説明

直下型パックライト用拡散板

【課題】バックライトから発光される紫外線にさらされても変色しない拡散板を提供すること。
【解決手段】特定波長に最大吸収をもつ紫外線吸収剤を配合した樹脂層で拡散板表面を被覆することによって拡散板の変色を大幅に改善した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶テレビ用直下型バックライト用の拡散板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年ブラウン管式テレビに替わるテレビとして注目を浴びているのが液晶テレビである。
液晶はブラウン管と異なり自発光ではないためバックライトといわれる光源装置が必要とされる。
バックライトにはエッジライト型バックライトと直下型バックライトと呼ばれる2つのタイプがあるが、液晶テレビには大型化と高輝度を実現できる直下型バックライトが多く用いられる。
直下型バックライトは図1に示すような構造(断面図)をしており、反射板、ランプ、拡散板、光学フィルム、液晶パネルから構成される。
【0003】
拡散板は光散乱粒子が配合された乳白の樹脂板で、ランプの光を散乱させランプの透けを防止する役割がある。
また、拡散板の上に接する光学フィルムは拡散板によって散乱された光を集光し発光効率を高める役割がある。
液晶テレビが注目される昨今、拡散板に関しては様々な研究開発が行われている。(例えば特許文献1〜5参照)
ところが拡散板では耐光性の問題がある。図1からもわかるようにランプと拡散板は近接しており、ランプから出てくる紫外線によって拡散板が変色する問題であり、拡散板の変色は輝度低下やランプの透けの原因になるため耐光性の改良が望まれている。
【特許文献1】特開2004−191698号公報
【特許文献2】特開2004−90626号公報
【特許文献3】特開2004−50607号公報
【特許文献4】特開2004−29091号公報
【特許文献5】特開平11−179856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、バックライトから発光される紫外線にさらされても変色しない拡散板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、拡散板の変色は配合される光拡散剤表面が特定波長の紫外線により着色されることによるものであることを見出し、特定波長に最大吸収をもつ紫外線吸収剤を配合した樹脂層で拡散板表面を被覆することによって拡散板の変色を大幅に改善できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポリカーボネート樹脂100重量部にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5〜5重量部配合されてなる樹脂(A)を、ポリカーボネート樹脂100重量部に有機系架橋微粒子0.5〜5重量部配合されてなる樹脂(B)の片面もしくは両面に積層されてなる直下型バックライト用拡散板、
(2)有機系架橋微粒子がアクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、シリコーン系架橋微粒子である上記(1)に記載の直下型バックライト用拡散板、
(3)紫外線吸収剤を含む層の厚みが10〜100μmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の直下型バックライト用拡散板、
(4)樹脂(A)および樹脂(B)を共押出して得られる上記(1)〜(3)に記載の直下型バックライト用拡散板、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の拡散板は、バックライトから発光される紫外線にさらされても変色しない効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるもので、製法は特にこだわらないが界面重縮合法または溶融法が好ましく用いられる。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用できる。
【0008】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は全光線透過率80%以上で、ゴミ、異物が少ない樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の分子量は通常Mwが15,000〜40,000のものが使われるが、拡散板としてシート状に押出成形するため分子量Mwで20000〜40000のものが好ましい。
【0009】
拡散板に配合される光散乱剤は前記従来技術にもあるように有機系、無機系など様々あり、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機粒子およびこれら無機粒子に表面処理を施したものや、架橋または高分子量スチレン系樹脂粒子、架橋または高分子量アクリル系樹脂粒子、架橋シロキサン系樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。このなかで本発明で用いられる光散乱剤は有機系微粒子が好ましく、架橋した有機系架橋微粒子がさらに好ましい。有機系架橋微粒子を用いることでマトリックスとなるポリカーボネート系樹脂中での光散乱剤の分散ムラが少なく、光透過性が高く、光散乱性も高いれた樹脂板に設計することができる。
有機系架橋微粒子として特に好ましいのはアクリル系樹脂架橋微粒子、スチレン系樹脂架橋微粒子、シリコーン系架橋微粒子である。
【0010】
スチレン系樹脂微粒子としては、その単量体としてスチレンの他、クロロスチレン、ブロモスチレンのようなハロゲン化スチレンや、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキルスチレン等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。またスチレン系単量体以外の単量体として、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;アクリロニトリル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0011】
またスチレン系樹脂架橋微粒子とするために分子内に二重結合を少なくとも2つ有する単量体を導入することが行われ、例えば、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートのような多価アルコール類のジ−またはそれを越えるメタクリレート類;1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートのような多価アルコール類のジ−またはそれを越えるアクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートのような芳香族多官能単量体等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0012】
これらスチレン系重合体粒子を得るための重合方法としては、通常、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等が採用される。
アクリル系樹脂微粒子におけるアクリル系単官能単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0013】
また、アクリル系単量体以外の単量体としては、前記スチレン系重合体粒子におけるスチレン系樹脂単量体と同様のものやアクリロニトリル等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
またアクリル系樹脂架橋微粒子とするために分子内に二重結合を少なくとも2つ有する単量体を導入することが行われ、前記スチレン系樹脂微粒子における多官能単量体と同様のものが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
【0014】
シリコーン系架橋微粒子としては、一般的にシリコーンゴムと呼称されるものや、シリコーンレジンと呼称されるものであって、常温で固体状のものが用いられる。シロキサン系重合体は、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン類を加水分解、縮合することによって、製造することができる。このようにして得られた重合体は、さらに、過酸化ベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化−p−クロルベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンのような過酸化物を作用させることにより架橋させてもよいし、また、末端にシラノール基を有するものであれば、アルコキシシラン類と縮合架橋させてもよい。該重合体としては、珪素原子1個あたりに有機基が2〜3個結合した架橋重合体が好ましい。
【0015】
シロキサン系重合体粒子は、例えば、シロキサン系重合体を機械的に微粉砕することにより得てもよいし、その製造の際、特開昭59−68333号公報に記載されているように、線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化性重合体またはその組成物を噴霧状態で硬化させることにより、球状粒子として得てもよいし、特開昭60−13813号公報に記載されているように、アルキルトリアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物を、アンモニアまたはアミン類の水溶液中で、加水分解・縮合させることにより、球状粒子として得てもよい。
これら有機架橋微粒子の配合量によって樹脂板の透過率を変えることができる。拡散板として求められている透過率は40〜85%であり、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し該有機系架橋微粒子の配合量は0.5〜5重量部が好ましい。配合量が0.5重量部以上では透過率が充分で適度な光散乱効果が得られ、5重量部以下では透過率が充分で液晶テレビに搭載される直下型バックライトとしては適度な光量となる。
【0016】
本発明の拡散板として用いられる液晶テレビ用直下型バックライトは図1に示される構造をしており、拡散板はランプに近接した形で配設されている。
ランプから出る光の波長は赤(R)緑(G)青(B)の3波長が最も強いが、微弱ながら250〜380nmの紫外線を含んでいることも知られている。
通常ポリカーボネート樹脂には紫外線吸収剤が0.01〜0.3%配合されており、樹脂そのものはランプから出る紫外線によって変色することはない。
ところが従来用いられている拡散板の中には液晶テレビを長期間点けていると変色(黄変)する問題が起きているのである。拡散板が変色すると輝度が低下し暗くなったり、ランプが透けて見えるなど問題が多く改良が求められているのである。
【0017】
本発明者は鋭意研究の結果、拡散板の変色は光散乱剤として配合している有機系架橋微粒子表面が特定の紫外線波長での着色であることを見出した。
有機系架橋微粒子はマトリックスとなる樹脂との密着を良くするため微粒子表面にメチル基等の分子構造をもっており、この表面分子構造がランプから出てくる紫外線のうち特に340〜350nmの波長の光で着色することを見出したのである。
ポリカーボネート樹脂に配合される紫外線吸収剤にはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、マロン酸エステル系、シアノアクリレート系、サリシレート系、シュウ酸アニリド系等様々な種類がある。
【0018】
ベンゾフェノン系の最大吸収波長はおおよそ290〜300nm、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の最大吸収波長は340〜350nm、トリアジン系紫外線吸収剤の最大吸収波長は270〜280nm、マロン酸エステル系紫外線吸収剤の最大吸収波長は300〜310nm、シアノアクリレート系紫外線吸収剤の最大吸収波長は300〜310nm、サリシレート系紫外線吸収剤の最大吸収波長は300〜310nmであり、前述紫外線による有機系架橋微粒子の着色を抑えるには最大吸収波長が340〜350nmのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることが特に好ましいことがわかった。
【0019】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3’’、4’’、5’’、6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ルがあげられる。
【0020】
拡散板中に配合される有機系架橋微粒子は板全体に分散しているため、マトリックスとなるポリカーボネート樹脂中にこのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合しても全ての有機系架橋微粒子を保護することはできない。
そこで本発明者は、有機系架橋微粒子が配合されたポリカーボネート樹脂を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を多量に含んだポリカーボネート樹脂で被覆することで保護することを見出した。
つまり皮膜として積層される樹脂に配合するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤はマトリックスとなるポリカーボネート樹脂100重量部に対し0.5〜5重量部が好ましく、より好ましくは1〜3重量部である。
【0021】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量が0.5重量部以上では340〜350nmの紫外線波長を充分吸収し、有機系架橋微粒子の着色を防ぐことができ、5重量部以下では拡散板表面が紫外線吸収剤でベタつくことがなくすぐ上に配設する光学フィルムと付着することもない。
紫外線吸収剤と他の安定剤との併用は効果がありヒンダードアミン系光安定剤(HALS)との併用は好ましい。
また他の添加剤も本発明の効果を妨げない限り添加してよく、例えば熱安定剤、酸化防止剤、各種安定剤、可塑剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防カビ剤、結晶核剤、顔料、染料があげられる。
【0022】
本発明の樹脂板は積層樹脂板であるが、その製法はプレス積層法、共押出法、フィルムラミ法いずれでも構わないが、簡便にしかも連続的に積層する方法としては共押出法が好ましい。
共押出法は、別々の押出機から押出された溶融樹脂をシート用金型(ダイ)の中で積み重ね拡幅し積層された溶融樹脂層として吐き出し、その後ポリッシングロールによって板厚調整と冷却しながらシート状に成形する方法で、連続的に均質な積層シートが製作できる方法である。
拡散板としての樹脂板の全体厚みは1〜5mm、積層されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が多量に配合された皮膜樹脂層は10〜100μmが好ましい。皮膜が10μmより厚いと紫外線吸収効果が充分で、有機系架橋微粒子の着色を抑えて拡散板の変色を防止できるし、100μm以下の厚みでは均一な皮膜層を成形することが容易で拡散板の透過率が均一なものとなる。
【実施例】
【0023】
本発明を実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL1250(登録商標))100重量部に、最大吸収波長346nmのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバガイギー株式会社製チヌビン234(登録商標))を0.7重量部配合した樹脂(A)を、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL1250(登録商標))100重量部に、光拡散剤としてアクリル系架橋微粒子(積水化成品工業株式会社製テクポリマーMBX(登録商標))を1重量部配合した樹脂(B)の両面に、250℃〜270℃に温調されたスクリュー径60mm、30mm2台の押出機とマルチマニホールド積層シート用ダイの組合せで共押出を行い、ダイから出てきた溶融樹脂を120℃に温調された3本のポリッシングロールで引き取り板状に成形した。
この時樹脂板の厚みは2.0mm、両面に積層した樹脂(A)の厚みは約20μmであった。
作製した樹脂板を市販の20インチ液晶テレビの拡散板として搭載し、2000時間TVとして連続使用(ランプ連続点灯)後に該樹脂板を取り出し、初期からの色変化を評価した。
色はJIS K7105に従い黄色度を測定、初期黄色度と2000時間実装点灯後の黄色度の差を黄変度(ΔYI)として示した。
結果を表1に比較例と共に示す。
【0024】
[実施例2]
樹脂(B)に配合する有機系架橋微粒子としてシリコーン系架橋微粒子(GE東芝シリコーン株式会社製トスパール120(登録商標))に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0025】
[実施例3、4]
樹脂(A)に配合するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量を2重量部もしくは4重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0026】
[実施例5、6]
樹脂(B)に配合する有機系架橋微粒子の配合量を2重量部もしくは4重量部に変更した以外は実施例1と同様に行った。
【0027】
[比較例1、2]
樹脂(A)に配合する紫外線吸収剤を最大吸収波長290nmのベンゾフェノン系紫外線吸収剤(住友化学工業株式会社製スミソーブ110(登録商標))もしくは最大吸収波長274nmのトリアジン系紫外線吸収剤(チバガイギー株式会社製チヌビン1577FF(登録商標))に変更した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に実施例と共に示す。
【0028】
[比較例3]
樹脂(A)に配合するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の配合量を0.3重量部に減量した以外は実施例1と同様に行った。
【0029】
[比較例4]
樹脂(A)を用いず、ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL1250(登録商標))100重量部に、光拡散剤としてアクリル系架橋微粒子(積水化成品工業株式会社製テクポリマーMBX(登録商標))を1重量部配合した樹脂(B)だけを単独で、押出成形によってシート状に成形した。この時の板厚は実施例1と同様に2mmに調整した。
該拡散板を実施例1同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0030】
[参考例]
ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL1250(登録商標))だけを単独で、押出成形によって板厚2mmのシート状に成形しいわゆる透明PCシートを作製した。
該樹脂板を実施例1同様に評価を行った。結果を実施例、比較例と共に表1に示す。
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の拡散板は、液晶TV用直下型バックライトの拡散板として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の拡散板が使われる液晶テレビ用直下型バックライトの構造(断面図)。
【符号の説明】
【0034】
1 液晶パネル
2 光学フィルム
3 拡散板
4 ランプ
5 反射板
6 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂100重量部にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5〜5重量部配合されてなる樹脂(A)を、ポリカーボネート樹脂100重量部に有機系架橋微粒子0.5〜5重量部配合されてなる樹脂(B)の片面もしくは両面に積層されてなる直下型バックライト用拡散板。
【請求項2】
有機系架橋微粒子がアクリル系樹脂微粒子、スチレン系樹脂微粒子、シリコーン系架橋微粒子である請求項1に記載の直下型バックライト用拡散板。
【請求項3】
紫外線吸収剤を含む層の厚みが10〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の直下型バックライト用拡散板。
【請求項4】
樹脂(A)および樹脂(B)を共押出して得られる請求項1〜3に記載の直下型バックライト用拡散板。

【図1】
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【公開番号】特開2006−78954(P2006−78954A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265280(P2004−265280)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】