説明

相互に連結されたコマ型ブロック構造体

【課題】コマ型ブロック構造体に関するものであって、コマ型ブロックの一部が傾斜していったり、不等沈下を起こしたりすることのないコマ型ブロック構造体を提供する。
【解決手段】扁平上盤11の下部に円錐形または角錐形の胴体13を設け、当該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚14を設けた複数のコマ型ブロック10と、棒状部材から構成される格子状部材20であって、複数のコマ型ブロックを格子状部材の各格子目の中に配置し、コマ型ブロックの扁平上盤の側面に設けられた円環状の溝15に格子状部材の縦方向棒状部材22および横方向棒状部材21が当該円環状の溝に嵌るようにして複数のコマ型ブロックが互いに離散することを防止する構成のコマ型ブロック構造体とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築・土木の基礎工事において軟弱地盤の安定化を図るために使用されるコマ型ブロック構造体に関するものであり、更に詳細には、海岸の砂浜に連続埋設することによって、消波ブロック等の根固めとして利用することができるコマ型ブロック構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤上に建築物や構築物を建造する場合、経時的変化により地表層に不等沈下が生じる恐れがあるため、該地表層を安定させる必要がある。一般的な安定化工法としては、対象地盤の掘削部に骨材や砂利を入れて締め固めした後、コンクリートを所要厚さに打設して地盤を固定させる方式が採用されている。
しかし、このようなコンクリート打設による基礎構造では、対象地盤の軟弱度合いによっては大量の骨材、砂利、コンクリートが必要となり、また、杭打ち作業も必要となることがあるため、基礎構造の施工コストが増大し、工期も長くなるという問題があった。
【0003】
このコンクリート打設による基礎構造に代わる地盤安定化工法として、コマ型ブロックの敷設による基礎構造が提案されている(特公昭56−50054号公報)。
コマ型ブロックは、扁平上盤の下部に円錐形または角錐形の胴体を設け、該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚を設けたものであり、コンクリートで一体成型される。 基礎構成単位として対象地盤の面積に応じて多数個使用されるコマ型ブロックは、扁平上盤同士を相当接させて対象地盤の掘削部に縦横に配列され、コマ型ブロック相互間の空隙には砂利や砕石などの間詰め充填材が充填されることもある。
【0004】
このコマ型ブロックによる基礎構造では、コマ型ブロックそれ自体の重量および扁平上盤に積載された建築物や構築物の荷重と、コマ型ブロックの胴体並びに軸脚に生じる地盤反力及び摩擦抵抗の総合力とを均衡させて、不等沈下のない水平地耐力を発揮させるものである。
【0005】
一方、このようなコマ型ブロックの特徴を生かして、コマ型ブロックを海岸の砂浜に連続的に埋設し、消波ブロック等の根固めとして利用する方法も考案されている。 コマ型ブロックをこのように利用することによって、各胴体面で地盤反力の垂直分力を沈下防止用の浮力に転用し、地盤反力の水平分力を相互に打ち消す、というコマ型ブロック本来の地盤安定化作用により、消波ブロック等の沈下を防止することができるという効果を有している。
【0006】
すなわち、コマ型ブロックの扁平上盤上に載置された消波ブロックは、波の動的な外力が作用しても、コマ型ブロックの軸脚部が砂中に食い込み、コマ型ブロックが浮遊岩盤化するため、扁平上盤上に載置された消波ブロックの埋設沈下を防止することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭56−50054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような有効な効果を有するコマ型ブロックではあっても、砂浜に複数個隣接して設置した場合、例えば、設置されたコマ型ブロックの一部が傾斜していったり、不等沈下を起こしたりすることがあった。 このように、コマ型ブロックの一部が傾斜していったり、不等沈下を起こしたりすると、コマ型ブロックの扁平上盤上に載置された消波ブロックが、扁平上盤上から脱落したり、扁平上盤上に積み上げた消波ブロックの配列が乱れたりするという問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような問題を解決するために、請求項1に記載された発明においては、
扁平上盤の下部に円錐形または角錐形の胴体を設け、当該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚を設けた複数のコマ型ブロックと、
棒状部材から構成される格子状部材であって、当該複数のコマ型ブロックを格子状部材の各格子目の中に配置することによって、当該複数のコマ型ブロックが互いに離散することを防止するための格子状部材と、
からなる相互に連結されたコマ型ブロック構造体において、
当該コマ型ブロックの扁平上盤の側面には、円環状の溝が設けられ、
当該格子状部材の縦方向棒状部材および横方向棒状部材が当該円環状の溝に嵌るようにして配置される構成のコマ型ブロック構造体とした。
【0010】
また、請求項2に記載された発明においては、
請求項1に記載のコマ型ブロック構造体であって、前記コマ型ブロックの中央部には、上下貫通孔が設けられ、当該上下貫通孔には、センターロッドが挿入されている構成のコマ型ブロック構造体とした。
【0011】
また、請求項3に記載された発明においては、
請求項1または2に記載のコマ型ブロック構造体であって、前記複数のコマ型ブロックの扁平上盤には、コマ型ブロックを相互に引き合うようにするテンション部材を固定する係留点が設けられている構成のコマ型ブロック構造体とした。
【0012】
更に、請求項4に記載された発明においては、
請求項1乃至3のいずれかに記載のコマ型ブロック構造体であって、コマ型ブロックの扁平上盤の側面に設けられた前記円環状の溝は、上下方向に少なくとも2箇所設けられており、その内1の溝には前記格子状部材の縦方向棒状部材が嵌り、他の溝には前記格子状部材の横方向棒状部材が嵌るようになっている構成のコマ型ブロック構造体とした。
【0013】
また、請求項5に記載された発明においては、
請求項1乃至4のいずれかに記載のコマ型ブロック構造体であって、前記コマ型ブロックの扁平上盤の側面には、コマ型ブロックの相互が噛み込み合う円環状の凹凸が設けられている構成のコマ型ブロック構造体とした。
【0014】
また、請求項6に記載された発明においては、
扁平上盤の下部に円錐形または角錐形の胴体を設け、当該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚を設けた複数のコマ型ブロックと、
当該複数のコマ型ブロックを互いに連結する連結金具とからなり、
当該連結金具は、アンカーボルトと連結シャフトからなり、
当該アンカーボルトは、一端に円環状端部を有すると共に他端に固定部を有し、固定部はコマ型ブロックのコンクリートの中に埋め込まれ、円環状端部は当該扁平上盤の角部の斜め上方に突起するようにして設置され、
アンカーボルトを設置した複数のコマ型ブロックを、隣り合うコマ型ブロックのアンカーボルトが互いに重なりあうように配置した後、各アンカーボルトの円環状端部の中へ、連結シャフトを貫通し、固定する構成の相互に連結されたコマ型ブロック構造体とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、格子状部材の縦方向棒状部材および横方向棒状部材がコマ型ブロックの扁平上盤の側面に設けた円環状の溝に嵌り込み、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を防止することが可能となる。
【0016】
また、格子状部材の縦方向棒状部材および横方向棒状部材が、隣り合う各コマ型ブロックの扁平上盤の側面が互いに離隔しないように保持するようになっているため、例えば、コマ型ブロックの一部が傾斜するのを防止することが可能となる。
請求項2に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、上下貫通孔に挿入されたセンターロッドが地中深く打ち込まれ、コマ型ブロックが傾斜するのを防止することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、請求項1または2に記載した構成のコマ型ブロック構造体が持つ作用効果に加えて、複数のコマ型ブロックの扁平上盤には、コマ型ブロックを相互に引き合うようにするテンション部材を固定する係留点が設けられているので、コマ型ブロックを敷設する際に、当該係留点にテンション部材を配置し、各コマ型ブロックを正しく整列させた上で格子状部材を設置することができるという効果を有する。 また、敷設する際に使用したテンション部材をそのまま残すことにより、格子状部材の縦方向棒状部材および横方向棒状部材が、隣り合う各コマ型ブロックの扁平上盤の側面が互いに離隔しないように保持する力を補強することが可能となり、更にコマ型ブロックの一部が傾斜するのを防止することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、コマ型ブロックの扁平上盤の側面に設けられた円環状の溝は、上下方向に少なくとも2箇所設けられており、その内1の溝には格子状部材の縦方向棒状部材が嵌り、他の溝には格子状部材の横方向棒状部材が嵌るようになっているため、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができる能力が向上し、複数のコマ型ブロックの不等沈下を更に防止することが可能となる。
【0019】
請求項5に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、コマ型ブロックの扁平上盤の側面には、コマ型ブロックの相互が噛み込み合う円環状の凹凸が設けられているため、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を、格子状部材に加えて、コマ型ブロックの相互が噛み込み合う円環状の凹凸部分も伝達することができるようになるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を更に防止することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載した構成のコマ型ブロック構造体を採用することにより、連結金具を使用して隣り合う複数のコマ型ブロックを互いに連結固定することができるので、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【図2】図2は、本発明の第2の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【図3】図3は、本発明の第3の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【図4】図4は、本発明の第4の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【図5】図5は、本発明の第5の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【図6】図6は、本発明の第6の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。 第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体は、複数のコマ型ブロック10と格子状部材20とから構成されている。
【0023】
コマ型ブロック10は、扁平上盤11と、扁平上盤の側面12と、胴体13と、軸脚14とからなる。
扁平上盤11は、図1に示すような円形状であっても良いし、多角形状であっても良い。 扁平上盤11は任意の厚さに設定することができ、その厚さに相当する部分が、扁平上盤の側面12となって形成される。
胴体13は、扁平上盤の下部に設けられ、図1に示すような円錐形であっても良いし、角錐形としても良い。
【0024】
軸脚14は、胴体の下部中心部に設けられ、円柱形または角柱形のいずれかの形状を有する。
コマ型ブロック10は、コンクリートを使い、扁平上盤11と、扁平上盤の側面12と、胴体13と、軸脚14とを一体的に形成することもできるし、扁平上盤11、胴体13、軸脚14をそれぞれ分割して成型し、これらを組み立てることによって形成するようにしても良い。
【0025】
格子状部材20は、複数の横方向棒状部材21および複数の縦方向棒状部材22を格子状に直交させて構成したものであり、複数の横方向棒状部材21および複数の縦方向棒状部材22の交点において、両者を連結するジョイント部材23が配置されている。
格子状部材20の横方向棒状部材21および縦方向棒状部材22として、中実または中空の棒状材を使用することができる。 各棒状部材の断面形状としては、特に限定されるものではなく、丸形、四角形、多角形等の任意のものを使用することができる。
【0026】
また、各棒状部材の材料についても、特に限定されるものではないが、鉄鋼、繊維強化プラスチックなどの材料を使用することができるが、海岸等の腐食性環境にさらされる場合には、耐食性のある材料や、耐食性表面処理を行った材料を使用することが望ましい。
【0027】
図1に示す本発明の第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体では、コマ型ブロック10の上記扁平上盤の側面12には、図1に示すように、格子状部材20の横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22が嵌り込み、横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22の約半分の断面が入り込むことができる程度の深さの溝15が設けられている。 この溝15は、コマ型ブロック10の全周に亘って、扁平上盤の側面12に設けられている。
【0028】
このような構成を持ったコマ型ブロック構造体にあっては、前述したように、複数の横方向棒状部材21と複数の縦方向棒状部材22の交点において、両者を連結するジョイント部材23が配置されているので、格子状部材の縦方向棒状部材22と横方向棒状部材21が、隣り合う各コマ型ブロック10の扁平上盤の側面12が互いに離隔しないように保持することができ、複数のコマ型ブロック10の一部が傾斜するのを防止することが可能となる。
【0029】
また、横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22の約半分の断面が隣り合うコマ型ブロック10の溝15に入り込むようになっているため、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレようとする力、即ち、せん断力を横方向棒状部材21または縦方向棒状部材22が伝達することができるようになるため、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレることを防止することができる。 言い換えれば、横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22は、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を防止することが可能となる。
【0030】
次に、本発明の第2の実施例について詳細に説明する。図2は、本発明の第2の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。 第2の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体が、第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体と異なる点は、コマ型ブロック10の中央部には、上下貫通孔19が設けられ、この上下貫通孔19には、センターロッド31が挿入されていることにある。
【0031】
このセンターロッド31は、コマ型ブロック10を地中に設置した際に、コマ型ブロック10が傾斜するのを防止する機能を有するものであって、中実または中空の棒状材を使用することができる。 各棒状部材の断面形状としては、特に限定されるものではなく、丸形、四角形、多角形等の任意のものを使用することができる。 また、各棒状部材の材料についても、特に限定されるものではないが、鉄鋼、繊維強化プラスチックなどの材料を使用することができるが、海岸等の腐食性環境にさらされる場合には、耐食性のある材料や、耐食性表面処理を行った材料を使用することが望ましい。
【0032】
次に、本発明の第3の実施例について詳細に説明する。図3は、本発明の第3の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。 第3の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体が、第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体と異なる点は、複数のコマ型ブロック10の扁平上盤11には、コマ型ブロック10を相互に引き合うようにするテンション部材16を固定する係留点17が設けられている点にある。 以下、第1の実施例に係るコマ型ブロック構造体と異なる点についてのみ説明する。
【0033】
第3の実施例にかかるコマ型ブロック10の扁平上盤11の上面に設けられるテンション部材16を固定するための係留点17は、コマ型ブロック10に埋め込み設置された金具や、コマ型ブロック10に直接設けられた貫通穴とすることができる。 言い換えれば、後述するテンション部材16を堅固に係留できるものであれば、任意のものを選択することができる。
【0034】
この係留点17は扁平上盤11の上面であれば、どのような位置に設置してもよいが、係留点17にテンション部材16を固定し、このテンション部材16によって隣り合うコマ型ブロック10を相互に引き合うように、テンション部材16に張力を付加する際に、各コマ型ブロック10が回転運動を起こさないような位置が望ましい。 このような条件を満足する係留点17の配置は多数存在するが、その一例として、係留点17を各コマ型ブロック10の扁平上盤11の中心近くであって、上下貫通孔19を避けた位置に設けることができる。 このような配置とした場合、各コマ型ブロック10には1箇所だけ係留点17を設けることによって、複数、例えば、4個の隣接するコマ型ブロック10との間でテンション部材16を配置することが可能となる。
【0035】
この係留点17には、各コマ型ブロック10を相互に引き合うようにするテンション部材16が固定される。 テンション部材16は、例えば、鉄鋼製の棒材、あるいはスチール・ワイヤ等、張力を付加できるものであればよく、テンション部材16の中間に、テンション部材16に張力を付与するためのターン・バックル18を配置するようにしても良い。
【0036】
このテンション部材16は、コマ型ブロック10を敷設するときのみ使用するようにしても良いし、敷設する際に使用したテンション部材をそのまま残すようにしても良い。
コマ型ブロック10を敷設する際に、係留点17にテンション部材16を配置し、テンション部材16に設置されたターン・バックル18やその他の手段によって、各コマ型ブロック10を相互に引き合うように張力を掛け、各コマ型ブロック10を正しく整列させた上で格子状部材20を設置することができる。
【0037】
また、コマ型ブロック10を敷設する際に使用したテンション部材16をそのまま残すことにより、格子状部材20の縦方向棒状部材22および横方向棒状部材21が、隣り合う各コマ型ブロック10の扁平上盤11の側面12が互いに離隔しないように保持する力を補強することが可能となり、更にコマ型ブロック10の一部が傾斜するのを防止することが可能となる。
【0038】
次に、本発明の第4の実施例について詳細に説明する。図4は、本発明の第4の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
第4の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体が、第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体と異なる点は、コマ型ブロック10の扁平上盤11の側面12に設けられた円環状の溝15は、上下方向に少なくとも2箇所設けられており、その内1の溝15には格子状部材20の縦方向棒状部材22が嵌り、他の溝15には格子状部材20の横方向棒状部材21が嵌るようになっていることである。
【0039】
このように、横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22の各々が、部材の約半分の断面が隣り合うコマ型ブロック10の上下2つの溝15にそれぞれ入り込むようになっているため、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレようとする力、即ち、せん断力を横方向棒状部材21および縦方向棒状部材22の各々で伝達することができるようになるため、第1の実施例よりも更に、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレることを防止することができるようになっている。 言い換えれば、横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22の各々が、それぞれに、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を更に防止することが可能となる。
【0040】
次に、本発明の第5の実施例について詳細に説明する。図5は、本発明の第5の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。
第5の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体が、第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体と異なる点は、コマ型ブロック10の扁平上盤11の側面12には、円環状の溝15の他に、コマ型ブロック10の相互が噛み込み合う円環状の凹凸41が設けられていることである。
【0041】
このように、コマ型ブロック10の扁平上盤11の側面12には、隣り合うコマ型ブロック10の相互が噛み込み合う円環状の凹凸41が設けられているため、各コマ型ブロック10の扁平上盤11の側面12が互いに接触するようにして敷設することによって、隣り合うコマ型ブロック10の円環状の凹凸41が互いに噛み合うようになり、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレようとする力、即ち、せん断力を円環状の凹凸41が伝達するようになるため、第1の実施例よりも更に、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレることを防止することができるようになっている。 言い換えれば、円環状の凹凸41が、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を更に防止することが可能となる。
【0042】
図6は、本発明の第6の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体の平面図と正面図を示したものである。 第6の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体が、第1の実施例に係る相互に連結されたコマ型ブロック構造体と異なる点は、格子状部材20の代わりに連結金具50を使用していることである。
【0043】
第6の実施例における複数のコマ型ブロック10は、第1の実施例に係るコマ型ブロック10と同様、扁平上盤11と、扁平上盤の側面12と、胴体13と、軸脚14とから構成されている。 そして、第1の実施例に係るコマ型ブロック10では、格子状部材20の横方向棒状部材21と縦方向棒状部材22が嵌り込むことができる溝15が設けられていたが、第6の実施例におけるコマ型ブロック10では、このような溝15は設けられていない。
【0044】
第6の実施例における連結金具50は、円環状端部51aを有するアンカーボルト51と、留め具52aを備えた連結シャフト52とから構成される。
【0045】
アンカーボルト51は、一端に円環状端部51aを有し、他端にL字状の固定部51bを備えており、コマ型ブロック10を成型する際に、L字状の固定部51bはコマ型ブロック10のコンクリートの中に埋め込まれ、円環状端部51aは、図6に示すように、扁平上盤11の角部の斜め上方に突起するようにして設置される。 そして、アンカーボルト51は、例えば、扁平上盤11の4等分した外縁に設けられる。 ここで、固定部51bはL字状であるとして説明してきたが、固定部51bの形状がL字状に限定されるものではなく、アンカー効果を高めることができるものであれば、その他の形状であっても良い。
【0046】
このように、アンカーボルト51を設置した複数のコマ型ブロック10を、隣り合うコマ型ブロック10のアンカーボルト51の円環状端部51aが互いに重なりあうように配置した後、各アンカーボルト51の円環状端部51aの中へ、連結シャフト52を貫通させ、留め具52aを連結シャフト52に取り付けることにより隣り合うコマ型ブロック10は、互いに連結固定される。
【0047】
このように連結金具50を使用して隣り合う複数のコマ型ブロック10を互いに連結固定することにより、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレようとする力、即ち、せん断力を連結金具50が伝達するようになるため、隣り合うコマ型ブロック10が上下方向にズレることを防止することができるようになっている。 言い換えれば、連結金具50が、隣り合う各コマ型ブロックの間に生じる垂直方向荷重を互いに支え合うことができるため、複数のコマ型ブロックの不等沈下を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
10 コマ型ブロック
11 扁平上盤
12 側面
13 胴体
14 軸脚
15 溝
16 テンション部材
17 係留点
18 ターン・バックル
19 上下貫通孔
20 格子状部材
21 横方向棒状部材
22 縦方向棒状部材
23 ジョイント部材
31 センターロッド
41 円環状の凹凸
50 連結金具
51 アンカーボルト
52 連結シャフト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平上盤の下部に円錐形または角錐形の胴体を設け、当該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚を設けた複数のコマ型ブロックと、
棒状部材から構成される格子状部材であって、当該複数のコマ型ブロックを格子状部材の各格子目の中に配置することによって、当該複数のコマ型ブロックが互いに離散することを防止するための格子状部材と、
からなる相互に連結されたコマ型ブロック構造体において、
当該コマ型ブロックの扁平上盤の側面には、円環状の溝が設けられ、
当該格子状部材の縦方向棒状部材および横方向棒状部材が当該円環状の溝に嵌るようにして配置されていることを特徴とするコマ型ブロック構造体。
【請求項2】
請求項1に記載のコマ型ブロック構造体であって、前記コマ型ブロックの中央部には、上下貫通孔が設けられ、当該上下貫通孔には、センターロッドが挿入されていることを特徴とするコマ型ブロック構造体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコマ型ブロック構造体であって、前記複数のコマ型ブロックの扁平上盤には、コマ型ブロックを相互に引き合うようにするテンション部材を固定する係留点が設けられていることを特徴とするコマ型ブロック構造体。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のコマ型ブロック構造体であって、コマ型ブロックの扁平上盤の側面に設けられた前記円環状の溝は、上下方向に少なくとも2箇所設けられており、その内1の溝には前記格子状部材の縦方向棒状部材が嵌り、他の溝には前記格子状部材の横方向棒状部材が嵌るようになっていることを特徴とするコマ型ブロック構造体。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のコマ型ブロック構造体であって、前記コマ型ブロックの扁平上盤の側面には、コマ型ブロックの相互が噛み込み合う円環状の凹凸が設けられていることを特徴とするコマ型ブロック構造体。
【請求項6】
扁平上盤の下部に円錐形または角錐形の胴体を設け、当該胴体の下部中心部に円柱形または角柱形の軸脚を設けた複数のコマ型ブロックと、
当該複数のコマ型ブロックを互いに連結する連結金具とからなり、
当該連結金具は、アンカーボルトと連結シャフトからなり、
当該アンカーボルトは、一端に円環状端部を有すると共に他端に固定部を有し、固定部はコマ型ブロックのコンクリートの中に埋め込まれ、円環状端部は当該扁平上盤の角部の斜め上方に突起するようにして設置され、
アンカーボルトを設置した複数のコマ型ブロックを、隣り合うコマ型ブロックのアンカーボルトの円環状端部が互いに重なりあうように配置した後、各アンカーボルトの円環状端部の中へ、連結シャフトを貫通し、固定すること特徴とする相互に連結されたコマ型ブロック構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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