説明

相対位置測定方法および相対位置測定装置

【目的】本発明は、複数の被観察試料の相対位置を測定する相対位置測定方法および相対位置測定装置に関し、比較対象の複数の被観察試料の重ね合わせ位置などの相対的位置を直接に高精度に測定することを目的とする。
【構成】 相対位置の測定対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、かつ移動可能な1つのステージと、相対位置の測定対象の複数の被観察試料について、それぞれの位置を精密測定するレーザ干渉計とを備え、レーザ干渉計で複数の被観察試料の位置をそれぞれ測定するステップと、複数の被観察試料上のパターンの画像を取得するステップと、取得した画像および測定したそれぞれの被観察試料の位置をもとに各被観察試料の画像上のパターンの相対位置をそれぞれ算出するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被観察試料の相対位置を測定する相対位置測定方法および相対位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体用LSI用のマスクは、当該マスク内のパターンの寸法精度だけでなく、更に、重ね合わせするマスク間のパターンの重ね合わせ精度が要求されるようになってきた。
【0003】
従来手法は、図9の(a)に示すように、位置精度基準パターンを設計データとして用意し、基準マスクを作成する。そして、図9の(b)に示すように、位置座標測定装置で、作成した基準マスクを用いて測定を行いその測定値を保管する。定期的に当該基準マスクを用いて測定を行いその測定値と保管しておいた測定値とを比較し当該位置座標測定装置が安定していること、即ち、測定再現精度が確保されていることを確認する。
【0004】
次に、図9の(c)に示すように、描画装置で定期的に基準パターンを描画し、これを上記測定再現精度の確保されている位置座標測定装置で、当該描画した基準パターンを測定し、設計データと比較して描画装置が安定していること、即ち、描画再現精度が確保されていることを確認する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来手法は、基準マスクを測定して位置座標測定装置の安定性を確かめ、安定性の確かめられた位置座標測定装置で描画装置で描画したパターンの安定性を確認するといういわゆる間接的な手法であったため、特に、複数の実マスクによって重ね合わせるパターンを作成する場合に、両者を直接に測定して安定性(測定再現精度)や精度などを直接に確認できないという大きな問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、これらの問題を解決するため、1つのステージ上に比較対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、これら複数の被観察試料の位置をそれぞれレーザ干渉計で測定しつつ当該複数の被観察試料上のパターンの形状について荷電粒子線ビームを走査などして画像を取得して測定し、比較対象の複数の被観察試料の重ね合わせ位置などの相対的位置を直接に高精度に測定するようにしている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、1つのステージ上に比較対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、これら複数の被観察試料の位置をそれぞれレーザ干渉計で測定しつつ当該複数の被観察試料上のパターンの形状について荷電粒子線ビームを走査などして画像を取得して測定することにより、比較対象の複数の被観察試料の重ね合わせ位置などの相対的位置を直接に高精度に測定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、1つのステージ上に比較対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、これら複数の被観察試料の位置をそれぞれレーザ干渉計で測定しつつ当該複数の被観察試料上のパターンの形状について荷電粒子線ビームを走査などして画像を取得して測定し、比較対象の複数の被観察試料の重ね合わせ位置などの相対的位置を直接に高精度に測定することを実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明のシステム構成図を示す。ここでは、2つの被観察試料5のうちの1つをメインステージ1に搭載し、メインステージ1の上のサブステージ2に残りの1つを搭載する場合について以下詳細に説明する。尚、3つ以上の被観察試料5をステージ1に搭載する方法としては、メインステージ1に1つの被観察試料5を搭載およびサブステージ2に他の残りの全ての被観察試料5を搭載、あるいは、メインステージ1に1つの被観察試料5を搭載、サブステージ2に他の残りの1つ目の被観察試料5を搭載、更に、当該サブステージ2に設けた図示外のサブステージに他の残りの2つ目の被観察試料5を搭載することを繰り返すようにすればよい。
【0010】
図1の(a)は、機構部の概略構造図を示す。
図1の(a)において、メインステージ1は、複数の被観察試料5を搭載して移動するためのステージ(X,Y,Z,θ)であって、ここでは、被観察試料5を1つ搭載、およびサブステージ2を搭載したものである。
【0011】
サブステージ2は、メインステージ1上に搭載したものであって、被観察試料5を搭載して移動するためのステージ(X,Y,Z,θ)であり、ここでは、当該サブステージ5に搭載した被観察試料5を、メインステージ1に搭載した被観察試料5に一致させるように調整するためのものである(図3参照)。
【0012】
レーザー干渉計3は、精密に位置を計測する公知の装置であって、ここでは、図示のように、メインステージ1上に搭載する被観察試料5を固定する台(マスクホルダ)(あるいは被観察試料5自身)のX,Y方向、サブステージ2上に搭載する被観察試料5を固定する台(マスクホルダ)(あるいは被観察試料5自身)のX,Y方向を精密に常時測定するものである。
【0013】
電子光学系4は、細く絞られた電子線ビームを発生し、被観察試料5上を平面走査してそのときに放出、反射あるいは吸収された信号を検出する公知のものであって、ここでは、メインステージ1に搭載した被観察試料5と、サブステージ2に搭載した被観察試料5とに独立に設けてそれぞれに細く絞った電子線ビームを照射しつつ平面走査し、そのときに放出、反射あるいは吸収された信号を検出し、被観察試料5の画像をそれぞれ同時に生成するためのものである。
【0014】
被観察試料5は、相対位置を測定する対象の被観察試料であって、ここでは、1つをメインステージ1上に搭載し、他の1つをサブステージ2に搭載したものである。
【0015】
図1の(b)は、図1の(a)の機構を制御するPC(パソコン)の構成例を示す。
図1の(b)において、PC11は、パソコンであって、プログラムに従い各種制御を行うものであり、ここでは、チェック手段12、測定手段13、判定手段14、マスクパターンデータ15、測定データ16、補正データ17、表示装置18、および入出力装置19などから構成されるものである。
【0016】
チェック手段12は、メインステージ1に対するサブステージ2の誤差をチェックし、ステージ系の調整などを行うものである(図3参照)。
【0017】
測定手段13は、メインステージ1上に搭載した被観察試料5およびサブステージ2上に搭載した被観察試料5の画像上のパターンの位置、寸法などを測定するものである(図4など参照)。
【0018】
判定手段14は、測定手段13によって測定された被観察試料5の画像上のパターンの位置、寸法などをもとに、複数の被観察試料5の画像上のパターンを相互に比較し、良否などを判定するものである(図4,5など参照)。
【0019】
マスクパターンデータ15は、被観察試料5がマスクの場合の設計データ(配線パターン、スルーホールなどの位置、寸法などのデータ)である。
【0020】
測定データ16は、画像上で測定手段13によって測定されたパターンのデータ(位置、寸法などのデータ)である。
【0021】
補正データ17は、各種補正データ(図3のサブステージ2の補正データ、図5のシフト量など)を保存したものである。
【0022】
表示装置18は、画像などを表示するディスプレイである。
入出力装置19は、指示などを入力したり、測定結果を出力したりなどするものである。
【0023】
図2は、本発明の詳細構造図を示す。これは、図1の(a)のステージ1およびサブステージ2の詳細構造の例を示す。
【0024】
図2において、マスクホルダ21は、メインステージ1上に図示のように設けられ、当該マスクホルダ21の上に被観察試料5を搭載するものである。
【0025】
サブステージ2は、メインステージ1の上に図示のように設けられ、X、Y、Z、θ方向に移動可能になったものである。
【0026】
マスクホルダ22は、サブステージ2の上に図示のように設けられ、当該マスクホルダ22の上に被観察試料5を搭載するものである。
【0027】
電子光学系4は、マスクホルダ21およびマスクホルダ22の上にそれぞれ搭載した被観察試料5に対応づけてそれぞれ設けられ、細く絞った電子線ビームを照射しつつ面走査し、放出、反射あるいは吸収された信号を検出し、表示装置18の上にその画像をそれぞれ表示させるための公知のものである。ここでは、図示のように、メインステージ1の上に搭載した被観察試料5と、サブステージ2の上に搭載した被観察試料5とに独立、かつ同時に細く絞った電子線ビームを照射しつつ平面走査し、それぞれの画像を表示装置18の上に表示するようにしている。
【0028】
次に、図3のフローチャートの順番に従い、図1および図2の構造のもとで、サブステージ2の調整について詳細に説明する。
【0029】
図3は、本発明の動作説明フローチャート(ステージ系の調整)を示す。
図3において、S1は、同一パターンのマスク(1)、マスク(2)をメインステージ1、サブステージ2に取り付ける。これは、図1、図2に示すように、被観察試料5である、ここでは、同一パターンのマスク(1)、マスク(2)をメインステージ1、サブステージ2にそれぞれ取り付ける(搭載する)。
【0030】
S2は、レーザー干渉計3にある領域座標を指示して、メインステージを移動させる。これは、図1のPC11がメインステージ1およびサブステージ2の調整のために、まず、S1で同一パターンのマスク(1)、(2)をメインステージ1およびサブステージ2に搭載した状態で、メインステージ1を移動させ、レーザー干渉計3で読み取った座標がステージ調整用のパターンのある領域になるようにする。
【0031】
S3は、画像を取得する。これは、S2でメインステージ1を移動させて、マスク(1)、マスク(2)上のステージ調整用のパターンがある領域に設定した状態で、電子光学系から放出された細く絞った電子線ビームで当該領域を平面走査し、放出された2次電子を検出・増幅してそれぞれの画像を取得する。
【0032】
S4は、画像を重ねて、その時の位置の誤差を測定する。これは、S3で取得したマスク(1)からの画像と、マスク(2)からの画像とを重ねて、その時の寸法差を測定することによって、位置の誤差を測定、例えばΔx11,Δy11と測定する。
【0033】
S5は、終了か判別する。これは、同一パターンのマスク(1)、マスク(2)上に形成された基準パターンの全て(例えばマスク(1)、(2)の中心と4隅の近傍の合計5つの基準パターン)について、S2からS4を行ってその誤差をそれぞれ測定したか判別する。YESの場合には、マスク(1)、マスク(2)上の全ての基準パターンについてその誤差をそれぞれ測定終了したので、S6に進む。NOの場合には、S2以降を繰り返す。
【0034】
S6は、誤差が所定内か判別する。これは、S4で重ね合わせたときの誤差がそれぞれ所定内(予め実験で求めた許容誤差内)か判別する。YESの場合には、メインステージ1に対するサブステージ2の調整が完了(不要)と判明したので、S8でそのときのサブステージ2のx,y,θを保存し、終了する。一方、S6のNOの場合には、重ね合わせ誤差が所定内でなく、大きいと判明したので、S7でサブステージ(x,y,θ)を調整して重ね合わせ誤差が小さくなるようにし、S2以降を繰り返す。
【0035】
以上によって、図1および図2の構造のもとで、メインステージ1上に搭載したマスク(1)(被観察試料5)と、サブステージ2上に搭載したマスク(2)(被観察試料5)とから取得した画像を重ねたときの誤差が所定内に収まるようにサブステージ2を調整することが可能となる。これにより、メインステージ1上に搭載したマスク(1)と、サブステージ2上に搭載したマスク(2)とについて、両者から取得した画像を重ね合わせたときの誤差が所定内(許容値内)に収まるように調整されたこととなる。尚、誤差が所定内に収まるとは、誤差が0(零)を中心に所定内に収まるようにしてもよいし、所定値を中心に所定内に収まるようにしてもよい。
【0036】
また、この際、レーザ干渉計3は、マスク(1)自身とマスク(2)自身、あるいはマスク(1)を保持するマスクホルダ21とマスク(2)を保持するマスクホルダ22の位置座標をそれぞれ測定し、所定領域座標になるようにメインステージ1を移動させる(以下同様)。
【0037】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(実マスク測定)を示す。
図4において、S11は、マスク(1)とマスク(2)をセットする。これは、重ね合わせ対象のマスク(1)とマスク(2)(例えば後述する図6の(a)のマスク(1)(配線パターン)と、図6の(b)のマスク(2)(コンタクトホールパターン))を、図1および図2のメインステージ1およびサブステージ2にそれぞれセット(搭載)する。
【0038】
S12は、マスク(1)をメインステージ1で基準点に合わせる。これは、レーザー干渉計3を用いてメインステージ1に搭載したマスク(1)上の基準点を、当該メインステージ1を移動させて合わせる(例えば画像の中心に合わせる)。この合わせたときのレーザ干渉計3で測定したマスク(1)の位置をX、Yとする。
【0039】
S13は、マスク(2)をサブステージ2で基準点に合わせる。これは、同様に、レーザー干渉計3を用いてサブステージ2に搭載したマスク(2)上の基準点を、当該サブステージ2を移動させて合わせる(例えば画像の中心に合わせる)。この合わせたときのレーザ干渉計3で測定したマスク(2)の位置をx、yとする。
【0040】
以上のS11からS13よって、メインステージ1上に搭載したマスク(1)の基準点の位置(X,Y)およびサブステージ2上に搭載したマスク(2)の基準点の位置(x,y)がレーザー干渉計3で測定されて較正されたこととなる。
【0041】
S14は、重ね合わせ精度要求の厳しい(又は、要求の)領域に移動する。これは、S11からS13でマスク(1)の基準点、マスク(2)の基準点で較正した後、測定対象の、ここでは、重ね合わせ精度要求の厳しい領域又は要求のあった領域に移動(メインステージ1で移動)する。
【0042】
S15は、2つの画像をチェックする。これは、S14で移動した後に、メインステージ1上に搭載したマスク(1)の画像を取得、およびサブステージ1上に搭載したマスク(2)の画像を取得し、両者の重ね合わせ具合をチェックする。例えば後述する図6の(d)の良品、あるいは図6の(e)の不良品などの状態をチェックする(図6を用いて後述する)。
【0043】
S16は、出力する。これは、S15でチェックして結果を出力する(例えば不良品の場合の寸法などを出力する)。
【0044】
以上のように、レーザー干渉計3を用いてメインステージ1を移動させて当該メインステージ1上に搭載したのマスク(1)の基準点を合わせ、次に、サブステージ2を移動させて当該サブステージ2に搭載したマスク(2)の基準点にあわせた後、重ね合わせチェック対象の領域(重ね合わせ精度の厳しい領域、指定された領域)にメインステージ1で移動させたのち、マスク(1)の画像とマスク(2)の画像とを取得し、両者を重ね合わせてその差などをチェック(図6参照)し、良品、不良品、更に、不良品の場合にはその差(誤差)、位置などを出力することが可能となる。これにより、1つのメインステージ1の上に搭載したマスク(1)の画像と、当該メインステージ1の上に設けたサブステージ2に搭載したマスク(2)の画像とを同時に取得して比較して重ね合わせ具合などを極めて高精度かつ再現性良好に測定して判定することが可能となる。即ち、環境条件(マスク(1)とマスク(2)の温度など)を同一にし、しかも同時並列に画像を取得して比較し、特にパターンの重ね合わせなどの良否を決めて高精度かつ高再現性を保持して判定することが可能となる。
【0045】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(電子光学系等のチェックを行いながら実マスク測定)を示す。
【0046】
図4において、S21は、マスク(1)、(2)の基準パターンの位置に合わせる。これは、レーザ干渉計3を用い、マスク(1)あるいはマスク(2)の基準パターンが画像上の例えば中心に来るように、メインステージ1を移動させる。
【0047】
S22は、画像を取得する。これは、メインステージ1上に搭載されたマスク(1)の画像(基準パターンを含む画像)を取得、およびサブステージ2上に搭載されたマスク(2)の画像(基準パターンを含む画像)を取得する。
【0048】
S23は、両者の画像パターンの重ね合わせを行い、その位置のシフト量を求める。これは、S22で取得したメインステージ1上に搭載したマスク(1)の基準パターンの画像と、サブステージ2上に搭載したマスク(2)の基準パターンの画像との重ね合わせを行い、その位置のシフト量を求める。ここでは、両者の基準パターンの画像のシフト量が、Sx1,Sy1とする。
【0049】
S24は、終了か判別する。これは、全ての基準パターンについてS21からS23の処理を終了したか判別する。YESの場合には、S25に進む。NOの場合には、S21に戻り繰り返す。
【0050】
S25は、S23で求めたシフト量を記憶する。
以上のS21からS5を、S29の一定時間毎又は作業領域が代わる毎などに実行することにより、メインステージ1上に搭載したマスク(1)の基準パターンと、サブステージ2上に搭載したマスク(2)の基準パターンとのシフト量を逐次測定することが可能となる。
【0051】
S26は、前回と比較する。これは、前回に記憶されたシフト量があればその記憶されたシフト量と、今回のシフト量とを比較する。前回の記憶されたシフト量がなければ当該S26はスキップする。
【0052】
S27は、シフト量は所定以内か判別する。これは、S26で前回と今回のシフト量を比較してその差が所定以内か判別する。YESの場合には、S28に進む。尚、前回と今回の差が所定以内であっても、最初のシフト量と比較して所定許容値を超えたときはS27でNOと判定し、S30でアラームを発して管理者に知らせる。一方、S27のNOの場合には、前回の差のシフト量が所定以上であったので、S30でアラームを発して管理者に知らせる。
【0053】
S28は、実パターン測定する。これは、既述した図4のS11からS16によって、マスク(1)、マスク(2)の重ねあわせなどの実パターン測定を行う。
【0054】
S29は、一定時間毎又は作業領域が変わるか判別する。YESの場合には、S21以降を実行する。NOの場合には、終了する。
【0055】
以上によって、一定時間毎又は作業領域が変わる毎などに、マスク(1)とマスク(2)の基準パターンの画像を比較しシフト量が所定以上のときにアラームを発生して管理者に知らせ、一方、シフト量が所定以下のときに実パターン測定(図4)を行うことにより、メインステージ1に搭載したマスク(1)上の基準パターンと、サブステージ2に搭載したマスク(2)上の基準パターンとのシフト量を所定以内であることを監視しつつマスク(1)とマスク(2)とのパターンなどの重ね合わせチェックなどを精度良好かつ再現性良好に行うことが可能となる。
【0056】
図6は、本発明の説明図を示す。
図6の(a)は、マスク(1)(配線パターン)の例を示す。
【0057】
図6の(b)は、マスク(2)(コンタクトホールパターン)の例を示す。
図6の(c)は、マスク(1)とマスク(2)とを重ね合わせた状態の例を示す。左側の点線の楕円の部分について拡大した様子を、図6の(d),(e)に示す。
【0058】
図6の(d)は、良品の場合の状態を示す。この良品の場合には、
・aとbの差の絶対値が規定値以内
・cとdの差の絶対値が規定値以内
となったものである。
【0059】
図6の(e)は、不良品の場合の状態を示す。この不良品の場合には、
・aとbの差の絶対値が規定値以上
・cとdの差の絶対値が規定値以上
となったものである。
【0060】
以上のように、図6の(a)のマスク(1)の配線パターンと、図6の(b)のマスク(2)のコンタクトホールパターンとの場合に、両者を重ね合わせた状態(図6の(c))で、図中のa,b,c,dをそれぞれ画像上で測定し、aとbの差、cとdとの差の絶対値が規定値以内のときに良品、規定値以上のときに不良品と判定することが可能となる。この際、マスク(1)を図1および図2のメインステージ1に搭載し、マスク(2)を図1および図2のサブステージ2に搭載し、既述した図4あるいは図5の方法で測定し、良品、不良品を高速、高精度、かつ再現性良好に判定することが可能となる。
【0061】
図7は、本発明の説明図(実LSIマスクを直接、精度確認)を示す。
図7の(a)は、LSI実マスクの例を示す。左上にDRAM領域があり、右上にLogic領域があり、中央下にMCP領域がある例を示す。
【0062】
図7の(b)はマスク(1)(配線パターン)を示し、図7の(c)はマスク(2)(コンタクトホールパターン)を示す。これらマスク(1)、マスク(2)は、図7の(a)の実LSIマスクの中央下にある部分を拡大したものである。
【0063】
図7の(d)は、マスク(1)とマスク(2)とが重なる様子を示す。当該マスク(1)の配線パターンに、マスク(2)のコンタクトホールパターンが重なる場合、既述した図6の(d)あるいは(e)に示すように、a,b,c,dを測定することにより、良品あるいは不良品を高速、高精度かつ再現性良好に判定することが可能となる。
【0064】
図8は、本発明の説明図を示す。これは、マスク(1)、(2)の基準点を合わせ後、各マスクパターン領域毎に位置合わせ測定を行う場合の例を示す。
【0065】
図8の(a)は、LSI実マスクの例を示す。左上にDRAM領域があり、右上にLogic領域があり、中央下にMCP領域がある例を示す。
【0066】
図8の(b)はマスク(1)の例を示し、図8の(c)はマスク(2)の例を示す。ここで、基準点(基準パターン)は、ここでは、3箇所(上中央、左中央、右下)に設けている。ここでは、マスク(1)とマスク(2)の3箇所の基準点(基準パターン)を合わせた後(図4のS12、S13)、各領域(DRAM領域、Logic領域、MCP領域)についてそれぞれその内部のパターンの位置合わせ測定を行うようにしている。
【0067】
尚、更に、精度を向上させるには、各領域毎に例えば3箇所の基準パターンを設けてこれについてマスク(1)とマスク(2)との当該基準パターンを合わせた後(図4のS12、S13)、当該領域内のパターンの重ね合わせ測定を行い良否を判定(図6の(d),(e))する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、1つのステージ上に比較対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、これら複数の被観察試料の位置をそれぞれレーザ干渉計で測定しつつ当該複数の被観察試料上のパターンの形状について荷電粒子線ビームを走査などして画像を取得して測定し、比較対象の複数の被観察試料の重ね合わせ位置などの相対的位置を直接に高精度に測定する相対位置測定方法および相対位置測定装置に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明の詳細構造図である。
【図3】本発明の動作説明フローチャート(ステージ系の調整)である。
【図4】本発明の動作説明フローチャート(実マスク測定)である。
【図5】本発明の動作説明フローチャート(電子光学系等のチェックを行いながら実マスク測定)である。
【図6】本発明の説明図である。
【図7】本発明の説明図である。
【図8】本発明の説明図である。
【図9】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0070】
1:メインステージ
2:サブステージ
3:レーザー干渉計
4:電子光学系
5:被観察試料(マスク)
11:PC(パソコン)
12:チェック手段
13:測定手段
14:判定手段
15:マスクパターンデータ
16:測定データ
17:補正データ
18:表示装置
19:入出力装置
21,22:マスクホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被観察試料の相対位置を測定する相対位置測定方法において、
相対位置の測定対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、かつ移動可能な1つのステージと、
前記相対位置の測定対象の複数の被観察試料について、それぞれの位置を精密測定するレーザ干渉計とを備え、
前記レーザ干渉計で前記複数の被観察試料の位置をそれぞれ測定するステップと、
当該複数の被観察試料上のパターンの画像を取得するステップと、
前記取得した画像および前記測定したそれぞれの被観察試料の位置をもとに各被観察試料の画像上のパターンの相対位置をそれぞれ算出するステップと
を有することを特徴とする相対位置測定方法。
【請求項2】
前記複数の被観察試料上のパターンの画像について、同時にそれぞれの画像を取得する画像取得手段を設け、当該複数の被観察試料上のパターンの画像を同時に取得したことを特徴とする請求項1記載の相対位置測定方法。
【請求項3】
前記複数の被観察試料上のパターンの画像について、電子線ビームを走査して放出、反射、あるいは吸収された信号を検出して画像を生成したことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の相対位置測定方法。
【請求項4】
前記複数として2とし、当該2つの被観察試料上のパターンの画像について、2つの電子光学系を設けて当該2つの電子光学系から放出されたそれぞれの電子線ビームによって、当該2つの被観察試料上をそれぞれ走査して放出、反射、あるいは吸収された信号をそれぞれ検出してそれぞれ画像を生成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の相対位置測定方法。
【請求項5】
前記1つのステージ上に1つの被観察試料を搭載し、当該1つのステージ上にサブステージを設けて他の1つの被観察試料を搭載することを繰り返して複数の被観察試料を順次搭載したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の相対位置測定方法。
【請求項6】
前記1つのステージ上に1つの被観察試料を搭載し、当該1つのステージ上にサブステージを設けて他の全て被観察試料を搭載することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の相対位置測定方法。
【請求項7】
前記1つのステージ上にサブステージを設けた場合に、当該サブステージを調整してステージ上に搭載した被観察試料と当該サブステージ上に搭載した被観察試料との位置合わせを行うことを特徴とする請求項5あるいは請求項6記載の相対位置測定方法。
【請求項8】
前記複数の被観察試料上の任意の位置にそれぞれ相対位置測定用の基準パターンを設け、当該基準パターンをもとに複数の被観察試料上のパターンの相対位置を測定することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の相対位置測定方法。
【請求項9】
前記複数の被観察試料から生成したそれぞれの画像を重ね、当該重ねた状態のもとで位置、寸法を測定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の相対位置測定方法。
【請求項10】
複数の被観察試料の相対位置を測定する相対位置測定装置において、
相対位置の測定対象の複数の被観察試料を同時に搭載し、かつ移動可能な1つのステージと、
前記相対位置の測定対象の複数の被観察試料について、それぞれの位置を精密測定するレーザ干渉計と、
前記レーザ干渉計で前記複数の被観察試料の位置をそれぞれ測定する手段と、
当該複数の被観察試料上のパターンの画像を取得する手段と、
前記取得した画像および前記測定したそれぞれの被観察試料の位置をもとに各被観察試料の画像上のパターンの相対位置をそれぞれ算出する手段と
を備えたことを特徴とする相対位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−139821(P2007−139821A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329364(P2005−329364)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(591012668)株式会社ホロン (63)
【Fターム(参考)】