説明

直接打錠によるアリスキレン錠剤

本発明は、従来の湿式造粒を省くことができ、乾式打錠により錠剤を製造するのに適した、有効成分アリスキレンを含有する医薬組成物に関する。本発明はまた、上記の医薬組成物を乾式打錠することによって得られる錠剤と、このような錠剤の製造方法とに関する。本発明はさらに、高血圧およびその関連疾患を治療するための、上記の新規医薬組成物および錠剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来行われている助剤を用いた有効成分の湿式造粒を省くことができ、直接打錠または乾式処理に適した、有効成分アリスキレンを含有する医薬組成物に関する。本発明はまた、上記の医薬組成物を直接打錠することによって得られる錠剤と、このような錠剤の製造方法とに関する。本発明はさらに、高血圧およびその関連疾患を治療するための、上記の新規医薬組成物および錠剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アリスキレン(IUPAC名:(2S,4S,5S,7S)−5−アミノ−N−(2−カルバモイル−2−メチル−プロピル)−4−ヒドロキシ−7−{[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)フェニル]メチル}−8−メチル−2−プロパン−2−イル−ノナンアミド)は、直接的レニン阻害剤であり、上昇した血圧を下げるために使用される。アリスキレンは以下の化学構造を有する。
【化1】

【0003】
具体的には、アリスキレンのヘミフマル酸塩は公知であり、たとえば、欧州特許第678503号明細書の実施例83に記載されている。アリスキレンのヘミフマル酸塩は以下の構造を有する。
【化2】

【0004】
特に記載がない限り、本出願において「アリスキレン」とは、遊離塩基ならびにその塩および溶媒和物を含む。
【0005】
従来技術において、有効成分の含有量が高く、該有効成分の放出時間が本質的に遅延しない、アリスキレンの投与形態が公知である。国際公開第2004/002466(A1)号パンフレットには、アリスキレンのバイオアベイラビリティを高めるために、表面活性剤(「界面活性剤」)を添加することが記載されている。「Biopharmaceutics Classification System」(BCS)に準じると、アリスキレンはクラス3の有効成分に分類される。これはすなわち、アリスキレンの透過性は低いが、溶解性は高いことを意味する。したがって、アリスキレンのバイオアベイラビリティの制限因子として、透過率が挙げられる。
【0006】
国際公開第2005/089729(A2)号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006/0018960(A1)号明細書には、速崩壊性アリスキレン錠および即放性アリスキレン錠が開示されており、これらの錠剤は、錠剤の総重量に対する有効成分の含有量が46%を超えることを特徴とする。また、ヘミフマル酸アリスキレンは加工しにくいことが記載されており、とりわけ、アリスキレンの形状が針状であることから、粒子間が架橋しやすく、その結果、流動性および加工性に乏しくなる。したがって、薬剤におけるアリスキレンの均一分布に関連する問題を回避するためには、46%を超える有効成分含有量で加工を行う必要がある。さらに、湿式造粒処理についても記載されており、これは上記と同様に、アリスキレンの乏しい特性を緩和することを目的としている。
【0007】
上記のいずれの文献にも、アリスキレンは吸湿性が高く、粒子構造が針状であり、流動性に乏しいことから、アリスキレンを直接打錠または乾式圧縮することは不可能であることが明確に記載されている。これに応じて、上記の国際公開第2005/089729(A2)号パンフレットおよび米国特許出願公開第2006/0018960(A1)号明細書には、46%を超えるアリスキレンを含む薬剤を製造するための湿式造粒法が開示されている。一般に、湿式造粒および乾燥に次いで打錠を行う多段工程では、実用性において比較的問題がない。このため、一般に、湿式顆粒は、特に低用量の投与形態であっても、最も確実かつ問題なく打錠することができる。したがって、通常、湿式造粒が選択され、錠剤の製造においては通常、湿式顆粒を中間生成物とする。
【0008】
しかしながら、湿式造粒の不都合としては、造粒するために特殊な装置を使用する必要があること、湿式組成物を製造するために溶媒が必要であること、および乾燥が終了するまで有効成分が長時間にわたり造粒用溶液にさらされることが挙げられる。このような不都合により、安定性に関する問題が生じる。さらに、造粒後の乾燥工程にはさらにエネルギーが必要とされ、有効成分が長時間にわたり熱による影響も受ける。概して、水分による影響を考慮すると、湿式造粒法は、多形性を示しやすく不安定な有効成分には適さない。
【0009】
上記の国際公開第2005/089729(A2)号パンフレットには、アリスキレンを直接打錠することは不可能であることが記載されている(2頁、最終段落)。これを解決する方法として、高濃度のアリスキレンを湿式造粒することが提案されている(請求項1および請求項19)。
【0010】
国際公開第2007/147596(A1)号パンフレットにも、アリスキレンを直接打錠することは不可能であることが記載されている(3頁、第1段落)。これを解決する方法として、賦形剤として炭水化物を使用することが提案されている。しかしながら、炭水化物を用いたとしても、湿式造粒は行うこととしている(請求項30)。
【0011】
国際公開第2008/074001(A1)号パンフレットは、肥満患者を治療するためのアリスキレンの使用に関する。本文献では、アリスキレンの加工が困難であることは取り上げておらず、一般的な従来の製造方法について言及するにとどまっている。
【0012】
欧州特許第1972335(A1)号明細書には、アリスキレンを含有する薬剤の製造方法が記載されており、この製造方法では最初に融解により顆粒を製造する。この方法の不都合としては、精密さが必要とされること、および成分が高温にさらされることが挙げられ、これらの不都合によって有効成分が部分的に分解される恐れがある。その他の不都合としては、成分を融解させるために高エネルギーが必要とされ不経済であることだけでなく、工業規模の装置が特別に必要とされることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、有効成分アリスキレンを含有し、従来の投与形態に比べて利点を有する医薬品投与形態が必要とされている。具体的には、このような医薬品投与形態は、簡単かつ経済的に製造可能であるべきであり、それでもなお投与に際し優れた特性を有していなければならない。これを達成するためには、有効成分は、その含有量がたとえ46重量%未満であっても、医薬品投与形態中に出来る限り均一に分散されていなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、本願請求項に記載の内容によって達成される。驚くべきことに、脆化剤や多量の滑沢剤との混合および/または粉砕を行うと、従来の湿式造粒を行わなくても、有効成分アリスキレンを含有する医薬組成物を打錠できることが判明した。
【発明の効果】
【0015】
予想外にも、本発明に従って製造された錠剤は、たとえ打錠圧力が高くても、打錠中に「キャッピング」を生じにくい。キャッピングとは、臼から放出される際に錠剤表面から1以上の層が剥離することである。アリスキレンのように可塑性が高く流動性に乏しい有効成分を従来の方法で乾式打錠した場合に、キャッピングは生じやすい。これは、打錠の最終段階において可塑性物質の弾性回復率が高くなることに起因する。
【0016】
さらに、本発明による方法を用いると、最長で約30分間にわたって非常に急速に有効成分が放出する錠剤を製造することができる。したがって、本発明による錠剤は「即放性」製剤として非常に適している。特に、製剤が賦形剤として炭水化物を含まない場合、この効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例8の結果を示す打錠圧力−硬度グラフである。
【図2】実施例11aにおいて判明した放出特性を示すグラフである。
【図3】実施例11bにおいて判明した放出特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の態様において本発明は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、脆化剤とを含み、脆化剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物に関する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、滑沢剤とを含み、滑沢剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも5重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物である。
【0020】
本発明のさらなる態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物、塩もしくは塩の溶媒和物を自由流動形態で含む、直接打錠または乾式処理に適した医薬組成物に関する。自由流動形態とは、アリスキレンが、少なくとも1種の他の物質とともに自由流動性の製剤中に含まれることを意味する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩を含み、賦形剤として炭水化物を含まないことを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物である。この医薬組成物は、炭水化物を全く含まないことが好ましい。
【0022】
本発明はまた、上記の医薬組成物を直接打錠することによって得られる錠剤と、このような医薬組成物を打錠する方法とに関する。
【0023】
さらなる態様において本発明は、本発明の医薬組成物を直接打錠または乾式圧縮することを含む、錠剤の製造方法に関する。
【0024】
本発明はさらに、薬剤の製造方法であって、
(a)結晶性または半結晶性アリスキレンを、薬剤中のアリスキレンの総量に対して50〜150重量%の脆化剤および/または少なくとも10重量%の滑沢剤、および必要に応じてさらなる助剤と混合すること、
(b)必要に応じて(a)で得られた混合物を圧縮または乾式造粒し、圧縮したアリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
(c)(a)または(b)で得られた組成物を乾式打錠すること、ならびに
(d)必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含む製造方法に関する。
【0025】
本発明のさらなる態様は、本発明の方法によって得られる錠剤である。
【0026】
本発明のさらなる態様は、アリスキレンと、無機脆化剤と、少なくとも1種の崩壊剤とを含み、無機脆化剤の含有量が錠剤の総重量に対して20〜70重量%であることを特徴とする錠剤である。
【0027】
本発明のさらなる態様は、アリスキレンと、滑沢剤と、少なくとも1種の崩壊剤とを含み、滑沢剤の含有量が錠剤の総重量に対して少なくとも5重量%であることを特徴とする錠剤である。
【0028】
本発明のさらなる態様は、高血圧またはその関連疾患の治療薬を製造するための、本発明の医薬組成物または錠剤の使用である。
【0029】
有効成分
本発明の医薬組成物は、有効成分としてアリスキレンを含有する。アリスキレンの結晶形であればいかなるものを使用してもよく、たとえば、国際公開第2008/061622(A1)号パンフレットに記載されているヘミフマル酸アリスキレンの結晶形を使用してもよい。国際公開第2008/061622(A1)号パンフレットにより開示された内容は、参照することにより本願の開示内容に組み込まれる。
【0030】
本発明の医薬組成物に含まれるアリスキレンの濃度は、医薬組成物の総重量に対して約10〜80重量%であってよい。本発明の医薬組成物に含まれるアリスキレンの濃度は、医薬組成物の総重量に対して、好ましくは約10〜46重量%、より好ましくは約20〜45重量%、最も好ましくは約35〜42重量%である。特に記載がない限り、アリスキレンの重量は、アリスキレンの遊離塩基の重量ではなく、アリスキレンの塩または溶媒和物の重量を指す。
【0031】
また、本発明の組成物は、アリスキレンに加えて、AT受容体拮抗剤、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗剤、および利尿剤からなる群から選ばれる1種以上のさらなる有効成分を含有してもよい。これらの有効成分の具体例は当業者に周知である。好ましい利尿剤としては、ヒドロクロロチアジド(HCT)が挙げられる。また、アリスキレンをHCTと組み合わせることが最も好ましい。HCTはアリスキレンとともに1錠の製剤中に含まれてもよく、この形態が好ましい。また別の実施形態では、アリスキレンとHCTとをそれぞれ別個の製剤中に含有させ、これらの製剤を併用する。HCTの濃度は、製剤1錠当たり、通常5〜50mg、好ましくは10〜40mg、より好ましくは12.5〜30mg、最も好ましくは12.5〜25mgである。アリスキレンとHCTの重量比は、通常3:1〜40:1、好ましくは5:1〜30:1、より好ましくは7:1〜25:1、最も好ましくは10:1〜20:1である。
【0032】
脆化剤を添加したアリスキレン
本発明の第1の態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、脆化剤とを含み、脆化剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物である。
【0033】
この態様においては、有効成分アリスキレンを、少なくとも1種の脆化剤と混合する。驚くべきことに、脆化剤を添加しない場合よりも脆化剤を添加した場合の方が、上記医薬組成物の圧縮成形性が良くなることが判明した。脆化剤を添加すると、医薬組成物を容易に直接打錠または乾式造粒処理することができる。打錠圧力−硬度グラフ(図1参照)で示されるように、種々に設定した打錠圧力において、キャッピングが発生しやすい状態に陥ることなく錠剤硬度は増加することが確認できた。グラフがプラトーに達したときにキャッピングは発生しやすくなると考えられ、このグラフから湿式造粒を行う必要がないことが分かる。
【0034】
助剤は、一般に、その挙動や圧力下(打錠時)における粒子構成の変化によって分類することができる。具体的には、可塑剤は塑性変形を特徴とするのに対し、脆化剤は打錠圧力が加わると粒子を崩してさらに小さい粒子とすることを特徴とする。脆化剤の脆化挙動は、物体を圧縮したときに増加する表面積を測定することにより定量化することができる。調査研究においては、一般に、いわゆる「降伏圧力」によりこのような変形機構を分類する。簡易分類によれば、可塑性物質の降伏圧力は低いのに対し、脆性物質の降伏圧力は高い[Duberg, M., Nystrom, C., 1982. Studies on direct compression of tablets VI. Evaluation of methods for the estimation of particle fragmentation during compaction. Acta Pharm. Suec. 19, 421-436; Humbert-Droz P., Mordier D., Doelker E. Methode rapide de determination du comportement a la compression pour des etudes de preformulation. Pharm. Acta Helv., 57, 136 - 143 (1982)]。降伏圧力とは、物質が塑性流動し始める応力を表し、内部応力の尺度と見なしてもよい。降伏圧力は、Heckelプロットの勾配の逆数より求めることができる。降伏圧力が80MPa未満の場合、塑性流動挙動を示していると見なされる(York, P., Drug Dev. Ind. Pharm. 18, 677 (1992); Crystal engineering and particle design for the powder compaction process)。本発明の範囲内において、W.A. Ritschel and A. Bauer-Brandl, “Die Tablette”, 2nd edition, Editio Cantor Verlag Aulendorf, 2002, page 442および本発明の引用文献に記載の「ejected tablet」法によって測定された助剤の降伏圧力が少なくとも80MPaの場合、この助剤は脆化剤と見なされる。
【0035】
上記の脆化剤は無機脆化剤であることが好ましい。特に、カルシウムまたはマグネシウムの薬学的に許容しうる無機塩を脆化剤として使用してもよく、このような無機塩としては、たとえば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。リン酸カルシウム、特にリン酸水素カルシウムが好ましく、無水リン酸水素カルシウムが最も好ましい(たとえば、Chemische Fabrik Budenheim社よりDi−Cafos ANが市販されている)。
【0036】
本発明の医薬組成物に含まれる脆化剤の濃度は、医薬組成物の総重量に対して、通常約10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜65重量%、最も好ましくは40〜60重量%、たとえば約50重量%である。
【0037】
アリスキレンと脆化剤の重量比は、通常1:5〜5:1、好ましくは1:3〜3:1、より好ましくは1:2〜2:1、最も好ましくは1:1〜1:1.5である。
【0038】
多量の滑沢剤を添加したアリスキレン
本発明の第2の態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、脆化剤とを含み、脆化剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも5重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物である。本発明におけるこの態様は、本明細書に記載の他の態様と組み合わせてもよい。
【0039】
本発明のこの態様においては、有効成分アリスキレンを、比較的多量の少なくとも1種の滑沢剤と混合する。滑沢剤を多量に混合することによって、アリスキレンを、容易に直接打錠または乾式造粒することのできる製剤に調製可能であることが判明している。
【0040】
滑沢剤としては、従来の医薬品助剤であればいずれの助剤を使用してもよいが、ステアリン酸マグネシウムまたは脱水した植物油(たとえば、Lubritab(登録商標))を使用することが好ましい。滑沢剤として、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、および/またはポリエチレングリコール(PEG)を使用してもよい。
【0041】
本発明のこの態様における滑沢剤の含有量は、医薬組成物の総重量に対して、少なくとも5重量%、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%であってもよい。本発明のその他の態様においては、以下に示す通り、滑沢剤の含有量は上記より少なくてもよい。
【0042】
アリスキレンの粉砕
本発明のこの実施形態はその他の実施形態と組み合わせてもよく、この実施形態においては、直接打錠または乾式圧縮する前にアリスキレンを粉砕する。粉砕することにより、アリスキレンの晶癖を変化させ、架橋を防ぐことができる。フマル酸アリスキレンは物理的影響下において、不安定な非晶質フマル酸アリスキレンへと変化しやすいため、粉砕する際には温度に注意しなければならない。粉砕温度は、アリスキレンの分解を防ぐため、40℃未満、好ましくは35℃未満、たとえば約10〜34℃または約20〜30℃に保つべきである。
【0043】
アリスキレンの粉砕は、表面安定化剤とともに混合粉砕することにより行うことが好ましい。アラビアゴムを表面安定化剤として添加し、混合粉砕すると好適であることが判明した。混合粉砕中に、アリスキレンは表面安定化剤と一体化する。その他の使用可能な表面安定化剤は以下に示す。
【0044】
医薬品の微粒子化法または混合粉砕法として知られている方法であればいずれの方法を用いてもよく、たとえば、エアジェットミルまたはボールミルを使用してもよい。エアジェットミルを使用する場合、空気圧は4〜6バールが好ましい。保護ガス雰囲気下で処理することも可能である。粉砕した結晶の平均粒径は、好ましくは3〜250μm、より好ましくは5〜150μm、最も好ましくは10〜120μmである。
【0045】
平均粒径は、欧州薬局方第6.6版2.9.31.項に記載のレーザ回折により測定してもよく、たとえば、マルバーン社のMastersizerを使用してもよい。
【0046】
微粒子化または混合粉砕を行う際には、表面安定化剤を添加しても、あるいは添加しなくてもよい。発生しうるアリスキレン微粒子の凝集は、1種以上の表面安定化剤を添加することにより防いでもよい。表面安定化剤は、粉砕前または粉砕中に添加すればよい。表面安定化剤として、薬学的に許容しうる有機助剤または無機助剤を使用してもよく、このような助剤として、ポリマー、低分子量オリゴマー、非イオン性界面活性物質、イオン性界面活性物質、両性イオン性界面活性物質、およびそれらを含む助剤が挙げられる。このような表面安定化剤を添加する際の、有効成分と表面安定化剤の重量比は、1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:50である。本発明における表面安定化剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、トラガント、ステアリン酸、アラビアゴム、polaxomer、ポリエチレングリコール(PEG)、ツウィーン(登録商標)、多糖類、アルギン酸塩、リン脂質などが挙げられる。
【0047】
アリスキレンのコーティング
また別の実施形態では、架橋を防いで流動性を高め、これによって投与量を正確にするため、アリスキレン結晶の晶癖および表面積をコーティングにより変化させてもよい。従来の薬学的に許容しうるポリマーであればいかなるポリマーをコーティングに使用してもよく、このようなポリマーとしては、たとえば、セルロース系ポリマー、メタクリル酸塩、およびポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。薬学的に許容しうるポリマーとしては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル;および酢酸フタル酸セルロースが挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましい。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、たとえば、「Methocel」の商標名で市販されているものが挙げられる。さらに、参考文献としては、“Fiedler - Lexikon der Hilfsstoffe”, Editio Cantor-Verlag Aulendorf, 5th edition 2002が挙げられる。
【0048】
また、アリスキレンは溶解性が高いため、上記の方法によって結晶の表面が部分的に溶解し、アリスキレン結晶が滑らかとなる。その結果、直接打錠によるさらなる処理において有利となる。さらに、親水性化剤でもあるこのようなポリマーを使用すると、アリスキレンのバイオアベイラビリティを改善することができる。アリスキレンのコーティングは、流動層または噴霧乾燥によって行うことが好ましい。
【0049】
上記のコーティングにおいて、ポリマーの使用量は、有効成分の重量に対して好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%、最も好ましくは7〜12重量%である。コーティング液は、有機溶媒を基剤として製造する。好適な有機溶媒は、エタノールまたはイソプロパノールである。
【0050】
使用するポリマーに応じて、通常、製品温度を30〜45℃または35〜40℃にして作業を行う。
【0051】
コーティングのさらなる利点として、外的影響に対してアリスキレンが安定することが挙げられる。外的影響としては、たとえば、水分が挙げられ、水分はアリスキレンが熱不安定性の非晶質状態へと変化することを助長する。コーティングを行うことにより、本発明の薬剤をより経済的な包装で市販することができる。
【0052】
この技術を一部変更したものとして、アリスキレンを助剤(好ましくはポリマー)と一体化させ、この混合液を担体上で加熱する方法が挙げられる。この方法を行うには、アリスキレンを薬学的に許容しうる助剤(たとえばポリマー)の溶液中に溶解または懸濁し、流動層のような周知の積層法を用いて不活性コア上にコーティングする。この方法により、ペレット、小型錠剤、粒子などの、いかなる種類の「複数ユニット(multiple units)」へと加工することが可能である。
【0053】
速放性製剤とするには、水溶性助剤と非水溶性助剤との混合物を使用することが好ましい。しかしながら、非水溶性助剤または水溶性助剤のいずれかのみを使用することも可能である。好適な水溶性助剤としては、たとえば、HPMC、ポピドン、ポピドンVA 64(BASF社から市販されている、ポリビニルピロリドンとポリ酢酸ビニルとのコポリマー)、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。好適な非水溶性助剤としては、たとえば、ポリビニルアルコール、酢酸フタル酸セルロース、および種々のメタクリル酸塩が挙げられる。
【0054】
この態様では、ポリマー中に密に包埋させることにより有効成分の安定性を向上させることと、担体−有効成分混合物の加工性を向上させることを組み合わせている。これにより、有効成分の架橋は発生しなくなるため、有効成分を再現性良く均一分布させた製造が保証される。
【0055】
賦形剤として炭水化物を含まないアリスキレン製剤
本発明のさらなる態様は、有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩を含み、賦形剤として炭水化物を含まないことを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物である。この態様は、1以上の上記の態様と組み合わせることが好ましい。この医薬組成物は、炭水化物を全く含まないことが好ましい。
【0056】
本発明において、「炭水化物」は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類、および糖アルコール類を含む。本出願において、炭水化物は修飾炭水化物を含まない。修飾炭水化物は、炭水化物の化学的誘導体、具体的には、自然界には見出されず人工的に製造される誘導体を指す(たとえば、クロスカルメロース、HPMC、HPC、HEC、CMC、カルボキシメチルスターチ、メチルセルロースなど)。
【0057】
また別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、賦形剤として炭水化物を含まず、かつ賦形剤として修飾炭水化物も含まない。さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は炭水化物を全く含まず、かつ修飾炭水化物も全く含まない。
【0058】
また、これらの実施形態の利点として、医薬組成物に乳糖が含まれないため、乳糖不耐症の患者にも投与できることが挙げられる。
【0059】
本発明の医薬組成物の特性
国際公開第2005/089729号パンフレットの記載に反して、上記の方法によりアリスキレンの特性を流動性と加工性とに関して改善することができ、これにより直接打錠または乾式圧縮が可能となる。また、嵩密度およびタップ密度の再現性も改善することができ、体積に基づいて投与量を規定した錠剤の製造が保証され、「含量均一性」が保証される。特に、脆化剤を添加することによりこれらの効果を大幅に向上させることができ、さらには安定性を高める効果を与えうることが判明した。
【0060】
助剤の組み合わせは、打錠混合物の乾燥減量が0.2〜6%、好ましくは1.0〜4%の範囲内に収まるように選択すべきである。乾燥減量は、欧州薬局方第6.0版2.5.32項の記載に従って測定する。乾燥重量を測定する際には、50〜80℃からの温度勾配を5℃/分とする。
【0061】
有効成分を前処理することによって、最終混合物の嵩密度、タップ密度、およびそれらの比の再現性が良くなる。嵩密度は、0.4〜0.8kg/lであることが好ましく、嵩密度に対するタップ密度の比は、1.01〜1.3または1.1〜1.3であることが好ましい。
【0062】
圧縮/打錠
本発明は、薬剤の製造方法であって、
(a)結晶性または半結晶性アリスキレンを、薬剤中のアリスキレンの総量に対して50〜150重量%の脆化剤または少なくとも10重量%の滑沢剤、および必要に応じてさらなる助剤と混合すること、
(b)必要に応じて(a)で得られた混合物を圧縮または乾式造粒し、圧縮したアリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
(c)(a)または(b)で得られた組成物を乾式打錠すること、ならびに
(d)必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0063】
工程(b)を行う場合、この製造方法は乾式圧縮打錠法または乾式造粒打錠法となる。工程(b)を行わない場合、この製造方法は造粒および予備圧縮を行わない、直接打錠法となる。
【0064】
また、薬剤の製造方法であって、
(a)結晶性または半結晶性アリスキレンを、薬剤中のアリスキレンの総量に対して50〜150重量%の脆化剤および/または少なくとも10重量%の滑沢剤と混合すること、
(b)(a)で得られた組成物を直接打錠すること、ならびに
(c)必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする製造方法が好ましい。
【0065】
したがって、混合および必要に応じて圧縮することにより製造される本発明の医薬組成物は、打錠されて乾式錠となる。打錠には、ローラー圧縮またはブリケット圧縮による従来の乾式圧縮法であればいずれの方法を使用してもよい。打錠圧力が、2〜50kN、好ましくは3〜30kN、たとえば5〜20kNになるように注意しなければならない。
【0066】
このようにして、アリスキレンを従来の医薬品助剤とともに打錠することができ、次いで、アリスキレンの苦味をマスクするために錠剤をコーティングしてもよい。
【0067】
特に記載がない限り、以下の助剤を使用してもよい。
【0068】
結合剤としては、水溶性助剤を使用することが好ましく、たとえば、ポビドン、HPMC、およびHPCが挙げられる。水溶性助剤としては、薬学的に許容しうる無味の物質であればいずれの物質を使用してもよい。結合剤の含有量は、医薬組成物の総重量に対して、約10〜25重量%、好ましくは15〜25重量%、最も好ましくは17〜24重量%であってよい。
【0069】
賦形剤または希釈剤を添加してもよい。賦形剤または希釈剤としては、たとえば、乳糖および/または他の糖アルコール類、および炭水化物類が挙げられる。賦形剤または希釈剤は、一定量の非水溶性賦形剤と組み合わせてもよく、非水溶性賦形剤としては結晶セルロースが好ましい。しかしながら、他の無機塩類を賦形剤として使用してもよく、このような無機塩類としては、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウムなどが挙げられる。賦形剤の含有量は、医薬組成物の総重量に対して、約10〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは15〜60重量%であってよい。
【0070】
速やかな崩壊とそれに伴う放出を保証するために、崩壊剤を使用するべきである。崩壊剤としては、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、または類似の超崩壊剤が好ましい。崩壊剤の含有量は、医薬組成物の総重量に対して、通常約1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0071】
滑沢剤としては、従来の医薬品助剤であればいずれの助剤を使用してもよいが、ステアリン酸マグネシウムまたは脱水した植物油(たとえば、Lubritab)を使用することが好ましい。滑沢剤として、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、および/またはポリエチレングリコール(PEG)を使用してもよい。滑沢剤の含有量は、医薬組成物の総重量に対して、約1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、最も好ましくは3〜7重量%であってもよい。
【0072】
上記の成分は、従来、自由落下ミキサ(Turbula)で混合され、次いでロータリー打錠機(Fette)により打錠される。
これらの装置を用いた場合、打錠混合物は優れた圧縮成形性を示した。本圧打錠圧力は、使用する打錠機のサイズや型式に応じて、通常2〜50kN、好ましくは5〜12kNである。
【0073】
本発明はさらに、薬剤の製造方法であって、
−表面安定化剤とともにまたは表面安定化剤なしで、結晶性または半結晶性アリスキレンを粉砕すること、
−必要に応じて、粉砕した結晶性アリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
−得られた組成物を直接打錠して錠剤を得ること、および
−必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0074】
本発明はさらに、薬剤の製造方法であって、
−結晶性または半結晶性アリスキレンを、少なくとも1種の薬学的に許容しうるポリマーでコーティングすること、
−必要に応じて、コーティングしたアリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
−得られた組成物を直接打錠すること、および
−必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0075】
本発明はさらに、薬剤の製造方法であって、
−結晶性または半結晶性アリスキレンを、少なくとも1種の薬学的に許容しうるポリマーとともに圧縮すること、
−必要に応じて、圧縮したアリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
−得られた組成物を直接打錠すること、および
−必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする製造方法に関する。
【0076】
本発明の方法の好ましい実施形態では、湿式造粒または湿潤造粒、特に水性湿式造粒または水性湿潤造粒は行わない。
乾式造粒を行う場合、造粒温度は、使用する助剤それぞれの融点よりも低いことが好ましい。たとえば、造粒温度は、40℃未満、または35℃未満である。したがって、いわゆる「ホットメルト」造粒は好ましくない。
【0077】
錠剤の特性
本発明の錠剤の硬度は、通常60〜160N、好ましくは60〜120N、より好ましくは70〜110Nである。錠剤の硬度は、自体公知の方法、たとえば欧州薬局方第6.0版<2.9.8>に記載の方法で測定してもよい。
【0078】
本発明の錠剤は、転がり摩耗および振動摩耗が発生しにくく(摩損度が低い)、すなわち優れた摩耗強度を示す。錠剤の摩損度は、1%未満(たとえば、0.1〜0.8%、好ましくは0.2〜0.5%)が好ましい。摩損度は、自体公知の方法、たとえば欧州薬局方第4.0版/2.09.07.00.に記載の方法により測定してもよい。
【0079】
本発明の錠剤は、通常、有効成分の含有量に適した形状を有する。
【0080】
本発明の錠剤の特別な利点として、有利な放出特性が挙げられる。米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤は30分以内に大部分の有効成分を放出する。第1の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、5分後に少なくとも15%、10分後に少なくとも40%、15分後に少なくとも60%、20分後に少なくとも70%である。
【0081】
第2の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、5分後に少なくとも20%、10分後に少なくとも50%、15分後に少なくとも70%、20分後に少なくとも80%である。
【0082】
第3の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、5分後に少なくとも20%、10分後に少なくとも50%、15分後に少なくとも80%、20分後に少なくとも90%である。
【0083】
第4の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、5分後に少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、最も好ましくは少なくとも20%である。
【0084】
第5の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、10分後に少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも60%、さらには少なくとも75%である。
【0085】
第6の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、15分後に少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%、さらには少なくとも90%である。
【0086】
第7の実施形態において、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、20分後に少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%である。
【0087】
米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した場合、本発明の錠剤に含まれる有効成分の放出率は、通常30分後に少なくとも90%、ほとんどの場合、少なくとも95%である。
【0088】
さらなる実施形態において、本発明の錠剤は、薬剤であるラジレス(登録商標)と類似したまたは本質的に同様な放出特性を示す。当業者は、自体公知の製剤添加剤を添加することによって、上述されたような、本発明の錠剤の非常に急速な有効成分の放出を遅延させることができ、ラジレスと同様またはそれに類似した放出特性を得ることができる(いずれの場合でも、5分後、10分後、15分後、20分後、および30分後における有効成分の放出率の差異は10%以下である)。
【0089】
使用
本発明はさらに、高血圧またはその関連疾患を治療するための、上記医薬組成物または錠剤の使用に関する。高血圧関連疾患は、特に、うっ血性心不全;心臓性高血圧;心臓線維症;梗塞後心筋症;腎症、血管症、神経障害など糖尿病合併症;冠血管疾患;血管形成術後の再狭窄;眼圧上昇;緑内障;異常血管増殖;高アルドステロン症;不安状態および認知障害を含む。
【0090】
本発明はさらに、アリスキレンを含む医薬組成物を直接打錠することを特徴とする、高血圧またはその関連疾患の治療薬を製造するためのアリスキレンの使用に関する。有効成分アリスキレンは、直接打錠する前に、少なくとも1種の薬学的に許容しうるポリマーでコーティングすることが好ましい。あるいは、結晶性アリスキレンまたは半結晶性アリスキレンを、直接打錠する前に、たとえば上述したように微粒子化することによって粉砕してもよい。
【0091】
本発明によれば、本明細書に記載の医薬組成物および錠剤は、併用療法において投与することも可能である。この場合、本発明の薬剤とさらなる有効成分とを同時に投与、または異なる時間に投与することが可能である。さらなる有効成分としては、たとえば、AT受容体拮抗剤、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗剤、および利尿剤に分類される有効成分が挙げられる。これらの有効成分の具体例は、当業者に周知である。利尿剤としては、ヒドロクロロチアジド(HCT)が好ましい。
【0092】
アリスキレンをHCTと組み合わせることが最も好ましい。HCTはアリスキレンとともに1錠の製剤中に含まれてもよく、この形態が好ましい。また別の実施形態では、アリスキレンとHCTとをそれぞれ別個の製剤中に含有させ、これらの製剤を併用する。HCTの濃度は、製剤1錠当たり、通常5〜50mg、好ましくは10〜40mg、より好ましくは12.5〜35mg、最も好ましくは12.5〜25mgである。
【0093】
アリスキレンとHCTの重量比は、通常3:1〜40:1、好ましくは5:1〜30:1、より好ましくは7:1〜25:1、最も好ましくは10:1〜20:1である。
【0094】
本発明は、さらに以下の(1)〜(16)に関する。
(1)有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩を自由流動形態で含むことを特徴とする、直接打錠に適した医薬組成物。
(2)前記有効成分が微粒子化された形態で含まれることを特徴とする、(1)に記載の医薬組成物。
(3)前記有効成分が薬学的に許容しうるポリマーでコーティングされることを特徴とする、(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)前記薬学的に許容しうるポリマーが、セルロース系ポリマー、メタクリル酸塩、およびポリビニルアルコールからなる群から選ばれることを特徴とする、(3)に記載の医薬組成物。
(5)前記薬学的に許容しうるポリマーの含有量が、前記有効成分の重量に対して、2〜20重量%であることを特徴とする、(3)または(4)に記載の医薬組成物。
(6)結合剤を含むことを特徴とする、先行する(1)〜(5)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(7)嵩密度が、0.4〜0.7kg/lであることを特徴とする、先行する(1)〜(6)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(8)嵩密度に対するタップ密度の比が、1.1〜1.3であることを特徴とする、先行する(1)〜(7)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(9)先行する(1)〜(8)のいずれか1に記載の医薬組成物を直接打錠することを含む、錠剤の製造方法。
(10)直接打錠する際の打錠圧力が、2〜50kNであることを特徴とする、(9)に記載の方法。
(11)(9)または(10)に記載の方法によって得られる錠剤。
(12)微粒子化したアリスキレン、または薬学的に許容しうるポリマーでコーティングしたアリスキレンを含む錠剤。
(13)高血圧またはその関連疾患の治療薬を製造するための、(1)〜(8)のいずれか1に記載の医薬組成物、または(11)または(12)に記載の錠剤の使用。
(14)前記高血圧関連疾患が、うっ血性心不全;心臓性高血圧;心臓線維症;梗塞後心筋症;腎症、血管症、神経障害などの糖尿病合併症;冠血管疾患;血管形成術後の再狭窄;眼圧上昇;緑内障;異常血管増殖;高アルドステロン症;不安状態および認知障害からなる群から選ばれることを特徴とする、(13)に記載の使用。
(15)前記医薬組成物または錠剤が、さらなる有効成分と併用投与されることを特徴とする、(13)または(14)に記載の使用。
(16)前記さらなる有効成分が、AT受容体拮抗剤、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗剤、および利尿剤からなる群から選ばれることを特徴とする、(15)に記載の使用。
【0095】
上記(1)〜(16)は、本出願に記載の態様および実施形態とさらに組み合わせてもよい。
【0096】
以下の実施例により、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0097】
実施例1:リン酸カルシウムを用いた乾式圧縮
個々の量を計算するためには定量データを使用する。
【0098】
アリスキレンを、リン酸カルシウム300mg、アエロジル5mg、クロスカルメロース40mg、およびステアリン酸マグネシウム20mgとともに、圧縮機を用いて15〜45kNで圧縮した。得られた圧縮物をふるいにかけて粉砕し、残りの量のリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、およびアエロジルを自由落下ミキサで混合した。最終混合物をロータリー打錠機で打錠した。得られた錠剤の硬度は70〜110Nであり、摩損度は1%未満であった。次いで、錠剤をドラムコーターでコーティングした。コーティング液として、HPMC、PEG、タルク、二酸化チタンおよび着色剤からなる懸濁液を使用した。
【0099】
【表1】

【0100】
実施例2:有効成分のコーティング
アリスキレンを、流動層装置(Glatt GPC3)に仕込み、HPMCのイソプロパノール溶液でコーティングした。送風温度を40〜80℃とし、製品温度は35〜40℃であった。スプレー圧は、1〜2バールに設定した。次いで、コーティングした有効成分を、アビセル(Avicel)、アエロジル、およびクロスカルメロースとともに自由落下ミキサで予備混合した。さらにステアリン酸マグネシウムを添加して、混合物を得た。最終混合物を得るために、さらに3分間混合した。次いで、最終混合物をロータリー打錠機(Fette 102i)を用いて打錠し、硬度が60〜120Nの錠剤を得た。
【0101】
必要に応じて、錠剤を実施例1と同様の方法でコーティングしてもよい。
【0102】
【表2】

【0103】
実施例3:有効成分の粉砕(アラビアゴムとの混合粉砕)
アリスキレンを、アラビアゴムとともにエアジェットミルで粉砕した。空気圧は、4〜6バールとした。粉砕後、有効成分と助剤との混合物を、アエロジル、クロスポビドン、およびアビセルとともに、自由落下ミキサで30分間混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを添加して、さらに3分間攪拌した。最終混合物を打錠し、必要に応じて、前記実施例と同様の方法でコーティングした。
【0104】
【表3】

【0105】
実施例4:リン酸カルシウムを用いた直接打錠
リン酸水素カルシウム、アエロジル200、アクジゾル(Ac−Di Sol)、およびステアリン酸マグネシウムを、0.5mm目のふるいにかけながら混合容器へ仕込んだ。さらに、ヘミフマル酸アリスキレンを添加した。次いで、Turbula T10Bミキサで15分間混合した。このようにして得られた最終混合物を、0.5kNに設定した油圧式片手操作打錠機(Specac社製油圧式打錠機)を用いて打錠した。
【0106】
【表4】

【0107】
最終混合物は優れた圧縮成形性を示した。また、錠剤は十分な硬度を有した。
【0108】
実施例5:炭水化物を用いない直接打錠
リン酸水素カルシウム、アエロジル200、コリドンCL、およびステアリン酸マグネシウムを、0.5mm目のふるいにかけながら混合容器へ仕込んだ。さらに、ヘミフマル酸アリスキレンを添加した。次いで、Turbula T10Bミキサで15分間混合した。このようにして得られた最終混合物を、0.5kNに設定した油圧式片手操作打錠機(Specac社製油圧式打錠機)を用いて打錠した。
【0109】
【表5】

【0110】
最終混合物は優れた圧縮成形性を示した。また、錠剤は十分な硬度を有した。
【0111】
実施例6:リン酸カルシウムを用いた乾式圧縮(乾式造粒)
リン酸水素カルシウム150mg、アエロジル200 2.5mg、クロスカルメロースナトリウム20mg、およびステアリン酸マグネシウム10mgを、0.5mm目のふるいにかけながら混合容器に仕込んだ。さらに、ヘミフマル酸アリスキレンを添加した。次いで、ミキサ(Turbula T10B)で15分間混合した。得られた混合物を、油圧式片手操作打錠機(Specac社製)を用いて約0.1kNで圧縮した。次いで、得られた圧縮物を1mm目のふるいにかけて粉砕した。残りの量のリン酸水素カルシウムおよびアエロジルを0.5mm目のふるいにかけながら添加し、さらに15分間混合した。また、残りの量のステアリン酸マグネシウムも、0.5mm目のふるいにかけながら添加し、混合物全体をTurbula T10Bミキサで5分間混合した。このようにして得られた最終混合物を、10kNに設定した油圧式片手操作打錠機(Specac社製油圧式打錠機)を用いて打錠した。
【0112】
【表6】

【0113】
最終混合物は優れた圧縮成形性を示した。また、錠剤は十分な硬度を有した。
【0114】
実施例7:有効成分の粉砕(アラビアゴムとの混合粉砕)
ヘミフマル酸アリスキレンとアラビアゴムとをTurbula T10Bで5分間混合した後、乳鉢で粉砕した。さらに、結晶セルロース、アエロジル、およびコリドンCLを、0.5mm目のふるいにかけながら添加し、15分間混合した。さらに、ステアリン酸マグネシウムを0.5mm目のふるいにかけながら添加し、得られた混合物をさらに3分間混合した。最終混合物を、油圧式片手操作打錠機(Specac社製)を用いて、6〜8kNで打錠した。
【0115】
【表7】

【0116】
最終調合物は優れた圧縮成形性を示した。また、錠剤は十分な硬度を有した。
【0117】
実施例8:種々の打錠圧力による直接打錠
表7に示した組成を有する、製剤A、製剤B、製剤Cの3種を製造した。「ロータリー打錠機ピッコラ(Riva piccola Rotary Press)」を使用し、表8に記載のパラメータで打錠したこと以外は、実施例4の記載に従ってこれらの製剤を製造した。
【0118】
評価した製剤の組成を以下に示す。
【0119】
【表8】

【0120】
3種の製剤の圧縮パラメータを以下の表9に示す。
【0121】
【表9】

【0122】
打錠圧力と硬度とを図1のグラフにおいて比較すると、打錠圧力が高くても曲線は横ばいにはならず、錠剤のキャッピングは生じにくいことが示されている。
【0123】
実施例9:HCTとの組み合わせ−リン酸カルシウムを用いた直接打錠
リン酸水素カルシウム、アエロジル200、リン酸カルシウム、およびステアリン酸マグネシウムを、0.5mm目のふるいにかけながら混合容器に仕込んだ。さらに、ヘミフマル酸アリスキレンとHCTとを添加した。次いで、Turbula T10Bミキサで15分間混合した。このようにして得られた最終混合物を、0.6〜0.8kNに設定した油圧式片手操作打錠機(Specac社製油圧式打錠機)を用いて約0.1kNで打錠した。
【0124】
【表10】

【0125】
実施例10:HCTとの組み合わせ−PVPとの混合粉砕
ヘミフマル酸アリスキレン、HCT、およびポビドンをTurbula T10Bで5分間混合した後、乳鉢で粉砕し、0.5mm目のふるいにかけた。さらに、結晶セルロース、アエロジルおよびコリドンCLを0.5mm目のふるいにかけながら添加し、15分間混合した。さらに、ステアリン酸マグネシウムを0.5mm目のふるいにかけながら添加し、得られた混合物をさらに3分間混合した。最終混合物を、油圧式片手操作打錠機(Specac社製)を用いて、6〜8kNで打錠した。
【0126】
【表11】

【0127】
実施例11:放出特性
a)実施例4、6および7に記載されている製剤の有効成分の放出を、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、装置2(パドル)を用いて測定した。同様に、「ラジレス錠150mg」の名称で市販されている製剤も対照製品として評価した。実施例4、6および7で製造した製剤、および対照製品をそれぞれ、0.1N HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で攪拌した。溶液中に溶出した有効成分の量は、HPLCにより測定した。これらの結果を図2にまとめる。
【0128】
図2に見られるように、本発明による製剤は、特に30分までに、対照製品よりもさらに急速に有効成分を放出した。
【0129】
b)実施例9および10に記載されている製剤の有効成分の放出を、米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、装置2(パドル)を用いて測定した。同様に、「テクターナ(Tekturna)(登録商標)150mg」の名称で市販されている製剤も対照製品として評価した。実施例9および10で製造した製剤、および対照製品をそれぞれ、0.1N HCl(pH1.2)900ml、37℃、75rpmの条件下で攪拌した。溶液中に溶出した有効成分の量はいずれも、HPLCにより測定した。これらの結果を図3にまとめる。
【0130】
実施例12:乾燥減量
実施例4および8に従い製造した錠剤の乾燥減量を、欧州薬局方2.2.32項に従って測定した。結果を以下の表12に示す。
【0131】
【表12】

【0132】
略語
CMC カルボキシメチルセルロース
HEC ヒドロキシエチルセルロース
HPC ヒドロキシプロピルセルロース
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース
IR 即放性
Pharm.Eur. 欧州薬局方
rpm 毎分回転数
USP 米国薬局方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、脆化剤とを含み、脆化剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも10重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物。
【請求項2】
有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩と、滑沢剤とを含み、滑沢剤の含有量が医薬組成物の総重量に対して少なくとも5重量%であることを特徴とする、乾式打錠に適した医薬組成物。
【請求項3】
有効成分アリスキレンまたはその薬学的に許容しうる溶媒和物もしくは塩を自由流動形態で含むことを特徴とする、直接打錠に適した医薬組成物。
【請求項4】
前記有効成分が微粒子化された形態で含まれることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
脆化剤を含むことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記脆化剤が、カルシウムまたはマグネシウムの薬学的に許容しうる無機塩類からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1または5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記脆化剤が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、および酸化マグネシウムからなる群から選ばれることを特徴とする、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記脆化剤が、リン酸水素カルシウムであることを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記脆化剤の含有量が、前記医薬組成物の総重量に対して、30〜70重量%であることを特徴とする、請求項1および5〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
賦形剤として炭水化物を含まないことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
炭水化物を含まないことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記アリスキレンの含有量が、前記医薬組成物の総重量に対して、46重量%未満であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらなる有効成分として、ヒドロクロロチアジドを含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
嵩密度が、0.4〜0.8kg/lであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
嵩密度に対するタップ密度の比が、1.01〜1.3であることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
AT受容体拮抗剤、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗剤、および利尿剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のさらなる有効成分を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記さらなる有効成分が、ヒドロクロロチアジドであることを特徴とする、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物を直接打錠することを含む、錠剤の製造方法。
【請求項19】
直接打錠する際の打錠圧力が、2〜50kNであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物を乾式圧縮することを含む、錠剤の製造方法。
【請求項21】
錠剤の製造方法であって、
(a)結晶性または半結晶性アリスキレンを、錠剤中のアリスキレンの総量に対して50〜150重量%の脆化剤および/または少なくとも10重量%の滑沢剤、および必要に応じてさらなる助剤と混合すること、
(b)必要に応じて(a)で得られた混合物を圧縮または乾式造粒し、圧縮したアリスキレンを1種以上の助剤と混合すること、
(c)(a)または(b)で得られた組成物を乾式打錠すること、ならびに
(d)必要に応じて、得られた錠剤をコーティングすること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法によって得ることのできる錠剤。
【請求項23】
アリスキレンと、無機脆化剤と、少なくとも1種の崩壊剤とを含む錠剤であって、無機脆化剤の含有量が、錠剤の総重量に対して20〜70重量%であることを特徴とする錠剤。
【請求項24】
アリスキレンと、滑沢剤と、少なくとも1種の崩壊剤とを含む錠剤であって、滑沢剤の含有量が、錠剤の総重量に対して少なくとも5重量%であることを特徴とする錠剤。
【請求項25】
炭水化物を含まないことを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項26】
米国薬局方第28版に記載の試験法<711>に従い、0.1HCl(pH1.1)500ml中、37℃、75rpmの条件下で装置2を用いて測定した前記有効成分の放出率が、5分後に少なくとも15%、10分後に少なくとも40%、15分後に少なくとも60%、20分後に少なくとも70%であることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項27】
欧州薬局方第6.0版に記載の試験法<2.9.8>に従って測定した前記錠剤の硬度が、少なくとも60Nであることを特徴とする、請求項22〜26のいずれか1項に記載の錠剤。
【請求項28】
高血圧またはその関連疾患の治療薬を製造するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物または請求項22〜27のいずれか1項に記載の錠剤の使用。
【請求項29】
前記高血圧関連疾患が、うっ血性心不全;心臓性高血圧;心臓線維症;梗塞後心筋症;腎症、血管症、神経障害などの糖尿病合併症;冠血管疾患;血管形成術後の再狭窄;眼圧上昇;緑内障;異常血管増殖;高アルドステロン症;不安状態および認知障害からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
前記医薬組成物または錠剤が、さらなる有効成分と併用投与されることを特徴とする、請求項28または29に記載の使用。
【請求項31】
前記さらなる有効成分が、AT受容体拮抗剤、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル遮断剤、アルドステロン合成酵素阻害剤、アルドステロン受容体拮抗剤、および利尿剤からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
前記さらなる有効成分がヒドロクロロチアジドであることを特徴とする、請求項31に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−527316(P2011−527316A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517167(P2011−517167)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058801
【国際公開番号】WO2010/004022
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(501249043)ラティオファルム ゲー・エム・ベー・ハー (7)
【Fターム(参考)】