直流安定化電源装置
【課題】必要となる電源電圧が互いに異なる機器のそれぞれに対して、その機器に応じた電圧の直流電源を自動で供給する。
【解決手段】交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧信号判別回路26と、交流入力を変換した直流電源の電圧を、動作電圧信号判別回路26にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御回路25とを有する。
【解決手段】交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧信号判別回路26と、交流入力を変換した直流電源の電圧を、動作電圧信号判別回路26にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御回路25とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷側機器へ電源ラインを介して電源供給を行うACアダプタ等として好適に実施される直流安定化電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、ACアダプタとして使用される一般的な直流安定化電源装置の構成例を示すブロック図である。
【0003】
本例における直流安定化電源装置1は、いわゆるスイッチング電源装置であり、図5に示すように、商用電源からの交流入力2が整流ダイオード3と平滑コンデンサ4とによって直流に変換され、平滑コンデンサ4の出力電圧が直流電源となる。そして、この直流電源間に、トランス5の1次巻線とスイッチング素子6との直列回路が接続されており、制御回路7によってスイッチング素子6が断続制御される。これにより、トランス5の2次巻線に電圧が誘起され、この電圧が、ダイオード8及び平滑コンデンサ9によって整流、平滑され、電源ライン10を介して負荷11に供給される。
【0004】
ところで、このような直流安定化電源装置1においては、その出力が一意であるため、機器の給電にはその電源電圧を出力するACアダプタを用意することになる。そのため、電源電圧の異なる機器が増えればその分のACアダプタを保有する必要があり、また、現在給電の必要がない機器がある場合、過剰にACアダプタを持つことになり、保有するACアダプタの数が増えてしまうことになる。
【0005】
また、上述したように複数のACアダプタを保有している場合、給電構造が類似しているため、機器の定格に合わないACアダプタを接続することができてしまい、それにより、給電対象の機器を破壊する虞れが生じてしまう。
【0006】
ここで、複数の出力電圧に対応するために、その出力電圧を、電気装置と電圧、電流、消費電力等の規格を適合させるように手動で設定することが考えられており、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−308096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたもののように、その出力を手動で切り替える方式においては、利用者が複数の出力電圧を把握している必要があるとともに、わざわざ手動で切り替える必要があり、操作が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、必要となる電源電圧が互いに異なる機器のそれぞれに対して、その機器に応じた電圧の直流電源を自動で供給することができる直流安定化電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、
前記接続された機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧判別手段と、
前記交流入力を変換した直流電源の電圧を、前記動作電圧判別手段にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、直流電源を供給する機器から供給される動作電圧信号に基づいて、機器に供給する直流電源の電圧を制御するため、1つの出力端から複数の電圧出力が可能となり、それにより、1つのACアダプタで、電源電圧が互いに異なる給電対象機器へ給電することができ、また、その電圧が機器にて最適なものとなるため、一意の電圧を出力するACアダプタを、電源電圧が定格範囲にない機器と接続する誤接続が発生することがなく、それにより、電源の誤接続による機器の破壊が生じることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の直流安定化電源装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電圧制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した動作電圧信号判別回路及び信号分離回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示した動作電圧信号生成回路及び重畳回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】ACアダプタとして使用される一般的な直流安定化電源装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の直流安定化電源装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【0015】
本形態は図1に示すように、トランス24を挟んで一次側に、一次回路23及び交流入力22が配置され、また、二次側には、実装されるダイオードやコンデンサのような整流、平滑素子(全て不図示)が配置され、交流入力22を直流電源に変換し、接続された機器にその直流電源を供給するものであり、そのような構成においては、図5に示したものと同様である。本形態においては、このような構成に加えて、トランス24を挟んで二次側に、動作電圧判別手段である動作電圧信号判別回路26と、電圧制御回路25と、信号分離回路27とが設けられている。
【0016】
動作電圧信号判別回路26は、電源ライン28に接続された信号分離回路27と接続されており、接続された機器から供給された動作電圧信号が電源ライン28及び信号分離回路27を介して入力され、入力された動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別し、機器に供給する最適な電源電圧を生成するための信号を電圧制御回路25に送出する。
【0017】
電圧制御回路25は、トランス24の二次巻線に誘起された電圧が入力され、その電圧を動作電圧信号判別回路26にて判別された電圧に変換することにより、給電すべき機器へ最適な電源電圧を供給する。
【0018】
信号分離回路27は、直流電源が機器に供給される電源ライン28から動作電圧信号を抽出し、動作電圧信号判別回路26に供給する。
【0019】
また、直流安定化電源装置21が給電する機器には、動作電圧信号生成回路29が内蔵されている。この動作電圧信号生成回路29は、直流安定化電源装置21が給電する機器に内蔵された重畳回路30と接続されており、動作電圧信号生成回路29から生成、出力された動作電圧信号は重畳回路30に中継される。
【0020】
図2は、図1に示した電圧制御回路25の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図1に示した電圧制御回路25は図2に示すように、トランス24の二次巻線に誘起された電圧が電源ライン28bを介して入力されるVin端子と、電源ライン28aと接続され、接続された機器に供給する最適な電源電圧をこの電源ライン28aに出力するVout端子と、動作電圧信号判別回路26から出力された信号が入力される端子とを具備しているとともに、電圧安定化回路25aと、抵抗回路25bとを内蔵している。抵抗回路25bの抵抗値は一定である。動作電圧信号判別回路26から入力される信号は本形態では可変の抵抗値を信号化したものであり、抵抗回路25bが持つ抵抗値と動作電圧信号判別回路26からの入力される抵抗値信号とから合成抵抗値を算出する。合成抵抗の算出においては、両者の抵抗値を直列接続しても並列接続しても本形態に影響を与えないため、ここでは限定しない。
【0022】
図3は、図1に示した動作電圧信号判別回路26及び信号分離回路27の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示した動作電圧信号判別回路26は図3に示すように、可変抵抗26aと、可変抵抗26aに接続され、可変抵抗26aが自動で抵抗値を決定するためのコントローラ26bとを内蔵している。コントローラ26bは、信号分離回路27から出力される1本以上の組の信号のインターフェイスを具備しており、1本以上の組の信号から可変抵抗26aの抵抗値を決定、変更する。
【0024】
図1に示した信号分離回路27は図3に示すように、電源ライン28に接続され、接続された機器から供給された動作電圧信号成分を電源ライン28から抽出する動作電圧信号抽出部27aを内蔵している。動作電圧信号抽出部27aが抽出した動作電圧信号成分は、1本以上の組の信号をシリアルの形態のものであり、当該シリアルの形態の動作電圧信号成分をパラレルの形態に変換するシリアル−パラレル変換部27bに中継される。なお、図3ではパラレルの形態に変換されて動作電圧信号判別回路26に中継される動作電圧信号を4本の組の信号で図示しているが、動作電圧信号の本数はこれに限定されない。
【0025】
図4は、図1に示した動作電圧信号生成回路29及び重畳回路30の構成例を示すブロック図である。
【0026】
図1に示した動作電圧信号生成回路29の一例としては、プルアップ、プルダウンによるデジタル信号「H(または1)」,「L(または0)」の組み合わせが簡易的に構成できるため、本形態においては前述の構成を用いるが、「H」,「L」の組み合わせを出力できるものであればICやLSIを使用したものでも本形態に影響はない。このような動作電圧信号生成回路29は図4に示すように、プルアップ電圧32とプルアップ抵抗29aによる「H」の信号と、プルダウン電圧33とプルダウン抵抗29bによる「L」の信号との一意の配列の組み合わせで出力する。前述の「H」,「L」の信号の一意の配列の組み合わせが、直流安定化電源装置21に供給される動作電圧信号の元となる。
【0027】
動作電圧生成回路29から出力された信号は、重畳回路30にて中継される。重畳回路30は図4に示すように、パラレルの形態になっている動作電圧信号の元をシリアルの形態に変換するパラレル−シリアル変換部30aと、シリアルの形態に変換された動作電圧信号の元を電源ライン28に電源成分と重畳し、電源ライン28が伝送できる最適な形態を生成する差動信号生成部30bとを内蔵している。
【0028】
重畳回路30から出力された電源成分と動作電圧信号の元である成分とを重畳した信号は、電源ライン28上を伝送されて直流安定化電源装置21に供給される。そして、信号分離回路27によって動作電圧信号成分が抽出され、動作電圧信号判別回路26に中継されることになる。
【0029】
なお、機器の負荷31への給電は、図5に示した直流安定化電源装置と同様に電源ライン28を介して行われる。
【0030】
以下に、上記のように構成された直流安定化電源装置21の動作について説明する。
【0031】
上記のように構成された直流安定化電源装置21は、機器への給電のため、図5に示した直流安定化電源装置の使用例であるACアダプタと同様に、直流電源を供給する機器との接続を行う。この時、電源ライン28を介してトランス24の二次巻線に誘起された電圧が給電対象機器に供給される。この際、給電対象機器に供給される電圧値は、動作電圧信号生成回路29及び重畳回路30の動作定格であり、負荷31が動作するに至らない電圧値と定義する。
【0032】
直流安定化電源装置21から直流電源が供給される機器が持つ動作電圧信号生成回路29は図4に示したように、本形態においてはプルアップ抵抗29aとプルダウン抵抗29bとをそれぞれ2個ずつ持ち、直流安定化電源装置21から電圧ライン28,28cを介してプルアップ電圧32とプルダウン電圧33に所定の電圧が印加される。本形態では、図4に示した構成により、動作電圧信号生成回路29は、「H/L/H/L」の順の4本の信号の組となるパラレルの形態の動作電圧信号を出力する。
【0033】
すると、重畳回路30は、電源ライン28から供給される動作定格の電圧値に動作を開始し、動作電圧信号生成回路29からのパラレルの形態の動作電圧信号が入力される。重畳回路30のパラレル−シリアル変換部30aは、前述の「H/L/H/L」の順の4本の信号の組となるパラレルの形態の動作電圧信号を、「H→L→H→L」の順番で1本の伝送信号上に送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を生成する。そして、このシリアルの形態の動作電圧信号を受けた差動信号生成部30bは、直流安定化電源装置21と機器が接続された際に供給された電圧に、パラレル−シリアル変換部30aから受けたシリアルの形態の動作電圧信号を重畳して電源ライン28上に伝送できる形態の信号に変換して直流安定化電源装置21に供給する。
【0034】
重畳回路30から供給された動作電圧信号が直流安定化電源装置21に入力されると、まず、電源ライン28から分岐されて信号分離回路27に入力される。信号分離回路27は、動作電圧信号抽出部27aにおいて、電源ライン28上に伝送できる形態の動作電圧信号成分と電源電圧成分とを分離し、さらに分離された動作電圧信号成分を、次段のシリアル−パラレル変換部27bが処理するに適した本形態の「H→L→H→L」の順番で送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を送出する。シリアル−パラレル変換手段27bは、「H→L→H→L」の順番で送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を、動作電圧信号生成回路29から出力された「H/L/H/L」の4本の組から成るパラレルの形態の動作電圧信号に変換し、動作電圧信号判別回路26に出力する。
【0035】
動作電圧信号判別回路26は、直流安定化電源装置21が給電対象機器に接続されたと同時に、内蔵された可変抵抗26a及びコントローラ26bを初期化する。本形態では、可変抵抗26aを0Ω、コントローラ26bの初期動作電圧信号を「L/L/L/L」に初期化するものとする。本形態においては、コントローラ26bには信号分離回路27から「H/L/H/L」の4本の組からなる動作電圧信号が入力される。コントローラ26bは、「H/L/H/L」の動作電圧信号に基づいて、可変抵抗26aを0Ωから何Ωにするかをコントローラ26bが予め内蔵している設定手段を用いて設定する。本形態では、動作電圧信号「H/L/H/L」から可変抵抗26aを10KΩの抵抗値に変更するようにコントローラ26bが制御する。
【0036】
電圧制御回路25の抵抗回路25b内の抵抗25baの抵抗値を本形態では5kΩとする。動作電圧信号判別回路26の可変抵抗26aの抵抗値と抵抗回路25b内の5kΩの抵抗25baとが本形態では直列に接続されているものとする。本形態においては、動作電圧信号判別回路26の可変抵抗26aが10kΩに変更されているため、抵抗25baと可変抵抗26aとが合成されて15kΩの抵抗値となる。
【0037】
電圧制御回路25の電圧安定化回路25aは、上記のように合成した抵抗値に基づいて、電源ライン28aと接続されるVout端子から何Vの電圧値を出力するかを、合成抵抗値15kΩ及び電源ライン28bと接続されVin端子に入力されるトランス24の二次巻線に誘起された電圧値を用いて決定する。
【0038】
本形態においては、負荷31の動作電圧が12Vであった場合、動作電圧信号判別回路26に内蔵された可変抵抗26aと、電圧制御回路25に内蔵された抵抗回路25b内の抵抗25baとの合成抵抗値15kΩは、電圧制御回路25が12Vを生成することを定義しており、電圧制御回路25のVin端子に入力される電圧値から、電圧安定化回路25aが昇圧もしくは降圧を行って負荷31の動作電圧12Vを生成し、電圧制御回路25のVout端子から、このVout端子に接続されている電源ライン28aに出力する。
【0039】
電源ライン28aと電源ライン28とは、ワイヤード接続されており、電圧制御回路25によって生成された出力電圧は、直流安定化電源装置21と、この直流安定化電源装置21から電源が供給される機器とが、図5に示したものと同様に、電源ライン28を介して導通し、直流安定化電源装置21から出力された電源電圧が電源ライン28を介して供給され、負荷31に電流がかかることにより、その機器が動作することになる。
【0040】
このように本形態においては、機器からの動作電圧要求となる動作電圧信号によって出力電圧が可変でき、さらに、その機器からの動作電圧信号は従来からある電源ラインを利用して行われるため、直流安定化電源装置1つでかつ直流安定化電源装置と給電機器との物理的接続を大幅に変更することなく、動作電圧の異なる機器に給電することができる。
【0041】
なお、負荷31の動作電圧値、電圧制御回路25に内蔵された抵抗回路25bの抵抗25ba及び動作電圧信号判別回路26に内蔵された可変抵抗26aの初期化後と変更後の抵抗値、動作電圧信号の形態については、本形態を分かりやすく説明するための一例であって、本発明の構成を逸脱しない範囲で他の電圧値、抵抗値、信号形態への変更も可能である。
【符号の説明】
【0042】
21 直流安定化電源装置
22 交流入力
23 一次回路
24 トランス
25 電圧制御回路
25a 安定化回路
25b 抵抗回路
26 動作電圧信号判定回路
26a 可変抵抗
26b コントローラ
27 信号分離回路
27a 動作電圧信号抽出部
27b シリアル−パラレル変換部
28 電源ライン
29 動作電圧信号生成回路
30 重畳回路
30a パラレル−シリアル変換部
30b 差動信号生成部
31 負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷側機器へ電源ラインを介して電源供給を行うACアダプタ等として好適に実施される直流安定化電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5は、ACアダプタとして使用される一般的な直流安定化電源装置の構成例を示すブロック図である。
【0003】
本例における直流安定化電源装置1は、いわゆるスイッチング電源装置であり、図5に示すように、商用電源からの交流入力2が整流ダイオード3と平滑コンデンサ4とによって直流に変換され、平滑コンデンサ4の出力電圧が直流電源となる。そして、この直流電源間に、トランス5の1次巻線とスイッチング素子6との直列回路が接続されており、制御回路7によってスイッチング素子6が断続制御される。これにより、トランス5の2次巻線に電圧が誘起され、この電圧が、ダイオード8及び平滑コンデンサ9によって整流、平滑され、電源ライン10を介して負荷11に供給される。
【0004】
ところで、このような直流安定化電源装置1においては、その出力が一意であるため、機器の給電にはその電源電圧を出力するACアダプタを用意することになる。そのため、電源電圧の異なる機器が増えればその分のACアダプタを保有する必要があり、また、現在給電の必要がない機器がある場合、過剰にACアダプタを持つことになり、保有するACアダプタの数が増えてしまうことになる。
【0005】
また、上述したように複数のACアダプタを保有している場合、給電構造が類似しているため、機器の定格に合わないACアダプタを接続することができてしまい、それにより、給電対象の機器を破壊する虞れが生じてしまう。
【0006】
ここで、複数の出力電圧に対応するために、その出力電圧を、電気装置と電圧、電流、消費電力等の規格を適合させるように手動で設定することが考えられており、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−308096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたもののように、その出力を手動で切り替える方式においては、利用者が複数の出力電圧を把握している必要があるとともに、わざわざ手動で切り替える必要があり、操作が煩雑になってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、必要となる電源電圧が互いに異なる機器のそれぞれに対して、その機器に応じた電圧の直流電源を自動で供給することができる直流安定化電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、
前記接続された機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧判別手段と、
前記交流入力を変換した直流電源の電圧を、前記動作電圧判別手段にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明においては、直流電源を供給する機器から供給される動作電圧信号に基づいて、機器に供給する直流電源の電圧を制御するため、1つの出力端から複数の電圧出力が可能となり、それにより、1つのACアダプタで、電源電圧が互いに異なる給電対象機器へ給電することができ、また、その電圧が機器にて最適なものとなるため、一意の電圧を出力するACアダプタを、電源電圧が定格範囲にない機器と接続する誤接続が発生することがなく、それにより、電源の誤接続による機器の破壊が生じることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の直流安定化電源装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した電圧制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1に示した動作電圧信号判別回路及び信号分離回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1に示した動作電圧信号生成回路及び重畳回路の構成例を示すブロック図である。
【図5】ACアダプタとして使用される一般的な直流安定化電源装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の直流安定化電源装置の実施の一形態を示すブロック図である。
【0015】
本形態は図1に示すように、トランス24を挟んで一次側に、一次回路23及び交流入力22が配置され、また、二次側には、実装されるダイオードやコンデンサのような整流、平滑素子(全て不図示)が配置され、交流入力22を直流電源に変換し、接続された機器にその直流電源を供給するものであり、そのような構成においては、図5に示したものと同様である。本形態においては、このような構成に加えて、トランス24を挟んで二次側に、動作電圧判別手段である動作電圧信号判別回路26と、電圧制御回路25と、信号分離回路27とが設けられている。
【0016】
動作電圧信号判別回路26は、電源ライン28に接続された信号分離回路27と接続されており、接続された機器から供給された動作電圧信号が電源ライン28及び信号分離回路27を介して入力され、入力された動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別し、機器に供給する最適な電源電圧を生成するための信号を電圧制御回路25に送出する。
【0017】
電圧制御回路25は、トランス24の二次巻線に誘起された電圧が入力され、その電圧を動作電圧信号判別回路26にて判別された電圧に変換することにより、給電すべき機器へ最適な電源電圧を供給する。
【0018】
信号分離回路27は、直流電源が機器に供給される電源ライン28から動作電圧信号を抽出し、動作電圧信号判別回路26に供給する。
【0019】
また、直流安定化電源装置21が給電する機器には、動作電圧信号生成回路29が内蔵されている。この動作電圧信号生成回路29は、直流安定化電源装置21が給電する機器に内蔵された重畳回路30と接続されており、動作電圧信号生成回路29から生成、出力された動作電圧信号は重畳回路30に中継される。
【0020】
図2は、図1に示した電圧制御回路25の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図1に示した電圧制御回路25は図2に示すように、トランス24の二次巻線に誘起された電圧が電源ライン28bを介して入力されるVin端子と、電源ライン28aと接続され、接続された機器に供給する最適な電源電圧をこの電源ライン28aに出力するVout端子と、動作電圧信号判別回路26から出力された信号が入力される端子とを具備しているとともに、電圧安定化回路25aと、抵抗回路25bとを内蔵している。抵抗回路25bの抵抗値は一定である。動作電圧信号判別回路26から入力される信号は本形態では可変の抵抗値を信号化したものであり、抵抗回路25bが持つ抵抗値と動作電圧信号判別回路26からの入力される抵抗値信号とから合成抵抗値を算出する。合成抵抗の算出においては、両者の抵抗値を直列接続しても並列接続しても本形態に影響を与えないため、ここでは限定しない。
【0022】
図3は、図1に示した動作電圧信号判別回路26及び信号分離回路27の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示した動作電圧信号判別回路26は図3に示すように、可変抵抗26aと、可変抵抗26aに接続され、可変抵抗26aが自動で抵抗値を決定するためのコントローラ26bとを内蔵している。コントローラ26bは、信号分離回路27から出力される1本以上の組の信号のインターフェイスを具備しており、1本以上の組の信号から可変抵抗26aの抵抗値を決定、変更する。
【0024】
図1に示した信号分離回路27は図3に示すように、電源ライン28に接続され、接続された機器から供給された動作電圧信号成分を電源ライン28から抽出する動作電圧信号抽出部27aを内蔵している。動作電圧信号抽出部27aが抽出した動作電圧信号成分は、1本以上の組の信号をシリアルの形態のものであり、当該シリアルの形態の動作電圧信号成分をパラレルの形態に変換するシリアル−パラレル変換部27bに中継される。なお、図3ではパラレルの形態に変換されて動作電圧信号判別回路26に中継される動作電圧信号を4本の組の信号で図示しているが、動作電圧信号の本数はこれに限定されない。
【0025】
図4は、図1に示した動作電圧信号生成回路29及び重畳回路30の構成例を示すブロック図である。
【0026】
図1に示した動作電圧信号生成回路29の一例としては、プルアップ、プルダウンによるデジタル信号「H(または1)」,「L(または0)」の組み合わせが簡易的に構成できるため、本形態においては前述の構成を用いるが、「H」,「L」の組み合わせを出力できるものであればICやLSIを使用したものでも本形態に影響はない。このような動作電圧信号生成回路29は図4に示すように、プルアップ電圧32とプルアップ抵抗29aによる「H」の信号と、プルダウン電圧33とプルダウン抵抗29bによる「L」の信号との一意の配列の組み合わせで出力する。前述の「H」,「L」の信号の一意の配列の組み合わせが、直流安定化電源装置21に供給される動作電圧信号の元となる。
【0027】
動作電圧生成回路29から出力された信号は、重畳回路30にて中継される。重畳回路30は図4に示すように、パラレルの形態になっている動作電圧信号の元をシリアルの形態に変換するパラレル−シリアル変換部30aと、シリアルの形態に変換された動作電圧信号の元を電源ライン28に電源成分と重畳し、電源ライン28が伝送できる最適な形態を生成する差動信号生成部30bとを内蔵している。
【0028】
重畳回路30から出力された電源成分と動作電圧信号の元である成分とを重畳した信号は、電源ライン28上を伝送されて直流安定化電源装置21に供給される。そして、信号分離回路27によって動作電圧信号成分が抽出され、動作電圧信号判別回路26に中継されることになる。
【0029】
なお、機器の負荷31への給電は、図5に示した直流安定化電源装置と同様に電源ライン28を介して行われる。
【0030】
以下に、上記のように構成された直流安定化電源装置21の動作について説明する。
【0031】
上記のように構成された直流安定化電源装置21は、機器への給電のため、図5に示した直流安定化電源装置の使用例であるACアダプタと同様に、直流電源を供給する機器との接続を行う。この時、電源ライン28を介してトランス24の二次巻線に誘起された電圧が給電対象機器に供給される。この際、給電対象機器に供給される電圧値は、動作電圧信号生成回路29及び重畳回路30の動作定格であり、負荷31が動作するに至らない電圧値と定義する。
【0032】
直流安定化電源装置21から直流電源が供給される機器が持つ動作電圧信号生成回路29は図4に示したように、本形態においてはプルアップ抵抗29aとプルダウン抵抗29bとをそれぞれ2個ずつ持ち、直流安定化電源装置21から電圧ライン28,28cを介してプルアップ電圧32とプルダウン電圧33に所定の電圧が印加される。本形態では、図4に示した構成により、動作電圧信号生成回路29は、「H/L/H/L」の順の4本の信号の組となるパラレルの形態の動作電圧信号を出力する。
【0033】
すると、重畳回路30は、電源ライン28から供給される動作定格の電圧値に動作を開始し、動作電圧信号生成回路29からのパラレルの形態の動作電圧信号が入力される。重畳回路30のパラレル−シリアル変換部30aは、前述の「H/L/H/L」の順の4本の信号の組となるパラレルの形態の動作電圧信号を、「H→L→H→L」の順番で1本の伝送信号上に送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を生成する。そして、このシリアルの形態の動作電圧信号を受けた差動信号生成部30bは、直流安定化電源装置21と機器が接続された際に供給された電圧に、パラレル−シリアル変換部30aから受けたシリアルの形態の動作電圧信号を重畳して電源ライン28上に伝送できる形態の信号に変換して直流安定化電源装置21に供給する。
【0034】
重畳回路30から供給された動作電圧信号が直流安定化電源装置21に入力されると、まず、電源ライン28から分岐されて信号分離回路27に入力される。信号分離回路27は、動作電圧信号抽出部27aにおいて、電源ライン28上に伝送できる形態の動作電圧信号成分と電源電圧成分とを分離し、さらに分離された動作電圧信号成分を、次段のシリアル−パラレル変換部27bが処理するに適した本形態の「H→L→H→L」の順番で送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を送出する。シリアル−パラレル変換手段27bは、「H→L→H→L」の順番で送出されるシリアルの形態の動作電圧信号を、動作電圧信号生成回路29から出力された「H/L/H/L」の4本の組から成るパラレルの形態の動作電圧信号に変換し、動作電圧信号判別回路26に出力する。
【0035】
動作電圧信号判別回路26は、直流安定化電源装置21が給電対象機器に接続されたと同時に、内蔵された可変抵抗26a及びコントローラ26bを初期化する。本形態では、可変抵抗26aを0Ω、コントローラ26bの初期動作電圧信号を「L/L/L/L」に初期化するものとする。本形態においては、コントローラ26bには信号分離回路27から「H/L/H/L」の4本の組からなる動作電圧信号が入力される。コントローラ26bは、「H/L/H/L」の動作電圧信号に基づいて、可変抵抗26aを0Ωから何Ωにするかをコントローラ26bが予め内蔵している設定手段を用いて設定する。本形態では、動作電圧信号「H/L/H/L」から可変抵抗26aを10KΩの抵抗値に変更するようにコントローラ26bが制御する。
【0036】
電圧制御回路25の抵抗回路25b内の抵抗25baの抵抗値を本形態では5kΩとする。動作電圧信号判別回路26の可変抵抗26aの抵抗値と抵抗回路25b内の5kΩの抵抗25baとが本形態では直列に接続されているものとする。本形態においては、動作電圧信号判別回路26の可変抵抗26aが10kΩに変更されているため、抵抗25baと可変抵抗26aとが合成されて15kΩの抵抗値となる。
【0037】
電圧制御回路25の電圧安定化回路25aは、上記のように合成した抵抗値に基づいて、電源ライン28aと接続されるVout端子から何Vの電圧値を出力するかを、合成抵抗値15kΩ及び電源ライン28bと接続されVin端子に入力されるトランス24の二次巻線に誘起された電圧値を用いて決定する。
【0038】
本形態においては、負荷31の動作電圧が12Vであった場合、動作電圧信号判別回路26に内蔵された可変抵抗26aと、電圧制御回路25に内蔵された抵抗回路25b内の抵抗25baとの合成抵抗値15kΩは、電圧制御回路25が12Vを生成することを定義しており、電圧制御回路25のVin端子に入力される電圧値から、電圧安定化回路25aが昇圧もしくは降圧を行って負荷31の動作電圧12Vを生成し、電圧制御回路25のVout端子から、このVout端子に接続されている電源ライン28aに出力する。
【0039】
電源ライン28aと電源ライン28とは、ワイヤード接続されており、電圧制御回路25によって生成された出力電圧は、直流安定化電源装置21と、この直流安定化電源装置21から電源が供給される機器とが、図5に示したものと同様に、電源ライン28を介して導通し、直流安定化電源装置21から出力された電源電圧が電源ライン28を介して供給され、負荷31に電流がかかることにより、その機器が動作することになる。
【0040】
このように本形態においては、機器からの動作電圧要求となる動作電圧信号によって出力電圧が可変でき、さらに、その機器からの動作電圧信号は従来からある電源ラインを利用して行われるため、直流安定化電源装置1つでかつ直流安定化電源装置と給電機器との物理的接続を大幅に変更することなく、動作電圧の異なる機器に給電することができる。
【0041】
なお、負荷31の動作電圧値、電圧制御回路25に内蔵された抵抗回路25bの抵抗25ba及び動作電圧信号判別回路26に内蔵された可変抵抗26aの初期化後と変更後の抵抗値、動作電圧信号の形態については、本形態を分かりやすく説明するための一例であって、本発明の構成を逸脱しない範囲で他の電圧値、抵抗値、信号形態への変更も可能である。
【符号の説明】
【0042】
21 直流安定化電源装置
22 交流入力
23 一次回路
24 トランス
25 電圧制御回路
25a 安定化回路
25b 抵抗回路
26 動作電圧信号判定回路
26a 可変抵抗
26b コントローラ
27 信号分離回路
27a 動作電圧信号抽出部
27b シリアル−パラレル変換部
28 電源ライン
29 動作電圧信号生成回路
30 重畳回路
30a パラレル−シリアル変換部
30b 差動信号生成部
31 負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、
前記接続された機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧判別手段と、
前記交流入力を変換した直流電源の電圧を、前記動作電圧判別手段にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御手段とを有することを特徴とする直流安定化電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直流安定化電源装置において、
前記動作電圧信号は、前記直流電源が前記機器に供給される電源ラインを介して供給され、
前記電源ラインから前記動作電圧信号を抽出し、該動作電圧信号を前記動作電圧判別手段に供給する信号分離手段を有する直流安定化電源装置。
【請求項1】
交流入力を直流電源に変換し、接続された機器に前記直流電源を供給する直流安定化電源装置において、
前記接続された機器から供給される動作電圧信号に基づいて、当該機器が必要としている電圧を判別する動作電圧判別手段と、
前記交流入力を変換した直流電源の電圧を、前記動作電圧判別手段にて判別された電圧に変換して出力する電圧制御手段とを有することを特徴とする直流安定化電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の直流安定化電源装置において、
前記動作電圧信号は、前記直流電源が前記機器に供給される電源ラインを介して供給され、
前記電源ラインから前記動作電圧信号を抽出し、該動作電圧信号を前記動作電圧判別手段に供給する信号分離手段を有する直流安定化電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−161185(P2012−161185A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19773(P2011−19773)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
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