説明

相関された色温度及び照度感知用の集積センサ

【課題】人間である観察者によって知覚されたような色温度と光強度との両方を測定するセンサを提供する。
【解決手段】このセンサは、光によって照明される第1及び第2の光検出器(41,42)を含む。第1及び第2の光検出器は、400nm〜700nmの波長帯域における光の強度の第1及び第2の加重平均を示す第1及び第2の光検出器信号を生成する。第1の光検出器は、第2の光検出器よりも、400nm〜500nmの波長を有する光に対してより感度が高い。センサはまた、第1及び第2の信号の比に関連する第1の処理信号を生成する色温度処理回路を含む。色温度処理回路は、第1及び第2の光検出器信号からそれぞれ第1及び第2の対数信号を生成する第1及び第2の対数増幅器(61,62)と、第1の対数信号と第2の対数信号との差を示す信号を生成する減算回路(51)と、を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
光源によって照明される物体の外観は、物体の特性及び光源のスペクトルの内容の両方に依存する。光源によって照明されたシーンの写真が撮影された時に形成される画像は、光源のスペクトルの内容と、波長の関数としてのシーンにおける物体の反射率との両方に依存する。例えば、デジタルカメラによって撮影された画像は、一般に、多くのピクセルに分割される。各ピクセルは、画像内の対応する点から受け取られた光を表す。ピクセルに達する光は、極めて多くの波長の各々に対する強度値のセットとして表される複雑なスペクトルである。最も単純な場合、任意の所与の波長における強度値は、光源からシーン内の対応する点に達するその波長における光の量と、シーン内のその対応する点によって反射するその波長における当該光の一部とに関連する。各ピクセルに達するスペクトルは、一般に、3色の強度値に縮約される。この3色の強度値は、人の目に入った場合、ある点におけるオリジナルのスペクトルが観察者の目に向けられた場合にその観察者が感じたであろうその点における色と同じ色をその観察者に感じさせるだろう。
【0002】
同様に、光源によって後方から照明される透明部材を考える。最も単純な場合、透明部材上の各点から観察者に達する光は、光源によって発せられたスペクトルと、その点における波長の関数としての透明部材による光の吸収とに関連している。従って、透明部材の外観はまた、透明部材と、光源のスペクトル内容との両方に依存する。
【0003】
ある程度人間の目は、異なる照明源に適合するので、2つの異なる光源からの光によって照明されたシーンにおいて知覚された色は、これら光源が異なるスペクトル内容を持っていても、同じに見える。しかしながら、カメラはこの能力を持っていない。従って、最新のデジタルカメラには、光源のスペクトル内容の相違を補償するように設計されたアルゴリズムがしばしば含まれている。シーンの写真と、照明源のスペクトル内容の知識とを考慮して、アルゴリズムは、標準的な光源が照明源として利用された場合に生成されたであろうシーンの画像を理想的に表す新たな画像を生成する。
【0004】
物体を照明するために使用される1つのクラスの光源は「白色」光を発する。これら光源は、高温に熱される黒体によって発せられるスペクトルと似ており、観察者が感知する光を発する。このスペクトルは、温度の関数として変化するので、出力されたスペクトルは、一般に、白色光源のスペクトルに類似したスペクトルを放出する黒体の温度によって規定される。特定の色温度をもつ白色光源であれば、人間の観察者によって感じられる全ての光源が同一のスペクトルを有するとは限らないが、近似がしばしば有用となる。
【0005】
例えば、特定の白色光源で撮影された写真を考慮されたい。幾つかの場合、ユーザは、利用しているものとは異なる「標準的な」白色光源によって撮影された場合に、その画像がどのように見えるかを知りたいと思う。これはしばしば「ホワイトバランシング」と称される。様々な色温度の太陽光、蛍光灯、及び白熱光による照明のためのホワイトバランス設定を備えたカメラが既知である。どの光源が使用されたか分かっている場合、カメラは、画像の色を再バランスし、標準的な光源が利用された場合に見られたであろう画像を提供することができる。
【0006】
そのようなカメラでは、ユーザは、画像が撮影された時点において存在した光条件に最も一致するのは、どの設定であるかを決定しなければならない。ユーザが、正確な設定を決めることができない場合、あるいは、どの設定も、使用された光源に対して良好な近似ではない場合、このカメラでは、効果的な色補償を行なうことができない。更に、別個の画像処理プロセッサによる補償も可能ではない。なぜなら、別個の画像処理プロセッサは、そもそも、画像の形成に使用された実際のスペクトルの測定を欠いているからである。カメラが、光源の色温度を測定するセンサを有する場合、このカメラは、色バランス演算を実行するために必要なデータを自動的に生成することができる。
【0007】
多くのデジタルカメラが、照明源のスペクトル内容を決定するために、画像自体のスペクトル内容を利用する自動ホワイトバランス設定を提供する。利用されるアルゴリズムは、画像のスペクトル内容が、全体として、光源のスペクトル内容を表現していると仮定する。画像が特定の色へバイアスされる場合、そのようなシステムは貧弱に動作する。より良好な色バランスを与えるために、カメラは、撮像されている特定のシーンと独立して、照明源のスペクトル内容の測定値を有する必要がある。
【0008】
更に、多くの光源は、光源の効率的な色温度の調節を可能にする調節値を有する。例えば、ランプからの光の色温度を変えるために、白熱灯のフィラメントを流れる電流が、増加又は減少される。同様に、白色光を生成するために異なる色のLEDを利用するソリッドステート光源が、様々な色のLEDへ加えられる電力を変えることによって調節される。
【0009】
多くの場合、光源からの出力は時間とともにドリフトするので、光源の色温度を制御するパラメータを変えることによって、このドリフトに対する補正を行なうサーボループが使用される。この種のサーボはまた、光源の色温度を検出する光センサに依存する。
【0010】
LCDディスプレイのようなバックライトで照らされるディスプレイスを照明するための最適な光源の色温度及び強度は、ディスプレイが配置されている部屋内の周辺光の色温度及び強度に依存する。色温度及び強度は、人間である観察者のためにより快適な観察体験を与えるために変更され得ることが明らかになった。従って、部屋照明の色温度及び強度を測定するセンサが、より最適な照明を実現するためにディスプレイ色温度を変えるシステムにおいて必要とされる。
【0011】
原則として、色温度センサは、光源の出力を多くの異なる波長帯域で測定する多くの光検出器によって構成され得る。各フォトダイオードによって観察される波長帯域を決定する帯域通過フィルタでカバーされているフォトダイオードに基づくセンサは、当分野で既知である。
【0012】
しかしながら、民生品において使用される色温度センサは、センサのコストによって制約される。一般に、この興味のある民生品は、CMOS内に作製されるカスタムICに依存する。従って、センサのコストを低減するために、センサは、製品に固有のその他の機能を実現するカスタムICの一部としてCMOS内に作製されることが可能でなければならない。上述したマルチフォトダイオードセンサのタイプは、この技術では容易に実現されない。なぜなら、各フォトダイオードは、フォトダイオードのために帯域通過フィルタ機能を提供する材料層で覆われていなければならず、よって、フォトダイオードを有するICが仕上げられた後、多くの追加のマスキングステップ及び堆積ステップが必要とされるからである。
【0013】
更に、フォトダイオードの出力を補正する計算ハードウェアを備えるようなセンサと共に、少なくとも3つのフォトダイオードが使用され、従来の色空間における位置の計算に使用できる3つの色において、光源の強度が与えられる。また、この従来の色空間は、光源の色温度を計算するために使用される。
【0014】
上述したように、幾つかの用途では、周辺光の強度も測定されなければならない。必要な強度値は、人間である観察者が見たときに感じた強度と一致する値である。単一のフォトダイオードに基づく強度値は、光源のスペクトル内容が変わる時、人間である観察者によって知覚される強度に合う強度測定値を提供しない。例えば、蛍光と白熱光とが、人間である観察者によって、同じ強度であると知覚される場合を考慮されたい。これら2つの光源のために単一のフォトダイオードによって生成される強度値は著しく異なる。従って、人間である観察者によって知覚されたような色温度と光強度との両方を測定するセンサは、更なるフォトダイオードを必要とする。
【発明の開示】
【0015】
本発明は、光源からの光の特性を測定するセンサを含む。センサは、光によって照明される第1及び第2の光検出器を含む。第1及び第2の光検出器は、400nm〜700nmの間の波長帯域内の光強度の第1及び第2の加重平均を示す第1及び第2の光検出器信号を生成する。第1のフォトダイオードは、400nm〜500nmの間の波長を有する光に対して、第2のフォトダイオードよりも感度が高い。センサはまた、第1の信号と第2の信号との比に関連する第1の処理信号を生成する色温度処理回路を含む。本発明の1つの態様では、この色温度処理回路は、第1及び第2の光検出器信号からそれぞれ、第1及び第2の対数信号を生成する第1及び第2の対数増幅器と、第1の対数信号と第2の対数信号との間の差を示す信号を生成する減算回路とを含む。本発明の別の態様では、色温度計算回路が、第1の処理信号から光源に対応する色温度を示す色温度出力信号を生成する。色温度出力信号は、光源の色温度を第1の処理信号に関連付ける較正曲線を補間することによって生成される。
【0016】
本発明の別の態様では、センサは更に、第1及び第2の光検出器信号の積に関連する第2の処理信号を生成する光強度処理回路を含む。この信号は、補間されて、光源からの光強度の測定値が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明がその利点を与える方法は、様々な色温度における黒体光源に対応するCIE1976色空間20の曲線21を示す図1を参照してより容易に理解することができる。一般に、色空間内の点を決定するために、3色の測定値が必要とされる。本発明は、点が黒体曲線21上にあることに制約されるので、黒体曲線21上の点を決定するのに2つの点のみが必要であるという観察結果を利用する。例えば、光学スペクトルの赤領域における光を測定する検出器の出力に対する、光学スペクトルの青領域における光を測定する検出器の出力の比が、適切な較正曲線とともに使用され、その出力が曲線21上にある光源の色温度を判定することができる。
【0018】
経済的に魅力的な色温度センサを提供するために、検出器は、各光検出器それぞれに個々の帯域通過フィルタを必要としないCMOSプロセス中で作製されるべきである。上述したように、個々の帯域通過フィルタは、製造プロセスのコストを増加する追加の高リソグラフ堆積ステップを必要とする。
【0019】
本発明は、本質的に異なる波長感度関数を有するフォトダイオードを利用することによって、個々の帯域通過フィルタの提供に関連する問題を回避する。1つの実施形態では、可視領域内の波長に対して、第1のフォトダイオードの出力は波長と共に増加し、第2のフォトダイオードの出力は波長と共に減少する。フォトダイオードの感度は、光を受けるセンサの表面から測定されたPN接合の深さに応じて変わる。表面近くのPN接合を有するフォトダイオードは、表面から遠いPN接合を有するフォトダイオードよりも、スペクトルの青領域における光に対してより感度が高い。従って、異なる感度を有し、可視領域内で異なる波長依存性を有する出力を生成する2つのフォトダイオードが提供される。
【0020】
更に色温度センサは、光強度の広い範囲にわたって動作するべきである。例えば、自動的なホワイトバランスを行なうデジタルカメラで使用される色温度センサは、1000倍以上変動し得る光強度範囲にわたって、照明源の色温度を測定することができなければならない。光信号を処理する回路は、固定された最大の電圧及び感度を有するので、これらの状態における光強度に比例する出力信号は、現実的ではないと仮定する。この回路は、最大強度において最大出力を与えるように設定されるのであれば、最低の光レベルにおける回路の感度は不十分である。この点に関し、多くの回路素子は、非常に小さな信号に打ち勝つ固有の雑音を有していることが注目されるべきである。一方、この回路が、低い光レベルにおいて適切な感度を与えるように設計されているのであれば、この回路は、高い光レベルにおいて飽和し、高い光強度において強度レベルの差を測定することはできない。
【0021】
本発明は、フォトダイオードによって生成された光電流の対数に比例する信号上で動作する処理回路を利用することによりこの問題を克服する。増加したダイナミックレンジを与える他に、この構成はまた、フォトダイオード信号の比の計算を単純化する。なぜなら、青光検出器及び赤光検出器によって受光された2つの光の比を与えるために、簡単な減算回路を利用できるからである。
【0022】
最後に、色温度センサを必要とする多くの用途もまた、周辺光強度の測定値を必要とする。特に、人間である観察者が見たときに知覚した強度に合う光強度信号は特に有用である。本発明は、人間の目によって利用される波長帯域における光の強度に関連した信号を生成することによってこの特徴を提供する。以下により詳細に示すように、本発明は、人間である観察者によって知覚される光強度により近い強度測定値を与えるために、2つの対数信号の合計を利用する。
【0023】
図2を参照されたい。これは、本発明の1つの実施形態に従った色温度センサ40の概要図である。色温度センサ40は、色温度センサ40によって受光された光を測定するために、フォトダイオード41及び42を利用する。フォトダイオード41は、スペクトルの青部分においてより感度が高く、可視領域内の光に対する波長の関数を減少させる感度を有する。フォトダイオード42は、スペクトルの赤部分においてより感度が高く、可視領域内の波長に対して、波長とともに増加する感度を有する。図2で示される実施形態では、フォトダイオード41を通過する光電流は、対数増幅器61によって、光電流の対数に比例する電圧に変換される。対数増幅器61では、増幅器45によって使用されるフィードバックループが、抵抗ではなくダイオード46を含む。同様に、フォトダイオード42を通過する光電流は、増幅器43及びフィードバックダイオード44を含む対数増幅器62によって、光電流の対数に比例する電圧に変換される。
【0024】
フォトダイオード内の光電流の比は、減算回路51によって生成される。減算回路51は、対数増幅器の対数出力を減算して、2つの光電流の比に比例する信号を生成する。フォトダイオード及び/又は対数増幅器における利得差を補償するために、対数増幅器61及び62のそれぞれの出力が、減算される前に、50及び47によってそれぞれ示されるオプションのバッファによってスケーリングされる。
【0025】
減算回路51の出力は、2つのフォトダイオードを照明する白色光源の色温度に対して一対一対応を有する。対応する較正曲線は、A/D変換器53からデジタル化された出力を受け取るコントローラ54に含めることができる。この較正曲線は、較正された光源が色温度センサ40を照明するために使用される較正手順中に生成され得る。例えば、色温度センサ40は、既知の色温度シーケンスを有する光によって連続的に照明され、その後コントローラ54は、減算回路51からのデジタル出力を記録し、この結果をコントローラ54内のメモリに格納するだろう。その後、色温度センサ40の通常動作中、格納された較正テーブルが、色温度出力を与えるために補間され得る。
【0026】
A/D変換器53及びコントローラ54がオプションであることに注目されるべきである。減算回路51からの生のアナログ信号が、色温度センサに接続されたデバイスへ出力される実施形態もまた構築される。そのような実施形態では、関連する較正曲線及び色温度計算が、色温度センサ40に取り付けられたデバイスによって提供されるだろう。色温度センサが、適切なアナログ・デジタル変換器や、コントローラ機能を提供できるデータ処理システムを既に有するデジタルカメラやLCDディスプレイのようなシステムに含まれる場合、そのような実施形態が有用である。
【0027】
コントローラは、特化されたデータプロセッサであるか、又は、より一般的な汎用コントローラチップであり得ることが注目されるべきである。そのようなシングルチップコントローラは、スタンドアロンプロセッサか、あるいはカスタムICに含まれ得るスタンダードセルとして利用可能である。
【0028】
上述したように、幾つかの用途では、人間である観察者が感知したであろう強度を再現する方法で光強度を測定する強度センサもまた有用である。フォトダイオードを適切に選択することによって、色温度センサ40は、そのような強度測定値を提供することもできる。以下により詳細に説明するが、2つの対数電圧の合計は、人間である観察者によって感知される強度に対して1対1の関係を有する信号を提供する。従って、色温度センサ40は、2つの対数電圧の合計に比例する信号を提供する加算回路52を含む。フォトダイオード及び/又は対数増幅器の利得差を補償するために、対数増幅器61及び62の各出力は、加算される前に、48及び49によってそれぞれ示されるオプションのバッファによってスケーリングされる。同様に、コントローラ54は、加算回路52の出力をデジタル化し、かつコントローラ54に格納されている適切な較正曲線を利用することによって、光強度のデジタル出力を提供する。
【0029】
上述したように、フォトダイオードは、センサの表面から異なる深さに位置するPN接合を有するフォトダイオード設計を用いることによって、異なる波長感度を達成する。これらフォトダイオードは、人間の目が敏感な波長範囲以外の光に感度を有することができる。従って、本発明の1つの実施形態では、帯域通過フィルタ65は、フォトダイオードの感度が高い人間の可視領域以外の波長における光を取り除くために用いられる。例えば、400nm〜450nmの間の短波長カットオフと、650nm〜700nmの間の長波長カットオフとを持つフィルタが利用され得る。
【0030】
そのようなフィルタは、2つのフォトダイオードに対して異なる堆積ステップもフォトリソグラフパターニングステップも必要としないことが注目されるべきである。同じフィルタが、両方のフォトダイオードをカバーする。更に、フィルタは、小さなフィルタを提供するためにさいの目に切られた薄膜材料のシートとして構成されることができる。それらのフィルタは、センサ面に接合されるか、あるいは、測定される光がセンサに向けて経路内を横断する光路内に、単に装着される。
【0031】
本発明の1つの実施形態では、色温度センサ40はまた、光がフォトダイオードに達する前に、光のあらゆる空間的異質物を取り除くために、光がセンサに達する前に光を混合する拡散器を含む光混合層66を含む。フォトダイオードとコントローラは、一般に、湿気からダイを保護するエポキシ層によって覆われていることが注目されるべきである。フィルタ及び拡散器は、このエポキシ層に成形することができる。
【0032】
上述したように、本発明は、好ましくは、従来のCMOS製造プロセスにおいて製造することができるフォトダイオードを利用する。センサが、色温度を測定するために使用される2つの同じフォトダイオードを用いて、人間である観察者によって知覚される強度に対応した照明強度情報と、色温度との両方を提供するのであれば、これら2つのフォトダイオードの感度は、光源の色温度を単に測定するために必要な制約を超える更なる制約に適合させる必要がある。第1に、両フォトダイオードの感度範囲は、約450nm〜650nmの可視スペクトルにわたって及ぶべきである。
【0033】
図3及び図4を参照されたい。ここでは、好ましい感度プロファイルを有する2つのフォトダイオードの出力が例示される。フォトダイオードのうちの1つは、理想的には、図3に示すように、この範囲にわたって450nmから直線的に増加する出力を有するべきである。他方のフォトダイオードは、理想的には、図4に示すように、この範囲にわたって450nmから直線的に減少する出力を有するべきである。450nm〜650nmの範囲よりも上及び下の範囲におけるフォトダイオードの感度は、上述した帯域通過フィルタを用いることによって除去される。これらプロファイルを有する2つのフォトダイオードの出力の積、すなわち、対数出力の総和によって、人間の目の感度により近く一致する強度プロファイルを与えることが明らかになった。
【0034】
これら理想的な曲線に近いフォトダイオードを、CMOS内に製造することができる。この感度プロファイルは、フォトダイオード内のPN接合の深さを調節することにより調節される。上述したように、深いPN接合を持つフォトダイオードは、より長い波長を有する光に対してより感度が高く、光受光面に近いPN接合を持つフォトダイオードは、より短い波長を有する光に対してより感度が高い。ここで基板71上に構成された1対のフォトダイオードの断面図である図5を参照されたい。この例のために、基板71はP型であると仮定される。フォトダイオード80は、光学スペクトルの青領域の光に対してより感度が高く、図4に示す強度プロファイルに近い。フォトダイオード80は、n−ウェル82及びp+アノード81を有する。カソードKは、n−ウェル82に接続される。フォトダイオード90は、光学スペクトルの赤領域においてより感度が高く、図3に示される強度プロファイルに近い。フォトダイオードは、カソード用に深いn−ウェル92を、また、アノードAとして基板71を用いる。フォトダイオードペア70がp−基板上に構成されている一方、n−基板を用いる類似の実施形態もまた構成される。
【0035】
本発明の上記実施形態は、測定されている光源からの光強度を測定するためにフォトダイオードを利用する。しかしながら、フォトトランジスタのような他の形態の光検出器に基づいた実施形態も構成され得る。
【0036】
更に、スペクトルの青領域と赤領域における光強度の比に関連する信号を提供するその他の方法もまた利用され得ることが注目されるべきである。例えば、センサが機能しなければならない強度範囲が限定されている場合、従来の線形増幅器を用いて光強度の比を生成する本発明の実施形態もまた構成され得る。
【0037】
本発明への様々な変更は、先の説明及び添付図面から、当業者に明白になるだろう。従って、本発明は、特許請求の範囲のみによって制限される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】様々な色温度における黒体光源に対応するCIE1976色空間20の曲線21を示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による色温度センサ40の概略図である。
【図3】好ましい感度プロファイルを有する2つのフォトダイオードの出力を示す図である。
【図4】好ましい感度プロファイルを有する2つのフォトダイオードの出力を示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態に従った1対のフォトダイオードの断面図である。
【符号の説明】
【0039】
40:色温度センサ
41:フォトダイオード
42:フォトダイオード
43:増幅器
44:ダイオード
45:増幅器
46:ダイオード
47:バッファ
48:バッファ
49:バッファ
50:バッファ
51:減算回路
52:加算回路
53:A/D変換器
54:コントローラ
61:対数増幅器
62:対数増幅器
65:帯域通過フィルタ
66:光混合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を測定するセンサにおいて、
前記光によって照明される第1及び第2の光検出器であって、該第1及び第2の光検出器は、400nm〜700nmの波長帯域における光の強度の第1及び第2の加重平均を示す第1及び第2の光検出器信号を生成し、前記第1のフォトダイオードは、前記第2の光検出器よりも400nm〜500nmの波長を有する光に対してより感度が高い、前記第1及び第2の光検出器と、
前記第1及び第2の信号の比に関連する第1の処理信号を生成する色温度処理回路と、
を備えているセンサ。
【請求項2】
前記処理回路が、
前記第1及び第2の光検出器信号からそれぞれ第1及び第2の対数信号を生成する第1及び第2の対数増幅器と、
前記第1の対数信号と前記第2の対数信号との差を示す信号を生成し、そこから前記第1の処理信号を生成する減算回路と、
を備えている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記第1の処理信号から、前記光源に対応する色温度を示す色温度出力信号を生成する温度計算回路を更に備えている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記温度計算回路が、前記第1の処理信号を前記色温度出力信号に関連付ける較正曲線を格納するコントローラを備え、該コントローラは、前記較正曲線を補間して、前記色温度出力信号を提供する、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1の光検出器信号と前記第2の光検出器信号との積に関連する第2の処理信号を生成する光強度処理回路を更に備えている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第2の処理信号から、前記波長帯域において前記センサによって受け取られた光の強度を示す光強度出力信号を生成する回路を更に備えている、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1及び第2の光検出器が第1及び第2のフォトダイオードを備え、該第1及び第2のフォトダイオードは、前記センサの表面から、前記第1及び第2のそれぞれのフォトダイオードに関連する第1及び第2のPN接合への第1及び第2のそれぞれの距離によって特徴付けられ、前記第1の距離は、前記第2の距離とは異なる、請求項1に記載のセンサ。
【請求項8】
400nm未満の波長と700nmを越える波長とを有する光が、前記第1及び第2の光検出器に達することを阻止する帯域通過フィルタを更に備え、該フィルタは、前記光源と前記フォトダイオードとの間に位置する一様な材料層を備えている、請求項1に記載のセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−224656(P2008−224656A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−338569(P2007−338569)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(506200186)アバゴ・テクノロジーズ・イーシービーユー・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (154)
【Fターム(参考)】