説明

直接採尿の可能なクロマト式検査装置

【目的】被検尿を直接採尿部にかけて検査し得るクロマト式検査装置を提供する。
【構成】支持体1の上面に展開相2を付設すると共に、展開相2の一端に近い部分に試薬相3を付設し、且つ試薬相3を境として、展開相2の一端に近い部分を採尿部4となし、一方の長い部分を被検尿展開相5となすと共に、試薬相3及び被検尿試薬相5部分の両側面から該試薬相3及び被検尿展開相5を付設した部分の支持体1両側面にかけて、撥水性剤6を塗布固化し、試薬相3及び被検尿試薬展開相5の上面に透視可能な樹脂皮膜7を貼付した構造、あるいは試薬相3及び被検尿試薬展開相5と該部を付設せる支持体1を、袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器内に収納せしめた構造とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、クロマト溶媒の展開方向に直接、被検尿がかかっても、クロマト溶媒の展開を妨害しないよう、試薬相と被検尿試薬展開相の両側面と上面及び、該試薬相と被検尿試薬展開相を付設した部分の支持体両側面を防水性にしたクロマト式検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のクロマト式検査装置は、一端、被検尿を採尿カップなどの容器に採取した後、クロマト式検査装置の採尿部のみを侵したり、適量の被検尿をスポイトなどに採り、採尿部へ添加するなどの二度手間方式のものであった。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従来のクロマト式検査装置では被検尿を直接、装置の一端の採尿部へかけようとしても、被検尿が飛散し、採尿部から試薬相を経て展開相へ連続して浸潤しながら展開してゆく被検尿(装置に組み込まれている試薬と展開途中で混合するので、以下被検尿試薬という)の展開先を、飛散被検尿が先に直接浸潤し、採尿部から展開してくる被検尿試薬の展開を妨害し、正確な反応結果が得られなかった。
又、上面に防水処理を施したものもあるが、側面からの被検尿の浸潤を防げず、正確な反応結果が得られなかった。
したがって前述の如く、検査に際しては、採尿カップやスポイトなどを使用して、被検尿を採尿部にかけなければならないという二度手間を要するわずらわしさがあった。
本考案は、直接被検尿を採尿部にかけた際に生ずる飛散被検尿の影響を阻止することにより、該二度手間を要するわずらわしさを解消するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本考案は、直接被検尿を採尿部にかけても、飛散被検尿により被検尿試薬の展開が妨害されることなく、正確な反応結果が得られる如くなしたものであるが、これを図について説明すると次ぎのようになる。
【0005】
図1は、従来のクロマト式検査装置の斜視図で、支持体(1)の上面に展開相(2)を付設すると共に、該展開相(2)の一端に近い部分に試薬相(3)を付設し、且つ該試薬相(3)を境として、展開相(2)の一端に近い部分を採尿部(4)とすると共に、一方の長い部分を被検尿試薬展開相(5)となしたもので、採尿カップに採った被検尿を採尿部(4)に浸したり、スポイトで採った被検尿を採尿部(4)にかけたりして検査をなすものである。
【0006】
【実施例1】
次に、本考案のクロマト式検査装置の実施例1を図2の斜視図に基づいて説明すると、従来の構造に付随し、試薬相(3)及び被検尿試薬展開相(5)部の両側面から該試薬相(3)及び被検尿展開相(5)を付設した部分の支持体(1)
両側面にかけて、撥水性剤(6)を塗布した後、熱・紫外線・赤外線などの照射により該撥水性剤を固化せしめると共に、試薬相(3)及び被検尿試薬展開相(5)の上面に透視可能な樹脂皮膜(7)を貼付してなるものである。
【0007】
【実施例2】
また、本考案のクロマト式検査装置の実施例2を図3の斜視図に基づいて説明すると、従来の構造に付随し、試薬相(3)及び被検尿試薬展開相(5)と該部を付設せる支持体(1)を、袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器(8)内に収納せしめたものてある。
なお、該袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器(8)を加熱により収縮するシュリンク樹脂で形成し、試薬相(3)及び被検尿試薬展開相(5)と該部を付設せる支持体(1)を袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器(8)内に収納した後加熱収縮せしめれば、脱落するおそれがなくなる。
【0008】
【考案の効果】
本考案は上記した構造をなすものであるから、被検尿を採尿部(4)に直接かけても、飛散する被検尿は撥水性剤(6)及び透視可能な樹脂皮膜(7)あるいは袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器(8)に阻止され、試薬相(3)や被検尿試薬展開相(5)を浸潤することがないので、被検尿試薬展開相(5)における被検尿試薬の展開が正常に行われ、正確な反応結果が得られるものであり、採尿カップやスポイトなどを使用する二度手間のわずらわしさが省けるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来のクロマト検査装置の斜視図
【図2】 本考案の第1の実施例を示す斜視図
【図3】 本考案の第2の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
1は支持体
2は展開相
3は試薬相
4は採尿部
5は被検尿試薬展開相
6は撥水性剤
7は透視可能な樹脂皮膜
8は袋状若しくは円筒状の透視可能な樹脂皮膜若しくは容器

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 支持体及び試薬相と被検尿試薬展開相の両側面と上面を防水性にしたクロマト式検査装置。
【請求項2】 試薬相と被検尿試薬展開相及び該部を付設した支持体の両側面と上面を防水性にするため、該両側面と上面を、透視可能な袋状若しくは円筒状の樹脂皮膜若しくは容器内に収納した請求項1のクロマト式検査装置。
【請求項3】 試薬相及び該試薬相と被検尿試薬展開相を付設した支持体の両側面を防水性とするため、該両側面に撥水性剤を塗布し固化せしめた請求項1のクロマト式検査装置。
【請求項4】 試薬相と被検尿試薬展開相の上面を防水性とするため、該上面に透視可能な樹脂皮膜を貼付した請求項1のクロマト式検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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