説明

直下型バックライト及びシャウカステン

【課題】 色の任意調節が可能な直下型バックライトを提供する。
【解決手段】 発光色が赤、青、緑の3本の冷陰極管を近接して配列したものを1ユニットとして、これを所定間隔で複数ユニット配列して成る光源4を、拡散板3の背後に設ける。また、各ユニットの同色の冷陰極管ごとに、独立して光量を調節可能な調光装置を接続する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線写真、写真のネガ、看板、液晶表示パネルその他の照射対象物の背後から光を当てる背光装置としてのバックライトに関する。
【0002】
【従来の技術】バックライトは、光源の配置の仕方に基づいてサイド型と直下型とに大別される。サイド型は導光板の側端面に光源を配置したものであり、一方、直下型は照射対象物に対する発光面となる拡散板の背後(直下)に光源を配置したものである。このような直下型バックライトの一例として、医師がX線写真を見るために使用するシャウカステンがある。例えば4枚のX線写真を並べて見ることができるタイプのシャウカステンでは、縦横寸法が505mm×1200mmとかなり大きい。そこで、拡散板全体から均一に発光させるために、拡散板の背後には多数の蛍光ランプ(白色)が等間隔に並んで設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の直下型バックライト(シャウカステン)では、拡散板全体から均一に白色発光させること以外は特に想定されていなかった。ところが、現場の医師の間では、例えば、赤味を帯びた白色光の方が見やすいと感じる人や、青味を帯びた白色光の方が見やすいと感じる人があることが判明した。蛍光ランプの色は、封入するガスの種類を選択することにより赤味や青味を出すことが可能であるが、その色は一色に固定されるので、好みが異なる複数の医師が使用する場合には、全員に満足してもらうことはできない。これは、写真のネガを見るためのライトボックスについても同様である。また、看板の照明等に用いられる直下型バックライトにおいても、これと近似したことが言える。すなわち、看板の色調に合わせて例えば赤味を帯びた白を発色するバックライトを用いていた場合、看板が代わってその色調が変わると、バックライトの色が合わなくなる。
【0004】上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、色の任意調節が可能な直下型バックライトを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の直下型バックライトは、照射対象物に対しての発光面となる拡散板と、前記拡散板の背後に設けられ、発光色の相異なる複数の線状発光体を互いに近接して配列したものを1ユニットとして、これを所定間隔で複数ユニット配列して成る光源と、前記線状発光体に接続され、同色の線状発光体ごとに独立して光量を調節可能な調光装置とを備えたものである(請求項1)。上記のように構成された直下型バックライトでは、各ユニットにおける複数の線状発光体からの発光色が混色となって拡散板から照射対象物に照射される。また、調光装置により、同色の線状発光体ごとに独立して、その光量が調節される。従って、色の任意調節が可能となる。
【0006】また、上記直下型バックライト(請求項1)において、1ユニットは赤、青及び緑の3本の線状発光体からなるものであってもよい(請求項2)。この場合、各色の光量を調節することにより、光の三原色が加法混色される。
【0007】また、上記直下型バックライト(請求項1)において、1ユニットは2本の線状発光体からなり、これらの発光色は、いずれも白を基調として、互いに異なる他の色味をそれぞれ帯びているものであってもよい(請求項3)。この場合、双方の光量を調光装置によって調節することにより、白を基調として、調節可能な他の色味を帯びた混色が、2本の線状発光体及びこれらに接続される2セットの調光回路により得られる。
【0008】また、上記直下型バックライト(請求項1)において、1ユニットは、発光色が白の線状発光体と、発光色が赤、青及び緑の3本の線状発光体とからなるものであってもよい(請求項4)。この場合、調光装置によって赤、青、緑の光量を調節することにより、白を基調として、より微妙な色合いの混色が得られる。
【0009】また、上記直下型バックライト(請求項1)において、1ユニットを構成する複数の線状発光体は、拡散板に対する垂線方向に互いに段差を有して配列されているものであってもよい。この場合、複数の線状発光体を横並びにする場合よりも、ユニットの最大寸法を短くすることができる。
【0010】また、上記直下型バックライト(請求項6)において、線状発光体は直径6mm以下の冷陰極管であることが好ましい(請求項7)。このように小径な冷陰極管を近接して配列することにより、1ユニットの光は各色が単独で視認されることなく、確実に混色となる。
【0011】また、本発明のシャウカステンは、照射対象物に対しての発光面となる拡散板と、前記拡散板の背後に設けられ、発光色の相異なる複数の線状発光体を互いに近接して配列したものを1ユニットとして、これを所定間隔で複数ユニット配列して成る光源と、前記線状発光体に接続され、同色の線状発光体ごとに独立して光量を調節可能な調光装置と、前記拡散板、光源及び調光装置を収容するケースとを備え、前記調光装置の調光操作部がケースの外部に設けられているものである(請求項7)。上記のように構成されたシャウカステンでは、各ユニットにおける複数の線状発光体からの発光色が混色となって拡散板から照射対象物に照射される。また、調光装置により、同色の線状発光体ごとに独立してその光量が調節される。従って、色の任意調節が可能となる。また、調光操作部を設けておくことにより、容易に色調節を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態による直下型バックライトの基本構造を示す断面図である。図において、当該直下型バックライト1は、直方体の箱状のケース2内に、照射対象物に対しての発光面(最終発光面)となる拡散板3と、その背後に設けられ、線状発光体としての冷陰極管を配列して成る光源4と、さらにその背後に設けられた反射板5と、後述する調光装置(図1には図示せず。)とを備えている。ケース2は、下ケース21と、上ケース22とにより構成されている。なお、ケースの「下」、「上」は、便宜上の表現であり、これによって当該直下型バックライト1の設置の方向性を制限するものではない。
【0013】上記拡散板3は、上ケース22に固定されており、上ケース22に設けられた照射用の開口22aに面している。また、上記反射板5は下ケース21の底面に取り付けられており、光源4側の表面が白色に塗装されている。光源4は、発光色が赤(R)、青(B)、緑(G)の3本の冷陰極管を互いに近接して距離L1(中心間ピッチ)で配列したものを1ユニットとし、これを所定の間隔L2で複数ユニット配列して成るものである。各冷陰極管の両端部は、支持部材6によって下ケース21に支持されている。
【0014】なお、各発光色の冷陰極管は、製造時にガラスの内面に所定の蛍光体を塗るか又は、製造後に白色の冷陰極管の表面にフィルム状のカラーフィルタを貼り付けたり、光透過性のカラー塗料を塗布することにより、容易に作製することができる。また、赤、青、緑の並び順は一例であり、これに限定されるものではない。冷陰極管は、発光むらが少なく、エネルギー効率に優れ、低消費電力である。しかも、明るく、長寿命である。
【0015】上記冷陰極管は直径dが6mm以下(さらに好ましくは2.2〜3mm)の小径管であり、ユニット内の管同士での横方向への距離L1は、0<L1<10mmとする(但し、図示の並び方では実際にはd≦L1である。)。このように小径な冷陰極管を近接して配列することにより、1ユニットの光は各色が単独で視認されることなく、確実に混色となる。すなわち光の三原色が加法混色され、各色の光量が相等しい場合には、その混色は白となる。また、間隔L2は、光の明暗が顕著に現れることの防止を考慮して、10≦L2≦45mmとする。さらに、L1とL2との物理的な関係から、2L1<L2とする。なお、冷陰極管の長さは、例えば400mm程度である。
【0016】次に、調光装置について図2の回路図を参照して説明する。図において、光源4は、各ユニットにおける同色の冷陰極管ごとに並列接続されており、3色それぞれに、光量の調節が可能な調光装置8R,8B,8Gが接続されている。従って、各色ごとに独立して光量の調節が可能である。調光装置8R,8B,8Gには、共通のスイッチ7を介して交流電源が供給される。
【0017】図3は、上記調光装置8(8R,8B,8G)の内部回路構成の一例(電圧調光タイプ)を示すブロック回路図である。各色とも、調光装置8の内部回路構成は同じである。調光装置8は、交流電源の交流電圧をDC電圧に変換するAC−DCコンバータ81と、そのDC電圧を入力として、制御されたDC電圧を出力するDC−DCコンバータ82と、DC電圧をAC電圧に変換するDC−ACインバータ83と、DC−ACインバータ83から光源4の冷陰極管に供給されるランプ電流を検出してその検出値をDC−DCコンバータ82にフィードバックするランプ電流フィードバック回路85と、ランプ電流を設定して調光を行わせる調光操作部84とを備えている。DC−DCコンバータ82は、ランプ電流フィードバック回路85からフィードバックされたランプ電流値が、調光操作部84において設定されたランプ電流値に一致するように制御を行う。
【0018】上記のような調光装置8R,8B,8Gを用いて、それぞれ、赤、青、緑のランプ電流を調節することにより、各色の冷陰極管の光量を調節することができる。従って、3色の光量を等しくして混色を白とすることもできるし、任意の色味を強めるべくその光量を増大させることもできる。また、必要に応じて白系の色に限らず任意の混色を、加法混色により得ることができる。こうして、色の調節が可能な直下型バックライトを提供することができる。
【0019】図4は、上記直下型バックライト1をシャウカステンに適用した図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。図1〜3に対応する部分には同一符号を付している。このシャウカステンは、X線写真9を複数枚並べて見ることができるようになっている。各色の調光操作部84の操作つまみ84aは、スイッチ7の近傍の、下ケース21の外部側面に露出して設けられている。このように操作つまみ84aを設けておくことにより、容易に色調節を行うことができる。従って、複数の医師が使用するシャウカステンにおいて、各医師は、自分の好みに合わせて自在に色調節を行うことができる。
【0020】なお、上記実施形態における光源4の1ユニットにおいては、図1に示すように拡散板3と平行に横並びで冷陰極管を配列したが、配列の仕方は他に種々のパターンがある。例えば図5の(a)に示すように、中央の冷陰極管が、他の2つの冷陰極管に対して、拡散板3に対する垂線方向(中心線CLの方向)に段差を有して配列されていてもよい。この場合、3本の冷陰極管を横並びにする場合よりも、ユニットの最大寸法Luを短くし、かつ、相互にさらに接近させることができる。これにより、3色の融和性を高め、当該寸法の方向にコンパクト化を図ることができる。当該寸法方向へのコンパクト化により、ユニットの間隔L2を短くすることができるので、より高密度なユニット配列が可能となる。また、この場合には距離L1を、冷陰極管の直径dより小さくすることも可能である。(b)の場合も同様である。
【0021】また、(c)は、2本の冷陰極管を構成要素としたユニットであり、一方は赤味を帯びた白、他方は青味を帯びた白をそれぞれ発光色とする。このような発光色は、冷陰極管の製造時にガラスの内面に所定の蛍光体を塗るか又は封入するガスの種類等を選択することにより、又は、製造後にカラーフィルタやカラー塗料を用いることによって、得ることができる。この場合、双方の光量を調節することにより、白を基調として、任意に赤味又は青味を強調した混色を得ることができる。また、この場合、冷陰極管は2本で足り、これに対応する調光回路も2セットでよいので、部材点数が少なくて済む。なお、2本の冷陰極管の発光色は、上記の例に限らず、白を基調として、互いに異なる他の色味をそれぞれ帯びていればよい。
【0022】また、(d)は、4本の冷陰極管によってユニットが構成される例であり、この場合、1本が白、他の3本の発光色が赤、青、緑である。この場合、赤、青、緑の光量を調節することにより、白を基調として、より微妙な色合いの混色を得ることができる。(e)、(f)及び(g)についても同様である。また、(e)、(f)、(g)の場合には、(a)又は(b)の場合と同様に、(d)の場合よりユニットの最大寸法を小さくすることができる。なお、(g)の場合には、中央の2管については、上記距離L1が0となる。また、4管が相互に近接する。従って、ユニットの上記距離方向へのコンパクト化と、白を基調とした微妙な色合いと、色の優れた融和性とを、共に実現することができる。
【0023】なお、図1に示したユニット構成、及び、図5に示したユニット構成のいずれにおいても、1ユニットを構成する複数の冷陰極管の、長手方向に直交する断面から見た配置は、拡散板3に垂直な中心線CL(図5R>5参照)に対して左右対称であることが、当該ユニットの光によって鏡像が形成される点で好ましい。また、上記実施形態では光源4として冷陰極管を使用したが、熱陰極管やタングステン管を使用することも可能である。また、上記実施形態で使用した調光装置8は、電圧調光タイプであるが、デューティ調光タイプのものを使用してもよい。後者は、前者より調光範囲が広いので、広範囲に色調節を行う場合には好適である。
【0024】
【発明の効果】以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。請求項1の直下型バックライトによれば、各ユニットにおける複数の線状発光体からの発光色が混色となって拡散板から照射対象物に照射され、調光装置により、同色の線状発光体ごとに独立して、その光量が調節されるので、色の任意調節が可能な直下型バックライトを提供することができる。
【0025】請求項2の直下型バックライトによれば、各色の光量を調節することにより、光の三原色が加法混色されるので、任意の混色を得ることができる。
【0026】請求項3の直下型バックライトによれば、双方の光量を調光装置によって調節することにより、白を基調として、調節可能な他の色味を帯びた混色が得られるので、このような混色を得るにあたって、2本の線状発光体及びこれらに接続される2セットの調光回路、という少ない部材点数により、これを実現することができる。
【0027】請求項4の直下型バックライトによれば、調光装置によって赤、青、緑の光量を調節することにより、白を基調として、より微妙な色合いの混色が得られる。
【0028】請求項5の直下型バックライトによれば、複数の線状発光体を横並びにする場合よりも、ユニットの最大寸法を短くすることができるので、色の融和性を高め、当該寸法の方向にコンパクト化を図ることができる。
【0029】請求項6の直下型バックライトによれば、このように小径な冷陰極管を近接して配列することにより、1ユニットの光は各色が単独で視認されることなく、確実に混色となる。
【0030】請求項7の直下型バックライトによれば、各ユニットにおける複数の線状発光体からの発光色が混色となって拡散板から照射対象物に照射され、調光装置により、同色の線状発光体ごとに独立して、その光量が調節されるので、色の任意調節が可能なシャウカステンを提供することができる。また、調光操作部を設けておくことにより、容易に色調節を行うことができるので、複数の医師が使用するシャウカステンにおいて、各医師は、自分の好みに合わせて自在に色調節を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による直下型バックライトの基本構造を示す断面図である。
【図2】上記直下型バックライトにおける調光装置の回路図である。
【図3】上記調光装置の内部回路構成を示すブロック図である。
【図4】上記直下型バックライトを適用したシャウカステンの正面図及び右側面図である。
【図5】上記直下型バックライトにおける光源の他のユニット構成を示す図である。
【符号の説明】
1 直下型バックライト
2 ケース
3 拡散板
4 光源
8(8R,8B,8G) 調光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】照射対象物に対しての発光面となる拡散板と、前記拡散板の背後に設けられ、発光色の相異なる複数の線状発光体を互いに近接して配列したものを1ユニットとして、これを所定間隔で複数ユニット配列して成る光源と、前記線状発光体に接続され、同色の線状発光体ごとに独立して光量を調節可能な調光装置とを備えたことを特徴とする直下型バックライト。
【請求項2】前記1ユニットは赤、青及び緑の3本の線状発光体からなる請求項1記載の直下型バックライト。
【請求項3】前記1ユニットは2本の線状発光体からなり、これらの発光色は、いずれも白を基調として、互いに異なる他の色味をそれぞれ帯びている請求項1記載の直下型バックライト。
【請求項4】前記1ユニットは、発光色が白の線状発光体と、発光色が赤、青及び緑の3本の線状発光体とからなる請求項1記載の直下型バックライト。
【請求項5】前記1ユニットを構成する複数の線状発光体は、前記拡散板に対する垂線方向に互いに段差を有して配列されている請求項1記載の直下型バックライト。
【請求項6】前記線状発光体は直径6mm以下の冷陰極管である請求項1記載の直下型バックライト。
【請求項7】照射対象物に対しての発光面となる拡散板と、前記拡散板の背後に設けられ、発光色の相異なる複数の線状発光体を互いに近接して配列したものを1ユニットとして、これを所定間隔で複数ユニット配列して成る光源と、前記線状発光体に接続され、同色の線状発光体ごとに独立して光量を調節可能な調光装置と、前記拡散板、光源及び調光装置を収容するケースとを備え、前記調光装置の調光操作部が前記ケースの外部に設けられていることを特徴とするシャウカステン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−242801(P2003−242801A)
【公開日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−35591(P2002−35591)
【出願日】平成14年2月13日(2002.2.13)
【出願人】(000103518)オーツタイヤ株式会社 (3)