説明

相間スペーサ

【課題】架空送電線の相間距離を任意に調節可能な相間スペーサを提供する。
【解決手段】複数の架空送電線間に設置される相間スペーサにおいて、一方の架空送電線を把持するクランプ10−1と、相間スペーサの全長を調整する長さ調整金具部30と、架空送電線間の所定の絶縁距離を保持する碍子部20と、他方の架空送電線を把持するクランプ10−2とを有し、長さ調整金具部は、一方の前記架空送電線を把持するクランプと連結される雄ねじ構造を有する雄ねじ部34と、碍子部と連結される雌ねじ構造を有する雌ねじ部32とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線間に配設される相間スペーサに係り、より詳しくは、架空送電線の相間距離の調節が可能な相間スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電力を鉄塔などに設置された架空送電線により送電する場合、例えば、3相交流を送電する3本の架空送電線は、互いに接触しないように各相間には相間スペーサが取付けられる。これにより、各相間は送電電圧に応じた所定の距離に保持され、強風などによる接触事故を事前に防止することができる。
【0003】
図2は、従来の相間スペーサの構成を示す構成図である。図2において、相間スペーサ200は、一方の架空送電線を把持するクランプ10−1と、相間スペーサ全長を調整する金具部50と、電線間の所定の絶縁距離を保持する碍子部20と、他方の架空送電線を把持するクランプ10−2とが、図に示されるように、一連に組み合わされて構成されている。
【0004】
相間スペーサ200の全長は、事前に鉄塔の装注寸法から取り付け箇所の相間距離が計算され、その相間距離に合う全長になるように金具部50の長さが決定されて、相間スペーサ200が製作されている。このように、相間スペーサ200が製作された後に、金具部50自身の長さを調整することは、不可能であった。
【0005】
特許文献1には、それぞれが各架設送配電線を把持する一対の把持部と、把持部を連結支持する所定の長さを有する連結部とを備え、各把持部は、各架設送配電線を保持可能な保持孔を形成する保持部を含む一対に腕部と、各腕部の一端を回動可能に支持する支軸と、各腕部の他端を互いに係止可能に指示する係止部とを有し、保持部は、それぞれが各架設送配電線を挟持する挟持面を有する一対の挟持部材を備え、挟持面は、切りかぎ状に形成される、旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−166859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の架空送電線の相間距離を任意に調節可能な相間スペーサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の相間スペーサは、複数の架空送電線間に設置される相間スペーサにおいて、一方の架空送電線を把持するクランプと、相間スペーサの全長を調整する長さ調整金具部と、架空送電線間の所定の絶縁距離を保持する碍子部と、他方の架空送電線を把持するクランプとを有し、長さ調整金具部は、一方の架空送電線を把持するクランプと連結される雄ねじ構造を有する雄ねじ部と、碍子部と連結される雌ねじ構造を有する雌ねじ部とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ねじ構造により架空送電線間の距離を任意に調節可能とするため、相間距離の事前検討が不要となる。また鉄塔の建替えによる相間距離の変化に対応できるため、新たに相間距離を計算して相間スペーサを製作することが不要となり、且つ、架空送電線のギャロッピングなどにより発生する相間スペーサへのねじれ荷重を無くすことができる相間スペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による相間スペーサの構成を示す構成図。
【図2】従来の相間スペーサの構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による相間スペーサの構成を示す構成図である。図1において、相間スペーサ100は、一方の架空送電線を把持するクランプ10−1と、相間スペーサの全長を調整する長さ調整金具部30と、架空送電線間の所定の絶縁距離を保持する碍子部20と、他方の架空送電線を把持するクランプ10−2とを有している。
【0012】
また、長さ調整金具部30は、一方の架空送電線を把持するクランプと連結される雄ねじ構造を有する雄ねじ部34と、碍子部と連結される雌ねじ構造を有する雌ねじ部32とから構成される。
【0013】
このように、相間距離の事前検討が不要となる他、鉄塔の建替え等により、架空送電線の相間距離に変動が生じた場合、長さ調整金具部30のねじ構造により架空送電線間の距離に合わせて任意に調節が可能となる。すなわち図1において、雄ねじ部34を矢印A方向に回転させ、クランプ10−1を矢印B方向に前進又は後退させて、架空送電線間の距離に合わせた調節が可能となる。このため、新たに相間距離を計算して相間スペーサを製作することが不要となる。また、架空送電線のギャロッピング等により発生するねじれ荷重は、当該ねじ構造により吸収されるため、ねじれ荷重による相間スペーサの破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0014】
10−1、10−2 クランプ部
20 碍子部
30 長さ調整金具部
32 雌ねじ部
34 雄ねじ部
40 係止部
42 締付ボルト
50 金具部
100 本発明の相間スペーサ
200 従来の相間スペーサ
A 回転方向矢印
B 直進方向矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の架空送電線間に設置される相間スペーサにおいて、
一方の前記架空送電線を把持するクランプと、前記相間スペーサの全長を調整する長さ調整金具部と、前記架空送電線間の所定の絶縁距離を保持する碍子部と、他方の前記架空送電線を把持するクランプとを有し、
前記長さ調整金具部は、前記一方の前記架空送電線を把持するクランプと連結される雄ねじ構造を有する雄ねじ部と、前記碍子部と連結される雌ねじ構造を有する雌ねじ部とから成ることを特徴とする相間スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−19635(P2012−19635A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156080(P2010−156080)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000117010)旭電機株式会社 (127)
【Fターム(参考)】