説明

直管型LED灯の駆動回路

【課題】既存の直管型蛍光灯と交換して使用でき、しかもPWM方式の調光ができるようにしたLED灯の駆動回路を提供する。
【解決手段】商用電源40を入力とする照明器具に直管型LED灯10を装着し、調光しながら駆動するにあたり、一側方の接続ピン対13には照明器具のソケット30Aから電源電圧を印加し、該電源電圧を整流して定電流スイッチング回路に入力し、他側方の接続ピン対には照明器具のソケット30BからPWM信号を入力し、該PWM信号に応じて定電流スイッチング回路からパルス状定電流を出力し、該パルス状定電流に応じてLED回路に通電してLEDを発光させるとともに、定電流のパルス幅によって調光する一方、他側方の接続ピン13と上記スイッチング回路との間をフォトカプラ100によって電気的に絶縁する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直管型LED灯の駆動回路に関し、例えば既存の直管型蛍光灯と交換して使用でき、しかもPWM方式の調光ができるようにした駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明器具には蛍光灯や白熱電球を光源に使用したものが一般的であった。最近、高輝度LED、例えば高輝度の白色LEDが実用化されたことを契機とし、省エネルギーや省電力化の観点から、従来の蛍光灯や白熱電球に代えてLED灯を光源に採用することが実用化されている。
【0003】
従来のLED灯では電源電圧の位相を制御し、位相角を設定値と比較してスイッチング素子をパルス駆動してLEDをON・OFFし、調光を行って位相制御方式(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)、あるいはLEDに印加するパルス電圧のデューティー比を制御することによって調光を行うPWM(Pulse Width Modulation)方式(特許文献5)、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−165394号公報
【特許文献2】特開2011−134672号公報
【特許文献3】特開2011−90990号公報
【特許文献4】特開2010−212267号公報
【特許文献5】特表2005−524960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1〜4記載の直管型LED灯では直管を直管型照明器具のソケットの間に接続できるように、直管両端に接続ピン対を設けるとともに、直管内に整流回路や定電流スイッチング回路を内蔵し、一側方の接続ピン対に位相制御された電源電圧を印加するように構成されており、直管型蛍光灯を取外して直管型LED灯に装着でき、既存の照明器具を利用しつつ、省エネルギーや省電力化を図ることが期待される。
【0006】
しかし、特許文献1〜4記載の直管型LED灯では他側方の接続ピン対については有効に活用されていない。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、既存の直管型蛍光灯と交換して使用でき、しかも接続ピン対の有効活用を図って調光ができるようにした直管型LED灯の駆動回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る直管型LED灯の駆動回路は、商用電源を入力とする照明器具に用いられる直管型LEDの駆動回路であって、照明器具の対向するソケットの間に装着され、上記ソケットに接続される接続ピン対が両端の口金に取付けられ、上記一側方の接続ピン対には電源電圧が印加され、他側方の接続ピン対にはPWM信号が入力される直管と、該直管内に内蔵され、複数のLEDを直列に接続した直列回路を用いて構成されたLED回路と、上記直管内に内蔵され、上記一側方の接続ピン対から印加される商用電源を入力として直流電流を出力する整流回路と、上記直流電流を入力とし、上記他側方の接続ピン対から入力されるPWM信号に応じてスイッチング素子をスイッチングすることによってパルス状定電流を出力し、上記LED回路に通電して複数のLEDを発光させる定電流スイッチング回路と、上記他側方の接続ピンから入力されるPWM信号を上記定電流スイッチング回路に与える一方、上記他側方の接続ピンと上記定電流スイッチング回路との間を電気的に絶縁するフォトカプラと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つはフォトカプラによって他側方の接続ピンから入力されるPWM信号を定電流スイッチング回路に与えるとともに、他側方の接続ピンとスイッチング回路との間を電気的に絶縁するようにした点にある。
【0010】
本発明の特徴の1つは一側方の接続ピン対に電源電圧を入力し、他側方の接続ピン対からPWM信号を入力して定電流スイッチング回路に与え、定電流スイッチング回路によってLED回路の通電電流をデューティ制御するようにした点にある。
【0011】
これにより、直管両端の接続ピン対を有効活用してLED灯を点灯させるとともに、調光することができる。
【0012】
他側方の接続ピン対に外部からのPWM信号を入力し、調光できるように構成すると、直管型LED灯をソケットに対して逆に装着すると、PWM信号系に電源電圧が加わって破壊されることが懸念される。
【0013】
そこで、電源電圧が印加される接続ピン対には電磁リレー又はフォトリレーを並列に接続し、リレー接点又はフォトリレーの接点用素子を接続ピンとフォトカプラの間に接続し、直管型LED灯をソケットに対して正しく装着したときには、リレー接点又はフォトリレーの接点用素子が接続状態となり、定電流スイッチング回路にPWM信号を入力する一方、逆に装着したときには、リレー接点又はフォトリレーの接点用素子が遮断状態となり、定電流スイッチング回路のPWM信号系に電源電圧が加わることがなく、PWM信号系の破壊を確実に防止できる。
【0014】
即ち、電源電圧が印加される接続ピン対には電磁リレー又はフォトリレーを並列に接続し、電磁リレー又はフォトリレーへの電圧印加時には接続状態を保持し非印加時には遮断状態となるリレー接点又はフォトリレーの接点用素子をPWM信号が入力される接続ピンとフォトカプラの間に接続するのがよい。
【0015】
また、本発明によれば、商用電源を入力とする照明器具に直管型LED灯を装着し、調光しながら駆動するにあたり、一側方の接続ピン対には照明器具のソケットから電源電圧を印加し、該電源電圧を整流して定電流スイッチング回路に入力し、他側方の接続ピン対には照明器具のソケットからPWM信号を入力し、該PWM信号に応じて定電流スイッチング回路からパルス状定電流を出力し、該パルス状定電流に応じてLED回路に通電してLEDを発光させるとともに、上記定電流のパルス幅によって調光する一方、上記他側方の接続ピンと上記スイッチング回路との間を上記フォトカプラによって電気的に絶縁するようにしたことを特徴とする直管型LEDの駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る直管型LED灯の駆動回路の好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】上記実施形態の回路構成の1例を示す図である。
【図3】上記実施形態におけるPWM発生回路の1例を示す図である。
【図4】上記実施形態における作用を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る直管型LED灯の駆動回路の好ましい実施形態を示す。直管型LED灯10において、ガラス製直管11の両端には口金12が嵌合され、口金12には一対の接続ピン13が固定され、接続ピン13は照明器具のソケット30A、30Bに接続され、一側方のソケット30Aには100V〜200Vの商用電源40が接続され、他側方のソケット30BにはPWM信号が入力されるようになっている。
【0018】
直管11内には整流回路14、PFC回路15、定電流スイッチング回路16、LED回路19及びフォトカプラ100が内蔵され、整流回路14は一側方の接続ピン13に接続され、電源電圧を入力とし直流電流を出力し、PFC回路15は整流回路14の出力端に接続され、力率を改善するようになっている。
【0019】
LED回路19は複数のLEDを直列に接続した直列回路を相互に並列に接続して構成され、定電流スイッチング回路16は定電流スイッチング制御回路17とスイッチング素子18から構成され、スイッチング素子18はLED回路19の接地側に接続され、定電流スイッチング制御回路17はPFC回路15の出力を入力とし、定電流をLED回路19に与える一方、PWM信号に応じてスイッチング素子18をON・OFFすることによってLED回路19に流れる電流をデューティ制御して調光するようになっている。
【0020】
また、フォトカプラ100は他側方の接続ピン13と定電流スイッチング回路16のPWM信号入力端子16Aとの間に接続され、接続ピン13に入力されたPWM信号を入力端子16Aに入力する一方、接続ピン13とPWM信号入力端子16Aとの間を電気的に絶縁するようになっている。
【0021】
PWM信号発生回路41は発振回路42、ディーティ制御回路43、スイッチング素子44から構成される。発振回路42は定電流スイッチング回路16の動作に影響を与えない程度の周波数、例えば200Hz〜2KHzの発振出力を出力し、ディーティ制御回路43は外部コントローラの調光信号、アナログ直流電流、可変電圧など、0〜100%のディーティ信号(図3の(b)参照、デューティ比T/T0)を受けて発振信号の周波数を変化させ、当該周波数に応じてスイッチング素子44をON・OFFし、PWM信号を接続ピン13に出力するようになっている。
【0022】
今、ソケット30A、30Bの間に本例の直管型LED灯10を装着し、電源スイッチをONすると、LED灯10の一側方の接続ピン13に商用電源が入力され、商用電源の交流電流が整流回路14で直流電流に整流され、PFC回路15で力率が改善され、定電流スイッチング回路16に入力され、定電流スイッチング回路16から定電流がLED回路19に出力される。
【0023】
他方、PWM信号発生回路41からはPWM信号が出力され、接続ピン13に入力され、フォトカプラ100を経て定電流スイッチング回路16のPWM信号入力16Aに与えられる。
【0024】
定電流スイッチング回路16内の定電流スイッチング制御回路17はPWM信号を受け、スイッチング素子18をON・OFFし、これによってLED回路19の電流がON・OFFされ、LEDはPWM信号に応じてディーティ制御され、調光される。
【0025】
ところで、接続ピン13には電源電圧とPWM信号が与えられるようになっているので、図4に示されるように、LED灯10を逆に装着すると、定電流スイッチング回路16のPWM信号系に電源電圧が入力され、PWM信号系が破壊されるおそれがある。
【0026】
図5は第2の実施形態を示し、図1ないし図4は同一符号は同一又は相当部分を示す。本例はLED灯10をソケット30A、30Bの間に逆に装着したときにPWM信号系が破壊されるのを防止するようにした例である。
【0027】
本例では、一側方の接続ピン13の間に電磁リレー110が接続され、他側方の接続ピン13とフォトカプラ100との間にはリレー接点111が接続され、電磁リレー100に電源電圧が印加されたときにリレー接点111が接続状態を保持する一方、電磁リレー100に電源電圧が印加されないときにはリレー接点111が遮断状態を保持するようになっている。
【0028】
したがって、LED灯10をソケット30A、30Bの間に逆に装着したときには電磁リレー110に電源電圧が印加されないので、リレー接点111は遮断状態となり、フォトカプラ100などのPWM信号系に電源電圧が印加されて破壊されるおそれを確実に解消できる。
【0029】
また、電源スイッチをONにしたままLED灯10を交換することがあるが、この場合、フォトカプラ100側の接続ピン13を誤って商用電源側のソケット30Aに接触させても、LED灯10のPWM信号系に電源電圧が印加されて破壊されるおそれがなく、安全性が高い。
【符号の説明】
【0030】
10 直管型LED灯
11 ガラス製直管
12 口金
13 接続ピン
14 整流回路
16 定電流スイッチング回路
16A PWM信号入力端子
18 スイチング素子
19 LED回路
40 商用電源
41 PWM信号発生回路
100 フォトカプラ
110 電磁リレー
111 リレー接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を入力とする照明器具に用いられる直管型LEDの駆動回路であって、
照明器具の対向するソケット(30A、30B)の間に装着され、上記ソケット(30A、30B)に接続される接続ピン対(13)が両端の口金(12)に取付けられ、上記一側方の接続ピン対(13)には電源電圧が印加され、他側方の接続ピン対(13)にはPWM信号が入力される直管(11)と、
該直管(11)内に内蔵され、複数のLEDを直列に接続した直列回路を用いて構成されたLED回路(19)と、
上記直管(11)内に内蔵され、上記一側方の接続ピン対(13)から印加される商用電源を入力として直流電流を出力する整流回路(14)と、
上記直流電流を入力とし、上記他側方の接続ピン対(13)から入力されるPWM信号に応じてスイッチング素子(18)をスイッチングすることによってパルス状定電流を出力し、上記LED回路(19)に通電して複数のLEDを発光させる定電流スイッチング回路(16)と、
上記他側方の接続ピン(13)から入力されるPWM信号を上記定電流スイッチング回路(16)に与える一方、上記他側方の接続ピン(13)と上記定電流スイッチング回路との間を電気的に絶縁するフォトカプラ(100)と、
を備えたことを特徴とする直管型LED灯の駆動回路。
【請求項2】
電源電圧が印加される接続ピン対(13)には電磁リレー(110)又はフォトリレーが並列に接続され、電磁リレー(110)又はフォトリレーへの電圧印加時には接続状態を保持し非印加時には遮断状態となるリレー接点(111)又はフォトリレーの接点用素子がPWM信号が入力される接続ピン(13)とフォトカプラ(100)の間に接続されている請求項1記載の直管型LED灯の駆動回路。
【請求項3】
商用電源を入力とする照明器具に直管型LED灯を装着し、調光しながら駆動するにあたり、
一側方の接続ピン対には照明器具のソケットから電源電圧を印加し、該電源電圧を整流して定電流スイッチング回路に入力し、他側方の接続ピン対には照明器具のソケットからPWM信号を入力し、該PWM信号に応じて定電流スイッチング回路からパルス状定電流を出力し、該パルス状定電流に応じてLED回路に通電してLEDを発光させるとともに、上記定電流のパルス幅によって調光する一方、
上記他側方の接続ピンと上記スイッチング回路との間を上記フォトカプラによって電気的に絶縁するようにしたことを特徴とする直管型LEDの駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77390(P2013−77390A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215182(P2011−215182)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(591051162)新光電装株式会社 (10)
【Fターム(参考)】