直流電動機及び直流発電機

【課題】従来の直流回転機器では、回転に伴って電流の向きを変える整流子が必要で、これが直流回転電気機器を複雑にし、作りにくく、特性悪くし、しかも高価にしていた。
【解決手段】従来の直流機器の欠点を、固定子の磁場配置、回転子の導線配置を変えることにより、直流機器でありながら、電流の向きを変える整流子のない、構造、特性、価額、耐久性の面で優れた直流電動機及び直流発電機を得ることが出来るようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
電気機械、電動力応用機器、教育機材・機器、直流発電機、直流電動機
【0001】
【背景技術】
従来の直流電動機、または直流発電機では、電流の向きを固定子導線の扱う電圧が変わるごとに切り替える整流子が必要であった。このため、整流子の接触不良、破壊、雑音の発生などによる問題があった。
【0002】
また、必ずN極とS極が回転子に影響する固定子側に存在したので、電流、トルクなどが変動し、動作の不安定性、交流分による渦電流損失の発生など避けられない欠点があった。
【0003】
また、教材用の場合には、整流子があるので構造が複雑のため、高価になり、教育を受ける者が製作する際の障壁となっていた。さらに、従来の回転子が導線よりなる簡単な構造のものでは、回転子の機械的バランスが悪く、回転トルクが一回転に一度しか発生しないので、回転が滑らかでなく、しかも効率が悪いため発熱し壊れやく、扱いにくいという欠点があった。
【参考文献1】
【0004】
電気機械工学−直流電動機&直流発電機関係 電気学会編 執筆者 尾本義一ほか 1987/12/25出版 発行 電気学会
【参考文献2】
電気の自由研究−簡易型直流電動機関係 発行 電気学会 福田務編著 2000/9/20出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の直流の電動力応用機器においては、電流の向きを変えるための整流子があり、そのため、電流の脈流、脈流による渦電流損失・雑音があり電気性能が不安定でかつ機器が壊れやすかった。また、導線のみで作られた回転子を利用するものでは、回転子の機械的バランスが悪く、回転トルクが一回転に一度しか発生しないの、振動や損失が多く壊れやすかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来の問題点を解消するため、固定子の回転子に近接する固定子の磁極をNまたはSの一極とすることを特徴としている。また、さらなる特徴は、回転子の導線を、回転子の周辺近くにおいては回転子の回転軸方向にそろえ、かつ捲き線の戻りは回転軸の中心近くを通るようにし、回転子の一方の軸近くにある環状第一電極から回転子の反対側の軸近くの環状第二電極に電流が流れるようにする。
【0007】
または、他の本発明は、回転子一方の回転軸近くにある環状の第一電極から、回転子反対側の回転軸近くにある環状第二電極に、複数の導線中を、回転子の円周外部近くを通って回転軸の同一方向に電流が流れるようにする。
【0008】
この方法によって、回転に伴って電流の向きを反転する整流子をなくし、電流、トルクの変動の少ない、静かな安定した直流電動機または直流発電機を実現する。
【0009】
また、導線のみを用いて軸対象の良い回転子とし、回転子の両周辺を電流が同一軸方向に一回転毎に二回以上流れなるようする。これにより、回転トルクおよび回転子のアンバランスによる損失、振動を減少させ、滑らかで効率よく回転をする電動機を簡単、かつ安価に得られるようになった。
【発明の効果】
【0010】
該直流電動機は、出力トルク変動がなく、静かで、低雑音で故障が少なく、優れた耐久性を示す。また、該直流発電機は、脈流の少ない直流電流を容易に発生し、しかも、低雑音で故障が少なく、優れた耐久性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第一の形態を示す直流電動機及び直流発電機の回転軸を通る垂直面で切断した断面図例を示す。ここで、1は回転子を2は固定子本体を、3は固定子の軸受け部を、4は固定子据付用脚を、5は回転子の軸を、6は集電ブラシ9を保持する集電ブラシホルダを示す。
【0012】
7は固定子に磁場を作る環状永久磁石で、右側の磁石と左側の磁石の極性の向きはお互いに反対方向に設置される。さらに、8は回転子から絶縁された環状電極で、回転子に電流を流すためのものである。9は電流を該電動機または発電機に導くための集電ブラシを、10はその外部端子を示す。
【0013】
また、図2は該形態直流電動機及び直流発電機の回転子外見スケッチ図で、1,5,8は図1で説明したものと同じである。11は回転子の表面近くを回転軸方向に通過する捲き導線の一部である。
【0014】
図3、4は該回転子の回転軸の方向から見た該回転子の説明図を示し、1,5,8は図1と同一で、11は回転子の表面近くに設置された捲き導線の一部で、電流はこの捲き線のすべてで同一の軸方向に流れる。図3は導線を該回転子のコアに順次捲きつける回転子の説明面を示し、図4は導線が回転子一方の環状電極から回転子外周へ放射状に伸び、回転子反対側の電極へ収束して終端する回転子の説明図を示す。
【0015】
図5は回転子が導線からなり、固定子が固定磁石からなる本発明の第二の形態を示す電動機の構成図例を示す。ここで、12は回転子を支持し回転子に電流を供給する銅製の軸受け電極を、13は導線で構成される回転子を、15は直流電源の乾電池を示す。
【0016】
図6は該電動機用回転子の第一の例を示すもので、16は回転子を構成する回転子用導体を、17は導線を固定する固定用絶縁体を、18は表面に絶縁被覆のない通電電極軸で、回転子の軸となるとともに、銅製軸受け電極と接触して電流を回転子に導く電極ともなる。19は図8に詳細を示す回転子を流れる電流を制御する簡単な電流制御電極軸で、導線の決められた両側に絶縁被覆のない部分を作ったものである。図6の回転子を用いた電動機では、電流が回転子の両側にある導線を直列に流れる。
【0017】
また、図7は、該電動機用回転子の第二の例を示すもので、16,18,19は図6と同じものを、20は環状導線16に18,19を接着した部分を示す。図7に示す回転子を用いた電動機では、電流は一方の電極から他方の電極へ回転子の2本の導線を並列に流れる。
【0018】
図8は図6,7の19に使用されている電流制御電極軸を示す。被覆銅線を用いて作る場合は、該銅線の両側の、軸に対して点対称な位置に中心から適切な角度の範囲の被膜を軸に沿って除去する。これにより、回転子が軸受けに接して回転するとき、絶縁部分では電流が遮断されて動作電流の制御ができる。
【実施例】
【0019】
実施例1では、図1に断面を示す構造の電動機を環状のフェライト製永久磁石二個用いて作った。電流が導線を直列に流れる直列捲き線型回転子(図3)を用いて、3ボルトの電源に接続したところ、1000rpmの静かな回転を得ることが出来た。
【0020】
また、これを1000rpmで外部から回転させたところ、約2Vの一定の雑音の少ない直流電流を得ることが出来た。また、電流が放射状に流れる放射導線型回転子(図4)を用いても同様な結果を簡単に得ることが出来た。特に、該回転子の場合は、2V以下の低電圧でも安定した直流電流を安定して得ることが出来た。
【0021】
実施例2では、図5に示す構造の電動機を製作した。この実施例では、40mm角、厚さ10mmのフェライト永久磁石1個を用いて角型永久磁石14を、直径1mmのエナメル導線を用いて直径50mmの図6、7に示す回転子用導体16を2種類ずつ製作した。
【0022】
図6と図7に示す回転子の電流制御電極軸を、図8に示すように、エナメル銅線のエナメルの1部を電気が導通するように削って22導通面とし、図6の回転子で捲き線面が水平になった時に電流が流れるようにしたものと、垂直になった時に電流が流れるようにしたもの、また、図7の回転子で回転子の巻き線面が水平になった時に電流が流れるものと、該面が垂直になった時に電流が流れるものとの合計4種類の回転子を製作した。
【0023】
1.5Vの単2乾電池を電源としていずれの4種類の回転子を用いても、安定した回転を長時間にわたって得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0024】
実施例1のものは、大型から小型まで、種々の用途に直流電動機として用いることが出来るほか、発電機として、特に低電圧で安定した変動の少ない電源を必要にする各種機器に使うことが出来る。
また、実施例2のものは、構造が分かり易く、安価で、組み立て易い特徴を生かして、教育産業で広く用いることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一形態を持つ直流電動機及び直流発電機の断面構造図例
【図2】回転子表面近くに戻り導線が無く、一方向のみ電流が流れる導線を持つ本発明の回転子
【図3】帰り導電が回転子の軸近くを通ることを特徴とする本発明直流電動機または直流発電機の回転子に特有な導線の捲き方を示す図
【図4】導線が環状電極から回転子上の導体へ放射状に配置される回転子の捲き方法を示す図
【図5】本発明の第二の形態を持つ電動機の構成図例
【図6】該電動機の第一の形態の回転子の構造を示す図
【図7】該電動機の第二の形態の回転子の構造を示す図
【図8】該電動機に用いる回転子にある電流制御電極軸の構造を示す図
【符号の説明】
【0026】
1 回転子 12 銅製軸受け電極
2 固定子本体 13 導線のみの回転子
3 固体子の軸受け部 14 角型永久磁石
4 固定子据付用脚 15 乾電池
5 回転子の軸 16 回転子用導体
6 集電ブラシホルダー 17 固定用絶縁体
7 環状永久磁石 18 通電電極軸
8 環状電極 19 電流制御電極軸
9 集電ブラシ 20 電極軸接着点
10 外部端子 21 エナメル被覆
11 捲き導線の一部 22 導通面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子の表面近傍の導線に、回転軸の一方向にしか電流が流れない回転子を持ち、回転子に対向する面にNまたはSの一極しか存在しない固定子からなる直流電動機及び直流発電機。
【請求項2】
請求項1において、回転子に導線を捲くとき、戻り線を回転子の軸近傍に配置することを特徴とする直流電動機及び直流発電機。
【請求項3】
請求項1において、回転子の電源側の軸近くに設置された環状電極から放射状に出た導線が、回転子の表面近傍に設置された導線に並列に接続され、さらに出力側の軸近くに設置された環状電極に終端された回転子を持つことを特徴とする直流電動機及び直流発電機。
【請求項4】
請求項1において、回転子が適切な形状に整形された導線のみでできており、かつ、電流が該回転子の外周部導線を該回転子の一回転軸方向のみに流れることを特徴とし、さらに、該回転子を支える固定子が回転子側に同一の極しかない磁石を一部に持つことを特徴とする直流電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−189224(P2009−189224A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58681(P2008−58681)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(596056782)
【Fターム(参考)】