説明

相関セル、ガス分析装置及び相関セルの組み立て方法

【課題】ガスを封入した後のガス漏れ発生を抑制可能な相関セル、ガス分析装置及び相関セルの組み立て方法を提供する。
【解決手段】ホイール4は、外周面から半径方向に延びて雌ねじが形成される連通路44と、略平たんに形成された取付面46と、を有する。窓板5は、所定の厚さを有する透光性の板材である。ねじ部材6は、雄ねじ部63と、雄ねじ部63の先端である端部61と、雄ねじ部63よりも大径のねじ頭62と、を有する。ホイール4の連通路44の長さ方向に関して、ホイール4の端部47の位置は、ねじ部材6の端部61の位置よりも測定ガス室42又は比較ガス室43に近い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス相関法による赤外線吸収方式の測定装置に用いられる相関セル、ガス分析装置及び相関セルの組み立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、CO,CO2を始めとした各種のガス濃度の測定にガス相関法が使用されている。このガス相関法は、赤外線吸収方式の測定法であり、具体的には、CO等の測定対象ガスを封入した測定対象ガス室とN2等の不活性ガス(ゼロガス、比較ガス)を封入した比較ガス室とを併有するガス相関セル(相関セル)を用いてガス濃度の測定を行う。すなわち、この相関セルを、測定対象ガスを含む試料ガスが導入される試料セルとこの試料セルに赤外光を入射させる赤外光源との間に配置する。そして、相関セルを回転させて、赤外光の光路上に測定対象ガスが介在するときの試料セルの透過赤外光量と不活性ガスが介在するときの試料セルの透過赤外光量との差を求め、これにより、試料ガス中の測定対象ガス濃度を測定する。
【0003】
このようなガス相関法で用いる相関セルについては、従来から種々の構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、ガス封入作業時におけるガス漏れの程度が小さい相関セル等が開示されている。すなわち、この相関セルは、検知対象ガスと同種のガスが封入された測定ガス室および比較ガスが封入された比較ガス室を有するものであって、測定ガス室および比較ガス室の各々に連通するガス封入用流路を封止した後、測定ガス室および比較ガス室の各々に所定のガスを封入することにより得られたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2007−199032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、相関セルについてのガス漏れは、ガス封入作業時のほかにガス封入後にも問題になる。ガス封入後のガス漏れは、測定精度に悪影響を及ぼしてしまうことから、気密性が経時的に変化せずに保持される相関セルが求められる。このようなガス封入後のガス漏れの原因としては、種々の原因が考えられるが、例えば、ガス室を仕切るための複数の部材同士を接着する接着面に歪みがある場合が考えられる。
ガス封入作業時でのガス漏れについては、従来から提案されている技術で対応することが可能であるが、ガス封入後のガス漏れについては提案されていない。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ガスを封入した後のガス漏れ発生を抑制可能な相関セル、ガス分析装置及び相関セルの組み立て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的のもと、本発明が適用される相関セルは、セル本体と当該セル本体に取り付けられる透光性の板材とを含み、当該セル本体と当該板材とにより複数のガス室が形成される相関セルであって、前記セル本体に設けられ、前記板材を取り付ける取付面と、前記複数のガス室の各々に対応して前記セル本体に設けられ、当該ガス室に連通する複数の連通路と、前記複数の連通路の各々に挿入されて当該連通路を気密に封止する封止部材と、を含み、前記連通路に連通する前記ガス室に近い前記封止部材の端部の位置は、当該連通路の長さ方向に関する前記取付面の端部の位置よりも当該ガス室から遠いことを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、前記封止部材には、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成されていることを特徴とすることができる。また、前記封止部材は、前記雄ねじよりも大径のねじ頭を有し、前記ねじ頭が前記セル本体と係合することにより、当該封止部材が当該セル本体に対して位置決めされることを特徴とすることができる。また、前記セル本体は、前記封止部材の前記ねじ頭を受け入れる凹形状の座ぐり部を有することを特徴とすることができる。
【0009】
他の観点から捉えると、本発明が適用されるガス分析装置は、ガス相関法の赤外線吸収方式を用い、試料ガスを分析するガス分析装置であって、赤外線光を出射する光源と、前記光源が入射すると共に試料ガスが導入されるセルパイプと、セル本体と当該セル本体に取り付けられる透光性の板材とを含み、当該セル本体と当該板材とにより複数のガス室が形成され、前記光源からの赤外線光が前記セルパイプに入射する前に透過するように配置される相関セルと、前記相関セルを回転駆動する駆動源と、前記セルパイプに入射した赤外線光を受けて当該赤外線光の光量に対応する電気信号に変換する検出器と、を含み、前記相関セルは、前記複数のガス室の各々に対応して前記セル本体に設けられ、当該ガス室に連通する複数の連通路と、前記複数の連通路の各々に挿入されて当該連通路を気密に封止する封止部材と、を含み、前記連通路に連通する前記ガス室に近い前記封止部材の端部の位置は、当該連通路の長さ方向に関する前記板材の端部の位置よりも当該ガス室から遠いことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、前記封止部材には、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成されていることを特徴とすることができる。
【0011】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される相関セルの組み立て方法は、複数のガス室と、当該複数のガス室の各々に対応して設けられると共に当該ガス室に連通する複数の連通路と、当該ガス室を仕切るための板材を取り付ける取付面と、を有するセル本体に当該板材を固定してなる相関セルの組み立て方法であって、前記連通路の内面に係合させると共に前記取付面の端部の位置に対応する当該連通路の位置に達しないように封止部材を挿入して当該連通路を気密に閉塞し、前記取付面の歪みを除去し、前記板材を前記取付面に固定することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、前記封止部材は、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成される雄ねじ部を有することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガスを封入した後のガス漏れ発生を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、本実施の形態に係るガス分析装置1を示す概略構成図である。図1は、ガス分析装置1の上側から見た断面図であり、図2の(a)は、ガス分析装置1を試料ガス出口23側から見た縦断面図であり、図2の(b)は、ガス分析装置1を多重反射ミラー25側から見た側面図である。なお、図1及び図2の(a)では、赤外線光の光路を破線で図示している。
図1及び図2に示すように、ガス分析装置1は、ガス相関法によりガス濃度を測定するものであり、赤外線光を出射(照射)する赤外線光源11と、赤外線光源11からの赤外線光が入射されるセルパイプ2と、赤外線光源11とセルパイプ2との間の赤外線光の光路上に配置される外形が円盤状の相関セル3と、相関セル3とセルパイプ2との間に位置すると共に相関セル3に取り付けられるチョッパ12と、相関セル3及びチョッパ12を一定の速度で回転させるための駆動力を発生するモータ13と、セルパイプ2に入射される赤外線光を受光して電気信号に変換する赤外線光検出器14と、を備えている。
【0015】
セルパイプ2は、内部空間21と、試料ガス(サンプル、測定対象ガス)を内部空間21に導入するための試料ガス入口22と、内部空間21の試料ガスを排出するための試料ガス出口23と、を備えている。すなわち、試料ガス入口22から連続的に導入された試料ガスは、内部空間21を通って試料ガス出口23から連続的に排気される。なお、ここにいう試料ガスの一例としては、大気中の一酸化炭素濃度を連続的に測定するための大気ガス等を挙げることができる。
【0016】
また、セルパイプ2は、赤外線光の指向性が維持されるように内部空間21の中に配置された複数の反射面を備えている。具体的に説明すると、セルパイプ2は、チョッパ12を通過して内部空間21に入射される赤外線光の光路を変える反射ミラー24と、互いに対向して配置される2つの多重反射ミラー25,26と、2つの多重反射ミラー25,26での反射を順に繰り返した赤外線光が最終的に赤外線光検出器14に向かうように光路を変える反射ミラー27と、を備えている。
【0017】
更に説明すると、内部空間21に入射された赤外線光は、内部空間21から出射されるまでの間に試料ガスによって吸収されるので、赤外線光量の減衰の程度を検出することにより試料ガスでのガス濃度を測定している。このため、光路長を長く確保すれば、それだけ測定精度を高めることが可能になる。本実施の形態でのセルパイプ2は、上述したように内部空間21の中を複数回反射させる構成を採用することで、セルパイプ2の外形をコンパクトにしつつ光路長を長くすることが可能になり、ガス分析装置1の小型化を図ることが可能になる。
【0018】
本実施の形態での相関セル3は、所定濃度の測定対象ガスと同種のガスが封入された測定ガス室(測定対象ガス室)42(図4参照)と、赤外線に対して不活性な比較対象ガスが封入された比較ガス室43(図4参照)と、を備えている。この相関セル3の具体的な構造については後述する。
【0019】
チョッパ12は、ノイズを低減するために赤外線光をチョッピングしてセルパイプ2に導入するために設けられたものであり、赤外線光を断続させるための図示しない複数のスリットを有する。
【0020】
モータ13は、図示しない制御部により制御されるものであり、その出力軸には、カップリング(回転軸)15が固定して取り付けられている。このため、モータ13の駆動力は、出力軸からカップリング(回転軸)15を介して相関セル3に伝達される。これにより、相関セル3は、チョッパ12と共に一定の速度で一方向に回転する。付言すると、赤外線光源11から出射された赤外線光は、相関セル3を通過した後にチョッパ12により通過が許容されると、セルパイプ2に入射することになる。
なお、モータ13とセルパイプ2との間には、カップリング15、赤外線光源11、相関セル3及びチョッパ12を覆うカバー16が配設されている。カバー16は、図1では一点鎖線で図示され、図2の(b)では実線で図示されている。
【0021】
赤外線光検出器14は、ホルダ部材17を介してプリント基板18に実装されている。そして、プリント基板18は、カバー19内に配設されており、これにより、外部からの光を遮断している。なお、赤外線光検出器14としては、例えばPbSe素子などの赤外線光に感度を有する素子で構成することが考えられる。
【0022】
本実施の形態に係るガス分析装置1では、赤外線光源11からの赤外線光が、相関セル3及びチョッパ12を通過した後に、セルパイプ2を通って赤外線光検出器14に入り、光量に比例した電気信号に変換される。これにより、試料ガス中の測定対象ガス濃度を所定の演算で求めることができる。
【0023】
図3は、相関セル3の概略構成図である。
図3に示すように、相関セル3は、セル本体としてのホイール4と、ホイール4の両面に接着剤にて接着(固着)される透光性の板材としての窓板5と、ホイール4の連通路44に形成されている雌ねじに対応する雄ねじ部63を有するねじ部材6と、を備えている。
なお、ホイール4の材質は、常温付近での熱膨張率がサファイアに近い材質(例えばコバール)であり、窓板5の材質は、サファイアであり、ねじ部材6の材質はステンレスである。
【0024】
窓板5は、所定の厚さを有する板材であり、中央に貫通穴51を有する。この貫通穴51は、ホイール4の回転穴41に対応する形状である。また、窓板5は、円形状に形成されており、外周面としての端部52を有する。窓板5の外径寸法は、ホイール4の取付面46の外径寸法と略同一である。窓板5の表面及び裏面は、平たんに形成されている。
【0025】
ねじ部材6は、雄ねじ部63と、雄ねじ部63の先端である端部61と、雄ねじ部63よりも大径のねじ頭62と、を有する。言い換えると、ねじ部材6の一端が端部61であり、他端がねじ頭62である。更に説明すると、ねじ部材6は、連通路44と螺合し、これにより、連通路44を閉塞する。このため、ねじ部材6を用いると、連通路44を気密に封止することが可能である。したがって、ねじ部材6を、封止部材ないしシール部材と言うことができる。
付言すると、ねじ部材6が連通路44と螺合すると、端部61が最も奥側(測定ガス室42又は比較ガス室43に近接する側)に位置している。また、本実施の形態では、シール部材としてのねじ部材6をねじ締結によりホイール4の連通路44に固定している。
【0026】
ここで、ホイール4とねじ部材6との相対的な位置関係について説明する。ホイール4の連通路44の長さ方向(図3の左右方向、ホイール4の半径方向)に関して、ホイール4の端部47の位置は、ねじ部材6の端部61の位置よりも測定ガス室42又は比較ガス室43に近い。言い換えると、ねじ部材6の端部61は、ホイール4の端部47の位置よりも測定ガス室42又は比較ガス室43から遠くに位置している。なお、ホイール4の端部47と窓板5の端部52との相対的な位置は、略同一である。
【0027】
更に説明すると、ホイール4の端部47とねじ部材6の端部61とは、ホイール4の連通路44の長さ方向に関して、互いに離間している。すなわち、端部47と端部61とは、距離δだけ離間している。
【0028】
このように、本実施の形態では、ねじ部材6を相関セル3に螺合する場合に、ねじ部材6の端部61がホイール4と窓板5とを互いに接着する接着面(取付面46)まで到達しない構造を採用している。したがって、ねじ部材6をホイール4の連通路44に締め込むことでホイール4が応力を受けたときに、その応力がホイール4の取付面46に及ぼす影響が軽減される。このため、ねじ部材6をホイール4に螺合させることに伴う接着面の歪みの発生を防止することができる。
【0029】
図4は、ホイール4を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)の線IVb−IVbによる断面図である。
図4の(a)及び(b)に示すように、ホイール4は、所定の厚さの円盤形状であり、中心部に厚さ方向に延びる回転穴41を有する。また、ホイール4は、回転穴41の周りに位置する測定ガス室42及び比較ガス室43を有する。すなわち、測定ガス室42及び比較ガス室43は、外周面4aと回転穴41との間に位置している。この測定ガス室42と比較ガス室43とは、互いに同じ形状であり、かつ、回転穴41に対する位置関係も同じである。
【0030】
ホイール4は、外周面4aから半径方向に延びる連通路44を2つ有する。2つの連通路44の一方は、測定ガス室42に連通するものであり、他方は、比較ガス室43に連通するものである。これら連通路44の各々には、雌ねじが形成されている。この連通路44の雌ねじは、上述したように、ねじ部材6の雄ねじ部63(図3又は図5参照)に対応するものである。
また、各連通路44の外周面4aの側には、凹形状の座ぐり45が形成されている。この座ぐり45は、ねじ部材6のねじ頭62を受け入れ可能な外径寸法である。
【0031】
ホイール4は、略平たんに形成された取付面46を有する。この取付面46は、ホイール4の他の面よりも平たん度が高くなるように形成されている。そして、取付面46は、窓板5が接着剤にて取り付けられる面(接着面)である。
【0032】
更に説明すると、ホイール4の取付面46に窓板5が取り付けられると、測定ガス室42及び比較ガス室43の両側が外部と仕切られる。これにより、測定ガス室42及び比較ガス室43は、連通路44を介して外部に連通することになる。
【0033】
ホイール4は、チョッパ12を取り付けるための取付穴48を有する。取付穴48は、回転穴41と同じ方向に延びている。なお、チョッパ12には、ホイール4の取付穴48に対応する図示しない取付穴が形成されている。
【0034】
図5は、相関セル3の組み立て方法を説明するための分解斜視図である。
相関セル3の組み立てに際し、図5に示すように、ホイール4、2つの窓板5及び2つのねじ部材6を用意する。これらホイール4、窓板5及びねじ部材6は、上述した構造のものである。
【0035】
ここで、ホイール4の端部47と座ぐり45とは、半径方向に関して距離Tだけ離間して位置している。また、ねじ部材6の雄ねじ部63の長さは、長さSである。付言すると、図3に示す距離δは、距離Tから長さSを減じた値である。すなわち、δ=T−Sである。
【0036】
相関セル3の組み立ての手順としては、まずホイール4の連通路44にねじ部材6を締め込み、その後に、ホイール4の取付面46についての仕上げ工程に入る。この取付面46は、高精度で加工されて平たんになっているものの、ねじ部材6を締め込むことに起因して歪みが発生する場合が想定される。更に説明すると、ホイール4の連通路44にねじ部材6を締め込んでも、ねじ部材6の端部61が取付面46の端部47には到達しないので、歪みの発生が抑制される。しかしながら、歪みが全く発生しないということは必ずしも言えない。仮に、そのような歪みが発生した場合に、その歪みが残存している状態で窓板5をホイール4の取付面46に接着すると、ガス封入後にガス漏れが起こる可能性がある。仕上げ工程は、このようにして発生した取付面46の歪みを除去することで、ガス封入後のガス漏れを防止して気密性の高い相関セルを製造するための作業である。
【0037】
具体的に説明すると、仕上げ工程は、ホイール4にねじ部材6を締め込んだ状態で取付面46を、例えば耐水ペーパにて磨る。このように、ガス封入口としての連通路44にねじ部材6を予め締め込んでから取付面46を仕上げることにより、仮に取付面46に歪みが生じたとしても、窓板5を取付面46に接着する前の段階で取付面46の歪みを除去することが可能になる。取付面46の歪みが除去されたか否かは、目視により連通路44の近傍の取付面46に接着剤による干渉縞が観察されるかどうかで判断することができる。
【0038】
仕上げ工程の終了後には、例えば紫外線硬化樹脂の接着剤をホイール4の取付面46に塗布し、取付面46に窓板5を取り付けて紫外線を照射することで、ホイール4に窓板5を接着する。これにより、相関セル3の組み立てが完了する。
【0039】
付言すると、このような相関セル3の組み立てが完了した後に、ガス封入工程を行う。このガス封入工程としては、まず、工具を用いてねじ部材6をホイール4から取り外す。そして、連通路44から相関セル3の測定ガス室42に測定対象ガスを充填した後にねじ部材6を連通路44に締め込む。これにより、測定対象ガスが測定ガス室42に封入される。なお、封入する際にねじ部材6を締め込む場合に、締め付けトルクが所定の値になるようにすると好ましい。
同様に、連通路44から相関セル3の比較ガス室43に比較ガスを充填した後にねじ部材6を連通路44に締め込んで比較ガスを比較ガス室43に封入する。ねじ部材6の締め込み後に、例えば紫外線硬化樹脂の接着剤をホイール4の座ぐり45に充填する。これにより、ねじ部材6の緩みを防止することができる。なお、このようなガス封入工程は、専用の容器内で行われる。
【0040】
本実施の形態に係るガス分析装置1は、例えば、大気中の一酸化炭素(CO)濃度を連続して測定する測定装置に組み込むことが可能である。この大気中一酸化炭素測定装置は、大気汚染防止法による常時監視や環境アセスメント(環境影響評価)に主に使用されるものであり、測定データをテレメータを介して観測局(中央監視センタ)へ送信したり、各種入出力信号をテレメータを介して送受信したりする構成が採用される場合がある。なお、この大気中一酸化炭素測定装置では、一酸化炭素を含む大気ガスを試料ガスとするが、セルパイプ2に導入する前に、種々の処理を行う。具体的には、大気ガスに含まれる塵埃をフィルタで除去したり、パーマピュアドライヤで赤外線光を吸収する水分を除去したりする処理等である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施の形態に係るガス分析装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るガス分析装置を示す概略構成図である。
【図3】相関セルの概略構成図である。
【図4】ホイールを説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)の線IVb−IVbによる断面図である。
【図5】相関セルの組み立て方法を説明するための分解斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ガス分析装置、11…赤外線光源、12…チョッパ、13…モータ、14…赤外線光検出器、15…カップリング、16,19…カバー、17…ホルダ部材、18…プリント基板、2…セルパイプ、21…内部空間、22…試料ガス入口、23…試料ガス出口、24,27…反射ミラー、25,26…多重反射ミラー、3…相関セル、4…ホイール、4a…外周面、41…回転穴、42…測定ガス室、43…比較ガス室、44…連通路、45…座ぐり、46…取付面、47,52,61…端部、48…取付穴、5…窓板、51…貫通穴、6…ねじ部材、62…ねじ頭、63…雄ねじ部、S…長さ、T…距離、δ…距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル本体と当該セル本体に取り付けられる透光性の板材とを含み、当該セル本体と当該板材とにより複数のガス室が形成される相関セルであって、
前記セル本体に設けられ、前記板材を取り付ける取付面と、
前記複数のガス室の各々に対応して前記セル本体に設けられ、当該ガス室に連通する複数の連通路と、
前記複数の連通路の各々に挿入されて当該連通路を気密に封止する封止部材と、
を含み、
前記連通路に連通する前記ガス室に近い前記封止部材の端部の位置は、当該連通路の長さ方向に関する前記取付面の端部の位置よりも当該ガス室から遠いことを特徴とする相関セル。
【請求項2】
前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、
前記封止部材には、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の相関セル。
【請求項3】
前記封止部材は、前記雄ねじよりも大径のねじ頭を有し、
前記ねじ頭が前記セル本体と係合することにより、当該封止部材が当該セル本体に対して位置決めされることを特徴とする請求項2に記載の相関セル。
【請求項4】
前記セル本体は、前記封止部材の前記ねじ頭を受け入れる凹形状の座ぐり部を有することを特徴とする請求項3に記載の相関セル。
【請求項5】
ガス相関法の赤外線吸収方式を用い、試料ガスを分析するガス分析装置であって、
赤外線光を出射する光源と、
前記光源が入射すると共に試料ガスが導入されるセルパイプと、
セル本体と当該セル本体に取り付けられる透光性の板材とを含み、当該セル本体と当該板材とにより複数のガス室が形成され、前記光源からの赤外線光が前記セルパイプに入射する前に透過するように配置される相関セルと、
前記相関セルを回転駆動する駆動源と、
前記セルパイプに入射した赤外線光を受けて当該赤外線光の光量に対応する電気信号に変換する検出器と、
を含み、
前記相関セルは、
前記複数のガス室の各々に対応して前記セル本体に設けられ、当該ガス室に連通する複数の連通路と、
前記複数の連通路の各々に挿入されて当該連通路を気密に封止する封止部材と、
を含み、
前記連通路に連通する前記ガス室に近い前記封止部材の端部の位置は、当該連通路の長さ方向に関する前記板材の端部の位置よりも当該ガス室から遠いことを特徴とするガス分析装置。
【請求項6】
前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、
前記封止部材には、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成されていることを特徴とする請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項7】
複数のガス室と、当該複数のガス室の各々に対応して設けられると共に当該ガス室に連通する複数の連通路と、当該ガス室を仕切るための板材を取り付ける取付面と、を有するセル本体に当該板材を固定してなる相関セルの組み立て方法であって、
前記連通路の内面に係合させると共に前記取付面の端部の位置に対応する当該連通路の位置に達しないように封止部材を挿入して当該連通路を気密に閉塞し、
前記取付面の歪みを除去し、
前記板材を前記取付面に固定することを特徴とする相関セルの組み立て方法。
【請求項8】
前記複数の連通路の各々に雌ねじが形成され、
前記封止部材は、前記雌ねじに対応する雄ねじが形成される雄ねじ部を有することを特徴とする請求項7に記載の相関セルの組み立て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−174868(P2009−174868A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10712(P2008−10712)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】