説明

直噴エンジンの燃料分配供給構造

【課題】複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造において、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制して、軽量化を図る。
【解決手段】燃料主供給管部20と燃料分配部21とを設ける。燃料分配部21は、カップ部22と、カップ部22と気筒列方向に並んで配置された締結ボス部23と、カップ部22の閉塞端部22cから燃料主供給管部20側に延びて燃料主供給管部20に接合された燃料分配管部24と、カップ部22から締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結された第1及び第2連結部25,26と、燃料分配管部24の燃料主供給管部20との接合部分24aから締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結され、燃料主供給管部20に接合された接合部27とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1の燃料分配供給構造は、直列4気筒エンジンのシリンダヘッドの右側に平行に延びるメインパイプ(燃料主供給管部)と、そのメインパイプからそれぞれ垂直に突出するように一体的に形成され、各気筒のインジェクタに向かって延びるインジェクタホルダとにより構成されている。各インジェクタホルダの先端部には、インジェクタの基端側を収容する収容孔が設けられている。また、その収容孔には、メインパイプ内の燃料通路から分岐する分配通路の先端が開口しており、高圧燃料ポンプからメインパイプに圧送された燃料は、燃料通路から各気筒毎に分配されて、分配通路を流通して収容孔に至り、この収容孔に臨むインジェクタの燃料導入口に供給され、このインジェクタから気筒の燃焼室に直接噴射される。さらに、各インジェクタホルダには、シリンダヘッドの台座に対応する位置に貫通孔が形成されていて、この貫通孔に締結ボルト(締結部材)が挿通されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−234560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、メインパイプ内の燃料はインジェクタホルダを経てインジェクタに供給され、そのインジェクタからエンジンの燃焼室に直接噴射されるが、このときの燃圧が極めて高いことから、インジェクタホルダには強い反力が作用する。このため、メインパイプに対し強いねじりモーメントが作用して、信頼性が低下する虞がある。
【0006】
この問題を解決するため、メインパイプの肉厚を厚くするなど、メインパイプに高剛性を持たせることが普通考えられるが、そうすると、メインパイプ、ひいては燃料分配供給構造の重量が重くなるという課題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造において、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制して、軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造であって、気筒列方向に延びる管状の燃料主供給管部と、上記燃料主供給管部の上記気筒側に上記各気筒に対応するように設けられた燃料分配部とを備えており、上記燃料分配部は、上記インジェクタの基端側が収容されるカップ部と、上記カップ部と気筒列方向に並んで配置され、エンジン取付用の締結部材が挿通される締結ボス部と、上記カップ部の閉塞端部から上記燃料主供給管部側に延びて該燃料主供給管部に接合された管状の燃料分配管部と、上記カップ部から上記締結ボス部側に延びて該締結ボス部に連結された第1連結部と、上記カップ部から上記締結ボス部側に延びて該締結ボス部における上記第1連結部との連結部分よりもボス軸方向の上記気筒側に連結された第2連結部と、上記燃料分配管部の上記燃料主供給管部との接合部分から上記締結ボス部側に延びて上記締結ボス部に連結され、上記燃料主供給管部に接合された接合部とを有していることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、燃料分配部は、インジェクタの基端側が収容されるカップ部と、このカップ部と気筒列方向に並んで配置され、エンジン取付用の締結部材が挿通される締結ボス部と、カップ部の閉塞端部から燃料主供給管部側に延びて燃料主供給管部に接合された管状の燃料分配管部と、カップ部から締結ボス部側に延びて締結ボス部に連結された第1連結部と、カップ部から締結ボス部側に延びて締結ボス部における第1連結部との連結部分よりもボス軸方向の気筒側に連結された第2連結部と、燃料分配管部の燃料主供給管部との接合部分から締結ボス部側に延びて締結ボス部に連結され、燃料主供給管部に接合された接合部とを有しているので、カップ部に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を第1及び第2連結部、燃料分配管部、並びに接合部を介して締結ボス部に分散させることができ、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制することができる。
【0010】
また、このように燃料分配部によって燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制するので、燃料主供給管部の肉厚を厚くするなど、燃料主供給管部に高剛性を持たせる必要がなくなり、燃料分配供給構造の軽量化を図ることができる。
【0011】
したがって、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制して、燃料分配供給構造の軽量化を図ることができる。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記燃料分配部は、一体に鋳造されてなる一体鋳造品であり、上記第1及び第2連結部の間には、空間部が形成されており、上記第1連結部と上記接合部との間には、空間部が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、第1及び第2連結部の間に空間部を形成するとともに、第1連結部と接合部との間に空間部を形成しているので、燃料分配部の軽量化を図ることができ、燃料分配供給構造の軽量化をさらに図ることができる。
【0014】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記カップ部は、その軸方向が上記締結ボス部の軸方向と平行でかつその開口端面が該締結ボス部のエンジン取付座面よりもカップ軸方向の上記気筒側に位置するように配置されており、上記第1連結部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びており、上記第2連結部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向と直交する方向に延びており、上記第1及び第2連結部は、上記カップ部側の端部が互いに結合されていることを特徴とするものである。
【0015】
これによれば、第1連結部は、カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びるとともに、第2連結部は、カップ部の閉塞端部からその軸方向と直交する方向に延び、第1及び第2連結部は、カップ部側の端部が互いに結合されているので、第1及び第2連結部のカップ部及び締結ボス部との連結部分を略直角三角形の位置関係をなす三点とすることができる。このため、カップ部に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を第1及び第2連結部を介して締結ボス部に効果的に分散させることができ、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのをさらに抑制することができる。
【0016】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記燃料分配管部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びており、上記接合部は、上記締結ボス部の外周面に接線状に連結されていることを特徴とするものである。
【0017】
これによれば、締結ボス部は、その軸方向がカップ部の軸方向と平行になるように配置されているが、燃料分配管部は、カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びているので、締結ボス部に締結部材を容易に挿通させることができ、燃料分配供給構造のエンジンへの取付性を維持することができる。
【0018】
また、接合部は、締結ボス部の外周面に接線状に連結されているので、カップ部に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を接合部を介して締結ボス部に効果的に分散させることができ、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制して、燃料分配供給構造の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料分配供給構造の直噴エンジンへの取付状態を示す概略断面図である。
【図2】直噴エンジンの燃料分配供給構造を示す上面図である。
【図3】直噴エンジンの燃料分配供給構造を示す正面図である。
【図4】直噴エンジンの燃料分配供給構造を示す下面図である。
【図5】燃料分配部を示す上面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図5のVII−VII線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料分配供給構造の直噴エンジンへの取付状態を示す断面図であり、このエンジン1は、複数の気筒がクランク軸の延びるエンジン前後方向(図1の紙面を貫く方向)に一列に並んだ直列多気筒エンジンであり、本実施形態では、直列4気筒エンジンである。エンジン1のシリンダヘッド10の吸気側には、各気筒毎にその燃焼室に向かって開口し、燃焼室側を小径とし燃焼室とは反対側を大径とする段付き孔からなる挿入孔10aが形成されており、この挿入孔10aには、インジェクタ(燃料噴射弁)11のノズル部11aが燃焼室に臨むように挿入固定されている。シリンダヘッド10の吸気側の側面には、金属製の燃料分配供給構造2が気筒列方向(クランク軸方向)に延びるように取付固定されている。
【0023】
尚、図1において、11bは挿入孔10aの小径部の内周面に対して密着するシール部材であり、11cは後述する燃料分配部21のカップ部22の収容孔22aとインジェクタ11との間に配置され、液密シールを行うOリングである。さらに、30はカップ部22の開口端面22bとインジェクタ11のコネクタ連結基部の座面11dとの間に配置され、インジェクタ11の燃焼室側からの筒内圧の反力を受け止めるスペーサーであり、このスペーサー30は弾発力を有するように両部材間に介装された板金成形品である。
【0024】
燃料分配供給構造2は、エンジン1の各気筒毎のインジェクタ11に高圧燃料を分配供給するようにしたものであって、図1〜図7に示すように、気筒列方向に延びる円管状の燃料主供給管部20と、この燃料主供給管部20の気筒側(エンジン1側)に各気筒に対応するように設けられた燃料分配部21とを備えている。
【0025】
燃料主供給管部20は、例えば、ステンレス鋼製の管材からなる。燃料主供給管部20には、その軸方向に延びる円状の燃料供給通路20aが形成されており、この燃料供給通路20aには、その軸方向一端部(図2では右端部)より高圧燃料ポンプ(図示せず)からの高圧燃料が導入されるようになっている。燃料主供給管部20の肉厚は比較的薄くなっており、例えば1.5mmである。
【0026】
上記各燃料分配部21は、ロストワックス法などの精密鋳造法によって一体に鋳造されてなる一体鋳造品である。このように燃料分配部21を精密鋳造法によって鋳造すると、燃料分配部21に正確な形状及び寸法を持たせながら、駄肉なくその軽量化を図ることができる。燃料分配部21は、燃料主供給管部20から垂直に突出してインジェクタ11に向かって延びるように配設されている。
【0027】
各燃料分配部21は、インジェクタ11の基端側が収容されるカップ部22と、このカップ部22と気筒列方向に並んで配置され、図示しないエンジン取付用の締結ボルト(締結部材)が挿通される締結ボス部23と、カップ部22の閉塞端部22cから燃料主供給管部20側に延びて燃料主供給管部20に接合された円管状の燃料分配管部24と、カップ部22から締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結された第1連結部25と、カップ部22から締結ボス部23側に延びて締結ボス部23における第1連結部25との連結部分よりもボス軸方向の気筒側に連結された第2連結部26と、燃料分配管部24の燃料主供給管部20との接合部分24aから締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結され、燃料主供給管部20に接合された接合部27とを有している。
【0028】
尚、4つの燃料分配部21,21,21,21のうち、図2〜図4における左側の2つと右側の2つは、各構成要素22〜27の配置が互いに対称になっているが、それ以外はほぼ同様の構成になっている。図5〜図7は、図2〜図4における右側の2つの燃料分配部21,21を示している。
【0029】
上記カップ部22は、気筒側の一端を開口端として気筒とは反対側(エンジン1とは反対側。以下、反気筒側という)の他端を閉塞端とした略円筒形のものである。カップ部22には、インジェクタ11の基端側を収容固定する収容孔22aが形成されており、この収容孔22aには、燃料分配管部24の燃料分配通路24bの下流端が開口している。カップ部22は、その軸方向が締結ボス部23の軸方向と平行でかつその開口端面22bが締結ボス部23のエンジン取付座面23bよりもカップ軸方向の気筒側に位置するように配置されており、本実施形態では、その閉塞端部22cが締結ボス部23のエンジン取付座面23bとカップ軸方向に関して略同じ位置になるように配置されている。このようにカップ部22を締結ボス部23よりもカップ軸方向の気筒側に配置すると、カップ部22の首振りを抑制することができる。カップ部22の外周面の気筒列方向両側には、略三角形状のリブ部22d,22dがそれぞれ形成されている。
【0030】
上記締結ボス部23は、両端を開口端とした略円筒形のものであって、その軸芯がカップ部22の軸芯と気筒列方向に並ぶように配置されている。締結ボス部23には、締結ボルトが挿通される挿通孔23aが形成されており、この挿通孔23aに挿通された締結ボルトによって、燃料分配供給構造2がシリンダヘッド10に取付固定されるようになっている。締結ボス部23における軸方向の気筒側の端面は、シリンダヘッド10が取付固定されるエンジン取付座面23bを構成している。
【0031】
上記燃料分配管部24は、カップ部22の閉塞端部22cの燃料主供給管部20側からその軸方向に対して斜めにかつ気筒列方向に直交する方向に延びて燃料主供給管部20の外周面にろう付けされている。燃料分配管部24における燃料主供給管部20との接合部分24aの接合面は、この接合面の燃料主供給管部20への応力集中を緩和させるため、燃料主供給管部20の外周面に沿うように円弧状(R状)に形成されている。燃料分配管部24には、その軸方向に延びる円状の燃料分配通路24bが形成されており、この燃料分配通路24bの上流端は、燃料主供給管部20の燃料供給通路20aに開口している。燃料分配管部24の外周面には、インジェクタ11を含めて燃料分配供給構造2をシリンダヘッド10に取付固定する際にその治具が当たる板状の当たり部24cが形成されている。
【0032】
上記第1連結部25は、棒状のものであって、カップ部22の閉塞端部22cの中央部からその軸方向に対して斜めにかつ気筒列方向に延びて締結ボス部23における軸方向の反気筒側の端部に連結されている。
【0033】
上記第2連結部26は、第1連結部25よりも細い棒状のものであって、カップ部22の閉塞端部22cの中央部からその軸方向と直交する方向かつ気筒列方向に延びて締結ボス部23における軸方向の気筒側の端部に連結されている。第2連結部26の幅方向両側には、カップ部22及び締結ボス部23を互いに連結した、カップ部22に作用する燃料噴射の反力を締結ボス部23に分散させるための板状のリブ部26a,26aがそれぞれ形成されている。これらのリブ部26a,26aのうち燃料主供給管部20側のものの方がもう一方のものよりも幅が広い。第1及び第2連結部25,26は、カップ部22側の端部が互いに結合されている。このように第1及び第2連結部25,26のカップ部22側の端部を互いに結合しているので、第1及び第2連結部25,26のカップ部22及び締結ボス部23との連結部分を略直角三角形の位置関係をなす三点とすることができる。第1及び第2連結部25,26の間には、略三角形状の空間部28が形成されている。
【0034】
上記接合部27は、燃料分配管部24の接合部分24aと気筒列方向に連続して締結ボス部23における軸方向の反気筒側の端部の外周面に接線状に連結されていて、燃料主供給管部20の外周面にろう付けされている。このように接合部27を燃料分配管部24の接合部分24aから気筒列方向に延設しているため、接合部27によって燃料分配部21の燃料主供給管部20との接合部分24a,27が気筒列方向に長くなり、この接合部分24a,27の燃料主供給管部20への応力集中を緩和させることができる。接合部27の燃料主供給管部20との接合面は、この接合面の燃料主供給管部20への応力集中を緩和させるため、燃料主供給管部20の外周面に沿うように円弧状(R状)に形成されている。接合部27は、燃料分配管部24の接合部分24aよりも燃料主供給管部20の周方向長さが短くなっている。接合部27と第1連結部25との間には、空間部29が形成されている。接合部27には、そこから締結ボス部23側に延びて締結ボス部23における軸方向の反気筒側の端部に連結された、燃料分配部21の燃料主供給管部20との接合面の応力を均一にするための棒状のリブ部27aが形成されている。
【0035】
そして、高圧燃料ポンプから燃料主供給管部20に圧送された高圧燃料は、燃料供給通路20aから各気筒毎に分配され、燃料分配通路24bを流通して収容孔22aに至り、この収容孔22aに臨むインジェクタ11の燃料導入口に供給され、このインジェクタ11から各気筒の燃焼室に直接噴射されるようになっている。このようにインジェクタ11から燃焼室に直接噴射されると、この燃料噴射の反力がカップ部22に強く作用するが、その反力を第1及び第2連結部25,26、燃料分配管部24、並びに接合部27を介して締結ボス部23に分散させることができ、燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのを抑制することができる。
【0036】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、燃料分配部21は、インジェクタ11の基端側が収容されるカップ部22と、このカップ部22と気筒列方向に並んで配置され、エンジン取付用の締結ボルトが挿通される締結ボス部23と、カップ部22の閉塞端部22cから燃料主供給管部20側に延びて燃料主供給管部20に接合された管状の燃料分配管部24と、カップ部22から締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結された第1連結部25と、カップ部22から締結ボス部23側に延びて締結ボス部23における第1連結部25との連結部分よりもボス軸方向の気筒側に連結された第2連結部26と、燃料分配管部24の燃料主供給管部20との接合部分24aから締結ボス部23側に延びて締結ボス部23に連結され、燃料主供給管部20に接合された接合部27とを有しているので、カップ部22に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を第1及び第2連結部25,26、燃料分配管部24、並びに接合部27を介して締結ボス部23に分散させることができ、燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのを抑制することができる。
【0037】
また、このように燃料分配部21によって燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのを抑制するので、燃料主供給管部20の肉厚を厚くするなど、燃料主供給管部20に高剛性を持たせる必要がなくなり、燃料分配供給構造2の軽量化を図ることができる。
【0038】
したがって、燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのを抑制して、燃料分配供給構造2の軽量化を図ることができる。
【0039】
また、第1及び第2連結部25,26の間に空間部28を形成するとともに、第1連結部25と接合部27との間に空間部29を形成しているので、燃料分配部21の軽量化を図ることができ、燃料分配供給構造2の軽量化をさらに図ることができる。
【0040】
さらに、第1連結部25は、カップ部22の閉塞端部22cからその軸方向に対して斜めに延びるとともに、第2連結部26は、カップ部22の閉塞端部22cからその軸方向と直交する方向に延び、第1及び第2連結部25,26は、カップ部22側の端部が互いに結合されているので、第1及び第2連結部25,26のカップ部22及び締結ボス部23との連結部分を略直角三角形の位置関係をなす三点とすることができる。このため、カップ部22に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を第1及び第2連結部25,26を介して締結ボス部23に効果的に分散させることができ、燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのをさらに抑制することができる。
【0041】
さらにまた、締結ボス部23は、その軸方向がカップ部22の軸方向と平行になるように配置されているが、燃料分配管部24は、カップ部22の閉塞端部22cからその軸方向に対して斜めに延びているので、締結ボス部23に締結ボルトを容易に挿通させることができ、燃料分配供給構造2のエンジンへの取付性を維持することができる。
【0042】
また、接合部27は、締結ボス部23の外周面に接線状に連結されているので、カップ部22に燃料噴射の反力が強く作用しても、その反力を接合部27を介して締結ボス部23に効果的に分散させることができ、燃料主供給管部20にねじりモーメントが作用するのをさらに抑制することができる。
【0043】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、カップ部22の開口端面22bを締結ボス部23のエンジン取付座面23bよりもカップ軸方向の気筒側に位置させているが、エンジン取付座面23bとカップ軸方向に関して同じ位置又はエンジン取付座面23bよりもカップ軸方向の反気筒側に位置させてもよい。この場合、その位置関係に基づいて、第1及び第2連結部25,26のカップ部22及び締結ボス部23との連結箇所や第1及び第2連結部25,26の延長方向を変更する必要がある。但し、カップ部22の首振りを抑制する観点からは、カップ部22の開口端面22bを締結ボス部23のエンジン取付座面23bよりもカップ軸方向の気筒側に位置させるのが望ましい。
【0044】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0045】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明にかかる直噴エンジンの燃料分配供給構造は、燃料主供給管部にねじりモーメントが作用するのを抑制して、軽量化を図ることが必要な用途等に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 直噴エンジン
11 インジェクタ
2 直噴エンジンの燃料分配供給構造
20 燃料主供給管部
21 燃料分配部
22 カップ部
22b 開口端面
22c 閉塞端部
23 締結ボス部
23b エンジン取付座面
24 燃料分配管部
24a 接合部分
25 第1連結部
26 第2連結部
27 接合部
28 空間部
29 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を一列に並べた直噴エンジンの該各気筒毎のインジェクタに高圧燃料を分配供給するようにした直噴エンジンの燃料分配供給構造であって、
気筒列方向に延びる管状の燃料主供給管部と、
上記燃料主供給管部の上記気筒側に上記各気筒に対応するように設けられた燃料分配部とを備えており、
上記燃料分配部は、
上記インジェクタの基端側が収容されるカップ部と、
上記カップ部と気筒列方向に並んで配置され、エンジン取付用の締結部材が挿通される締結ボス部と、
上記カップ部の閉塞端部から上記燃料主供給管部側に延びて該燃料主供給管部に接合された管状の燃料分配管部と、
上記カップ部から上記締結ボス部側に延びて該締結ボス部に連結された第1連結部と、
上記カップ部から上記締結ボス部側に延びて該締結ボス部における上記第1連結部との連結部分よりもボス軸方向の上記気筒側に連結された第2連結部と、
上記燃料分配管部の上記燃料主供給管部との接合部分から上記締結ボス部側に延びて上記締結ボス部に連結され、上記燃料主供給管部に接合された接合部とを有していることを特徴とする直噴エンジンの燃料分配供給構造。
【請求項2】
請求項1記載の直噴エンジンの燃料分配供給構造において、
上記燃料分配部は、一体に鋳造されてなる一体鋳造品であり、
上記第1及び第2連結部の間には、空間部が形成されており、
上記第1連結部と上記接合部との間には、空間部が形成されていることを特徴とする直噴エンジンの燃料分配供給構造。
【請求項3】
請求項2記載の直噴エンジンの燃料分配供給構造において、
上記カップ部は、その軸方向が上記締結ボス部の軸方向と平行でかつその開口端面が該締結ボス部のエンジン取付座面よりもカップ軸方向の上記気筒側に位置するように配置されており、
上記第1連結部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びており、
上記第2連結部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向と直交する方向に延びており、
上記第1及び第2連結部は、上記カップ部側の端部が互いに結合されていることを特徴とする直噴エンジンの燃料分配供給構造。
【請求項4】
請求項3記載の直噴エンジンの燃料分配供給構造において、
上記燃料分配管部は、上記カップ部の閉塞端部からその軸方向に対して斜めに延びており、
上記接合部は、上記締結ボス部の外周面に接線状に連結されていることを特徴とする直噴エンジンの燃料分配供給構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−47374(P2011−47374A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198610(P2009−198610)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】