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相溶性が向上した熱可塑性樹脂組成物
説明

相溶性が向上した熱可塑性樹脂組成物

【課題】相溶性が向上し、難燃性及び耐スクラッチ性に優れた、熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリカーボネート樹脂約20重量%以上〜約100重量%未満と、(B)分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂約0超〜約80重量%以下と、(C)難燃剤(A)+(B)を含むベース樹脂100重量部に対して約1〜約50重量部と、を含んでなる難燃性熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相溶性が向上した熱可塑性樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、ポリカーボネート樹脂に分岐型アクリル系共重合体樹脂及び難燃剤を添加することによって相溶性が改善された難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱可塑性樹脂は、ガラスや金属に比べて比重が低く、かつ成形性及び耐衝撃性のような物理的特性に優れる。しかしながら、表面での耐スクラッチ性に劣るという欠点を有する。
【0003】
特に、ポリカーボネート樹脂は、機械的強度、難燃性、透明性及び耐候性にも優れているのみならず、耐衝撃性、熱安定性、自己消火性、及び寸法安定性などに優れており、電気電子製品、自動車部品に広範囲に用いられている。さらに、エンジニアプラスチックとしてのポリカーボネート樹脂は、透明性と耐衝撃性とが同時に求められる従来のガラスを代替することができるが、耐スクラッチ性が脆弱であるという短所もある。
【0004】
一方、ポリメチルメタクリレート樹脂は、透明性、耐候性、機械的強度、表面光沢、接着力に優れ、耐スクラッチ性に非常に優れているが、耐衝撃性及び難燃性を得ることが難しいという短所がある。
【0005】
プラスチック製品の耐スクラッチ性を向上させるために、射出成形された樹脂の表面を有機−無機ハイブリッド物質でコートし、熱又は紫外線を用いて樹脂の表面上で有機−無機ハイブリッド物質を硬化させる段階を含むハードコート法が従来用いられてきた。しかしながら、このようなハードコーティング法を用いる場合、ハードコーティング法は追加のコーティング工程が必要であるので、処理時間および製造コストが増加し、環境問題をもたらす。近年、環境保護及び製造コストの削減に対する関心が増大するにつれ、ハードコーティング法を用いることなしに耐スクラッチ性を発現することができる無塗装樹脂への要求が増えている。また、耐スクラッチ性に優れた樹脂の開発は、外装材産業において重要である。
【0006】
熱可塑性樹脂の耐スクラッチ性を向上させる一つの試みは、耐スクラッチ性に優れたポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂をポリカーボネート樹脂に混合することである。しかしながら、この方法は、ポリカーボネートとアクリル系樹脂間の屈折率の差によって高透明性及び着色性を発現し難いという問題点がある。
【0007】
韓国特開2004−0079118号には、ポリカーボネート樹脂とメタクリレート系樹脂との相溶性を改善するために、金属ステアリン酸エステルを用いて混練工程中にポリカーボネートの分子量を低下させる方法が開示されている。しかしながら、上記のような方法は、ポリカーボネート及びメタクリレート系樹脂の混合により機械的物性が著しく低下するという短所を有している。
【0008】
米国特許4,287,315号では、エチレン−ビニルアセテートゴムを適用して衝撃強度が良好なメタクリレート系樹脂が開示されているが、ポリカーボネートとメタクリレート系樹脂とのブレンドにより透明性が低下する。
【0009】
したがって、本発明者らは、2つの樹脂の相溶性を改善させ、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリル系樹脂との間の屈折率の差を減少させるため、ポリカーボネート樹脂と(メタ)アクリル系樹脂との混合に屈折率の高い分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂及び難燃剤を添加することによって、難燃性及び耐スクラッチ性が向上した高透明及び高着色熱可塑性樹脂組成物を開発するに至った。
【発明の概要】
【0010】
技術的課題
本発明の目的は、相溶性が向上し、難燃性及び耐スクラッチ性に優れた、熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、透明性及び着色性の低下を最小化しながら耐スクラッチ性に優れた難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、良好な耐スクラッチ性、高着色及び高透明によって、各種電気電子部品又は自動車部品、レンズ、ガラス窓などに適用されることができる難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記難燃性熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品を提供することである。
【0014】
本発明の他の形態、特徴および利点は、下記の開示および添付の特許請求の範囲から明白であろう。
【0015】
技術的解決方法
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂 約20重量%以上〜約100重量%未満と;(B)分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂 約0超〜約80重量%以下と;(C)難燃剤 (A)+(B)を含むベース樹脂100重量部に対して約1〜50重量部と、を含んでなる。
【0016】
本発明の一実施形態では、前記熱可塑性樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂 約40〜約90重量%と;(B)分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂 約10〜約60重量%と;(C)難燃剤 (A)+(B)を含むベース樹脂100重量部に対して約10〜約30重量部と、を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、重量平均分子量が約100,000〜約3,500,000の値を有する。他の実施形態では、メタクリル系共重合体樹脂(B)は、重量平均分子量が約500,000〜約3,000,000の値を有することができる。他の実施形態では、メタクリル系共重合体樹脂(B)は、重量平均分子量が約1,000,000〜2,500,000の値を有することができる。
【0018】
さらに、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、屈折率が約1.495〜約1.575でありうる。一実施形態では、屈折率が約1.50〜約1.575であり、約1.51〜約1.575でありうる。
【0019】
分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)としては、(b1)芳香族又は脂肪族メタクリレート及び(b3)分岐誘導性単量体の共重合体又はこれら共重合体の混合物を用いることができる。一実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、さらに単官能性不飽和単量体を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、(b1)芳香族又は脂肪族メタクリレート約5〜約99.999重量%と、(b2)単官能性不飽和単量体約0〜約85重量%と、分岐誘導性単量体約0.001〜約10重量%と、の共重合体又はこれら共重合体の混合物である。
【0021】
難燃剤(C)としては、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、またはこれらの混合物が挙げられる。本発明の実施形態では、難燃剤としては、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファゼン及びこれらの金属塩を含むリン系難燃剤;デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−エポキシオリゴマー、オクタブロモトリメチルフェニルホスフェート、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリス(トリブロモフェノール)トリアジン、臭化ポリスチレンを含むハロゲン系難燃剤;又はこれらの混合物などを用いることができる。
【0022】
本発明の他の実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は、(D)(メタ)アクリル系樹脂を約0超〜80重量%未満の範囲でさらに含むことができる。一実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は、(D)(メタ)アクリル系樹脂を約10〜約30重量%の範囲でさらに含むことができる。他の実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は、(D)(メタ)アクリル系樹脂を約30〜約60重量%の範囲でさらに含むことができる。(メタ)アクリル系樹脂(D)は、線状構造でありうる。
【0023】
一実施形態では、(メタ)アクリル系樹脂(D)は、1種以上の(メタ)アクリル系単量体の重合体、共重合体又はこれらの混合物である。
【0024】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、難燃補助剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、染料、無機充填剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃改質剤、着色剤、安定剤、滑剤、静電気防止剤、顔料、難燃剤及びこれらの混合物からなる群から選択された添加剤をさらに含むことができる。
【0025】
一実施形態では、本発明の難燃熱可塑性樹脂組成物は、複素粘度(complex viscosity)(η*)が240℃、約0.1rad/sの条件で、約1,000〜約10,000Pasの範囲である。他の実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は、複素粘度(complex viscosity)(η*)が240℃、約0.1rad/sの条件で、約1,000〜約5,000Pasの範囲である。他の実施形態では、複素粘度は、約5,500〜約10,000Pasの範囲でありうる。また、240℃でη*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約3.0〜約100.0の範囲を有する。一実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約3.5〜30.0である。他の実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約30.0〜約75.0でありうる。他の実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約75.0〜約100.0でありうる。
【0026】
本発明は、前記難燃性熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品を提供する。
【0027】
以下、本発明は、下記の本発明の詳細な説明においてより十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1(a)は実施例2で製造された試料のスクラッチプロファイルであり、(b)は比較例3で製造された試料のスクラッチプロファイルである。
【図2】図2(a)は実施例2で製造された試料の透過電子顕微鏡(TEM)写真であり、(b)は比較例1で製造された試料の透過電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図3】図3は、実施例2で製造された試料の粘度挙動を比較例1で製造された試料の粘度挙動と比べたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最良の形態
(A)ポリカーボネート樹脂
本発明のポリカーボネート樹脂は、当業者に公知の従来のいかなる方法によっても準備することができ、つまり、ポリカーボネート樹脂は、触媒及び分子量調節剤の存在下で、二価フェノール系化合物とホスゲンとを反応させて製造することができる。また、ポリカーボネート樹脂は、二価フェノール系化合物及びジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体のエステル交換を利用して製造することができる。
【0030】
二価フェノール系化合物としては、ビスフェノール系化合物、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いることができる。ビスフェノールAは部分的又は全体的に他種の二価フェノールに変わっても良い。ビスフェノールAのほか、二価フェノールの例としては、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどが挙げられ、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェノールなども挙げられる。
【0031】
しかしながら、ポリカーボネート樹脂を製造するのに用いられる二価フェノール化合物は、上記化合物に制限されるものではない。
【0032】
さらに、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、単一重合体や、2種以上の二価フェノールの共重合体又はこれらの混合物を用いることができる。
【0033】
本発明のポリカーボネート樹脂の例としては、限定されるものではないが、線状ポリカーボネート樹脂、分岐型ポリカーボネート樹脂又はポリエステルカーボネート共重合体樹脂等が挙げられる。
【0034】
線状ポリカーボネート樹脂としては、限定されるものではないが、ビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂を用いることができる。分岐型ポリカーボネート樹脂は、トリメリット酸無水物、トリメリット酸等の多官能性芳香族化合物を二価フェノール系化合物及びカーボネート前駆体と反応させて製造することができる。ポリエステルカーボネート共重合体樹脂は、限定されるものではないが、二官能性カルボン酸を二価フェノール系化合物及びカーボネート前駆体と反応させて製造することもできる。線状ポリカーボネート樹脂、分岐型ポリカーボネート樹脂及びポリエステルカーボネート共重合体樹脂は、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0035】
本発明の一実施形態では、ポリカーボネート系樹脂は、約10,000〜約200,000g/mol、好ましくは約15,000〜約80,000g/mol又は約20,000〜約50,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0036】
本発明でポリカーボネート樹脂は、約20重量%以上〜約100重量%未満で用いられ、好ましくは約40〜約90重量%でありうる。もし、約20重量%未満の範囲で用いる場合、ポリカーボネート樹脂の優れた機械的特性が発現され難い。スクラッチ耐性を得るためには、約45〜約80重量%であることが好ましい。一実施形態では、ポリカーボネート樹脂は、約55〜約85重量%で用いることができる。本発明の他の実施形態では、ポリカーボネート樹脂は、約75〜約90重量%で用いることができる。本発明の他の実施形態では、ポリカーボネート樹脂は、約50〜約70重量%で用いることができる。
【0037】
(B)分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂
本発明の分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、(b1)芳香族又は脂肪族メタクリレート及び(b3)分岐誘導性単量体の共重合体、あるいはこれら共重合体の混合物である。分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、部分架橋を持つ分岐型構造を有する。一実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、さらに(b2)単官能性不飽和単量体を含むことができる。
【0038】
本発明の一実施形態では、本発明の分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、(b1)芳香族又は脂肪族メタクリレート約5〜約99.999重量%、(b2)単官能性不飽和単量体約0〜約85重量%及び(b3)分岐誘導性単量体約0.001〜約10重量%を含む単量体混合物を重合することによって製造することができる。
【0039】
芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)は、炭素数6〜20の炭化水素基を有し、下記化学式1又は2によって示されうる。
【0040】
【化1】

【0041】
(式1で、mは0〜10の整数であり、Xはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、プロピルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基及びベンジルフェニル基からなる群から選択される。)
【0042】
【化2】

【0043】
(式2で、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)又は硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基及びベンジルフェニル基からなる群から選択される。)
芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)の例としては、限定されるものではないが、シクロへキシルメタクリレート、フェノキシメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−エチルチオフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、2−(2−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロへキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、及び2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレートなどがある。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)は、単量体混合物全量の約5〜約99.999重量%、好ましくは約20〜約99重量%、より好ましくは約45〜約90重量%で用いられる。芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)が約5重量%未満の場合は、重合された(メタ)アクリル系共重合体の平均屈折率が1.495未満に下がる場合がある。
【0045】
単官能性不飽和単量体(b2)としては、限定されるものではないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、へキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレートを含むメタクリル酸エステル単量体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレートを含むアクリル酸エステル単量体類;アクリル酸及びメタクリル酸を含む不飽和カルボン酸単量体類;無水マレイン酸を含む酸無水物単量体類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、及びモノグリセロールアクリレートを含むヒドロキシ基含有エステル単量体類;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂は、任意で単官能性不飽和単量体(b2)を含む。単官能性不飽和単量体(b2)は、全体単量体混合物のうち約85重量%以下、好ましくは約1〜約70重量%、より好ましくは約10〜約60重量%の範囲で用いられる。
【0047】
分岐誘導性単量体(b3)の例としては、限定されるものではないが、ビニル系官能基を有するシリコン含有分岐誘導性単量体、エステル含有分岐誘導性単量体、芳香族分岐誘導性単量体などを用いることができる。これらの単量体は、単独で又は2種以上の混合物を用いることができる。分岐誘導性単量体の官能基の数は、1〜4でありうる。このような官能性基を有する分岐誘導性単量体を用いることによって部分架橋された超高分子量の分岐型共重合体を製造することができる。
【0048】
分岐誘導性単量体(b3)の例としては、シラン又はシロキサン化合物、架橋性芳香族単量体、ビニル基含有単量体、アリル化合物、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどがある。
【0049】
分岐誘導性単量体(b3)の具体例としては、ジビニルテトラメチルジシロキサン、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等の不飽和炭化水素基含有シリコン系架橋性単量体を含むシラン又はシロキサン化合物;ジビニルベンゼンを含む架橋性芳香族単量体;1,4−ジビニルオキシブタン、及びジビニルスルホンを含むビニル基含有単量体;ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、トリアリル(イソ)シアヌレート、及びトリアリルトリメリテートを含むアリル化合物;ならびに1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレートを含む(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0050】
分岐誘導性単量体(b3)は、約0.001〜約10重量%、好ましくは約0.01〜約7重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%で用いることができる。その含量が約0.001重量%未満の場合は、超高分子量の分岐型構造を形成し難い場合があり、約10重量%超の場合は、加工性及びポリカーボネート樹脂との相溶性を減少させる場合がある。
【0051】
本発明の分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合のような従来の方法によって製造することができる。
【0052】
本発明の分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、通常のアクリル系共重合体に比べて高い屈折率を有する。通常のポリカーボネートは約1.590の屈折率を有し、ポリメチルメタクリレートは約1.490の屈折率を有する。本発明の分岐型アクリル系共重合体樹脂はその間の屈折率、すなわち、約1.495〜約1.575の屈折率を有する。本発明の実施形態では、屈折率が約1.50〜約1.575であり、約1.51〜約1.575でありうる。
【0053】
また、本発明の分岐型(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、約100,000〜約3,500,000の範囲を有する。一実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量が約500,000〜約3,000,000の値を有することができる。本発明の他の実施形態では、分岐型(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量が約1,000,000〜約2,500,000の値を有することができる。
【0054】
分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、約0超〜約80重量%以下、好ましくは約5〜約70重量%、より好ましくは約10〜約50重量%、最も好ましくは約10〜約40重量%で用いることができる。分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)を約80重量%を超過して用いる場合、機械的物性や成形性が低下する場合がある。
【0055】
(C)難燃剤
本発明の難燃剤としては、本分野で用いられる通常の難燃剤を用いることができ、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、および無機難燃剤のうちから選択される少なくとも一でありうるが、必ずしもこれらに制限されるものではない。
【0056】
一実施形態では、難燃剤はリン系難燃剤である。リン系難燃剤の例としては、限定されるものではないが、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファゼン、これらの金属塩などが挙げられる。
【0057】
リン系難燃剤のうち代表的な化合物は、リン酸エステル化合物又はホスフェートであり、下記化学式3のように示される。
【0058】
【化3】

【0059】
(この際、R、R、R、及びRは、独立してC〜C20のアリール基又はC〜C10のアルキル置換アリール基であり;Rはレゾルシノール、ヒドロキノール、ビスフェノール−A、ビスフェノール−S等の誘導体であり;nは約0〜5の値を有する。一実施形態では、nは約1〜5である)。
【0060】
芳香族リン酸エステル系化合物は、単独で用いてもよいし、又は他のリン系難燃剤と組み合わせて用いてもよく、ベース樹脂100重量部に対して約1〜50重量部、好ましくは約5〜約40重量部、より好ましくは約7〜約35重量部の範囲で用いることができる。
【0061】
他の実施形態では、難燃剤は、ハロゲン系難燃剤である。ハロゲン系難燃剤の例としては、限定されるものではないが、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−エポキシオリゴマー、オクタブロモトリメチルフェニルホスフェート、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリス(トリブロモフェノール)トリアジン、臭化ポリスチレン等が挙げられる。一実施形態では、通常の加工温度で溶融できるハロゲン系化合物、例えば、約250℃以下で融点又は軟化点を有するハロゲン系化合物が好ましい。ハロゲン系化合物が適用される場合、用途に応じて三酸化アンチモン及び五酸化アンチモン等の無機化合物も適用が可能である。
【0062】
ハロゲン系化合物は、単独で用いてもよいし、あるいは他のハロゲン系化合物又は無機化合物と組み合わせて用いてもよく、ベース樹脂100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは約10〜約40重量部の範囲で用いることができる。
【0063】
(D)(メタ)アクリル系樹脂
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、選択的に(メタ)アクリル系樹脂(D)をさらに含むことができる。(メタ)アクリル系樹脂は1種以上の(メタ)アクリル系単量体の重合体、又は共重合体あるいはこれらの混合物である。また、(メタ)アクリル系樹脂は、線状構造を有することができる。
【0064】
(メタ)アクリル系単量体の例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、へキシルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、フェノキシメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルへキシルメタクリレートなどがあり、必ずしもこれらに制限されるものではない。これらの(メタ)アクリル系単量体は、単独で又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0065】
(メタ)アクリル系樹脂(D)は、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合のような従来の方法によって製造することができ、当業者によって容易に実施されることができる。
【0066】
さらに、(メタ)アクリル系樹脂(D)は、(メタ)アクリル系単量体の単一重合体又は共重合体、あるいはこれらの混合物でありうる。
【0067】
(メタ)アクリル系樹脂(D)は、約80重量%未満、好ましくは約5〜約70重量%、より好ましくは約10〜約50重量%、最も好ましくは約10〜約40重量%で用いられる。(メタ)アクリル系樹脂(D)を約80重量%超過して用いる場合、優れた機械的特性が発現され難い。
【0068】
一般に、ポリカーボネート樹脂を(メタ)アクリル系樹脂と混合する際、約20〜80:約80〜20の重量比において、相溶性の低下による低い着色性及び外観の問題が発生し、したがって、上記重量比の組成における相溶性の改善が重要である。
【0069】
分岐構造を有する重合体粒子(B)が、ポリカーボネート樹脂(A)及び(メタ)アクリル系樹脂(D)間の相分離を妨げる。さらに、溶融状態では粘度減少により相分離が最小化し、これらの異種樹脂間の相溶性を改善することができるのである。
【0070】
さらに、高屈折率を有するメタクリル系共重合体樹脂(B)及び(メタ)アクリル系樹脂(D)の混合物をポリカーボネート樹脂と混合すると、メタクリル系共重合体樹脂(B)の増加した屈折率によって、(メタ)アクリル系樹脂(D)の屈折率及びポリカーボネートの屈折率の差を減少させる。したがって、(メタ)アクリル系樹脂及びポリカーボネート樹脂の既存の混合物において2つの樹脂の屈折率の差によって通常発生する透明性及び着色性の低下を阻害することによって、相溶性及び透明性を向上させることができる。また、既存のポリカーボネート樹脂の耐スクラッチ性を向上させることによって高透明及び高着色樹脂の製造を可能にする。
【0071】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物はまた、複素粘度(complex viscosity)を低くして相溶性が改善されうる。本発明の一実施形態では、熱可塑性樹脂組成物の複素粘度(η*)は、240℃、0.1rad/sの条件で約1,000〜約10,000Pasの範囲に含まれることができる。他の実施形態では、熱可塑性樹脂組成物は、複素粘度(η*)が、240℃、0.1rad/sの条件で約1,000〜約5,000Pasの範囲でありうる。他の実施形態では、複素粘度は、約5,500〜約10,000Pasの範囲でありうる。また、240℃で、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比は、約3.0〜約100.0の範囲に含まれる。複素粘度が上記の範囲を外れる場合、相分離によって相溶性が低下する場合がある。一実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約3.5〜約30.0である。他の実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約30.0〜約75.0でありうる。他の実施形態では、η*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約75.0〜約100.0でありうる。
【0072】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、各用途に応じて選択的に添加剤をさらに含むことができる。この添加剤としては、難燃補助剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、顔料、無機充填剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃改質剤、着色剤、安定剤、滑剤、静電気防止剤、染料及び難燃剤などがある。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0073】
本発明では、前記難燃性熱可塑性樹脂組成物から製造された成形品を提供する。成形品は、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH2000によって測定された全光線透過率が約5〜約50%であり、ASTM D1238にしたがって測定された溶融流れ指数(Meltflow Index)が約10〜約80g/10分であり、厚さ2.5mmのUL94にしたがって測定された難燃性がV−0であり、ボール型スクラッチプロファイルテスト(BSP test)によるスクラッチ幅(width)が約240〜約320μmの値を有することができる。
【0074】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、従来の方法で製造することができる。例えば、前述の構成成分とその他の添加剤とを同時にミキサーで混合し、混合物を従来の押出器内でペレット状に溶融押出し、次いで樹脂ペレットを射出及び押出によってプラスチック成形品を製造するために用いることができる。
【0075】
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、耐スクラッチ性、着色性及び透明性に優れているので、熱可塑性樹脂組成物は、電気電子製品の外装材部品、自動車部品、レンズ、ガラス窓などの様々な成形品に成形することができる。
【0076】
本発明の一実施形態では、耐スクラッチ性熱可塑性樹脂組成物は、テレビ、オーディオセット、洗濯機、カセットプレーヤー、MP3プレイヤー、電話機、ゲーム機、ビデオプレーヤー、コンピュータ及びコピー機等の電気電子製品のハウジングに用いる。
【0077】
一実施形態では、耐スクラッチ性熱可塑性樹脂組成物は、ダッシュボードパネル、インストルメントパネル、ドアパネル、クォーターパネル、ホイールカバー等の自動車内装材及び外装材に適用することができる。
【0078】
成形方法としては、限定されるものではないが、押出、射出又はキャスティング成形などがあり、当業者によって容易に実施されることができる。
【0079】
本発明は、下記実施例によってさらによく理解されることができ、下記実施例は本発明の例示目的のためのものであり、添付された特許請求の範囲によって規定される本発明の保護範囲を制限しようとするのではない。
【実施例】
【0080】
(A)ポリカーボネート樹脂
日本の帝人化成株式会社製の、重量平均分子量が25,000(Mw)であるビスフェノール−A型線状ポリカーボネート樹脂(商品名:PANLITE L−1250WP)を用いた。
【0081】
(B)分岐型アクリル系共重合体樹脂
(B1)分岐型アクリル系共重合体樹脂−1
分岐型共重合体樹脂は、メチルメタクリレート単量体57重量部、屈折率が1.57のフェノキシエチルメタクリレート40重量部及びジビニルテトラメチルジシロキサン3重量部を通常の懸濁重合することによって製造した。得られた共重合体は、屈折率が1.51であり、重量平均分子量が2,000,000g/molである。
【0082】
(B2)分岐型アクリル系共重合体樹脂−2
分岐型共重合体樹脂は、メチルメタクリレート単量体27重量部、屈折率が1.57のフェノキシエチルメタクリレート70重量部及びジビニルテトラメチルジシロキサン3重量部を通常の懸濁重合することによって製造した。得られた共重合体は、屈折率が1.53であり、重量平均分子量が2,000,000g/molである。
【0083】
(B3)分岐型アクリル系共重合体樹脂−3
分岐型共重合体樹脂は、メチルメタクリレート単量体47重量部、フェノキシエチルメタクリレート50重量部及びジビニルテトラメチルジシロキサン3重量部を通常の懸濁重合することによって製造した。得られた共重合体は、屈折率が1.530、重量平均分子量が2,000,000g/molである。
【0084】
(B4)分岐型アクリル系共重合体樹脂−4
分岐型共重合体樹脂は、メチルメタクリレート単量体17重量部、フェノキシエチルメタクリレート40重量部、シクロへキシルメタクリレート40重量部及びジビニルテトラメチルジシロキサン3重量部を通常の懸濁重合することによって製造した。得られた共重合体は、屈折率1.530、重量平均分子量2,000,000g/molである。
【0085】
(C)難燃剤
日本の大八化学工業株式会社製のビスフェノール−Aジホスフェート(商品名:CR−741)を用いた。
【0086】
(D)(メタ)アクリル系樹脂
韓国のLG MMA社製の、重量平均分子量が92,000(Mw)のポリメチルメタクリレート樹脂(商品名:L84)を用いた。
【0087】
実施例1〜6及び比較例1〜3
表1に記載されたような構成成分及びMBS系衝撃改質剤を従来のミキサーに添加し、混合物を従来の二軸押出機(L/D=29、Φ=45mm)を用いて押出して生成物をペレット型に製造した。製造されたペレットは80℃で6時間乾燥し、6Ozの射出成形器で試験片に成形した。
【0088】
相溶性及び透明度は、フローマーク(Flow mark)、透明度、色相、及び透過率を測定することによって評価した。試験片上に現れるフローマーク、透明度及び色相は肉眼で評価した。改善された相溶性は、TEM写真を通じた相分離挙動で確認することができた。上記外観特性の評価のためにL90mm×W50mm×T2.5mmの大きさを有する試験片を利用した。
【0089】
全光線透過率は、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH 2000によって測定し、拡散光線透過率(DF)及び平行透過率(PT)を合計することによって計算した。全光線透過率が高いほど透明性に優れていると評価される。
【0090】
試験片のメルト・フロー・インデックス(Melt flow Index)は、ASTM D1238にしたがって、220℃で、10kgのバランスウェイトを用いて測定された。
【0091】
耐スクラッチ性は、BSP(Ball−type Scratch Profile)テストによって測定した。BSPは、L90mm×W50mm×T2.5mmの大きさの試験片の表面に、直径0.7mmの球形の金属チップを用いて、1,000gの荷重及び75mm/minのスクラッチ速度で長さ10〜20mmのスクラッチを加え、加えられたスクラッチのプロファイルを、直径2μmの金属スタイラスチップを用いて表面スキャニングすることによりスクラッチプロファイルを与える、Ambios社製の表面プロファイル分析器(XP−1)を通じて測定することによって行った。耐スクラッチ性は、測定されたプロファイルによるスクラッチ幅(Scratch width)から評価した。
【0092】
図1(a)はBSPテストによって測定された実施例2で製造された試験片のスクラッチプロファイル写真であり、図1(b)は比較例3で製造された試験片のスクラッチプロファイル写真である。スクラッチ幅の結果を下記表1に示した。
【0093】
また、相挙動を分析するために、実施例2及び比較例1の樹脂組成物のTEM写真を図2(a)及び図2(b)にそれぞれ示した。
【0094】
実施例2及び比較例1の樹脂組成物の粘度挙動をRheometric Scientific社製のARES(Advanced Rheometric Expansion System)を利用して240℃の条件で測定し、結果を図3に示した。
【0095】
【表1】

【0096】
表1に示すように、ポリカーボネートとアクリル系樹脂とをブレンドした場合、ポリカーボネート単独で用いた場合に比べて改善された耐スクラッチ性を示し、これはスクラッチプロファイル(図1)でも確認することができる。実施例1〜6で製造された熱可塑性樹脂は、厚さが0.5〜5.0mmで、Ball−type Scratch Profileテスト(BSPテスト)によって測定された、240〜約320μmの範囲のスクラッチ幅を示す。
【0097】
難燃性については、実施例1〜6の難燃性熱可塑性樹脂は、UL94規格でV0以上の難燃度のレベルを示した。
【0098】
分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂が添加されていない比較例1及び2では、ポリカーボネート単独で用いている比較例3に比べて耐スクラッチ性は向上するが、樹脂間の相溶性の低下によってフローマーク及び不透明な外観を示すようになる。同一含量のポリカーボネートを用いた実施例1〜5及び比較例1の場合、同一水準の耐スクラッチ性を示すが、分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂を用いた実施例1〜5では、透明性及びフローマークが改善され、高い全光線透過率を示す。
【0099】
さらに、2つの同様の分岐型アクリル系共重合体を用いた場合には、屈折率が高い分岐型アクリル系共重合体を用いた実施例2や5が実施例1に比べてさらに優れた透明性及び相溶性を示し、さらに高い全光線透過率を示す。実施例2と3とを比較した結果、アクリル系樹脂を用いていない樹脂組成物が、分岐型(メタ)アクリル系共重合体をアクリル系樹脂と50:50の比率で混ぜた樹脂組成物より、さらに優れた透明性及び相溶性を示した。
【0100】
改善された相溶性は、屈折率のコントロール及び相分離の最小化により起きたものであり、組成物の複素粘度の結果は、ARESの結果を通じて確認することができる。図3に示すように、ARESによって測定された複素粘度(complex viscosity)は、frequency(rad/s)が0.1から100に増加するにつれて減少する傾向を示し、比較例1に比べて実施例2でさらに顕著に減少する。
【0101】
ポリカーボネートとポリメチルメタクリレート間の改善された相溶性は、TEM写真を通じて確認し、図2に示した。比較例1の場合、低下した相溶性によってポリカーボネートベースにおいてポリメチルメタクリレートの相が連続的でありドメインも大きい相を成すが、実施例2の場合、ポリメチルメタクリレートの相の大きさが減少し球形の相挙動を示すことから、相溶性が改善されている。
【0102】
上記において、本発明を具体的な好適な実施形態に基づいて記載したが、種々の変形または変更が添付の特許請求の範囲で規定される本発明の思想及び範囲を逸脱することなく加えられうることは、当業者であれば明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリカーボネート樹脂 約20重量%以上〜約100重量%未満と、
(B)分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂 約0超〜約80重量%以下と、
(C)難燃剤 (A)+(B)を含むベース樹脂100重量部に対して約1〜約50重量部と、
を含んでなる、難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、重量平均分子量が約100,000〜約3,500,000である、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、屈折率が約1.495〜約1.575である、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、
(b1)下記化学式1又は化学式2の構造で表示される芳香族又は脂肪族メタクリレートと、
(b2)単官能性不飽和単量体と、
(b3)分岐誘導性単量体と、
の共重合体、又はこれら共重合体の混合物である、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物;
【化1】

この際、mは0〜10の整数であり、Xはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、プロピルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基及びベンジルフェニル基からなる群から選択される;
【化2】

この際、mは0〜10の整数であり、Yは酸素(O)又は硫黄(S)であり、Arはシクロへキシル基、フェニル基、メチルフェニル基、メチルエチルフェニル基、メトキシフェニル基、シクロへキシルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フェニルフェニル基及びベンジルフェニル基からなる群から選択される。
【請求項5】
前記分岐型(メタ)アクリル系共重合体樹脂(B)は、
前記芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)約5〜約99.999重量%と、
前記単官能性不飽和単量体(b2)約0〜約85重量%と、
前記分岐誘導性単量体約0.001〜約10重量%と、
の共重合体、又はこれら共重合体の混合物である、請求項4に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記芳香族又は脂肪族メタクリレート(b1)は、シクロへキシルメタクリレート、フェノキシメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−エチルチオフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、4−フェニルブチルメタクリレート、2−(2−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メチルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−プロピルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−(1−メチルエチル)フェニル)エチルメタクリレート、2−(4−メトキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−シクロへキシルフェニル)エチルメタクリレート、2−(2−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−クロロフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ブロモフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−フェニルフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ベンジルフェニル)エチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記単官能性不飽和単量体(b2)は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、へキシルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレートからなる群から選択されるメタクリル酸エステル単量体類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレートを含むアクリル酸エステル単量体類;アクリル酸及びメタクリル酸を含む不飽和カルボン酸単量体類;無水マレイン酸を含む酸無水物単量体類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、及びモノグリセロールアクリレートを含むヒドロキシ基含有エステル単量体類;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記分岐誘導性単量体(b3)は、不飽和炭化水素基含有シリコン系架橋性単量体を含むシラン又はシロキサン化合物;ジビニルベンゼンを含む架橋性芳香族単量体;1,4−ジビニルオキシブタン及びジビニルスルホンを含むビニル基含有単量体;ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、トリアリル(イソ)シアヌレート、及びトリアリルトリメリテートを含むアリル化合物;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びグリセロールトリ(メタ)アクリレートを含む(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ならびにこれらの混合物からなる群から一つ以上選択される、請求項4に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂組成物は、(D)(メタ)アクリル系樹脂を約0超〜約80重量%未満の範囲でさらに含む、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記(メタ)アクリル系樹脂(D)は、線状構造である、請求項9に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
前記(メタ)アクリル系樹脂(D)は、(メタ)アクリル系単量体の重合体、(メタ)アクリル系単量体の共重合体又はこれらの混合物である、請求項10に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
前記(メタ)アクリル系単量体(D)は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、へキシルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、フェノキシメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
前記難燃剤(C)は、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファゼン及びこれらの金属塩を含むリン系難燃剤;デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−エポキシオリゴマー、オクタブロモトリメチルフェニルホスフェート、エチレンビステトラブロモフタルイミド、トリス(トリブロモフェノール)トリアジン、臭化ポリスチレンを含むハロゲン系難燃剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】
前記難燃性樹脂組成物は、難燃補助剤、抗菌剤、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、相溶化剤、染料、無機充填剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃改質剤、着色剤、安定剤、滑剤、静電気防止剤、顔料、難燃剤及びこれらの混合物からなる群から選択された添加剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
【請求項15】
前記難燃性熱可塑性樹脂組成物は、複素粘度(complex viscosity)(η*)が240℃、及び0.1rad/sの条件で約1,000〜約10,000Pasの範囲であり、240℃でη*(0.1rad/s)/η*(100rad/s)の比が約3.0〜約100.0の範囲である、請求項14に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項16】
日本電色工業株式会社製のヘーズメーター NDH2000によって測定された全光線透過率が約5〜約50%であり、ASTM D1238(220℃、10kg)にしたがって測定された溶融流れ指数が約10〜約80g/10分であり、ボール型スクラッチプロファイルテスト(BSP test)によって測定されたスクラッチ幅が約240〜約320μmである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の樹脂組成物から成形された成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91794(P2013−91794A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268660(P2012−268660)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2011−500687(P2011−500687)の分割
【原出願日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】