直動案内装置およびその組立方法
【課題】ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法を提供する。
【解決手段】仮軸24のレール底面側24eが上にくるようにスライダ本体12と仮軸24の天地を返し(ステップ302)、仮軸24の切り欠き部24dを移動してスライダ本体12の第2流路のローラ軌道面12bに開放部12dを形成し(ステップ303)、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’の設置面12cにローラ挿入冶具38を設置してローラ37を組み入れ(ステップ305)、組み入れ完了後(ステップ306:YES)、第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付け(ステップ307)、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外し(ステップ308)、スライダ本体12を案内レール14に移動させる(ステップ309)。
【解決手段】仮軸24のレール底面側24eが上にくるようにスライダ本体12と仮軸24の天地を返し(ステップ302)、仮軸24の切り欠き部24dを移動してスライダ本体12の第2流路のローラ軌道面12bに開放部12dを形成し(ステップ303)、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’の設置面12cにローラ挿入冶具38を設置してローラ37を組み入れ(ステップ305)、組み入れ完了後(ステップ306:YES)、第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付け(ステップ307)、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外し(ステップ308)、スライダ本体12を案内レール14に移動させる(ステップ309)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、搬送等の産業機械においてリニアガイドとして用いられるローラを備えた直動案内装置およびその組立方法に関し、特に、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、搬送等の産業機械で使用される直動案内装置は、スライダに組み込まれた多数の転動体を案内レールに接触させて長手方向に滑らかな相対移動を実現している。転動体は、案内レールとスライダに設けられた軌道面を移動してスライダの長手方向両端のエンドキャップに設けた循環路で移動方向を変え、戻り通路を通ってもとの軌道面まで一周する。
【0003】
直動案内装置の組立方法としては、転動体を供給するパイプに空気の流入口を設けて溝に転動体を流し込み、最後にパイプに設けたスリットに押し板を挿入して転動体を押し込むもの(例えば、特許文献1参照)、側面に設けられた戻り通路の一部に転動体が脱出しないように蓋を設けて出し入れするもの(例えば、特許文献2参照)、およびエンドキャップを外すまたはエンドキャップに挿入孔を設けてローラを組み立てるものなどがある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−283032号公報
【特許文献2】実開平5−8037号公報
【特許文献3】特許第3299450号公報
【特許文献4】特許第4561087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、組立状態の確認がパイプの中にボールが残るかどうかだけでしか判断できず、循環路内の様子を確認することができない。また、組み入れ不良が発生した場合、一度分解して組み入れ前の状態に戻す必要がある。特許文献2では、転動体がローラの場合、側面に設けられた蓋からローラを組み入れるときに、ローラの角度によっては、フランジ部によりローラを挿入するための治具を設置する空間が塞がれるため、作業性を考慮するとフランジ形状が制限される。
【0006】
特許文献3では、ローラの組み入れに不良があった場合、組み入れ中であればローラチェインを外す必要があり、組立後の出荷検査時などで組み入れ不良が発見された場合は、エンドキャップも取り外す必要があり、手間がかかる。特許文献4では、同じく組み入れ不良があった場合、挿入孔からの作業になってしまい手間がかかる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の直動案内装置は、長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面が、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、前記スライダ本体の長手方向両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連通する循環路が設けられたエンドキャップと、前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成された案内レールと、ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、前記案内レールの片方の端部において、前記案内レール底面側の凸部分を一部切除して切り欠き部を形成した仮軸を備え、前記スライダ本体に装着した前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体に移動させて前記第2流路のローラ軌道面に開放部を形成し、前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の直動案内装置の組立方法は、長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、前記スライダ本体の長手方向に両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連結するエンドキャップと、前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、長手方向の片方の端部において、レール底面側の凸部分の一部を切除して切り欠き部を形成した仮軸と、ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、両端にエンドキャップを取り付けた前記スライダ本体に前記仮軸を装着する工程と、前記仮軸のレール底面側が上にくるように前記スライダ本体と前記仮軸の天地を返す工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体まで移動して前記切り欠き部によって前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面に開放部を形成する工程と、前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に前記冶具を装着する工程と、前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れる工程を実施し、
前記ローラの組み入れ完了後、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程、または、前記ローラの組み入れ完了後、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程と、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る直動案内装置の斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る直動案内装置の長手方向と垂直な方向の断面図
【図3】本発明の実施形態に係る直動案内装置の組立方法を示すフロー図
【図4】本発明の実施形態に係る仮軸を示す図(a)仮軸の切り欠き部側の正面図、(b)仮軸の長手方向の側面図
【図5】本発明の実施形態に係るローラを組み入れ中の直動案内装置の長手方向と垂直な断面の模擬図
【図6】本発明の実施形態に係るローラの組み入れ中と組立終了後の直動案内装置を上側から見た図(a)ローラの組み入れ中の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図、(b)ローラの組立終了後の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図
【図7】本発明の実施形態に係るローラ挿入冶具を示す図(a)ローラ挿入冶具を挿入口から見た正面図、(b)ローラ挿入冶具の長手方向の側面図
【図8】本発明の実施形態に係るスライダ本体にローラを組み込む様子を表す図(a)第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に直接ローラを組み込む様子を表す図、(b)第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に確認カバーを設けてローラを組み込む様子を表す図
【図9】本発明の他の実施形態に係る戻り通路を示す断面図(a)スライダ本体に貫通孔を設けて戻り通路を形成した例を示す図(b)貫通孔を設けて戻り通路を形成した別部材をスライダ本体に取り付けた例を示す図
【図10】本発明の他の実施形態に係る戻り通路形成部材の取り付けカバーの固定方法を示す図(a)長い取り付けカバーを2点で螺子止めして戻り通路形成部材を覆った例を示す図、(b)両先端が曲がった取り付けカバーによって戻り通路形成部材を覆った例を示す図
【図11】本発明の他の実施形態に係る設置面の形状を示す図(a)ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に低くなっていく例を示す図(b)ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に高くなっていく例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の長手方向と垂直な方向の断面図である。図1および図2に示すように、直動案内装置11は、ローラを組み入れるスライダ本体12と、スライダ本体12の長手方向両端に取り付けられたエンドキャップ13と、スライダ本体12を相対移動可能に跨架させる案内レール14と、を備えている。スライダ本体12、案内レール14、およびローラは、合金鋼などの金属材料からなり、ローラは、円筒形状に形成されている。
【0013】
図2に示すように、スライダ本体12の長手方向の両内側上部には、第1流路のローラ軌道面12aおよび両内側下部には第2流路のローラ軌道面12bが、両外側上部には、第2流路の戻り通路12b’および両外側下部には第1流路の戻り通路12a’がそれぞれ形成される。
【0014】
両外側上部の第2流路の戻り通路12b’および両外側下部の第1流路の戻り通路12a’は、戻り通路形成部材15をスライダ本体12に取り付けて形成され、スライダ本体12両外側下部の第1流路の戻り通路12a’は外に向けて開放されその両脇には、それぞれ設置面12cが設けられ、ローラの組み入れが完了すると第1流路の戻り通路12a’を覆うように取り付けカバー16が取り付けられる。戻り通路形成部材15は、スライダ本体12に螺子等によって固定される。
【0015】
図1に示すエンドキャップ13には、スライダ本体12の内側上部に形成された第1流路のローラ軌道面12aと外側下部に形成された第1流路の戻り通路12a’および内側下部に形成された第2流路のローラ軌道面12bと外側上部に形成された第2流路の戻り通路12b’の上下がスライダ本体12の内側と外側で入れ替わるように循環路が形成されている。
【0016】
案内レール14の長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面14aが、両側下部には、第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面14bがそれぞれ形成される。
【0017】
取り付けカバー16は、ローラの組み入れ後、下部の第1流路の戻り通路12a’を覆ってローラを保持するもので、上部の第2流路の戻り通路12b’と下部の第1流路の戻り通路12a’の間に折れ曲がった片方の先端を差し込み、反対側の他端を螺子でスライダ本体12の底辺中央に固定される。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の組立方法を示すフロー図である。図3に示すように、初めに、スライダ本体12にエンドキャップに13を取り付け、仮軸24を装着し(ステップ301)、仮軸24のレール底面側がスライダ本体12の上にくるように天地を返す(ステップ302)。なお、スライダ本体12の天地を返してから仮軸24を装着するようにしてもよい。
【0019】
図4は、本発明の実施形態に係る仮軸を示す図であり、図4(a)は、仮軸の切り欠き部側の正面図、図4(b)は、仮軸の長手方向の側面図である。図4に示すように、仮軸24は、案内レール14とほぼ同一の形状を有し、案内レール14の長手方向の片方の端部において、レール底面側24eの凸部分を一部切除して切り欠き部24dが形成され、長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面24bが、両側下部には、第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面24aがそれぞれ形成される。
【0020】
仮軸24の第1流路のローラ軌道面24aおよび第2流路のローラ軌道面24bは、ローラ37との間に隙間ができるように案内レール14の第1流路のローラ軌道面14aおよび第2流路のローラ軌道面14bより大きく形成されており、組み入れ中第1流路および第2流路にローラ37をスムーズに循環させることができる。
【0021】
図5は、本発明の実施形態に係るローラを組み入れ中の直動案内装置の長手方向と垂直な断面の模擬図である。図5に示すように、直動案内装置21は、スライダ本体12に仮軸24が装着された状態で仮軸24のレール底面側24eが上にくるように天地が逆になっている。
【0022】
直動案内装置21の上下関係は逆転し、仮軸24の長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面24bが、両側下部には、第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面24aがそれぞれ形成され、スライダ本体12の両外側上部には戻り通路形成部材15によって形成された第1流路の戻り通路12a’が外に向かって斜めに開放され、両内側上部には第2流路のローラ軌道面12bが存在する。
【0023】
続いて、スライダ本体12を仮軸24の切り欠き部24dの位置に移動させると(ステップ303)、図5に示すように、仮軸24の切り欠き部24dによってスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bに外に向かって斜めに開放される開放部12dが形成される。
【0024】
図6は、本発明の実施形態に係るローラの組み入れ中と組立終了後の直動案内装置を上側から見た図、図6(a)は、ローラの組み入れ中の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図、および図6(b)は、ローラの組立終了後の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図である。
【0025】
図6(a)に示すように、直動案内装置21の上から、スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’およびスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dが斜めに開放され、その両脇にはそれぞれ設置面12cがある。
【0026】
図5に示すように、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび両外側の第1流路の戻り通路12a’の両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付け(ステップ304)、同一方向に並べて一列に収容したローラ37を第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’にR方向から組み入れる(ステップ305)。設置面12cは、ローラ37を組み入れた状態でローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、そこから対象な角度になるよう設けられる。
【0027】
図7は、本発明の実施形態に係るローラ挿入冶具を示す図である。図7(a)は、ローラ挿入冶具を挿入口から見た正面図、図7(b)は、ローラ挿入冶具の長手方向の側面図である。図7に示すように、ローラ挿入冶具38は、先端に第2流路のローラ軌道面12bおよび第1流路の戻り通路12a’の底辺に接触して安定する凸部38aと、第2流路のローラ軌道面12bおよび第1流路の戻り通路12a’の設置面12cと接触して仮軸24の設置角度を定める左右対称な枠部38cを設けてある。
【0028】
図8は、本発明の実施形態に係るスライダ本体にローラを組み込む様子を表す図であり。図8(a)は、第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に直接ローラを組み込む様子を表す図、図8(b)は、第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に確認カバーを設けてローラを組み込む様子を表す図である。
【0029】
図8(a)に示すように、先端凸部38aをスライダ12本体の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dまたは第1流路の戻り通路12a’に挿入し、スライダ12本体の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dまたは第1流路の戻り通路12a’の周辺の設置面12cとローラ挿入治具38の枠部38cを面接触させローラ挿入治具38の先端角度fに従ってローラ37の転がり方向に対してローラ挿入治具38をセットする。スライダ12本体に対するローラ挿入治具38の設置角度は、ローラ挿入治具38の先端角度fによって決まる。
【0030】
なお、設置面12cがローラ27断面の中心線上に対して対称であるため、挿入治具38のセットの向きと180度反対の向きでもよい。そのため、ローラ挿入治具38をセットするときのミスが減少し、ローラ37はスムーズに第1流路および第2流路に組み入れられる。また、外に向かって斜めに開放されるスライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’および両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dによってローラ38の組み入れ状態を容易に確認できる。
【0031】
スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’および両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dは、外に向かって斜めに開放されているので、組み入れ時のトラブルに対する対策も容易であり、確認作業も目視できるため、作業性が良い。
【0032】
図8(b)に示すように、透明な確認カバー46を取り付ければ、ローラ37挿入の際、確認カバー46より、ローラ37が互い違いになり浮き上がってくることを抑制できるため、ローラ37の挿入がよりスムーズに行える。確認カバー46にピンセットの先が入る程度のスリットを設ければ、ピンセットなどを利用し、ローラ37を移動させることができるので、組み入れがさらにスムーズになる。また、透明な確認カバー46によってローラ37が問題なく組み込まれているかを確認することもできる。
【0033】
ローラ37の組み入れが終了するまで(ステップ306:NO)、ステップ305に戻ってローラ37の組み入れ処理を継続し(ステップ305)、予定数のローラ37の組み入れが完了するか、またはローラ挿入治具38をローラの転がるR方向と反対方向から組み込んだローラ37が一周して戻ってきたことが確認できると、ローラ37の組み入れが完了する。
【0034】
ローラ37の組み入れが完了すると(ステップ306:YES)、スライダ本体12の両外側の第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付け(ステップ307)、図5(b)に示すように、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外し(ステップ308)、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dを仮軸24のレールによって閉鎖して、スライダ本体12の組立が完成する。
【0035】
なお、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外してから(ステップ308)、スライダ本体12の両外側の第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付けるようにしてもよい(ステップ307)。
【0036】
最後に、スライダ本体12を仮軸24から案内レール14に移動させ(ステップ309)、直動案内装置21の組立が終了する。
【0037】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態によれば、戻り通路形成部材15をスライダ本体12に取り付けて第1流路の戻り通路12a’を形成して仮軸37が上にくるように天地を逆にしたので、スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’が外に向けて開放され、第1流路の戻り通路12a’の両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付けて第1流路にローラ37を組み入れることが可能になり、第1流路のローラ37の組み入れ状態を目視によって確認することができた。
【0038】
また、本発明によれば、長手方向の片方の端部において切り欠き部24dを形成した仮軸24を装着して仮軸37が上にくるように天地を逆にし、スライダ本体12を仮軸24の切り欠き部24dの位置に移動したので、仮軸24の切り欠き部24dによってスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bに外に向かって斜めに開放される開放部12dが形成され、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dの両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付け、第2流路に開放部12dからローラ37を組み入れることが可能になり、第2流路のローラ37の組み入れ状態を目視によって確認することができた。
【0039】
例えば、ローラ37が90度回転して組み入れられるなどの組み入れ不良があった場合でも、エンドキャップを外すことなく、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’を利用してローラ37を入れ直すなどの修復作業を速やかに行うことができる。
【0040】
さらに、本発明によれば、仮軸24のレール底面側24eのスライダ本体12の第1流路の戻り通路12a’および第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dにローラ挿入冶具38を設置してローラ37の組み入れを行うため、ローラ挿入冶具38がベアリングのフランジ部に影響されることがなく、直動案内装置11のフランジの形状に制限がない。
【0041】
図9は、本発明の他の実施形態に係る戻り通路を示す断面図であり、図9(a)は、スライダ本体に貫通孔を設けて戻り通路を形成した例を示す図、図9(b)は、貫通孔を設けて戻り通路を形成した別の通路形成部材をスライダ本体に取り付けた例を示す図である。
【0042】
図9(a)に示すように、スライダ12本体に第2流路の戻り通路12b’となる貫通孔51を設けて戻り通路を形成してもよい。スライダ12本体に貫通孔51を設ける場合、スライダ本体12は、合金鋼などの金属材料からなるため、円形の貫通孔51を空けた後で、プラスチックなどで第2流路の戻り通路12b’を形成する。また、図9(b)に示すように、戻り通路形成部材55としてプラスチックなどの加工し易い材料を用い、第1流路の戻り通路12a’および第2流路の戻り通路12b’の2つの貫通孔52、53を形成した戻り通路形成部材55をスライダ本体12に取付けるようにしてもよい。
【0043】
図10は、本発明の他の実施形態に係る戻り通路形成部材の取り付けカバーの固定方法を示す図であり、図10(a)は、長い取り付けカバーを2点で螺子止めして戻り通路形成部材を覆った例を示す図、図10(b)は、両先端が曲がった取り付けカバーによって戻り通路形成部材を覆った例を示す図である。
【0044】
図10(a)は、両外側上部の第2流路の戻り通路12b’と両外側下部の第1流路の戻り通路12a’の間と、スライダ本体12の底辺中央の2点で長い取り付けカバー66を螺子止めして両外側下部の第1流路の戻り通路12a’を覆った例であり、図10(b)は、両外側上部の第2流路の戻り通路12b’と両外側下部の第1流路の戻り通路12a’の間に設けた溝と、スライダ本体12の底辺中央に設けた溝の2箇所に、両先端が曲がった取り付けカバー76の先端をスライダ本体12の長手方向と垂直な側面から長手方向に差し込んで両外側下部の第1流路の戻り通路12a’を覆った例である。ローラ37が脱落せず、異物が入らないよう固定されれば、戻り通路形成部材15の取り付けカバーの形状およびその取り付け方は、他の実施形態でもよい。
【0045】
図11は、本発明の他の実施形態に係る設置面の形状を示す図である。図11(a)は、ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に低くなっていく例を示す図、図11(b)は、ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に高くなっていく例を示す図である。
【0046】
図11(a)に示す設置面82cは、ローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、周辺に対して対象な角度で徐々に低くなるように設けられ、図11(b)に示す設置面83cは、ローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、周辺に対して対象な角度で徐々に高くなるように設けられる。
【符号の説明】
【0047】
11・・・直動案内装置
12・・・スライダ本体
12a・・・第1流路のローラ軌道面
12b・・・第2流路のローラ軌道面
12a’・・・第1流路の戻り通路
12b’・・・第2流路の戻り通路
12c・・・設置面
12d・・・開放部
13・・・エンドキャップ
14・・・案内レール
14a・・・第1流路のローラ軌道面
14b・・・第2流路のローラ軌道面
15、55・・・戻り通路形成部材
16、66、76・・・取り付けカバー
24・・・仮軸
24a・・・第1流路のローラ軌道面
24b・・・第2流路のローラ軌道面
24d・・・切り欠き部
24e・・・レール底面側
37・・・ローラ
38・・・ローラ挿入冶具
38a・・・凸部
38c・・・枠部
46・・・確認カバー
51、52、53・・・貫通孔
R・・・ローラの転がる方向
f・・・ローラ挿入冶具と第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路12a’のなす角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、搬送等の産業機械においてリニアガイドとして用いられるローラを備えた直動案内装置およびその組立方法に関し、特に、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、搬送等の産業機械で使用される直動案内装置は、スライダに組み込まれた多数の転動体を案内レールに接触させて長手方向に滑らかな相対移動を実現している。転動体は、案内レールとスライダに設けられた軌道面を移動してスライダの長手方向両端のエンドキャップに設けた循環路で移動方向を変え、戻り通路を通ってもとの軌道面まで一周する。
【0003】
直動案内装置の組立方法としては、転動体を供給するパイプに空気の流入口を設けて溝に転動体を流し込み、最後にパイプに設けたスリットに押し板を挿入して転動体を押し込むもの(例えば、特許文献1参照)、側面に設けられた戻り通路の一部に転動体が脱出しないように蓋を設けて出し入れするもの(例えば、特許文献2参照)、およびエンドキャップを外すまたはエンドキャップに挿入孔を設けてローラを組み立てるものなどがある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−283032号公報
【特許文献2】実開平5−8037号公報
【特許文献3】特許第3299450号公報
【特許文献4】特許第4561087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、組立状態の確認がパイプの中にボールが残るかどうかだけでしか判断できず、循環路内の様子を確認することができない。また、組み入れ不良が発生した場合、一度分解して組み入れ前の状態に戻す必要がある。特許文献2では、転動体がローラの場合、側面に設けられた蓋からローラを組み入れるときに、ローラの角度によっては、フランジ部によりローラを挿入するための治具を設置する空間が塞がれるため、作業性を考慮するとフランジ形状が制限される。
【0006】
特許文献3では、ローラの組み入れに不良があった場合、組み入れ中であればローラチェインを外す必要があり、組立後の出荷検査時などで組み入れ不良が発見された場合は、エンドキャップも取り外す必要があり、手間がかかる。特許文献4では、同じく組み入れ不良があった場合、挿入孔からの作業になってしまい手間がかかる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の直動案内装置は、長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面が、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、前記スライダ本体の長手方向両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連通する循環路が設けられたエンドキャップと、前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成された案内レールと、ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、前記案内レールの片方の端部において、前記案内レール底面側の凸部分を一部切除して切り欠き部を形成した仮軸を備え、前記スライダ本体に装着した前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体に移動させて前記第2流路のローラ軌道面に開放部を形成し、前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の直動案内装置の組立方法は、長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、前記スライダ本体の長手方向に両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連結するエンドキャップと、前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、長手方向の片方の端部において、レール底面側の凸部分の一部を切除して切り欠き部を形成した仮軸と、ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、両端にエンドキャップを取り付けた前記スライダ本体に前記仮軸を装着する工程と、前記仮軸のレール底面側が上にくるように前記スライダ本体と前記仮軸の天地を返す工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体まで移動して前記切り欠き部によって前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面に開放部を形成する工程と、前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に前記冶具を装着する工程と、前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れる工程を実施し、
前記ローラの組み入れ完了後、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程、または、前記ローラの組み入れ完了後、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程と、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程を実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローラの組み入れおよび組み入れ状態の確認が容易な直動案内装置およびその組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る直動案内装置の斜視図
【図2】本発明の実施形態に係る直動案内装置の長手方向と垂直な方向の断面図
【図3】本発明の実施形態に係る直動案内装置の組立方法を示すフロー図
【図4】本発明の実施形態に係る仮軸を示す図(a)仮軸の切り欠き部側の正面図、(b)仮軸の長手方向の側面図
【図5】本発明の実施形態に係るローラを組み入れ中の直動案内装置の長手方向と垂直な断面の模擬図
【図6】本発明の実施形態に係るローラの組み入れ中と組立終了後の直動案内装置を上側から見た図(a)ローラの組み入れ中の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図、(b)ローラの組立終了後の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図
【図7】本発明の実施形態に係るローラ挿入冶具を示す図(a)ローラ挿入冶具を挿入口から見た正面図、(b)ローラ挿入冶具の長手方向の側面図
【図8】本発明の実施形態に係るスライダ本体にローラを組み込む様子を表す図(a)第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に直接ローラを組み込む様子を表す図、(b)第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に確認カバーを設けてローラを組み込む様子を表す図
【図9】本発明の他の実施形態に係る戻り通路を示す断面図(a)スライダ本体に貫通孔を設けて戻り通路を形成した例を示す図(b)貫通孔を設けて戻り通路を形成した別部材をスライダ本体に取り付けた例を示す図
【図10】本発明の他の実施形態に係る戻り通路形成部材の取り付けカバーの固定方法を示す図(a)長い取り付けカバーを2点で螺子止めして戻り通路形成部材を覆った例を示す図、(b)両先端が曲がった取り付けカバーによって戻り通路形成部材を覆った例を示す図
【図11】本発明の他の実施形態に係る設置面の形状を示す図(a)ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に低くなっていく例を示す図(b)ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に高くなっていく例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の長手方向と垂直な方向の断面図である。図1および図2に示すように、直動案内装置11は、ローラを組み入れるスライダ本体12と、スライダ本体12の長手方向両端に取り付けられたエンドキャップ13と、スライダ本体12を相対移動可能に跨架させる案内レール14と、を備えている。スライダ本体12、案内レール14、およびローラは、合金鋼などの金属材料からなり、ローラは、円筒形状に形成されている。
【0013】
図2に示すように、スライダ本体12の長手方向の両内側上部には、第1流路のローラ軌道面12aおよび両内側下部には第2流路のローラ軌道面12bが、両外側上部には、第2流路の戻り通路12b’および両外側下部には第1流路の戻り通路12a’がそれぞれ形成される。
【0014】
両外側上部の第2流路の戻り通路12b’および両外側下部の第1流路の戻り通路12a’は、戻り通路形成部材15をスライダ本体12に取り付けて形成され、スライダ本体12両外側下部の第1流路の戻り通路12a’は外に向けて開放されその両脇には、それぞれ設置面12cが設けられ、ローラの組み入れが完了すると第1流路の戻り通路12a’を覆うように取り付けカバー16が取り付けられる。戻り通路形成部材15は、スライダ本体12に螺子等によって固定される。
【0015】
図1に示すエンドキャップ13には、スライダ本体12の内側上部に形成された第1流路のローラ軌道面12aと外側下部に形成された第1流路の戻り通路12a’および内側下部に形成された第2流路のローラ軌道面12bと外側上部に形成された第2流路の戻り通路12b’の上下がスライダ本体12の内側と外側で入れ替わるように循環路が形成されている。
【0016】
案内レール14の長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面14aが、両側下部には、第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面14bがそれぞれ形成される。
【0017】
取り付けカバー16は、ローラの組み入れ後、下部の第1流路の戻り通路12a’を覆ってローラを保持するもので、上部の第2流路の戻り通路12b’と下部の第1流路の戻り通路12a’の間に折れ曲がった片方の先端を差し込み、反対側の他端を螺子でスライダ本体12の底辺中央に固定される。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係る直動案内装置の組立方法を示すフロー図である。図3に示すように、初めに、スライダ本体12にエンドキャップに13を取り付け、仮軸24を装着し(ステップ301)、仮軸24のレール底面側がスライダ本体12の上にくるように天地を返す(ステップ302)。なお、スライダ本体12の天地を返してから仮軸24を装着するようにしてもよい。
【0019】
図4は、本発明の実施形態に係る仮軸を示す図であり、図4(a)は、仮軸の切り欠き部側の正面図、図4(b)は、仮軸の長手方向の側面図である。図4に示すように、仮軸24は、案内レール14とほぼ同一の形状を有し、案内レール14の長手方向の片方の端部において、レール底面側24eの凸部分を一部切除して切り欠き部24dが形成され、長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面24bが、両側下部には、第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面24aがそれぞれ形成される。
【0020】
仮軸24の第1流路のローラ軌道面24aおよび第2流路のローラ軌道面24bは、ローラ37との間に隙間ができるように案内レール14の第1流路のローラ軌道面14aおよび第2流路のローラ軌道面14bより大きく形成されており、組み入れ中第1流路および第2流路にローラ37をスムーズに循環させることができる。
【0021】
図5は、本発明の実施形態に係るローラを組み入れ中の直動案内装置の長手方向と垂直な断面の模擬図である。図5に示すように、直動案内装置21は、スライダ本体12に仮軸24が装着された状態で仮軸24のレール底面側24eが上にくるように天地が逆になっている。
【0022】
直動案内装置21の上下関係は逆転し、仮軸24の長手方向の両側上部には、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bに対向する第2流路のローラ軌道面24bが、両側下部には、第1流路のローラ軌道面12aに対向する第1流路のローラ軌道面24aがそれぞれ形成され、スライダ本体12の両外側上部には戻り通路形成部材15によって形成された第1流路の戻り通路12a’が外に向かって斜めに開放され、両内側上部には第2流路のローラ軌道面12bが存在する。
【0023】
続いて、スライダ本体12を仮軸24の切り欠き部24dの位置に移動させると(ステップ303)、図5に示すように、仮軸24の切り欠き部24dによってスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bに外に向かって斜めに開放される開放部12dが形成される。
【0024】
図6は、本発明の実施形態に係るローラの組み入れ中と組立終了後の直動案内装置を上側から見た図、図6(a)は、ローラの組み入れ中の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図、および図6(b)は、ローラの組立終了後の仮軸と直動案内装置の位置を説明する図である。
【0025】
図6(a)に示すように、直動案内装置21の上から、スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’およびスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dが斜めに開放され、その両脇にはそれぞれ設置面12cがある。
【0026】
図5に示すように、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび両外側の第1流路の戻り通路12a’の両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付け(ステップ304)、同一方向に並べて一列に収容したローラ37を第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’にR方向から組み入れる(ステップ305)。設置面12cは、ローラ37を組み入れた状態でローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、そこから対象な角度になるよう設けられる。
【0027】
図7は、本発明の実施形態に係るローラ挿入冶具を示す図である。図7(a)は、ローラ挿入冶具を挿入口から見た正面図、図7(b)は、ローラ挿入冶具の長手方向の側面図である。図7に示すように、ローラ挿入冶具38は、先端に第2流路のローラ軌道面12bおよび第1流路の戻り通路12a’の底辺に接触して安定する凸部38aと、第2流路のローラ軌道面12bおよび第1流路の戻り通路12a’の設置面12cと接触して仮軸24の設置角度を定める左右対称な枠部38cを設けてある。
【0028】
図8は、本発明の実施形態に係るスライダ本体にローラを組み込む様子を表す図であり。図8(a)は、第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に直接ローラを組み込む様子を表す図、図8(b)は、第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に確認カバーを設けてローラを組み込む様子を表す図である。
【0029】
図8(a)に示すように、先端凸部38aをスライダ12本体の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dまたは第1流路の戻り通路12a’に挿入し、スライダ12本体の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dまたは第1流路の戻り通路12a’の周辺の設置面12cとローラ挿入治具38の枠部38cを面接触させローラ挿入治具38の先端角度fに従ってローラ37の転がり方向に対してローラ挿入治具38をセットする。スライダ12本体に対するローラ挿入治具38の設置角度は、ローラ挿入治具38の先端角度fによって決まる。
【0030】
なお、設置面12cがローラ27断面の中心線上に対して対称であるため、挿入治具38のセットの向きと180度反対の向きでもよい。そのため、ローラ挿入治具38をセットするときのミスが減少し、ローラ37はスムーズに第1流路および第2流路に組み入れられる。また、外に向かって斜めに開放されるスライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’および両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dによってローラ38の組み入れ状態を容易に確認できる。
【0031】
スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’および両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dは、外に向かって斜めに開放されているので、組み入れ時のトラブルに対する対策も容易であり、確認作業も目視できるため、作業性が良い。
【0032】
図8(b)に示すように、透明な確認カバー46を取り付ければ、ローラ37挿入の際、確認カバー46より、ローラ37が互い違いになり浮き上がってくることを抑制できるため、ローラ37の挿入がよりスムーズに行える。確認カバー46にピンセットの先が入る程度のスリットを設ければ、ピンセットなどを利用し、ローラ37を移動させることができるので、組み入れがさらにスムーズになる。また、透明な確認カバー46によってローラ37が問題なく組み込まれているかを確認することもできる。
【0033】
ローラ37の組み入れが終了するまで(ステップ306:NO)、ステップ305に戻ってローラ37の組み入れ処理を継続し(ステップ305)、予定数のローラ37の組み入れが完了するか、またはローラ挿入治具38をローラの転がるR方向と反対方向から組み込んだローラ37が一周して戻ってきたことが確認できると、ローラ37の組み入れが完了する。
【0034】
ローラ37の組み入れが完了すると(ステップ306:YES)、スライダ本体12の両外側の第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付け(ステップ307)、図5(b)に示すように、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外し(ステップ308)、スライダ本体12の両内側の第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dを仮軸24のレールによって閉鎖して、スライダ本体12の組立が完成する。
【0035】
なお、仮軸24を移動して切り欠き部24dをスライダ本体12から外してから(ステップ308)、スライダ本体12の両外側の第1流路の戻り通路12a’に取り付けカバー16を取り付けるようにしてもよい(ステップ307)。
【0036】
最後に、スライダ本体12を仮軸24から案内レール14に移動させ(ステップ309)、直動案内装置21の組立が終了する。
【0037】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態によれば、戻り通路形成部材15をスライダ本体12に取り付けて第1流路の戻り通路12a’を形成して仮軸37が上にくるように天地を逆にしたので、スライダ本体12の両外側上部の第1流路の戻り通路12a’が外に向けて開放され、第1流路の戻り通路12a’の両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付けて第1流路にローラ37を組み入れることが可能になり、第1流路のローラ37の組み入れ状態を目視によって確認することができた。
【0038】
また、本発明によれば、長手方向の片方の端部において切り欠き部24dを形成した仮軸24を装着して仮軸37が上にくるように天地を逆にし、スライダ本体12を仮軸24の切り欠き部24dの位置に移動したので、仮軸24の切り欠き部24dによってスライダ本体12の両内側上部の第2流路のローラ軌道面12bに外に向かって斜めに開放される開放部12dが形成され、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dの両脇の設置面12cにローラ挿入冶具38を取り付け、第2流路に開放部12dからローラ37を組み入れることが可能になり、第2流路のローラ37の組み入れ状態を目視によって確認することができた。
【0039】
例えば、ローラ37が90度回転して組み入れられるなどの組み入れ不良があった場合でも、エンドキャップを外すことなく、第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dおよび第1流路の戻り通路12a’を利用してローラ37を入れ直すなどの修復作業を速やかに行うことができる。
【0040】
さらに、本発明によれば、仮軸24のレール底面側24eのスライダ本体12の第1流路の戻り通路12a’および第2流路のローラ軌道面12bの開放部12dにローラ挿入冶具38を設置してローラ37の組み入れを行うため、ローラ挿入冶具38がベアリングのフランジ部に影響されることがなく、直動案内装置11のフランジの形状に制限がない。
【0041】
図9は、本発明の他の実施形態に係る戻り通路を示す断面図であり、図9(a)は、スライダ本体に貫通孔を設けて戻り通路を形成した例を示す図、図9(b)は、貫通孔を設けて戻り通路を形成した別の通路形成部材をスライダ本体に取り付けた例を示す図である。
【0042】
図9(a)に示すように、スライダ12本体に第2流路の戻り通路12b’となる貫通孔51を設けて戻り通路を形成してもよい。スライダ12本体に貫通孔51を設ける場合、スライダ本体12は、合金鋼などの金属材料からなるため、円形の貫通孔51を空けた後で、プラスチックなどで第2流路の戻り通路12b’を形成する。また、図9(b)に示すように、戻り通路形成部材55としてプラスチックなどの加工し易い材料を用い、第1流路の戻り通路12a’および第2流路の戻り通路12b’の2つの貫通孔52、53を形成した戻り通路形成部材55をスライダ本体12に取付けるようにしてもよい。
【0043】
図10は、本発明の他の実施形態に係る戻り通路形成部材の取り付けカバーの固定方法を示す図であり、図10(a)は、長い取り付けカバーを2点で螺子止めして戻り通路形成部材を覆った例を示す図、図10(b)は、両先端が曲がった取り付けカバーによって戻り通路形成部材を覆った例を示す図である。
【0044】
図10(a)は、両外側上部の第2流路の戻り通路12b’と両外側下部の第1流路の戻り通路12a’の間と、スライダ本体12の底辺中央の2点で長い取り付けカバー66を螺子止めして両外側下部の第1流路の戻り通路12a’を覆った例であり、図10(b)は、両外側上部の第2流路の戻り通路12b’と両外側下部の第1流路の戻り通路12a’の間に設けた溝と、スライダ本体12の底辺中央に設けた溝の2箇所に、両先端が曲がった取り付けカバー76の先端をスライダ本体12の長手方向と垂直な側面から長手方向に差し込んで両外側下部の第1流路の戻り通路12a’を覆った例である。ローラ37が脱落せず、異物が入らないよう固定されれば、戻り通路形成部材15の取り付けカバーの形状およびその取り付け方は、他の実施形態でもよい。
【0045】
図11は、本発明の他の実施形態に係る設置面の形状を示す図である。図11(a)は、ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に低くなっていく例を示す図、図11(b)は、ローラと同じ高さから始まり周辺の設置面が徐々に高くなっていく例を示す図である。
【0046】
図11(a)に示す設置面82cは、ローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、周辺に対して対象な角度で徐々に低くなるように設けられ、図11(b)に示す設置面83cは、ローラ37の断面方向の中心線上に対して、ローラ37側から同じ高さで始まり、周辺に対して対象な角度で徐々に高くなるように設けられる。
【符号の説明】
【0047】
11・・・直動案内装置
12・・・スライダ本体
12a・・・第1流路のローラ軌道面
12b・・・第2流路のローラ軌道面
12a’・・・第1流路の戻り通路
12b’・・・第2流路の戻り通路
12c・・・設置面
12d・・・開放部
13・・・エンドキャップ
14・・・案内レール
14a・・・第1流路のローラ軌道面
14b・・・第2流路のローラ軌道面
15、55・・・戻り通路形成部材
16、66、76・・・取り付けカバー
24・・・仮軸
24a・・・第1流路のローラ軌道面
24b・・・第2流路のローラ軌道面
24d・・・切り欠き部
24e・・・レール底面側
37・・・ローラ
38・・・ローラ挿入冶具
38a・・・凸部
38c・・・枠部
46・・・確認カバー
51、52、53・・・貫通孔
R・・・ローラの転がる方向
f・・・ローラ挿入冶具と第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路12a’のなす角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面が、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、
前記スライダ本体の長手方向両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連通する循環路が設けられたエンドキャップと、
前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成された案内レールと、
ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、
前記案内レールの片方の端部において、前記案内レール底面側の凸部分を一部切除して切り欠き部を形成した仮軸を備え、
前記スライダ本体に装着した前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体に移動させて前記第2流路のローラ軌道面に開放部を形成し、
前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記スライダ本体の両外側下部の前記第1流路の戻り通路は、前記スライダ本体に戻り通路形成部材を取り付けることによって形成され、前記第1流路の戻り通路は、ローラの組み入れ完了後カバーが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部の両脇には、ローラと同じ高さで始まり前記ローラの中心線に対して対称な角度を設けて形成される設置面が設けられることを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置。
【請求項4】
前記冶具は、前記設置面に対応する形状を有し前記設置面と面接触する枠部と、第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部に面接触する凸部が設けられ、前記設置面に対して前記冶具の凸部および枠部の先端角度に従って前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部に設置されることを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
【請求項5】
長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、
前記スライダ本体の長手方向に両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連結するエンドキャップと、
前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、長手方向の片方の端部において、レール底面側の凸部分の一部を切除して切り欠き部を形成した仮軸と、
ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、
両端にエンドキャップを取り付けた前記スライダ本体に前記仮軸を装着する工程と、
前記仮軸のレール底面側が上にくるように前記スライダ本体と前記仮軸の天地を返す工程と、
前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体まで移動して前記切り欠き部によって前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面に開放部を形成する工程と、
前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に前記冶具を装着する工程と、
前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れる工程を実施し、
前記ローラの組み入れ完了後、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程、
または、前記ローラの組み入れ完了後、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程と、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程を実施することを特徴とする直動案内装置の組み立て方法。
【請求項6】
前記冶具を設置する工程において、前記冶具を第2流路のローラ軌道面の開放部および第1流路の戻り通路に前記ローラの転動方向に対して斜めに装着することを特徴とする請求項6に記載の直動案内装置の組み立て方法。
【請求項1】
長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面が、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、
前記スライダ本体の長手方向両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連通する循環路が設けられたエンドキャップと、
前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成された案内レールと、
ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、
前記案内レールの片方の端部において、前記案内レール底面側の凸部分を一部切除して切り欠き部を形成した仮軸を備え、
前記スライダ本体に装着した前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体に移動させて前記第2流路のローラ軌道面に開放部を形成し、
前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れることを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記スライダ本体の両外側下部の前記第1流路の戻り通路は、前記スライダ本体に戻り通路形成部材を取り付けることによって形成され、前記第1流路の戻り通路は、ローラの組み入れ完了後カバーが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部の両脇には、ローラと同じ高さで始まり前記ローラの中心線に対して対称な角度を設けて形成される設置面が設けられることを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置。
【請求項4】
前記冶具は、前記設置面に対応する形状を有し前記設置面と面接触する枠部と、第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部に面接触する凸部が設けられ、前記設置面に対して前記冶具の凸部および枠部の先端角度に従って前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面の開放部に設置されることを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
【請求項5】
長手方向の両内側上部に第1流路のローラ軌道面および両内側下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、両外側上部に前記第2流路の戻り通路および両外側下部に外に向かって開放された前記第1流路の戻り通路がそれぞれ形成されたスライダ本体と、
前記スライダ本体の長手方向に両端に取り付けられ前記第1流路のローラ軌道面と前記第1流路の戻り通路および前記第2流路のローラ軌道面と前記第2流路の戻り通路を連結するエンドキャップと、
前記スライダ本体を相対移動可能に跨架させ前記スライダ本体の両内側上部の第1流路のローラ軌道面および下部の第2流路のローラ軌道面に対向して長手方向の両側上部に第1流路のローラ軌道面および下部に第2流路のローラ軌道面がそれぞれ形成され、長手方向の片方の端部において、レール底面側の凸部分の一部を切除して切り欠き部を形成した仮軸と、
ローラを組み入れる冶具を備えた直動案内装置であって、
両端にエンドキャップを取り付けた前記スライダ本体に前記仮軸を装着する工程と、
前記仮軸のレール底面側が上にくるように前記スライダ本体と前記仮軸の天地を返す工程と、
前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体まで移動して前記切り欠き部によって前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面に開放部を形成する工程と、
前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面および第1流路の戻り通路に前記冶具を装着する工程と、
前記スライダ本体の前記第2流路のローラ軌道面の開放部および前記第1流路の戻り通路に前記冶具を設置してローラを組み入れる工程を実施し、
前記ローラの組み入れ完了後、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程と、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程、
または、前記ローラの組み入れ完了後、前記仮軸の切り欠き部を前記スライダ本体の第2流路のローラ軌道面の開放部から移動する工程と、前記第1流路の戻り通路にカバーを取り付ける工程を実施することを特徴とする直動案内装置の組み立て方法。
【請求項6】
前記冶具を設置する工程において、前記冶具を第2流路のローラ軌道面の開放部および第1流路の戻り通路に前記ローラの転動方向に対して斜めに装着することを特徴とする請求項6に記載の直動案内装置の組み立て方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−113410(P2013−113410A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262393(P2011−262393)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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