相対変位測定センサーが設けられたダンパー
【課題】 相対変位測定センサーが設けられたダンパーを提供する。
【解決手段】内部に中空部を有するシリンダー11と、シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド13と、ピストンロッドの端部に連結されてシリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ12と、シリンダーの上端を密閉しながらピストンロッドの直線運動をガイドし、一側に貫通孔を有するロッドガイド14と、ロッドガイドに結合し、ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いてピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール100とを含むダンパー10に関するものである。
【解決手段】内部に中空部を有するシリンダー11と、シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド13と、ピストンロッドの端部に連結されてシリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ12と、シリンダーの上端を密閉しながらピストンロッドの直線運動をガイドし、一側に貫通孔を有するロッドガイド14と、ロッドガイドに結合し、ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いてピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール100とを含むダンパー10に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダンパーに係り、より詳しくは、ピストンロッドの動きを感知できるセンサーを設けたダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の車輪と車体との間には乗車感を向上させるための懸架装置がが設けられるが、このような懸架装置は路面の振動や衝撃を吸収できるシャーシスプリングと乗車感を向上させるために前記シャーシスプリングの自由振動を減衰するダンパーを含む。
【0003】
ダンパーは、上下運動のエネルギーを熱エネルギーに転換させてシャーシスプリングの自由振動を吸収することと同時にこれを迅速に減衰させる役割を果たす。
【0004】
最近は、センサーを用いて車体の状態を感知した後にその感知結果をフィードバックしてダンパーの減衰力を電磁的に制御する能動制御型懸架装置が高級車両を中心に多く使用されている。
【0005】
ダンパーの減衰力を電磁的に制御する方式には、色々があるが、一般にはシリンダー内で往復運動するピストンバルブに流体通過孔を形成し、前記流体通過孔を通過する流体の挙動を調節する方式が使用される。
【0006】
流体通過孔を通じた流体の挙動を調節する方法には、スプリングを用いて流体通過孔の断面積を調節する方法と、シリンダー内部に電気粘性(Electro−Rheological)流体や磁気粘性(Magneto−Rheological)流体を充填した後にこれら流体の電気的又は磁気的性質を用いて流体の流動抵抗を調節する方法がある。
【0007】
一方、ダンパーの減衰力を電磁的に制御するためには、車体の状態を正確に感知することが先行されなければならなく、従ってこのためのセンサーを設置しなければならない。
【0008】
現在商用化された能動制御式懸架装置では、車体の状態を判断するためにダンパーと別途に車体と車軸(又は車輪)との間にリンク型センサーを設けて路面の振動や衝撃の程度を感知し、その感知結果を用いてダンパーの動作を間接的に制御している。
【0009】
ところで、車両の下部に一端は車体に結合し、他端は車軸(又は車輪)に結合するリンク型センサーを別途に設置するためには相当な空間が要求され、これは設計上の大きい負担として作用する。
【0010】
従って、このような問題を解決するためにダンパーの挙動を直接的に感知できる小型センサーの必要性が大きくなっているが、いまだに振動と衝撃に常に露出されている自動車用ダンパーに長時間使用できる程度で安定性と耐久性に優れたセンサーが開発できない実情である。
【0011】
例えば、一般にアクチュエーターの制御のために使用される接触式センサー(例えば、ポテンシャルメートル)はピストンロッドやピストンバルブと接した状態でその移動状態を感知するので摩擦によってセンサーが損傷される場合が多く、相対的に製品寿命が短いという問題点がある。
【0012】
また、光学式センサーは衝撃に弱いだけではなく、異物質によって光が遮断されれば使用できない問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、耐久性に優れたセンサーモジュールをダンパーに直接設けてダンパーの挙動を直接的に正確に感知し、その感知結果に基づいて減衰力をより精密に制御できるダンパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前述した課題を解決するために、内部に中空部を有するシリンダー;前記シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド;前記ピストンロッドの端部に連結されて前記シリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ;前記シリンダーの上端を密閉しながら前記ピストンロッドの直線運動をガイドするロッドガイド;前記ロッドガイドに結合し、前記ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いて前記ピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール;とを含むダンパーを提供する。
【0015】
前記ピストンロッドの前記グルーブパターンは、前記ピストンロッドの移動方向について実質的に垂直方向に形成されることを特徴とすることができる。
【0016】
前記ピストンロッドの表面には前記グルーブパターンを平坦にカバーするために非磁性物質として鍍金層が形成されることを特徴とすることができる。
【0017】
前記シリンダーの内部には、磁気粘性流体が充填され、前記ピストンバルブの内部には前記流体通過孔を通じた前記磁気粘性流体の流動を制御するためのソレノイドコイルが設けられることを特徴とすることができる。
【0018】
前記ロッドガイドの側部には、前記センサーモジュールを結合するための貫通孔が形成されることを特徴とすることができる。
【0019】
一方、前記センサーモジュールは、磁場を発生させる磁石;前記磁石と前記ピストンロッドの間に位置し、磁場の変化を感知して電気的信号を出力する巨大磁気抵抗(Giant Magneto Resistance;GMR)センサー;前記巨大磁気抵抗センサーの出力信号を処理して矩形波を出力する信号処理部;前記磁石、前記巨大磁気抵抗センサー;及び前記信号処理部を支持するハウジング;とを含むことを特徴とすることができる。
【0020】
前記GMRセンサーは、第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の直列連結対と第3の抵抗素子及び第4の抵抗素子の直列連結対が互いに並列に連結される構造を有し、前記電気的信号は前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の間の第1のノードと前記第3の抵抗素子及び前記第4の抵抗素子の間の第2のノード間で磁場の変化に応じて発生する出力電圧であることを特徴とすることができる。
【0021】
前記GMRセンサーは、それぞれ磁場の変化を感知して電気的信号を出力する第1のサブセンサー及び第2のサブセンサーを備え、前記第1のサブセンサーの先端部と前記第2のサブセンサーの先端部は前記ピストンロッドの移動方向に沿って離隔されており、前記ピストンロッドが移動すれば、前記第1のサブセンサーの出力信号と前記第2のサブセンサーの出力信号が時差を置いて生成されることを特徴とすることができる。
【0022】
前記信号処理部は、前記GMRセンサーの出力信号を増幅する信号増幅部;前記信号増幅部で増幅された信号を矩形波に変換して外部に伝送するデジタル変換部;とを含むことを特徴とすることができる。
【0023】
前記ハウジングは、一端に開口部を備え、前記GMRセンサーは前記開口部を密閉するPCB基板の外側に搭載されることを特徴とすることができる。
【0024】
前記GMRセンサーの外側には保護カバーが設けられることを特徴とすることができる。前記磁石は、前記PCB基板の内側に固定される永久磁石であることを特徴とすることができる。
【0025】
前記ハウジングの内側には、前記信号処理部と付属回路を搭載する第2のPCB基板が設けられ、前記PCB基板と前記第2のPCB基板はFPCBを通じて電気的に連結されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ダンパーに直接センサーを結合してダンパーの挙動を感知することが可能となるため、その感知結果に基づいてダンパーの減衰力をより正確に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の実施例によるダンパー10を示す部分切開斜視図であって、特に磁気粘性流体を用いて減衰力を制御するダンパーを示すものである。
【0029】
前記ダンパー10は、内部に長手方向の中空部を有するシリンダー11、前記シリンダー11の上部から挿入されるピストンロッド13、前記ピストンロッド13の下端部に連結されて前記シリンダー11の内部で往復運動をするピストンバルブ12、前記シリンダー11の上端部に結合されて前記シリンダー11を密閉しながら前記ピストンロッド13の上下直線運動をガイドするロッドガイド14を含む。
【0030】
特に、磁気粘性流体を用いるダンパー10は、図2に示すようにシリンダー11の内部に磁気粘性流体が充填される一方、ピストンバルブ12に流体通過孔16と前記流体通過孔16を通じた流体の挙動を制御するためのソレノイドコイル17が設けられる。
【0031】
磁気粘性流体は磁化できる金属粒子を含有する流体であって、周辺に磁場が発生すれば、その影響によって外見粘度が変わる特性を有する。従って、前記ソレノイドコイル17に印加される電流を調節して流体通過孔16周囲の磁場を制御することによって流体の流動抵抗を調節でき、これによりダンパー10の減衰力や引張力を制御することができる。
【0032】
ソレノイドコイル17に印加される電流は、車両の電子制御装置(ECU)がセンサーを通じて車体の状態を感知した結果を用いて調節され、本発明の実施例ではこのためロッドガイド14の側部にピストンロッド13の動きを非接触式に感知するセンサーモジュール100を設置することに特徴がある。
【0033】
図3は、ロッドガイド14の側部に形成された貫通孔15を通じてセンサーモジュール100を挿入する姿を示すものである。
【0034】
センサーモジュール100をシリンダー11の側壁を貫通して結合してもよいが、感知対象であるピストンロッド13に最大に近接して設置しながらもシリンダー内部の流体が漏洩されることを防止するためには、示すようにロッドガイド14に設けられることが好ましい。
【0035】
ロッドガイド14の側部に貫通孔15を形成せず、ロッドガイド14の上部にセンサーモジュール100を固定させることも可能であり、この場合にはセンサーモジュール100をロードガイド14に固定させることができる別途の固定手段が要求される。
【0036】
一方、ピストンロッド13でセンサーモジュール100によって感知される領域には凸部21と凹部22が交代に形成されたグルーブパターン20を形成する。この時、凸部21と凹部22のピッチや形状は感知解像度によって適切に選択できる。
【0037】
このようにピストンロッド13にグルーブパターン20を形成する理由は、本発明の実施例に用いるセンサーモジュール100が磁場変化を用いた非接触式センサーであるためであり、これについては詳細に後述する。
【0038】
ピストンロッド13のグルーブパターン20は、ピストンロッド13の移動方向(図面では上下方向)について実質的に垂直方向に形成され、凸部21と凹部22が均一な寸法とピッチとを有することが好ましい。
【0039】
しかしながら、グルーブパターン20がピストンロッド13の移動方向と完全に垂直ではなく、多少傾いても正確な感知が可能である。
【0040】
以下では、本発明の実施例に用いられるセンサーモジュール100について詳細に説明する。
【0041】
センサーモジュール100は、それぞれ斜視図及び部分切開斜視図である図4A及び図4Bに示すように、内部に中空部を有して一端に開口部112が形成されたハウジング110、前記ハウジング110の内部で前記開口部112を密閉する第1のPCB120、前記第1のPCB120の外側に結合するGMRセンサー130、前記第1のPCB120の内側に結合する永久磁石140を含む。
【0042】
また、前記ハウジング110の内部には、GMRセンサー130の出力信号を処理する信号処理部150が設けられ、前記信号処理部150やその他付属回路は第2のPCB160に搭載される。
【0043】
ハウジング110の外側には、電源/信号線170が引き出され、前記電源/信号線170はGMRセンサー130及び信号処理部150の動作に必要な電源を供給する電源供給ラインと信号処理部150の出力信号を外部に伝送する信号伝送ラインを含む。
【0044】
ハウジング110の外形は、設置場所により変わるものであるため、図に示すような円筒形状に限定されるものではない。
【0045】
GMRセンサー130は、周辺磁場の強さによって内蔵された抵抗素子の抵抗値が変わる特性を有し、従って入力電圧が同一であっても周辺磁場が変われば出力電圧が変わる。
【0046】
従って、GMRセンサー130の出力電圧を用いれば、磁場の強さを測定できるのでハードディスクドライブ(HDD)の記録及び再生と関連された分野でこのようなGMRセンサーが多く使用されてきた。
【0047】
本発明の実施例は、このようなGMRセンサー130を用いてシリンダー型アクチュエーターの相対変位を非接触式に測定するセンサーモジュール100を提案しているものである。
【0048】
GMRセンサー130は、第1のPCB120に搭載されたままハウジング110の開口部112を通じてハウジング110の外部に露出されるが、汚染物質から保護するためにGMRセンサー130の外側に保護カバー(図示せず)が更に設けられてもよい。
【0049】
GMRセンサー130の出力信号を処理する信号処理部150が搭載された第2のPCB160はGMRセンサー130が搭載された第1のPCB120と電気的に連結されなければならなく、このため第1のPCB120と第2のPCB160をFPCBなどを用いて連結できる。勿論他の電気的連結手段が用いられてもよい。
【0050】
GMRセンサー130は色々の形態で製造でき、図5のブロック図はその一例を示す図面である。すなわち、4個の抵抗素子(R1、R2、R3、R4)をホイートストンブリッジ形態で連結してGMRセンサー130を構成し、この時前記抵抗素子(R1、R2、R3、R4)は基板上に蒸着された金属薄膜であって、少なくとも一つは周辺磁場の強さによって抵抗値が変わる特性を有する。
【0051】
従って、GMRセンサー130の周辺で磁場が変われば、ホイートストンブリッジの抵抗釣り合いが破れながらGMRセンサー130で所定の出力電圧(Vout)が発生するようになる。
【0052】
図6は、GMRセンサー130の出力電圧(Vout)が変わる過程をピストンロッド13の動きによって示す図面である。
【0053】
先ず、永久磁石140をグルーブパターンを有するピストンロッド13に近接設けた状態で前記ピストンロッド13を移動させれば、グルーブパターンの凸部21と凹部22なので永久磁石140とピストンロッド13の間隔が周期的に変わるようになり、これにより永久磁石140とピストンロッド13の間の磁場のパターンも周期的に変わるようになる。
【0054】
従って、永久磁石140とピストンロッド13との間にGMRセンサー130を設ければ、このような磁場の変化によってGMRセンサー130に内蔵された抵抗素子の抵抗値が変わりながら出力電圧(Vout)が周期的に変動される。
【0055】
先ず、GMRセンサー130が図5のように連結された抵抗素子(R1、R2、R3、R4)を内蔵しており、図6の(a)のようにGMRセンサー130がピストンロッド13のブロック部21の上部に位置する場合には、各抵抗素子(R1、R2、R3、R4)の抵抗値が釣り合いを形成して出力電圧(Vout)がゼロと仮定する。
【0056】
続いて、図6の(b)のようにピストンロッド13が図面上右側に移動しながら永久磁石140が凹部22の上部と重畳され始めれば、磁場の変化によってGMRセンサー130の抵抗釣り合いが破れながら出力電圧(Vout)が発生し始める。
【0057】
出力電圧(Vout)は、徐々に増加してからGMRセンサー130がピストンロッド13の凹部22の上部と多く重畳されながら再び減少し、図6の(c)に示すように永久磁石140が完全に凹部22の上部に位置すれば、再び抵抗釣り合いが形成されて出力電圧(Vout)がゼロになる。
【0058】
ピストンロッド13が図面上右側に移動し続けて永久磁石140が図6の(d)のように再び凸部21の上部と重畳され始めれば、再びGMRセンサー130の抵抗釣り合いが破れながら出力電圧(Vout)が発生し始めるが、この場合に出力電圧は図6の(a)とは反対の極性を有するようになる。
【0059】
結局、凸部21及び凹部22のグルーブパターンを有するピストンロッド13が永久磁石140について移動する間にGMRセンサー130は正弦波形態の出力電圧(Vout)を連続的に発生するようになる。
【0060】
信号処理部150は、図7の回路ブロック図に示すように信号増幅部152とデジタル変換部154で構成される。
【0061】
信号増幅部152はGMRセンサー130の出力電圧(Vout)を増幅させる役割を果たし、例えば図7の回路ではR7/R4、すなわち200倍で増幅された出力電圧(Vout)を得ることができる。
【0062】
デジタル変換部154は、信号増幅部152で増幅された信号を矩形波に変換させる役割を果たす。
【0063】
デジタル変換部154で出力される矩形波の周波数、パルス幅、オフセットデータなどはアクチュエーターの動作を制御する制御モジュール(図示せず)に伝送され、制御モジュールはこのようなデータを用いてピストンロッド13の移動速度や移動距離を判断し、必要な制御信号を送り出してダンパー10の減衰力をフィードバック制御する。
【0064】
一方、前述した方式のGMRセンサー130を使用すれば、ピストンロッド13の移動を感知できるが、移動方向を判別しにくい問題点がある。
【0065】
すなわち、図6の(b)のようにGMRセンサー130の出力電圧(Vout)が最高値である状態で出力電圧(Vout)がゼロになる場合に図6の(a)の位置にあることであるか、或いは図6の(c)の位置にあることであるか有無を判断しにくい。
【0066】
これを解決するために、本発明の実施例では一つの半導体チップに2個のセンサーが含まれたGMRセンサー130を用いてピストンロッド13の移動方向を感知する。すなわち、図8に示すようにそれぞれホイートストンブリッジを構成する4個の抵抗素子から成る第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)を含んで一つのGMRセンサー130を構成する。
【0067】
この時、第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)を同一な位置に形成せず第1のサブセンサー(130a)の先端部と第2のサブセンサー(130b)の先端部がピストンロッド13の移動方向に沿って所定間隔離隔されるように形成すれば、第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が発生する時点が変わるのでこれを用いて対象物体の移動方向を確認できる。
【0068】
すなわち、図8でピストンロッド13が図面上右側に移動すれば、GMRセンサー130の下部に凹部22が近接しながら第1のサブセンサー(130a)が第2のサブセンサー(130b)より先に凹部22の上部に位置するようになる。
【0069】
従って、磁場の変化によって第1のサブセンサー(130a)で先ず出力電圧が発生し、所定時間後に第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が発生するようになる。
【0070】
この場合、信号処理部150の出力信号は、図9Aに図示すように示され、これにより第1のサブセンサー(130a)の出力信号(Vout1)が第2のサブセンサー(130b)の出力信号(Vout2)に比べて時間的に先立つことが分かる。
【0071】
もしピストンロッド13が図面上左側に移動すれば、第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が先ず発生し、所定時間後に第1のサブセンサー(130a)で出力電圧が発生する。
【0072】
この場合、信号処理部150の出力信号を調べれば、図9Bに示すように第2のサブセンサー(130b)の出力信号(Vout2)が第1のサブセンサー(130a)の出力信号(Vout1)に比べて時間的に先立つ。
【0073】
結局、第1のサブセンサー(130a)の出力信号と第2のサブセンサー(130b)の出力信号の発生順序を用いてピストンロッド13の移動方向が分かる。
【0074】
図10は、2個のサブセンサーを内蔵するGMRセンサー130と信号処理部150の連結構成を示す回路ブロック図である。
【0075】
GMRセンサー130は、各サブセンサー毎に独立された出力端子の出力信号(Vout1、Vout2)を備え、信号処理部150はGMRセンサー130の各出力端子の出力信号(Vout1、Vout2)を独立的に処理した後矩形波に出力する。
【0076】
前述した構成を有するセンサーモジュール100はピストンロッド13の凸部21と凹部22のピッチを調節することによって解像度を調節でき、実際車両用ダンパー10に装着する場合には直径12mm、長さ25mm程度の小型に製作することが可能である。
【0077】
また、理論上では凸部21と凹部22の間のピッチが10マイクロメートルである場合にもピストンロッド13の動きを感知できるのでダンパー10の減衰力を非常に精密に制御できる。
【0078】
一方、ピストンロッド13は鉄を主成分とするので耐食性を高めるために表面に鍍金層を形成することが好ましい。この時、グルーブパターン20の凹部を全て埋めることができる程度の十分な厚さで鍍金層を形成した後に研磨を通じてピストンロッド13の表面を滑らかなように加工することが好ましい。
【0079】
ところで、ピストンロッド13にこのように鍍金層を形成してもセンサーモジュール100が鍍金層の下部に位置する凹部21と凸部22の移動を感知できなければならないことは勿論である。
【0080】
従って、センサーモジュール100で発生した磁場に殆ど影響を及ぼさないクロム(Cr)などの非磁性物質で鍍金層を形成することが好ましい。
【0081】
一方、以上では磁気粘性流体を用いるダンパー10を例えば本発明の実施例として説明したが、異なる種類の電子制御式ダンパーでも前述したセンサーモジュール100を直接結合してその感知結果をフィードバックして減衰力を制御できるものは当然である。
【0082】
また、以上では車両用ダンパーについて説明したが、本発明の実施例が車両用ダンパーについて限定されるものではないため航空機などのランディングギアに使用されるダンパーにも適用でき、掘削機などの建設機器や産業機器又は工場自動化機器のダンパーにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例によってセンサーモジュールが設けられたダンパーの部分切開斜視図である。
【図2】MRダンパーの作動原理を示す図面である。
【図3】センサーモジュールが結合されるロッドガイドの部分切開斜視図である。
【図4A】本発明の実施例に用いられるセンサーモジュールの斜視図である。
【図4B】本発明の実施例に用いられるセンサーモジュールの部分切開斜視図である。
【図5】GMRセンサーの概念図である。
【図6】GMRセンサーが対象物体の動きを感知する原理を順序通り示す図面である。
【図7】信号処理部の回路ブロック図である。
【図8】2個のサブセンサーを内蔵したGMRセンサーが対象物体を感知する姿を示す図面である。
【図9A】対象物体の移動方向に沿って2個のサブセンサーの出力信号が時差を有する姿を示す図面である。
【図9B】対象物体の移動方向に沿って2個のサブセンサーの出力信号が時差を有する姿を示す図面である。
【図10】2個のサブセンサーを内蔵するGMRセンサーと信号処理部の連結構成を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
10:ダンパー
11:シリンダー
12:ピストンバルブ
13:ピストンロッド
14:ロッドガイド
15:貫通孔
100:センサーモジュール
110:ハウジング
112:開口部
120:第1のPCB
130:GMRセンサー
140:永久磁石
150:信号処理部
152:信号増幅部
154:デジタル変換部
160:第2のPCB
170:電源/信号線
【技術分野】
【0001】
本発明はダンパーに係り、より詳しくは、ピストンロッドの動きを感知できるセンサーを設けたダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の車輪と車体との間には乗車感を向上させるための懸架装置がが設けられるが、このような懸架装置は路面の振動や衝撃を吸収できるシャーシスプリングと乗車感を向上させるために前記シャーシスプリングの自由振動を減衰するダンパーを含む。
【0003】
ダンパーは、上下運動のエネルギーを熱エネルギーに転換させてシャーシスプリングの自由振動を吸収することと同時にこれを迅速に減衰させる役割を果たす。
【0004】
最近は、センサーを用いて車体の状態を感知した後にその感知結果をフィードバックしてダンパーの減衰力を電磁的に制御する能動制御型懸架装置が高級車両を中心に多く使用されている。
【0005】
ダンパーの減衰力を電磁的に制御する方式には、色々があるが、一般にはシリンダー内で往復運動するピストンバルブに流体通過孔を形成し、前記流体通過孔を通過する流体の挙動を調節する方式が使用される。
【0006】
流体通過孔を通じた流体の挙動を調節する方法には、スプリングを用いて流体通過孔の断面積を調節する方法と、シリンダー内部に電気粘性(Electro−Rheological)流体や磁気粘性(Magneto−Rheological)流体を充填した後にこれら流体の電気的又は磁気的性質を用いて流体の流動抵抗を調節する方法がある。
【0007】
一方、ダンパーの減衰力を電磁的に制御するためには、車体の状態を正確に感知することが先行されなければならなく、従ってこのためのセンサーを設置しなければならない。
【0008】
現在商用化された能動制御式懸架装置では、車体の状態を判断するためにダンパーと別途に車体と車軸(又は車輪)との間にリンク型センサーを設けて路面の振動や衝撃の程度を感知し、その感知結果を用いてダンパーの動作を間接的に制御している。
【0009】
ところで、車両の下部に一端は車体に結合し、他端は車軸(又は車輪)に結合するリンク型センサーを別途に設置するためには相当な空間が要求され、これは設計上の大きい負担として作用する。
【0010】
従って、このような問題を解決するためにダンパーの挙動を直接的に感知できる小型センサーの必要性が大きくなっているが、いまだに振動と衝撃に常に露出されている自動車用ダンパーに長時間使用できる程度で安定性と耐久性に優れたセンサーが開発できない実情である。
【0011】
例えば、一般にアクチュエーターの制御のために使用される接触式センサー(例えば、ポテンシャルメートル)はピストンロッドやピストンバルブと接した状態でその移動状態を感知するので摩擦によってセンサーが損傷される場合が多く、相対的に製品寿命が短いという問題点がある。
【0012】
また、光学式センサーは衝撃に弱いだけではなく、異物質によって光が遮断されれば使用できない問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする技術的課題は、耐久性に優れたセンサーモジュールをダンパーに直接設けてダンパーの挙動を直接的に正確に感知し、その感知結果に基づいて減衰力をより精密に制御できるダンパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前述した課題を解決するために、内部に中空部を有するシリンダー;前記シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド;前記ピストンロッドの端部に連結されて前記シリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ;前記シリンダーの上端を密閉しながら前記ピストンロッドの直線運動をガイドするロッドガイド;前記ロッドガイドに結合し、前記ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いて前記ピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール;とを含むダンパーを提供する。
【0015】
前記ピストンロッドの前記グルーブパターンは、前記ピストンロッドの移動方向について実質的に垂直方向に形成されることを特徴とすることができる。
【0016】
前記ピストンロッドの表面には前記グルーブパターンを平坦にカバーするために非磁性物質として鍍金層が形成されることを特徴とすることができる。
【0017】
前記シリンダーの内部には、磁気粘性流体が充填され、前記ピストンバルブの内部には前記流体通過孔を通じた前記磁気粘性流体の流動を制御するためのソレノイドコイルが設けられることを特徴とすることができる。
【0018】
前記ロッドガイドの側部には、前記センサーモジュールを結合するための貫通孔が形成されることを特徴とすることができる。
【0019】
一方、前記センサーモジュールは、磁場を発生させる磁石;前記磁石と前記ピストンロッドの間に位置し、磁場の変化を感知して電気的信号を出力する巨大磁気抵抗(Giant Magneto Resistance;GMR)センサー;前記巨大磁気抵抗センサーの出力信号を処理して矩形波を出力する信号処理部;前記磁石、前記巨大磁気抵抗センサー;及び前記信号処理部を支持するハウジング;とを含むことを特徴とすることができる。
【0020】
前記GMRセンサーは、第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の直列連結対と第3の抵抗素子及び第4の抵抗素子の直列連結対が互いに並列に連結される構造を有し、前記電気的信号は前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の間の第1のノードと前記第3の抵抗素子及び前記第4の抵抗素子の間の第2のノード間で磁場の変化に応じて発生する出力電圧であることを特徴とすることができる。
【0021】
前記GMRセンサーは、それぞれ磁場の変化を感知して電気的信号を出力する第1のサブセンサー及び第2のサブセンサーを備え、前記第1のサブセンサーの先端部と前記第2のサブセンサーの先端部は前記ピストンロッドの移動方向に沿って離隔されており、前記ピストンロッドが移動すれば、前記第1のサブセンサーの出力信号と前記第2のサブセンサーの出力信号が時差を置いて生成されることを特徴とすることができる。
【0022】
前記信号処理部は、前記GMRセンサーの出力信号を増幅する信号増幅部;前記信号増幅部で増幅された信号を矩形波に変換して外部に伝送するデジタル変換部;とを含むことを特徴とすることができる。
【0023】
前記ハウジングは、一端に開口部を備え、前記GMRセンサーは前記開口部を密閉するPCB基板の外側に搭載されることを特徴とすることができる。
【0024】
前記GMRセンサーの外側には保護カバーが設けられることを特徴とすることができる。前記磁石は、前記PCB基板の内側に固定される永久磁石であることを特徴とすることができる。
【0025】
前記ハウジングの内側には、前記信号処理部と付属回路を搭載する第2のPCB基板が設けられ、前記PCB基板と前記第2のPCB基板はFPCBを通じて電気的に連結されることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ダンパーに直接センサーを結合してダンパーの挙動を感知することが可能となるため、その感知結果に基づいてダンパーの減衰力をより正確に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0028】
図1は本発明の実施例によるダンパー10を示す部分切開斜視図であって、特に磁気粘性流体を用いて減衰力を制御するダンパーを示すものである。
【0029】
前記ダンパー10は、内部に長手方向の中空部を有するシリンダー11、前記シリンダー11の上部から挿入されるピストンロッド13、前記ピストンロッド13の下端部に連結されて前記シリンダー11の内部で往復運動をするピストンバルブ12、前記シリンダー11の上端部に結合されて前記シリンダー11を密閉しながら前記ピストンロッド13の上下直線運動をガイドするロッドガイド14を含む。
【0030】
特に、磁気粘性流体を用いるダンパー10は、図2に示すようにシリンダー11の内部に磁気粘性流体が充填される一方、ピストンバルブ12に流体通過孔16と前記流体通過孔16を通じた流体の挙動を制御するためのソレノイドコイル17が設けられる。
【0031】
磁気粘性流体は磁化できる金属粒子を含有する流体であって、周辺に磁場が発生すれば、その影響によって外見粘度が変わる特性を有する。従って、前記ソレノイドコイル17に印加される電流を調節して流体通過孔16周囲の磁場を制御することによって流体の流動抵抗を調節でき、これによりダンパー10の減衰力や引張力を制御することができる。
【0032】
ソレノイドコイル17に印加される電流は、車両の電子制御装置(ECU)がセンサーを通じて車体の状態を感知した結果を用いて調節され、本発明の実施例ではこのためロッドガイド14の側部にピストンロッド13の動きを非接触式に感知するセンサーモジュール100を設置することに特徴がある。
【0033】
図3は、ロッドガイド14の側部に形成された貫通孔15を通じてセンサーモジュール100を挿入する姿を示すものである。
【0034】
センサーモジュール100をシリンダー11の側壁を貫通して結合してもよいが、感知対象であるピストンロッド13に最大に近接して設置しながらもシリンダー内部の流体が漏洩されることを防止するためには、示すようにロッドガイド14に設けられることが好ましい。
【0035】
ロッドガイド14の側部に貫通孔15を形成せず、ロッドガイド14の上部にセンサーモジュール100を固定させることも可能であり、この場合にはセンサーモジュール100をロードガイド14に固定させることができる別途の固定手段が要求される。
【0036】
一方、ピストンロッド13でセンサーモジュール100によって感知される領域には凸部21と凹部22が交代に形成されたグルーブパターン20を形成する。この時、凸部21と凹部22のピッチや形状は感知解像度によって適切に選択できる。
【0037】
このようにピストンロッド13にグルーブパターン20を形成する理由は、本発明の実施例に用いるセンサーモジュール100が磁場変化を用いた非接触式センサーであるためであり、これについては詳細に後述する。
【0038】
ピストンロッド13のグルーブパターン20は、ピストンロッド13の移動方向(図面では上下方向)について実質的に垂直方向に形成され、凸部21と凹部22が均一な寸法とピッチとを有することが好ましい。
【0039】
しかしながら、グルーブパターン20がピストンロッド13の移動方向と完全に垂直ではなく、多少傾いても正確な感知が可能である。
【0040】
以下では、本発明の実施例に用いられるセンサーモジュール100について詳細に説明する。
【0041】
センサーモジュール100は、それぞれ斜視図及び部分切開斜視図である図4A及び図4Bに示すように、内部に中空部を有して一端に開口部112が形成されたハウジング110、前記ハウジング110の内部で前記開口部112を密閉する第1のPCB120、前記第1のPCB120の外側に結合するGMRセンサー130、前記第1のPCB120の内側に結合する永久磁石140を含む。
【0042】
また、前記ハウジング110の内部には、GMRセンサー130の出力信号を処理する信号処理部150が設けられ、前記信号処理部150やその他付属回路は第2のPCB160に搭載される。
【0043】
ハウジング110の外側には、電源/信号線170が引き出され、前記電源/信号線170はGMRセンサー130及び信号処理部150の動作に必要な電源を供給する電源供給ラインと信号処理部150の出力信号を外部に伝送する信号伝送ラインを含む。
【0044】
ハウジング110の外形は、設置場所により変わるものであるため、図に示すような円筒形状に限定されるものではない。
【0045】
GMRセンサー130は、周辺磁場の強さによって内蔵された抵抗素子の抵抗値が変わる特性を有し、従って入力電圧が同一であっても周辺磁場が変われば出力電圧が変わる。
【0046】
従って、GMRセンサー130の出力電圧を用いれば、磁場の強さを測定できるのでハードディスクドライブ(HDD)の記録及び再生と関連された分野でこのようなGMRセンサーが多く使用されてきた。
【0047】
本発明の実施例は、このようなGMRセンサー130を用いてシリンダー型アクチュエーターの相対変位を非接触式に測定するセンサーモジュール100を提案しているものである。
【0048】
GMRセンサー130は、第1のPCB120に搭載されたままハウジング110の開口部112を通じてハウジング110の外部に露出されるが、汚染物質から保護するためにGMRセンサー130の外側に保護カバー(図示せず)が更に設けられてもよい。
【0049】
GMRセンサー130の出力信号を処理する信号処理部150が搭載された第2のPCB160はGMRセンサー130が搭載された第1のPCB120と電気的に連結されなければならなく、このため第1のPCB120と第2のPCB160をFPCBなどを用いて連結できる。勿論他の電気的連結手段が用いられてもよい。
【0050】
GMRセンサー130は色々の形態で製造でき、図5のブロック図はその一例を示す図面である。すなわち、4個の抵抗素子(R1、R2、R3、R4)をホイートストンブリッジ形態で連結してGMRセンサー130を構成し、この時前記抵抗素子(R1、R2、R3、R4)は基板上に蒸着された金属薄膜であって、少なくとも一つは周辺磁場の強さによって抵抗値が変わる特性を有する。
【0051】
従って、GMRセンサー130の周辺で磁場が変われば、ホイートストンブリッジの抵抗釣り合いが破れながらGMRセンサー130で所定の出力電圧(Vout)が発生するようになる。
【0052】
図6は、GMRセンサー130の出力電圧(Vout)が変わる過程をピストンロッド13の動きによって示す図面である。
【0053】
先ず、永久磁石140をグルーブパターンを有するピストンロッド13に近接設けた状態で前記ピストンロッド13を移動させれば、グルーブパターンの凸部21と凹部22なので永久磁石140とピストンロッド13の間隔が周期的に変わるようになり、これにより永久磁石140とピストンロッド13の間の磁場のパターンも周期的に変わるようになる。
【0054】
従って、永久磁石140とピストンロッド13との間にGMRセンサー130を設ければ、このような磁場の変化によってGMRセンサー130に内蔵された抵抗素子の抵抗値が変わりながら出力電圧(Vout)が周期的に変動される。
【0055】
先ず、GMRセンサー130が図5のように連結された抵抗素子(R1、R2、R3、R4)を内蔵しており、図6の(a)のようにGMRセンサー130がピストンロッド13のブロック部21の上部に位置する場合には、各抵抗素子(R1、R2、R3、R4)の抵抗値が釣り合いを形成して出力電圧(Vout)がゼロと仮定する。
【0056】
続いて、図6の(b)のようにピストンロッド13が図面上右側に移動しながら永久磁石140が凹部22の上部と重畳され始めれば、磁場の変化によってGMRセンサー130の抵抗釣り合いが破れながら出力電圧(Vout)が発生し始める。
【0057】
出力電圧(Vout)は、徐々に増加してからGMRセンサー130がピストンロッド13の凹部22の上部と多く重畳されながら再び減少し、図6の(c)に示すように永久磁石140が完全に凹部22の上部に位置すれば、再び抵抗釣り合いが形成されて出力電圧(Vout)がゼロになる。
【0058】
ピストンロッド13が図面上右側に移動し続けて永久磁石140が図6の(d)のように再び凸部21の上部と重畳され始めれば、再びGMRセンサー130の抵抗釣り合いが破れながら出力電圧(Vout)が発生し始めるが、この場合に出力電圧は図6の(a)とは反対の極性を有するようになる。
【0059】
結局、凸部21及び凹部22のグルーブパターンを有するピストンロッド13が永久磁石140について移動する間にGMRセンサー130は正弦波形態の出力電圧(Vout)を連続的に発生するようになる。
【0060】
信号処理部150は、図7の回路ブロック図に示すように信号増幅部152とデジタル変換部154で構成される。
【0061】
信号増幅部152はGMRセンサー130の出力電圧(Vout)を増幅させる役割を果たし、例えば図7の回路ではR7/R4、すなわち200倍で増幅された出力電圧(Vout)を得ることができる。
【0062】
デジタル変換部154は、信号増幅部152で増幅された信号を矩形波に変換させる役割を果たす。
【0063】
デジタル変換部154で出力される矩形波の周波数、パルス幅、オフセットデータなどはアクチュエーターの動作を制御する制御モジュール(図示せず)に伝送され、制御モジュールはこのようなデータを用いてピストンロッド13の移動速度や移動距離を判断し、必要な制御信号を送り出してダンパー10の減衰力をフィードバック制御する。
【0064】
一方、前述した方式のGMRセンサー130を使用すれば、ピストンロッド13の移動を感知できるが、移動方向を判別しにくい問題点がある。
【0065】
すなわち、図6の(b)のようにGMRセンサー130の出力電圧(Vout)が最高値である状態で出力電圧(Vout)がゼロになる場合に図6の(a)の位置にあることであるか、或いは図6の(c)の位置にあることであるか有無を判断しにくい。
【0066】
これを解決するために、本発明の実施例では一つの半導体チップに2個のセンサーが含まれたGMRセンサー130を用いてピストンロッド13の移動方向を感知する。すなわち、図8に示すようにそれぞれホイートストンブリッジを構成する4個の抵抗素子から成る第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)を含んで一つのGMRセンサー130を構成する。
【0067】
この時、第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)を同一な位置に形成せず第1のサブセンサー(130a)の先端部と第2のサブセンサー(130b)の先端部がピストンロッド13の移動方向に沿って所定間隔離隔されるように形成すれば、第1のサブセンサー(130a)と第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が発生する時点が変わるのでこれを用いて対象物体の移動方向を確認できる。
【0068】
すなわち、図8でピストンロッド13が図面上右側に移動すれば、GMRセンサー130の下部に凹部22が近接しながら第1のサブセンサー(130a)が第2のサブセンサー(130b)より先に凹部22の上部に位置するようになる。
【0069】
従って、磁場の変化によって第1のサブセンサー(130a)で先ず出力電圧が発生し、所定時間後に第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が発生するようになる。
【0070】
この場合、信号処理部150の出力信号は、図9Aに図示すように示され、これにより第1のサブセンサー(130a)の出力信号(Vout1)が第2のサブセンサー(130b)の出力信号(Vout2)に比べて時間的に先立つことが分かる。
【0071】
もしピストンロッド13が図面上左側に移動すれば、第2のサブセンサー(130b)で出力電圧が先ず発生し、所定時間後に第1のサブセンサー(130a)で出力電圧が発生する。
【0072】
この場合、信号処理部150の出力信号を調べれば、図9Bに示すように第2のサブセンサー(130b)の出力信号(Vout2)が第1のサブセンサー(130a)の出力信号(Vout1)に比べて時間的に先立つ。
【0073】
結局、第1のサブセンサー(130a)の出力信号と第2のサブセンサー(130b)の出力信号の発生順序を用いてピストンロッド13の移動方向が分かる。
【0074】
図10は、2個のサブセンサーを内蔵するGMRセンサー130と信号処理部150の連結構成を示す回路ブロック図である。
【0075】
GMRセンサー130は、各サブセンサー毎に独立された出力端子の出力信号(Vout1、Vout2)を備え、信号処理部150はGMRセンサー130の各出力端子の出力信号(Vout1、Vout2)を独立的に処理した後矩形波に出力する。
【0076】
前述した構成を有するセンサーモジュール100はピストンロッド13の凸部21と凹部22のピッチを調節することによって解像度を調節でき、実際車両用ダンパー10に装着する場合には直径12mm、長さ25mm程度の小型に製作することが可能である。
【0077】
また、理論上では凸部21と凹部22の間のピッチが10マイクロメートルである場合にもピストンロッド13の動きを感知できるのでダンパー10の減衰力を非常に精密に制御できる。
【0078】
一方、ピストンロッド13は鉄を主成分とするので耐食性を高めるために表面に鍍金層を形成することが好ましい。この時、グルーブパターン20の凹部を全て埋めることができる程度の十分な厚さで鍍金層を形成した後に研磨を通じてピストンロッド13の表面を滑らかなように加工することが好ましい。
【0079】
ところで、ピストンロッド13にこのように鍍金層を形成してもセンサーモジュール100が鍍金層の下部に位置する凹部21と凸部22の移動を感知できなければならないことは勿論である。
【0080】
従って、センサーモジュール100で発生した磁場に殆ど影響を及ぼさないクロム(Cr)などの非磁性物質で鍍金層を形成することが好ましい。
【0081】
一方、以上では磁気粘性流体を用いるダンパー10を例えば本発明の実施例として説明したが、異なる種類の電子制御式ダンパーでも前述したセンサーモジュール100を直接結合してその感知結果をフィードバックして減衰力を制御できるものは当然である。
【0082】
また、以上では車両用ダンパーについて説明したが、本発明の実施例が車両用ダンパーについて限定されるものではないため航空機などのランディングギアに使用されるダンパーにも適用でき、掘削機などの建設機器や産業機器又は工場自動化機器のダンパーにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例によってセンサーモジュールが設けられたダンパーの部分切開斜視図である。
【図2】MRダンパーの作動原理を示す図面である。
【図3】センサーモジュールが結合されるロッドガイドの部分切開斜視図である。
【図4A】本発明の実施例に用いられるセンサーモジュールの斜視図である。
【図4B】本発明の実施例に用いられるセンサーモジュールの部分切開斜視図である。
【図5】GMRセンサーの概念図である。
【図6】GMRセンサーが対象物体の動きを感知する原理を順序通り示す図面である。
【図7】信号処理部の回路ブロック図である。
【図8】2個のサブセンサーを内蔵したGMRセンサーが対象物体を感知する姿を示す図面である。
【図9A】対象物体の移動方向に沿って2個のサブセンサーの出力信号が時差を有する姿を示す図面である。
【図9B】対象物体の移動方向に沿って2個のサブセンサーの出力信号が時差を有する姿を示す図面である。
【図10】2個のサブセンサーを内蔵するGMRセンサーと信号処理部の連結構成を示す回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
10:ダンパー
11:シリンダー
12:ピストンバルブ
13:ピストンロッド
14:ロッドガイド
15:貫通孔
100:センサーモジュール
110:ハウジング
112:開口部
120:第1のPCB
130:GMRセンサー
140:永久磁石
150:信号処理部
152:信号増幅部
154:デジタル変換部
160:第2のPCB
170:電源/信号線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空部を有するシリンダー;
前記シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド;
前記ピストンロッドの端部に連結されて前記シリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ;
前記シリンダーの上端を密閉しながら前記ピストンロッドの直線運動をガイドするロッドガイド;
前記ロッドガイドに結合し、前記ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いて前記ピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール;
とを含むことを特徴とするダンパー。
【請求項2】
前記ピストンロッドの前記グルーブパターンは、前記ピストンロッドの移動方向について実質的に垂直方向に形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項3】
前記ピストンロッドの表面には前記グルーブパターンを平坦にカバーするために非磁性物質で鍍金層が形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項4】
前記シリンダーの内部には、磁気粘性流体が充填され、前記ピストンバルブの内部には前記流体通過孔を通じた前記磁気粘性流体の流動を制御するためのソレノイドコイルが設けられることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項5】
前記ロッドガイドの側部には、前記センサーモジュールを結合するための貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項6】
前記センサーモジュールは、
磁場を発生させる磁石;
前記磁石と前記ピストンロッドとの間に位置し、磁場の変化を感知して電気的信号を出力する巨大磁気抵抗(GMR)センサー;
前記巨大磁気抵抗センサーの出力信号を処理して矩形波を出力する信号処理部;
前記磁石、前記巨大磁気抵抗センサー;及び
前記信号処理部を支持するハウジング;
とを含むことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項7】
前記GMRセンサーは、第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の直列連結対と第3の抵抗素子及び第4の抵抗素子の直列連結対が互いに並列に連結される構造を有し、
前記電気的信号は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の間の第1のノードと前記第3の抵抗素子及び前記第4の抵抗素子の間の第2のノードの間で磁場の変化に応じて発生する出力電圧であることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項8】
前記GMRセンサーは、それぞれ磁場の変化を感知して電気的信号を出力する第1のサブセンサー及び第2のサブセンサーを備え、
前記第1のサブセンサーの先端部と前記第2のサブセンサーの先端部は前記ピストンロッドの移動方向に沿って離隔されており、前記ピストンロッドが移動すれば、前記第1のサブセンサーの出力信号と前記第2のサブセンサーの出力信号が時差を置いて生成されることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項9】
前記信号処理部は、
前記GMRセンサーの出力信号を増幅する信号増幅部;
前記信号増幅部で増幅された信号を矩形波に変換して外部に伝送するデジタル変換部;
とを含むことを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項10】
前記ハウジングは、一端に開口部を備え、前記GMRセンサーは前記開口部を密閉するPCB基板の外側に搭載されることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項11】
前記GMRセンサーの外側には保護カバーが設けられることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【請求項12】
前記磁石は、前記PCB基板の内側に固定される永久磁石であることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【請求項13】
前記ハウジングの内側には、前記信号処理部と付属回路を搭載する第2のPCB基板が設けられ、前記PCB基板と前記第2のPCB基板はFPCBを通じて電気的に連結されることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【請求項1】
内部に中空部を有するシリンダー;
前記シリンダーの上部から挿入され、表面に多数の凹部と多数の凸部が交代に形成されたグルーブパターンを有するピストンロッド;
前記ピストンロッドの端部に連結されて前記シリンダーの内部で往復運動を行い、上下に貫通された流体通過孔を有するピストンバルブ;
前記シリンダーの上端を密閉しながら前記ピストンロッドの直線運動をガイドするロッドガイド;
前記ロッドガイドに結合し、前記ピストンロッドが移動するとき発生する磁場の変化を用いて前記ピストンロッドの動きを非接触式に感知するセンサーモジュール;
とを含むことを特徴とするダンパー。
【請求項2】
前記ピストンロッドの前記グルーブパターンは、前記ピストンロッドの移動方向について実質的に垂直方向に形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項3】
前記ピストンロッドの表面には前記グルーブパターンを平坦にカバーするために非磁性物質で鍍金層が形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項4】
前記シリンダーの内部には、磁気粘性流体が充填され、前記ピストンバルブの内部には前記流体通過孔を通じた前記磁気粘性流体の流動を制御するためのソレノイドコイルが設けられることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項5】
前記ロッドガイドの側部には、前記センサーモジュールを結合するための貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項6】
前記センサーモジュールは、
磁場を発生させる磁石;
前記磁石と前記ピストンロッドとの間に位置し、磁場の変化を感知して電気的信号を出力する巨大磁気抵抗(GMR)センサー;
前記巨大磁気抵抗センサーの出力信号を処理して矩形波を出力する信号処理部;
前記磁石、前記巨大磁気抵抗センサー;及び
前記信号処理部を支持するハウジング;
とを含むことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
【請求項7】
前記GMRセンサーは、第1の抵抗素子及び第2の抵抗素子の直列連結対と第3の抵抗素子及び第4の抵抗素子の直列連結対が互いに並列に連結される構造を有し、
前記電気的信号は、前記第1の抵抗素子及び前記第2の抵抗素子の間の第1のノードと前記第3の抵抗素子及び前記第4の抵抗素子の間の第2のノードの間で磁場の変化に応じて発生する出力電圧であることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項8】
前記GMRセンサーは、それぞれ磁場の変化を感知して電気的信号を出力する第1のサブセンサー及び第2のサブセンサーを備え、
前記第1のサブセンサーの先端部と前記第2のサブセンサーの先端部は前記ピストンロッドの移動方向に沿って離隔されており、前記ピストンロッドが移動すれば、前記第1のサブセンサーの出力信号と前記第2のサブセンサーの出力信号が時差を置いて生成されることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項9】
前記信号処理部は、
前記GMRセンサーの出力信号を増幅する信号増幅部;
前記信号増幅部で増幅された信号を矩形波に変換して外部に伝送するデジタル変換部;
とを含むことを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項10】
前記ハウジングは、一端に開口部を備え、前記GMRセンサーは前記開口部を密閉するPCB基板の外側に搭載されることを特徴とする請求項6に記載のダンパー。
【請求項11】
前記GMRセンサーの外側には保護カバーが設けられることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【請求項12】
前記磁石は、前記PCB基板の内側に固定される永久磁石であることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【請求項13】
前記ハウジングの内側には、前記信号処理部と付属回路を搭載する第2のPCB基板が設けられ、前記PCB基板と前記第2のPCB基板はFPCBを通じて電気的に連結されることを特徴とする請求項10に記載のダンパー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2008−275137(P2008−275137A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132562(P2007−132562)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(507164032)エス アンド ティー デウ コー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(507164032)エス アンド ティー デウ コー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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