説明

直打用高単位グルコサミン顆粒

【課題】本発明の目的は、実用上十分に流動性に優れ、打錠加工に適する、グルコサミンを高含有する造粒粉末又は顆粒を提供することにある。
【解決手段】(a)グルコサミンまたはその塩、及び(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤を含有する造粒粉末又は顆粒を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコサミンを高含有する造粒粉末又は顆粒、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコサミンは、生体を構成している成分の一つで単分子のアミノ糖である。グルコサミンは、軟骨細胞により生産され、軟骨成分の生成を促進する。従って、グルコサミンは変形性関節症等の関節炎に有効とされ、栄養補給用サプリメントとして市場に出回っている。
【0003】
グルコサミン摂取の形態としては、様々なものがあるが、その一つである錠剤は、携帯が容易であり、また摂取時に量を計測せずとも一定量を服用することが出来るので、最もよく用いられている形態の一つである。
しかしながら、グルコサミンおよびその塩の結晶粉末は打錠性が悪いという問題があった。すなわち、一般に結晶粉末は、流動性が悪く、打錠機の臼への均一な充填が悪くなり、キャッピング、ラミネーション等の打錠障害の発生頻度が高まったり、錠剤の重量にバラツキが生じたり等の不具合が生じてしまう。また、グルコサミンまたはその塩の結晶粉末を一度造粒して打錠に用いる場合、グルコサミンの含有量が多くなると流動性が悪く、直打用に適した顆粒を造るのが困難であった。そのため高含有錠剤の製造も困難であった。
【0004】
このような問題に関して、例えば特許文献1は、グルコサミンまたはその塩の結晶末を粉砕物とすることで結着性が向上し、タブレット用組成物として好適に使用できることを開示している。更に、特許文献1は、結着性の高い粉砕品と、結着性の低い結晶末との両方を使用することにより、タブレット用組成物の流動性が向上して、打錠障害の発生頻度を低く抑えることができ、タブレット用組成物として好適に使用できることを開示している。
【0005】
また、特許文献2は、グルコサミンに、グルコサミン以外の、デンプン、多糖類、単糖などの糖類を含有する溶液を噴霧した後、又は噴霧しつつ、造粒加工することによって、打錠加工に適した物性を有するグルコサミン顆粒が得られることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−225782号公報
【特許文献2】特開2006−36644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のグルコサミン結晶粉砕物含有組成物は、流動性の改善効果が実用上十分ではない。また、特許文献2の方法は、打錠加工に適した物性を得るためには、グルコサミンに糖類の溶液を非常に多く噴霧する必要があり、造粒加工に時間を要することから製造コストが高くなってしまう等の問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、上記先行技術に存在する問題点を回避して、実用上十分に流動性に優れ、打錠加工に適する、グルコサミンを高含有する造粒粉末または顆粒、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明者は研究を重ね、(a)グルコサミンまたはその塩と、(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤とを含む組成物は、造粒して顆粒にしたときの流動性が非常に優れ、打錠障害が発生し難いことを見出した。また、この組成物は、グルコサミンの含有率が高い場合にも、流動性に優れる造粒粉末又は顆粒にすることができ、その結果、グルコサミンを高含有する錠剤を効率よく製造できることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の造粒粉末又は顆粒、及びその製造方法を提供する。
【0010】
項1. (a)グルコサミンまたはその塩、及び(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤を含有する造粒粉末または顆粒。
項2. 滑沢剤がリン酸カルシウムである項1に記載の造粒粉末または顆粒。
項3. グルコサミンまたはその塩の含有量が、造粒粉末又は顆粒の全質量に対して、グルコサミンとして90〜99.9質量%である、項1又は2に記載の造粒粉末または顆粒。
項4. グルコサミンまたはその塩が、一次粒子の体積平均粒子径が3〜200μmのグルコサミンまたはその塩である、項1〜3のいずれかに記載の造粒粉末または顆粒。
項5. 滑沢剤の含有量が、造粒粉末又は顆粒の全質量に対して、0.1〜10質量%である、項1〜4のいずれかに記載の造粒粉末または顆粒。
項6. グルコサミンまたはその塩と、(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤とを混合する工程、および得られた混合物を造粒する工程を含む、項1〜5のいずれかに記載の造粒粉末又は顆粒の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の造粒粉末又は顆粒は、グルコサミンの含有比率が高く、しかも極めて流動性が良いため、グルコサミンの含有量が多い錠剤を、打錠障害を発生させないで製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)造粒粉末又は顆粒
本発明の造粒粉末または顆粒は、(a)グルコサミンまたはその塩と、(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤とを含有する造粒粉末または顆粒である。
【0013】
(a)グルコサミン
グルコサミンは、天然のアミノ酸であり、動物体内では、軟骨や結合組織などにムコ多糖の構成成分として広く分布している。また、カニやエビなどの甲殻類のキチンにも多く含まれている。
本発明においてグルコサミンは、グルコサミンそのものとして用いてもよいが、塩の形態を有するものを用いてもよい。グルコサミン塩は経口摂取した後、腸管から吸収され易い。グルコサミン塩としては、グルコサミン硫酸塩、グルコサミン塩酸塩のような無機酸塩;N−アセチルグルコサミンのような有機酸塩が挙げられる。また、グルコサミンとグルコサミン塩とでは、グルコサミン塩の方が、熱に安定で褐変し難いため好ましく、グルコサミン塩酸塩がより好ましい。
【0014】
グルコサミンおよびその塩は、結晶又は非結晶のいずれであってもよい。結晶は流動性の良い顆粒を製造し難いが、本発明によれば、グルコサミン結晶を用いても、流動性の良い造粒粉末又は顆粒が得られる。従って、本発明では、グルコサミンの結晶、結晶粉末を好適に使用できる。
グルコサミンおよびその塩の純度は98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。また、グルコサミンの乾燥減量は0.3%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
グルコサミンおよびその塩は、植物を原料として微生物発酵により製造されたものが、例えば、協和発酵バイオ株式会社、株式会社協和ウェルネスから販売されているので、このような市販品を購入することができる。
また、グルコサミンおよびその塩は、例えば、エビやカニの殻を原料としてキチンを抽出し、これを加水分解後、精製して調製することができる。さらに、グルコサミン塩酸塩や硫酸塩は、キチンを原料として、特開2004−359908号公報や米国特許3683076号公報等に記載されている方法に従って製造することができる。また、N−アセチルグルコサミンは、キチンを原料として、特公平5−33037号公報や特開2000−281696号公報等に記載されている方法に従って製造することができる。エビやカニに由来するグルコサミン(グルコサミン塩を含む)は、例えば、扶桑化学工業株式会社、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、株式会社中原から市販されているので、このような市販品を購入することができる。
【0015】
本発明におけるグルコサミンおよびその塩は、市販のグルコサミンおよびグルコサミン塩や、キチンの加水分解及び精製により得られるグルコサミン等をそのまま用いてもよいし、粉砕して用いてもよい。粉砕方法は、外力による圧縮、衝撃またはせん断や、粒子自身の慣性力による衝突または摩擦のいずれの原理を用いてもよい。例えば、ボールミル(具体的には、転動ボールミル、遊星ミル等)、ローラーミル(具体的には、堅式ローラーミル、ロールクラッシャー、高圧ロールプレス等)、高速回転ミル(具体的には、ハンマーミル、ピンミル、ケージミル等)、ジェットミル等を用いて粉砕する方法が挙げられる。
グルコサミンは、一次粒子の体積平均粒子径が、約3〜200μmであることが好ましく、約5〜100μmであることがより好ましい。グルコサミンの一次粒子の体積平均粒子径が上記範囲であれば、流動層造粒乾燥機で乾燥する際の、粒子がバグフィルターから逃げることによる収率の低下が抑制され、かつ打錠障害が回避される。
本発明において、体積平均粒子径はレーザー回折散乱式粒度分布測定器 LMS−350(セイシン企業)を用いて測定した値である。
【0016】
本発明の造粒粉末または顆粒中のグルコサミンおよびその塩の含有量は、造粒粉末または該顆粒の全質量に対して、グルコサミンとして(即ち、グルコサミン塩の場合、グルコサミン重量に換算して)約90〜99.9質量%であることが好ましく、約93〜99質量%であることがより好ましく、約95〜98.5質量%であることがさらに好ましい。
【0017】
(b)滑沢剤
本発明におけるリン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムは、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されない。リン酸カルシウムとしては、例えば、リン酸三カルシウム(別名第三リン酸カルシウム)、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等が挙げられ、中でも、好ましくはリン酸三カルシウムが挙げられる。微粒二酸化ケイ素としては、例えば食品添加物規格適合の微粒二酸化ケイ素、医薬添加物規格適合の含水二酸化ケイ素等が挙げられる。
(b)成分の滑沢剤の中でも、リン酸カルシウム、および微粒二酸化ケイ素が好ましく、リン酸カルシウムがより好ましい。
リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムは、それぞれ市販品を購入することができる。
【0018】
本発明の造粒粉末または顆粒中の(b)成分の滑沢剤の含有量は、錠剤製造用の顆粒製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されないが、造粒粉末または該顆粒の全質量に対して、約0.1〜10質量%であることが好ましく、約0.5〜5質量%であることがより好ましく、約0.8〜2質量%であることがさらに好ましい。
なお、(b)成分として、リン酸カルシウム、及び/又はステアリン酸カルシウムを使用する場合、造粒粉末又は顆粒中の(b)成分の含有量は、造粒粉末又は顆粒中のカルシウム含有量が、食品中のカルシウム含有基準である1質量%以下になる量とすることが好ましい。
【0019】
その他の添加剤
本発明の造粒粉末または顆粒は、所望により、糖類、甘味剤、酸味料、結合剤、抗酸化剤、着色剤、香料、崩壊剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。
【0020】
糖類は、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば単糖類、二糖類、糖アルコール、オリゴ糖等が挙げられる。
単糖類としては、例えばグルコース、キシロース、ガラクトース、果糖、マンノース等が挙げられる。二糖類としては、例えばトレハロース、ショ糖、乳糖、パラチノース、セロビオース、マルトース等が挙げられる。糖アルコールとしては、例えばマルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等が挙げられる。オリゴ糖としては、例えばラフィノース、イヌロオリゴ糖(チコリオリゴ糖)、パラチノースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。中でも、二糖類、糖アルコールが好ましく、二糖類としてはトレハロースおよびショ糖がより好ましく、糖アルコールとしてはマルチトールおよびエリスリトールがより好ましい。
【0021】
糖類の形状は特に制限されないが、微結晶または微粒子の形態が好ましく、その平均粒子径は、例えば約1〜100μm、好ましくは約5〜80μm、より好ましくは約10〜60μm、特に好ましくは約30〜50μmである。本発明の造粒粉末または顆粒が糖類を含む場合の糖類の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0022】
甘味剤としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等が挙げられる。中でも、ステビアが好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が甘味料を含む場合の甘味料の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0023】
酸味料としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。中でも、クエン酸が好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が酸味料を含む場合の酸味料の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0024】
結合剤としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、ゼラチン、プルラン等が挙げられる。中でも、プルランが好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が結合剤を含む場合の結合剤の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0025】
抗酸化剤としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、塩酸システイン、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル等が挙げられる。中でも、アスコルビン酸が好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が抗酸化剤を含む場合の抗酸化剤の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0026】
着色剤としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限はされないが、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト色素等が挙げられる。中でも、カロチノイド色素が好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が着色剤を含む場合の着色剤の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0027】
香料としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、アップルフレーバー等が挙げられる。中でも、レモンフレーバーが好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が香料を含む場合の香料の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
【0028】
崩壊剤としては、食品や医薬等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、コーンスターチ、バレイショデンプン等が挙げられる。中でも、コーンスターチが好ましい。本発明の造粒粉末又は顆粒が崩壊剤を含む場合の崩壊剤の含有量は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であればよく、特に限定されない。
その他の添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0029】
(II)造粒粉末又は顆粒の製造方法
本発明の造粒粉末又は顆粒の製造方法は、前述した本発明の造粒粉末又は顆粒の製造方法であり、(a)グルコサミンと、(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤とを混合する工程、および得られた混合物を造粒する工程を含む方法である。
【0030】
本発明において、(a)グルコサミンと(b) 滑沢剤とを混合する方法は特に限定されないが、例えば、水平円筒型、傾斜円筒型、V型、二重円錐型、又は生立方体型の回転型混合機を用いてもよく、リボン型混合機、スクリュー型混合機、回転円盤型混合機、又は流動化型混合機といった固定型混合機を用いてもよい。また、(a)グルコサミンと(b) 滑沢剤とを混合する際に、混合の後に、又は造粒時に、所望により、その他の添加剤、例えば、前記の糖類、甘味剤、酸味料、結合剤、抗酸化剤、着色剤、香料、崩壊剤等を投入して一緒に造粒してもよい。
【0031】
造粒方法は特に限定されないが、例えば、流動層造粒法が好ましい。また、湿式造粒法が好ましい。中でも、流動層造粒機内に、(a)グルコサミンまたはその塩と、(b) 滑沢剤とを投入し、水もしくは結合剤溶液で造粒する湿式の造粒方法がより好ましい。また、結合剤溶液中の結合剤の濃度は、一般に約0.1〜10質量%であるのが好ましく、約0.3〜1質量%であるのがより好ましい。前記例示した結合剤は湿式造粒に使用する結合剤としても使用できる。
また、造粒時に、例えば約0.01〜40質量%の濃度の糖類の水溶液を噴霧しながら造粒してもよく、糖類としては、前記例示した糖類の他に、プルラン、澱粉、デキストリンのような澱粉分解物、カラギーナン、寒天、アルギン酸、グアーガム、キトサン、キサンタンガム等の多糖類も使用できる。中でも、プルラン、澱粉、グアーガム好ましく、プルランがより好ましい。糖類の全噴霧量は、造粒に供される組成物の全質量に対して、約0.05〜3質量%が好ましく、約0.1〜2質量%がより好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
発酵グルコサミンK(協和発酵バイオ社製)3940gと、リン酸カルシウム(第三リン酸カルシウム(太平化学産業社製))40gとを混合し、流動層造粒機(FLO-5型、フロイント産業)を用いて、5質量%プルラン水溶液400g(プルラン(林原社製)として20g)を噴霧して造粒し、顆粒を得た。16号フルイ(1000μm)を通過する顆粒の収率は97%であった。
【0034】
[比較例1]
発酵グルコサミンK(協和発酵バイオ社製)3980gを、流動層造粒機(FLO-5型、フロイント産業)を用いて、5質量%プルラン水溶液400g(プルラン(林原社製)として20g)を噴霧して造粒し、顆粒を得た。16号フルイ(1000μm)を通過する顆粒の収率は87.5%であった。
【0035】
実施例1では、良好にグルコサミンが造粒され、収率も良好であったのに対して、比較例1では、缶体付着が多く認められ、粗大粒子も多く発生し収率が悪かった。比較例1で得られた顆粒は、流動性が悪いものであった。
【実施例2】
【0036】
発酵グルコサミンK(協和発酵バイオ社製)80Kgと、リン酸カルシウム0.8Kgとを混合後、16号フルイ(1000μm)を通過させ、流動層造粒機(FLO-120型、フロイント産業)へ投入し、5質量%プルラン溶液15Kg(プルラン(林原社製)として750g)を噴霧して造粒し顆粒を得た。16号フルイ(1000μm)を通過する顆粒の収率は97.2%であった。また、得られた顆粒の流動性は良好であった。
【0037】
実施例2で得られたグルコサミン顆粒81.4部に、セオラスFD101(旭化成ケミカルズ)13.6部とDKエステルF-20W(第一工業製薬)5部を混合して打錠機(LIBLA2、菊水製作所)を用いφ9mm、350mgの錠剤を得た。錠剤硬度は90Nであった。打錠用粉体の流動性は良好であり工業生産においても製造可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の造粒粉末又は顆粒は、グルコサミンの含有比率が高く、しかも実用上十分に流動性が良いため、グルコサミンの含有量が多い錠剤を、打錠障害を発生させないで製造することができる。従って、産業上極めて優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グルコサミンまたはその塩、及び(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤を含有する造粒粉末または顆粒。
【請求項2】
滑沢剤がリン酸カルシウムである請求項1に記載の造粒粉末または顆粒。
【請求項3】
グルコサミンまたはその塩の含有量が、造粒粉末又は顆粒の全質量に対して、グルコサミンとして90〜99.9質量%である、請求項1又は2に記載の造粒粉末または顆粒。
【請求項4】
グルコサミンまたはその塩が、一次粒子の体積平均粒子径が3〜200μmのグルコサミンまたはその塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の造粒粉末または顆粒。
【請求項5】
(b)滑沢剤の含有量が、造粒粉末又は顆粒の全質量に対して、0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の造粒粉末または顆粒。
【請求項6】
(a)グルコサミンまたはその塩と、(b)リン酸カルシウム、微粒二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の滑沢剤とを混合する工程、および得られた混合物を造粒する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の造粒粉末又は顆粒の製造方法。

【公開番号】特開2012−62279(P2012−62279A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208104(P2010−208104)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(308032666)協和発酵バイオ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】