説明

直列接続型ソーラーセル及びソーラーセルシステム

【課題】光反射ロスを低く抑えることができる異種ソーラーセル多接続型ソーラーセル及びそれを用いた変換効率が高いソーラーセルシステムを提供する。
【解決手段】吸収波長域が互いに異なり、積層せずに電気的に直列に接続されている複数のソーラーセルユニットと、前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射して発電するように、外から入射する光を誘導する光誘導手段と、を有する直列接続型ソーラーセル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直列接続型ソーラーセル及びソーラーセルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光は図1に示すように広いエネルギーに渡ってスペクトルを持っている。
一方、半導体で作られるソーラーセルは、半導体のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を吸収して発電する。例えば結晶シリコンは1.12eV以上のエネルギーを持つ光を吸収してホールとエレクトロンを結晶シリコン内に発生させる。
定常光照射下ではホールとエレクトロンのエネルギー差は半導体のバンドギャップで決まるため入射光の波長によらず1.12eVである。
【0003】
そして、半導体中のホールエレクトロン分極能率によって図2に示すソーラーセルの開放電圧Vocが決まる。Vocは半導体のバンドギャップ(eV単位で表したときの数値)を超えないが近い値となる。
よってバンドギャップより大きなエネルギーをもつ短波長の光が照射されたときも、Vocは依然としてバンドギャップ近くの小さい値に止まり、入射光エネルギーのロスが半導体中で生じる。
【0004】
短波長の光で大きな起電力及び大きな電力を取り出すために、バンドギャップが異なり、分光吸収感度が異なる複数の半導体を重ね合わせた、多接合型ソーラーセルが開発されている。
例えば、図3に示すようにエピタキシャル結晶成長技術を用いてAlInP、InGaAs、GeのPN接合を積層形成した多接合型(積層型)ソーラーセルが提案されている(非特許文献1参照)。このような多接合型ソーラーセルでは、可視から赤外域の広範囲の光を吸収して発電することが可能となる。
【0005】
また、図4に示すように、あらかじめ単体セルとして作製されたバンドギャップの異なるセルを透明な導電性接着剤で重ね合わせて貼り合わせる技術が提案されている(非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Japanese Journal of Applied Physics,Vol. 43, No. 3, 2004, pp. 882−889, “Evaluation of InGaP/InGaAs/Ge Triple-Junction Solar Cell under Concentrated Light by Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis”, K. NISHIOKA, T. TAKAMOTO1, T. AGUI1, M. KANEIWA1,Y. URAOKA and T. FUYUKI
【非特許文献2】J. Takenezawa, M. Hasumi, T. Sameshima, T. Koida, T. Kanko, M. Karasawa and M. Kondo, Extended Abt. of the 2010 Int. Conf. on Sol. State Dev. and Mat., (Tokyo, 2010) I-8-4.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1に開示されているような多接合型ソーラーセルを作製する場合、エピタキシャル結晶成長技術は一般に成膜速度が遅く、多接合形成に時間がかかるため、生産性が低く、製造コストが高くなってしまう。さらに多くの異なる結晶を積層するために、結晶欠陥等の発生による歩留まりも低くなる可能性がある。加えて異なる結晶間のストレスを緩和させる必要があり、大面積セルへの適用が困難である。
【0008】
一方、非特許文献2に開示されている多接合型ソーラーセルでは、完成したセル同士を貼り合せるため、高い歩留りが期待できる。また、異種半導体結晶成長プロセスを伴わないので、大面積の多接合型ソーラーセルの作製が可能である利点がある。
【0009】
しかし、図3、図4に示したような多接合型ソーラーセルは、いずれも上部セルが下部セルの光遮蔽の要因なる。上部セルはバンドギャップが大きいので長波長の光に対して透明である。しかし半導体は一般に屈折率が高いので、半導体に透明な波長帯であっても、光が上部セルで反射されて下部セルに上手く伝達されない反射ロスが生じてしまう。
【0010】
本発明は、光反射ロスを低く抑えることができる異種ソーラーセル多接続型ソーラーセル及びそれを用いた変換効率が高いソーラーセルシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<1> 互いに吸収波長域が異なり、積層せずに電気的に直列に接続されている複数のソーラーセルユニットと、前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射して発電するように、外から入射する光を誘導する光誘導手段と、を有する直列接続型ソーラーセル。
<2> 前記光誘導手段として、前記外から入射する光を分光することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する波長分散型プリズムを有する<1>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<3> 前記複数のソーラーセルユニットとして、第1ソーラーセルユニットと、前記第1ソーラーセルユニットよりもバンドギャップが小さい第2ソーラーセルユニットと、を含み、前記波長分散型プリズムとして、前記外から入射する光を受光する受光面、前記第1ソーラーセルユニットに面し、前記受光面から入射して該プリズム内で全反射した光を前記第1ソーラーセルユニットに照射する底面、前記第2ソーラーセルユニットに面し、前記受光面から入射して前記底面に到達する前に該プリズムの外側に透過した光を前記第2ソーラーセルユニットに照射する第1傾斜面、及び前記第1傾斜面と平行に位置し、前記第2ソーラーセルユニットに面さない第2傾斜面を含み、前記波長分散型プリズムの前記第2傾斜面に面し、前記第2傾斜面を透過した光を前記プリズム内に向けて反射する第1反射手段を有する<2>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<4> 前記波長分散型プリズムの前記第1傾斜面に面し、前記第1傾斜面を透過した光を前記第2ソーラーセルユニットに向けて反射する第2反射手段を有する<3>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<5> 前記光誘導手段として、2つのプリズム間に波長選択用の隙間を有するプリズム対を有し、前記外から入射した光を前記プリズム対の前記波長選択用の隙間によって分光することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する<1>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<6> 前記プリズム対が前記外から入射する光の入射方向に複数配列されており、前記外から入射した光が先に到達する第1プリズム対の波長選択用の隙間d1が、前記外から入射した光が前記第1プリズム対の後に到達する第2プリズム対の波長選択用の隙間d2よりも狭くなっており、前記第1プリズム対の波長選択用の隙間d1によって分光された光のうち、前記第2プリズム対に入射した光が前記第2プリズム対の波長選択用の隙間d2によって分光される<5>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<7> 前記複数のソーラーセルユニットの各々が前記吸収波長域以外の光に対して光透過性を有するとともに、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されており、前記光誘導手段として、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニットを挟むとともに、前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて間隔が狭くなるように配置された2つの反射手段を有し、前記外から入射した光が、前記2つの反射手段の間で反射を繰り返しながら前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて進行することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する<1>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<8> 前記複数のソーラーセルユニットの各々が受光面とは反対側の面に受光面から入射した光のうち吸収されなかった光を反射する反射面を有するとともに、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されており、
前記光誘導手段として、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニットの受光面に対向するとともに、前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて間隔が狭くなるように配置された反射手段を有し、
前記外から入射した光が、前記複数のソーラーセルユニットの反射面と前記反射手段との間で反射を繰り返しながら前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットに向けて進行することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する<1>に記載の直列接続型ソーラーセル。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の直列接続型ソーラーセルが複数配列されているソーラーセルシステム。
<10> <1>〜<8>のいずれかに記載の直列接続型ソーラーセルと、
外からの光を集光する第1レンズと、前記集光された光を平行光に成形して前記直列接続型ソーラーセルに入射させる第2レンズと、
を含むソーラーセルシステム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光反射ロスを低く抑えることができる異種ソーラーセル多接続ソーラーセル及びそれを用いた変換効率が高いソーラーセルシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】太陽光のスペクトルを示す図である。
【図2】ソーラーセル特性を示す、ソーラーセルで発生する電圧Vと電流Iの相関関係曲線図である。
【図3】積層型の多接合ソーラーセルの一例を示す概略構成図である。
【図4】積層型の多接合ソーラーセルの他の例を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る直列接続型ソーラーセルの基本的な構成を示す概略図である。
【図6】第1実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の一例を示す概略図である。
【図7】ZnSからなるプリズムにおける波長と屈折率との関係を示す図である。
【図8】図7に示すZnSからなるプリズムにおいて波長光が全反射光となる入射角(臨界角)の条件を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の他の例を示す概略図である。
【図10】第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の一例を示す概略図である。
【図11】第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の他の例を示す概略図である。
【図12】第3実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の一例を示す概略図である。
【図13】図6に示した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す概略図である。
【図14】図9に示した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す概略図である。
【図15】図10に示した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す。
【図16】図11に示した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す。
【図17】図12に示した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す。
【図18】金属材料の仕事関数を示す図である。
【図19】MIS型ソーラーセルの構成の一例を示す概略図である。
【図20】MIS型ソーラーセルを本発明の直列接続型ソーラーセルに適用した一例を示す概略図である。
【図21】MIS型ソーラーセルを本発明の直列接続型ソーラーセルに適用した一例を示す概略図である。
【図22】本発明に係る直列接続型ソーラーセルの構成の他の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る直列接続型ソーラーセルは、互いに吸収波長域が異なり、積層せずに電気的に直列に接続されている複数のソーラーセルユニットと、前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射して発電するように、外から入射する光を誘導する光誘導手段と、を有する。
図5は、本発明に係る直列接続型ソーラーセルの基本的な構成を示す概略図である。本実施形態に係る直列接続型ソーラーセル100は、互いに吸収波長域が異なる3つのソーラーセルユニット1,2,3と、各ソーラーセルユニット1,2,3に対して各々の吸収波長域の光を誘導して照射する光誘導手段4を備えている。各ソーラーセルユニット1,2,3は電気配線5によって直列に接続されている。
【0015】
なお、図5に示す直列接続型ソーラーセル100では、互いに吸収波長域が異なるソーラーセルユニット(単位素子)1,2,3を3つ備えているが、本発明に係る直列接続型ソーラーセルを構成するソーラーセルユニットの数は特に限定されるものではない。
また、本発明において、「複数のソーラーセルユニットが互いに吸収波長域が異なる」とは、各ソーラーセルユニットが吸収する波長域が全く重複しない場合のほか、吸収波長領域の一部分が重複せず、他の部分は重複する場合も含む。
また、本発明において「直列」とは複数のソーラーセルユニットが電気的に直列に配線されていることを意味し、一直線上に並んでいる場合のほか、後述する図10及び図11に示されるように隣接する複数のソーラーセルユニット同士が180℃未満の角度(例えば直角)を成して接続されている場合も含まれる。
【0016】
ソーラーセルユニット1,2,3は、それぞれバンドギャップが異なる半導体素子を含むものであり、波長の関係をλ<λ<λとすると、ソーラーセルユニット1はバンドギャップによって定められた臨界波長λ以下の光を吸収して発電し、ソーラーセルユニット2は波長λ以下の光を吸収して発電し、ソーラーセルユニット3は波長λ以下の光を吸収して発電する。
【0017】
光誘導手段4は、外から入射する光(例えば太陽光)を3つのソーラーセルユニットのぞれぞれの分光感度に応じた3つの波長帯に分光する。そして、ソーラーセルユニット1にはλ以下の波長の光が、ソーラーセルユニット2にはλ〜λの間の波長の光が、ソーラーセルユニット3にはλ以上の波長の光がそれぞれ照射されるように構成されている。
【0018】
このような構成により、各ソーラーセルユニット1,2,3には臨界波長近くの光が照射されるので効率良く発電することができる。そして、ソーラーセルユニット1,2,3が出力する開放電圧Voc1〜Voc3の合計値Voc1+Voc2+Voc3が起電力として得られる。
また、このような構成であれば、それぞれ単体のソーラーセルユニット1,2,3に光が照射されるので、図3、図4に示した積層型のソーラーセルのように上部セルにより光が遮蔽されず、各セルに効率的に光が照射され、発電することができる。
さらに、本発明に係る直列接続型ソーラーセルでは、原理的に一般的な構造のセルを用いることができ、図3、図4に示した積層型のソーラーセルのように上部セルの光透過機能が必ずしも要求されない利点がある。
【0019】
図5においては光照射面積とほぼ同じ面積において光を分光分割する場合を示したが、より高効率のセルを実現するには、太陽光を分光分割する面積をなるべく増やさないこと、より好適にはできるだけ小さくすることが効果的である。よって、本発明においては、外からの光を各ソーラーセルユニットに効率良く誘導する機能も重要である。
以下に、本発明の実施形態の具体例を示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0020】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る直列接続型ソーラーセルは、光誘導手段として、外から入射する光を分光することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する波長分散型プリズムを有する。
【0021】
‐第1の例‐
図6は第1実施形態に係る直列型ソーラーセルの構成の一例を示す概略図である。
本実施形態に係る直列接続型ソーラーセル10Aは、電気配線5によって直列に接続された第1ソーラーセルユニット11と第2ソーラーセルユニット12とを含んでいる。第1ソーラーセルユニット11は高バンドギャップ・短波長発電用ソーラーセルであり、第2ソーラーセルユニット12は第1ソーラーセルユニットよりもバンドギャップが小さい低バンドギャップ・長波長発電用ソーラーセルである。
【0022】
光誘導手段として機能する波長分散型プリズム14は、入射する光に対して傾斜した平行体で作られており、外から入射する光を受光する受光面14A、前記第1ソーラーセルユニット11に面し、前記受光面14Aから入射して該プリズム14内で全反射した光を第1ソーラーセルユニット11に照射する底面14B、第2ソーラーセルユニット12に面し、受光面14Aから入射して底面14Bに到達する前に該プリズム14の外側に透過した光を第2ソーラーセルユニット12に照射する第1傾斜面14C、及び第1傾斜面14Cと平行に位置し、第2ソーラーセルユニット12に面さない第2傾斜面14Dを含んでいる。
【0023】
波長分散型プリズム14は屈折率が波長によって大きく変化する材料、即ち低アッべ数材料により構成される。
プリズム14を構成する低アッべ数材料としては、例えばZnS(硫化亜鉛)が挙げられる。ZnSは400nm以上の波長に対して透明な材料であり、屈折率は図7に示すように波長が短くなるにつれて大きくなる。図7に示す関係に基づくプリズムの全反射光の入射角条件は図8のようになる。即ち、波長が短いときは屈折率が高いので臨界角は小さく、長波長になるにつれて臨界角は大きくなる。
【0024】
プリズム14の傾斜角度(図6においてプリズム斜面の垂線と入射光との間の角度)を、ソーラーセルユニット11の光吸収臨界波長λが全反射臨界角θになるように設定する。例えばソーラーセルユニット11がGaAsのときはλは890nmとなるので、θは25.7°に設定する。
【0025】
なお、プリズム14はアッべ数が小さい物体で構成されていれば良いので、ZnSの単一結晶体である必要はなく、多結晶体、媒体に分散したZnSコロイド粒体等であってもよい。
またアッべ数が小さい他の物質も使用することができる。一般に屈折率が大きい材料はアッべ数が小さい。ZnSe、ポリエチレン、ポリビニルテレフタレート等を例示することができる。
【0026】
図6に示す直列接続型ソーラーセル10Aは、さらに、波長分散型プリズム14の第2傾斜面14Dに面し、第2傾斜面14Dの外側に透過した光をプリズム14内に向けて反射する第1反射手段16を有している。
第1反射手段16としては、例えば反射ミラーを用いることができる。なお、例えば、第2傾斜面14Dに光反射性を有する金属層を設けて反射手段としてもよい。
【0027】
プリズム14の受光面14Aから入射した光のうち、λより短波長の光はプリズム14の第1傾斜面14Cで全反射してプリズム14内を第2傾斜面14Dに向けて進み、全反射光は第2傾斜面14Dで再び全反射してソーラーセルユニット11に向けて進む。このような全反射の繰り返しにより、λより短波長の光は最終的にプリズム14の底面14Bから透過して、底面14Bに面するソーラーセルユニット11に照射される。
【0028】
一方、λより長波長の光はプリズム14を通過(透過屈折)して、プリズム14の第1傾斜面14Cの下方において第1傾斜面14Cと面するように配置されたソーラーセルユニット12に入射する。
なお、λより長波長の光にはプリズム14の第1傾斜面14Cで反射する成分もある。これは全反射する短波長光と同じくプリズム14内を第2傾斜面14Dに向けて進む。この長波長光はプリズム14の第2傾斜面14Dに沿って配置された反射ミラー16によってプリズム14内に反射される。そして再びプリズムの第1傾斜面14Cで透過又は反射する。このように長波長光の一部が透過と反射を繰り返することで、λより長波長の光はプリズム14の第1傾斜面14Cを透過し、第2ソーラーセルユニット12に向かう光の強度が大きくなる。
例えば、プリズム14での反射率が50%の場合は、3回プリズム表面で透過反射を繰り返すと87%の光がプリズム外側に透過してソーラーセルユニット12に入射する。
【0029】
本実施形態の構成によりλより短波長帯と長波長帯の分光が成されてソーラーセルユニット11,12の各々の感度に対応した波長光が照射されることで、直列接続型ソーラーセル10Aの発電が可能となる。
【0030】
なお、本実施形態において反射手段16は必須ではないが、上記のようにλより長波長の光のうちプリズムの第1傾斜面14Cで反射する成分もソーラーセルユニット12に取り込めるため、反射手段16を設けることで変換効率を向上させることができる。
【0031】
‐第2の例‐
図9は、第1実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの他の例を概略的に示している。図9に示す直列接続型ソーラーセル10Bでは、波長分散型プリズム14の第2傾斜面14Dに面した第1反射手段16のほか、第1傾斜面14Cに面し、第1傾斜面14Cを透過した光を第2ソーラーセルユニット12に向けて反射する第2反射手段17を有している。第1傾斜面14C側にも反射ミラー17を設置し、波長分散型プリズム14の外側に透過した光を第2ソーラーセルユニット12に向けて反射させることにより、長波長の光を受光する第2ソーラーセルユニット12の面積を小さくすることができる。
すなわち、図9に示す直列接続型ソーラーセル10Bでは、図6に示す直列接続型ソーラーセル10Aに比べ、ソーラーセルの有効面積を光入射面積よりも小さくすることができ、面積効率が大きい直列接続型ソーラーセルとすることができる。
【0032】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルは、光誘導手段として、2つのプリズム間に波長選択用の隙間を有するプリズム対を有し、外から入射した光を前記プリズム対の波長選択用の隙間によって分光することにより複数のソーラーセルユニットの各々に吸収波長域の光を照射する構成を有している。
【0033】
‐第1の例‐
図10は、第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの一例を概略的に示している。図10に示す直列接続型ソーラーセル20Aは、バンドギャップが大きい短波長発電用の第1ソーラーセルユニット11と第1ソーラーセルユニット11よりもバンドギャップが小さい長波長発電用の第2ソーラーセルユニット12とが配線5により電気的に直列に接続されている。また、この直列接続型ソーラーセル20Aは、それぞれ傾斜面を有する同形状の第1プリズム(上部プリズム)24Aと第2プリズム(下部プリズム)24Bが、互いの傾斜面が向かい合わせとなって配置されたプリズム対24を有している。
なお、2つのプリズム間に隙間d1を設ける方法は特に限定されず、例えば、プリズム間に直径d1のスペーサビーズを挟み、2つのプリズムを圧着することにより隙間d1を設けることができる。
【0034】
第1プリズム24Aと第2プリズム24Bとの間には僅かに隙間d1が設けられており、第1プリズム24Aの受光面から入射した光Lのうち、波長が2つのプリズムの隙間d1以下の光L1は隙間d1によって全反射して側面に誘導される。一方、隙間d1より波長が長い光L2は隙間d1を経て第2プリズム24Bに入射して底面に誘導される。
そのため、第1プリズム24Aと第2プリズム24Bとの隙間d1で全反射した光L1が進む方向の側面(図10では第1プリズムの右側)に沿って、波長d1以下の光に感度を有する第1ソーラーセルユニット11を設置しておき、隙間d1によって全反射した光を当てて発電させる。
一方、第2プリズム24Bの底面にはバンドギャップが小さいソーラーセルユニット12を設置して、波長d1以上の光を当てて発電させる。
【0035】
‐第2の例‐
第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルは、外から入射する光の入射方向に複数のプリズム対を配列し、入射光を3つ以上の波長帯に分光して各ソーラーセルユニットに照射することもできる。
【0036】
図11は、第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの第2の例を概略的に示している。図11に示す直列接続型ソーラーセル20Bは、外から入射する光の入射方向に2つのプリズム対24,25が配列されている。外から入射した光Lが先に到達する第1プリズム対24の波長選択用の隙間d1は、外から入射した光Lが第1プリズム対24の後に到達する第2プリズム対25の波長選択用の隙間d2よりも狭くなっており、第1プリズム対24の波長選択用の隙間d1によって分光された光のうち、第2プリズム対25に入射した光が第2プリズム対の波長選択用の隙間d2によって2つの波長域の光(L2,L3)に分光される。
【0037】
また、図11に示す直列接続型ソーラーセル20Bは、単位素子として、第1ソーラーセルユニット(短波長用ソーラーセルユニット)21と、第1ソーラーセルユニット21よりもバンドギャップが小さい第2ソーラーセルユニット(中波長用ソーラーセルユニット)22と、第2ソーラーセルユニット22よりもバンドギャップが小さい第3ソーラーセルユニット(長波長用ソーラーセルユニット)23を有している。第1ソーラーセルユニット21は、第1プリズム対24の第1プリズム(第1上部プリズム)24Aの側面に面して配置されている。また、第2ソーラーセルユニット22は第2プリズム対25の第1プリズム(第2上部プリズム)25Aの側面に面して配置され、第3ソーラーセルユニット23は第2プリズム対25の第2プリズム(第2下部プリズム)25Bの底面に面して配置されている。
【0038】
このような構成によれば、第1プリズム対24の第1プリズム(第1上部プリズム)24Aに入射した光のうち、波長がd1以下の光は第1プリズム対24の隙間d1によって全反射して短波長用ソーラーセルユニット21に照射される。一方、波長がd1を超える光は、隙間d1を経て第1プリズム対24の第2プリズム(第1下部プリズム)24Bを透過して第2プリズム対25の第1プリズム(第2上部プリズム)25Aに入射し、波長がd2以下の波長の光L2は第2プリズム対25の隙間d2によって全反射してソーラーセルユニット22に入射する。さらに、波長がd2を超える光L3は第2プリズム対25の隙間d2を経て第2プリズム対25の第2プリズム(第2下部プリズム)25Bを透過して底面に面して配置されている第3ソーラーセルユニット23に照射されて発電に寄与する。
このように外から入射する光(例えば、太陽光)を2つのプリズム対24,25で短波長帯、中波長帯、長波長帯に分光して各ソーラーセルユニット21,22,23に誘導することで、入射光が各ソーラーセルユニット21,22,23によって効率的に発電することができる。
【0039】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る直列接続型ソーラーセルは、互いに吸収波長域が異なる複数のソーラーセルユニットの各々が吸収波長域以外の光に対して光透過性を有するとともに、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されており、
前記光誘導手段として、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニットを挟むとともに、前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて間隔が狭くなるように配置された2つの反射手段を有し、
前記外から入射した光が、前記2つの反射手段の間で反射を繰り返しながら前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて進行することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する。
【0040】
図12は、第3実施形態に係る直列接続型ソーラーセルの構成の一例を概略的に示している。図12に示す直列接続型ソーラーセル30は、互いに吸収波長域が異なり、それぞれ吸収波長域以外の光に対する透過性構造を有した3つのソーラーセルユニット31,32,33と、2枚の反射ミラー36,37とを使用して構成したものであり、2枚の反射ミラー36,37間に、光入射口に近い側から短波長用ソーラーセルユニット31、中波長用ソーラーセルユニット32、長波長用ソーラーセルユニット33が配線によって電気的に直列に配置されている。
【0041】
外からの光(例えば太陽光)は、まず、ソーラーセルユニット31に入射する。ソーラーセルユニット31のバンドギャップ以上のエネルギーをもつ短波長の光はソーラーセルユニット31に吸収され、発電に寄与する。
ソーラーセルユニット31に吸収されないソーラーセルユニット31のバンドギャップ以下のエネルギーの中波長光及び長波長光は各ソーラーセルユニット31,32,33の裏側(光が入射する反対側)に配置した第1反射ミラー36で反射されるか、ソーラーセルユニット31の表面で反射されて、ソーラーセルユニット31の外に出る。ソーラーセルユニット31から出た光は対面に置かれた第2反射ミラー37によって反射されてソーラーセルユニット32に入射する。そしてソーラーセルユニット32のバンドギャップ以上のエネルギーをもつ中波長の光はソーラーセルユニット32に吸収され発電に寄与する。
ソーラーセルユニット32にも吸収されない長波長光は各ユニット31,32,33の裏側に配置した第1反射ミラー36で反射されるか、ソーラーセルユニット32の表面で反射されて、ソーラーセルユニット32の外に出る。ソーラーセルユニット32から出た光は対面に置かれた第2反射ミラー37によって反射されてソーラーセルユニット33に入射する。そしてソーラーセルユニット33のバンドギャップ以上のエネルギーの光がソーラーセルユニット33に吸収されて発電に寄与する。
【0042】
上記のような多重反射による直列接続型ソーラーセルでは、各ソーラーセルユニット31,32,33が光電変換手段のほか分光手段としても機能し、それぞれのセルユニットのバンドギャップに応じた光利用がなされ、効率の良い発電が可能になる。
また、図12に示すように前方のソーラーセルユニットに吸収されない光は2枚の反射ミラー36,37の間で反射を繰り返しながら移動し、次のより長波長用のソーラーセルユニットに入射するので、各ソーラーセルユニットの反射率はソーラーセルユニット31に吸収されるべき光に対してのみ低く設計すればよく、吸収されない光の反射率を調整する必要はない。
【0043】
<ソーラーセルシステム>
本発明に係る直列接続型ソーラーセルは、上記いずれかの実施形態に係る直列接続型ソーラーセルを複数配列した平板型ソーラーセルシステムとすることができる。
また、本発明に係る直列接続型ソーラーセルは、外からの光を集光する第1レンズと、集光された光を平行光に成形して前記実施形態に係る直列接続型ソーラーセルに入射させる第2レンズと、を含む集光型ソーラーセルシステムにも適用することができる。
【0044】
図13は、図6に示した第1実施形態におけるプリズムの全反射臨界角の波長分散特性と反射ミラーによる多重反射を用いた直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す。本実施形態に係るソーラーセルシステム40Aは、図13に示すように、大きな集光用レンズ42を用いて太陽光を集光し、集光光を小さなレンズ44で受けて平行光に成形してプリズム14に入射させる。集光用の大きなレンズ42の開口面積をS、成形用の小さなレンズ44の開口面積をSとすれば、原理的に太陽光をS/S倍に集光することができ、開口面積Sの小さいプリズム14及びソーラーセルユニット11,12を用いて、面積S分の太陽光の発電が可能となる。
【0045】
図14は図9に示した直列接続型ソーラーセル20Bを集光型システムに適用した例を示す。この集光型ソーラーセルシステム40Bの場合、図13に示す形態よりも小さな面積のセルによって面積S分の太陽光の発電が可能となる。
【0046】
図15、図16には、それぞれ図10、図11に示した直列接続型ソーラーセル20A,20Bを集光型システムに適用した例を示す。これらの形態のソーラーセルシステム50,60でも大きなレンズ42を用いて太陽光を集光し、集光光を小さなレンズ44で受けて平行光に成形してプリズム対24に入射させる。大きなレンズ42の開口面積をS、小さなレンズの開口面積をSとすれば、原理的に太陽光をS/S倍に集光することができ、開口面積Sの小さいプリズム対及びソーラーセルユニットを用いて、面積S分の太陽光の発電が可能となる。
【0047】
図17には、図12に示した2枚のミラー36,37間に、光透過性を有するソーラーセルユニットとして、光入射口に近い側から短波長用ソーラーセルユニット31、中波長用ソーラーセルユニット32、長波長用ソーラーセルユニット33を直列に配列して構成した直列接続型ソーラーセルを集光型システムに適用した例を示す。このシステム70でも大きなレンズ42を用いて太陽光を集光し、集光光を小さなレンズ44で受けて平行光に成形して最初の短波長用ソーラーセルユニット31に入射させる。このソーラーセルシステム70においても、集光用の大きなレンズ42の開口面積をS、成形用の小さなレンズ44の開口面積をSとすれば、原理的に太陽光をS/S倍に集光することができ、面積S分の太陽光の発電が可能となる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明に係る直列接続型ソーラーセルを構成するソーラーセルユニットとしては、種々のソーラーセルを適用することができる。
例えば、異種電極を用いて半導体中に内蔵電位を生じせしめるMIS型タイプのソーラーセルが開発されている(例えば、Toshiyuki SAMESHIMA, Kazuya KOGURE, Masahiko HASUMI: ” Crystalline Silicon Solar Cells with Two Different Metals”, Jpn. J.Appl. Phys. 49 (2010) 110205.参照)。このMIS型タイプのソーラーセルは作製が簡便であり、高品位の材料を用いることで高効率化が期待できる。
【0049】
このMIS型ソーラーセルは半導体材料の仕事関数と金属の仕事関数差を用いるものであり、半導体材料の仕事関数より大きい仕事関数と小さい仕事関数の二種類の金属材料を選択する。図18に示すように様々な仕事関数を有する金属材料が知られている。例えばシリコンに対しては、Al、Hfが低仕事関数金属であり、Ni、Au、Ptは高仕事関数金属である。シリコン以外の半導体材料の場合でも当該材料に適合した仕事関数を有する金属を選べば上記MIS型ソーラーセルを作製することができる。
【0050】
図19に、MIS型ソーラーセルの一例を示す。このMIS型ソーラーセル101は、第1導電型の半導体基板102(例えば、p型のシリコン半導体基板)が用いられ、半導体基板102の一方の片面(裏面)上に良質の絶縁薄膜103を介して第1の電極104と第2の電極106とを形成し、半導体基板102の他方の片面(表面、受光面)上に良質の光透過性の絶縁膜113を形成して構成される。絶縁膜113を有する半導体基板102の一方の面側が光の照射側(受光面)となる。
【0051】
このようなMIS型ソーラーセル101では、受光面とは反対側の面に金属電極が配置されており、受光面から入射した光は透過しないため、第3実施形態に係る直列接続型ソーラーセルのソーラーセルユニットとしては不向きであるが、第1実施形態及び第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルに適用することができる。
【0052】
例えば、互いに吸収波長域が異なるMIS型ソーラーセル101A,101B、101Cを用い、図20、図21に示すように第2実施形態に係る直列接続型ソーラーセルのソーラーセルユニットとして好適に用いることができる。また、このようなMIS型ソーラーセルは第1実施形態に係る直列接続型ソーラーセルのソーラーセルユニットとしても好適である。
【0053】
また、図12に示した第3実施形態では、光透過性のソーラーセルユニットを用いる場合を説明したが、他の例として、受光面から入射した光を反射する反射面を有するソーラーセル、例えば、受光面とは反対側に金属電極が一面に形成され、セルによって吸収されなかった光を金属電極によって反射する機能を有するソーラーセルを利用することができる。
図22に示す直列接続型ソーラーセル80では、ソーラーセルユニットの受光面とは反対側の面に受光面から入射した光のうち、吸収されなかった光を反射する反射面を有する複数のソーラーセルユニット51,52,53が、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されている。また、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニット51,52,53の受光面に対向するとともに、バンドギャップが大きいソーラーセルユニット51から小さいソーラーセルユニット53に向けて間隔が狭くなるように反射ミラー37が配置されている。そして、外から入射した光が、各ソーラーセルユニット51,52,53の反射面と反射ミラー37との間で反射を繰り返しながらバンドギャップが大きいソーラーセルユニット51から小さいソーラーセルユニット53に向けて進行することにより複数のソーラーセルユニット51,52,53の各々に吸収波長域の光が照射される。
なお、各ソーラーセルユニットの反射面としては電極に限らず、電極以外の反射層を設けてもよい。
【0054】
以上、本発明について説明したが本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、ソーラーセルユニットとしては、シリコン系、化合物系のほか、色素増感ソーラーセル、有機薄膜ソーラーセルなども用いることもできる。
【符号の説明】
【0055】
1,2,3 ソーラーセルユニット
4 光誘導手段
5 配線
10A,10B 直列接続型ソーラーセル
11,12 ソーラーセルユニット
14 波長分散型プリズム
16、17 反射手段(反射ミラー)
20A,20B 直列接続型ソーラーセル
21,22,23 ソーラーセルユニット
24A 第1プリズム(上部プリズム)
24B 第2プリズム(下部プリズム)
24,25 プリズム対
30 直列接続型ソーラーセル
31,32,33 ソーラーセルユニット
36,37 反射手段(反射ミラー)
40A,40B ソーラーセルシステム
42 集光用レンズ
44 成形用レンズ
51,52,53 ソーラーセルユニット
50,60,70 ソーラーセルシステム
100 直列接続型ソーラーセル
101 MIS型ソーラーセル
102 半導体基板
103 絶縁薄膜
104 電極
106 電極
113 絶縁膜
d1,d2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに吸収波長域が異なり、積層せずに電気的に直列に接続されている複数のソーラーセルユニットと、
前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射して発電するように、外から入射する光を誘導する光誘導手段と、
を有する直列接続型ソーラーセル。
【請求項2】
前記光誘導手段として、前記外から入射する光を分光することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する波長分散型プリズムを有する請求項1に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項3】
前記複数のソーラーセルユニットとして、第1ソーラーセルユニットと、前記第1ソーラーセルユニットよりもバンドギャップが小さい第2ソーラーセルユニットと、を含み、
前記波長分散型プリズムとして、前記外から入射する光を受光する受光面、前記第1ソーラーセルユニットに面し、前記受光面から入射して該プリズム内で全反射した光を前記第1ソーラーセルユニットに照射する底面、前記第2ソーラーセルユニットに面し、前記受光面から入射して前記底面に到達する前に該プリズムの外側に透過した光を前記第2ソーラーセルユニットに照射する第1傾斜面、及び前記第1傾斜面と平行に位置し、前記第2ソーラーセルユニットに面さない第2傾斜面を含み、
前記波長分散型プリズムの前記第2傾斜面に面し、前記第2傾斜面を透過した光を前記プリズム内に向けて反射する第1反射手段を有する請求項2に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項4】
前記波長分散型プリズムの前記第1傾斜面に面し、前記第1傾斜面を透過した光を前記第2ソーラーセルユニットに向けて反射する第2反射手段を有する請求項3に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項5】
前記光誘導手段として、2つのプリズム間に波長選択用の隙間を有するプリズム対を有し、前記外から入射した光を前記プリズム対の前記波長選択用の隙間によって分光することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する請求項1に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項6】
前記プリズム対が前記外から入射する光の入射方向に複数配列されており、前記外から入射した光が先に到達する第1プリズム対の波長選択用の隙間d1が、前記外から入射した光が前記第1プリズム対の後に到達する第2プリズム対の波長選択用の隙間d2よりも狭くなっており、前記第1プリズム対の波長選択用の隙間d1によって分光された光のうち、前記第2プリズム対に入射した光が前記第2プリズム対の波長選択用の隙間d2によって分光される請求項5に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項7】
前記複数のソーラーセルユニットの各々が前記吸収波長域以外の光に対して光透過性を有するとともに、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されており、
前記光誘導手段として、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニットを挟むとともに、前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて間隔が狭くなるように配置された2つの反射手段を有し、
前記外から入射した光が、前記2つの反射手段の間で反射を繰り返しながら前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて進行することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する請求項1に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項8】
前記複数のソーラーセルユニットの各々が受光面とは反対側の面に受光面から入射した光のうち吸収されなかった光を反射する反射面を有するとともに、バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列されており、
前記光誘導手段として、前記バンドギャップが大きい順に光が照射されるように配列された複数のソーラーセルユニットの受光面に対向するとともに、前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットから小さいソーラーセルユニットに向けて間隔が狭くなるように配置された反射手段を有し、
前記外から入射した光が、前記複数のソーラーセルユニットの反射面と前記反射手段との間で反射を繰り返しながら前記バンドギャップが大きいソーラーセルユニットに向けて進行することにより前記複数のソーラーセルユニットの各々に前記吸収波長域の光を照射する請求項1に記載の直列接続型ソーラーセル。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の直列接続型ソーラーセルが複数配列されているソーラーセルシステム。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の直列接続型ソーラーセルと、
外からの光を集光する第1レンズと、前記集光された光を平行光に成形して前記直列接続型ソーラーセルに入射させる第2レンズと、
を含むソーラーセルシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−204673(P2012−204673A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68760(P2011−68760)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(504132881)国立大学法人東京農工大学 (595)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(598015084)学校法人福岡大学 (114)
【Fターム(参考)】