾケーブルなどの圧電素子、静電容量式センサ、受光素子、フィルムセンサ又は歪ゲージなどを用いる形態としてもよい。また、上述した実施の形態を変形し、検出部2に代えて小型の活動量計(例えば加速度センサ)を用いるようにしてもよい。この形態によれば、その取り付け先を被験者の衣類とすることや、被験者を拘束することなく取り付けることができるから、被験者の負担の軽減および構成の簡素化を実現可能である。また、上述した実施の形態を変形し、目覚ましの対象を、人体以外の生体(例えば犬や猫などの動物)としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係る目覚まし装置1の使用時の外観を示す図である。
【図2】人体の睡眠の深さの推移の一例を示す図である。
【図3】目覚まし装置1の構成を示すブロック図である。
【図4】目覚まし装置1のCPU9が行う目覚まし処理の流れを示すフローチャートの前半を示す図である。
【図5】同フローチャートの後半を示す図である。
【図6】目覚まし装置1の表示部4に表示される設定画面の一例を示す図である。
【図7】図2の例において、T1よりも前の起床予定時刻(Te)に刺激付与動作を開始した場合の様子を示す図である。
【図8】図7の例において、好適期間W1内のある時刻(T3)に刺激付与動作を開始した場合の様子を示す図である。
【図9】目覚まし装置1のCPU9が行う周期由来時刻算出処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図8に第2時間(A)を描き加えた図である。
【符号の説明】
【0057】
1 目覚まし装置
2 検出部
3 本体
4 表示部
5 操作部
6 刺激付与部
7 記憶部
8 主電源
9 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
睡眠状態の生体を覚醒状態へ誘導する刺激を対象の生体に与える刺激付与動作を起床予定時刻に開始する目覚まし装置において、
前記対象の生体の入眠時刻を推定する入眠時刻推定部と、
前記対象の生体の状態を検出して生体信号として出力する検出部と、
前記生体信号に基づいて、前記対象の生体の睡眠が第1レベルまで浅くなったか否かを判定する第1レベル判定部と、
前記起床予定時刻、前記入眠時刻および前記対象の生体の睡眠周期に基づいて、前記対象の生体の覚醒に好適な好適期間を決定する好適期間決定部と、
前記好適期間において、前記第1レベル判定部の判定結果が肯定的になると、前記刺激付与動作を開始させる第1制御部とを備える、
ことを特徴とする目覚まし装置。
【請求項2】
前記好適期間決定部は、時間軸上で前記入眠時刻から長さが前記睡眠周期の期間を繰り返し連ねた場合に前記起床予定時刻より前に終了する前記期間の終了時刻を周期由来時刻としたとき、前記睡眠周期より短い第1時間だけ前記周期由来時刻よりも前の時刻から前記周期由来時刻までの期間を前記好適期間とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の目覚まし装置。
【請求項3】
前記生体信号に基づいて、前記睡眠周期よりも短く前記第1時間よりも長い第2時間だけ前記起床予定時刻よりも前の時刻に開始して前記起床予定時刻よりも前の時刻に終了する期間を前記対象の生体の覚醒に好適な許容期間としたとき、前記許容期間において前記対象の生体の睡眠が前記第1レベルよりも浅い第2レベルまで浅くなったか否かを判定する第2レベル判定部と、
前記第2レベル判定部の判定結果が肯定的になると、前記刺激付与動作を開始させる第2制御部とを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の目覚まし装置。
【請求項4】
前記第2レベル判定部は、前記許容期間において前記第1レベル判定部の判定結果が肯定的になった回数が、予め定められた基準回数に達すると、前記対象の生体の睡眠が前記第2レベルまで浅くなったと判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の目覚まし装置。
【請求項5】
前記生体信号に基づいて、前記対象の生体の体動を検出する体動検出部を備え、
前記第1レベル判定部は、前記体動検出部に前記体動が検出されると、前記対象の生体の睡眠が前記第1レベルまで浅くなったと判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の目覚まし装置。
【請求項6】
前記生体信号に基づいて前記睡眠周期を算出する睡眠周期算出部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の目覚まし装置。
【請求項7】
前記睡眠周期算出部は、前記生体信号に基づいて前記対象の生体の単位時間あたりの呼吸数または心拍数を検出する数検出部を有し、前記単位時間あたりの呼吸数または心拍数に基づいて前記睡眠周期を算出する、
ことを特徴とする請求項6に記載の目覚まし装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−45227(P2009−45227A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214087(P2007−214087)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)