説明

直交軸ギヤードモータ

【課題】 ギヤードモータの取り付け方向の自由度が高く、製品強度が高く、かつコンパクトな直交軸ギヤードモータを提供する。
【解決手段】 モータ出力軸21に対してギヤ出力軸を直交する方向に配設した直交軸ギヤードモータであって、前記モータ出力軸21に設けられたピニオン21aと噛合するフェースギヤ5を支持する減速軸50と、該減速軸50に設けられたピニオン50aと噛合する減速ギヤ6が設けられた前記ギヤ出力軸60とを有し、前記モータ出力軸21と、前記減速軸50と前記ギヤ出力軸60の各々の軸心切断面上が同一平面になるように前記各軸21,50,60を配設した直交軸ギヤードモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと、モータ軸の回転を直交方向に変換して出力するギヤとを組み合わせた直交軸ギヤードモータに関する。
【背景技術】
【0002】
直交軸ギヤードモータにあっては、ギヤ出力軸と取付ボルト通し孔の位置関係がしばしば問題となる。
たとえば、特許文献1では、ギヤ出力軸を4つの取付ボルト通し孔の中央に位置させている。このため、ギヤードモータの取り付け方向が各面で可能であることから4方向可能であり、取り付けの自由度が高い。しかしながら、内部構造を見ると、直交ギヤであるハイポイドギヤを減速の最終段に配置しているため、製造コストや製品強度面で問題が残る。
一方、特許文献2では、ハイポイドギヤを初段に配置しているため、製造コストや製品強度面では有利であるが、取付ボルト通し孔を正方形の対角線上に配することができず、各面での取付けが不可能で、取り付け方向の自由度が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−299840号公報
【特許文献2】特開2005−042926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来の問題を解決し、ギヤードモータの取り付け方向の自由度が高く、製品強度が高く、かつコンパクトな直交軸ギヤードモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、モータ出力軸に対してギヤ出力軸を直交する方向に配設した直交軸ギヤードモータであって、前記モータ出力軸に設けられたピニオンと噛合するフェースギヤを支持する減速軸と、該減速軸に設けられたピニオンと噛合する減速ギヤが設けられた前記ギヤ出力軸とを有し、前記モータ出力軸と、前記減速軸と前記ギヤ出力軸の各々の軸心切断面上が同一平面になるように前記各軸を配設したことにある。
また、本発明は、前記ギヤを内蔵したギヤケースをモータケースに並設し、かつ前記ギヤ出力軸と平行な2つの側面を前記モータケースの側面と面一になるように形成し、かつ前記ギヤ出力軸を軸支した取付面の前記ギヤ出力軸を中心とする四角形の対角線上に取付ボルト通し孔を形成したことにある。そして、4つの取付ボルト通し孔を四角形の対角線上に配置し、その中心にギヤ出力軸が配設されるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の直交軸ギヤードモータによれば、モータ出力軸の延長線上にフェースギヤの軸を配設し、さらにギヤ出力軸もその延長線上に配設するようにしたので、ギヤケースの幅を最も小さくすることができる。
また、ギヤ出力軸を軸支したギヤ取付面の前記ギヤ出力軸を中心とする四角形の対角線上に取付ボルト通し孔を形成したので、ギヤードモータの取付ボルト通し孔を、正方形の対角線の交点がギヤ出力軸の中心になるように配設できることから、ギヤードモータの取り付け方向を表取付面4方向、裏取付面4方向の、合計8つの方向から任意に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態による直交軸ギヤードモータを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による直交軸ギヤードモータを示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による直交軸ギヤードモータを示す図2のA−A線部分断面図である。
【図4】図3のケースフランジを外して示すB−B線部分断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による直交軸ギヤードモータの減速機内部を断面にして示す部分断面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態による直交軸ギヤードモータの使用態様を示す減速機内部を断面にして示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1ないし図4は、本発明の第1の実施の形態の直交軸ギヤードモータを示し、1はモータ2および減速機3からなる直交軸ギヤードモータである。モータ2および減速機3は、互いのモータケース20および減速機ケース30の四隅を4本の締結ボルト4を介して互いに締結して並設されている。モータ2は、出力軸21がモータケース20の開口穴から外部に導出されており、この出力軸21を減速機ケース30の開口穴30aから減速機ケース30内に挿入している。減速機ケース30は、図3に示すようにギヤケース31とケースフランジ32で箱型に構成されており、内部にフェースギヤ5を支持した減速軸50と、減速ギヤ6を支持したギヤ出力軸60が設けられている。前記モータ2は、モータケース20の上面にケーブル22を導入する導入口23が設けられており、電源および信号線等のケーブル22が纏めて配線されている。
前記減速軸50とギヤ出力軸60は、前記出力軸21と直交するように配設されており、両端部を、それぞれ軸受7,8を介して減速機ケース30に支持されている。
【0009】
前記モータ2の出力軸21には、ピニオン21aが設けられており、このピニオン21aに前記フェースギヤ5が噛合している。前記フェースギヤ5を支持した減速軸50には、ピニオン50aが設けられており、このピニオン50aに前記減速ギヤ6が噛合している。
【0010】
前記減速軸50とギヤ出力軸60は、前記出力軸21の軸心を通る切断面と、減速軸50とギヤ出力軸60のそれぞれ軸心を通る切断面とが同一面を構成するように配設されている。減速機ケース30の幅方向の厚みLをモータケース20の厚みLに比べてほぼ同一になる厚み(L=L)に形成されている。
また、減速機3を取り付ける取付け面には、正方形の4隅となる対角線上の頂点に取付ボルト9が設けられるように取付ボルト通し孔9aが形成されており、対角線の中心には前記ギヤ出力軸60が配置されるように構成されている。
前記減速軸50の端面には前記フェースギヤ5のスラスト調整用ねじ50bが設けられていて、スラスト調整用ねじ50bを操作することで、前記フェースギヤ5を前記モータ2の出力軸21のピニオン21aに噛み合う距離を調整している。
【0011】
前記ギヤ出力軸60は中空の円筒状に形成されており、両端いずれの側からも出力を取り出すことができる。また、図3に示すように出力を取り出さない方の減速機ケース30端面には、ギヤ出力軸60を覆うカバー33を設けることができる。
【0012】
図5および図6は、図3と同一部分は同符号を付して同一部分の説明を省略して示す本発明の第2の実施の形態で、この場合、減速機ケース30Aの幅方向の厚みLをモータケース20の厚みLに比べて薄く(L<L)形成したものである。ギヤ出力軸60Aが設けられた部分の幅Lがモータケース20の厚みL以下になるように(L≦L)形成されている。こうして、減速機の厚みをモータ取付角寸法以下にすることにより、さらにスペースメリットに優れた直交軸ギヤードモータを提供することが可能となる。
【0013】
この実施の形態では、減速軸50Aの向きを変えて短縮し、フェースギヤ5Aの向きを代えて前記出力軸21の反対側(図示例では上側)に配置したものである。一方、減速ギヤ6Aも減速軸50Aの向きを変えたことに伴ってフェースギヤ5Aの反対側に移動し(図示下側)、減速軸50Aのピニオン50aに噛合している。減速ギヤ6Aを支持するギヤ出力軸60Aも減速ギヤ6Aとともに向きを変えることで、短縮を図ることができる。減速軸50Aおよびギヤ出力軸60Aを回転自在に支持する軸受7,8は、図3の実施の形態と同様である。図5では、カバー33を省略することで、幅方向の寸法Lをより短縮することができる。図6には、ギヤケース31とギヤフランジ32を固定する締結ボルト10がギヤケース31の四隅に設けられている。
【0014】
図7は、図5と同一部分は同符号を付して同一部分の説明を省略して示す本発明の第3の実施の形態で、この場合、減速ギヤ6Aを支持するギヤ出力軸60Bを延長して外部に導出させ、この延長部に可動部11を直接取り付けることができる。可動部11としては、インデックステーブル等を取り付けることができる。可動部11は、キー、いもねじ、メカロック等によってギヤ出力軸60Bに固定することができる。12は減速機ケース30Aを固定するベースである。
【0015】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、減速機3の減速比は、モータ2の出力軸21のピニオン21aと、前記フェースギヤ5の歯数比を調整することで、前記減速軸50の回転数を調整することができる。そして、前記減速軸50のピニオン50aと、減速ギヤ6の歯数比を調整することで、ギヤ出力軸60の回転を制御することができる。これらの歯車の噛み合い比率を変えることで減速機の減速比を調整することができる。等、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜、変更、変形して実施し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0016】
1 直交軸ギヤードモータ
2 モータ
3 減速機
4,10 締結ボルト
5,5A フェースギヤ
6,6A 減速ギヤ
7,8 軸受
9 取付ボルト
9a 取付ボルト通し孔
11 可動部
20 モータケース
21 出力軸
21a,50a ピニオン
30 減速機ケース
50,50A 減速軸
50b スラスト調整用ねじ
60,60A,60B ギヤ出力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ出力軸に対してギヤ出力軸を直交する方向に配設した直交軸ギヤードモータであって、
前記モータ出力軸に設けられたピニオンと噛合するフェースギヤを支持する減速軸と、
該減速軸に設けられたピニオンと噛合する減速ギヤが設けられた前記ギヤ出力軸とを有し、
前記モータ出力軸と、前記減速軸と前記ギヤ出力軸の各々の軸心切断面上が同一平面になるように前記各軸を配設したことを特徴とする直交軸ギヤードモータ。
【請求項2】
前記ギヤを内蔵したギヤケースをモータケースに並設し、かつ前記ギヤ出力軸と平行な2つの側面を前記モータケースの側面と面一になるように形成し、かつ前記ギヤ出力軸を軸支した取付面の前記ギヤ出力軸を中心とする四角形の対角線上に取付ボルト通し孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の直交軸ギヤードモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−219983(P2012−219983A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89240(P2011−89240)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】