説明

直流電源制御装置および直流電源制御方法

【課題】太陽光発電装置、蓄電池、負荷側に特別な装置構成を必要とせずに、精度の良い直流電源制御を行う。
【解決手段】太陽光発電装置20、蓄電池40および直流電力系統電源30それぞれと負荷50との間に配置された直流電源制御装置10は、太陽光発電装置20と負荷50の間に配置され太陽光発電装置20に対し最大電力点追従制御を行う最大電力点追従制御手段11と、蓄電池40と負荷50の間に配置され蓄電池40の充放電を制御する充放電制御手段12と、負荷50に並列に接続され負荷50への出力電圧を検出する出力電圧検出手段13と、を備えており、充放電制御手段12は、検出された出力電圧が上昇した場合に、太陽光発電装置20により発電された余剰電力を蓄電池40に充電する処理を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置と蓄電池と直流電力系統電源を組み合わせた電源制御技術に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電等の自然エネルギーの利用が注目される中で、施設や住宅に太陽光発電装置が設置されることが多くなってきているが、現状では、太陽光発電装置が発電した直流の電力は、パワーコンディショナーによって交流に変換されて利用されているものがほとんどである。しかしながら、直流で動作する機器や設備も多いため、交流に変換された電力を直流に変換し直す必要が生じ、このような場合には、直流−交流−直流の一連の変換ロスが発生することになる。この変換ロスを低減するために、電力を交流に変換せずに直流のまま供給する直流給電システムも注目されつつある。特に、通信設備(無線通信の基地局等)は蓄電池を備えているため、48Vの直流電力系統電源を使用している例が多い。この場合、商用電力系統の交流電源は整流器や安定化電源等により48Vの直流に変換され、この変換後の直流電力は通信設備やその中の蓄電池に供給される。ここに太陽光発電装置が加わると、商用電力系統からの系統電源(48Vの直流電力系統電源)、蓄電池および太陽光発電装置の3つの電源が負荷に並列に接続される構成となり、これらの3つの電源を効率的に運用するための制御が必要になってくる(特許文献1参照)。
【0003】
一例として、図1には、太陽光発電装置と電力系統電源と蓄電池を組み合わせた負荷への電力供給状況を示す。この例では、負荷400Wの機器に太陽光発電装置480W、直流の電力系統電源、および蓄電池が並列に接続されている状態で、0時から24時までの電力供給状況が示されている。太陽光発電装置は、日射量に応じて発電電力が変化し、日射量の多い9時〜15時の間は、負荷400W以上の発電をする。この例では、負荷の消費電力よりも多く発電した電力は蓄電池に充電され、太陽光発電の発電量が負荷400Wを下回ったときに、それまで充電した電力を放電開始することで、電力需要のピーク時間帯である13時〜17時は電力系統電源を使わないようにしている。このように蓄電池の充放電を効率的に制御することによって、電力系統に対するピーク消費電力を削減する効果等が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−34175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように蓄電池の充放電を制御するためには、太陽光発電装置の発電量が負荷の消費電力を上回ることを検出する必要がある。これは、太陽光発電装置の発電電力と負荷の消費電力とを比較することでも実現できる。しかしながら、負荷によっては、電圧が変動することで当該負荷における消費電力も変動する場合があり、負荷が太陽光発電装置の余剰発電電力を過剰に消費してしまう場合もある。そのような場合、太陽光発電装置の発電電力と負荷の消費電力とを正確に比較することは困難である。また、負荷の消費電力を測定するためには、例えば負荷側に電流センサ等の特別な装置を設ける必要もある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、特別な装置構成を必要とせずに、精度の良い直流電源制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る直流電源制御装置は、太陽光発電装置、蓄電池および直流電力系統電源それぞれと負荷との間に配置された直流電源制御装置であって、太陽光発電装置と負荷の間に配置され太陽光発電装置に対し最大電力点追従制御を行う最大電力点追従制御手段と、蓄電池と負荷の間に配置され蓄電池の充放電を制御する充放電制御手段と、負荷に並列に接続され負荷への出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、を備え、充放電制御手段は、出力電圧検出手段により検出された出力電圧が上昇した場合に、太陽光発電装置により発電された余剰電力を蓄電池に充電する処理を開始することを特徴とする。このとき、充放電制御手段は、出力電圧が、直流電力系統電源の電圧値に所定値加算した値を超えたことをもって、当該出力電圧が上昇したと判断してもよい。
【0008】
このように、太陽光発電装置の発電量が負荷の消費電力を上回ることを検出するにあたり、太陽光発電装置の発電電力と負荷の消費電力とを比較することなく、出力電圧検出手段により検出された負荷への出力電圧が上昇したこと(例えば、出力電圧が「直流電力系統電源の電圧値に所定値加算した値」を超えたこと)をもって、太陽光発電装置の発電量が負荷の消費電力を上回ったと判断し、太陽光発電装置により発電された余剰電力を蓄電池に充電する処理を開始する。これにより、負荷の消費電力を測定するための特別な装置(電流センサ等)を必要とせずに直流電源制御装置内で取得可能な電圧情報のみで直流電源制御が可能となり、また、負荷に印加される電圧が変動することで当該負荷における消費電力が変動するといった影響を排除した上で精度の良い直流電源制御を行うことができる。
【0009】
また、充放電制御手段は、上記の出力電圧が上昇し、且つ、蓄電池の充電残量を表すステート・オブ・チャージが、満充電状態の近傍に対応する第1の閾値(例えば90%)以下の場合に、余剰電力を蓄電池に充電する処理を開始してもよい。なお、上記の「ステート・オブ・チャージ」(State Of Charge(SOC))とは、蓄電池の充電状態を示す単位であり、満充電時における蓄電池の容量に対して充電残量がどのくらいかを比率(パーセント)で表すものである。即ち、SOC100%は蓄電池の完全な満充電状態を、SOC50%は蓄電池の充電残量が半分の状態を、SOC0%は蓄電池の完全な放電状態を、それぞれ示す。
【0010】
また、充放電制御手段は、蓄電池への充電中に、出力電圧が直流電力系統電源の電圧値近傍まで低下した場合、又は、ステート・オブ・チャージが上記第1の閾値を超えた場合に、蓄電池への充電を停止してもよい。
【0011】
また、充放電制御手段は、蓄電池への充電を停止した後、出力電圧が直流電力系統電源の電圧値近傍まで低下しており、且つ、ステート・オブ・チャージが、上記の第1の閾値(例えば90%)よりも低く設定された第2の閾値(例えば70%)以上の場合に、蓄電池に蓄積された電力を負荷へ放電する処理を開始してもよい。
【0012】
さらに、充放電制御手段は、負荷への放電中に、ステート・オブ・チャージが上記の第2の閾値を下回った場合に、負荷への放電を停止してもよい。
【0013】
上記のような直流電源制御装置に係る発明は、直流電源制御装置によって実行される直流電源制御方法に係る発明として捉えることができ、以下のように記述することができる。以下の直流電源制御方法に係る発明も、直流電源制御装置に係る発明と同様の作用・効果を奏する。
【0014】
本発明に係る直流電源制御方法は、太陽光発電装置、蓄電池および直流電力系統電源それぞれと負荷との間に配置され、太陽光発電装置に対し最大電力点追従制御を行い負荷への出力電圧を検出する直流電源制御装置、によって実行される直流電源制御方法であって、検出された負荷への出力電圧が上昇した場合に、太陽光発電装置により発電された余剰電力を蓄電池に充電する処理を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負荷の消費電力を測定するための特別な装置(電流センサ等)を必要とせずに直流電源制御装置内で取得可能な電圧情報のみで直流電源制御が可能となり、また、負荷に印加される電圧が変動することで当該負荷における消費電力が変動するといった影響を排除した上で精度の良い直流電源制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】太陽光発電装置と電力系統電源と蓄電池を組み合わせた負荷への電力供給状況を示すグラフである。
【図2】直流電源制御装置の構成の一例を示す図である。
【図3】MPPT制御手段の構成の一例を示す図である。
【図4】充放電制御手段の構成の一例を示す図である。
【図5】充放電制御に係る状態遷移および遷移のトリガーを示す図である。
【図6】図5の状態遷移および遷移のトリガーの具体例を示す図である。
【図7】各電力のシミュレーション例を示すグラフである。
【図8】図7のシミュレーション時の出力電圧の変動を示すグラフである。
【図9】充放電制御手段内のスイッチ制御部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。
【0018】
図2には、直流電源制御装置10の構成の一例を示す。この図2に示すように、直流電源制御装置10は、電力系統電源から直流電力を供給する48Vの直流電力系統電源(以下「直流電源」と略称する)30、太陽光発電装置20および蓄電池40のそれぞれと、負荷50との間に配置されている。また、直流電源制御装置10は、太陽光発電装置20と負荷50の間に配置され太陽光発電装置20に対し最大電力点追従制御(MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御)を行う最大電力点追従制御手段(以下「MPPT制御手段」という)11と、蓄電池40と負荷50の間に配置され蓄電池40の充放電を制御する充放電制御手段12と、負荷50に並列に接続され負荷50への出力電圧を検出する出力電圧検出手段13と、を備える。
【0019】
具体的には図2に示すように、48Vの電圧のバス線14に、MPPT制御手段11の出力側、48Vの直流電源30、充放電制御手段12の出力側、および、負荷50が並列に接続されている。また、48V電圧のバス線14には、コンデンサC1が並列に接続されており、このコンデンサC1は負荷50への出力電圧の変動を緩和する。さらに、48V電圧のバス線14には、負荷50への出力電圧を検出する出力電圧検出手段13が並列に接続されている。出力電圧検出手段13により検出された検出結果(出力電圧の値)および蓄電池40のステート・オブ・チャージ(SOC)の値は、充放電制御手段12内の後述するスイッチ制御部15(図4)に入力され、後述する充放電制御に用いられる。
【0020】
図3に示すように、MPPT制御手段11は、スイッチ素子Tr1を含む降圧型DC/DCコンバータの回路により構成され、入力側(図3における左側)にコンデンサC2が並列に接続されている。このコンデンサC2は、入力側に接続された太陽光発電装置20の動作電圧を調節するためのコンデンサであり、スイッチ素子Tr1へ入力されるPWM信号のPWMデューティー比を調節することで、太陽光発電装置20からの入力電圧を太陽光発電装置20の最大電力動作電圧に調節する。例えば図3の下段に示すように、スイッチ素子Tr1へ入力されるPWM信号のPWMデューティー比を大きくすることで太陽光発電装置20からの入力電圧を低くすることができ、一方、PWMデューティー比を小さくすることで太陽光発電装置20からの入力電圧を高くすることができる。
【0021】
図2に示す負荷50への出力電圧は、太陽光発電装置20からの入力電圧、直流電源30からの直流電圧、もしくは、蓄電池40が接続された状態における蓄電池40からの入力電圧のうち、最も高い電圧になるが、MPPT制御手段11に設けられた誘導起電力コイルL1の誘導起電力によって、太陽光発電装置20からの入力電力が優先して利用される。これは、誘導起電力コイルL1の誘導起電力の電圧が48Vバス線の電圧に加わることで、太陽光発電装置20からの入力電圧が相対的に若干高くなるためである。
【0022】
上記のような構成のMPPT制御手段11により、太陽光発電装置20の発電電力が負荷50の消費電力を上回ると、直流電源制御装置10内のコンデンサC1に電荷が貯まりはじめ、出力電圧が上昇し始める。前述した出力電圧検出手段13は、このような出力電圧を監視する。
【0023】
図4に示すように、充放電制御手段12は、スイッチ素子Tr2を含む降圧DC/DCコンバータ(図4における上段部)と、スイッチ素子Tr3を含む昇圧DC/DCコンバータ(図4における下段部)と、蓄電池40への充電を行うための充電スイッチSW1と、蓄電池40からの放電を行うための放電スイッチSW2と、上記スイッチSW1、SW2のオン/オフ制御を行うスイッチ制御部15とを備える。図4の構成例では、入力側(図4における左側)に接続された蓄電池40の電圧は直流電源30の出力電圧(48V)よりも低いことを想定し、蓄電池40への充電時には降圧DC/DCコンバータを介して充電され、一方、蓄電池40からの放電時には昇圧DC/DCコンバータを介して放電される。また、停電時には負荷50の瞬時停電を防止するために、蓄電池40から負荷50に直接放電できるようにダイオードD4を使ったバイパス回路が、充放電制御手段12に設けられている。これにより、48Vの直流電源が停電した場合でも、蓄電池40から負荷50に電力を供給できる。
【0024】
上述したスイッチ制御部15は、図9に示す一般的なコンピュータにより構成することができる。例えば図9に示すようにスイッチ制御部15は、CPU15A、RAM15B、ROM15C、入力部15D、通信部15E、補助記憶部15F、および出力部15Gを備える。図4に示すようにスイッチ制御部15には、出力電圧検出手段13により検出された検出結果(出力電圧の値)と、蓄電池40のステート・オブ・チャージ(SOC)の値とが、それぞれ入力される構成となっている。
【0025】
[充放電制御について]
以下では、上述した構成の直流電源制御装置10において実行される充放電制御処理およびそれに伴う状態遷移について説明する。
【0026】
通常の充放電制御手段は、電池の残量を監視しながら過充電や過放電にならないように制御している。本件の充放電制御手段12は、これに加えて、出力電圧検出手段13により検出された出力電圧が上昇した場合に、太陽光発電装置20が過剰に発電していると判断して、充電スイッチSW1を接続し(オンにし)、太陽光発電装置20の余剰発電電力を蓄電池40に充電する。そして、出力電圧が通常範囲に戻ったことを検出した場合に、太陽光発電装置20の発電電力が負荷50の消費電力を下回ったと判断して、充電スイッチSW1を遮断する(オフにする)とともに、放電スイッチSW2を接続し(オンにし)、蓄電池40から放電する。
【0027】
図5には、充放電制御に係る状態遷移および遷移のトリガーを示しており、図6には具体的な閾値を用いた図5の具体例を示す。これらの図5、図6に示すように、状態としては、図5、図6の中段に示す充電スイッチSW1と放電スイッチSW2がともにオフの状態と、図5、図6の上段に示す充電スイッチSW1のみがオンの状態(蓄電池40への充電中の状態)と、図5、図6の下段に示す放電スイッチSW2のみがオンの状態(蓄電池40からの放電中の状態)とがある。初期状態は、図5、図6の中段に示す充電スイッチSW1と放電スイッチSW2がともにオフの状態である。
【0028】
上記の初期状態で太陽光発電装置20の発電電力が負荷50の消費電力を上回ると、図2に示す直流電源制御装置10内のコンデンサC1に電荷が貯まりはじめ、コンデンサC1の電圧(出力電圧)が上昇し始める。出力電圧検出手段13により検出された検出結果(出力電圧の値)は充放電制御手段12内のスイッチ制御部15に時々刻々と入力され、スイッチ制御部15は出力電圧を監視する。
【0029】
スイッチ制御部15は、出力電圧が上昇し所定の閾値(例えば図6に示す51V)を超えた時点で、充電スイッチSW1をオンにする(図5、図6の状態遷移S1)。ただし、このとき、過充電にならないように蓄電池40に充電する容量があること(例えば図6に示すようにSOCが90%以下であること)を条件とする。つまり、スイッチ制御部15は、出力電圧が上昇し所定の閾値(例えば図6に示す51V)を超え且つ蓄電池40に充電する容量がある(例えば図6に示すようにSOCが90%以下である)場合に、充電スイッチSW1をオンにする。充電スイッチSW1がオンになったことで、蓄電池40への充電が開始され、図5、図6の上段に示す蓄電池40への充電中の状態(Charge状態)となる。
【0030】
その後、太陽光発電装置20の発電電力が負荷の消費電力を下回ると、直流電源制御装置10内のコンデンサC1の電圧(出力電圧)が下がり始める。そこで、スイッチ制御部15は、出力電圧が通常範囲内に戻った時点(例えば図6に示すように出力電圧が49Vを下回った時点)で、充電スイッチSW1をオフにする(図5、図6の状態遷移S2)。また、スイッチ制御部15は、蓄電池40がほぼ満充電状態となり蓄電池40に充電する容量が無くなった場合(例えば図6に示すようにSOCが90%を超えた場合)にも、充電スイッチSW1をオフにする。このように充電スイッチSW1がオフになったことで、蓄電池40への充電が停止され、図5、図6の中段に示すスイッチSW1、SW2がともにオフの状態に戻る。
【0031】
そして、スイッチ制御部15は、蓄電池40の充電量(残量)が所定値以上であり且つ出力電圧が通常範囲内であれば(例えば図6に示すようにSOCが70%以上であり且つ出力電圧が49V未満であれば)、放電スイッチSW2をオンにする(図5、図6の状態遷移S3)。放電スイッチSW2がオンになったことで、蓄電池40からの放電が開始され、図5、図6の下段に示す蓄電池40からの放電中の状態(Discharge状態)となる。これにより、負荷50には、蓄電池40から電力が供給され、そのため、48V直流電源30の消費電力が減少し、48V直流電源30の負担を低減することができる。
【0032】
その後、放電により蓄電池40の充電量(残量)は低下していき、そして、蓄電池40の充電量(残量)が所定値未満まで低下した時点(例えば図6に示すようにSOCが70%を下回った時点)で、スイッチ制御部15は、放電スイッチSW2をオフにする(図5、図6の状態遷移S4)。このように放電スイッチSW2がオフになったことで、蓄電池40からの放電が停止され、図5、図6の中段に示すスイッチSW1、SW2がともにオフの状態に戻る。
【0033】
さて、図7には、本実施形態における各電源の電力変動のシミュレーション例を示す。この図7では、負荷は300Wで一定であり、太陽光発電装置20の発電電力が増加し、やがて負荷の300Wを超え、その後、蓄電池40の電力増加に伴い太陽光発電装置20の発電電力が減少していくことがわかる。なお、蓄電池40の電力は、マイナスのときが蓄電池40への充電を、プラスのときが蓄電池40からの放電をそれぞれ表しており、蓄電池40が充電状態から放電状態へ切り替わることで、太陽光発電装置20の発電電力の減少ペースが速くなる。
【0034】
図8には、図7のシミュレーション時の出力電圧の変動を示す。まず、太陽光発電装置20の発電電力が無いときは、出力電圧は直流電源30の電圧(この例では47.5V)になっている。その後、太陽光発電装置20の発電電力が増加するにつれて、出力電圧は上昇する。そして、図7、図8における横軸で約6秒の時点で太陽光発電装置20の発電電力が負荷の300Wを超えると、出力電圧が急激に上昇し、出力電圧が51Vを超えた時点で充電スイッチSW1がオンとなり蓄電池40への充電が開始される(図6の状態遷移S1に相当)。
【0035】
次に、太陽光発電装置20の発電電力が負荷50の消費電力を下回ると、出力電圧が急激に減少するため、出力電圧が49Vを下回った時点で充電スイッチSW1がオフとなり蓄電池40への充電が停止される(図6の状態遷移S2に相当)。
【0036】
このとき蓄電池40のSOCは70%以上なので、すぐに、放電スイッチSW2がオンとなり蓄電池40からの放電が開始される(図6の状態遷移S3に相当)。放電を開始すると、出力電圧は、蓄電池40からの放電電圧(この例では48.5V)になる。そして、蓄電池40のSOCが70%を下回った時点で蓄電池40からの放電が停止する(図6の状態遷移S4に相当)。放電を停止すると、出力電圧は直流電源30の電圧(この例では47.5V)に戻る。
【0037】
その後、直流電源30が停電すると、図4の充放電制御手段12に設けられたダイオードD4を使ったバイパス回路によって、蓄電池40から負荷50に直接放電される。これにより、直流電源30が停電した場合でも、負荷50への電力供給は停止することはなく、負荷50の瞬時停電を防止することができる。
【0038】
以上のような充放電制御を行うことで、太陽光発電装置20により発電された余剰電力を有効に利用することができ、直流電源のピークシフトが可能になる。
【0039】
上記の実施形態によれば、太陽光発電装置20の発電量が負荷50の消費電力を上回ることを検出するにあたり、太陽光発電装置20の発電電力と負荷50の消費電力とを比較することなく、蓄電池40のSOCが90%以下という条件下で、出力電圧検出手段13により検出された負荷50への出力電圧が上昇したこと(例えば、出力電圧が「直流電力系統電源の電圧48Vに所定値加算した値(51V)」を超えたこと)をもって、太陽光発電装置20の発電量が負荷50の消費電力を上回ったと判断し、太陽光発電装置20により発電された余剰電力を蓄電池40に充電する処理を開始する。これにより、負荷50の消費電力を測定するための特別な装置(電流センサ等)を必要とせずに直流電源制御装置10内で取得可能な電圧情報のみで直流電源制御が可能となり、また、負荷50に印加される電圧が変動することで当該負荷における消費電力が変動するといった影響を排除した上で精度の良い直流電源制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10…直流電源制御装置、11…最大電力点追従制御手段、12…充放電制御手段、13…出力電圧検出手段、14…バス線、15…スイッチ制御部、15A…CPU、15B…RAM、15C…ROM、15D…入力部、15E…通信部、15F…補助記憶部、15G…出力部、20…太陽光発電装置、30…直流電力系統電源(直流電源)、40…蓄電池、50…負荷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置、蓄電池および直流電力系統電源それぞれと負荷との間に配置された直流電源制御装置であって、
前記太陽光発電装置と前記負荷の間に配置され、前記太陽光発電装置に対し最大電力点追従制御を行う最大電力点追従制御手段と、
前記蓄電池と前記負荷の間に配置され、前記蓄電池の充放電を制御する充放電制御手段と、
前記負荷に並列に接続され、前記負荷への出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
を備え、
前記充放電制御手段は、
前記出力電圧検出手段により検出された出力電圧が上昇した場合に、前記太陽光発電装置により発電された余剰電力を前記蓄電池に充電する処理を開始する、
ことを特徴とする直流電源制御装置。
【請求項2】
前記充放電制御手段は、
前記出力電圧が、前記直流電力系統電源の電圧値に所定値加算した値を超えたことをもって、当該出力電圧が上昇したと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の直流電源制御装置。
【請求項3】
前記充放電制御手段は、
前記出力電圧が上昇し、且つ、前記蓄電池の充電残量を表すステート・オブ・チャージが、満充電状態の近傍に対応する第1の閾値以下の場合に、前記余剰電力を前記蓄電池に充電する処理を開始する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の直流電源制御装置。
【請求項4】
前記充放電制御手段は、前記蓄電池への充電中に、
前記出力電圧が前記直流電力系統電源の電圧値近傍まで低下した場合、又は、前記ステート・オブ・チャージが前記第1の閾値を超えた場合に、前記蓄電池への充電を停止する、
ことを特徴とする請求項3に記載の直流電源制御装置。
【請求項5】
前記充放電制御手段は、前記蓄電池への充電を停止した後、
前記出力電圧が前記直流電力系統電源の電圧値近傍まで低下しており、且つ、前記ステート・オブ・チャージが、前記第1の閾値よりも低く設定された第2の閾値以上の場合に、前記蓄電池に蓄積された電力を前記負荷へ放電する処理を開始する、
ことを特徴とする請求項4に記載の直流電源制御装置。
【請求項6】
前記充放電制御手段は、前記負荷への放電中に、
前記ステート・オブ・チャージが前記第2の閾値を下回った場合に、前記負荷への放電を停止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の直流電源制御装置。
【請求項7】
太陽光発電装置、蓄電池および直流電力系統電源それぞれと負荷との間に配置され、前記太陽光発電装置に対し最大電力点追従制御を行い前記負荷への出力電圧を検出する直流電源制御装置、によって実行される直流電源制御方法において、
検出された前記負荷への出力電圧が上昇した場合に、前記太陽光発電装置により発電された余剰電力を前記蓄電池に充電する処理を開始する、
ことを特徴とする直流電源制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42627(P2013−42627A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179136(P2011−179136)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】